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【発明の名称】 平行軸式変速機
【発明者】 【氏名】中嶋 敏雄

【要約】 【課題】本発明の主な目的は、飛越し変速が可能な平行軸式変速機を提供することである。

【解決手段】本発明はエンジン等の出力を車両の駆動系に変速して伝達する平行軸式変速機において、メインシャフト上に配設された複数のスリーブと各々対応する位置に配設された複数のシフトフォークと、該複数のシフトフォークに緩く挿入された一本のシフトレールと、該シフトレールを周方向に回動させることで上記変速機のセレクト操作を行う回動手段(チェンジレバ)と、上記シフトレールを軸方向に移動することで上記変速機のシフト作動を行う移動手段(チェンジレバ)を有し、上記シフトレールは上記回動手段により回動させられた後、上記複数のシフトフォークのうち一つのシフトフォークとのみ係合して上記移動手段により選択したシフトフォークを軸方向に動かすことを特徴とし、これにより飛越し変速を可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン等の出力を車両の駆動系に変速して伝達する平行軸式変速機において、メインシャフト上に配設された複数のスリーブと各々対応する位置に配設された複数のシフトフォークと、該複数のシフトフォークに緩く挿入された一本のシフトレールと、上記シフトレールを周方向に回動させることで上記変速機のセレクト操作を行う回動手段と、上記シフトレールを軸方向に移動することで上記変速機のシフト作動を行う移動手段を有し、上記シフトレールは上記回動手段により回動させられた後、上記複数のシフトフォークのうち一つのシフトフォークとのみ係合して上記移動手段により上記シフトフォークを軸方向に動かすことを特徴とする平行軸式変速機。
【請求項2】 上記シフトレールの上記各々のシフトフォークに対応する位置に形成された複数の溝部と、上記シフトフォークの上記シフトレール挿入孔内周に配設され上記溝部に対向する夫々配設されたピン部とをさらに有し、上記溝部は、上記回動手段による周方向の回動後、上記複数のシフトフォークの何れか一つと係合して軸方向に移動することを特徴する平行軸式変速機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はメインシャフトの上方にシフト−セレクト操作を行うためのシフトレールを1本配設した平行軸式変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は従来の平行軸式変速機の断面図で、1はドライブピニオン、2はカウンタシャフト、3はメインシャフトである。ドライブピニオン1の出力ギヤ4とカウンタシャフト2のカウンタギヤ5とは常時噛み合っており、メインシャフト3に設けられたシンクロナイザアッセンブリ6,7,8のスリーブ6a,7a,8aを、メインシャフト3の軸方向に移動し、各アッセンブリ6,7,8のシンクロメッシュ機構(図示せず)を作動すると、カウンタシャフト2からメインシャフト3に回転駆動力が伝達され、これによりメインシャフト3が回転する。図示例では、ドライブピニオン1側に5速ギヤ12、4速ギヤ13、3速ギヤ14、2速ギヤ15、リバースギヤ(Rギヤ)17、1速ギヤ16が設けられるる。従って上記シンクロナイザアッセンブリ6,7,8は5速ギヤ12側から1速ギヤ16側に向かって5速−4速切換え用シンクロナイザアッセンブリ6、3速−2速切換え用シンクロナイザアッセンブリ7、R(リバース)−1切換え用シンクロナイザアッセンブリ8となり、例えば、5速−4速切換え用シンクロナイザアッセンブリ6のスリーブ6aをドライブピニオン1側に移動すると5速から4速への切換えがなされ、この逆とすると4速から5速への切換えがなされる。
【0003】図5に上記した4速−5速切換え用シンクロナイザアッセンブリ6、3速−2速切換え用シンクロナイザアッセンブリ7、R−1速切換え用シンクロナイザアッセンブリの各スリーブ6a,7a,8aを作動するための変速切換え装置の構造を示す。この図5に示すように、従来の変速切換え装置は上記各スリーブ6a,7a,8aと夫々係合するシフトフォーク18,19,20と、各シフトフォーク18,19,20を夫々支持すると共に前記スリーブ6a,7a,8aの切換え方向に移動されることにより変速切換えを行うシフトレール21,22,23と、これらシフトレール21,22,23に夫々設けられた係合部24,25,26に対して選択的に係合しその選択したシフトレールを前記スリーブの変速切換え位置に移動するチェンジレバ27よりなっている。この場合、上記シフトレール21,22,23は、前記5速ギヤ12、4速ギヤ13、3速ギヤ14、2速ギヤ15、R(リバース)ギヤ17、1速ギヤ16、のギヤ切換えを行うため、夫々5速−4速切換え用シフトレール21、3速−2速切換え用シフトレール22、R−1速切換え用シフトレール23となり、各シフトレール21,22,23に夫々固定支持されたシフトフォーク18,19,20は夫々5速−4速切換え用シフトフォーク18、3速−2速切換え用フォーク19、R(リバース)−1速切換え用シフトフォーク20となる。
【0004】このように従来の変速切換え装置は複数のシフトフォーク18,19,20をチェンジレバ27の切換えにより選択する構成のため、回転数−トルクが滑らかに変化すシフトアップ及びシフトダウンと、前記5速ギヤ12から前記3速ギヤ14又はこの逆の3速ギヤ14から5速ギヤ12というような飛越し変速が可能となるため、道路状況、車速の変化に対応することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した変速切換え装置には、少なくともシンクロナイザアッセンブリの組数分、シフトレールが必要となり、この分、重量、コストが増大してしまうという不具合がある。
【0006】そこで一本のシフトレールのシフトレールにシンクロナイザアッセンブリの組数分、シフトフォークを取付け、この一本のシフトロッドで変速段の選択(セレクト)と変速切換え(シフト)とが行える装置が提案されている。例えば、特開平7−127739号公報には、メインシャフト上に、該シャフトと平行にシフトレールを一本のみ配設し、このシフトレールの5速−4速切換え用シフトフォーク、3速−2速切換え用フォーク、1速−R(リバース)切換え用シフトフォークとの対応する位置に夫々R−1速切換え用、2速−3変切換え用及び4速−5速変速切換え用ドラムを取付け、4速−5速切換え用ドラムに4速−5速切換え用カム溝を、2速−3速切換え用ドラムに2速−3速切換え用カム溝を、R−1速切換え用ドラムにR−1速速切換え用カム溝を夫々形成すると共に、これらカム溝に、前記シフトロッドの回転角が第一の回転角範囲では上記R−1変速用カム溝のみを有効とし、第一の回転角範囲を超えた第二の回転角範囲では2−3変速用カム溝のみを有効とし、この第2の回転範囲を超えた第3の回転角範囲では2−3変速用カム溝のみを有効とするよう、位相差と逃げ溝とを設け、各カム溝に対応するシフトフォークを夫々係合して、シフトフォークを正転、逆転することにより、シフトアップ、シフトダウンを行うようにした提案がなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記提案の構成では、5速ギヤから3速ギヤ、又は3速から5速といった飛越し変速が一切できないため、道路状況及び車速に対応する迅速な切換えを行うことができないという不具合がある。また、逃げ溝形成のため、ドラム径を大きくせざるを得ず、この分、コスト、重量が増してしまうという不具合や、カム溝の加工は大変なため加工比が嵩んでしまうという問題もある。本発明の主な目的は、飛越し変速が可能な平行軸式変速機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の手段により達成される。請求項1に記載の発明では、回動手段によりシフトレールを回動して複数のシフトフォークのうち一つのシフトフォークとのみ係合した後、移動手段により上記シフトフォークを軸方向に動かし、対応するスリーブにより変速がなされる。このように一本のシフトレールで複数のシフトレールの何れか一つを選択するため、部品点数が削減され、変速機の上部を従来よりも小形化することができる。そして回転手段によりシフトフォークを選択し、移動手段によりシフトする構成としたため、飛越し変速が可能となる。
【0009】さらに請求項2に係る発明は、上記発明において、上記シフトレールの上記各々のシフトフォークに対応する位置に形成された複数の溝部と、上記シフトフォークの上記シフトレール挿入孔内周に配設され上記溝部に対向する位置に各々配設されたピン部とをさらに有し、上記溝部は、上記回動手段による周方向の回動後、上記複数のシフトフォークの何れか一つと係合して軸方向に移動することを特徴とする。
【0010】つまり、従来用いられていたシフトレールに対して溝加工を施し、またシフトフォークに孔加工を施すのみでシフトレールと、シフトフォークとを構成することができ、従来(特開平7−127739号公報)と比べて安価に提供することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施の形態を添付図面を参照して例示的に詳述する。なお、この実施形態にあって従来と同一乃至同様な構成については同一符合を付しその詳細な説明を省略する。
【0012】図1は図6で説明した変速機に適用する変速切換え装置の斜視図、図2は図1の要部詳細拡大図である。図1、図2に示すように、この変速切換え装置は前記メインシャフト3上に、該シャフト3と平行に配設する1本のシフトレール28と、該シフトレール28に緩く挿入された5速−4速切換え用シフトフォーク18、3速−2速切換え用フォーク19、及びR(リバース)−1切換え用シフトフォーク20と、前記シフトレール28を回動し移動するチェンジレバ27より成りっていて、前記シフトレール28は、前記各シフトフォーク18、19、20の取付けボス部18a,19a、20aを貫通する挿入孔18b、19b、20bに緩く挿入されている。
【0013】そして図2に示すように、前記シフトレール28には、前記メインシャフト3に配設された5速−4速切換え用シンクロナイザアッセンブリ6、3速−2速切換え用シンクロナイザアッセンブリ7、R−1速切換え用シンクロナイザアッセンブリ8の各スリーブ6a,7a,8aとの対応位置に、夫々第一溝部30、第二溝部31、第三溝部32が夫々刻設され、これら第一溝部30、第二溝部31、第三溝部32には、前記ボス部18a、19a、20aを貫通する第一ピン34,第二ピン35,第三ピン36が夫々挿入されている。
【0014】前記第一溝部30は前記シフトレール28の軸方向に沿って延びた第一逃げ溝部30aとこの第一逃げ溝部30aのほぼ中央部に連接され上記ピン34を係止する第一係合溝部30bよりなり、また、第二溝部31は、円周方向に間隔を隔てて設けられ且つ軸方向に延びた一対の第二逃げ溝部31aと、これら第二逃げ溝31a同士をその軸方向中央部で連絡する第二係合溝部31bより成っている。 そして前記第三溝部32は前記シフトレール28の軸方向に沿って延びた第三逃げ溝部32aとこの第一逃げ溝部30aのほぼ中央部に連接され上記ピン34を係止する第三係合溝部32bよりなっていて、前記第一溝部30の第一係合溝部30aと第三溝部32の第三係合溝部32bとは互いに円周方向において反対向に形成されている。
【0015】また、この場合に第一溝部30、第二溝部31及び第三溝部32の円周方向における溝幅は互いに同じで、第一係合溝部30b、第二係合溝部31b、第三係合溝部32bの円周方方向の溝幅も夫々同じに設定されている。さらに第一逃げ溝部30aと第三逃げ溝部32aの円周方向の溝幅は夫々等しく、第二逃げ溝部31aの円周方向の溝部幅の2倍となっている。
【0016】図3はセレクトポジションごとの第一溝部30、第二溝部31及び第三溝部32の各溝部に対する前記第一ピン34、第二ピン35、第三ピン36の係合状態を示している。
【0017】図3のセレクトポジション(1)では、第一溝部30の第一係合溝部30bに前記シフトフォーク18の第一ピン34が係合されるが、第二溝部31の第二係合溝部31b及び第三溝部32の第三係合溝部32bには夫々第二ピン35、第三ピン36が係合されず、第二ピン35は第二逃げ溝部31aに、第三ピン36は第三逃げ溝部32a内に位置される。このため、このセレクトポジション(1)では、第一係合溝部30aに係合された第一ピン34のみがシフトに対して有効になり、第二ピン35及び第三ピン36はシフトに対して無効となる。従って、前記チェンジレバ27によってシフトレール28をシフト方向に前後移動すると、5速−4速切換え用シフトフォーク18のみが前後移動され、5速−4速の切換えがなされる。
【0018】図3のセレクトポジション(2)では、第二溝部31の第二係合溝部31bにシフトフォーク19の第二ピン35が係合されるが、第一溝部30の第一係合溝部30b及び第三溝部32の第三係合溝部32bには第一ピン34、第三ピン36は係合されず、第一ピン34は第一逃げ溝部30aに、第三ピン36は第三逃げ溝部32a内に位置される。このため、このセレクトポジション(2)では、第二係合溝部30bに係合された第二ピン35のみがシフトに対して有効となり、第一ピン34及び第三ピン36はシフトに対して無効となる。従って、シフトレール28を前記チェンジレバ27により移動すると、3速−2速切換え用シフトフォークのみを前後に移動することができ、3速−2速の切換えを行うことができる。
【0019】図3のセレクトポジション(3)では、第三溝部32の第三係合溝部32bにシフトフォーク20の第三ピン36が係合されるが、第一溝部30の第一係合溝30b部及び第二溝部31の第二係合溝部31bには第一ピン34、第二ピン35は係合されず、第一ピン34は第一逃げ溝部30aに、第二ピン35は第二逃げ溝部31a内に位置される。このため、このセレクトポジション(3)では第三係合溝部32bに係合された第三ピン36のみがシフトに対して有効となり、第一ピン34及び第二ピン35はシフトに対して無効となる。従って、チェンジレバ27によりシフトレール28を移動すると、R−1切換え用シフトフォーク20のみを前後に移動することができ、R−1の切換えを行うことができる。なお、上記各溝は、変速段に応じて設定することができるものでこのような係合のパターンには特に限定されるものではない。
【0020】従って、図1、図2に示すように、第一溝部30、第二溝部31、第三溝部32を有するシフトレール28の係合部28aに、前記チェンジレバ(回動手段、移動手段)27を係合して、上記セレクトポジション(1)〜(3)から一つのセレクトポジションを選択し、その選択したポジションでシフトレール28を前後に移動すれば、5速、4速、3速、2速、1速、Rの何れか一つを適宜選択することができ。その後、チェンジレバ27のシフト操作により、5速→4速→3速→2速→1速のシフトダウン、1速→2速→3速→4速→5速のシフトアップを行うことができる。勿論係る構成では5→3、3→5、4→2、2→4等の飛越し変速も自在となる。
【0021】図4に、前記チェンジレバ27のマニュアル操作に代えて回転手段としてセレクトリンク等を、移動手段としてシフトリンク等を用いた例を示す。図4に示すようにセレクトリンク50は先端部に設けられたリンク側傘歯車51を回転させ、このリンク側傘歯車51の回転力を前記シフトレール28と一体に取付けられたレール側傘歯車37に伝達するようになっており、また、シフトリンク38内には先端のスプライン軸39と上記シフトレール28の係合部28aに軸支されたスライドレバー40とを噛み合わせるように構成され、前記スプライン軸39を正・逆回転することにより、シフトレール28をメインシャフト3の前後方向に移動するよう構成される。
【0022】従って、このセレクトリンク50、リンク側傘歯車51及びレール側傘歯車37より成る回動手段と、シフトリンク38スプライン軸39及びスライドレバー40より成る移動手段を電気的に制御すると上記した各種の変速を自動で行うことが可能となる。
【0023】
【発明の効果】以上、説明した如く請求項1記載の発明によれば部品点数の削減、変速機の上部を従来よりも小形化することができると共に飛越し変速が可能な変速機を提供することができる。また、請求項2に係る発明によれば、従来用いられていたシフトレールとシフトフォークとの使用が可能となり、安価に提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開平11−94078
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−278252