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【発明の名称】 免震装置
【発明者】 【氏名】加治木 茂明

【要約】 【課題】全ての水平方向の振動に応答させることができ、構造物に適用しても高さの低いものとし得る上に、それ程広い占有面積でなくても安定して構造物を支持することができ、しかも、廉価、簡易構成となる免震装置及びこの免震装置を用いた免震構造体を提供する。

【解決手段】下部基台2と上部基台3との間に介在されており、作動子としてローラ35を有した振り子型免震機構4と、下部基台2に対して免震機構4を水平面内であって、当該水平面に直交する回転軸心5の周りでA方向に回転自在とするように、下部基台2と免震機構4との間に介在された下部ベアリング機構6と、免震機構4に対して上部基台3を水平面内であって、回転軸心5の周りでA方向に回転自在とするように、免震機構4と上部基台3との間に介在された上部ベアリング機構7とを具備している。非作動時におけるローラ35の転がり軸心41を通る垂直軸42は、回転軸心5から偏心している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部基台と、上部基台と、下部基台と上部基台との間に介在された振り子型免震機構と、下部基台に対して振り子型免震機構を水平面内で回転自在とするように、下部基台と振り子型免震機構との間に介在された下部ベアリング機構と、振り子型免震機構に対して上部基台を水平面内で回転自在とするように、振り子型免震機構と上部基台との間に介在された上部ベアリング機構とを具備しており、振り子型免震機構は、下部台と、この下部台に対面して且つ下部台に対して可動に配された上部台と、下部台と上部台との間に介在されて、下部台と上部台とに対して水平方向に可動に配された作動子とを具備しており、下部及び上部ベアリング機構による下部基台及び上部基台に対する振り子型免震機構の回転軸心は、非作動時における振り子型免震機構の作動子の中心を通る垂直軸に対して偏心している免震装置。
【請求項2】 振り子型免震機構は、作動子としてローラを具備しており、下部台は、このローラが転がり自在に当接する上面を有しており、上部台は、この下部台の上面に対面して、ローラが転がり自在に当接する下面を有しており、振り子型免震機構は、更に、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において、ローラを下部及び上部台の上面及び下面に沿って転がり移動させるように、ローラを案内する案内手段を具備しており、ローラは、下部及び上部台の上面及び下面の間に介在されて、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において下部及び上部台の上面及び下面の間で転がり移動するように、転がり軸心を有しており、非作動時における作動子の中心は、非作動時でのローラの転がり軸心である請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】 下部及び上部台の上面及び下面の少なくとも一方は、湾曲面として形成されている請求項2に記載の免震装置。
【請求項4】 下部台は、ローラが転がり自在に当接する上面が形成された略直方体形状の下部ローラ受部と、この下部ローラ受部の下面に一体的に形成された板状の下部ベアリング受部とを具備しており、上部台は、ローラが転がり自在に当接する下面が形成された略直方体形状の上部ローラ受部と、この上部ローラ受部の上面に一体的に形成された板状の上部ベアリング受部とを具備しており、案内手段は、ローラの両端面に一体的に形成された鍔を具備しており、この鍔は、下部及び上部ローラ受部のそれぞれの側面に摺動自在に接触している請求項2又は3に記載の免震装置。
【請求項5】 振り子型免震機構は、作動子として摺動子を具備しており、下部台は、この摺動子の下面が摺動自在に当接する上面を有しており、上部台は、この下部台の上面に対面して、摺動子の上面が摺動自在に当接する下面を有しており、振り子型免震機構は、更に、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において、摺動子を下部及び上部台の上面及び下面に沿って摺動させるように、摺動子を案内する案内手段を具備しており、下部台の上面は、下に凸の湾曲面として、上部台の下面は、上に凸の湾曲面としてそれぞれ形成されており、摺動子の下面は、下に凸の湾曲面として形成された下部台の上面と同一の曲率をもった湾曲面として、摺動子の上面は、上に凸の湾曲面として形成された上部台の下面と同一の曲率をもった湾曲面としてそれぞれ形成されており、摺動子は、湾曲面として形成された下部及び上部台の上面及び下面の間に介在されて、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において下部及び上部台の上面及び下面の間で揺動するように、揺動軸心を有しており、非作動時における作動子の中心は、非作動時での摺動子の揺動軸心である請求項1に記載の免震装置。
【請求項6】 下部台は、摺動子の下面が摺動自在に当接する上面が形成された略直方体形状の下部摺動子受部と、この下部摺動子受部の下面に一体的に形成された板状の下部ベアリング受部とを具備しており、上部台は、摺動子の上面が摺動自在に当接する下面が形成された略直方体形状の上部摺動子受部と、この上部摺動子受部の上面に一体的に形成された板状の上部ベアリング受部とを具備しており、案内手段は、摺動子の両端面に一体的に形成された鍔を具備しており、この鍔は、下部及び上部摺動子受部のそれぞれの側面に摺動自在に接触している請求項5に記載の免震装置。
【請求項7】 下部及び上部ベアリング機構はそれぞれ、スラストベアリング機構とラジアルベアリング機構とを具備しており、スラストベアリング機構は、ボール又はローラベアリングを具備している請求項1から6のいずれか一項に記載の免震装置。
【請求項8】 ラジアルベアリング機構は、ボール若しくはローラベアリング又は滑りベアリングを具備している請求項7に記載の免震装置。
【請求項9】 請求項1から8のいずれか一項に記載の免震装置を少なくとも3個具備しており、この各免震装置の下部基台は、基礎上に設けられており、各免震装置の上部基台上には、台枠が設けられている免震構造体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震等の振動を構造物に伝達させないで、地震等による構造物の振動エネルギを減衰させるように構造物を支持するための免震装置及び免震装置を用いた免震構造体に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば特公昭62−32300号公報に記載され免震装置(本発明ではこのような免震装置を振り子型免震機構という)は、展示台上に載置された美術品又は展示ケース内に収容された美術品の、地震等の振動による転倒を防止して、これら美術品を破壊させないように保護する免震台に用いられる。
【0003】そして、この種の振り子型免震機構を免震台に用いる場合、当該振り子型免震機構が位置方向のみの振動にしか応答し得ないため、通常、一段目が水平面内の一の方向、例えばX方向の振動に応答するように、二段目がこの一方向に直交する他の一の方向、例えばY方向の振動に応答するようにして二段重ねで使用し、これにより全ての水平方向の振動に応答させるようにしている。
【0004】ところで、上記の振り子型免震機構による免震台では、二段重ねであるため嵩高となる上に、各段に同数の振り子型免震機構を設けるために、その費用がかさみ構造が複雑となり、加えて、重心が上方に移動して不安定となるため、免震台を幅広にする必要があり、水平面方向における広い設置空間を必要とする。
【0005】このような問題は、美術品を載置、格納する免震台、免震ケースに振り子型免震機構を用いる場合に限って生じるものではなく、一般の住宅を免震にするためにこれを適用する場合にも生じ得るのである。
【0006】本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、振り子型免震機構を二段重ねで使用しなくても全ての水平方向の振動に応答させることができ、而して、構造物に適用しても高さの低いものとし得る上に、それ程広い占有面積でなくても安定に構造物を支持することができ、しかも、振り子型免震機構の個数を低減し得るので廉価、簡易構成となる免震装置及びこの免震装置を用いた免震構造体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の免震装置は、下部基台と、上部基台と、下部基台と上部基台との間に介在された振り子型免震機構と、下部基台に対して振り子型免震機構を水平面内で回転自在とするように、下部基台と振り子型免震機構との間に介在された下部ベアリング機構と、振り子型免震機構に対して上部基台を水平面内で回転自在とするように、振り子型免震機構と上部基台との間に介在された上部ベアリング機構とを具備しており、振り子型免震機構は、下部台と、この下部台に対面して且つ下部台に対して可動に配された上部台と、下部台と上部台との間に介在されて、下部台と上部台とに対して水平方向に可動に配された作動子とを具備しており、下部及び上部ベアリング機構による下部基台及び上部基台に対する振り子型免震機構の回転軸心は、非作動時における振り子型免震機構の作動子の中心を通る垂直軸に対して偏心している。
【0008】本発明の振り子型免震機構は、作動子としてローラを具備しており、下部台は、このローラが転がり自在に当接する上面を有しており、上部台は、この下部台の上面に対面して、ローラが転がり自在に当接する下面を有しており、ここにおいて、振り子型免震機構は、更に、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において、ローラを下部及び上部台の上面及び下面に沿って転がり移動させるように、ローラを案内する案内手段を具備しており、ローラは、下部及び上部台の上面及び下面の間に介在されて、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において下部及び上部台の上面及び下面の間で転がり移動するように、転がり軸心を有している。この振り子型免震機構においては、非作動時における作動子の中心は、非作動時でのローラの転がり軸心である。
【0009】下部及び上部台の上面及び下面は、作動子として特公昭62−32300号公報に記載の偏心ローラを用いる場合には、それぞれ平坦面として形成してもよいが、このような偏心ローラを用いない場合には、その少なくとも一方を湾曲面として形成する。
【0010】本発明の作動子としてローラを用いた振り子型免震機構においては、下部台は、ローラが転がり自在に当接する上面が形成された略直方体形状の下部ローラ受部と、この下部ローラ受部の下面に一体的に形成された板状の下部ベアリング受部とを具備しており、上部台は、ローラが転がり自在に当接する下面が形成された略直方体形状の上部ローラ受部と、この上部ローラ受部の上面に一体的に形成された板状の上部ベアリング受部とを具備しており、案内手段は、ローラの両端面に一体的に形成された鍔を具備しており、この鍔は、下部及び上部ローラ受部のそれぞれの側面に摺動自在に接触している。
【0011】なお、上記の振り子型免震機構において、ローラの転がり移動に際して、これが当接する上面及び下面に対して滑らないように、ローラの外周面並びに上面及び下面に歯を形成して、これらを互いに噛み合わせるようにしてもよく、また、ローラに一体的にピニオンを設け、このピニオンを上面及び下面に形成されたラック歯に噛み合わせるようにしてもよい。
【0012】本発明の振り子型免震機構は、作動子として摺動子を具備したものであってもよく、この場合、下部台は、この摺動子の下面が摺動自在に当接する上面を有しており、上部台は、この下部台の上面に対面して、摺動子の上面が摺動自在に当接する下面を有しており、振り子型免震機構は、更に、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において、摺動子を下部及び上部台の上面及び下面に沿って摺動させるように、摺動子を案内する案内手段を具備しており、下部台の上面は、下に凸の湾曲面として、上部の下面は、上に凸の湾曲面としてそれぞれ形成されており、摺動子の下面は、下に凸の湾曲面として形成された下部台の上面と同一の曲率をもった湾曲面として、摺動子の上面は、上に凸の湾曲面として形成された上部台の下面と同一の曲率をもった湾曲面としてそれぞれ形成されており、摺動子は、湾曲面として形成された下部及び上部台の上面及び下面の間に介在されて、下部基台に対する上部基台の水平面内での移動において下部及び上部台の上面及び下面の間で揺動するように、揺動軸心を有している。この振り子型免震機構においては、非作動時における作動子の中心は、非作動時での摺動子の揺動軸心である【0013】本発明の作動子として摺動子を有する振り子型免震機構においては、下部台は、摺動子の下面が摺動自在に当接する上面が形成された略直方体形状の下部摺動子受部と、この下部摺動子受部の下面に一体的に形成された板状の下部ベアリング受部とを具備しており、上部台は、摺動子の上面が摺動自在に当接する下面が形成された略直方体形状の上部摺動子受部と、この上部摺動子受部の上面に一体的に形成された板状の上部ベアリング受部とを具備しており、案内手段は、摺動子の両端面に一体的に形成された鍔を具備しており、この鍔は、下部及び上部摺動子受部のそれぞれの側面に摺動自在に接触している。
【0014】本発明において、下部及び上部ベアリング機構はそれぞれ、スラストベアリング機構とラジアルベアリング機構とを具備しており、スラストベアリング機構は、ボール又はローラベアリングを具備しており、ラジアルベアリング機構は、ボール若しくはローラベアリング又は滑りベアリングを具備している。
【0015】本発明の上記の免震装置を少なくとも3個を平面的に配して構造物、例えば住宅又は美術品の展示台若しくは展示ケースを免震支持する。この場合、各免震装置の下部基台を基礎上に設け、各免震装置の上部基台上に、住宅の床又は美術品の展示台若しくは展示ケースの台枠を設けて、免震構造体を構成する。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されないのである。
【0017】
【実施例】図1及び図2において本例の免震装置1は、下部基台2と、下部台2に対面して且つ下部台2に対して可動に配された上部基台3と、下部基台2と上部基台3との間に介在されており、水平方向に可動な作動子としてローラ35を有した振り子型免震機構4と、下部基台2に対して振り子型免震機構4を水平面内であって、当該水平面に直交する回転軸心5の周りでA方向に回転自在とするように、下部基台2と振り子型免震機構4との間に介在された下部ベアリング機構6と、振り子型免震機構4に対して上部基台3を水平面内であって、回転軸心5の周りでA方向に回転自在とするように、振り子型免震機構4と上部基台3との間に介在された上部ベアリング機構7とを具備している。
【0018】平面形状において矩形状の下部基台2には、上方に開口して、回転軸心5を中心とした環状凹所11と、同じく上方に開口して、回転軸心5を中心とした円柱状凹所12とがその上面側に形成されている。好ましくは、下部基台2は、金属製の本体14と、環状凹所11において本体14の上に配された天然若しくは合成ゴム等からなる弾性板15と、弾性板15の上に配された剛性(硬質)の金属板16とを具備しており、金属板16の上面露出面を環状凹所11の底面13とする。
【0019】平面形状において矩形状の上部基台3には、下方に開口して、回転軸心5を中心とした環状凹所21と、同じく下方に開口して、回転軸心5を中心とした円柱状凹所22とがその下面側に形成されている。下部基台2と同様に、好ましくは、上部基台3は、金属製の本体24と、環状凹所21において本体24の下に配された天然若しくは合成ゴム等からなる弾性板25と、弾性板25の下に配された剛性(硬質)の金属板26とを具備しており、金属板26の下面露出面を環状凹所21の天井面23とする。
【0020】振り子型免震機構4は、上面に下に凸の湾曲面31が形成された下部台32と、下部台32の湾曲面31に対面して、下面に上に凸の湾曲面33が形成された上部台34と、下部及び上部台32及び34のそれぞれの湾曲面31及び33に転がり接触しており、下部及び上部台32及び34の間に介在されて、下部基台2に対する上部基台3の水平面内での移動において下部及び上部台32及び34の上面及び下面の間で転がり移動するように、転がり軸心41を有した上記の作動子としてのローラ35と、下部基台2に対する上部基台3の水平面内での移動において、ローラ35を、下部及び上部台32及び34のそれぞれの湾曲面31及び33に沿って転がり移動するように、案内する案内手段36とを具備している。
【0021】湾曲面31及び33の曲率中心は、振り子型免震機構4の非作動時におけるローラ35の転がり軸心41に位置しており、非作動時におけるローラ35の転がり軸心41を通る垂直軸42は、回転軸心5から偏心している。このように本例では、非作動時における振り子型免震機構の作動子の中心は、非作動時におけるローラ35の転がり軸心41で定義付けることができる。
【0022】下部台32は、上面に湾曲面31が形成された略直方体形状の下部ローラ受部45と、下部ローラ受部45の下面に一体的に形成されて、下面に柱状軸部46を一体的に有した円板状の下部ベアリング受部47とを具備している。
【0023】上部台34は、下面に湾曲面33が形成された略直方体形状の上部ローラ受部48と、上部ローラ受部48の上面に一体的に形成されて、上面に柱状軸部49を一体的に有した円板状の上部ベアリング受部50とを具備している。
【0024】案内手段36は、ローラ35の両端面に一体的に形成された一対の鍔51及び52を具備しており、鍔51及び52はそれぞれ、下部及び上部ローラ受部45及び48のそれぞれの対応の側面53及び54並びに55(上部ローラ受部48の側面55に対向する側面は図示せず)に摺動自在に接触している。なお、一対の鍔51及び52が摺動自在に接触する側面53及び54並びに55と当該側面53及び54並びに55に摺動自在に接触する一対の鍔51及び52の側面とのいずれか少なくとも一方を低摩擦部材から形成するとよい。
【0025】湾曲面31及び33のそれぞれの両端において、下部及びローラ受部45及び48には、ローラ35の転がり移動を限定する突状部56及び57が形成されている。
【0026】下部ベアリング機構6は、環状凹所11に配されたスラストベアリング機構61と、円柱状凹所12に配されたラジアルベアリング機構62とを具備している。
【0027】スラストベアリング機構61は、底面13及び下部ベアリング受部47の下面にそれぞれ回転自在に接触する多数の鋼製のボール63と、ボール63を回転自在に支持する支持部材64とを具備している。
【0028】ラジアルベアリング機構62は、柱状軸部46の周面と円柱状凹所12の側壁面との間にA方向に回転自在に嵌装されたブッシュ軸受65からなる。
【0029】上部ベアリング機構7は、下部ベアリング機構6と同様に構成されており、環状凹所21に配されたスラストベアリング機構71と、円柱状凹所22に配されたラジアルベアリング機構72とを具備している。
【0030】スラストベアリング機構71は、天井面23及び上部ローラ受部50の下面にそれぞれ回転自在に接触する多数の鋼製のボール73と、ボール73を回転自在に支持する支持部材74とを具備している。
【0031】ラジアルベアリング機構72は、柱状軸部49の周面と円柱状凹所22の側壁面との間にA方向に回転自在に嵌装されたブッシュ軸受75からなる。
【0032】なお、スラストベアリング機構61及び71には、上記のようなボールベアリングに代えて、ローラベアリング又は滑りベアリングを用いてもよく、また、ラジアルベアリング機構62及び72には、上記のような滑りベアリングに代えて、ボール若しくはローラベアリングを用いてもよい。
【0033】下部ベアリング機構6による下部基台2に対する振り子型免震機構4の回転軸心5は、非作動時、すなわち、図1に示すように下部基台2に対して上部基台3が水平方向に相対移動されずに、ローラ35が湾曲面31及び33の中央に位置する時における振り子型免震機構4のローラ35の転がり軸心41を通る垂直軸42に対して偏心している。
【0034】同じく上部ベアリング機構7による上部基台3に対する振り子型免震機構4の回転軸心5は、非作動時における振り子型免震機構4のローラ35の転がり軸心41を通る垂直軸42に対して偏心している。
【0035】以上の免震装置1は、図3及び図4に示すように、4個用いられて構造物81を免震支持する。すなわち、各免震装置1は、その下部基台2が基礎82上に固定して設けられ、各免震装置1の上部基台3上には、各上部基台3を互いに連結する台枠83が固定されて設けられ、台枠83上に、構造物81が載置、固定される。
【0036】図3及び図4に示す免震構造体91において、地震等により構造物81が基礎82に対して水平面内でX方向に相対的に移動されようとすると、ローラ35が湾曲面31及び33上を転がり、これにより基礎82に対して構造物81に上下方向の振動を生じさせ、この構造物81の上下方向の振動で、構造物81の基礎82に対する水平面内でのX方向の相対的な振動を減衰させる。
【0037】また、地震等により構造物81が基礎82に対して水平面内でX方向に直交するY方向に相対的に移動されようとすると、回転軸心5と垂直軸42との偏心量に基づいた水平面内での回転モーメントが下部及び上部台32及び34に作用し、而して下部及び上部ベアリング機構6及び7により下部及び上部基台2及び3に対してそれぞれ回転自在に配された下部及び上部台32及び34が回転軸心5を中心として水平面内で回転され、ローラ35の転がり可能方向がY方向に向けられて、これによりローラ35がY方向において湾曲面31及び33上を転がり、この転がりで基礎82に対して構造物81に上下方向の振動を生じさせ、この構造物81の上下方向の振動により構造物81の基礎82に対する水平面内でのY方向の相対的な振動を減衰させる。
【0038】以上のように免震装置1においては、これを上下方向に一段だけ配置しても、水平面内のX及びY方向の全方向の振動に対して免震作動を得ることができ、而して高さを低くすることができる上に、構造を極めて簡単にし得る。
【0039】ところで上記では、作動子としてローラ35を有した振り子型免震機構4を具備した免震装置1であるが、これに代えて、図5及び図6に示すような、作動子として摺動子101を有した振り子型免震機構102を具備した免震装置103であってもよい。
【0040】図5及び図6に示す振り子型免震機構102は、水平方向に可動な作動子としての摺動子101と、摺動子101の下面104が摺動自在に当接する上面を有する、下部台32と同様な下部台105と、下部台105の上面に対面して、摺動子101の上面106が摺動自在に当接する下面を有する、上部台34と同様な上部台107と、上記の下部基台2に対する上部基台3の水平面内での移動において、摺動子101を下部及び上部台105及び107の上面及び下面に沿って摺動させるように、摺動子101を案内する案内手段108とを具備している。
【0041】上記と同様に、下部台105の上面は、下に凸の湾曲面110として、上部台107の下面は、上に凸の湾曲面111としてそれぞれ形成されており、摺動子101の下面104は、湾曲面110と同一の曲率をもった湾曲面として、摺動子101の上面106は、湾曲面111と同一の曲率をもった湾曲面としてそれぞれ形成されており、摺動子101は、湾曲面110及び111として形成された下部及び上部台105及び107の上面及び下面の間に介在されて、下部基台2に対する上部基台3の水平面内での移動において下部及び上部台105及び107の上面及び下面の間でB方向に揺動するように、揺動軸心120を有している。
【0042】湾曲面110及び111の曲率中心は、振り子型免震機構102の非作動時における摺動子101の揺動軸心120に位置しており、非作動時における摺動子101の揺動軸心120を通る垂直軸121は、前記の回転軸心5から偏心している。このように本例では、非作動時における振り子型免震機構の作動子の中心は、非作動時における摺動子101の揺動軸心120で定義付けることができる。
【0043】下部台105は、上面に湾曲面110が形成された略直方体形状の下部摺動子受部131と、下部摺動子受部131の下面に一体的に形成されて、下面に柱状軸部132を一体的に有した円板状の下部ベアリング受部133とを具備している。
【0044】上部台107は、下面に湾曲面111が形成された略直方体形状の上部摺動子受部141と、上部摺動子受部141の上面に一体的に形成されて、上面に柱状軸部142を一体的に有した円板状の上部ベアリング受部143とを具備している。
【0045】案内手段108は、摺動子101の両端面に一体的に形成された一対の鍔151及び152を具備しており、鍔151及び152はそれぞれ、鍔51及び52と同様に、下部及び上部摺動子受部131及び141のそれぞれの対応の側面に摺動自在に接触している。
【0046】下部基台2、上部基台3、下部ベアリング機構6及び上部ベアリング機構7は、免震装置1と同様に構成されており、これらの詳細な説明を省略する。
【0047】下部ベアリング機構6による下部基台2に対する振り子型免震機構102の回転軸心5は、非作動時、すなわち、図5に示すように下部基台2に対して上部基台3が水平方向に相対移動されずに、摺動子101が湾曲面110及び111の中央に位置する時における振り子型免震機構102の摺動子101の揺動軸心120を通る垂直軸121に対して偏心している。
【0048】同じく上部ベアリング機構7による上部基台3に対する振り子型免震機構102の回転軸心5は、非作動時における振り子型免震機構102の摺動子101の揺動軸心120を通る垂直軸121に対して偏心している。
【0049】以上の免震装置103を、図3及び図4に示す免震装置1に代えてこれと同様に配置することにより、免震装置1と同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、地震等により構造物81が基礎82に対して水平面内でX方向に相対的に移動されようとすると、摺動子101が湾曲面110及び111上を摺動しながらB方向に揺動し、これにより基礎82に対して構造物81に上下方向の振動を生じさせ、この構造物81の上下方向の振動で、構造物81の基礎82に対する水平面内でのX方向の相対的な振動を減衰させる。
【0050】また、地震等により構造物81が基礎82に対して水平面内でY方向に相対的に移動されようとすると、回転軸心5と垂直軸121との偏心量に基づいた水平面内での回転モーメントが下部及び上部台105及び107に作用し、而して下部及び上部ベアリング機構6及び7により下部及び上部基台2及び3に対してそれぞれ回転自在に配された下部及び上部台105及び107が回転軸心5を中心として水平面内で回転され、摺動子101の摺動可能方向がY方向に向けられて、これにより摺動子101がY方向において湾曲面110及び111上を摺動しながらB方向に揺動し、この摺動で基礎82に対して構造物81に上下方向の振動を生じさせ、この構造物81の上下方向の振動により構造物81の基礎82に対する水平面内でのY方向の相対的な振動を減衰させる。
【0051】なお、免震装置103の場合には、摺動子101の摺動抵抗によっても構造物81の基礎82に対する水平面内での振動が減衰され得る。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、振り子型免震機構を二段重ねで使用しなくても全ての水平方向の振動に応答させることができ、而して、構造物に適用しても高さの低いものとし得る上に、それ程広い占有面積でなくても安定に構造物を支持することができ、しかも、振り子型免震機構の個数を低減し得るので廉価、簡易構成となる。
【出願人】 【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
【公開番号】 特開平11−117991
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−272216