| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】忍足 俊一
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| 【要約】 |
【課題】寸法公差などによるパワーローラの位置ずれを吸収しながらも、伝達トルクの低下を防止する。
【解決手段】アッパーリンク4のリンク支持部材12はケーシング10側に結合される一方、ロアリンク5のリンク支持部材30はスタッドボルト33、34及びナット33a34aを介してシリンダボディ60側に締結され、このナットを緩めた場合には、ロアリンク5を長手方向のみへ所定の範囲で許容するノックピン32と、ロケート穴60Bを形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同軸上に配置された入力ディスク及び出力ディスクを挟んで対向配置されるとともに、これら入出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ傾転自在に支持するトラニオンと、前記一対のトラニオンを相反する軸方向へそれぞれ駆動するとともに、トラニオンの基端側で結合したアクチュエータと、両端部を介して先端側のトラニオンを連結するとともに、ケーシング側に配設された第1リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第1リンクと、両端部を介して基端側のトラニオンを連結するとともに、アクチュエータボディ側に配設された第2リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第2リンクとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記第1リンク支持部材はケーシング側に結合される一方、第2リンク支持部材は締結手段を介してアクチュエータボディ側に結合され、この締結手段を緩めた場合には、前記第2リンクの長手方向のみへ所定の範囲で変位を許容する調整手段を備えたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。 【請求項2】 前記調整手段は、前記アクチュエータボディまたは第2リンク支持部材の一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴で構成され、このロケート穴はノックピンを入出力ディスクの軸方向で位置決めを行う一方、第2リンクの長手方向への変位を許容することを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。 【請求項3】 同軸上に配置された入力ディスク及び出力ディスクを挟んで対向配置されるとともに、これら入出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ傾転自在に支持するトラニオンと、前記一対のトラニオンを相反する軸方向へそれぞれ駆動するとともに、トラニオンの基端側で結合したアクチュエータと、両端部を介して先端側のトラニオンを連結するとともに、ケーシング側に配設された第1リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第1リンクと、両端部を介して基端側のトラニオンを連結するとともに、アクチュエータボディ側に配設された第2リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第2リンクとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記第1リンク支持部材はケーシング側に結合される一方、第2リンク支持部材はアクチュエータボディ側に結合されるとともに、このアクチュエータボディは締結手段を介してケーシングに結合されて、この締結手段を緩めた場合には、アクチュエータボディが第2リンクの長手方向のみへ所定の範囲で変位するのを許容する第2調整手段を備えたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。 【請求項4】 前記第2調整手段は、前記アクチュエータボディまたはケーシングの一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴で構成され、このロケート穴はノックピンを入出力ディスクの軸方向で位置決めを行う一方、第2リンクの長手方向への変位を許容することを特徴とする請求項3に記載のトロイダル型無段変速機。 【請求項5】 前記アクチュエータは、トラニオンの基端側を少なくとも前記第2リンクの長手方向へ所定の範囲で変位を許容するシール部材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のトロイダル型無段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両等に用いられるトロイダル型無段変速機のリンクの位置決め構造の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】トロイダル型無段変速機のトラニオンを支持するリンクの構造としては、特開平1−21261号公報等に示すものが知られている。 【0003】これについて説明すると、図7に示すように、トロイド状の溝を対向面に形成して同軸上に軸支された一対の入出力ディスクに狭持、押圧される一対のパワーローラ1L、1Rは、入出力ディスクの回転軸C0を挟んで配設された一対のトラニオン3L、3Rに基端を支持されたピボットシャフト2、2によって回転自在に軸支され、トラニオン3L、3Rはそれぞれ回転軸3z、3zの軸方向及び軸回りに変位可能にシリンダボディ60側で支持される。 【0004】そして、トラニオン3L、3Rの下端に連結した油圧シリンダ6、6が、トラニオン3L、3Rを軸方向へ駆動することで、パワーローラ1L、1Rは回転軸3z回りに回動(傾転という)し、入力ディスクと出力ディスクの接触半径が変化して変速比が連続的に変更される。 【0005】対向配置されたトラニオン3L、3Rは、その上端をアッパーリンク4によって、下端をロアリンク5によって相互に連結され、パワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力に抗して、アッパーリンク4、ロアリンク5はトラニオン3L、3Rの回転軸3z、3z間の軸間距離を一定に保持し、また、トラニオン3L、3Rの上部を入出力ディスクの回転軸C0方向へ移動するのを規制している。 【0006】このアッパーリンク4は、中央に設けた貫通孔4Cがボルト17及びナット18を介してケーシング10の上部側に固設されたリンク支持部材92と係合して、揺動自在かつ所定の範囲で水平方向へ変位可能に支持される一方、両端部に設けた貫通孔4L、4Rを介してトラニオン3L、3Rと連結し、トラニオン3L、3Rの相反する軸方向変位に応じて、リンク支持部材92を中心に揺動するとともに、トラニオン3L、3Rの回転軸3z回りの変位を許容する。 【0007】このため、トラニオン3L、3Rの上端側の回転軸部3aと貫通孔4Lの間には、貫通孔4L内周と摺接する球面軸受7と、回転軸部3a外周と球面軸受7内周の間を転動するニードルベアリング8がそれぞれ介装され、トラニオン3Lに対するアッパーリンク4の傾斜を許容する一方、トラニオン3Lに加わるスラスト力を支持する。なお、アッパーリンク4の反対側の端部に形成された貫通孔4Rとトラニオン3Rも同様に連結され、球面軸受7と回転軸部3a、3bの間に介装されたニードルベアリング8によって、トラニオン3Rは軸回りの回転を円滑に行うことができる。 【0008】同様に、ロアリンク5は、中央に設けた貫通孔5Cがシリンダボディ60側に締結されたリンク支持部材93と係合して、揺動自在に支持される一方、両端部に設けた貫通孔5L、5Rを介してトラニオン3L、3Rと連結し、トラニオン3L、3Rの相反する軸方向変位に応じて、リンク支持部材93を中心に揺動するとともに、トラニオン3L、3Rの回転軸3z回りの変位を許容する。 【0009】このため、トラニオン3L、3Rの下端側の回転軸部3bと貫通孔5Lの間には、貫通孔5L内周と摺接する球面軸受7と、回転軸部3b外周と球面軸受7内周の間を転動するニードルベアリング8がそれぞれ介装され、トラニオン3Lに対するロアリンク5の傾斜を許容する一方、トラニオン3Lに加わるスラスト力を支持する。なお、ロアリンク5の反対側の端部に形成された貫通孔5Rとトラニオン3Rも同様に連結され、球面軸受7と回転軸部3bの間に介装されたニードルベアリング8によって、トラニオン3Rは軸回りの回転を円滑に行うことができる。 【0010】こうして、リンク支持部材92、93はアッパーリンク4、ロアリンク5を揺動自由に支持して、回転軸3z回り及び軸方向へ変位するトラニオン3L、3Rの軸間距離を一定に保って円滑に変速動作を行うとともに、所定の範囲でアッパーリンク4の水平方向の変位を許容するため、製造上の寸法公差などによるパワーローラ1L、1Rの位置ずれを吸収するものである。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなトロイダル型無段変速機では、動力伝達を行うために油圧シリンダ6、6を相反する方向へそれぞれ加圧すると、トラニオン3L、3Rに加わる力の軸Fd、Fu(図中上下の矢印方向)と、動力伝達によって入出力ディスク20、21からパワーローラ1L、1Rに加わる力の軸FL、FRは異なるため、トラニオン3L、3Rにはこれら力の軸Fd、FuとFL、FRの距離Lに応じてモーメントが発生し、このモーメントを支持するための力Fsがアッパーリンク4に作用する。この結果、対向するパワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力(押圧力)には、アッパーリンク4に作用する力Fsの分だけ差が生じ、例えば、図示のように、モーメントを支持する力が図中左側へ作用すると、パワーローラ1Rのスラスト力が増大する一方、パワーローラ1Lのスラスト力は減少し、スラスト力の小さい方のパワーローラ1Lが入出力ディスク20、21に対して滑りやすくなるため、伝達トルクが低下するという問題があった。 【0012】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、寸法公差などによるパワーローラの位置ずれを吸収しながらも、伝達トルクの低下を防止可能なトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、同軸上に配置された入力ディスク及び出力ディスクを挟んで対向配置されるとともに、これら入出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ傾転自在に支持するトラニオンと、前記一対のトラニオンを相反する軸方向へそれぞれ駆動するとともに、トラニオンの基端側で結合したアクチュエータと、両端部を介して先端側のトラニオンを連結するとともに、ケーシング側に配設された第1リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第1リンクと、両端部を介して基端側のトラニオンを連結するとともに、アクチュエータボディ側に配設された第2リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第2リンクとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記第1リンク支持部材はケーシング側に結合される一方、第2リンク支持部材は締結手段を介してアクチュエータボディ側に結合され、この締結手段を緩めた場合には、前記第2リンクをその長手方向のみへ所定の範囲で許容する調整手段を備える。 【0014】また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記調整手段は、前記アクチュエータボディまたは第2リンク支持部材の一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴で構成され、このロケート穴はノックピンを入出力ディスクの軸方向で位置決めを行う一方、第2リンクの長手方向への変位を許容する。 【0015】また、第3の発明は、同軸上に配置された入力ディスク及び出力ディスクを挟んで対向配置されるとともに、これら入出力ディスクに狭持されたパワーローラを回転自在かつ傾転自在に支持するトラニオンと、前記一対のトラニオンを相反する軸方向へそれぞれ駆動するとともに、トラニオンの基端側で結合したアクチュエータと、両端部を介して先端側のトラニオンを連結するとともに、ケーシング側に配設された第1リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第1リンクと、両端部を介して基端側のトラニオンを連結するとともに、アクチュエータボディ側に配設された第2リンク支持部材で中央部を揺動自在に支持された第2リンクとを備えたトロイダル型無段変速機において、前記第1リンク支持部材はケーシング側に結合される一方、第2リンク支持部材はアクチュエータボディ側に結合されるとともに、このアクチュエータボディは締結手段を介してケーシングに結合されて、この締結手段を緩めた場合には、アクチュエータボディが第2リンクの長手方向のみへ所定の範囲で変位するのを許容する第2調整手段を備える。 【0016】また、第4の発明は、前記第3の発明において、前記第2調整手段は、前記アクチュエータボディまたはケーシングの一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴で構成され、このロケート穴はノックピンを入出力ディスクの軸方向で位置決めを行う一方、第2リンクの長手方向への変位を許容する。 【0017】また、第5の発明は、前記第1または第3の発明において、前記アクチュエータは、トラニオンの基端側を少なくとも前記第2リンクの長手方向へ所定の範囲で変位を許容するシール部材を設ける。 【0018】 【発明の効果】したがって、第1の発明は、締結手段を緩めることにより、第2リンクは、第2リンク支持部材によって揺動自由に支持されながら、調整手段によって第2リンクの長手方向へ変位可能となり、この状態で無段変速機を運転して、入出力ディスク及びパワーローラを回転させると、各部材の加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収するため、パワーローラの位置は、第2リンクの長手方向に沿って変位する。この運転状態で、締結手段を再び締結すると、この状態で調整手段は固定されるとともに第2リンク支持部材はアクチュエータボディ側に結合され、第2リンクはパワーローラが加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収した位置、すなわちスラスト力が等しい状態を維持して揺動自在に支持されるため、動力を伝達する際には、前記従来例と同様にモーメントを支持するための力が第1リンクに加わっても、第1リンクはケーシング側に支持されて前記従来例のように長手方向へ変位することがなく、さらに第2リンクは調整手段によってパワーローラに加わるスラスト力が等しくなる状態を保持でき、各部品の寸法公差を吸収しながらも、前記従来例のようなパワーローラの滑りを抑制して、設計値に応じた伝達トルクを確保することが可能となって、トロイダル型無段変速機の性能を向上させることができる。 【0019】また、第2の発明は、アクチュエータボディまたは第2リンク支持部材の一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴によって、第2リンクの長手方向への変位のみを許容することで、締結手段を緩めた際には、パワーローラに加わるスラスト力が等しくなる状態へ第2リンク支持部材の長手方向の変位を許容しながら入出力ディスクの軸方向の位置決めを保持することができる。 【0020】また、第3の発明は、締結手段を緩めることにより、第2リンク支持部材を結合したアクチュエータボディは、第2調整手段を介してケーシングに対して第2リンクの長手方向のみへ変位可能となり、この状態で無段変速機を運転して、入出力ディスク及びパワーローラを回転させると、各部材の加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収するため、パワーローラの位置は、第2リンクの長手方向に沿って変位し、この運転状態で、締結手段を再び締結すると、アクチュエータボディはケーシングに結合され、第2リンクはアクチュエータボディとケーシングの第2調整手段によってパワーローラに加わるスラスト力が等しくなる状態を保持できるのに加え、このパワーローラの位置ずれ補正は、アクチュエータボディとケーシングの締結手段を緩めるだけで良いため、作業性を向上させることができる。 【0021】また、第4の発明は、アクチュエータボディまたはケーシングの一方に設けたノックピンと、他方に設けたロケート穴によって、アクチュエータボディが第2リンクの長手方向のみへ変位するのを許容することで、締結手段を緩めた際には、パワーローラに加わるスラスト力が等しくなる状態へ第2リンク支持部材と結合したアクチュエータボディを第2リンクの長手方向のみへ変位を許容しながら入出力ディスクの軸方向の位置決めを保持することができる。 【0022】また、第5の発明は、アクチュエータには、トラニオンの基端側を少なくとも第2リンクの長手方向へ向けて所定の範囲で変位を許容するシール部材を設けたため、このパワーローラの位置ずれ補正を円滑に行うとともに、トラニオンの円滑な動作を確保することができる。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0024】図1〜図4は、2組の入出力ディスク20、21及び20A、21Aからなるダブルキャビティ型の無段変速機に本発明を適用した一例を示し、入力ディスク20、出力ディスク21からなる変速ユニットを第1トロイダル変速ユニットとし、入力ディスク20A、出力ディスク21Aからなる変速ユニットを第2トロイダル変速ユニットとする。 【0025】図1、図2において、第1トロイダル変速ユニットは、トロイド状の溝を対向面に形成した一対の入力ディスク20、出力ディスク21に挟持される一対のパワーローラ1L、1Rは、入出力ディスク20、21の入力軸25の軸線=回転軸C0を挟んで配設された一対のトラニオン3L、3Rに基端を支持されたピボットシャフト2、2によって回転自在に軸支される。 【0026】また、第2トロイダル変速ユニットも上記と同様に構成され、入力ディスク20A、出力ディスク21Aに挟持される一対のパワーローラ1L、1Rは、入力軸25を挟んで配設された図示しない一対のトラニオンに基端を支持されたピボットシャフトによって回転自在に軸支される。 【0027】入力ディスク20、20Aと出力ディスク21、21Aは、入力軸25の同軸上に配置されて、入力ディスク20、20Aは入力軸25と回転方向で結合する一方、出力ディスク21、21Aは入力軸25に対して相対回転自在に軸支されている。 【0028】そして、第1トロイダル変速ユニットの出力ディスク21と第2トロイダル変速ユニットの出力ディスク21Aは、双方の中間に設けた出力歯車26と結合してカウンターシャフト27を介して図示しない駆動軸へパワーローラ1L、1Rの傾転角に応じた変速比で動力を伝達する。なお、本実施形態では、カウンターシャフト27が第2トロイダル変速部の下方に配置され、ギアハウジング28に覆われた出力歯車26とカウンターシャフト27は、スプラインなどに結合されてカウンターシャフト27を脱着可能な構成となっている。 【0029】図2において、第1トロイダル変速ユニットは、入出力ディスク20、21の回転軸C0(入力軸25の軸線)と直交する平面内で、この回転軸C0を挟んだ左右に配設されたトラニオン3L、3Rは、上端部及び下端部に回転軸3zと同軸の回転軸部3a、3bを形成する一方、回転軸部3a、3bの間には入出力ディスク20、21の外周方向へ所定量だけオフセットしたオフセット部3cがそれぞれ形成され、ピボットシャフト2はトラニオン3の回転軸と直交するようにオフセット部3cで基端側を支持される。 【0030】トラニオン3の下端側の回転軸部3bは、回転軸3zの軸方向へ変位可能、かつ軸回りに回転可能な油圧シリンダ6(アクチュエータ)のロッド6bを介してピストン6aと結合しており、油圧シリンダ6への供給油圧に応じてトラニオン3L、3Rは図中上下方向の回転軸3z方向へ変位するとともに、このトラニオン3L、3Rの軸方向変位に伴って、パワーローラ1L、1Rが傾転するため、トラニオン3は回転軸3z回りに回動する。なお、油圧シリンダ6はケーシング10と結合したシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61(アクチュエータボディ)内に形成される。 【0031】一方、対向するトラニオン3L、3Rの上端及び下端側の回転軸部3a、3bは、入出力ディスク20、21の回転軸C0と直交する平面内で揺動自在なアッパーリンク4(第1リンク)、ロアリンク5(第2リンク)を介して相互に連結され、これらアッパーリンク4及びロアリンク5は、ピボットシャフト2、2に取り付けられたパワーローラ1L、1Rからのスラスト力(押圧力)を支持する。 【0032】ここで、アッパーリンク4、ロアリンク5の長手方向の両端部及び中央部にはそれぞれ貫通孔が形成されて、両端部側の貫通孔4L、4R及び5L、5Rでトラニオン3L、3Rの回転軸部3a、3bをそれぞれ挿通する一方、中央部の貫通孔4C、5Cは ケーシング10及びシリンダボディ60側から入出力ディスク20、21の回転軸C0へ向けて、それぞれ図中上下方向へ突設されたリンク支持部材12、30によって揺動自在に支持される。 【0033】左右の油圧シリンダ6、6がトラニオン3L、3Rを、相反する軸方向へ同期的に駆動すると、アッパーリンク4、ロアリンク5はトラニオン3L、3Rの軸方向変位に応じて、リンク支持部材12、30のピン14、35を支点にして、主に入出力ディスク20、21の回転軸C0と直交する平面内で揺動する。 【0034】このため、トラニオン3L、3Rの回転軸部3a、3bと、アッパーリンク4及びロアリンク5の両端部の貫通孔4L、4R及び5L、5Rとの間には、球面軸受7とニードルベアリング8がそれぞれ介装され、トラニオン3に対するアッパーリンク4及びロアリンク5の傾斜を許容する一方、アッパーリンク4及びロアリンク5はトラニオン3L、3Rの径方向の変位を規制して、パワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力によって、トラニオン3の回転軸3z、3zが変位するのを防止する。 【0035】トラニオン3の回転軸部3a、3bの外周には、ニードルベアリング8が係合し、さらに、ニードルベアリング8の外周には球面軸受7の内周が係合し、この球面軸受7の外周に形成した球面が、各貫通孔4L、4R及び5L、5Rの内周と係合する。 【0036】ここで、アッパーリンク4を揺動自由に支持するリンク支持部材12は、一端にボルト15を挿通するための貫通孔を備えた筒状部材で形成されており、図2に示すように、側面に設けた一対の貫通孔12aにはアッパーリンク4を揺動自在に支持するためのピン14、14が嵌合し、これらピン14は入出力ディスク20、21の回転軸C0と平行して配設され、リンク支持部材12から突出した先端でアッパーリンク4と結合することで揺動自在に支持する。 【0037】そして、リンク支持部材12は底部(図中下方)に開口した貫通孔に挿通されたボルト15を介して位置決め部材11に締結される。 【0038】位置決め部材11はケーシング10の内周上面に取り付けられるもので、ケーシング10内周に当接する上面には、ケーシング10に予め固設されたノックピン9と係合して、位置決め部材11が所定の位置からずれないように位置決めされる。位置決め部材11は回転軸C0側からケーシング10に締結されるボルト17、17によってケーシングへ結合される。 【0039】一方、回転軸C0側の位置決め部材11にはリンク支持部材12の内周と嵌合する凸部11aが形成され、この凸部11aにはボルト15と螺合するためのネジ穴が形成され、位置決め部材11を介してリンク支持部材12はケーシング10内周の所定の位置に固定される。 【0040】一方、入出力ディスクの回転軸C0を挟んでリンク支持部材12と対峙するシリンダボディ60には、ロアリンク5を揺動自由に支持するリンク支持部材30を固定するための台座60Aが上方に突設される。 【0041】台座60Aの上面にはリンク支持部材30を収装するようコの字状断面の凹部60Cが設けられ、この凹部60Cの水平方向(図中X軸方向)の寸法は、リンク支持部材30が図2のX軸方向へ所定の範囲で変位可能な値に設定され、リンク支持部材30の側面と凹部60Cの内周との間には変位量に応じた所定の間隙を形成可能となる。 【0042】ロアリンク5を揺動自由に支持するリンク支持部材30は、図1に示すように、入出力ディスク20、21の回転軸C0と平行してピン35、35を突設して上記アッパーリンク4側と同様に、ロアリンク5の中央の貫通孔5Cには、これらピン35、35と嵌合する貫通孔を介して結合し、ピン35によってロアリンク5を揺動自在に支持する。 【0043】ここで、ロアリンク5のリンク支持部材30下面からは、図中上下方向(Z軸方向)にスタッドボルト33、34がそれぞれ2つ突設されて、これらスタッドボルト33、34は台座60A及びシリンダボディ底部61に設けた貫通孔60Dに挿通されるとともに、シリンダボディ60下面またはシリンダボディ底部61の下面から突出した端部にナット33a、34aを螺合することで、リンク支持部材30を台座60Aに締結する。 【0044】なお、貫通孔60Dの内径はスタッドボルト33、34の外径よりも大きく設定されて、後述するリンク支持部材30のX軸方向の位置調整を可能にする。 【0045】そして、リンク支持部材30と台座60Aの位置決めは、リンク支持部材30の下面から突設したノックピン32と、台座60Aに設けたロケート穴60Bによって行われる。ロケート穴60Bは図1に示すように、回転軸C0方向(Y軸方向)でノックピン32と嵌合してリンク支持部材30の回転軸C0方向の位置決めを行う一方、図2に示すように、ロアリンク5の長手方向(図中X軸方向)ではノックピン5の変位を所定の範囲で許容する。 【0046】このため、ナット33a、34aを締結したトロイダル型無段変速機の組み立て中は、リンク支持部材30のX軸方向の位置が、ナット33a、34aを締結した任意の位置に設定される。 【0047】なお、第2トロイダル変速部のロアリンク5を支持するリンク支持部材30も第1トロイダル変速部と同様に構成されて、ノックピン32によって回転軸C0方向に位置決めされる一方、ロアリンク5の長手方向(図2のX軸方向)へ所定の範囲で変位可能に支持されて、リンク支持部材30のX軸方向の位置が、ナット34aを締結した任意の位置に設定される。 【0048】ただし、リンク支持部材30を締結するナット34aは、シリンダボディ60の底面に締結され、このシリンダボディ60とシリンダボディ底部61の間には、カウンターシャフト27が配設され、リンク支持部材30を締結するナット34aと対向するシリンダボディ底部61には、カウンターシャフト27を取り外した状態でナット34aを緩めたり締め込む作業を行うための貫通孔29が形成されている。 【0049】さらに、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61は、図2、図4に示すように、ノックピン62で所定の位置へ位置決めされた後、ボルト64によってケーシング10へ締結される。 【0050】ここで、トラニオン3Lの下端に結合したロッド6bは、図3に示すように、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61に形成された貫通孔60E、61aに挿通されて、これら貫通孔60E、61aの内径は、ロッド6bの外径より大きく設定され、ロッド6bは貫通孔60E、61a内で少なくともX軸方向へ所定の範囲で変位可能に挿通される。 【0051】そして、ピストン6aを挟んだ上下には、ロッド6bの外周に複数のシールリング71が係合し、これらシールリング71が貫通孔60E、61a内周に摺接することで油圧シリンダ6内の油圧が保持される。 【0052】ロッド6bの貫通孔60E、61a内での変位を許容するため、シールリング71の内周とロッド6bの間には径方向に所定の間隙71aがそれぞれ形成されており、同様に、油圧シリンダ6の内周と摺接するピストンリング70と、ピストン6aの外周の間には径方向に所定の間隙70aが形成されて、リンク支持部材30及びロアリンク5のX軸方向の位置決めによるロッド6bの変位を、シールリング71の間隙71a及びピストンリング70の間隙70aによって吸収する。 【0053】また、シリンダボディ底部61に形成された貫通孔61aの下端に対応するロッド6bの外周にはカラー72が配設されて、図5に示すように、パワーローラ1Lのスラスト力が増大してトラニオン3Lが変形し、ロッド6bの下端が変位したときに、カラー72が貫通孔61aの下端内周に当接して、シールリング71が潰されるのを防止する。図5において、パワーローラ1Lのスラスト力を支持する部位は、トラニオン3Lとアッパーリンク4、ロアリンク5が連結する貫通孔4L、5Lの位置を示す。 【0054】なお、トラニオン3R側のロッド6bも、図示はしないが上記と同様に構成されて、リンク支持部材30及びロアリンク5のX軸方向の位置決めによるロッド6bの変位を、シールリング71の間隙71a及びピストンリング70の間隙70aによって吸収する。 【0055】以上のように構成され、次に作用について説明する。 【0056】トロイダル型無段変速機の組み立てが終了した時点では、アッパーリンク4は位置決め部材11に締結されたリンク支持部材12によって、X、Y、Zの各軸方向の所定の位置で位置決めされる一方、ロアリンク5は台座60Aに締結されたリンク支持部材30によって、X軸方向にのみ任意の位置で位置決めされている。 【0057】このため、パワーローラ1L、1Rの位置ずれを補正する修正工程では、まず、ロアリンク5を揺動自在に支持するリンク支持部材30を、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61へ固定していたナット33a、34aを緩める。このとき、第2トロイダル変速部では、図1、図4に示すように、カウンターシャフト27がナット34を覆うため、一旦、カウンターシャフト27を取り外す。 【0058】ナット33a、34aを緩めることにより、リンク支持部材30はロケート穴60Bに案内されて、図2の水平方向(X軸方向)へ所定の範囲で変位可能となる一方、入出力ディスク20、21の回転軸C0方向への変位が規制され、ロアリンク5は、リンク支持部材30と共にその長手方向(図2のX軸方向)へ変位可能となる。 【0059】この状態で無段変速機を運転して、入出力ディスク20、20A、21、21A及びパワーローラ1L、1Rを回転させると、リンク支持部材30は台座60Aの凹部60C内周でX軸方向へ変位し、ロアリンク5が長手方向に沿ってのみ変位することで各部材の加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収し、パワーローラ1L、1Rの位置は位置ずれを補正された所定の位置に位置決めされる。 【0060】このロアリンク5のX軸方向の変位に伴って、貫通孔5L、5Rを介して連結されたトラニオン3L、3Rの下部に設けたロッド6b、6bも変位するが、上記したように、ピストンリング70及びシールリング71に設けた間隙70a、71aによって貫通孔60E、61a内での変位が許容される。 【0061】そして、この運転状態で、ナット33a、34aを再び締結すると、リンク支持部材30はシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61に結合され、ロアリンク5はパワーローラ1L、1Rが加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収した位置、すなわち前記従来例に示したスラスト力が等しい状態を維持して揺動自在に支持されることになる。 【0062】したがって、動力を伝達する際に、前記従来例と同様にモーメントを支持するための力Fs(図7参照)がアッパーリンク4に加わっても、アッパーリンク4は水平方向へ変位することがないため、パワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力が等しくなる状態を保持でき、ロアリンク5側で各部品の寸法公差を吸収しながらも、前記従来例のようなパワーローラの滑りを抑制して、設計値に応じた伝達トルクを確保することが可能となって、トロイダル型無段変速機の性能を向上させることができるのである。 【0063】また、ロアリンク5側でのX軸方向の位置決め調整によって、ロッド6b、6bの軸線と貫通孔60E、61aの軸線がずれる場合もあるが、ピストンリング70及びシールリング71に設けた間隙70a、71aによって、このずれが吸収されるため、ピストンリング70及びシールリング71が潰れることはなく、トラニオン3L、3Rの軸方向変位及び回転方向の抵抗が増大するのを防いで、円滑な動作を確保することができるのである。 【0064】なお、上記ロアリンク5の位置決め調整終了後には、カウンターシャフト27が再び出力歯車26に組み付けられる。 【0065】また、上記実施形態において、各部材の加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収するパワーローラ1L、1Rの位置調整を、無段変速機の組み立て後に行ったが、例えば、所定期間毎に行えば、経年変化によるパワーローラ1L、1Rの位置ずれを吸収することができる。 【0066】図6は第2の実施形態を示し、前記第1実施形態のリンク支持部材30と台座60Aとの位置決めを行うノックピン32のX軸方向への変位を規制する一方、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61とケーシング10の位置決めを行うノックピン62に係合するロケート穴63を、X軸方向へ所定の範囲で変位可能としたもので、その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。 【0067】リンク支持部材30はノックピン32を介してX、Y軸方向の所定の位置に位置決めされた状態で、ナット33a、34aによって締結されている。 【0068】一方、ケーシング10から突設したノックピン62と係合するロケート穴63はシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61に貫通形成されるとともに、X軸方に延びた長穴として形成され、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61のY軸方向の位置決めを行い、X軸方向ではシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61の変位を所定の範囲で許容する。 【0069】そして、図1に示したような、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61をケーシング10に締結するボルト64は、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61に形成された長穴状の貫通孔を挿通して、X軸方向の任意の位置でシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61を締結することができる。 【0070】この場合では、トロイダル型無段変速機の組み立てが終了した時点で、アッパーリンク4は位置決め部材11に締結されたリンク支持部材12によって、X、Y、Zの各軸方向の所定の位置で位置決めされる一方、ロアリンク5側は台座60Aを介してシリンダボディ60、シリンダボディ底部61に締結されたリンク支持部材30によって、X軸方向にのみ任意の位置で位置決めされている。 【0071】したがって、パワーローラ1L、1Rの位置ずれを補正する修正工程では、ボルト64を緩めて、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61をケーシング10に対してX軸方向への変位を許容する。 【0072】この状態で無段変速機を運転して、入出力ディスク20、20A、21、21A及びパワーローラ1L、1Rを回転させると、リンク支持部材30は台座60Aを介して支持されるシリンダボディ60及びシリンダボディ底部61とともにX軸方向へ変位し、ロアリンク5が長手方向に沿ってのみ変位することで各部材の加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収し、パワーローラ1L、1Rの位置は位置ずれを補正された所定の位置に位置決めされる。 【0073】そして、この運転状態で、ボルト64を再び締結すると、シリンダボディ60及びシリンダボディ底部61はケーシング10に結合され、ロアリンク5はパワーローラ1L、1Rが加工精度及び組み立て精度の誤差を吸収した位置、すなわち前記従来例に示したスラスト力が等しい状態を維持して揺動自在に支持されることになる。 【0074】こうして、前記第1実施形態のように、カウンターシャフト27を脱着する必要がないため、生産性を向上させながら、パワーローラ1L、1Rに加わるスラスト力が等しくなる状態を保持でき、ロアリンク5側で各部品の寸法公差を吸収しながらも、前記従来例のようなパワーローラの滑りを抑制して、設計値に応じた伝達トルクを確保することが可能となって、トロイダル型無段変速機の性能及び生産性を向上させることができるのである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)8月11日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118010 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−227079 |
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