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【発明の名称】 転がりスピンドルおよびそのような転がりスピンドルを備えた制動アクチエータ
【発明者】 【氏名】ヴルフ・ライテルマン

【氏名】トーマス・デイックマン

【氏名】ヨアヒム・ベック

【氏名】ヴオルフガング・クレプレン

【要約】 【課題】効率が高く、簡単で低コストで作製できるスピンドル、この転がりスピンドルに作用する電動モータを備えた制動アクチエータを提供する。

【解決手段】スピンドル棒4と、スピンドルナット6と、このスピンドルナット6と前記スピンドル棒4の間に支承されるローラー本体10を備え、スピンドル棒4とスピンドルナット6が相対的に移動し、スピンドル棒4がスピンドルナット6に対して相対運動する時にローラー本体10が初期位置から移動する転がりスピンドル2にあって、前記ローラー本体10が戻しバネ12で付勢されているケージ8の中に支承され、このケージ8により、スピンドル棒4が静止し、スピンドルナット6が静止している時、ローラー本体10が初期位置から移動した後、初期位置に戻る。更に、転がりスピンドル2に作用する電動モータを備えた制動アクチエータにあって、前記転がりスピンドル2が上記に従い形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スピンドル棒(4)と、スピンドルナット(6)と、このスピンドルナット(6)と前記スピンドル棒(4)の間に支承されるローラー本体(10)を備え、スピンドル棒(4)とスピンドルナット(6)が相対的に移動し、スピンドル棒(4)がスピンドルナット(6)に対して相対運動する時にローラー本体(10)が初期位置から移動する転がりスピンドル(2)において、前記ローラー本体(10)が戻しバネ(12)で付勢されているケージ(8)の中に支承され、このケージ(8)により、スピンドル棒(4)が静止し、スピンドルナット(6)が静止している時、ローラー本体(10)が初期位置から移動した後、初期位置に戻ることを特徴とする転がりスピンドル(2)。
【請求項2】 前記ローラー本体(10)はスピンドル棒(4)とスピンドルナット(6)の間に遊びを設けて支承されていることを特徴とする請求項1に記載の転がりスピンドル(2)。
【請求項3】 前記スピンドルナット(6)には、ケージ(8)とローラー本体(10)の初期位置からの移動を制限するストッパー(20)があることを特徴とする請求項1または2に記載の転がりスピンドル(2)。
【請求項4】 前記戻しバネ(12)はストッパー(20)とケージ(8)の間に配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の転がりスピンドル(2)。
【請求項5】 ローラー本体(10)の初期位置への戻りは、スピンドル棒(4)および/またはスピンドルナット(6)の振動により助長されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の転がりスピンドル(2)。
【請求項6】 転がりスピンドル(2)に作用する電動モータを備えた制動アクチエータにおいて、前記転がりスピンドル(2)が請求項1〜5の何れか1項に従い形成されていることを特徴とする制動アクチエータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スピンドル棒と、スピンドルナットと、このスピンドルナットと前記スピンドル棒の間に支承されるローラー本体を備え、スピンドル棒とスピンドルナットが相対的に移動し、スピンドル棒がスピンドルナットに対して相対運動する時にローラー本体が初期位置から移動する転がりスピンドル、およびこの転がりスピンドルに作用する電動モータを備えた制動アクチエータに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の転がりスピンドルは従来の技術により周知であり、スピンドル棒とスンドルナットの間に置かれたローラー本体がスピンドル棒とスピンドルナットの間の相対運動の時の摩擦損失を著しく低減するから効率が高い。スピンドル棒とスピンドルナットの間に相対運動があると、ローラー本体は初期位置から移動する。相対移動が大きい場合、ローラー本体がスピンドル棒とスピンドルナットの間の領域を離れ、その案内部から外れることを防止するため、転がりスピンドルにはローラー本体の戻し部がある。この種のローラー本体の戻し部は、例えば前方のローラー本体がスピンドルナットとスピンドル棒の間の案内部から外れ、このスピンドル棒を通してスピンドルナットが戻り、後方のローラー本体の後で再びスピンドルナットとスピンドル棒の間の案内部に入るように構成されている。従って、ローラー本体がスピンドルナットの中に「周期的」に案内されるとこになる。
【0003】ローラー本体を周期的に戻すため、スピンドルナットとスピンドル棒の間の相対運動はスピンドル棒の長さだけで制限される。ローラー本体がスピンドルナットとスピンドル棒の間の案内部から外れる恐れが生じない。しかし、戻し通路を持つ転がりスピンドルは大量生産の投入には適していない。何故なら、これ等の転がりスピンドルは作製に経費がかかり、効果になるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、効率が高く、簡単で低コストで作製できる冒頭に述べた種類の転がりスピンドル、この転がりスピンドルに作用する電動モータを備えた制動アクチエータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、この発明により、冒頭に述べた種類の転がりスピンドルにあって前記ローラー本体10が戻しバネ12で付勢されているケージ8の中に支承され、このケージ8により、スピンドル棒4が静止し、スピンドルナット6が静止している時、ローラー本体10が初期位置から移動した後、初期位置に戻ることによって解決されている。
【0006】更に、上記の課題は、この発明により、転がりスピンドル2に作用する電動モータを備えた制動アクチエータにあって、前記転がりスピンドル2が上記に従い形成されていることによって解決されている。
【0007】この発明による他の有利な構成は、特許請求の範囲の従属請求項に記載されている。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の基本構想はローラー本体の戻しがスピンドルナットとスピンドル棒の間の相対運動の間に行われるのでなく、スピンドル棒やスピンドルナットが止まっている時、戻しバネで付勢されたケージ、つまり鳥籠状のもので行われる点にある(ローラー本体は、初期位置に戻る時、スピンドルナットやスピンドル棒に対して滑りを生じる)。
【0009】この発明で得られる利点は、特にスピンドル棒とスピンドルナットの間の相対運動中にローラー本体の戻しを無くして高価な戻し通路を省くことが出来るので、転がりスピンドルの構造が非常に簡単になるので、転がりスピンドルを低コストで作製できる点にある。この発明の他の利点は、スピンドル棒が止まっていて、スピンドルナットも止まっている時にローラー本体を初期位置に戻すことが戻しバネで付勢されたケージにより行われるので、この発明による転がりスピンドルの構造長が従来の技術による転がりスピンドルに比べて大きくなっていない点にある。従って、ローラー本体はスピンドルナットとスピンドル棒の間の相対運動が新たに行われる毎に同じ初期位置を占める。この発明の他の利点は、ケージの中に多数のローラー本体を装填してローラー本体の密度を高くすることにより、転がりスピンドルの力伝達能力を高めている点にある。これには、転がりスピンドルの基本構造を変える必要はない。
【0010】この発明による転がりスピンドルは、電気制動装置の制動アクチエータに特に有利に使用できる。この制動アクチエータには、電動モータと、この電動モータと作用するスピンドル歯車の形の制動器とがある。制動装置を操作する場合、電動モータを駆動し、この電動モータの回転軸を回転させて、モータの回転軸に嵌まているスピンドル歯車のスピンドルナットを回転させる。スピンドルナットの回転はスピンドル棒の軸方向に動きに変換され、スピンドル棒によりブレーキライニングをブレーキディスクに押圧するので、ブレーキディスクの付属する対応するホィールに制動力が生じる。以下、どんな理由からこの発明による転がりスピンドルが制動アクチエータに特に有利に採用できるかを簡単に説明する。
【0011】制動過程では、スピンドル棒の初期位置(制動過程の初め)とスピンドル棒の最終位置(ブレーキライニングが最大の力でブレーキディスクに押圧される位置)の間の送り距離は約 1 mm に過ぎない。スピンドルナット(位置固定されている)に対するスピンドル棒のこのように小さな軸方向の動きでは、スピンドルナットに対するスピンドル棒の相対運動の間に、ローラー本体の戻りが無くなる。何故なら、このような小さな相対移動では、ローラー本体がスピンドルナットとスピンドル棒の間の案内部から外れる恐れが生じないからである。制動過程の間にはブレーキライニングの磨耗は最小である。制動過程の終わりにはブレーキライニングとブレーキディスクの間の空隙を再び同じにするため、制動過程を導入する時の送り距離より僅かに短い距離だけスピンドル棒を戻すので、スピンドル棒は制動過程の初めの時とは別な(最小)初期位置を占める。こうして、スピンドル棒を新しい初期位置に戻すことにより、ローラー本体は制動過程の導入時に占めていた初期位置に戻ることはない。しかし、ローラー本体はスピンドル棒とスピンドルナットが静止している時に戻しバネで付勢されたケージにより、制動過程の導入時に占めていた初期位置に戻る。従って、新たな制動過程を導入すると、スピンドル棒はスピンドルナットに対して最小に移動するが、ローラー本体は同じ初期位置を占める。制動過程が多くなるとブレーキライニングの磨耗が進むことにより、スピンドルナットに対するスピンドル棒の初期位置の相対移動が約 2.5 mm となるが、ローラー本体の初期位置は何時も維持されている。
【0012】この発明を更に発展させた構成によれば、ローラー本体はスピンドル棒とスピンドルナットの間に遊びを付けて支承されている。この構成の利点は、スピンドル棒とスピンドルナットに対するローラー本体の遊びは、スピンドル棒が静止し、スピンドルナットが静止している時にケージによりローラー本体の戻しを簡単にする点にある。
【0013】他の構成によれば、ケージとローラー本体の初期位置からの移動距離を制限するストッパーがスピンドルナットにある。この他の構成の利点は、ローラー本体とケージがスピンドルナットに対してこの移動距離だけしか移動しない点にある。従って、ケージあるいはローラー本体とスピンドルナットの間の相対移動が大き過ぎることになり、これがローラー本体をスピンドル棒とスピンドルナットの間の軸受から外れさせることを排除する。ストッパーが転がりスピンドルの中にある場合、戻しバネをこのストッパーとケージの間に配置すると有利である。
【0014】この発明の他の構成によれば、ケージによるローラー本体の初期位置への戻しはスピンドル棒および/またはスピンドルナットの振動により助長される。この種の振動は、制動アクチエータの場合、例えばスピンドル棒を短い距離だけ往復移動させ、その場合にスピンドル棒が平均して位置を変えないように電動モータを操作すいることにより誘起させることができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例と他の利点をより詳しく説明する。
【0016】図1はスピンドル棒4とスピンドルナット6を備えた転がりスピンドル2を示す。スピンドル棒4とスピンドルナット6の間には、ここではボールの形をしたローラー本体10が支承されている。このため、スピンドル棒4とスピンドルナット6にはそれぞれ一つのネジ状に形成された溝18が付けてある。これ等の溝は一緒になってラセン状に形成された「通路」を形成する。ボール10は一つのケージ8により保持され、このケージもスピンドル棒4とスピンドルナット6の間にあり、スピンドル棒4を「円管」のように軸方向に取り囲む。このケージ8は戻しバネ12で付勢されている。この戻しバネはストッパー20とケージ8の間にあり、スピンドル棒4を同じように軸方向に保持する。以下では、スピンドルナット6は軸方向に移動しないが、スピンドル棒4の長手軸周りに回転可能に支承されていると仮定する。更に、スピンドル棒4は回転止めして支承されているが、長手軸の方向に移動すると仮定する。これ等の仮定の下で、スピンドルナット6が長手軸の周りに矢印14の方向に回転すると以下のことが生じる。
【0017】ボール10はスピンドル棒4の溝18の中を転がり、スピンドル棒4とケージ8にその中にあるボール10と共に矢印16の方向の軸方向の移動を与える。その場合、ケージ8はスピンドル棒4のように距離の半分を進む。この軸方向の動きの影響の下で、ストッパー20とケージ8の間にある戻しバネ12が圧縮する。スピンドル棒4の軸方向の動きあるいはボール10を伴うケージ8の軸方向の動きは転がりスピンドル2の操作過程でストッパー20により制限されることが図1から分かる。
【0018】スピンドル棒4にトルクが働かなければ、スピンドルナット6とスピンドル棒4は静止している。この無負荷状態では、戻しバネ12は矢印16の方向とは反対に緩んでいて、この戻しバネ12の緩みによりケージ8がその中にあるボールと共に図1に示す初期位置に戻る。この場合、ボール10は再びスピンドル棒4あるいはスピンドルナット6の溝18の中を転がるか滑り、ケージ8の軸方向の動きと回転運動となる。
【0019】スピンドルナット6が矢印14の方向に新たに回転すると、スピンドル棒4およびケージ8はその中にあるボール10と共に再び軸方向に動く。この場合、ケージ8とその中にあるボール10は図1に示す初期位置か再び軸方向に動き始める。
【0020】図1に関連して選んだ運動状態はただ例示的に選んだものであることが分かる。当然、この代わりに、スピンドルナット6に替えてスピンドル棒4を回転可能に支承することもできる。この場合には、スピンドルナット6が回転止めされていて、軸方向に移動可能に支承されているので、スピンドルナット6はスピンドル棒4が長手軸の周りに回転すると軸方向に移動する。
【0021】図2は図1の転がりスピンドルを持つ制動アクチエータを模式図にして示す。この場合、図2には以下の説明の理解に必要な構成要素のみを示す。図2a は制動過程の前の「静止位置」の制動アクチエータを示す。制動過程では、スピンドルナット6が長手軸の周りに矢印14の方向に回転するように、スピンドルナット6に(図示していない)電動モータを用いてトルクを加える。図1に関連して説明したように、これにより、スピンドル棒4と制動ピストン22が矢印16の方向に軸方向の運動をする。従って、両方のブレーキライニング24a と24bはこれ等のブレーキライニングとブレーキディスク26の間に空隙28を通し、最終的にはブレーキディスク26に押圧される。その結果、ブレーキディスク26が付属するホィールに制動力が加わる。スピンドル棒4の矢印16の方向の移動距離は制動過程で約 1 mm になり、空隙の幅と、ブレーキディスクやブレーキライニング24a,24b 等の弾性変形とから成る。
【0022】制動過程の間にブレーキライニング24a と24b の磨耗が最小になるので、ブレーキライニング24a の厚さとブレーキライニング24b の厚さがそれぞれ値dだけ減少する。制動過程が終わると、スピンドル棒4はスピンドルナット6と電動モータにより、ブレーキライニング24a の新しい端面30b (図2b を参照)が制動過程の前の元の端面30a (図2a を参照)と同じ位置を占めるように戻される。その結果、ブレーキディスク26とブレーキライニング24a の間に再び同じ空隙28が生じる。これを達成するため、スピンドル棒4は明らかなように、移動距離に対して区間2d だけ減少した距離戻るだけでよい。スピンドル棒4は制動過程の後に図2b に示す位置を占める。スピンドル棒4がこの位置に戻ると、ケージ8もその中にあるボール10と共に戻る。この場合、スピンドル棒4の戻りにより、ケージ8は(矢印16の軸方向に見て)図2a に示す初期位置の前に最小のところにある位置に戻る。ケージ8とその中にあるボール10の図2a および図2b に示す初期位置への最終的な戻りは、スピンドル棒4が静止し、スピンドルナット6が静止している時、戻しバネ12の緩みにより達成される。次の制動過程では、ケージ8がその中にあるボール10と共に図2a および図2b に示す初期位置から再び軸方向の移動を始める。
【0023】ブレーキライニング24a と24b の磨耗はブレーキライニング24a と24b の「寿命」が進と合わせて約 25 mmである。従って、スピンドル棒4はブレーキライニング24a と24b の寿命が進と図2a に示す位置に対して磨耗調整のため 25 mm左に移動する。しかし、ケージ8はその中にあるボール10と共に制動過程の前にその都度図2a および図2b に示す同じ初期位置を占める。
【0024】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明の転がりスピンドルは効率が高く、簡単で低コストで作製できる。
【出願人】 【識別番号】390040431
【氏名又は名称】コンテイネンタル・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AKTIENGESELLSCHAFT
【出願日】 平成10年(1998)7月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史 (外3名)
【公開番号】 特開平11−118015
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平10−187793