| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスク |
| 【発明者】 |
【氏名】藤波 誠
【氏名】平田 清孝
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| 【要約】 |
【課題】爪が形成されている表側の面を下にしてカムディスクを接地したときに、各爪の突出長に含まれた誤差に影響されることなく常に座りが安定するようにする。
【解決手段】円周方向に亘る凹凸を有する第一のカム面が備わっており、前記第一のカム面と入力ディスク上に形成された円周方向に亘る凹凸を有する第二のカム面との間で複数個の転動体を転動自在に挟持すると共に、前記第一のカム面が形成されていない側の面上に突設された6個の爪によってトルク入力軸に対して駆動結合されるトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクにおいて、前記6個の爪を3個の短爪と前記3個の短爪の突出長よりも大きい突出長を持つ3個の長爪とから構成し、これら長爪と短爪とを円周方向に亘り等間隔で交互に配置する。また、円周方向に亘る連続した又は複数片に分割された平面部を、前記複数個の爪が突設されている面の外周部に熱処理後の加工によって形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円周方向に亘る凹凸を有する第一のカム面が備わっており、前記第一のカム面と入力ディスク上に形成された円周方向に亘る凹凸を有する第二のカム面との間で複数個の転動体を転動自在に挟持すると共に、前記第一のカム面が形成されていない側の面上に突設された6個の爪によってトルク入力軸に対して駆動結合されるトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクにおいて、前記6個の爪が3個の短爪と前記3個の短爪の突出長よりも大きい突出長を持つ3個の長爪とから構成され、これら長爪と短爪とが円周方向に亘り等間隔で交互に配置されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスク。 【請求項2】 円周方向に亘る凹凸を有する第一のカム面が備わっており、前記第一のカム面と入力ディスク上に形成された円周方向に亘る凹凸を有する第二のカム面との間で複数個の転動体を転動自在に挟持すると共に、前記第一のカム面が形成されていない側の面上に突設された複数個の爪によってトルク入力軸に対して駆動結合されるトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクにおいて、円周方向に亘る連続した又は複数片に分割された平面部が、前記複数個の爪が突設されている面の外周部に熱処理後の加工によって形成されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスク。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用変速機として利用されるトロイダル型無段変速機に組み込まれて使用されるローディングカム装置のカムディスクに関する。 【0002】 【従来の技術】主に自動車用の変速機として従来より研究が進められているトロイダル型無段変速機は、互いに対向する面がそれぞれ円弧形状の凹断面を有する入力ディスク及び出力ディスクと、これらのディスク間に挟持される回転自在なパワーローラとを組み合わせた構造のトロイダル変速機構を少なくとも1組備えている。このとき、入力ディスクは、トルク入力軸方向への移動が可能なようにトルク入力軸に対して駆動結合され、一方出力ディスクは、トルク入力軸に対して相対的に回転可能かつ入力ディスクから離れる方向への移動が制限されるように入力ディスクと対向して取り付けられる。 【0003】上述のようなトロイダル型変速機構においては、入力ディスクが回転するとパワーローラを介して出力ディスクが逆回転するため、トルク入力軸に入力された回転運動は、逆方向の回転運動として出力ディスクへと伝達されて取り出される。この際、パワーローラの周面が入力ディスクの外周付近と出力ディスクの中心付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることでトルク入力軸から出力ギアへの増速が行なわれ、これとは逆に、パワーローラの周面が入力ディスクの中心付近と出力ディスクの外周付近とにそれぞれ当接するようにパワーローラの回転軸の傾斜角度を変化させることでトルク入力軸から出力ギアへの減速が行なわれる。さらに両者の中間の変速比についても、パワーローラの回転軸の傾斜角度を適当に調節することにより、ほぼ無段階に得ることができる。 【0004】トロイダル型変速機構を効率良く作動させるためには、入力ディスクとパワーローラ周面の間の摩擦、及びパワーローラ周面と出力ディスクの間の摩擦が失われないようにすることが大切である。このために、トルク入力軸の入力ディスク方向端部には、入力ディスクを出力ディスク方向に押圧しながら回転させる押圧装置であるローディングカム装置が設けられている。ローディングカム装置は、円周方向に亘る凹凸形状を有する第一のカム面が形成されているカムディスクと、このカム面と対向する同様の凹凸形状を有する第二のカム面が出力ディスクとの対向面ではない側の面上に備わる入力ディスクと、これら第一及び第二のカム面の間に転動自在な状態で保持される複数個の転動体とから構成される。 【0005】図5は、ローディングカム装置に組み込まれるカムディスクの一例であり、図5aは正面図、図5bはE−E線における断面図をそれぞれ示している。カムディスク1の中心部には、厚さ方向に貫通する孔2が打ち抜き等により形成されており、カムディスク1の表側の面上には、中央の孔2を取り囲むように円環形状の凹部3が穿設され、凹部3の外側は1段高く形成されていて、トルク入力軸(図示せず)と駆動結合するための6個の爪4が円周方向に沿って等間隔で突設されている。一方、カムディスク1の裏側の面上には表側の面上の凹部3に対応する凸部5が突設され、凸部5の外側は1段低く形成されていて、入力ディスク上の第二のカム面(図示せず)との間で転動体(図示せず)を挟持するための円周方向に亘る凹凸形状を有した第一のカム面6が形成されている。 【0006】このように構成されたカムディスク1を組み込んだローディングカム装置では、カムディスク1の表側の面上に設けられた6個の爪4がトルク入力軸の端部辺縁上に設けられた6か所の凹部(図示せず)とそれぞれ嵌合することで、カムディスク1とトルク入力軸とが一体回転し、その際に第一のカム面6の凹凸形状によって複数個の転動体が入力ディスク上の第二のカム面へと押し付けられる。その結果、入力ディスクが出力ディスク方向に押圧され、両ディスクの各内側面とパワーローラの周面とを強く当接させる。こうして、各転動体と第二のカム面の凹凸形状との押圧力に応じて回転される入力ディスクの回転力が、パワーローラを介して出力ディスクへと伝達されるため、出力ディスクと結合している出力軸をトルク入力軸と反対の方向へと回転させることができる。なお、第一のカム面6及び第二のカム面と各転動体との接触点には、押付け時の焼き付きを防止するためにそれぞれ潤滑油が供給されるようになっている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】トロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクでは、表側の面上に突設される合計6個の爪4が全て同じ突出長tを持つように設計される。しかしながら、加工後の爪の突出長には加工装置が持つ加工誤差が含まれているため、実際にこれら6個の爪が皆等しい突出長tを持つわけではない。したがって、表側の面上に6個の爪4を形成した後、裏側の面上に第一のカム面6等を加工するために、6個の爪4が形成されている表側の面を下にしてカムディスク1を接地・固定したときに、各爪の先端を結んだ面が必ずしも平面を構成しない。このようにして、カムディスク1と接地面との間に隙間が生じてカムディスク1の座りが不安定になると、裏側の面上で行う第一のカム面等の加工が困難になり、研削面上に倒れ等の不良加工が発生しやすくなる。 【0008】本発明は上述の事情にしたがって考えられたものであり、爪の突出長として2種類の数値を設定し、あるいは外周部の面上に凸形状又は凹形状の平面部を形成することで、爪が突設されている表側の面を下にして接地したときに、各爪の突出長に含まれた誤差に影響されることなく常に座りが安定するようにしたトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクの提供を目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、円周方向に亘る凹凸を有する第一のカム面が備わっており、前記第一のカム面と入力ディスク上に形成された円周方向に亘る凹凸を有する第二のカム面との間で複数個の転動体を転動自在に挟持すると共に、前記第一のカム面が形成されていない側の面上に突設された6個の爪によってトルク入力軸に対して駆動結合されるトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクに関するものであり、本発明の上記目的は、前記6個の爪を3個の短爪と前記3個の短爪の突出長よりも大きい突出長を持つ3個の長爪とから構成し、これら長爪と短爪とを円周方向に亘り等間隔で交互に配置することにより達成される。また本発明の上記目的は、円周方向に亘る連続した又は複数片に分割された平面部を、前記複数個の爪が突設されている面の外周部に熱処理後の加工によって形成することにより同様に達成される。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は、本発明のトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクの一実施例であり、図1aは正面図、図1bはA−A線における断面図をそれぞれ示している。本実施例のカムディスク10においても従来のものと同様に、中心部には、厚さ方向に貫通する孔2が打ち抜き等により形成されており、また、カムディスク10の表側の面上には、中央の孔2を取り囲むように円環形状の凹部3が穿設され、凹部3の外側は1段高く形成されていて、トルク入力軸(図示せず)と駆動結合するための6個の爪40が円周方向に沿って等間隔で突設されている。さらに、カムディスク10の裏側の面上には表側の面の凹部3に対応する凸部5が突設され、凸部5の外側は1段低く形成されていて、やはり入力ディスク上の第二のカム面(図示せず)との間で転動体(図示せず)を挟持するための円周方向に亘る凹凸形状を有した第一のカム面6が形成されている。 【0011】本実施例のトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスク10では、表側の面上に合計6個設けられている爪を、3個の長爪41と3個の短爪42との組み合わせによって構成している。各長爪41は、各短爪42の突出長t''よりも大きな突出長t' を持つよう形成されており、これら長爪41と短爪42とがカムディスク10の円周方向に亘って等間隔で交互に配置される。図1aにおいては、頂上の位置にある爪を基準として、右斜め下にある爪、及び左斜め下にある爪というように、120°の中心角で1個おきに等配置された計3個の爪が長爪41に相当し、これら3個の長爪41の持つ突出長t' が、残りの3個の爪(短爪42)が持つ突出長t''よりも大きくなっている。 【0012】上述の様に構成される本発明のカムディスク10を組み込んだローディングカム装置では、前述した従来のトロイダル型無段変速機に組み込まれたローディングカム装置の場合と同様に、カムディスク10の表側の面上に設けられた6個の爪40がトルク入力軸の端部辺縁上に設けられた6か所の凹部(図示せず)とそれぞれ嵌合することで、カムディスク10とトルク入力軸とが一体回転し、その際に第一のカム面6の凹凸形状によって複数個の転動体が入力ディスク上の第二のカム面へと押し付けられる。その結果、入力ディスクが出力ディスク方向に押圧され、両ディスクの各内側面とパワーローラの周面とを強く当接させる。こうして、各転動体と第二のカム面の凹凸形状との押圧力に応じて回転される入力ディスクの回転力が、パワーローラを介して出力ディスクへと伝達されるため、従来と同様に出力ディスクと結合している出力軸をトルク入力軸と反対の方向へと回転させることができる。 【0013】さらに、本実施例のカムディスク10では、裏側の面上に第一のカム面6等を加工するために、表側の面を下にしてカムディスク10を接地すると、接地面に接触する爪は常に3個の長爪41となることから、これら3個の長爪41の先端を結んでできる面が必ず平面を構成する。したがって、各爪40の突出長に含まれた誤差によってカムディスク10と接地面との間に隙間が生じることはなく、裏側の面上で行う第一のカム面等の加工を安定して行うことができる。 【0014】図2ないし図4は、本発明のトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクの他の実施例であり、図2a、図3a、図4aはそれぞれの正面図を、図2b、図3b、図4bはそれぞれのB−B線、C−C線、D−D線における断面図を示している。これらの実施例のカムディスク11、12、13においても従来のものと同様、中心部には、厚さ方向に貫通する孔2が打ち抜き等により形成されており、また、カムディスク11、12、13の表側の面上には、中央の孔2を取り囲むように円環形状の凹部3が穿設され、凹部3の外側は1段高く形成されていて、トルク入力軸(図示せず)と駆動結合するための6個の爪4が円周方向に沿って等間隔で突設されている。さらに、カムディスク11、12、13の裏側の面上には表側の面の凹部3に対応する凸部5が突設され、凸部5の外側は1段低く形成されていて、やはり入力ディスク上の第二のカム面(図示せず)との間で転動体(図示せず)を挟持するための円周方向に亘る凹凸形状を有した第一のカム面6が形成されている。 【0015】図2ないし図4に示したカムディスク11、12、13では、円周方向に亘る連続した又は複数片に分割された平面部14が、合計6個の爪4が設けられている表側の面の外周部に熱処理後の加工によって設けられている。平面部14は、図2に示した実施例では連続した帯状凸体141として、また図3に示した実施例では円周方向に沿って120°の中心角で等配置された3個の帯状凸片142としてそれぞれ突設形成されており、一方で図4に示した実施例では連続した帯状凹部143として座ぐり形成されている。 【0016】これらのカムディスク11、12、13を組み込んだローディングカム装置では、前述した従来のトロイダル型無段変速機に組み込まれたローディングカム装置及び図1に示した実施例のカムディスクが組み込まれたローディングカム装置の場合と同様に、カムディスク11、12、13の表側の面上に設けられた6個の爪4がトルク入力軸の端部辺縁上に設けられた6か所の凹部(図示せず)とそれぞれ嵌合することで、カムディスク11、12、13とトルク入力軸とが一体回転し、その際に第一のカム面6の凹凸形状によって複数個の転動体が入力ディスク上の第二のカム面へと押し付けられる。その結果、入力ディスクが出力ディスク方向に押圧され、両ディスクの各内側面とパワーローラの周面とを強く当接させる。こうして、各転動体と第二のカム面の凹凸形状との押圧力に応じて回転される入力ディスクの回転力が、パワーローラを介して出力ディスクへと伝達されるため、従来と同様に出力ディスクと結合している出力軸をトルク入力軸と反対の方向へと回転させることができる。 【0017】さらに、上記図2ないし図4に示した各実施例におけるカムディスク11、12、13では、裏側の面上に第一のカム面6等を加工するために、表側の面を下にしてそれぞれ接地する場合、各カムディスク11、12、13表側の面上の6個の爪4に対応する位置に予め穴又は凹部が設けられている接地台上に戴置することで、爪4の先端と設置面との接触を防止できる。すなわち、各カムディスク11、12、13は、外周部に設けられた平面部14においてのみ接地台と接触するため、各爪4の突出長に含まれた誤差によってカムディスク11、12、13と接地面との間に隙間が生じることはなく、裏側の面上で行う第一のカム面等の加工を安定して行うことができる。 【0018】 【発明の効果】上述のように本発明のトロイダル型無段変速機のローディングカム装置のカムディスクでは、長短2種類の突出長を持つ爪が円周方向に亘って互い違いに等配列され、あるいは外周部の面上に凸形状又は凹形状の平面部を形成していることから、爪が形成されている表側の面を下にしてカムディスクを接地したときにも各爪の突出長に含まれた誤差に影響されることなく常に座りが安定する。したがって、研削面上に発生する倒れ等の不良加工を防止することができ、裏側の面の加工精度を大幅に向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】安形 雄三 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118009 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−283507 |
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