| 【発明の名称】 |
テンショナガイド |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 幸三
|
| 【要約】 |
【課題】チェーンの張り側と弛み側とが運転中に切り換わる場合においても、長期に亘ってチェーンの振れや運転騒音の発生を防止できる構造が簡単で耐久性の高いテンショナガイドを提供する。
【解決手段】スプロケット2,3間に掛け渡されて循環駆動されるチェーン4側面に対向して設けられた固定シュー6と、前記固定シュー6のシュー面6Aから出没してチェーン4に摺動接触する可動シュー7と、前記可動シュー7を常時突出方向に付勢する付勢部材9とを備えており、チェーン4の張力が増加した場合には、固定シュー6と可動シュー7の両方のシュー6A,7A面がチェーン4に摺動接触し、張力が減少した場合には、可動シュー7が固定シュー6のシュー面6Aから突出して、チェーンの弛みを除去する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スプロケット間に掛け渡されて循環駆動されるチェーン側面に対向して設けられた固定シューと、前記固定シューのシュー面から出没して前記チェーンに摺動接触する可動シューと、前記可動シューを常時突出方向に付勢する付勢部材とを備え、チェーンの張力が増加した場合には、固定シューと可動シューの両方のシュー面がチェーンに摺動接触し、張力が減少した場合には、可動シューが固定シューのシュー面から突出して、チェーンの弛みを除去するように構成されていることを特徴とするテンショナガイド。 【請求項2】 一対のスプロケット間に掛け渡されて循環駆動されるチェーンの並行した張り側と弛み側との間に配置されるガイドハウジングと、前記張り側と弛み側を通過するチェーンと対向するようにガイドハウジングの両側面にそれぞれ設けられている固定シューと、前記ガイドハウジング内部を前記両側面間に亘って貫通形成されているプランジャ孔に対してガイドハウジングの両側からそれぞれ出没自在に嵌挿され、前記プランジャ孔内に挿入されている側の端面に開口した中空部を有する一対のプランジャと、前記プランジャ孔内でこれらのプランジャを互いに離間させる方向に付勢する付勢部材と、ぞれぞれのプランジャ先端部に固定され、固定シューのシュー面から出没して張り側と弛み側を通過するチェーンにそれぞれ摺動接触する可動シューとを備え、前記ガイドハウジング内には、両側のプランジャの中空部とプランジャ孔内部の空間によって高圧油室が形成されているとともに、チェック弁を通して外部の給油源から前記高圧油室へ油を導入するための油流通孔がプランジャ孔の中央部内周面に開口され、前記チェック弁は、高圧油室側から給油源側への油の逆流を阻止し、高圧油室内の油の圧力上昇時にプランジャ孔内周面とそれぞれのプランジャの外周面との隙間を通して高圧油室内の油がガイドハウジング外部へリークするように構成されていることを特徴とするテンショナガイド。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属するの技術分野】本発明は、伝動用のチェーンにテンションを付与してチェーンの走行中の振れや弛みを防止するテンショナガイドに関するものであり、特に、チェーンの張り側と弛み側とが運転中に切り換わる場合に好適に用いられるテンショナガイドに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、離間して配置された2つのスプロケットのうち、一方のスプロケットが駆動側となり他方のスプロケットが被駆動側となっているチェーン伝動装置においては、駆動側のスプロケットの回転方向が途中で逆転したり、或いは、駆動側となるスプロケットが一方から他方へ切り換わったりすると、チェーンの張り側と弛み側とが入れ換わるため、このような場合には、図4に示すように2つのスプロケットA1,A2間に掛け渡されたチェーンA3の張り側と弛み側の外周側の側面にそれぞれ、固定ガイドA4,A5のシュー面を摺接させて、チェーンA3の走行を案内している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、前述したように固定ガイドをチェーンの張り側と弛み側の両方に用いる場合には、長期に亘る使用でチェーンに伸びが生じてくると、チェーンの走行中の振動が増加して、弛み側を走行するチェーンの側面が対向する固定ガイドのシュー面を叩いて騒音を発生するとともに前記シュー面を早期に損耗させてしまう問題があった。 【0004】一方、図5に示すように、スプロケットB1,B2間に掛け渡されているチェーンB3の外周側面の一側に固定ガイドB4のシュー面を摺接させ、他側に軸B5で揺動自在に軸支されて、揺動端側の背面側がテンショナB6で付勢されているテンショナレバーB7のシュー面を摺接させるようにしている場合には、固定ガイドB4側を走行するチェーンB3が常に張り側となっているときは、チェーンB3の経時的な伸びにテンショナB6で付勢されているテンショナレバーB7が揺動して追従し、チェーンB3の弛み側の振れや弛みは防止されている。 【0005】しかし、固定ガイドB4側がチェーンB3の弛み側となった場合には、その張り側ではテンショナレバーB7がチェーンB3の反力で戻され、弛み側におけるチェーンB3の弛みが増加して、前述した図4の場合と同様にチェーンB3の側面が固定ガイドB4のシュー面を叩いて騒音を発生させるとともに、そのシュー面を短期間で損耗させてしまう問題があった。 【0006】そこで、本発明は、前述したような従来技術における問題を解決し、チェーンの張り側と弛み側とが運転中に切り換わる場合においても、長期に亘ってチェーンの振れや運転騒音の発生を防止できる構造が簡単で耐久性の高いテンショナガイドを提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明のテンショナガイドは、第1に、スプロケット間に掛け渡されて循環駆動されるチェーン側面に対向して設けられた固定シューと、前記固定シューのシュー面から出没して前記チェーンに摺動接触する可動シューと、前記可動シューを常時突出方向に付勢する付勢部材とを備えており、チェーンの張力が増加した場合には、固定シューと可動シューの両方のシュー面がチェーンに摺動接触し、張力が減少した場合には、可動シューが固定シューのシュー面から突出して、チェーンの弛みを除去するように構成されている。 【0008】また、本発明のテンショナガイドは第2に、一対のスプロケット間に掛け渡されて循環駆動されるチェーンの並行した張り側と弛み側との間に配置されるガイドハウジングと、前記張り側と弛み側を通過するチェーンと対向するようにガイドハウジングの両側面にそれぞれ設けられている固定シューと、前記ガイドハウジング内部を前記両側面間に亘って貫通形成されているプランジャ孔に対してガイドハウジングの両側からそれぞれ出没自在に嵌挿され、前記プランジャ孔内に挿入されている側の端面に開口した中空部を有する一対のプランジャと、前記プランジャ孔内でこれらのプランジャを互いに離間させる方向に付勢する付勢部材と、ぞれぞれのプランジャ先端部に固定され、固定シューのシュー面から出没して張り側と弛み側を通過するチェーンにそれぞれ摺動接触する可動シューとを備えており、前記ガイドハウジング内には、両側のプランジャの中空部とプランジャ孔内部の空間によって高圧油室が形成されているとともに、チェック弁を通して外部の給油源から前記高圧油室へ油を導入するための油流通孔がプランジャ孔の中央部内周面に開口され、前記チェック弁は、高圧油室側から給油源側への油の逆流を阻止し、高圧油室内の油の圧力上昇時にプランジャ孔内周面とそれぞれのプランジャの外周面との隙間を通して高圧油室内の油がガイドハウジング外部へリークするように構成されている。 【0009】 【作用】本発明のテンショナガイドの第1のものにおいては、テンショナガイドと対向するチェーンの走行部分が張り側となって、チェーンに大きな張力が作用すると、チェーンは可動シューのシュー面を付勢部材の付勢力に抗して押し戻し、可動シューを固定シューのシュー面に没入させる。そして、チェーンに作用する張力が一定の大きさを超えると、チェーンは固定シューのシュー面に接触して、固定シューと可動シューの両方のシュー面によって支持された状態となる。 【0010】一方、前記テンショナガイドと対向するチェーンの走行部分が弛み側となる場合には、チェーンに作用する張力は小さいため、可動シューは固定シューのシュー面から付勢部材の付勢力によって突出し、そのシュー面がチェーンの側面を押して弛みを除去し、チェーンを安定した走行状態に維持する。 【0011】また、本発明のテンショナガイドの第2のものにおいては、張り側のチェーンのこれに対向する可動シューのシュー面を押すと、前記可動シューに固定されているプランジャがプランジャ孔内へ没入する方向に押される。前記プランジャの変位は、高圧油室内に満たされている油と付勢部材とを介してもう一方のプランジャをプランジャ孔の反対側へ突出させ、これに固定されている可動シューのシュー面で弛み側のチェーンを押して弛みを除去する。 【0012】この時、弛み側の可動シューにチェーンから作用する反力は、前記可動シューを介してこれに固定されているプランジャへ伝達され、高圧油室内の圧力が上昇する。その結果、高圧油室内の油は2つのプランジャの外周面とプランジャ孔内周面との僅かな隙間からガイドハウジングの外部へリークして、両側のプランジャ間は、付勢部材の付勢力とそれぞれのプランジャに作用する張り側と弛み側の反力とが均衡する位置まで接近する。 【0013】なお、これらのプランジャにチェーンから作用する反力が減少して、付勢部材の付勢力でプランジャ間の間隔が拡がった場合には、給油源側からチェック弁を介して高圧油室へ油が補給される。 【0014】また、チェーンの張り側では、前記第1のものと同様に、可動シューは固定シューのシュー面へ没入し、チェーンに作用する張力が一定の大きさを超えると、チェーンは固定シューのシュー面に接触して、固定シューと可動シューの両方のシュー面によって支持された状態となる。 【0015】一方、チェーン弛み側では、付勢部材の付勢力でチェーンに押し付けられている可動シューは、チェーンに作用する張力が小さいので固定シューのシュー面から突出して自由に進退できる状態にあるが、チェーンの弛み側に作用する張力が急激に変動して可動シューに衝撃荷重が作用した場合には、前記衝撃荷重は、高圧油室内の油を介して直ちに張り側のプランジャへ伝達され、これに固定されている可動シューを介して張り側のチェーンによって受け止められ、同時に、高圧油室内の油は圧力が上昇して、2つのプランジャの外周面とプランジャ孔内周面との隙間からガイドハウジングの外部へリークし、その際の流動抵抗によって前記衝撃荷重が緩衝される。 【0016】また、一対のスプロケットのうち、駆動側のスプロケットが途中で逆転したり、前記一対のスプロケットの駆動側と被駆動側とが入れ換わって、チェーンの張り側と弛み側とが逆転した場合には、両側の可動シューの出没状態が逆転してチェーンが支持される。 【0017】 【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明のテンショナガイドの第1実施例を示す側面図であって、本発明のテンショナガイド1は、チェーン伝動機構の駆動側スプロケット2と被駆動側スプロケット3間に掛け渡されているチェーン4の、両スプロケット2,3間の両側の走行部分に外周側から対向して一対設けられるものである。 【0018】これらのテンショナガイド1A,1Bは、チェーン4の走行方向の前後両側にに対称的な形状になっていて構造は同じものであり、駆動側スプロケット2の回転中心Oと被駆動側スプロケット3の回転中心O’を結ぶ直線Lの両側に対称的に配置されている。 【0019】それぞれのテンショナガイド1A,1Bは、ガイドハウジング5のチェーン4の走行方向前後両側に取り付けられている一対の固定シュー6と、これらの固定シュー6のチェーン4とのシュー面6Aから出没自在な可動シュー7を有している。 【0020】また、ガイドハウジング5のチェーン4との対向面には、可動シュー7を出没自在に格納するための凹部5Aが形成されており、また、前記凹部5Aの中央位置にはプランジャ穴5Bが設けられている。 【0021】一方、可動シュー7のチェーン4と接触しているシュー面7Aの反対側の面には、プランジャ嵌入凹部7Bが形成されていて、ここにプランジャ8の頭部が嵌合固定されている。 【0022】前記プランジャ8は、プランジャ穴5B内に出没自在に嵌挿されている。また、プランジャ8の内部にはプランジャ穴5Bの底面との対向側に開口する中空部が設けられていて、前記中空部とプランジャ穴5B内部の空間で高圧油室Hが形成されている。 【0023】また、前記高圧油室内には付勢部材としての圧縮コイルバネ9が配置されており、前記圧縮コイルバネ9によって、プランジャ8とともに可動シュー7が突出方向に付勢されており、可動シュー7のシュー面7Aを介してチェーン4を側方から押圧している。 【0024】また、プランジャ穴5Bの底面にはボールチェック弁10が組み込まれていて、前記ボールチェック弁10を介してガイドハウジング5の外部に設けられた図示していない給油源から高圧油室H内に給油され、高圧油室H内が常時油で満たされているようになっている。 【0025】ボールチェック弁10は、プランジャ8が突出方向に変位したときには開放されて、高圧油室H内に前記給油源から油を流入させ、また、プランジャ8が没入方向に押されて高圧油室H内の油の圧力が上昇すると閉鎖されて、高圧油室H内から給油源側への油の逆流を阻止するようになっている。 【0026】前述した構成において、駆動スプロケット2が図1に矢印で示すように時計回りに回転駆動されると、チェーン4は、被駆動側スプロケット3との間で同図右側に掛け渡されている部分が張り側aとなって張力が増加するため、張り側aのテンショナガイド1Aのチェーン4に外周側側方から接触している可動シュー7が押される。 【0027】チェーン4の張り側aでは、可動シュー7を突出させる方向の圧縮コイルバネ9の付勢力よりも、チェーン4が可動シュー7を押し戻す力のほうが大きくなると、高圧油室内H内の油の圧力が上昇する。 【0028】一方、高圧油室H内の油は、ボールチェック弁10で給油源側への流出を阻止されているため、プランジャ8の外周面とプランジャ穴5Bとの僅かな隙間から外部へリークし、その結果、可動シュー7は、ガイドハウジング5の凹部5A内に没入し、チェーン4は、前記可動シュー7の両側の固定シュー6のシュー面6Aに当接支持され、チェーン4の張り側aの外周側の側面は可動シュー7のシュー面7Aとその両側の固定シュー6のシュー面6Aによって広い面積で安定して支持される。 【0029】これに対し、チェーン4の駆動側スプロケット2と被駆動側スプロケット3との間で左側に掛け渡されている部分は弛み側bとなり、この部分では張力が低下しているため、弛み側bのテンショナガイド1Bでは、可動シュー7が圧縮コイルバネ9の付勢力で固定ガイド6のシュー面7Aより突出して、チェーン4の弛み側bの側面をシュー面7Aが押圧してその弛みを除去し、チェーン4の走行中の振れが防止される。 【0030】一方、駆動スプロケット2が図1に矢印で示した向きと逆向き、すなわち反時計回りに回転駆動されると、チェーン4の張り側と弛み側とが入れ換わるが、2つのテンショナガイド1A,1Bは、駆動側スプロケット2の回転中心O1と被駆動側スプロケット3の回転中心02を結ぶ直線Lの両側に対称的に配置されているため、同図左側のテンショナガイド1Bの可動シュー7が引っ込み、右側のテンショナガイド1Aの可動シューが突出した状態となり、チェーン4を前述した場合と同様に安定した走行状態を維持することができる。 【0031】なお、この実施例のテンショナガイド1A,1Bでは、ボールチェック弁10を介して外部の給油源と連通されている油の満たされた高圧油室Hを有しているため、チェーン4から可動シュー7に衝撃的な変動荷重が作用して、これに固定されているプランジャ8がプランジャ穴5B内に没入する方向に急激に押されると、高圧油室H内の油が高圧になって、プランジャ8の外周面とプランジャ穴5Bの内周面との僅かな隙間ガイドハウジング5の外部へリークし、その際の流動抵抗でチェーン4に作用する衝撃荷重を吸収しての振動を抑制することができる。 【0032】なお、本実施例では、駆動側スプロケット2と被駆動側スプロケット3間に掛け渡されているチェーン4の、両スプロケット2,3間の両側の走行部分にテンショナガイド1A,1Bを一対配置しているが、これらのテンショナガイド1A,1Bは、張力が大きく変化するチェーンのガイドとして単独で用いてもよい。 【0033】次に、図2は、本発明のテンショナガイドの第2実施例を示す側面図であって、テンショナガイド11は、駆動側スプロケット12と被駆動側スプロケット13間に掛け渡されているチェーン14の、両スプロケット12,13間の走行部分に内側に設けられるものである。 【0034】この実施例のテンショナガイド11は、チェーン14の走行方向の前後に対称な構造となっており、駆動側スプロケット12の回転中心Oと被駆動側スプロケット3の回転中心O’を結ぶ直線Lに対して対称的な形状のブロック状のガイドハウジング15を備えている。 【0035】前記ガイドハウジング15の左右両側にはそれぞれ、チェーン14の走行方向前後両側に一対の固定シュー16が固定されているとともに、これらの固定シュー16間には、これらのシュー面16Aから外側へ出没自在な可動シュー17が設けられている。 【0036】また、ガイドハウジング15のチェーン14と対向する左右両側には、可動シュー17を出没自在に格納するための凹部15Aがそれぞれ形成されており、また、ガイドハウジング15の内部には、左右の凹部15Aの中央位置間を貫通するプランジャ孔15Bが形成されている。 【0037】一方、前述した第1実施例のものと同様に、左右両側の可動シュー17のチェーン14に接触するシュー面17Aと反対側の面にはそれぞれプランジャ嵌入凹部17Bが形成されていて、ここにプランジャ18の頭部が嵌合固定されている。これらのプランジャ18は、ガイドハウジング15の左右両側からプランジャ穴15B内にそれぞれ出没自在に嵌挿されている。また、これらのプランジャ18の内部には対向側の端面に開口する中空部が設けられていて、前記中空部とプランジャ穴15B内部の空間で高圧油室H’が形成されている。 【0038】また、前記高圧油室H’内には付勢部材としての圧縮コイルバネ19が配置されており、前記圧縮コイルバネ19によって、両側のプランジャ18は互いに離間する向きに付勢されている。これらのプランジャ18を介して両側の可動シュー17のシュー面17Aがそれぞれ対向するチェーン4の内周側側面を外側に押圧している。 【0039】また、プランジャ孔15Bの中央部内周面には、油流入孔15Cが形成されていて、図3に示すように、前記油流通孔15C内にはボールチェック弁20が組み込まれている。 【0040】前記油流通孔15Cはガイドハウジング15の外部に設けられている図示していない給油源に連通されていて、前記給油源からボールチェック弁20を介して高圧油室H’内へ油が給油され、高圧油室H’内は常時油で満たされている。前記ボールチェック弁20は、前述した実施例のものと同様に、給油源側から高圧油室H’側へは油を自由に流入させ、逆向きの油の流れを阻止するようになっている。 【0041】次に前記テンショナガイド11の動作について説明する。駆動側スプロケット12が図2に矢印で示すように時計回りに回転駆動されると、被駆動側スプロケット13との間で掛け渡されているチェーン14の右側部分が張り側aとなって張力が増加し、チェーン14の張り側aが可動シュー17のシュー面17Aを押すと、これに固定されているプランジャ18がプランジャ孔15B内へ没入する方向に押される。 【0042】このプランジャ18の変位は、高圧油室H’内に満たされている油と圧縮コイルバネ19とを介してもう一方のプランジャ18をプランジャ孔15Bの反対側へ突出させ、これに固定されている可動シュー17のシュー面17Aでチェーン14の弛み側bを押して弛みを除去する。この際、弛み側bの可動シュー17にチェーン14から作用する反力は、前記可動シュー17を介してこれに固定されているプランジャ18へ伝達され、高圧油室H’内の油の圧力が上昇する。 【0043】そうすると、高圧油室H’内の油は両側のプランジャ18のそれぞれの外周面とプランジャ孔15Bの内周面との僅かな隙間からガイドハウジング15の外部へリークして、両側のプランジャ18の間は、圧縮コイルバネ19の付勢力が両側のプランジャ18に作用する張り側と弛み側の反力と均衡する位置まで接近する。 【0044】なお、これらのプランジャ18にチェーン14から作用する反力が減少して、圧縮コイルバネ19の付勢力でプランジャ18間の間隔が拡がった場合には、給油源から図3に示すチェック弁20を介して高圧油室へ油が補給される。 【0045】また、チェーン14の張り側aでは、可動シュー17は固定シュー16のシュー面16Aへ没入し、チェーン14に作用する張力が一定の大きさを超えると、チェーン14は前記シュー面16Aに接触して、固定シュー16と可動シュー17の両方のシュー面16A,17Aによって支持される。 【0046】一方、弛み側bでは、圧縮コイルバネ19の付勢力でチェーン14に押し付けられている可動シュー17は、チェーン14に作用する張力が小さいので固定シュー16のシュー面16Aから突出しており、自由に進退できる状態にあるが、弛み側bに作用するチェーン14の張力が急激に変動して可動シュー17に衝撃荷重が作用すると、前記衝撃荷重は高圧油室H’内の油を介して直ちに張り側aのプランジャへ伝達され、これに固定されている可動シュー17を介してチェーンの張り側aで受け止められ、同時に、高圧油室H’内の油の圧力が上昇して、2つのプランジャ18の外周面とプランジャ孔15B内周面との隙間からガイドハウジング15の外部へリークし、その際の流動抵抗によって前記衝撃荷重が緩衝される。 【0047】また、駆動側スプロケット12が図2の矢印方向と反対方向、すなわち同図の反時計回りに回転駆動された場合には、チェーン14の張り側と弛み側が左右入れ換わるが、テンショナガイド11が駆動側スプロケット12の回転中心Oと被駆動側スプロケット13の回転中心O’を結ぶ直線Lに対して左右対称な構造になっているため、両側の可動シュー17の出没状態が図2の状態と左右逆転してチェーン14の走行が案内される。 【0048】なお、前述した各実施例においては、ボールチェック弁を介して外部の給油源と連通されている高圧油室を設けているが、ボールチェック弁以外の構造のチェック弁で油の逆流を阻止するようにしてもよく、また、トルク変動等が少なくチェーンに作用する張力の変化が少ない場合には、これらの構成は省略し、チェーンから可動シューに作用する荷重は圧縮コイルバネや皿バネ等の付勢部材のみで受けるようにしてもよい。 【0049】また、前述した実施例では、駆動スプロケットの回転方向が逆転することによって、チェーンの張り側と弛み側とが入れ換わる場合について説明したが、2つのスプロケットの駆動側と被駆動側が途中で切り換わることによって、張り側と弛み側が入れ換わる場合についても適用可能である。 【0050】 【発明の効果】以上に説明したように、請求項1に記載した発明のテンショナガイドによれば、駆動側スプロケットの回転方向が途中で逆転したり、スプロケットの駆動側と被駆動側が途中で切り換わって、チェーンの張り側と弛み側が入れ換わる場合のチェーンの張力変化に対応することができ、円滑なチェーン伝動を行うことができる。 【0051】また、長期に亘ってチェーンを運転してチェーンに伸びが生じた場合にも、固定シューのシュー面から可動シューが突出してチェーンの弛みが除去されるため、チェーンの振動や騒音の発生を防止することができる。 【0052】また、チェーンの張力が増加した場合には、固定シューのシュー面へ可動シューが没入して固定シューと可動シューの両方のシュー面でチェーンを摺動支持するため、シュー面圧の増加が緩和されてこれらのシュー面の摩耗を低減できるので、テンショナガイドの耐久性を高めることができる。 【0053】また、請求項2に記載した発明のテンショナガイドによれば、請求項1のテンショナガイドの有する前記効果に加えて、チェーンの張り側と弛み側の両方の可動シューのためのガイドハウジング、付勢部材、高圧油室、チェック弁等の部品を共通化しているため、軽量化できるとともに部品点数を削減でき、製造コストを下げることができる。 【0054】また、チェーンの張り側と弛み側にそれぞれ接触する可動シューどうしを付勢部材と高圧油室内の油を介して連動するようにしているため、チェーンに加わる衝撃荷重を効果的に緩衝できるとともに、チェーンの弛み側と張り側に最適な張力バランスを維持することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003355 【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】祐川 尉一 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−118005 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−280431 |
|