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【発明の名称】 ダンパ
【発明者】 【氏名】来栖 明法

【氏名】内山 正明

【氏名】太田 博之

【氏名】小原 隆夫

【氏名】村田 広志

【氏名】中村 健

【要約】 【課題】ダンパにおいて、ピストンロッドのストローク端付近で、減衰力を段階的に増大させる。

【解決手段】油液を封入したシリンダ9内に、ピストンロッド12を連結したピストン11を摺動可能に嵌装する。シリンダ9の両端部付近の側壁に開口する油路23,28およびオリフィス24,25,29,30を介してシリンダ室9a,9bを減衰力調整機構33に接続する。ピストンロッド12のストロークにともなうピストン11の移動によって生じる油液の流動を減衰力調整機構33によって制御して減衰力を発生させる。ピストンロッド12が、そのストローク端付近まで移動したとき、ピストン11によって油路23およびオリフィス24,25または油路28およびオリフィス29,30が順次閉鎖されることにより、ピストンロッド12のストロークにともなう油液の流動抵抗が増大して減衰力が段階的に増大する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されて前記シリンダ内を2つのシリンダ室に画成するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ室に接続された油路と、該油路の油液の流動を制御して減衰力を発生させる減衰弁とを備えたダンパであって、前記油路は、前記シリンダの側壁に軸方向に沿って配置された複数の油孔を介して前記シリンダ室に連通されており、前記ピストンロッドがそのストローク端付近までストロークしたとき、前記ピストンによって前記複数の油孔が順次閉鎖されるようになっていることを特徴とするダンパ。
【請求項2】 前記減衰弁は、減衰力を調整可能な減衰力調整手段を有していることを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両等の車両の制振装置に用いられるダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両の横ゆれ制振装置の一例について図6を参照して説明する。図6に示すように、鉄道車両1は、車輪2が装着された台車3に、車体4が左右方向に弾性的に浮動支持されており、台車3と車体4との間に減衰力可変ダンパ5が設けられている。図6中、6は軌道を構成するレールである。そして、軌道の曲率および振れ等に対して、横加速度センサ(図示せず)によって検出した車体4の横加速度等に基づいて、コントローラ(図示せず)によって減衰力可変ダンパ5の減衰力を適宜制御(いわゆるセミアクティブダンパ制御)することにより、車体4の横ゆれを抑制して乗り心地を向上させるようにしている。
【0003】上記セミアクティブダンパ制御を行う場合、減衰力可変ダンパ5として、減衰力特性を伸び側と縮み側とで大小異なる種類の組合せ(例えば、伸び側および縮み側がそれぞれハードおよびソフトまたはソフトおよびハードの組合せ)を選択できるようにした、いわゆる減衰力反転型可変ダンパを利用することにより、車両の走行状態に応じて迅速に適切な減衰力を得ることができ、制振効果を高めることができることが知られている。
【0004】鉄道車両1が曲線軌道上を通過する場合、車体4は、超過遠心加速度aによって曲線軌道の外側へ向かって変位する。一般的な例では、台車3と車体4との左右方向の変位は、樹脂性のストッパ等(図示せず)によって約±25mmに規制されており、超過遠心加速度が0.08G 程度になると、車体4は台車3に対して曲線軌道の外側へ約20mm変位する。この状態では、曲線軌道の外側に約5mmの範囲内で横ゆれ制振制御を行うことになる。このとき、曲線軌道のレール6が、内側に約5mmの制御範囲を越えて大きく振れていると(振れの方向を矢印bで示す)、車体4がストッパに衝突して、車輪2がレール6に大きな横圧を作用させ、また、その反作用で車体4に急激な横ゆれが発生する虞がある。
【0005】そこで、車体4がストッパに当接する減衰力可変ダンパ5のストローク端付近では、コントローラによって減衰力可変ダンパ5の減衰力をハード側に切り換えて、車体4のストッパとの衝突を防止および緩衝するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の横ゆれ制振装置では、次のような問題がある。減衰力可変ダンパ5の減衰力がソフト側に設定されている場合に、レール6が急激に大きく振られて、コントローラによるハード側への切換制御に遅れが生じた場合、あるいは、減衰力可変ダンパ5の減衰力調整弁がフェイルによってソフト側に固着した場合等においては、減衰力可変ダンパ5のストローク端付近で充分大きな減衰力を発生させることができず、車体4のストッパへの衝突を充分に防止および緩衝することができない。
【0007】特に、前述の減衰力反転型可変ダンパを用いた場合には、伸び側または縮み側の一方の減衰力がソフト側となるため、コントローラによるハード側への切換遅れおよびフェイル時に充分な減衰力が得られないことが問題となる。
【0008】本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ストローク端部付近で、確実に充分な減衰力を得ることができるようにしたダンパを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装されて前記シリンダ内を2つのシリンダ室に画成するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダ室に接続された油路と、該油路の油液の流動を制御して減衰力を発生させる減衰弁とを備えたダンパであって、前記油路は、前記シリンダの側壁に軸方向に沿って配置された複数の油孔を介して前記シリンダ室に連通されており、前記ピストンロッドがそのストローク端付近までストロークしたとき、前記ピストンによって前記複数の油孔が順次閉鎖されるようになっていることを特徴とする。
【0010】このように構成したことにより、ピストンロッドのストロークにともなうピストンの移動によって油路に生じる油液の流動を減衰弁によって制御して減衰力を発生させる。ピストンロッドがストローク端付近まで移動すると、ピストンによってシリンダの側壁に設けられた複数の油孔が順次閉鎖されるので、ピストンのストロークにともなう油路の油液の流動が順次絞られて減衰力が段階的に大きくなる。
【0011】また、請求項2の発明は、上記請求項1の構成において、減衰弁は、減衰力を調整可能な減衰力調整手段を有していることを特徴とする。
【0012】このように構成したことにより、減衰力調整手段によって適宜減衰力を調整することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施形態について、図1ないし図4を参照して説明する。図1に示すように、第1実施形態の減衰力可変ダンパ7は、有底円筒状の外筒8内にシリンダ9を挿入したに二重筒構造になっており、シリンダ9と外筒8との間にリザーバ10が形成されている。シリンダ9内には、ピストン11が摺動可能に嵌装されており、このピストン11によってシリンダ9内がシリンダ室9a,9bの2室に画成されている。ピストン11には、ピストンロッド12の一端が連結されており、ピストンロッド12の他端はシリンダ9および外筒8の端部に装着されたガイドシール13に挿通されて外部へ延出されている。そして、シリンダ9内には油液が封入され、リザーバ10内には油液およびガスが封入されている。
【0014】ピストン11には、シリンダ室9a内の圧力が所定圧力に達したとき、シリンダ室9aからシリンダ室9bへ油液を逃がすリリーフ弁14およびシリンダ室9b内の圧力が所定圧力に達したとき、シリンダ室9bからシリンダ室9aへ油液を逃がすリリーフ弁15が設けられている。シリンダ9の底部のベースバルブ16には、シリンダ室9bとリザーバ10との間を連通させる油路17およびこの油路17のリザーバ10側からシリンダ室9b側への油液の流通のみを許容する逆止弁18が設けられている。また、ガイドシール13には、シリンダ室9aとリザーバ10との間を連通させる油路19およびこの油路19のリザーバ10側からシリンダ室9a側への油液の流通のみを許容する逆止弁20が設けられている。
【0015】シリンダ9のガイドシール13側の外周部には、略円筒状の通路部材21が嵌合されており、シリンダ9と通路部材21との間に環状油路22が形成されている。環状油路22は、シリンダ9のガイドシール13付近の側壁に設けられた油路23(油孔)およびオリフィス24,25(油孔)によってシリンダ室9aに連通されている。油路23およびオリフィス24,25は、シリンダ9の軸方向に沿って中央部側からガイドシール13側へ向かってこの順に配置されており、ピストンロッド12が伸び側のストローク端付近までストロークしたとき、ピストン11によって順次閉鎖されるようになっている。
【0016】また、シリンダ9のベースバルブ16側の外周部には、略円筒状の通路部材26が嵌合されており、シリンダ9と通路部材26との間に環状油路27が形成されている。環状油路27は、シリンダのベースバルブ16付近の側壁に設けられた油路28(油孔)およびオリフィス29,30(油孔)によってシリンダ室9bに連通されている。油路28およびオリフィス29,30は、シリンダ9の軸方向に沿って中央部側からベースバルブ16側へ向かってこの順に配置されており、ピストンロッド12が縮み側のストローク端付近までストロークしたとき、ピストン11によって順次閉鎖されるようになっている。
【0017】通路部材21,26の環状油路22,27には、それぞれ接続管31,32の一端が接続されており、接続管31,32の他端は、外筒8の側面部に取付けられた減衰力調整機構33(減衰力調整手段を有する減衰弁)に接続されている。接続管31には、環状油路22側から減衰力調整機構33側への油液の流通のみを許容する逆止弁34が設けられている。また、減衰力調整機構33は、外筒8の側壁に設けられた油路35によってリザーバ10に接続されている。
【0018】減衰力調整機構33には、接続管31,32および油路35にそれぞれ連通する油路36,37,38が設けられている。油路36,37間は、伸び側減衰弁39(パイロット型圧力制御弁)、伸び側固定オリフィス40および伸び側可変オリフィス41を介して連通されている。また、油路37,38間は、縮み側減衰弁42(パイロット型圧力制御弁)、縮み側固定オリフィス43および縮み側可変オリフィス44を介して連通されている。
【0019】そして、伸び側可変オリフィス41の流路面積を変化させることにより、油路36,37間の流路面積を直接調整すると同時に、パイロット圧力を変化させて伸び側減衰弁39の開弁圧力を調整できるようになっている。また、縮み側可変オリフィス44の流路面積を変化させることにより、油路37,38間の流路面積を直接調整すると同時に、パイロット圧力を変化させて縮み側減衰弁42の開弁圧力を調整できるようになっている。
【0020】図2および図3に概略的に示すように、減衰力可変ダンパ7は、図6に示す従来のものと同様、鉄道車両1の横ゆれ制振装置の台車3と車体4との間に装着される。なお、図2および図3においては、図6に示すのものと同様の部分には同一の番号を付している。
【0021】以上のように構成した第1実施形態の作用について次に説明する。
【0022】ピストンロッド12の伸び行程時には、ピストン11の移動にともない、ガイドシール13に設けられた油路19の逆止弁20が閉じてシリンダ室9a側の油液が加圧されて、油路23(オリフィス24,25)および環状油路22を通り、逆止弁34を開いて接続管31を流れ、さらに、油路36、伸び側固定オリフィス40、伸び側可変オリフィス41、油路37、接続管32、環状油路27および油路28(オリフィス29,30)を通ってシリンダ室9bへ流れる。このとき、シリンダ室9a側の圧力が伸び側減衰弁39の開弁圧力に達すると、伸び側減衰弁39が開いて油液が油路36から油路37へ伸び側減衰弁39を介して流れる。一方、ピストン11の移動にともなうシリンダ室9bの容積増加分の油液がベースバルブ16に設けられた油路17の逆止弁18を開いてリザーバ10からシリンダ室9bへ流れる。
【0023】したがって、伸び行程時には、ピストン速度が低く伸び側減衰弁39の開弁前には、伸び側可変オリフィス41の流路面積に応じてオリフィス特性(減衰力がピストン速度の2乗にほぼ比例する)の減衰力が発生し、ピストン速度が高くなり、シリンダ室9a側の圧力が上昇して伸び側減衰弁39が開くと、その開度に応じてバルブ特性(減衰力がピストン速度にほぼ比例する)の減衰力が発生する。そして、伸び側可変オリフィス41の流路面積を変化させることにより、オリフィス特性を直接調整すると同時に、これによってパイロット圧力を変化させて伸び側減衰弁39の開弁圧力、すなわち、バルブ特性を調整することができる。
【0024】また、ピストンロッド12の縮み行程時には、ピストン11の移動にともない、ベースバルブ16に設けられた油路17の逆止弁18が閉じてシリンダ室9b側の油液が加圧されて、油路28(オリフィス29,30)、環状油路27、接続管32、油路37、縮み側固定オリフィス43、縮み側可変オリフィス44、油路38および油路35を通ってリザーバ10へ流れる。このとき、シリンダ室9b側の圧力が縮み側減衰弁42の開弁圧力に達すると、縮み側減衰弁42が開いて油液が油路37から油路38へ縮み側減衰弁42を介して流れる。なお、接続管31の逆止弁34が閉じることにより、伸び側可変オリフィス41の流路面積にかかわらず、油液が油路37からシリンダ室9a側へ流れることはないので、シリンダ室9aには、その容積増加分の油液がリザーバ10からガイドシール13に設けられた油路19の逆止弁20を開いて流入する。
【0025】したがって、縮み行程時には、ピストン速度が低く縮み側減衰弁42の開弁前には、縮み側可変オリフィス44の流路面積に応じてオリフィス特性の減衰力が発生し、ピストン速度が高くなり、シリンダ9側の圧力が上昇して縮み側減衰弁42が開くと、その開度に応じてバルブ特性の減衰力が発生する。そして、縮み側可変オリフィス44の流路面積を変化させることにより、オリフィス特性を直接調整すると同時に、これによってパイロット圧力を変化させて縮み側減衰弁42の開弁圧力、すなわち、バルブ特性を調整することができる。
【0026】次に、減衰力可変ダンパ7のピストンロッド12のストローク端付近における減衰力増大機能について図2ないし図4を参照して説明する。
【0027】図2に示すように、横ゆれ制振装置に減衰力可変ダンパ7を装着した鉄道車両1が右カーブの曲線軌道上を通過する場合、車体4は、超過遠心加速度a1によって曲線軌道の外側へ向かって変位する。このとき、曲線軌道のレール6が内側へ大きく振れており(振れの方向を矢印b1で示す)、車体4がさらに外側へ変位して、減衰力可変ダンパ7のピストンロッド12が、その伸び側のストローク端付近の所定位置まで伸長すると、ピストン11がシリンダ9の側壁の油路23の開口部を閉鎖する。
【0028】これにより、シリンダ室9aから減衰力調整機構33へ流れる油液は、オリフィス24,25によって絞られることになり、減衰力が増大する。さらに、ピストンロッド12が伸び側へストロークすると、ピストン11によってオリフィス24,25が順次閉鎖されて、減衰力がさらに増大する。なお、油路23およびオリフィス24,25の閉鎖によってシリンダ室9a内の圧力が上昇して所定圧力に達すると、ピストン11に設けられたリリーフ弁14が開いてシリンダ室9a内の油液をシリンダ室9bへリリーフして圧力の過度の上昇を防止する。
【0029】また、図3示すように、減衰力可変ダンパ7を装着した鉄道車両1が左カーブの曲線軌道上を通過する場合、車体4は、超過遠心加速度a2によって曲線軌道の外側へ向かって変位する。このとき、曲線軌道のレール6が内側へ大きく振れており(振れの方向を矢印b2で示す)、車体4がさらに外側へ変位して、減衰力可変ダンパ7のピストンロッド12が、その縮み側のストローク端付近の所定位置まで短縮すると、ピストン11がシリンダ9の側壁の油路28の開口部を閉鎖する。
【0030】これにより、シリンダ室9bから減衰力調整機構33へ流れる油液は、オリフィス29,30によって絞られることになり、減衰力が増大する。さらに、ピストンロッド12が縮み側へストロークすると、ピストン11によってオリフィス29,30が順次閉鎖されて、減衰力がさらに増大する。なお、油路28およびオリフィス29,30の閉鎖によってシリンダ室9b内の圧力が上昇して所定圧力に達すると、ピストン11に設けられたリリーフ弁15が開いてシリンダ室9b内の油液をシリンダ室9aへリリーフして圧力の過度の上昇を防止する。
【0031】ピストンロッド12が一定速度でストロークしたときのストロークと減衰力との関係を図4に示す。ピストンロッド12が伸び側または縮み側のストローク端付近までストロークすると、ピストン11によって、先ず油路23または油路28が閉鎖されて、減衰力が増大し、さらに、ピストンロッド12がストローク端側へストロークすると、次いでオリフィス24,25またはオリフィス29,30が順次閉鎖されて、減衰力が段階的に増大する。
【0032】このように、減衰力調整機構33の状態にかかわらず、ピストンロッド12の伸び側および縮み側のストローク端付近で充分大きな減衰力を発生させることができるので、減衰力調整機構33の減衰力特性がソフト側に設定されている場合にレール6が急激に大きく振られて、コントローラによるハード側への切換制御に遅れが生じた場合、あるいは、伸び側および縮み側可変オリフィス41,44がフェイルによってソフト側に固着した場合等においても、ピストンロッド12のストローク端付近で充分大きな減衰力を発生させることができ、車体4のストッパへの衝突を確実に防止および緩衝することができる。その結果、車輪2がレール6に大きな横圧を作用させ、また、その反作用で車体4に急激な横ゆれが発生するのを防止することができるので、レール6の損傷を低減することができ、また、乗り心地を向上させることができる。
【0033】この場合、簡単な機械的構造によってピストンロッドのストローク端付近において確実に減衰力を増大させることができ、電気的なセンサおよび制御手段等を必要としないので、信頼性が高く、かつ、製造コストも高価になることがない。なお、ピストンロッドのストローク端付近における減衰力の増大特性は、ピストンによって閉鎖される油路およびオリフィスの形状、数、配置およびピストン形状等によって様々に設定することができる。
【0034】次に本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。なお、第2実施形態は、図1に示す第1実施形態に対して、減衰力調整機構33の代わりに比例減衰弁を設けこと以外は概して同様の構造であるから、以下、図1のものと同様の部分には同一の番号を付して異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0035】図5に示すように、第2実施形態のダンパ45は、シリンダ9の油路23およびオリフィス24,25の外周部にバルブ部材46が嵌合されて、シリンダ9とバルブ部材46との間に油路23およびオリフィス24,25に連通する環状油路47が形成されている。バルブ部材46には、環状油路47とリザーバ10とを連通させる油路48およびこの油路48の油液の流動を制御して減衰力を発生させる伸び側比例減衰弁49(減衰弁)が設けられている。伸び側比例減衰弁49は、油路48の環状油路47側からリザーバ10側への一方への油液の流通を許容するとともに、環状油路47側の圧力がその流量にほぼ比例するような特性を有するものである。
【0036】また、シリンダ9の油路28およびオリフィス29,30の外周部にバルブ部材50が嵌合されて、シリンダ9とバルブ部材50との間に油路28およびオリフィス29,30に連通する環状油路51が形成されている。バルブ部材50には、環状油路51とリザーバ10とを連通させる油路52およびこの油路51の油液の流動を制御して減衰力を発生させる縮み側比例減衰弁53(減衰弁)が設けられている。縮み側比例減衰弁53は、油路52の環状油路51側からリザーバ10側への一方への油液の流通を許容するとともに、環状油路51側の圧力がその流量にほぼ比例するような特性を有するものである。
【0037】このように構成したことにより、ピストンロッド12の伸び行程時には、上記第1実施形態のものと同様に逆止弁20が閉じてシリンダ室9a内の油液が加圧され、この油液が油路23(オリフィス24,25)、環状油路47および油路48を通ってリザーバ10へ流れて、伸び側比例減衰弁49によって減衰力が発生する。このとき、環状油路47すなわちシリンダ室9aの圧力が伸び側比例減衰弁49を流れる油液の流用にほぼ比例するので、ピストン速度にほぼ比例したバルブ特性の減衰力を得ることができる。一方、シリンダ室9bの容積増加分の油液が逆止弁18を開いてリザーバ10からシリンダ室9bへ流れる。
【0038】また、ピストンロッド12の縮み行程時には、上記第1実施形態のものと同様に逆止弁18が閉じてシリンダ室9b内の油液が加圧され、この油液が油路28(オリフィス29,30)、環状油路51および油路52を通ってリザーバ10へ流れて、縮み側比例減衰弁53によって減衰力が発生する。このとき、環状油路52すなわちシリンダ室9bの圧力が縮み側比例減衰弁53を流れる油液の流用にほぼ比例するので、ピストン速度にほぼ比例したバルブ特性の減衰力を得ることができる。一方、シリンダ室9aの容積増加分の油液が逆止弁20を開いてリザーバ10からシリンダ室9aへ流れる。
【0039】そして、ピストンロッド12が伸び側または縮み側のストローク端付近までストロークすると、上記第1実施形態と同様、ピストン11が油路23およびオリフィス24,25または油路28オリフィス29,30を順次閉鎖することにより、シリンダ室9aまたは9bからリザーバ10への油液の流れが順次絞られて、減衰力が段階的に増大する。これにより、ピストンロッド12のストローク端付近において、上記第1実施形態と同様の作用および効果を奏することができる。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に係るダンパは、減衰弁を有する油路をシリンダの側壁に軸方向に沿って配置された複数の油孔を介してシリンダ室に連通させたことにより、ピストンロッドがストローク端付近まで移動すると、ピストンによってシリンダの側壁に設けられた複数の油孔が順次閉鎖されて、ピストンのストロークにともなう油路の油液の流動が順次絞られて減衰力が段階的に大きくなるので、車両制振装置に装着した場合、車体のストッパへの衝突を確実に防止および緩衝することができる。
【0041】また、請求項2に係るダンパは、上記請求項1の構成において、減衰弁に減衰力調整手段を設けたので、減衰力調整手段によって適宜減衰力を調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000003056
【氏名又は名称】トキコ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外2名)
【公開番号】 特開平11−132277
【公開日】 平成11年(1999)5月18日
【出願番号】 特願平9−311365