| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】東 秀剛
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| 【要約】 |
【課題】傾転用コロ軸受のコロが、同じトラニオン円周方向に傾斜するよう規制して、当該傾斜によスラスト分力の総和をトラニオン内で相殺させる。
【解決手段】球面リング8の内周とトラニオンの外周との間に配したコロ12を保持する保持器13の各コロ保持開口13aを、長手方向中心線O6 がトラニオン傾転軸線に平行な軸線O5 に対し同じ方向へ同じ角度だけ傾斜させ、コロ12を、同じトラニオン円周方向へ同じ角度だけ傾斜させる。しかし、トラニオンの両端間ではコロ12の傾斜方向が相互に逆向きに、そして、傾斜角が同じになるよう、コロ軸受9の仕様を異ならせ、各トラニオン5の両端で、コロ12の傾斜によるスラスト分力の総和が逆向きの同じ値となり、相互に相殺されるようにする。よって、トラニオン上外力が作用せず、変速制御を安定させ得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入出力ディスク間で摩擦により動力伝達を行う複数のパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持し、これらトラニオンを、パワーローラ回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差した中立位置からオフセットするようストロークさせることで、該ストローク方向に延在する軸線周りにおけるトラニオンおよびパワーローラの傾転を生起させて変速を行うようにし、トラニオンの隣り合う一端同士および他端同士を、それぞれのリンクにより相互に連結して前記各トラニオンのストロークを同位相で同期させると共に、トラニオンおよびリンク間の連結を、前記ストローク時の関節運動が軽快になるよう前記リンクに球面嵌合した球面リングを介し、また前記傾転が軽快になるよう該球面リング内に配置したコロ軸受を介し行ったトロイダル型無段変速機において、前記各トラニオンの端部ごとに前記コロ軸受のコロが同じトラニオン円周方向に傾斜するよう、しかし、トラニオンの両端間で該コロの傾斜方向が逆向きになるよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項2】 請求項1において、前記トラニオンの両端におけるコロの傾斜角を同じにしたことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項3】 請求項1または2において、前記コロ軸受の保持器により前記コロの傾斜を実現するよう構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項4】 請求項1または2において、前記球面リングの内周面、および該球面リング内周面に対向するトラニオン外周面にそれぞれ、相互に対向する螺旋溝を形成し、これら対向螺旋溝により画成された螺旋通路内にボールを収納したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項5】 請求項1または2において、前記球面リングおよびトラニオンに、相互に螺合する螺合部を設定したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項6】 請求項1または2において、前記球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の一方を円周方向の波形面に成形し、該波形面の窪み内に転がり部材を介在させたことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項7】 請求項1または2において、前記球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の双方を円周方向の波形面に成形し、これら波形面の対向する窪み内に転がり部材を介在させたことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。 【請求項8】 請求項6または7において、前記転がり部材をローラで構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段変速機のパワーローラを回転自在に支持し、ストロークにより変速制御を司るトラニオンの支持構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】トロイダル型無段変速機は通常、例えば特開昭57−47060号公報に記載されているような、そして図1に例示するようなトラニオン支持構造を持つ構成にするのが普通である。 【0003】図1により説明すると、トロイダル型無段変速機は変速機ケース1内に入出力ディスク2を軸線O1 上で回転し得るよう収納して備える。但し図1では、エンジン側から見た断面のため手前側の入力ディスクが見えておらず、これに同軸対向する出力ディスクのみが見えている。これら入出力ディスク2間に複数(図では2個)のパワーローラ3を挟圧して介在させ、各パワーローラ3をピボットシャフト4により個々のトラニオン5上に回転自在に支持する。 【0004】ここでパワーローラ3は、軸線O2 の周りに回転しながら入出力ディスク2間で摩擦により動力の伝達を行い、この動力伝達中において個々のトラニオン5をサーボピストン6により、パワーローラ回転軸線O2 が入出力ディスク2の回転軸線O1 と交差した図示の中立位置からオフセットするようストロークさせると、該ストローク方向に延在する軸線O3 周りにおけるトラニオン5およびパワーローラ3の傾転が生起され、入出力ディスク2に対するパワーローラ3の接触軌跡円径が連続的に変化することで所定の変速を行うことができる。 【0005】次にトラニオン5の支持構造を説明するに、トラニオン5の隣り合う上端同士および下端同士を、それぞれのリンク7により相互に連結し、トラニオン5の上記ストロークを同位相で同期させるようにする。この際、トラニオン5およびリンク7間の連結は図2にも示すように、上記ストローク時の関節運動が軽快になるようリンク7に球面嵌合した球面リング8、およびこの球面リング8内に前記傾転が軽快になるよう配置されたコロ軸受9を介してこれを行う。 【0006】なお、パワーローラ3およびトラニオン5の傾転を同期させるために、各トラニオン5にワイヤプーリ10を取付け、これらプーリ10間に傾転同期ワイヤ11を掛け渡す。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、コロ軸受9を構成するコロ12は図3に明示するように、クラウニングを施した樽型に成形することとも相俟って、中心線O4 がトラニオン傾転軸線O3 に平行な軸線O5 に対し任意の方向に傾斜し得るものであり、当然、トラニオン5の円周方向においても任意の方向に傾斜する。そして、かように傾斜したコロ12はトラニオン5の傾転時に旋回状に転動することとなり、コロ12の傾斜方向に応じた図3にαで例示するようなスラスト分力を発生させる。しかも、コロ12の傾斜方向が特定の方向でないために、各コロ12によるスラスト分力の総和も不特定なものとなって、トラニオン5に何れかの方向のスラストを付与する。これにより従来は、トラニオン5を介しパワーローラ3に外力が作用して、トロイダル型無段変速機の変速制御を不安定にすることが懸念される。 【0008】請求項1に記載の第1発明は、コロの傾斜方向を規定して各コロによる上記のスラスト分力がトラニオン上で相殺されて、小さなものとなるようにすることで、上記の懸念を払拭したトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提案することを目的とする。 【0009】請求項2に記載の第2発明は、各コロによる上記のスラスト分力がトラニオン上で完全に相殺されて0になるようにすることで、上記の懸念を完全に払拭したトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提案することを目的とする。 【0010】請求項3に記載の第3発明は、最も簡易な方式により第1発明または第2発明の目的を達成するようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提供することを目的とする。 【0011】請求項4に記載の第4発明は、コロ軸受自身には何らの変更を加えることなしに第1発明または第2発明の目的を達成するようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提供することを目的とする。 【0012】請求項5に記載の第5発明は、第4発明の作用効果を更に安価に達成し得るようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提供することを目的とする。 【0013】請求項6に記載の第6発明は、トラニオンの傾転時における摩擦抵抗を軽減しつつ第1発明または第2発明の目的を達成し得るようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提案することを目的とする。 【0014】請求項7に記載の第7発明は、第6発明の目的を他の構成で達成し得るようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提案することを目的とする。 【0015】請求項8に記載の第8発明は、第6発明または第7発明において耐久性を向上させ得るようにしたトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造を提案することを目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先ず第1発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、入出力ディスク間で摩擦により動力伝達を行う複数のパワーローラを個々のトラニオンに回転自在に支持し、これらトラニオンを、パワーローラ回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差した中立位置からオフセットするようストロークさせることで、該ストローク方向に延在する軸線周りにおけるトラニオンおよびパワーローラの傾転を生起させて変速を行うようにし、トラニオンの隣り合う一端同士および他端同士を、それぞれのリンクにより相互に連結して前記各トラニオンのストロークを同位相で同期させると共に、トラニオンおよびリンク間の連結を、前記ストローク時の関節運動が軽快になるよう前記リンクに球面嵌合した球面リングを介し、また前記傾転が軽快になるよう該球面リング内に配置したコロ軸受を介し行ったトロイダル型無段変速機において、前記各トラニオンの端部ごとに前記コロ軸受のコロが同じトラニオン円周方向に傾斜するよう、しかし、トラニオンの両端間で該コロの傾斜方向が逆向きになるよう構成したことを特徴とするものである。 【0017】第2発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明において、前記トラニオンの両端におけるコロの傾斜角を同じにしたことを特徴とするものである。 【0018】第3発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明または第2発明において、前記コロ軸受の保持器により前記コロの傾斜を実現するよう構成したことを特徴とするものである。 【0019】第4発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明または第2発明において、前記球面リングの内周面、および該球面リング内周面に対向するトラニオン外周面にそれぞれ、相互に対向する螺旋溝を形成し、これら対向螺旋溝により画成された螺旋通路内にボールを収納したことを特徴とするものである。 【0020】第5発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明または第2発明において、前記球面リングおよびトラニオンに、相互に螺合する螺合部を設定したことを特徴とするものである。 【0021】第6発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明または第2発明において、前記球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の一方を円周方向の波形面に成形し、該波形面の窪み内に転がり部材を介在させたことを特徴とするものである。 【0022】第7発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第1発明または第2発明において、前記球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の双方を円周方向の波形面に成形し、これら波形面の対向する窪み内に転がり部材を介在させたことを特徴とするものである。 【0023】第8発明によるトロイダル型無段変速機のトラニオン支持構造は、第6発明または第7発明において、前記転がり部材をローラで構成したことを特徴とするものである。 【0024】 【発明の効果】複数のパワーローラが個々に入出力ディスク間で摩擦伝動を行っている間、これらパワーローラを回転自在に支持したトラニオンを、パワーローラ回転軸線が入出力ディスクの回転軸線と交差する中立位置からオフセットさせることで、トラニオンおよびパワーローラの傾転を生起させ、変速を行うことができる。 【0025】また、各トラニオンのオフセットを同位相で同期させるためにトラニオンの隣り合う一端同士および他端同士をそれぞれ相互に連結するリンクと、トラニオンとの間の連結を、球面リングおよびコロ軸受を介して行うことから、上記オフセット時の関節運動が球面リングにより軽快になり、上記傾転がコロ軸受により軽快になる。 【0026】ところで第1発明においては、特に上記各トラニオンの端部ごとにコロ軸受のコロが同じトラニオン円周方向に傾斜するよう、しかし、トラニオンの両端間で該コロの傾斜方向が逆向きになるよう構成したことから、各トラニオンの両端で、コロの傾斜によるスラスト分力の総和が逆向きとなって相殺し合うこととなり、各トラニオンに発生するスラストが小さくなる。これがため、トラニオン5からパワーローラに作用する外力が減少して、トロイダル型無段変速機の変速制御が不安定になるのを防止することができる。 【0027】第2発明においては、トラニオンの両端におけるコロの傾斜角を同じにしたことから、各トラニオンの両端で、コロの傾斜によるスラスト分力の総和が逆向きの同じ値となり、各トラニオンの両端に発生したスラストが完全に相殺される。これがため、トラニオン5からパワーローラに外力が作用することがなく、トロイダル型無段変速機の変速制御が不安定になるのを完全に防止することができる。 【0028】第3発明においては、コロ軸受の保持器により前記コロの傾斜を実現するよう構成したから、上記第1発明または第2発明の作用効果を最も簡易な方式により達成することができる。 【0029】第4発明においては、前記球面リングの内周面、および該球面リング内周面に対向するトラニオン外周面にそれぞれ、相互に対向する螺旋溝を形成し、これら対向螺旋溝により画成された螺旋通路内にボールを収納したことから、以下の作用効果が得られる。つまり、トラニオンの傾転時、球面リングおよびトラニオンの相対回転により上記螺旋通路とボールとで構成されるボールネジが球面リングとトラニオンとの間に軸線方向の力を発生させ、これらの間に存在するコロが対応方向の力を受けて傾動される。これがため、トラニオンの傾転にともなう力がコロを同じトラニオン円周方向へ傾斜させることとなり、第1発明または第2発明と同様な作用効果を達成することができる。そして第4発明においては、コロ軸受自身には何らの変更を加えることなしに第1発明または第2発明の目的を達成することができてコロ軸受のコスト上昇を抑制することができ、有利である。 【0030】第5発明においては、球面リングおよびトラニオンに、相互に螺合する螺合部を設定したことから、以下の作用効果が得られる。つまり、トラニオンの傾転時、球面リングおよびトラニオンの相対回転により上記螺合部が球面リングとトラニオンとの間に軸線方向の力を発生させ、これらの間に存在するコロが対応方向の力を受けて傾動される。これがため、トラニオンの傾転にともなう力がコロを同じトラニオン円周方向へ傾斜させることとなり、第1発明または第2発明と同様な作用効果を達成することができる。しかも第5発明によれば、第3発明よりも安価に第1発明または第2発明の作用効果を達成することができる。 【0031】第6発明においては、球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の一方を円周方向の波形面に成形し、該波形面の窪み内に転がり部材を介在させたことから、以下の作用効果が得られる。つまり、トラニオンの傾転時、球面リングおよびトラニオンの相対回転により上記転がり部材が球面リングおよびトラニオンの対向面間で転動され、球面リングとトラニオンとの間に軸線方向の力を発生させ、これらの間に存在するコロが対応方向の力を受けて傾動される。これがため、トラニオンの傾転にともなう力がコロを同じトラニオン円周方向へ傾斜させることとなり、第1発明または第2発明と同様な作用効果を達成することができる。しかも第6発明によれば、上記転がり部材が球面リングおよびトラニオン間の摩擦抵抗を低減して、トラニオンの傾転を滑らかに行わせることができる。 【0032】第7発明においては、球面リングおよびトラニオンに軸線方向に相互に対向する面を設定すると共に、これら面の双方を円周方向の波形面に成形し、これら波形面の対向する窪み内に転がり部材を介在させたことから、以下の作用効果が得られる。つまり、トラニオンの傾転時、球面リングおよびトラニオンの相対回転により上記転がり部材が球面リングおよびトラニオンの対向波形面間で転動され、球面リングとトラニオンとの間に軸線方向の力を発生させ、これらの間に存在するコロが対応方向の力を受けて傾動される。これがため、トラニオンの傾転にともなう力がコロを同じトラニオン円周方向へ傾斜させることとなり、第1発明または第2発明と同様な作用効果を達成することができる。この第7発明においても、転がり部材が球面リングおよびトラニオン間の摩擦抵抗を低減して、トラニオンの傾転を滑らかに行わせることができる。 【0033】第8発明においては、上記の転がり部材をローラで構成したことから、ボールに較べて、球面リングおよびトラニオンの対向面と転がり部材との間における接触面積が増大し、耐摩耗性を向上させることができ、耐久性の点で大いに有利となる。 【0034】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図4は、本発明の一実施の形態になるトラニオン支持構造を、その要部に関して詳細に示すもので、図中、図1乃至図3におけると同様の部分を同一符号にて示す。本実施の形態においては、コロ軸受9を成すコロ12を、図1および図2におけると同様にトラニオン5の外周面と球面リング8の内周面との間に円周方向へ配列するが、これらコロ12の当該円周方向への配列ピッチを等しく保持しておくため保持器13に形成すべき各コロ保持開口13aを、その長手方向中心線O6 がトラニオン傾転軸線に平行な軸線O5 に対し、コロ軸受9ごとに同じ方向へ同じ角度だけ傾斜させる。 【0035】これにより、保持器13の開口13a内に保持されてコロ軸受9を構成するコロ12は、コロ軸受9ごとに同じトラニオン円周方向へ同じ角度だけ傾斜されることとなる。ところで、各トラニオン5(図1および図2参照)の両端間ではコロ12の傾斜方向が相互に逆向きになるよう、しかして、コロ12の傾斜角が同じになるよう、コロ軸受9の仕様を異ならせるものとする。 【0036】本実施の形態においては、各トラニオン5の両端で、コロ12の傾斜によるスラスト分力の総和が逆向きの同じ値となり、各トラニオンの両端に発生したスラストが相互に相殺される。これがため、トラニオン5からパワーローラ3に外力が作用することがなく、トロイダル型無段変速機の変速制御が不安定になるのを完全に防止することができる。 【0037】なお、上記実施の形態では各トラニオン5の両端間でコロ12の傾斜方向を相互に逆向きにするだけでなく、コロ12の傾斜角が同じになるようにしたが、後者の傾斜角に関しては必ずしも必須要件ではなく、各トラニオン5の両端間でコロ12の傾斜角が少しくらい違っていても、上記の作用効果を或る程度は達成することができる。 【0038】なお、コロ12を傾斜させるに当たっては、上記の通りコロ軸受9の保持器13を仕様変更して、コロ12を常時同じ方向へ同じ角度だけ傾斜させておくのが簡便であるが、この代わりに、コロ軸受9自身を変更しないで同じ目的を達成する必要がある場合は、以下の構成を採用することもできる。 【0039】図5に示す実施の形態においては、球面リング8の内周面、およびこの球面リング内周面と対向するトラニオン5の外周面にそれぞれ、相互に対向する螺旋溝8a,5aを形成して、これら対向螺旋溝により螺旋通路を画成する。そして、螺旋溝8a,5a間に画成された螺旋通路内にボール14を収納してボールネジを構成し、当該ボールネジを介して球面リング8およびトラニオン5を相関させる。 【0040】かかる構成によれば、トラニオン5の傾転に伴ってトラニオン5が球面リング8に対し相対回転する時、螺旋溝8a,5aおよびボール14で構成されるボールネジが球面リング8とトラニオン5との間に軸線方向の力を発生させる。この力は、球面リング8とトラニオン5との間に存在するコロ12をして一端がトラニオン径方向内側へ変位し、他端がトラニオン径方向外側へ変位するよう傾動させ、コロ12を点接触から線接触させる。この状態でトラニオン5の傾転にともなう回転力がコロ12に加わると、各コロ12は全て同じトラニオン円周方向へ傾斜されることとなり、上記実施の形態と同様な作用効果を達成することができる。なおこの場合、コロ軸受9自身には何らの変更を加えることなしに所期の目的を達成することができてコロ軸受のコスト上昇を抑制することができ、有利である。 【0041】図6に示す実施の形態においては、球面リング8に雌ねじ8bを、またトラニオン5に雄ねじ5bを形成し、これらを相互に螺合させて螺合部を設定する。本実施の形態によれば、トラニオン5の傾転に伴ってトラニオン5が球面リング8に対し相対回転する時、上記螺合部が球面リング8とトラニオン5との間に軸線方向の力を発生させる。この力は、球面リング8とトラニオン5との間に存在するコロ12をして一端がトラニオン径方向内側へ変位し、他端がトラニオン径方向外側へ変位するよう傾動させ、コロ12を点接触から線接触させる。この状態でトラニオン5の傾転にともなう回転力がコロ12に加わると、各コロ12は全て同じトラニオン円周方向へ傾斜されることとなり、上記実施の形態と同様な作用効果を達成することができる。なおこの場合、コロ軸受9自身には何らの変更を加えることなしに所期の目的を達成することができてコロ軸受のコスト上昇を抑制することができ、有利であると共に、図5のように螺旋溝5a,8aを形成するよりも安価になり、コスト上更に有利である。 【0042】図7および図8に示す実施の形態においては、球面リング8およびトラニオン5に軸線方向に相互に対向する面8c,5cを設定すると共に、これら面のうちトラニオン5側の面5cを円周方向に凹凸がある波形に形成する。そして、波形面5cの窪み内に転がり部材としてのボール15を保持器16により保持して介在させる。かかる構成によれば、トラニオン5の傾転に伴ってトラニオン5が球面リング8に対し相対回転する時、ボール15が球面リング8およびトラニオン5の対向面8c,5c間で転動される。ここで、面5cが円周方向波形面であることに起因してボール15は、球面リング8とトラニオン5との間に軸線方向の力を発生させる。この力は、球面リング8とトラニオン5との間に存在するコロ12をして一端がトラニオン径方向内側へ変位し、他端がトラニオン径方向外側へ変位するよう傾動させ、コロ12を点接触から線接触させる。この状態でトラニオン5の傾転にともなう回転力がコロ12に加わると、各コロ12は全て同じトラニオン円周方向へ傾斜されることとなり、上記実施の形態と同様な作用効果を達成することができる。なおこの場合、コロ軸受9自身には何らの変更を加えることなしに所期の目的を達成することができてコロ軸受のコスト上昇を抑制することができ、有利であると共に、ボール15が球面リング8およびトラニオン5間の摩擦抵抗を低減して、トラニオン5の傾転を滑らかに行わせることができる。 【0043】なお、図7および図8では球面リング8およびトラニオン5の軸線方向対向面8c,5cのうちトラニオン5側の面5cを円周方向に凹凸がある波形に形成したが、この代わりに図9に示すごとく、球面リング8側の面8cを円周方向に凹凸がある波形に形成しても、同様の作用効果を達成することができること、勿論である。 【0044】また図10は、球面リング8およびトラニオン5の軸線方向対向面8c,5cの双方を円周方向に凹凸がある波形に形成し、これら波形面8c,5cの対向する窪み内にボール15を保持器16により保持して介在させた実施形態を示すものである。かかる構成によれば、トラニオン5の傾転に伴ってトラニオン5が球面リング8に対し相対回転する時、ボール15は球面リング8およびトラニオン5の対向面8c,5c間で転動されて、球面リング8とトラニオン5との間に軸線方向の力を発生させる。この力は、球面リング8とトラニオン5との間に存在するコロ12(図8参照)をして一端がトラニオン径方向内側へ変位し、他端がトラニオン径方向外側へ変位するよう傾動させ、コロ12を点接触から線接触させる。この状態でトラニオン5の傾転にともなう回転力がコロ12に加わると、各コロ12は全て同じトラニオン円周方向へ傾斜されることとなり、上記実施の形態と同様な作用効果を達成することができる。なおこの場合も、コロ軸受には何らの変更を加えることなしに所期の目的を達成することができてコロ軸受のコスト上昇を抑制することができ、有利であると共に、ボール15が球面リング8およびトラニオン5間の摩擦抵抗を低減して、トラニオン5の傾転を滑らかに行わせることができる。 【0045】なお図7〜図10においては、ボール15を転がり部材として用いたが、この代わりに図11に示すように、ローラ17を保持器18により保持して、球面リング8およびトラニオン5の対向面8c,5c間に介在させることができる。この場合、ボール15に較べて、球面リング8およびトラニオン5の対向面8c,5cとローラ17との間における接触面積が増大し、耐摩耗性を向上させることができ、耐久性の点で大いに有利となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118008 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−278699 |
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