| 【発明の名称】 |
2軸バランサ付き単気筒エンジン |
| 【発明者】 |
【氏名】矢壁 庄二
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| 【要約】 |
【課題】2軸バランサをコンパクトにして単気筒エンジンの高さ、横幅を小さくする。
【解決手段】クランクケース内に2軸バランサ6を設け、その第1バランサ4がクランク歯車8と直接噛合してクランク歯車8から動力を伝達される第1従動歯車9と、その第1従動歯車9と軸方向において反対側に設けられ、第2バランサ5へ動力を伝達する伝達歯車12とを有している。また、第2バランサ5がその伝達歯車12と噛合する第2従動歯車13を有している。そして第1バランサ4のウエイト部14と第2バランサ5のウエイト部15がともにコンロッド大端部逃げ部16・16を備え、第1バランサ4の第1従動歯車9が第2バランサ5のバランサ部15と干渉しないように、第2バランサ5のバランサ部15に第1従動歯車9が通過する歯車通過用逃げ部17を設けてある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対のバランサをクランク軸(3)と平行に架設し、クランク歯車(8)によりバランサを回転駆動するようにした2軸バランサ付き単気筒エンジンにおいて、2軸バランサ(6)の第1バランサ(4)がクランク歯車(8)と直接噛合してクランク歯車(8)から動力を伝達される第1従動歯車(9)と、その第1従動歯車(9)と軸方向において反対側に設けられ、第2バランサ(5)へ動力を伝達する伝達歯車(12)とを有し、第2バランサ(5)がその伝達歯車(12)と噛合する第2従動歯車(13)を有し、クランク歯車(8)のピッチ円直径と第1従動歯車(9)のピッチ円直径が同じであり、伝達歯車(12)のピッチ円直径と第2従動歯車(13)のピッチ円直径が同じであり、第1バランサ(4)のウエイト部(14)と第2バランサ(5)のウエイト部(15)がともにコンロッド大端部が通過するコンロッド大端部逃げ部(16・16)を備え、第1バランサ(4)の第1従動歯車(9)が第2バランサ(5)のバランサ部(15)と干渉しないように、第2バランサ(5)のバランサ部(15)に第1従動歯車(9)が通過する歯車通過用逃げ部(17)を設けたことを特徴とする、2軸バランサ付き単気筒エンジン。 【請求項2】 前記請求項1に記載の2軸バランサ付き単気筒エンジンにおいて、少なくとも前記第1バランサ(4)のウエイト部(14)がクランク軸カウンタウエイト部(30・30)、クランクピンアーム部(20・20)と干渉しないようにウエイト部(14)の左右両端に逃げ部(21・21・23・23)を有していることを特徴とする、2軸バランサ付き単気筒エンジン。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はバランサ付きエンジンに関し、さらに詳しくは2軸バランサを備えた単気筒エンジンに関する。 【0002】 【従来技術】従来から、単気筒エンジンにおいて2軸バランサを備えたエンジンが提案されている。2軸バランサは同じ重量のバランサを平行に2軸架設してエンジンの振動を押さえるものである。このような2軸バランサ付きエンジンには、2軸バランサのウエイト部がクランク軸のウエイト部、コンロッド大端部などと干渉するのを避けるために、クランク軸のクランク歯車とバランサ側の従動歯車との間にアイドル歯車を設けたものがある。しかし、アイドル歯車を入れることにより縦型エンジンでは全高が大きくなり、横型エンジンでは横幅が大きくなる問題がある。 【0003】コンパクト性が要求されることの多い単気筒エンジンの場合、上記アイドル歯車を介在させる方法は採用しにくく、クランク歯車によりバランサ側の従動歯車を直接駆動しなければならない。図6はクランク歯車とバランサ側従動歯車を直接に噛合させるようにした2軸バランサの歯車列を示す図である。 【0004】図6において、クランクケース44内にはクランク軸45が架設され、このクランク軸45に固定されたクランク歯車46を2軸バランサの第1バランサ歯車47に噛み合わせ、その第1バランサ歯車47を第2バランサ歯車48に噛み合わせることにより、2軸バランサを回転させるように構成してある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に示す2軸バランサ付きエンジンでは、下記のような課題がある。即ち、上記のような単気筒エンジンの一次バランサ、即ちクランク軸回転数の一倍の振動数を打ち消すバランサの場合は、クランク軸45の回転数、第1バランサ49の回転数、第2バランサ50の回転数をそれぞれ一致させる必要があることから、3枚の歯車比は1:1:1としなければならない。一方、図6に示す構成であると、コンロッド大端部やクランクピンアーム部などとバランサとの干渉を避けるためにクランク軸45と第1バランサ49との軸間距離もある程度大きくとらなければならない。 【0006】そうすると、第1バランサ49と第2バランサ50の軸間距離も前記軸間距離と同じになるため、高さh、幅w方向に2軸バランサの寸法が大きくなってしまう問題がある。なお、多気筒エンジンの一次振動成分は気筒間で釣り合わせることができるのでバランサを導入するとすれば2次バランサでよい。2次バランサの容量は一次バランサの1/3から1/5で済むため多気筒エンジンでは上記のような問題は発生しない。 【0007】本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる2軸バランサ付き単気筒エンジンを提供することにある。具体的な課題の一例としては、2軸バランサをコンパクトにしてエンジンの高さ、横幅を小さくすることがある。なお、上記に記載した以外の発明の課題及びその解決手段は、後述する課題を解決するための手段、作用及び発明の実施の形態において詳しく説明する。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明を、例えば、本発明の実施の形態を示す図1から図5に基づいて説明すると、次のように構成したものである。第1発明は、一対のバランサをクランク軸3と平行に架設し、クランク歯車8によりバランサを回転駆動するようにした2軸バランサ付き単気筒エンジンにおいて、2軸バランサ6の第1バランサ4がクランク歯車8と直接噛合してクランク歯車8から動力を伝達される第1従動歯車9と、その第1従動歯車9と軸方向において反対側に設けられ、第2バランサ5へ動力を伝達する伝達歯車12とを有し、第2バランサ5がその伝達歯車12と噛合する第2従動歯車13を有し、クランク歯車8のピッチ円直径と第1従動歯車9のピッチ円直径が同じであり、伝達歯車12のピッチ円直径と第2従動歯車13のピッチ円直径が同じであり、第1バランサ4のウエイト部14と第2バランサ5のウエイト部15がともにコンロッド大端部が通過するコンロッド大端部逃げ部16・16を備え、第1バランサ4の第1従動歯車9が第2バランサ5のバランサ部15と干渉しないように、第2バランサ5のバランサ部15に第1従動歯車9が通過用する歯車通過用逃げ部17を設けたことを特徴とする。 【0009】第2発明は、主に図5に示すように、少なくとも前記第1バランサ4のウエイト部14がクランク軸カウンタウエイト部30・30、クランクピンアーム部20・20と干渉しないようにウエイト部14の左右両端に逃げ部21・21・23・23を有していることを特徴とする。 【0010】 【作用及び効果】第1発明によれば、第1バランサのウエイト部と第2バランサのウエイト部がともにコンロッド大端部の通過用逃げ部を備えているので、第1バランサと第2バランサのそれぞれの軸をクランク軸に近づけることができ、2軸バランサをコンパクトにエンジン内に配置することができる。また、第1バランサの第1従動歯車が第2バランサのバランサ部と干渉しないように、第2バランサのバランサ部に第1従動歯車通過用の逃げ部を設けているので、クランク歯車−第1従動歯の歯車列と伝達歯車−第2従動歯車の歯車列の2組の歯車列を設ける構成であっても、第1バランサと第2バランサの軸間距離を小さく設定することが可能になる。 【0011】第2発明によれば、少なくとも第1バランサのウエイト部の左右両端に逃げ部を設けたので、クランク軸カウンタウエイト部、クランクピンアーム部と干渉する部分のみを削ることができ、第1バランサと第2バランサの軸間を短くした場合でもウエイト部の重量を大きく落とすことなく、干渉を避けることができる。 【0012】 【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の第1実施形態を示す2軸バランサ付きエンジンの要部縦正断面図である。図2(A)はエンジンの動力取出軸側から見たクランク角度90゜の第1バランサ、第2バランサの位置関係を示す図、図2(B)はB−B線矢視図(右側面図)である。 【0013】図3(A)は動力取出軸側から見たクランク角度225゜の第1バランサ、第2バランサの位置関係を示す図、図3(B)はB−B線矢視図(右上45゜図)である。図4(A)は動力取出軸側から見たクランク角度246.5゜の第1バランサ、第2バランサの位置関係を示す図、図4(B)はB−B線矢視図(左上23.5゜から見た図)、図4(C)は図4(A)を下方から見た図である。 【0014】この実施形態では水冷単気筒縦型ディーゼルエンジンに適用した場合を示してある。図1に示すように、このエンジン1はクランクケース2内にクランク軸3が架設してある。そのクランク軸3の下方に第1バランサ4と第2バランサ5からなる2軸バランサ6がクランク軸3と平行に架設してある。 【0015】クランク軸3には図2(B)に示すようにエンジンの動力取出軸側7寄りにクランク歯車8が固定してあり、このクランク歯車8に第1バランサ4の第1従動歯車9が直接に噛合するようにしてある。第1バランサ4の軸方向の反対側10には第1バランサ4のウエイト部14を介して伝達歯車12が固定してあり、この伝達歯車12が図4(C)に示すように第2バランサ5の第2従動歯車13と噛合するようにしてある。したがって、エンジン1の動力取出軸側7にクランク歯車8と第1従動歯車9の歯車列があり、動力取出軸側と反対側10に伝達歯車12と第2従動歯車13の歯車列があることになる。 【0016】また、クランク歯車8のピッチ円直径と第1伝達歯車9のピッチ円直径が同じ長さ(即ち、1:1)に設定してあり、伝達歯車12のピッチ円直径と第2伝達歯車13のピッチ円直径が同じ長さ(即ち、1:1)に設定してあり、第1従動歯車9のピッチ円直径よりも伝達歯車12のピッチ円直径を小さく設定してある。よって図2(B)に示すクランク軸3の軸中心3aと第1バランサ4の軸中心4aとの距離d1よりも図4(C)に示す第1バランサ4の軸中心4aと第2バランサ5の軸中心5aとの距離d2の方が短くなっている。 【0017】そして、2軸バランサ6を小さくするために、クランク軸3のコンロッド大端部の回転軌跡が第1バランサ4のウエイト部14、第2バランサ5のウエイト部15の回転軌跡と重なるように設定し、第1バランサ4の第1従動歯車9が第2バランサ5のウエイト部15の回転軌跡と重なるように設定してある。そして、第1バランサ4のウエイト部14と第2バランサ5のウエイト部15にともにコンロッド大端部逃げ部16・16(図4(C)参照)を設けてあり、第1バランサ4の第1従動歯車9が第2バランサ5のバランサ部15と干渉しないように、第2バランサ5のバランサ部15に第1従動歯車9の歯車通過用逃げ部17(図4(C)参照)を設けてある。 【0018】また、図2(A)に示すように第1バランサ4の軸心4a位置に比べて、第2バランサ5の軸心5a位置が所定距離eだけ低く設定してある。図5は第1バランサのウエイト部の構成を説明するための図であり、図5(A)は第1バランサを下方から見た図、図5(B)はウエイト部のB−B線断面図、図5(C)はウエイト部のC−C線断面図である。 【0019】図5(A)に示すように、第1バランサ4のウイエト部14は、前記したコンロッド大端部逃げ部16を設けることにより、コンロッド大端部逃げ部16の両側にある分離ウエイト部18・18に分けられている。各分離ウエイト部18・18は図5(B)(C)に示すようにその横断面が略扇状のウエイト部としてある。また、図5(B)に示すように、コンロッド大端部逃げ部16の両外側所定域19・19にクランクピンアーム部20・20(図3(B)参照)を逃がすクランクピンアーム逃げ部21・21が形成してある。また、図5(C)に示すように各分離ウエイト部18・18の両最外側部22・22にはクランク軸カウンタウエイト部30・30(図3(B)参照)を逃がすクランク軸カウンタウエイト逃げ部23・23が形成してある。 【0020】なお、クランクピンアーム逃げ部21・21、クランク軸カウントウエイト逃げ部23・23ともに、扇状の縁の全域にわたって設ける必要はなく、干渉する部分のみに逃げ部が形成してあるので、第1バランサ4において、コンロッド大端逃げ部16を大きくしても、第1バランサ4に必要な重量を確保することができる。また、図5(B)において符号24はクランクピンアーム部20・20が描く軌跡、図5(C)において符号25はクランク軸カウンタウエイト部30・30が描く軌跡である。 【0021】さらに図1に示すように、このエンジンでは、クランク軸3に前記クランク歯車8より小径の駆動歯車26が図2(B)における符号27の位置に固定してあり、この駆動歯車26にカム軸歯車28が噛合するようにしてある。カム軸歯車28は図1においてクランク軸3よりもクランクケース2側部寄りの斜め上方に位置しており、カム軸歯車28はその下方位置においてガバナ軸歯車29に噛合している。ガバナ軸歯車29の中心は図1において、第1バランサ4の軸中心より側方に位置するようにしてある。 【0022】上記構成の2軸バランサ付きエンジンの動作について簡単に説明する。ピストンの上下動により、図2(A)に示すように、例えばクランク歯車8は反時計回りに回転し、第1バランサ4は時計回り、第2バランサ5は反時計回りに回転する。このように第1バランサ4と第2バランサ5は逆方向に回転するので、各ウエイト部14,15とクランク軸系(コンロッド大端部、クランクピンアーム部20、クランク軸カウンタウエイト部30)との接近の仕方は異なる。特に、第1バランサ4では、クランクピンアーム部20・20やクランク軸カウンタウエイト部30・30と干渉する可能性のある部分は、第1バランサ4のウイエト部14の左右両端部分に限られている。そこで、図3(B)に示すようにクランクピンアーム部20・20を避けるようにクランクピンアーム逃げ部21・21(図5(B)参照)を設け、図3(B)のクランク軸カウンタウエイト部30・30の外側端部を避けるようにクランク軸カウンタウエイト逃げ部23・23(図5(C)参照)を設けている。 【0023】なお、第2バランサ5はクランクピンアーム部20・20、クランク軸カウンタウエイト部30・30とは干渉しないように距離eだけ離して設定してあるので、それらの逃げ部は不要で、コンロッド大端部逃げ部16のみ設けてある。このように設定することにより、第1従動歯車9のピッチ円直径よりも伝達歯車12のピッチ円直径を小さく設定しても、2軸バランサ6が各部と干渉を起こすことを防止できる。 【0024】また、本実施形態によれば、クランク軸3の動力は、クランク歯車8から第1バランサ4の第1従動歯車9へ直接に伝達され、第1バランサ4の回転は伝達歯車12によって第2バランサ5の第2従動歯車13へ直接に伝達される。このようにアイドル歯車を介さずにクランク歯車8の回転を2軸バランサに伝達するように構成しても、クランク歯車8−第1従動歯車9の歯車列と伝達歯車12−第2従動歯車13との歯車列とが独立しているので、クランク歯車8と第1従動歯車9とのピッチ円直径を1:1、伝達歯車12と第2従動歯車13とのピッチ円直径を1:1に設定しても、図6に示すクランク歯車46→第1バランサ歯車47→第2バランサ歯車48という3個の歯車列がクランク軸のクランク歯車のある位置に集中して、その大きさによりクランクケースが大きくなってしまうということがない。つまり、エンジンの要求されるクラクケースの形状、大きさに対応させて、クランク歯車8と第1従動歯車9の歯車列と、伝達歯車12と第2従動歯車13の歯車列とをクランク軸3上の位置に個別に配置することが可能になる。したがって、この実施形態によれば図6に示すような従来の直接駆動型の構成に比べてクランクケース内の2軸バランサの構成を自由に設定することができる。 【0025】なお、図面上の説明は省略するが、第1従動歯車9のピッチ円直径よりも伝達歯車12のピッチ円直径を大きく設定すれば、クランク軸3と第1バランサ4の距離が同じならば、図6に示す従来の構成に比べて2軸バランサの重量を大きくできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】北谷 寿一
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| 【公開番号】 |
特開平11−94026 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−258146 |
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