| 【発明の名称】 |
デファレンシャル装置及びその操作方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木村 拓夫
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| 【要約】 |
【課題】C.S.D機能と差動ロック機能とを同一の操作系で制御可能にし、構造簡単、軽量、低コストにする。
【解決手段】デフケース3の回転を出力側サイドギヤ39、41を介して分配する差動機構5と、サイドギヤ39、41とデフケース3との間に配置された摩擦クラッチ7と、これを押圧し締結させるアクチュエータ9と、サイドギヤ39、41側のクラッチ部材55とデフケース3側のクラッチ部材45との間に設けられた噛み合いクラッチ11と、両クラッチ部材45、55の間に配置されこれらを噛み合いクラッチ11の噛み合い解除方向に付勢するスプリング13とを備え、摩擦クラッチ7の押圧過程でスプリング13が圧縮されると、噛み合いクラッチ11が噛み合い差動がロックされる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケースと、デフケースの回転をピニオンギヤから一対の出力側サイドギヤを介して出力軸側に配分する差動機構と、サイドギヤとデフケースとの間に配置された差動制限用の摩擦クラッチと、この摩擦クラッチを押圧し締結させるアクチュエータと、摩擦クラッチのサイドギヤ側に移動自在に係合したクラッチ部材とデフケースと一体に回転するクラッチ部材との間に設けられた噛み合いクラッチと、両クラッチ部材の間に配置されこれらを噛み合いクラッチの噛み合い解除方向に付勢するスプリングとを備えると共に、前記噛み合いクラッチとスプリングとがアクチュエータによる摩擦クラッチ押圧経路内に直列配置され、摩擦クラッチの押圧過程でスプリングが圧縮されると、噛み合いクラッチが噛み合って差動がロックされることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、摩擦クラッチとアクチュエータとが両サイドギヤ側にそれぞれ配置されていると共に、噛み合いクラッチとスプリングとをいずれか一方のサイドギヤ側にだけ設けたことを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であって、摩擦クラッチが、出力軸を介してこのサイドギヤに連結されたサイドギヤ側部材上に設けられていることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明であって、差動機構が、デフケースと一体に回転するピニオンシャフトと、このピニオンシャフト上で回転自在に支承されたピニオンギヤと、このピニオンギヤとそれぞれ噛み合った一対の出力側サイドギヤとを有するベベルギヤ式の差動機構であることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明であって、スプリングが、皿ばね又はコイルばねであることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、アクチュエータの押圧力からスプリングの撓み量及び各クラッチ部材の間隔を検知し、この間隔が一定値以下になると、噛み合いクラッチが完全に噛み合うまでアクチュエータの押圧力を増大させることを特徴とするデファレンシャル装置の操作方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車両のデファレンシャル装置と、その操作方法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開平4−366047号公報に図3のようなデファレンシャル装置201が記載されている。 【0003】このデファレンシャル装置201は、ベベルギヤ式の差動機構203と、そのサイドギヤ205、207側とデフケース209との間にそれぞれ配置された差動制限用の多板クラッチ211と、各多板クラッチ211をそれぞれ押圧する油圧アクチュエータ213などから構成されている。 【0004】油圧アクチュエータ213はベアリング215と押圧部材217とを介して多板クラッチ211を押圧して締結し、差動機構203の差動を制限する。多板クラッチ211の差動制限力は油圧アクチュエータ213の押圧力によって自由に制御できるから(C.S.D機能)、その差動制限機能は、伝達トルクに応じて制御すればトルク感応型相当の差動制限機能になり、差動回転速度に応じて制御すれば速度感応型相当の差動制限機能になる。 【0005】車両は、このような差動制限機能によって、発進時や加速時は駆動輪の差動回転が防止されて車体の安定性と操縦性が向上し、悪路などで片輪が空転すると、グリップ側の駆動輪にトルクが送られて悪路の走破性と脱出性が向上する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような制御可能な差動制限機能に加えて、四輪駆動(4WD)車やR.V.(レクレーショナル・ビークル)、レース車両のような車種では、強大な駆動トルクを得るため差動をロックする機構が必要な場合がある。 【0007】一般に、差動ロック機構はサイドギヤとデフケースとの間に設けられるが、差動ロック機構にもアクチュエータが必要であるから、デファレンシャル装置201のように油圧アクチュエータ213と多板クラッチ211からなる差動制限機構を用いるデファレンシャル装置に、差動ロック機構を組み込むと、2種類の操作系(アクチュエータ)が必要になって、構造が極めて複雑になり、重くなり、コスト高になる。 【0008】そこで、この発明は、制御可能な差動制限機能(コントロールスリップデファレンシャル/C.S.D機能)と差動ロック機能とを同一の操作系で制御可能であり、構造簡単で、軽量で、低コストのデファレンシャル装置の提供を目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケースと、デフケースの回転をピニオンギヤから一対の出力側サイドギヤを介して出力軸側に配分する差動機構と、サイドギヤとデフケースとの間に配置された差動制限用の摩擦クラッチと、この摩擦クラッチを押圧し締結させるアクチュエータと、摩擦クラッチのサイドギヤ側に移動自在に係合したクラッチ部材とデフケースと一体に回転するクラッチ部材との間に設けられた噛み合いクラッチと、両クラッチ部材の間に配置されこれらを噛み合いクラッチの噛み合い解除方向に付勢するスプリングとを備えると共に、前記噛み合いクラッチとスプリングとがアクチュエータによる摩擦クラッチ押圧経路内に直列配置され、摩擦クラッチの押圧過程でスプリングが圧縮されると、噛み合いクラッチが噛み合って差動がロックされることを特徴とする。 【0010】アクチュエータは摩擦クラッチを締結して差動機構の差動を制限すると共に、この差動制限力はアクチュエータの押圧力を調整すことによって任意に制御可能であり、C.S.D機能が得られる。 【0011】又、サイドギヤ側のクラッチ部材とデフケース側のクラッチ部材との間に設けた噛み合いクラッチと、各クラッチ部材の間に配置したスプリングとをアクチュエータによる摩擦クラッチの押圧経路内に直列配置したことにより、摩擦クラッチを押圧すると、その過程でスプリングが圧縮され、噛み合いクラッチが噛み合って差動がロックされる。 【0012】又、運転席にロックアップボタンを設け、このロックアップボタンを押すとアクチュエータの押圧力が増大しスプリングを圧縮して噛み合いクラッチを噛み合わせるように構成すれば、C.S.D領域内であっても、必要なときは何時でも作動をロックさせることができる。 【0013】こうして、本発明のデファレンシャル装置は、同一のアクチュエータと押圧系とで摩擦クラッチと差動ロック機構の両方を操作できるから、差動ロック機能と制御可能な差動制限機能とを持ちながら、構造簡単で、軽量で、低コストである。 【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載のデファレンシャル装置であって、摩擦クラッチとアクチュエータとが両サイドギヤ側にそれぞれ配置されていると共に、噛み合いクラッチとスプリングとをいずれか一方のサイドギヤ側にだけ設けたことを特徴とし、請求項1と同等の効果を得る。 【0015】これに加えて、噛み合いクラッチとスプリングとを一方のサイドギヤ側にだけ設けたことにより、差動ロック機能を持ちながら、それだけ軽量に構成できる。 【0016】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のデファレンシャル装置であって、摩擦クラッチが、出力軸を介してこのサイドギヤに連結されたサイドギヤ側部材上に設けられていることを特徴とし、請求項1又は請求項2と同等の効果を得る。 【0017】これに加えて、摩擦クラッチと差動ロック機構とをサイドギヤ側の別部材上に設けたこの構成は、これらをサイドギヤに直接設けた構成に較べて、通常のデファレンシャル装置との間でサイドギヤの共用が可能であり、互換性が高く保たれて有利である。 【0018】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置であって、差動機構が、デフケースと一体に回転するピニオンシャフトと、このピニオンシャフト上で回転自在に支承されたピニオンギヤと、このピニオンギヤとそれぞれ噛み合った一対の出力側サイドギヤとを有するベベルギヤ式の差動機構であることを特徴とし、請求項1乃至請求項3のいずれかと同等の効果を得る。 【0019】これに加えて、ベベルギヤ式の差動機構を用いたことにより、サイドギヤの周囲に摩擦クラッチと差動ロック機構の配置スペースを設け易くなるから、本発明のデファレンシャル装置を実施し易い。 【0020】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置であって、スプリングが、皿ばね又はコイルばねであることを特徴とし、請求項1乃至請求項4のいずれかと同等の効果を得る。 【0021】これに加えて、スプリングに用いた皿ばね又はコイルばねは、リング状にしてサイドギヤと同軸配置することが容易であるから、噛み合いクラッチとスプリングとからなる差動ロック機構とサイドギヤと同軸配置された摩擦クラッチとを、アクチュエータの押圧経路内で直列に配置する本発明のデファレンシャル装置が構成し易い。 【0022】請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のデファレンシャル装置において、アクチュエータの押圧力からスプリングの撓み量及び各クラッチ部材の間隔を検知し、この間隔が一定値以下になると、噛み合いクラッチが完全に噛み合うまでアクチュエータの押圧力を増大させることを特徴とする操作方法である。 【0023】請求項1乃至請求項5のいずれかデファレンシャル装置では、スプリングの撓み量がある程度増加すると、噛み合いクラッチが噛み合わない状態で各クラッチ部材が断続的に接触を繰り返すラチェッティングが生じることがある。 【0024】そこで、この操作方法によれば、例えば、アクチュエータの押圧力とスプリングの撓み量とのグラフをコントローラに予め記憶させておき、アクチュエータの押圧力からスプリングの撓み量及び各クラッチ部材の間隔を検知して、この間隔が一定値以下になると、アクチュエータの押圧力を増大させ、噛み合いクラッチを一気に噛み合わせるから、ラチェッティングが未然に防止され、これに伴う噛み合いクラッチの破損や騒音が防止される。 【0025】 【発明の実施の形態】図1と図2によって本発明の一実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、3、4、5、6の特徴を備えている。図1はこの実施形態のデファレンシャル装置1を示し、左右の方向は図1での左右の方向である。又、符号を与えていない部材等は図示されていない。 【0026】デファレンシャル装置1は4WD車の後輪車軸上に配置されており(リヤデフ)、デフケース3、ベベルギヤ式の差動機構5、多板クラッチ7、7(摩擦クラッチ)、油圧アクチュエータ9、9(アクチュエータ)、噛み合いクラッチ11、11(差動ロック機構)、複数枚の皿ばね13、13などから構成されている。 【0027】デファレンシャル装置1はオイル溜りが設けられたデフキャリヤ15の内部に配置されている。デフケース3はケーシング本体17の左右にカバー19をボルトで固定して形成されており、ベアリング21によって左右のボス部23をデフキャリヤ15に支承されている。 【0028】デフケース3にはリングギヤ25がボルト27によって固定されており、このリングギヤ25はドライブピニオンギヤ29と噛み合っている。ドライブピニオンギヤ29はドライブピニオンシャフト31の後端に一体形成されており、このドライブピニオンシャフト31は継ぎ手を介して後輪側のプロペラシャフトに連結されている。 【0029】こうして、デフケース3はエンジンの駆動力によって回転駆動される。 【0030】ベベルギヤ式の差動機構5は、中空のボス部33を介して放射状に配置された複数本のピニオンシャフト35と、各ピニオンシャフト35上に回転自在に配置されたピニオンギヤ37と、これらのピニオンギヤ37と左右から噛み合った一対の出力側サイドギヤ39、41とから構成されている。 【0031】各ピニオンシャフト35はピン43によってケーシング本体17に固定されて廻り止めされており、ケーシング本体17には各ピニオンギヤ37の噛み合い反力を受ける球面ワッシャ45が固定されている。 【0032】又、各サイドギヤ39、41はそれぞれ左右の後輪側出力軸47、49にスプライン連結され、止め輪51によって位置決めされている。 【0033】デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンシャフト35とピニオンギヤ37からサイドギヤ39、41を介して左右の後輪側に分配される。又、後輪間に駆動抵抗差が生じるとエンジンの駆動力はピニオンギヤ37の自転によって左右各側に差動分配される。 【0034】左右の後輪側出力軸47、49にはそれぞれクラッチハブ53(サイドギヤ側部材)がスプライン連結されており、各多板クラッチ7は、このクラッチハブ53とデフケース3との間に配置されている。 【0035】又、各噛み合いクラッチ11は、クラッチハブ53にスプライン連結されたクラッチ部材55(サイドギヤ側クラッチ部材)に形成された噛み合い歯57と、球面ワッシャ45(デフケース側クラッチ部材)に形成された噛み合い歯59とで構成されている。 【0036】皿ばね13は、球面ワッシャ45とクラッチ部材55との間に配置され、クラッチ部材55を各噛み合いクラッチ11の噛み合い解除側に付勢している。 【0037】下記のように、噛み合いクラッチ11と皿ばね13は油圧アクチュエータ9による多板クラッチ7の押圧経路内に直列配置されている。 【0038】デフキャリヤ15の左右両端部にはシリンダハウジング61がボルト63で固定されており、各シリンダハウジング61とデフキャリヤ15との間には0リング65が配置されオイル洩れを防止している。各シリンダハウジング61には油圧アクチュエータ9のシリンダ67が設けられている。油圧アクチュエータ9のピストン69はXリング71、73(断面がX字状のシール)を介してシリンダ67に係合しており、ピン75によって廻り止めされている。 【0039】各出力軸47、49とデフケース3のボス部23との間には多板クラッチ7の押圧部材77が配置されており、各押圧部材77は出力軸47、49にそれぞれスプライン連結されている。押圧部材77とピストン69との間にはベアリング79が配置され、静止側のピストン69と回転側の押圧部材77との摺動を防止している。 【0040】シリンダ67には外部のオイルポンプからオイルプラグ81を介して油圧が送られる。この作動圧はコントローラによって制御される。 【0041】シリンダ67に作動圧が与えられると、ピストン69はベアリング79と押圧部材77とを介して多板クラッチ7を押圧し締結させる。このとき、クラッチ部材55と皿ばね13と球面ワッシャ45は多板クラッチ7の受圧側になる。 【0042】このように、噛み合いクラッチ11と皿ばね13は油圧アクチュエータ9による多板クラッチ7の押圧経路に直列配置されている。 【0043】各多板クラッチ7が締結されると、サイドギヤ39、41とデフケース3との間で差動機構5の差動が制限される。 【0044】作動圧を更に大きくすると、皿ばね13が撓み、噛み合いクラッチ11が噛み合う。 【0045】各噛み合いクラッチ11が噛み合うと、サイドギヤ39、41とデフケース3との間で差動機構5の差動がロックされる。 【0046】コントローラは車体各部に配置された各種センサーによって検知したアクセル開度、舵角、車輪速度、ヨーレート、前後G、左右Gなどに応じて油圧アクチュエータ9の作動圧を調整し、各多板クラッチ7による差動制限機能を制御すると共に、各噛み合いクラッチ11によって差動をロックする。 【0047】車両は、この差動制限機能及び差動ロック機能によって、例えば、発進時や加速時は駆動輪の差動回転が防止されて車体の安定性と操縦性が向上し、悪路などで片輪が空転すると、グリップ側の駆動輪にトルクが送られて悪路の走破性と脱出性が向上する。 【0048】図2のグラフ83は、油圧アクチュエータ9に作動圧を与えたときの、ピストン69のストロークと皿ばね13の荷重(撓み量)との変化を示している。 【0049】領域85は各多板クラッチ7が締結され、各噛み合いクラッチ11が噛み合っていない差動制限力可変領域(C.S.D領域)である。領域87は各噛み合いクラッチ11が噛み合い寸前の状態で、クラッチ部材55と球面ワッシャ45との間でラチェッティングが生じる恐れのある過渡的な領域である。領域89は各噛み合いクラッチ11が噛み合った差動ロック領域である。 【0050】コントローラには油圧アクチュエータ9の作動圧と皿ばね13の撓み量との函数を予め記憶させてある。コントローラはそのときの作動圧から皿ばね13の撓み量を検知し、更に、この撓み量から各噛み合いクラッチ11のクラッチ部材55と球面ワッシャ45との間隔を検知し、この間隔が一定値以下になると、ラチェッティングを未然に防止するために、作動圧を増大して噛み合いクラッチ11を一気に噛み合わせる。 【0051】この操作方法によって、グラフ83は、ラチェッティングの恐れがある破線部分91を辿らずに、実線部分93上を差動ロック領域89に入るから、噛み合いクラッチ11のラチェッティングと、これに伴う破損と騒音が防止される。 【0052】更に、運転席にはロックアップボタンが設けられており、コントローラはこのロックアップボタンが押されるとその信号を受けてアクチュエータの押圧力を増大させ皿ばね13を圧縮して噛み合いクラッチ11を噛み合わせるようにプログラムされている。 【0053】従って、このロックアップボタンを押せば、必要なときは、C.S.D領域内であっても、何時でも作動をロックさせることができる。 【0054】こうして、デファレンシャル装置1が構成されている。 【0055】上記のように、デファレンシャル装置1は、クラッチ部材55と球面ワッシャ45との間に設けた噛み合いクラッチ11と皿ばね13とを多板クラッチ7の押圧経路内に直列配置したから、多板クラッチ7を押圧すると、その押圧過程で皿ばね13が圧縮され、噛み合いクラッチ11が噛み合って差動がロックされる。 【0056】このように、デファレンシャル装置1は、同一の油圧アクチュエータ9と押圧系(押圧部材77とベアリング79)とで多板クラッチ7と噛み合いクラッチ11の両方を操作できるから、差動ロック機能と差動制限力制御機能(C.S.D機能)とを持ちながら、構造簡単で、軽量で、低コストである。 【0057】又、多板クラッチ7と噛み合いクラッチ11とをサイドギヤ39、41側のクラッチハブ53上に設けた構成は、これらをサイドギヤ39、41上に直接設ける構成に較べて、通常のデファレンシャル装置との間でサイドギヤ39、41を共用できるから、互換性が高く保たれて有利である。 【0058】又、ベベルギヤ式の差動機構5を用いたことにより、サイドギヤ39、41の周囲に多板クラッチ7と噛み合いクラッチ11などを配置するスペースを設け易い。 【0059】又、皿ばね13は、リング状にしてサイドギヤ39、41と同軸に配置することが容易であるから、油圧アクチュエータ9の押圧経路内で、噛み合いクラッチ11と皿ばね13とを多板クラッチ7と直列に配置する本発明の構成を実施し易い。 【0060】又、請求項6の操作方法によれば、噛み合いクラッチ11の間隔が一定値以下になりラチェッティングが起こり易くなると、油圧アクチュエータ9の作動圧を増大させて噛み合いクラッチ11を一気に噛み合わせるから、噛み合いクラッチ11のラチェッティングと破損と騒音とが防止される。 【0061】なお、本発明において、摩擦クラッチは多板クラッチに限らず、例えば、円錐クラッチのように他の形式の摩擦クラッチでもよい。 【0062】又、スプリングにコイルばねを用いて、サイドギヤと同軸に配置してもよい。又、複数個の小径のコイルばねを各クラッチ部材の間で周方向に配置してもよい。 【0063】又、摩擦クラッチは、実施形態と異なって、サイドギヤ側の別部材(クラッチハブ53)ではなく、サイドギヤ上に直接設けてもよい。 【0064】又、本発明のデファレンシャル装置は、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)と、リヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装置)と、センターデフ(エンジンの駆動力を前輪と後輪に配分するデファレンシャル装置)のいずれにも用いることができる。 【0065】 【発明の効果】請求項1記載のデファレンシャル装置では、クラッチ部材の間に設けた差動ロック用の噛み合いクラッチと、クラッチ部材の間に配置したスプリングとを摩擦クラッチの押圧経路内に直列配置したことにより、摩擦クラッチを押圧すると、その過程でスプリングが圧縮され、噛み合いクラッチが噛み合って差動がロックされる。 【0066】こうして、同一のアクチュエータと押圧系とで摩擦クラッチと差動ロック機構の両方を操作できるから、このデファレンシャル装置は、差動ロック機能とC.S.D機能とを持ちながら、構造簡単で、軽量で、低コストである。 【0067】請求項2記載の発明は、請求項1と同等の効果を得ると共に、噛み合いクラッチとスプリングとを一方のサイドギヤ側にだけ設けたから、差動ロック機能を持ちながら、それだけ軽量になる。 【0068】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2と同等の効果を得ると共に、摩擦クラッチと差動ロック機構とをサイドギヤ側の別部材上に設けた構成は、これらをサイドギヤに直接設けた構成に較べて、通常のデファレンシャル装置との間でサイドギヤを共用できるから、互換性が高く保たれる。 【0069】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかと同等の効果を得ると共に、ベベルギヤ式の差動機構を用いたことにより、サイドギヤの周囲に摩擦クラッチと差動ロック機構とを配置するスペースを設け易い。 【0070】請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかと同等の効果を得ると共に、皿ばね又はコイルばねは、リング状にしてサイドギヤと同軸配置することが容易であるから、アクチュエータの押圧経路内で、噛み合いクラッチとスプリングとを摩擦クラッチと直列に配置する本発明を実施し易い。 【0071】請求項6記載の操作方法によれば、噛み合いクラッチの間隔が一定値以下になると、アクチュエータによって噛み合いクラッチを一気に噛み合わせるから、噛み合いクラッチのラチェッティングと破損と騒音とが防止される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000225050 【氏名又は名称】栃木富士産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118022 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−279252 |
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