| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受 |
| 【発明者】 |
【氏名】今西 尚
【氏名】後藤 伸夫
【氏名】阿部 力
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| 【要約】 |
【課題】転動体を保持器半径方向への変位が可能なように各ポケット孔内に保持することで、トラニオンから曲げモーメントが加わってパワーローラ軸受の外輪に変形が生じても、パワーローラ軸受の外輪が転動体の転動を拘束しないように構成したトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受を提供する【解決手段】 パワーローラとトラニオンとの間に設けられており、複数個の転動体と、厚さ方向に貫通する複数個のポケット孔内にこれらの転動体をそれぞれ転動自在に保持することで各転動体を案内する保持器とを備えていて、パワーローラをトラニオンに対して回転自在に結合すると共にパワーローラに加わるスラスト荷重を受け止めるトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受において、保持器を全体として中空の略円輪形状をなす複数個の保持板から構成する。また、前記複数個のポケット孔の保持器半径方向の寸法を保持器円周方向の寸法よりもそれぞれ長くする。
【解決手段】パワーローラとトラニオンとの間に設けられており、複数個の転動体と、厚さ方向に貫通する複数個のポケット孔内にこれらの転動体をそれぞれ転動自在に保持することで各転動体を案内する保持器とを備えていて、パワーローラをトラニオンに対して回転自在に結合すると共にパワーローラに加わるスラスト荷重を受け止めるトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受において、保持器を全体として中空の略円輪形状をなす複数個の保持板から構成する。また、前記複数個のポケット孔の保持器半径方向の寸法を保持器円周方向の寸法よりもそれぞれ長くする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トルク入力軸に対して駆動結合される入力ディスクと前記トルク入力軸に対して相対的に回転可能なように前記入力ディスクと対向して取り付けられる出力ディスクとに当接して両ディスク間の駆動力伝達を行うパワーローラと、前記トルク入力軸に対して捩じれの位置関係にある枢軸を中心として揺動可能に軸支されるトラニオンとの間に設けられており、前記パワーローラと軸受外輪とに挟持されて円周方向に亘る軌道溝内を転動する複数個の転動体と、厚さ方向に貫通する複数個のポケット孔内に前記複数個の転動体をそれぞれ転動自在に保持することで前記複数個の転動体が前記軌道溝から脱落しないよう案内する保持器とを備えていて、前記パワーローラを前記トラニオンに対して回転自在に結合すると共に前記パワーローラに加わるスラスト荷重を受け止めるトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受において、前記保持器が全体として中空の略円輪形状をなす複数個の保持板から構成されることを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受。 【請求項2】 トルク入力軸に対して駆動結合される入力ディスクと前記トルク入力軸に対して相対的に回転可能なように前記入力ディスクと対向して取り付けられる出力ディスクとに当接して両ディスク間の駆動力伝達を行うパワーローラと、前記トルク入力軸に対して捩じれの位置関係にある枢軸を中心として揺動可能に軸支されるトラニオンとの間に設けられており、前記パワーローラと軸受外輪とに挟持されて円周方向に亘る軌道溝内を転動する複数個の転動体と、厚さ方向に貫通する複数個のポケット孔内に前記複数個の転動体をそれぞれ転動自在に保持することで前記複数個の転動体が前記軌道溝から脱落しないよう案内する保持器とを備えていて、前記パワーローラを前記トラニオンに対して回転自在に結合すると共に前記パワーローラに加わるスラスト荷重を受け止めるトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受において、前記複数個のポケット孔の保持器半径方向の寸法を保持器円周方向の寸法よりもそれぞれ長くしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の変速機として使用されるトロイダル型無段変速機に組み込むパワーローラ軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】主に自動車用の変速機として従来より研究が進められているトロイダル型無段変速機は、互いに対向する面がそれぞれ円弧形状の凹断面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、これらのディスク間に挟持される回転自在なパワーローラとを組み合わせた構造のトロイダル変速機構を備えている。入力ディスクは、トルク入力軸方向への移動が可能なようにトルク入力軸に対して駆動結合され、一方出力ディスクは、トルク入力軸に対して相対的に回転可能かつ入力ディスクから離れる方向への移動が制限されるように入力ディスクと対向して取り付けられる。 【0003】上述のようなトロイダル型変速機構においては、入力ディスクが回転するとパワーローラを介して出力ディスクが逆回転するため、トルク入力軸に入力された回転運動は、逆方向の回転運動として出力ディスクへと伝達されて取り出される。この際、パワーローラの周面が入力ディスクの外周付近と出力ディスクの中心付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることでトルク入力軸から出力ギアへの増速が行なわれ、これとは逆に、パワーローラの周面が入力ディスクの中心付近と出力ディスクの外周付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることでトルク入力軸から出力ギアへの減速が行なわれる。さらに両者の中間の変速比についても、パワーローラの回転軸の傾斜角度を適当に調節することにより、ほぼ無段階に得ることができる。 【0004】パワーローラは、トルク入力軸に対して捩じれの位置関係にある枢軸を介してトロイダル型無段変速機のケーシングに取り付けられるトラニオンと結合しており、枢軸を中心としたトラニオンの揺動に応じてパワーローラの回転軸の傾斜角度が調節される。パワーローラとトラニオンとの間には、パワーローラを回転自在な状態で保持するために、スラスト回転軸受等のパワーローラ軸受が配置されている。 【0005】パワーローラ軸受は、軸受外輪と複数個の転動体(ここでは玉)とから構成され、これらの転動体はパワーローラと軸受外輪とに挟持されて円周方向に転動する。転動体を案内するために、パワーローラの背面上及び軸受外輪のパワーローラとの対向面上には、それぞれ円形状の軌道溝が円周方向に亘って形成されている。また、これらの転動体がそれぞれ軌道溝に沿って適切な間隔を保ちつつ転動するように、図3に示すような中空円盤形状の保持器1が組み合わされる。保持器上には、厚さ方向に貫通する円形状のポケット孔5が軌道溝の位置に合わせて複数個形成されており、転動体は、各ポケット孔5の中にそれぞれ転動可能に保持された状態で、パワーローラ及び軸受外輪の両軌道溝の間に配置される。なお、この図の例では、転動体が玉であるためにポケット孔5が円形状になっているが、転動体がころや針状ころである場合にはそれぞれの転動体に応じた形状を有するポケット孔が適宜形成される。 【0006】このようなパワーローラはトロイダル型無段変速機の動作中に高速回転して駆動力を伝達するため、パワーローラを支えるパワーローラ軸受には高い耐久性と信頼性が必要とされる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】トロイダル型無段変速機では、大トルクを伝達する際にパワーローラに加わる荷重が非常に大きくなる。この結果、図4のようにパワーローラ10を支持するトラニオン11が変形し、トラニオン11に結合しているパワーローラ軸受の外輪12に対してこれを挟みつけるような矢印方向の曲げモーメントfが加わる。トラニオン11からの曲げモーメントfを受けてパワーローラ軸受の外輪12が変形されると、各ポケット孔内に配置されている転動体6の転動が円滑に行われなくなる。 【0008】図5及び図6は、上述の理由によるパワーローラ軸受外輪12の変形の様子を説明する図であり、図5は変形前のパワーローラ軸受の外輪12aを、図6は変形後のパワーローラ軸受の外輪12bを、それぞれパワーローラ10の回転軸方向から示している。これらの図においては、転動体6が転動する軌道溝の内径側縁及び外径側縁の軌跡をそれぞれ破線により表している。トラニオン11から加わる曲げモーメントfの影響によって、図5のようにほぼ真円形状をしていた軌道溝の軌跡が、図6のような楕円形状へと変形される。 【0009】一方で、トラニオン11と直接結合していないパワーローラ軸受の保持器1には、トラニオン11からの曲げモーメントfがほとんど作用しない。したがってパワーローラ軸受の保持器1は本来の真円形状に近い形をほぼそのまま保っており、トラニオン11の変形前と同様に各転動体6の転動軌道を真円形状に維持しようとする。 【0010】このような変形された軸受外輪12と真円形状を保っている保持器1との組み合わせにより、ポケット孔5内の各転動体6は楕円形状へと変形された軌道溝内を真円形状に沿って転動させられるため、各転動体6に対して無理な力が加わることになる。その結果、各転動体6の転動が著しく拘束されて、転動体6と軸受外輪12の間及び転動体6と保持器1の間の接触に滑り等が発生する。転動体6の滑り等から生じる伝達効率の悪化は動力損失を増大させるため、トラニオン11の変形によってトロイダル型無段変速機全体の信頼性の低下が引き起こされる。また、このとき無理な力がかかる各転動体6の周面及び各軌道溝は非常に摩耗・損傷しやすいことから、パワーローラ軸受の寿命を短縮させる原因ともなる。 【0011】本発明は、上述のような事情によりなされたものであり、転動体を保持器半径方向への変位が可能なように各ポケット孔内に保持することで、トラニオンから曲げモーメントが加わってパワーローラ軸受の外輪に変形が生じても、パワーローラ軸受の外輪が転動体の転動を拘束しないように構成したトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受の提供を目的とする。本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受では、パワーローラ軸受外輪が変形するような場合にも転動体の転動が円滑に行われるために、パワーローラ軸受の信頼性及び耐久性を向上させることができる。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、トルク入力軸に対して駆動結合される入力ディスクと前記トルク入力軸に対して相対的に回転可能なように前記入力ディスクと対向して取り付けられる出力ディスクとに当接して両ディスク間の駆動力伝達を行うパワーローラと、前記トルク入力軸に対して捩じれの位置関係にある枢軸を中心として揺動可能に軸支されるトラニオンとの間に設けられており、前記パワーローラと軸受外輪とに挟持されて円周方向に亘る軌道溝内を転動する複数個の転動体と、厚さ方向に貫通する複数個のポケット孔内に前記複数個の転動体をそれぞれ転動自在に保持することで前記複数個の転動体が前記軌道溝から脱落しないよう案内する保持器とを備えていて、前記パワーローラを前記トラニオンに対して回転自在に結合すると共に前記パワーローラに加わるスラスト荷重を受け止めるトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受に関するものであり、本発明の上記目的は、前記保持器を全体として中空の略円輪形状をなす複数個の保持板から構成することによって達成される。また、前記複数個のポケット孔の保持器半径方向の寸法を保持器円周方向の寸法よりもそれぞれ長くすることによっても、同等の目的を達成することができる。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受は、その保持器の構造に特徴を有するものであり、保持器以外の各要素については、従来と同様のものを用いて従来のトロイダル型変速機のパワーローラ軸受とほぼ同様の作用をするように構成できる。 【0014】図1は、本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受に組み込まれる保持器の一実施例を示している。本実施例では、保持器1は全体として1つの中空円輪形状をなす3枚の保持板2、3、4から構成され、各保持板2、3、4の中心角は全て等しく約120度とされている。また、各保持板2、3、4上には保持板の厚さ方向に貫通形成される複数個の円形ポケット孔5が保持板の円周方向に沿って配置されており、各ポケット孔5内には転動体(本実施例では球としている)が転動自在な状態で保持される。このため、それぞれのポケット孔5の位置はパワーローラ及び軸受外輪の軌道溝の軌跡と対応している。 【0015】このように構成された保持器では、3枚の保持板2、3、4が回転中心(パワーローラの回転軸)からの半径を各々独自に増減できる。したがって、トラニオンから曲げモーメントを受けてパワーローラ軸受の外輪が変形し、軌道溝の軌跡が真円形状でなくなっているときにも、各保持板2、3、4が軌道溝内の転動体の位置に追従して保持板の半径方向へと動き、転動体の転動を妨げる無理な力を発生させない。なお、保持器を複数の保持板へと分割する数は3枚でなくともよく、例えば、4等分あるいは6等分としても同様の効果が得られる。また、上記実施例ではそれぞれの保持板2、3、4上にポケット孔5を3つずつ配置しているが、1枚の保持板上に設けるポケット孔5は必ずしも3つに限定されない。 【0016】図2は、本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受に組み込まれる保持器の他の実施例を示している。本実施例では、保持器1´は1枚の連続した板から構成されるが、保持器1´上に設けられた各ポケット孔5´の保持器半径方向の寸法が、それぞれ保持器円周方向の寸法よりも長くなっている。転動体として玉を用いている本実施例の場合、ポケット孔5´は保持器円周方向の軸長よりも保持器半径方向の軸長が長い楕円形状に形成される。また各ポケット孔5´は、図1の実施例と同様に、保持器の厚さ方向に貫通形成されており、パワーローラ及び軸受外輪の軌道溝の軌跡と対応するように保持器の円周方向に沿って配置される。 【0017】このような形状のポケット孔5´を有する保持器では、各転動体は、保持器半径方向への変位が許容された状態でポケット孔5´内に保持される。したがって、トラニオンから曲げモーメントを受けてパワーローラ軸受の外輪が変形し、軌道溝の軌跡が真円形状でなくなっているときにも、各転動体が保持器の半径方向へと変位しながら円滑に転動することができ、転動体の転動を拘束する無理な力は作用しない。 【0018】以上のような保持器を含む本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受は、前述した従来のパワーローラ軸受と同様に、パワーローラとトラニオンとの間に配置される。なお、上述の各実施例では転動体として玉を用いているためにそれぞれのポケット孔が円形状または楕円形状とされているが、転動体がころまたは針状ころである場合には、それぞれの転動体に応じた形状のポケット孔を形成すれば良い。 【0019】 【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機のパワーローラ軸受によれば、トラニオンから曲げモーメントが加わってパワーローラ軸受の外輪に変形が生じても、パワーローラ軸受の外輪が転動体の転動を拘束しない。したがって、各転動体の転動が円滑に行われて転動体と外輪の間及び転動体と保持器の間の接触に滑り等を発生させず、各転動体の周面及び各軌道溝が損傷することもない。そのためパワーローラ軸受の高信頼化及び長寿命化を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】安形 雄三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118011 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−279077 |
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