| 【発明の名称】 |
トルク変動制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】金堂 雅彦
【氏名】平野 出穂
【氏名】浦木 洋一
【氏名】浅原 康之
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| 【要約】 |
【課題】トルク変動の高次成分までの必要トルク変動低減量を正確に算出する。
【解決手段】クランク軸に加える加振トルクを調整可能な加振装置31を有するエンジンにおいて、加振装置31の発生する加振トルクを検出手段32が、エンジン−パワートレインの振動加速度を検出手段33がそれぞれ検出し、これら検出値から加振装置31の発生する加振トルクとエンジン−パワートレインの振動加速度との伝達関数を算出手段34が算出する。この伝達関数に基づいてエンジンロール振動を低減するように加振装置31の加振トルクを制御手段35が制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】クランク軸に加える加振トルクを調整可能な加振装置を有するエンジンにおいて、前記加振装置の発生する加振トルクを検出する手段と、エンジン−パワートレインの振動加速度を検出する手段と、これら検出値から前記加振装置の発生する加振トルクとエンジン−パワートレインの振動加速度との伝達関数を算出する手段と、この伝達関数に基づいてエンジンロール振動を低減するように前記加振装置の加振トルクを制御する手段とを設けたことを特徴とするトルク変動制御装置。 【請求項2】前記加振装置によりエンジン始動時に既知のインパルス入力を与えたときのエンジンロール振動の変化より前記伝達関数を算出することを特徴とする請求項1に記載のトルク変動制御装置。 【請求項3】ロール振動が問題となる運転条件であってエンジン始動後初めて経験する運転条件の初期状態で前記加振装置により既知の入力を与えたときのエンジンロール振動の変化より前記伝達関数を算出することを特徴とする請求項1に記載のトルク変動制御装置。 【請求項4】前記加振装置はモータジェネレータであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のトルク変動制御装置。 【請求項5】前記モータジェネレータをスタータとして兼用させ、フライホイールのリングギアと噛み合うようにするとともに、エンジン側壁に剛に結合してモータジェネレータの加振力の反作用がエンジンブロックに作用するように設けることを特徴とする請求項4に記載のトルク変動制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、燃焼加振力や慣性力により発生するエンジンのトルク変動をアクティブに低減するための装置に関する。 【0002】 【従来の技術】オルタネータもしくはモータジェネレータの負荷をエンジンが発生するトルクとは逆相で発生させることによりクランク軸のトルク変動を低減することが可能となる。この場合、トルク変動は回転系のイナーシャにクランク軸の回転角加速度を乗じたもので表現可能であるから、クランク軸の回転角速度を検出し、この値を微分演算して回転角加速度を求め、この値に比例させてトルク変動を求め、このトルク変動の位相を考慮して逆相のトルク負荷を発生させるようにしたものがある(1993年の機械学会論文集(C編)59巻560号(論文No.92−1175)の「電気補機のアクティブトルク制御による自動車アイドリング振動低減」参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来装置のように、トルク変動の検出のため、クランク軸の回転角速度を検出し、この値の微分演算によって回転角加速度を求めるのでは、回転角加速度の検出精度が低い。また、回転角速度を検出するにはクランク軸(あるいはこれに同期して回転する軸)の回転に応じて所定数のパルスを発生させることになるが、クランク軸1回転当たりの検出パルス数が少ないと、変動トルクの高次成分の検出精度が一層低くなる(パルス数を大きくするとサンプリング周波数を改善する必要が発生しコスト高となる)。 【0004】さらに、自動変速機のギア位置がNレンジにあるときとDレンジにあるときとでエンジン状態が変化するのに、ギア位置に関係なくクランク軸の回転変動を検出するのではロール振動を低減するための制御精度が不十分となる(トランスミッション側の回転変動も考慮する必要がある)。 【0005】そこで本発明は、ロール振動加速度と加振装置からのトルク入力との伝達関数を所定の運転条件で算出し、ロール振動が問題となる運転条件になると、この伝達関数に基づいてロール振動を低減するように制御することにより、トルク変動の高次成分までの必要トルク変動低減量を正確に算出することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、図6に示すように、クランク軸に加える加振トルクを調整可能な加振装置31を有するエンジンにおいて、前記加振装置31の発生する加振トルクを検出する手段32と、エンジン−パワートレインの振動加速度を検出する手段33と、これら検出値から前記加振装置31の発生する加振トルクとエンジン−パワートレインの振動加速度との伝達関数を算出する手段34と、この伝達関数に基づいてエンジンロール振動を低減するように前記加振装置31の加振トルクを制御する手段35とを設けた。 【0007】第2の発明では、第1の発明において前記加振装置によりエンジン始動時に既知のインパルス入力を与えたときのエンジンロール振動の変化より前記伝達関数を算出する。 【0008】第3の発明は、第1の発明においてロール振動が問題となる運転条件であってエンジン始動後初めて経験する運転条件の初期状態で前記加振装置により既知の入力を与えたときのエンジンロール振動の変化より前記伝達関数を算出する。 【0009】第4の発明では、第1から第3までのいずれか一つの発明において前記加振装置がモータジェネレータである。 【0010】第5の発明は、第4の発明において前記モータジェネレータをスタータとして兼用させ、フライホイールのリングギアと噛み合うようにするとともに、エンジン側壁に剛に結合してモータジェネレータの加振力の反作用がエンジンブロックに作用するように設ける。 【0011】 【発明の効果】第1の発明では、伝達関数の逆数にエンジン−パワートレインの振動加速度を乗ずることにより、エンジン−パワートレインの振動を低減するために必要な加振トルクを求めているので、従来装置と比較して微分演算が必要でなく、トルク変動の高次成分までの必要トルク変動低減量を正確に算出できる。この結果、アイドル振動やロックアップこもり音が大幅に低減可能である。 【0012】エンジン始動時はもともと外乱が発生するタイミングであるから、第2の発明によりエンジン始動時に加振装置による加振力を加えても振動の違和感を感知させることなく伝達特性の把握が可能となる。 【0013】第3の発明では、制御対象の変動(つまり、同じ運転条件でもガタの違い(個体差、経時変化など)により、また同じ個体、同じ回転数でも負荷により伝達関数が変化するということ)に追従してきめ細かく制御可能である。言い換えると、ロール振動をどの使用状況にあっても直接的にキャンセル可能である。また、エンジン始動後2度目以降にロール振動が問題となる運転条件となったときにも伝達関数を算出するのでは、その都度、加振力による振動の違和感を感知させることになるが、第3の発明ではそうしたこともなくなる。 【0014】ベルトはトルクを伝達しようとする場合に伸縮する。この場合、補機やプーリをイナーシャ、またベルトを伸縮方向のバネとして、たとえば20Hzから30Hzのあいだに共振点が存在する(エンジンの回転速度では1200rpm程度)ため、共振周波数以上ではトルクが同相で伝わらなくなる。したがって、エンジンの燃焼タイミングに合わせてモータジェネレータに発生させるトルクを制御し続けると位相が合わなくなり、かえってトルク変動を大きくしてしまうことがある。これに対して、第5の発明では、ベルト(あるいはチェーン)駆動方式によるこうした駆動系共振の影響を受けることがなく、正確な伝達特性の把握やトルク変動低減制御が可能となる。 【0015】 【発明の実施の形態】図1はパワープラント1(エンジン−パワートレイン)の斜視図である。図において、3はシリンダブロック、4はアルミ製のオイルパン、5は板金製のオイル溜まり、6はシリンダブロック3にボルトで一体結合されているシリンダヘッド、7はシリンダヘッド6を覆うロッカーカバーで、これらからエンジン2が構成され、このエンジン2にトルクコンバータ(図示しない)を介してパワートレインとしてのトランスミッション8が接続される。エンジンおよびパワートレインからなるこのパワープラント1は、図3に示したようにエンジンマウント9を介して車体10に固定される。 【0016】本来、エンジンは燃焼加振力によるピストンの往復運動をコンロッドとクランク軸によるリンク機構から回転出力に変換しているが、燃焼加振力が大きく変動していると、クランク-コンロッド機構の揺動からトルク変動が発生する。このトルク変動は、フライホイール、クラッチ(またはトルクコンバータ)を介してトランスミッションに伝達される。一方、クランク軸に作用するこれらのトルク変動は、反作用としてエンジンブロックにも加振力として加わる。この結果、エンジンがロール振動し、エンジンマウントへの変位加振となって車体へ加振力が伝達される。これらの現象は、アイドル時にはアイドル振動としてステアリングや車体のフロア振動を増大させ、また定常ロックアップ走行時にはロックアップこもり音などとして問題になる。 【0017】この場合、オルタネータもしくはモータジェネレータの負荷をエンジンが発生するトルクとは逆相で発生させることにより(正確にはオルタネータの場合は吸収トルクを大きくしたり小さくしたりしている)、クランク軸のトルク変動を低減することが可能となるため、クランク軸の回転角速度を微分演算することによって回転角加速度を求め、これに比例させてトルク変動を求め(トルク変動は、回転系のイナーシャに回転角加速度を乗じたもので表現可能)、このトルク変動の位相を考慮して逆相のトルク負荷を発生させるようにしたものが提案されているが、クランク軸の回転角速度の微分演算によって回転角加速度を求めるのでは、回転角加速度の検出精度が低いし、トランスミッションのギア位置がNレンジにあるときとDレンジにあるときとでエンジン状態が変化するのに、ギア位置に関係なくクランク軸の回転変動を検出するだけではロール振動を低減するための制御精度が不十分である。 【0018】これに対処するため本発明では、エンジンのロール振動加速度(エンジン−パワートレインの振動加速度)と加振装置からのトルク入力との伝達関数を運転中に算出し、この運転中に得た伝達関数に基づいてロール振動を低減するように制御する。 【0019】このため、シリンダブロック3の一部には、ロール方向振動を検出するための加速度ピックアップ11が装着されている。このピックアップ11の装着位置は、パワープラント1の慣性主軸25(図3参照)からなるべく離れていてかつロール振動の接線方向に加速度ピックアップ11の主軸が向くように配向することが望ましい。 【0020】シリンダブロック3の側壁には加振装置として働くとともにスタータを兼用するモータジェネレータ12が台座13を介して固定される。加振装置として働くときはインバータ14(図3参照)からの出力に応じて駆動され、モータジェネレータ12の発生するトルクが加振トルクとしてパワープラント1の全体に作用する。 【0021】このモータジェネレータ12からの加振トルクをエンジンが発生するトルクと逆相で発生させることにより、クランク軸のトルク変動を低減することが可能となる。さらに説明すると、トルク変動を低減するための原理図である図2において、エンジンの燃焼加振力によりピストンサイドフォースがライナに作用しているが、これの反力がクランク軸に加わったものがクランク軸中心より右に向かう図示の力F1で、この力F1と燃焼加振力とでエンジン2を反時計回りに回転させようとする力となる。これに対して、モータジェネレータ12より右斜め上に向かう力F2とクランク軸中心より左下に向かう力F3はギアのかみ合いによる反力で、r1+r2の距離分を腕としてエンジン1を時計方向に回転させる偶力となる。この偶力が上記の燃焼加振力に伴う反時計回りの力をキャンセルするのである。 【0022】なお、図2において、メインフライホイールのイナーシャをI1(2リッタークラスのガソリンエンジンであれば0.1kgm2程度)、サブホイールとしてのモータジェネレータのイナーシャをI2としたとき、I2は理想的にはギア比(r1/r2)の逆数をI1に乗じた値であることが望ましい。したがって、スペースの関係でこの値にまでモータジェネレータのイナーシャを大きくとれないときは、その分だけロール振動の低減効果が少なくなる。 【0023】図3は図1に示したメカ構成に電気回路を追加したものである。 【0024】加速度ピックアップ11の出力は、出力が安定している電圧タイプのものが望ましく、アンプ21に入力させる。このアンプ21からの出力信号のうち不要な高周波成分をカットするため(加速度出力は一般的に高周波数領域ほど大きいためオーバーロードを意識するとS/N比が低下するので)、ローパスフィルタ22を介して演算装置23に入力させる。 【0025】エンジン回転数、ブースト圧、トランスミッションのギア位置などの信号が入力される演算装置23では、所定の運転条件でモータジェネレータ12を加振装置として働かせ、このときのロール振動加速度とモータジェネレータ12からのトルク入力との伝達関数Hを求め、その後にエンジンのロール振動が問題となる運転条件になると、この伝達関数Hに基づいて加振装置としてのモータジェネレータ12に与える制御トルクを求め、この制御トルクによりロール振動を低減するように制御する。 【0026】主にマイコンからなる演算装置23で実行される伝達関数の算出方法を図4のフローチャートを用いて詳述する。 【0027】ここで、伝達関数が必要となる運転条件はロール振動が問題となる運転条件であるから、エンジン始動後初めてロール振動が問題となる運転条件となったとき伝達関数を算出し、記憶させておく。 【0028】ロール振動が問題となるのは、■エンジンがアイドル状態のときの車両(フロアーやステアリング)のアイドル振動や■自動変速機をロックアップしたときに発生するロックアップこもり音である。したがって、ロール振動が問題となる運転条件としては比較的低回転かつ低負荷の領域(たとえば2000rpm以下かつ1/2負荷以下)である。以下では簡単のため、上記の■と■を対象とする場合で述べる。 【0029】ステップ1ではイグニッションキースイッチをみて、これがON状態のときはステップ2でギア位置をみてNレンジにあるかDレンジにあるかを確認してステップ3に進む。 【0030】ステップ3ではエンジン回転数とブースト圧(負荷)を読み込み、ステップ4においてこれらが上記の運転域(比較的低回転かつ低負荷の領域)にあるかどうかをみる。 【0031】上記の運転域であるときは、ステップ5に進み、始動後に当該運転域で伝達関数をすでに算出済みであるかどうかをみる。当該運転域で伝達関数をまだ算出していない場合にステップ6に進む。 【0032】ステップ6ではモータジェネレータを加振装置として働かせるため、モータジェネレータ12への駆動電流を指示する。このとき、ギア比(モータジェネレータ12とフライホイール15(図3参照)のギア比)も考慮してモータジェネレータ12に駆動トルク(始動時に伝達関数を求めるときは始動に必要なDCトルク)を発生させると同時に、燃焼加振力とは無相関の変動成分も重ね合わせた信号を与える。 【0033】ここで、燃焼加振力とは無関係の変動成分も重ねた合わせた信号を与えるのは次の理由からである。計測される振動加速度にはエンジンが燃焼することによって発生する振動も含まれている。これを分離するために無相関な信号を重ね合わせたものである。また、エンジン側の燃焼加振力から燃焼加振力に対する伝達特性も明らかになる。 【0034】ステップ7では、このときのロール振動加速度を測定し、これをステップ8においてモータジェネレータ12の発生する駆動トルクで除することにより伝達関数Hを算出する。 【0035】なお、モータジェネレータ12に発生する駆動トルクは、モータの電流もしくは電圧と素直な比例関係にあるため、インバータ14に与えた電流もしくは電圧を用いて推定している。 【0036】ステップ9ではメモリにそのときのギア位置に応じて最新の値を格納する。 【0037】ここで、上記の運転域(比較的低回転かつ低負荷の領域)の全体に対して1つの伝達関数を求めるのではなく、この運転域をさらに複数の小さな領域に区分しており、その小さな領域毎に伝達関数(周波数ごとの伝達関数)を格納している。つまり、回転数と負荷をパラメータとする伝達関数のマップをギア位置ごとに持っており(NレンジとDレンジに対して1つずつのマップ)、その各マップ上の小さな領域ごとに別々の値が格納されることになる。 【0038】図5のフローチャートは、このようにして伝達関数を求めた後にロール振動が問題となる運転条件になったとき、その求めた伝達関数に基づいてトルク制御を行うためのものである。 【0039】ステップ11ではエンジン回転数とブースト圧を読み込み、ステップ12においてこれらが所定の運転域にあるかどうかをみる。この所定の運転域は前述したロール振動が問題となる運転域である。所定の運転域でないときはロール振動が問題とならないので、そのまま今回の処理を終了する。 【0040】所定の運転域であるときは、ステップ13に進んでギア位置がNレンジにあるのかDレンジにあるのかを確認したあと、ステップ14、15において加速度ピックアップ11により検出されるそのときのロール振動加速度Aを測定し、車両感度やマウントインシュレータ(ばね定数)等より決定されるエンジンマウント振動の目標加速度とこの実際の加速度Aの差を0と比較する。 【0041】比較の結果、目標値−Aの値が0より大きい場合は、ロール振動を低減する必要があるので、ステップ16以降に進み、モータジェネレータ12を加振装置として働かせてエンジンマウント振動を抑制する方向に加振力を加える。 【0042】詳細には、ステップ16で摂動トルクTにギア位置に応じた伝達関数H(t)を乗算した値を、モータで制御したときの加速度レベルAcとして求め、上記の目標値−Aの値とこのAcをステップ17において比較し、目標値−Aの値がこのAcと一致するまでステップ16、17の操作を繰り返す。 【0043】上記の摂動トルクTは、モータジェネレータの必要発生トルクTm0(平均的な数値)を初期値にして摂動させるトルクのことで、Tm0はマップ検索により求める。このマップも、エンジン回転数と負荷をパラメータとするマップで、伝達関数のマップと同じに複数の領域に区分けしている。 【0044】上記の目標値−Aの値がAcと一致したときはステップ17よりステップ18、19に進み、このときの摂動トルクTの値を制御トルクTmに移し、この制御トルクTm(の得られる電流値)をインバータに出力する。 【0045】単純に考えると、制御トルクTmを求めるのに、Tm=(目標値−A)/h(t)とすればよいわけであるが、伝達関数H(t)の逆数をとるときに伝達関数H(t)が限りなく0に近い場合(反共振点)、誤差が拡大されてしまうため、乗算の形で収束計算を行わせてTmを求めることで、制御精度の低下を防止するのである。もちろん、Tm=(目標値−A)/h(t)により制御トルクTmを求めてもよいことはいうまでもない。 【0046】このようにして、伝達関数に基づいて求めた制御トルクTmをモータジェネレータ12よりパワープラント1に与えることで、エンジンの目標ロール振動加速度に対する実際のロール振動加速度Aとの差分をキャンセルすることができる。 【0047】次に、本発明の作用を説明する。 【0048】通常、トルク変動の検出は回転角速度を検出し、これを微分演算することにより回転角加速度を求め、これにエンジンのイナーシャIpを掛け合わせることでトルク変動を算出する。一般的に微分演算の精度が低いこともあり、トルク変動の高次成分を算出するためには検出パルス数を上げなければならないが、この場合、演算に時間を要するため、時時刻々の制御は無理であり、何サイクルか前の状態で制御することになる。 【0049】これに対して、伝達関数を用いてのトルク変動低減方式である本発明では、微分演算が発生せず、エンジンマウント振動を低減するために必要なトルクTmを伝達関数の逆数にエンジンマウント振動加速度Aを乗ずる(時間領域では畳み込み積分)ことにより求めているので、従来装置と比較すると、トルク変動の高次成分までの必要トルク変動低減量を正確に算出できる。 【0050】また、モータジェネレータにも所定のイナーシャを持たせることにより、ロール振動を低減させる際のシステムをコンパクトにすることが可能である。従来のように電気モータだけでトルク変動をキャンセルしようとすると、非常に大きなモータが必要となり、レイアウトや重量が現実的でなかったが(エンジンは平均的な出力に比べ変動分が大きく、この傾向は負荷が大きいと顕著だから)、所定のイナーシャを持たせたモータジェネレータであれば、物理的にキャンセルできるトルクが存在するため、残った変動成分を電気的にキャンセルするだけでよくなるためコンパクトなシステムとなるのである。 【0051】実施形態では、伝達関数を実際に算出する場合で説明したが、計算負荷を低く抑えるのであれば、周波数毎の伝達関数をギア位置毎の運転領域のマップに格納したものを予め用意しておき、トルク制御は、このマップに応じて行うようにすることもできる。 【0052】実施形態では、ロール振動が問題となる運転条件をエンジン始動後初めて経験したときモータジェネレータにより既知の入力を与えてエンジンロール振動の変化より伝達関数を算出する場合で説明したが、モータジェネレータによりエンジン始動時に既知のインパルス入力を与えたときのエンジンロール振動の変化より伝達関数を算出させてもかまわない。 【0053】伝達関数を求める場合、入力となる加振力の周波数特性と応答となるエンジンマウント振動の周波数特性のわり算を実行することになる。このため、加振力と加速度レベルの計測と周波数分析が必要となる。本実施形態では、この加振力がモータジェネレータによるトルク入力であるため、この計測が必要となる。この場合に、トルクセンサを用いてトルクを計測するのも一例ではあるが、コストがかさむため、モータジェネレータを流れる電流とトルクの関係を予め求めておき、その電流を計測することでトルクに換算する。このとき、限られた時間にトルクを発生させるという意味合いで上記「インパルス」という表現を用いている。モータ駆動電流により発生トルクを予測すれば実際の電流を計測することも必要でない。エンジン始動時はもともと外乱が発生するタイミングであるから、エンジン始動時にモータジェネレータにより加振力を加えても振動の違和感を感知させることなく伝達特性の把握が可能となる。 【0054】ただし、ギア位置がNレンジにあるエンジン始動時に求まる伝達関数は、ギア位置がNレンジにあるときに最適な値となるので、このときの伝達関数を、ギア位置がDレンジにあるロックアップ時に用いたのでは、ズレが生じる。したがって、ロックアップ時に用いる伝達関数は、ギア位置がDレンジにあるときに求めた伝達関数であることが望ましい。 【0055】実施形態では、伝達関数を算出するのに、運転域のほかギア位置を考慮したが、補機の駆動状態についても考慮することで、さらにトルク制御の精度を高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−117989 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−280874 |
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