| 【発明の名称】 |
免震性能を有する除振台 |
| 【発明者】 |
【氏名】増田 圭司
【氏名】中村 佳也
【氏名】中山 昌尚
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| 【要約】 |
【課題】地震による大振動にも対応できる免震性能を有し、しかも低コストで製作できる除振台を提供する。
【解決手段】固定フレーム上12に可動フレーム16が水平方向に移動可能に支持され、除振テーブル18が、水平方向アクチュエータA1〜A4及び鉛直方向アクチュエータA5〜A8を介して可動フレーム及び固定フレームに支持されている。加速度センサの出力に基づいてアクチュエータを制御して除振テーブルの加速度を抑制し、第1所定加速度までの除振テーブルの微振動を除振する。鉛直方向アクチュエータと除振テーブルとは、水平方向の摺動機構を介して連結されている。固定フレームに、第1所定加速度より大きい第2所定加速度以上の水平方向加速度が発生したときに、可動フレームが固定フレームに対して変位し、復元減衰手段がその変位を復元及び減衰することで免震が行われる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物に対して固定される固定フレームと、摩擦摺動機構を介して前記固定フレーム上に水平方向に移動可能に支持された可動フレームと、除振テーブルと、前記可動フレームと前記除振テーブルとの間に介設され前記除振テーブルを水平方向に駆動及び支持する複数の水平方向アクチュエータと、前記固定フレームに取り付けられ、水平方向の相対的変位を許容する摺動機構を介して前記除振テーブルに連結され、前記除振テーブルを鉛直方向に駆動及び支持する複数の鉛直方向アクチュエータと、前記固定フレームに対する前記除振テーブルの相対的な水平移動に対する復元力及び減衰力を発生する復元減衰手段と、前記除振テーブルの加速度を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの検出出力に基づいて前記複数のアクチュエータを制御することで前記除振テーブルの加速度を抑制して前記除振テーブルの除振を達成する制御手段とを備え、前記制御手段が前記複数のアクチュエータを制御することで、第1所定加速度までの前記除振テーブルの微振動を除振するように構成してあり、前記固定フレームに前記第1所定加速度より大きい第2所定加速度以上の水平方向加速度が発生したときに前記可動フレームが前記固定フレームに対して相対的に水平方向に変位し、前記復元減衰手段がその水平方向変位を復元及び減衰することで、前記除振テーブルの免震が達成されるようにした、ことを特徴とする除振台。 【請求項2】 前記復元減衰手段は、上端が前記除振テーブルに接続され下端が前記固定フレームに固定連結された免震支持ユニットから成り、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の接続構造は、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の相対的な鉛直方向変位を拘束せず、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の相対的な水平方向及び水平面内での回転方向の変位を前記第1所定加速度に対応した前記除振テーブルの微振動の振幅より大きいクリアランスをもって拘束する接続構造である請求項1記載の除振台。 【請求項3】 前記接続構造は、前記免震支持ユニットと前記除振テーブルとの一方に設けられた鉛直ピンと、該鉛直ピンに遊嵌する前記免震支持ユニットと前記除振テーブルとの他方に設けられた鉛直孔との組み合わせから成るダボピン構造である請求項2記載の除振台。 【請求項4】 前記摩擦摺動機構は、前記固定フレームと前記可動フレームとに形成され互いに摺接する夫々の摺接面から成り、それら摺接面の少なくとも一方にテフロンを被着してある請求項1乃至3の何れか1項記載の除振台。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、免震性能を有する除振台に関する。 【0002】 【従来の技術】超微細加工に用いる製造装置や超高倍率の電子顕微鏡等は、振動を極端に嫌う装置であり、振動がこの種の装置に悪影響を及ぼすのを防止するために除振台が使用されている。除振台は、外部の振動等に影響されることなく高度の静止状態を維持することのできる除振テーブルを備え、この除振テーブル上に、振動を嫌う装置の全体またはその装置のうちの特に振動を嫌う部分を載置して用いる。除振台について更に詳しく説明するために、ここでは一例として、振動を嫌う装置が、半導体製造のリソグラフィ工程で用いられるステップ・アンド・スキャン形のウェーハ露光装置である場合に即して説明を進めて行く。微細パターンをウェーハ上に焼付けるために用いられる露光装置は、その装置が僅かに振動しただけでも不良製品を発生しかねない。露光装置に悪影響を及ぼす振動には、大きく分けて次の3種類のものがある。 (イ)露光装置の外部環境に通常的に発生している微振動。これに該当するのは、例えば、露光装置を設置した建物の近くを走行する車両や、周辺の建設工事による地盤振動、その建物に設置された空調設備やエレベータ及びその他の機械の作動によって発生する振動、それに、その建物内を人が歩行することによって発生する振動等である。 (ロ)露光装置そのものが発生する微振動。ステップ・アンド・スキャン形の露光装置では、ウェーハ上の1箇所の露光領域の露光を行う毎に、ウェーハを載置したウェーハ・ステージとマスクを載置したマスク・ステージとが水平方向に走査されるために加速及び減速され、その際に発生する揺動によって微振動が発生する。 (ハ)地震による振動。この振動の振幅及び加速度は小さなものから大きなものまで様々であり、従ってこの振動には、微振動から大振動までが含まれ得る。 【0003】多くの除振台は、上記(イ)及び(ロ)の微振動を吸収して、露光装置がそのような微振動の影響を受けないようにすることを目的として設計されており、上記(ハ)の地震による振動のうち比較的大きな振動に対応することは、最初から予定していない。半導体デバイスの集積度が現在ほど高くなく、露光装置が扱うパターンの線幅が現在ほど細くなかった頃は、パッシブ除振台が多く使用されていた。パッシブ除振台では、除振テーブルが空気ばねや防振ゴム等の弾性支持手段を介して固定フレーム上に支持されており、その弾性支持手段の撓みによって外部からの微振動が吸収され、また、その弾性支持手段と除振テーブル及びそれに載置された質量とによって形成される振動系の共振周波数を適当に設定することにより、露光装置そのものが発生する微振動の振幅が抑制されるようにしていた。半導体の集積度が上昇してパターンの微細化が進行するにつれて、パッシブ除振台の除振能力では不充分となったため、最近ではアクティブ除振台が多用されている。アクティブ除振台では、除振テーブルを複数のアクチュエータを介して固定フレーム上に支持すると共に、除振テーブルに複数の加速度センサを取り付け、それら加速度センサの検出出力に基づいて、フィードバックやフィードフォワード等の技法を用いてアクチュエータを制御することで、除振テーブルに発生する加速度を小さく抑え、従ってその振動を小さく抑えるようにしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】アクティブ除振台は、上記(イ)及び(ロ)の、外部及び内部の微振動に起因する除振テーブルの振動を良好に抑制する、優れた除振性能を有する。しかしながら、上記(ハ)の地震による振動に関しては、微小地震による微振動は効果的に除振するものの、例えば震度2以上の大振動に対処しようとすると問題が生じる。微振動を除振するためには、アクチュエータによって数ミクロンからサブミクロンのオーダーの精度で除振テーブルを制御する必要があるのに対して、大きな地震による大振動はその振幅が数ミリから数十ミリ、場合によっては数百ミリにも達することがあり、そのような大きな変位量を数ミクロンないしサブミクロンの精度をもって吸収するためには、ダイナミックレンジの広いセンサと、大容量の高精度アクチュエータとを使用しなければならず、更に、振動モードが複雑になることから制御装置も複雑化し、コスト的に引き合わないのである。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、地震による大振動にも対応できる免震性能を有し、しかも低コストで製作できる除振台を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明にかかる除振台は、建築物に対して固定される固定フレームと、摩擦摺動機構を介して前記固定フレーム上に水平方向に移動可能に支持された可動フレームと、除振テーブルと、前記可動フレームと前記除振テーブルとの間に介設され前記除振テーブルを水平方向に駆動及び支持する複数の水平方向アクチュエータと、前記固定フレームに取り付けられ、水平方向の相対的変位を許容する摺動機構を介して前記除振テーブルに連結され、前記除振テーブルを鉛直方向に駆動及び支持する複数の鉛直方向アクチュエータと、前記固定フレームに対する前記除振テーブルの相対的な水平移動に対する復元力及び減衰力を発生する復元減衰手段と、前記除振テーブルの加速度を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサの検出出力に基づいて前記複数のアクチュエータを制御することで前記除振テーブルの加速度を抑制して前記除振テーブルの除振を達成する制御手段とを備え、前記制御手段が前記複数のアクチュエータを制御することで、第1所定加速度までの前記除振テーブルの微振動を除振するように構成してあり、前記固定フレームに前記第1所定加速度より大きい第2所定加速度以上の水平方向加速度が発生したときに前記可動フレームが前記固定フレームに対して相対的に水平方向に変位し、前記復元減衰手段がその水平方向変位を復元及び減衰することで、前記除振テーブルの免震が達成されるようにしたことを特徴とする。また、本発明は、前記復元減衰手段が、上端が前記除振テーブルに接続され下端が前記固定フレームに固定連結された免震支持ユニットから成り、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の接続構造が、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の相対的な鉛直方向変位を拘束せず、該免震支持ユニットと該除振テーブルとの間の相対的な水平方向及び水平面内での回転方向の変位を前記第1所定加速度に対応した前記除振テーブルの微振動の振幅より大きいクリアランスをもって拘束する接続構造であることを特徴とする。また、本発明は、前記接続構造が、前記免震支持ユニットと前記除振テーブルとの一方に設けられた鉛直ピンと、該鉛直ピンに遊嵌する前記免震支持ユニットと前記除振テーブルとの他方に設けられた鉛直孔との組み合わせから成るダボピン構造であることを特徴とする。また、本発明は、前記摩擦摺動機構が、前記固定フレームと前記可動フレームとに形成され互いに摺接する夫々の摺接面から成り、それら摺接面の少なくとも一方にテフロンを被着してあることを特徴とする。 【0006】本発明にかかる除振台によれば、地震による大振動が発生しない限り、可動フレームが固定フレームに対して相対的に固定された状態に維持されるため、可動フレームの移動によって除振機能が損なわれるおそれがなく、一方、地震による大振動が発生したときには、可動フレームが固定フレームに対して相対的に水平方向に移動することによってその大振動が吸収されるため、除振テーブル上に載置した精密機械等の装置が地震の大振動によって損傷ないし破壊されるという事態が効果的に防止される。 【0007】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明して行く。図1は本発明の実施の形態にかかる除振台の側面図、図2は同じく平面図、図3は除振台の制御手段のブロック図、図4は除振台に使用している免震支持ユニットの上端と除振テーブルとの間の接続構造を示した一部断面側面図である。除振台10は、建築物に対して固定される固定フレーム12と、摩擦摺動機構14を介して固定フレーム12上に水平方向に2次元的に(即ちX方向及びY方向に)移動可能に支持された可動フレーム16とを備えている。固定フレーム12は、平面視正方形の厚板部の四辺に側壁部12aを立設した形状に形成されており、可動フレーム16は、それら側壁部12aに対応した正方形の枠の形状に形成されている。摩擦摺動機構14は、固定フレーム12の側壁部12aの頂部に形成された摺接面と、可動フレームの下面に形成された摺接面とから成り、それら摺接面が互いに摺接するようにしてある。それら摺接面の間に働く摩擦力の大きさは、比較的大きな地震(例えば震度2以上の地震)が発生して、固定フレーム12にそれに対応した所定加速度以上の水平方向の加速度が生じたときに、可動フレーム16が固定フレーム12に対して相対的に水平方向に変位し、それ以外の場合には可動フレーム16が固定フレーム12に対して固定された状態に維持されるような大きさとする。また、そうするためには、例えば、固定フレーム12の摺接面と可動フレームの摺接面との少なくとも一方にテフロン等の低摩擦材料を被着するのがよい。除振台10は更に、平面視正方形の除振テーブル18と、8個のアクチュエータA1〜A8とを含んでおり、除振テーブル18は、それらアクチュエータA1〜A8を介して固定フレーム12及び可動フレーム16に支持されている。 【0008】アクチュエータA1〜A8として、図示例ではピエゾアクチュエータを使用している。ただし、アクチュエータの種類はこれに限られるものではなく、例えば超磁歪アクチュエータや、電磁制御式の空圧アクチユエータを使用することもでき、更にその他の様々な種類のアクチュエータも使用可能である。また、8個のアクチュエータA1〜A8のうち、4個のアクチュエータA1〜A4は水平方向アクチュエータであり、残りの4個のアクチュエータA5〜A8は鉛直方向アクチュエータである。水平方向アクチュエータA1〜A4は可動フレーム16と除振テーブル18との間に介装されている。より詳しくは、水平方向アクチュエータA1〜A4は、その一端(基端)が可動フレーム16に固定され、他端(動作端)がラバーブロックを介して除振テーブル18に連結されており、除振テーブル18を水平方向に駆動及び支持するものである。鉛直方向アクチュエータA5〜A8は、その一端(基端)が固定フレーム12に取り付けられ、他端(動作端)がラバーブロックを介し、更に、水平方向の相対的変位を許容する摺動機構20を介して除振テーブル18に連結されており、除振テーブル18を鉛直方向に駆動及び支持するものである。 【0009】摺動機構20は、可動フレーム16が固定フレーム12に対して相対的に水平方向に変位するときに、除振テーブル18が鉛直方向アクチュエータA5〜A8の動作端に対して相対的に水平方向に変位できるようにするものであり、摩擦摺動機構24と同様に摺動に際して多少の摩擦力を発生するような機構としてもよく、或いは、殆ど摩擦力を発生しない機構としてもよい。正方形の除振テーブル18は、軽合金製のパネルとして形成されており、その大きさは用途に応じて様々であるが、具体例としては、例えば、500mm角〜2000mm角程度の大きさとする。ただし除振テーブルの寸法、形状、材質、及び構造は様々なものとすることができる。例えば材質に関しては、ステンレスや鋳鉄を用いることもでき、更にその他の金属材料や、非金属材料を使用することも可能である。構造に関しては、ハニカム構造とすれば軽量で高剛性のものが得られるため好都合であるが、無論、その他の構造とすることも可能である。4個の水平方向アクチュエータA1〜A4は、正方形の除振テーブル18の四隅に1基ずつ連結されており、図2に示すように、それらのうち2個のアクチュエータA1及びA3はX方向アクチュエータとして使用され、他の2個のアクチュエータA2及びA4はY方向アクチュエータとして使用されている。これら4個の水平方向アクチュエータA1〜A4を制御することで、固定フレーム12及び可動フレーム16に対する相対的な除振テーブル18の水平方向位置及び水平面内の回転位置を制御することができる。4個の鉛直方向(Z方向)アクチュエータA5〜A8も、正方形の除振テーブル18の四隅に1基ずつ連結されており、これらアクチュエータA5〜A8を制御することによって、固定フレーム12及び可動フレーム16に対する相対的な除振テーブル18の高さ及び傾きを制御することができる。 【0010】除振台10は更に、除振テーブル18の下面に取り付けられた、この除振テーブル18の加速度を検出する6個の加速度センサS1〜S6を含んでいる。これら加速度センサのうち3個の加速度センサS1〜S3は水平方向加速度センサであり、いずれもその加速度検出軸を水平にして、ただしその方向を互いに異ならせて配設してある。残りの3個の加速度センサS4〜S6は鉛直方向加速度センサであり、その加速度検出軸を鉛直方向に向けて配設してある。3個の水平方向加速度センサS1〜S3からの検出信号を解析することによって、除振テーブル18の水平方向の加速度及び水平面内の回転加速度を求めることができる。また、3個の鉛直方向加速度センサS4〜S6からの検出信号を解析することによって、除振テーブル18の高さ方向の加速度及び傾き方向の加速度を求めることができる。尚、加速度センサの個数及び配設位置は、除振テーブル18の加速度を算出するために用いるアルゴリズムに応じて様々に選択されるものであり、以上に説明した図示例における個数及び配設位置に限られるものではない。 【0011】除振台10は更に、図3にブロック図で示した制御手段22を含んでいる。この制御手段22は、加速度センサS1〜S6の検出出力に基づいてアクチュエータA1〜A8を制御することにより、除振テーブル18の加速度を抑制して除振テーブル18の除振を達成するための手段である。従って、除振テーブル18と、加速度センサS1〜S6と、制御手段22と、アクチュエータA1〜A8とで、除振台10の制御系が構成されている。図3に示すように、制御手段22は、6個の加速度センサS1〜S6の各々に接続した6個の信号処理回路P1〜P6を含んでおり、それら信号処理回路P1〜P6は、アクティブ除振機構14の制御系が良好に応答し得る周波数領域(ダイナミックレンジ)から外れる周波数成分を検出出力から除去することにより、不要情報を排除して制御系の安定性を高める機能を果たしている。 【0012】それら6個の信号処理回路P1〜P6の出力は、対応する6個のA/DコンバータAD1〜AD6の各々に入力され、そこでディジタル化された上で、入力インターフェースIIFを介してコントローラCTへ入力されている。コントローラCTは、適当な制御プログラムをインストールしたパーソナル・コンピュータで構成することもでき、或いはハードウェアで構成した制御装置とすることもできる。コントローラCTには、既知量として、除振テーブル18の質量とその上に載置された質量との合計である振動質量と、8個のアクチュエータA1〜A8を除振テーブル18に接続しているラバーブロックの弾性に起因する、除振テーブル18の支持構造中のばね要素及び減衰要素の定数とが予め入力されている。コントローラCTは、それら既知量と、6個の加速度センサS1〜S6の出力とに基づいて、8個のアクチュエータA1〜A8の夫々の作動量をどのようにすれば除振テーブル18の加速度を最小にし得るかを算出し、それら作動量を夫々に反映した8つの指令信号を出力インターフェースOIFへ常時送出している。 【0013】出力インターフェースOIFは、入力してくるそれら8つの指令信号を、8個のD/AコンバータDA1〜DA8へ分配し、それらD/AコンバータDA1〜DA8は、受け取った指令信号をアナログ化した上で、アクチュエータ駆動回路であるサーボ増幅器SA1〜SA8へ供給する。それらサーボ増幅器SA1〜SA8は、受け取った指令信号に応じた大きさの電流を前述のピエゾアクチュエータA1〜A8へ供給することで、それらアクチュエータA1〜A8に、夫々の指令信号に応じた作動量を発生させる。 【0014】以上の制御系は、制御手段22がアクチュエータA1〜A8を制御することによって、所定加速度までの微振動を除振するように構成されており、即ち、加速度センサS1〜S6のダイナミックレンジも、アクチュエータA1〜A8の容量も、その所定加速度の値に従って選択されている。この所定加速度を、以下の説明では「第1所定加速度」と呼ぶことにする。尚、コントローラCTは、第1所定加速度以上の加速度が検出された場合には、アクチュエータA1〜A8の動作を停止させることで制御系のループを断ち切るようにしている。これは除振機能を停止するということであり、このようにしているのは、除振のための制御動作が暴走して異常振動を発生することや、アクチュエータに過大負荷が加わること等を未然に防止するためである。尚、既に述べたように、比較的大きな地震(例えば震度2以上の地震)が発生して固定フレーム12に所定加速度以上の水平方向加速度が発生したときに、可動フレーム16が固定フレーム12に対して相対的に水平方向に変位するようにしてあるが、この所定加速度(以下の説明では「第2所定加速度」と呼ぶことにする)は、第1所定加速度より大きな加速度である。 【0015】除振台10は更に、固定フレーム12に対する除振テーブル18の相対的な水平移動に対する復元力及び減衰力を発生する復元減衰手段を備えており、この復元減衰手段は、上端が除振テーブル18に接続され下端が固定フレーム12に連結された免震支持ユニット24から成る。免震支持ユニット24は、ゴム板と鋼板とを交互に積層して形成した円柱形積層体の中心軸に沿って孔を設け、その孔の中に鉛製の円柱体を挿入したものであり、従来公知の免震支持ユニットと同様のものである。免震支持ユニット24は、その下端が固定フレーム12にボルト(不図示)で固定連結されており、鉛製の円柱体(不図示)は鉛直方向に延在している。図4に、免震支持ユニット24の上端と除振テーブル18とを接続している接続構造を示した。この接続構造は、免震支持ユニット24の上端に固設された複数本の鉛直ピン26と、それら鉛直ピン26に遊嵌する除振テーブル18の下面に形成された夫々の鉛直孔28との組み合わせから成るダボピン構造として構成されている。尚、これとは逆に、鉛直ピンを除振テーブル18の下面に設け、鉛直孔を免震支持ユニット24の上端に形成するようにしてもよい。鉛直ピン26の半径と鉛直孔28の半径との差が、このダボピン構造のクリアランスとなっており、このクリアランスの大きさは、第1所定加速度に対応した除振テーブル18の微振動の振幅より大きくし、例えば1mm程度にする。従ってこの接続構造によれば、免震支持ユニット24と除振テーブル18との間の相対的な鉛直方向変位は拘束されず、一方、免震支持ユニット24と除振テーブル18との間の相対的な水平方向及び水平面内での回転方向の変位は、第1所定加速度に対応した除振テーブル18の微振動の振幅より大きいクリアランスをもって拘束される。 【0016】免震支持ユニット24の上端が下端に対して相対的に水平移動することによって、この免震支持ユニット24は剪断変形し、その際に鉛製の円柱体が塑性変形するために振動エネルギが散逸される。また、積層されたゴム板の内部摩擦によっても振動エネルギが散逸され、ゴム板の弾性力は、免震支持ユニット24の剪断変形を復元させる復元力として働く。免震支持ユニット24は、水平方向に剪断変形するのに伴って、その高さも僅かにではあるが変化し、多くの場合、短縮する(上端が沈み込む)方向に変化する。しかしながら、先に説明したように、除振テーブル18と免震支持ユニット24の上端とを、鉛直方向には互いに拘束しないように接続してあるため、この免震支持ユニット24の高さの変化は、除振テーブル18に対して何ら影響を及ぼさない。また、既述のごとく、制御手段22がアクチュエータA1〜A8を制御して行う除振動作は、第1所定加速度までの除振テーブル18の微振動を除振するものであるが、その微振動の振幅は鉛直ピン26と鉛直孔28との間のクリアランスより小さいため、除振テーブル18の水平方向の振動に関しても、免震支持ユニット24の存在は除振テーブル18に対して何ら影響を及ぼさない。更に、既述のごとく、固定フレーム12に発生する加速度が第2所定加速度以下のときには可動フレーム16が固定フレーム12に対して固定された状態に維持されている。従って、第2所定加速度以上の加速度が発生しない限り、可動フレーム12の移動や免震支持ユニット24の存在によって除振機能が影響を受けることはない。 【0017】第2所定加速度の大きさは、例えば震度2程度の地震に伴う加速度(10ガル〜数十ガル程度)に設定し、一方、除振機能が対応する微振動の加速度の上限である前述の第1所定加速度の大きさは、例えば数ガル程度に設定する。このように設定することにより、除振機能が発揮される小加速度領域では、可動フレーム16が固定フレーム12に対して固定された状態に維持されるため除振が高精度で行われ、一方、可動フレーム16が固定フレーム12に対して水平方向に変位する大加速度領域では、除振機能は停止されるが、可動フレーム16が変位することによって除振テーブル18の加速度が抑制されるため、除振テーブル18上の装置がその大振動によって損傷ないし破壊されるという事態が効果的に防止される。 【0018】更に詳しく説明すると、先に露光装置に即して説明したように、除振台10に作用する振動には大きく分けて次の3種類の振動がある。 (1)除振台10の外部環境に通常的に発生している微振動(これには、交通振動、周辺の建設工事の振動、建物内の機器の作動による振動、建物内の歩行による振動等が含まれる)。 (2)除振台10に載置されている装置自体が発生する微振動。 (3)地震による振動。 これらのうち(1)及び(2)の微振動しか存在していないときには、可動フレーム16は固定フレーム12に対して固定された状態に維持され、このときその種の微振動はアクチュエータA1〜A8の動作によって効果的に除振される。また、上記(3)の地震による振動は、直下形地震の場合を除いて水平方向の振動として発生するが、その振動の振幅及び加速度は微細なものから大きなものまで様々である。その振動の加速度の大きさが第2所定加速度以上のときには、可動フレーム16及び除振テーブル18が固定フレーム12に対して相対的に水平方向に振動し、その振動が免震支持ユニット24によって減衰されため、固定フレーム12から除振テーブル18へ伝達される加速度が小さく抑えられ、除振テーブル18上に載置した装置の損傷ないし破壊が効果的に防止される。尚、このような大きな振動が発生したときは、除振機能は停止されるため、例えば除振テーブル18上の装置が半導体の製造装置であった場合には、その地震の発生時に製造されていた製品は不良品になることが予期されるが、そのような不良品は最終検査工程ではねればよく、たとえ地震発生時に不良品が発生しても、それが最終的な製品歩留まりに与える影響は僅かなものでしかない。一方、発生した地震が小さく、その地震による振動の加速度が第2所定加速度以下である場合には、可動フレーム16は固定フレーム12と一体に振動することになるが、ただしそのような小さな加速度では、除振テーブル18上に載置した装置が破損するおそれはない。また、地震による振動の加速度が第2所定加速度以下であっても、それが第1所定加速度以上であれば除振機能が停止するため、除振のための制御動作の暴走によって除振テーブル18の振動が逆に強められるという事態に陥るおそれもない。尚、第2所定加速度の大きさは、鉛直方向アクチュエータA5〜A8に備えた摺動機構20に働く摩擦力が小さい場合には、主として摩擦摺動機構14に働く摩擦力のみによって規定され、一方、摺動機構20に働く摩擦力が大きい場合には、その摩擦力によっても影響される。その場合には、摺動機構20の摩擦力も考慮に入れて第2所定加速度を適当な値に設定すればよい。第2所定加速度以上の加速度が作用したときに可動フレーム16が変位するということは、換言すれば、除振台の免震性能にトリガ機能を持たせたということに他ならない。 【0019】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にかかる除振台によれば、地震による大振動が発生しない限り、可動フレームが固定フレームに対して相対的に固定された状態に維持されるため、可動フレームの移動によって除振機能が損なわれるおそれがない。一方、地震による大振動が発生したときには、可動フレームが固定フレームに対して相対的に水平方向に移動することによってその大振動が吸収されるため、除振テーブル上に載置した精密機械等の装置が地震の大振動によって損傷ないし破壊されるという事態が効果的に防止される。しかも、使用する加速度センサはダイナミックレンジの広いものであることを要さず、アクチュエータは大容量のものであることを要しないため、簡明で低コストの構成によって以上が達成される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000112668 【氏名又は名称】株式会社フジタ
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月17日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】野田 茂
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| 【公開番号】 |
特開平11−94014 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−272263 |
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