| 【発明の名称】 |
車両用ドライブプレート |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 俊弘
【氏名】西尾 友秀
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| 【要約】 |
【課題】ドライブプレートの外周に設けられるリングギヤの耐久性の低下を防止する。
【解決手段】円盤状部材9と同円盤状部材の最外周部に成形されたリングギヤ10とを有し、円盤状部材9の一方の面の中心部にクランクシャフト3と一体結合される駆動側結合部aを、他方の面の外周部に従動側慣性体(トルクコンバータ)7と一体結合される複数の従動側結合部bをそれぞれ形成したもので、特に、リングギヤ10の歯部Gのうち、複数の従動側結合部aの外側部分g1に位置を占める歯部Gの歯幅B1よりもそれ以外の部分g2に位置を占める歯部Gの歯幅B2を小さく設定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】円盤状部材と同円盤状部材の最外周部に成形されたリングギヤとを有し、上記円盤状部材の一方の面の中心部にクランクシャフトと一体結合される駆動側結合部を、他方の面の外周部に従動側慣性体と一体結合される複数の従動側結合部をそれぞれ形成した車両用ドライブプレートにおいて、上記リングギヤの歯部のうち、上記複数の従動側結合部の外側に位置を占める歯部よりもそれ以外の部分に位置を占める歯部の歯幅を小さく設定したことを特徴とする車両用ドライブプレート。 【請求項2】請求項1記載の車両用ドライブプレートにおいて、上記円盤状部材とリングギヤをプレス加工により一体成形したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドライブプレート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クランクシャフトの回転を従動側の動力伝達系に伝える車両用ドライブプレート、特に、クランクシャフトに結合される円盤状部とその最外周部に設けられるリングギヤとを一体的に設けた車両用ドライブプレートに関する。 【0002】 【従来の技術】エンジンの駆動と共に回転するクランクシャフトはその端部より動力伝達系側に回転力を伝達している。通常このクランクシャフトはその端部に従動側慣性体としてのフライホイールを直接結合したり、或いはドライブプレートを介しトルクコンバータの入力側ケーシングを一体的に結合しており、場合によりドライブプレートを介しフライホイールを一体的に結合することもある。なお、図示しないフライホイールやドライブプレートは鋳鉄又は鋼の回転体として形成されるが、それらの大きさ(質量)は、スタータモータでエンジンを始動するときや、急加速するときには小さい方が良いが、クランクシャフト側のトルク変動を少なくするためには大きな質量ほど効果があり、通常はシリンダ数や配列などを考慮して決めている。 【0003】ところで、フライホイールや、トルクコンバータ、或いはトルクコンバータの入力側ケーシングと一体化されるドライブプレートには、エンジン始動時にスタータモータのピニオンギヤと噛合するようリングギヤが一体的に取付けられる。この内、ドライブプレートにリングギヤを一体的に結合したものの一例を図6に示した。ここで、ドライブプレート100は、その要部である円盤状部材101の一方面の中心部にクランクシャフト102の端部103を一体結合し、他端面にトルクコンバータ104を重ね合わせ、互いを複数の従動側結合部dで図示しないボルトを用い締付固定するように構成される。ここで、円盤状部材101の最外周部にリングギヤ105が一体的に設けられるが、ここでのリングギヤ105は円盤状部材101と共にプレス加工により一体的に成形されたもの、或いは、円盤状部材101の最外周部に別体成形されたリングギヤ(図示せず)を嵌め込み、互いを溶接等により一体結合して形成されたものがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、図6に示すドライブプレート100にはクランクシャフト102側よりトルクFtが加わると同時に、曲げ振動に伴う曲げ力Fb、スラスト振動に伴うスラスト力Fs等の各外力が不規則に変動して加わり、これら各振動に応じてドライブプレート100の全体が振動変位する。この内、特に、ドライブプレート100に回転中心線L1に沿ったスラスト振動が加わると、回転中心線L1に対して垂直面を有する鋼板製の円盤状部材101はその外周部側ほど大きく振動変位を生じる。この場合、円盤状部材101上の複数の従動側結合部dはトルクコンバータ105側とボルト締めされ、同部の剛性が強化されている。このため、スラスト振動を受けた円盤状部材101及びリングギヤ105のうち、円盤状部材の中心部Oに対して各従動側結合部dの外側に位置を占める部分e1はその回転中心線L1に沿った方向の変位量s1が比較的小さく、それ以外の部分e2はその回転中心線L1に沿った方向の変位量s2が比較的大きくなる。 【0005】この場合、あたかも各従動側結合部dの外側に位置を占める部分e1が固定域となり、それ以外の部分e2が変動域となって振動する状態が続き、しかも歯部Gには遠心力Fm(図7参照)も加わる。このため、図7に示すように、各従動側結合部dの外側に位置を占める部分e1の各歯部Gには比較的大きな引っ張り応力σが増減変動して生じ、同部が経時劣化し、この部位が疲労破壊であるクラックCを生じやすくなり、耐久性の低下を招き問題と成っている。 【0006】本発明の目的は、外周に設けられるリングギヤの耐久性の低下を防止できる車両用ドライブプレートを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発明によれば、円盤状部材を備え、同円盤状部材の最外周部にリングギヤを設け、上記円盤状部材の一方の面の中心部にクランクシャフトと一体結合される駆動側結合部を、他方の面の外周部に従動側慣性体と一体結合される複数の従動側結合部をそれぞれ形成しておき、上記リングギヤの歯部のうち、上記複数の従動側結合部の外側に位置を占める歯部よりもそれ以外の部分に位置を占める歯部の歯幅を小さく設定した。このため、各従動側結合部の各外側以外の部分に位置を占める歯部の軽量化を図れ、同部分の振動に伴う慣性力を低下させることができ、従動側結合部の各外側に位置を占める歯部に集中して繰り返して加わる曲げ振動に伴う引っ張り力や圧縮力を低減でき、この部位の疲労破壊を抑え、耐久性の低下を防止できる。 【0008】望ましくは、上記従動側慣性体はトルクコンバータであってもよく、この場合本発明を容易に適用でき、実施が容易化される。請求項2に記載された発明によれば、請求項1記載の車両用ドライブプレートにおいて、上記円盤状部材とリングギヤをプレス加工により一体成形したものであってもよく、この場合、従動側結合部の外側に位置を占める歯部の疲労破壊を抑え、耐久性の低下を防止でき、軽量化された車両用ドライブプレートを提供できる。 【0009】 【発明の実施の形態】図1、図2には本発明の実施形態例としての車両用ドライブプレートを装備する多気筒内燃機関(以後単にエンジンと記す)1を示した。このエンジン1はシリンダブロック2の下部のクランクケース201内にクランクシャフト3を枢支し、クランクシャフト3の回転を従動側の動力伝達系4に伝える。クランクシャフト4の従動側連結端(以後単に連結端と記す)5にはドライブプレート6を介しトルクコンバータ7が結合される。連結端5はクランクシャフト3の他部位より拡径され、クランクケース201側の内側に位置する部位の外周面にはオイルシール8が外嵌され、外側部位はクランクケース201の外方に突き出している。この連結端5の突き出し壁にはドライブプレート6が一体結合され、これらの中心部には中央穴hが形成される。この中央穴hは従動側慣性体としてのトルクコンバータ7のケーシング701の嵌合突部703を嵌挿でき、これにより同一回転中心線L上にトルクコンバータ7を連結できる。 【0010】ドライブプレート6は要部としての円盤状部材9を有し、その最外周部にリングギヤ10を備え、これらはプレス加工により一体成形されている。図2乃至図3に示すように、円盤状部材9はその一方の面(図1で左側面)の中心部に駆動側結合部aを形成され、同部aを連結端5の突き出し壁(図2参照)fに重合させ、駆動側結合部aを成す駆動側貫通孔11に挿通される駆動側ボルト12により両者は締付固定される。円盤状部材9の他方の面(図2で右側面)には従動側慣性体としてのトルクコンバータ7のケーシング701が重ね合わされる。円盤状部材9の他方の面(図3で紙面裏側)の外周部には複数の従動側結合部bが形成され、各従動側結合部bを成す従動側貫通孔13にケーシング701側の連結部702が当接する。各連結部702には図示しないねじ穴が形成され、ここには従動側貫通孔13(図4(a)参照)を挿通した従動側ボルト14が螺着され、両者は締付固定される。このため、円盤状部材9のうち、各従動側結合部bの近傍の剛性はトルクコンバータ7のケーシング701により剛性を強化される。 【0011】円盤状部材9の最外周部のリングギヤ10は図示しないスタータモータのピニオンギヤ15(図2参照)と噛合する。このリングギヤ10の各歯部Gは、クランキング時に退却位置より噛み合い位置(図2に2点鎖線で示した位置)に移動したピニオンギヤ15より回転力を受け、クランクシャフト3側を回転させるべく十分な剛性を確保するよう形成される。このリングギヤ10は、図1に示すように、円盤状部材9の最外周部より回転中心線Lの方向に鍵型状に折曲して延出しており、これらは円盤状部材の最外周部に円盤状部材9と共にプレス加工により一体成形されている。ここで、図2及び図4(a)、(b)に示すように、リングギヤ10はその歯幅、即ち回転中心線Lの方向の幅B1,B2が全周にわたって同一には形成されない。即ち、図3に示すように、リングギヤ10の各歯部Gの内、円盤状部材9の中心点Oに対して各従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1の歯部Gの歯幅B1(図2、図4(a)参照)よりもそれ以外の部分g2に位置を占める歯部Gの歯幅B2(図2、図4(b)参照)をより小さく形成している。ただし、いずれの部分g1、g2にある各歯部Gもスタータモータのピニオンギヤ15と噛合する際に十分な剛性を確保し、所定の耐久性を確保できるように形成される。 【0012】このように円盤状部材9の最外周部のリングギヤ10は、図3に示すように、4つの従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1とそれ以外の部分に位置を占める4つの部分g2とが交互に環状に繋いだ状態で配備される。この内、トルクコンバータ7との結合により剛性を強化されている従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1は、クランクシャフト3よりスラスト振動受けて加振されると固定端となり、それ以外の部分g2が加振されて変位量することにより曲げ振動が顕著に現れ、固定端となる部分g1の歯部Gに引っ張り応力σ(図7参照)や圧縮応力が集中する。このため、ここでは従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1の歯部Gは十分な剛性を確保できるように、その歯幅B1が比較的大きく設定される。一方、従動側結合部bの外側に位置を占める部分以外の部分g2の歯部Gは、その歯幅B2ができる限り小さく、即ち、質量が小さく成るように設定される。このように部分g2の歯部Gの質量をできるだけ低減しておき、加振時の部分g2の振れに伴い、部分g1を固定端とした曲げ振動のレベルを下げ、部分g1に加わる引っ張り応力σ(図7参照)を低減させる。 【0013】このような車両用ドライブプレートを装備するエンジン1はスタータモータのピニオンギヤ15がリングギヤ10に噛み合い、エンジン1をクランキングすることにより駆動する。この場合、リングギヤ10は従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1もそれ以外の部分g2も所定の剛性を持つことより、ピニオンギヤ15の回転を確実にクランクシャフト3側に伝えることができる。なお、この場合、従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1の歯部Gがエンジン停止時に停止している位置(通常はいずれかの気筒の圧縮上死点の所定量前側の位置)を予め求めておき、その位置にピニオンギヤ15を対向配備しても良い。この場合、クランキング開始時に、リングギヤ10のうちより剛性の高い部分g1の歯部Gよりピニオンギヤ15との噛み合いを開始でき、リングギヤ10の耐久性をより向上できる。 【0014】エンジン1の駆動時において、クランクシャフト3がその回転力をドライブプレート6及びトルクコンバータ7を介し従動側の動力伝達系4に伝える、この場合、回転力と同時にドライブプレート6には曲げ振動やスラスト振動が加わり、特に、ドライブプレート6の円盤状部材9とその最外周部のリングギヤ10はスラスト振動に伴い回転中心線Lに沿った方向に加振され、同時に遠心力Fmをも受ける。この場合、円盤状部材9の部分g2が比較的剛性が低く大きく変位し加振されるが、同部分g2の歯部Gの歯幅B2は小さく、この部分の質量が比較的小さく設定されているので、この部分g2を揺動端とし部分g1を固定端とした曲げ振動のレベルを低減でき、部分g1の歯部Gに生じる引っ張り応力σ(図7参照)や圧縮力を低減でき、同部の経時劣化を抑え、この部位が疲労破壊であるクラックCを生じるということを抑えられ、ドライブプレート6のリングギヤ10の耐久性の低下を防止できる。 【0015】上述のところにおいて、ドライブプレート6は円盤状部材9とリングギヤ10とをプレス加工により一体成形していたが、これに代えて、図5に示すようなドライブプレート6aを構成しても良い。この場合、図1のドライブプレート6と同一部材には同一符号を付し、重複説明を略す。ここで、円盤状部材9aの手前側の面の中央にクランクシャフトの連結部5と結合される駆動側結合部aが形成され、紙面裏側面の外周部側にトルクコンバータ7の各連結部702と結合される従動側結合部bが形成される。円盤状部材9aの最外周部にはフランジ20が折曲形成され、同フランジ20の外側面に別途製造されたリングギヤ10aが嵌め込み装着され、互いの当接部分Uが溶接等により一体結合される。なお、ここでリングギヤ10aをフランジ20の外側面に圧入により一体結合しても良い。これらの場合も従動側結合部bの外側に位置を占める部分g1よりもそれ以外の部分g2に位置を占める歯部Gの歯幅(図5で紙面垂直方向の幅)が小さく設定され(図2参照)、図1のドライブプレート6と同様の作用効果を得られる。 【0016】図1のドライブプレート6の他側の面の外周部には従動側慣性体としてのトルクコンバータ7の各連結部702が重ね合わされ一体結合されていたが、これに代えて、図示しない単板式クラッチディスクを装備するフライホイールをドライブプレート6の他側の面側に一体的に取り付けるという構成を採っても良く、この場合も、同様の作用効果が得られる。更に、図1のドライブプレート6の円盤状部材9にはトルクコンバータ7の4つの連結部702が結合されていたが、その他の数の連結部702を持ったトルクコンバータが結合されてもよく、その場合も、同様の作用効果が得られる。 【0017】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、円盤状部材の最外周部に設けたリングギヤの歯部のうち、複数の従動側結合部の外側に位置を占める歯部よりもそれ以外の部分に位置を占める歯部の歯幅を小さく設定したので、各従動側結合部の各外側以外の部分に位置を占める歯部の軽量化を図れ、同部分の振動に伴う慣性力を低下させることができ、従動側結合部の各外側に位置を占める歯部に集中して繰り返して加わる曲げ振動に伴う引っ張り力や圧縮力を低減でき、この部位の疲労破壊を抑え、耐久性の低下を防止できる。 【0018】請求項2に記載された発明によれば、請求項1の発明において、円盤状部材とリングギヤをプレス加工により一体成形したので、従動側結合部の外側に位置を占める歯部の疲労破壊を抑え、耐久性の低下を防止でき、軽量化された車両用ドライブプレートを提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月22日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−94048 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−256350 |
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