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【発明の名称】 防炎カバー付き空気ばね
【発明者】 【氏名】梶 哲也

【氏名】家中 誠

【要約】 【課題】空気ばねのゴムベローズを、火花、火気等から保護する。

【解決手段】上下のそれぞれの面板1,2と、これらの両面板1,2にそれぞれの端部分を気密に連結したゴムベローズ3とを具える空気ばね4において、上面板1から、ほぼ円筒状に形成した防炎カバー6を垂下し、この防炎カバー6の下端縁を、ゴムベローズ3より下方に位置させたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下のそれぞれの面板と、これらの両面板にそれぞれの端部分を気密に連結したゴムベローズとを具える空気ばねにおいて、前記上面板から防炎カバーを垂下し、この防炎カバーの下端縁を、ゴムベローズより下方に位置させてなる防炎カバー付き空気ばね。
【請求項2】 防炎カバーを、その全周にわたって上面板に取付けてなる請求項1に記載の防炎カバー付き空気ばね。
【請求項3】 防炎カバーの上端部に取付けた補強芯材を、上面板に設けた環状溝に掛合させてなる請求項1もしくは2に記載の防炎カバー付き空気ばね。
【請求項4】 防炎カバーの上端部に取付けた補強芯材を、両端部に相互の掛止部を設けたコイル部材としてなる請求項3に記載の防炎カバー付き空気ばね。
【請求項5】 防炎カバーの、周方向の両端部分に、相互掛合手段を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の防炎カバー付き空気ばね。
【請求項6】 防炎カバーを、難燃性もしくは不燃性の織布と、この織布の、少なくとも内表面側に形成した、難燃性もしくは不燃性の低摩擦層とで構成してなる請求項1〜5のいずれかに記載の防炎カバー付き空気ばね。
【請求項7】 防炎カバーを回り止めしてなる請求項1〜6のいずれかに記載の防炎カバー付き空気ばね。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄道車両、自動車、産業機械等に使用される空気ばねにおいて、火花、火気等からゴム質を有効に保護することができる防炎カバー付き空気ばねに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の空気ばねでは、各種のゴム部分、なかでもゴムベローズを外部に露出させて構成しており、この一方で、ゴムベローズ部分を、難燃性もしくは不燃性の他の材料をもって構成することは性能上不可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これがため、可燃性のゴムベローズが露出する従来の空気ばねを、火花が発生したり、火気が存在したりする箇所等の近傍に設置する場合に、そのゴムベローズの発火、溶融等のおそれを完全に払拭することができなかった。
【0004】この発明は、従来技術が抱える、空気ばねの性能はそのままに、上記の如きのおそれを効果的に取り除いた防炎カバー付き空気ばねを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の、防炎カバー付き空気ばねは、上下のそれぞれの面板と、これらの両面板にそれぞれの端部分を気密に連結したゴムベローズとを具える空気ばねにおいて、たとえば、ほぼ円筒状に形成した防炎カバーを上面板から垂下し、この防炎カバーの下端縁を、ゴムベローズの下端より下方に位置させたものである。
【0006】これによれば、空気ばね、とくにはゴムベローズを、防炎カバーによって、それの上端から下端まで十分に覆うことで、ゴムベローズを、そこへの火花の到達等から十分に保護し、また、付近に存在する火気によってゴムベローズが加熱されるのを、防炎カバーそれ自体および、防炎カバーとゴムベローズとの間の空気層の断熱作用をもって阻止することができるので、より過酷な条件の下での空気ばねの使用に対しても、ゴムベローズの発火、溶融等のおそれを効果的に取り除くことができる。
【0007】かかる空気ばねにおいて、より好ましくは、ほぼ円筒状をなす防炎カバーを、その全周にわたって上面板の適宜位置に取付け、これによって、火花等が、防炎カバーと上面板との間の隙間からゴムベローズ側へ入り込むおそれを取り除く。ところで、防炎カバーのかかる取付けは、上面板の適宜位置への防炎カバーの固定、固着等によって行い得ることはもちろんであるも、好ましくは、シート状等をなす防炎カバーの上端部に、縫製その他により取付けた補強芯材を、上面板に設けた環状溝に掛合させるとともに、そのカバーの両端部を相互連結することによって防炎カバーの取付けを行う。これによれば、補強芯材の、環状溝への嵌め込みをもって、防炎カバーを、簡単に、かつ容易に、しかも、その全周にわたって確実に取付けることができ、また、補強芯材によって取付け強度を大きく高めることができる。
【0008】また好ましくは、防炎カバーの上端部に取付けた前記補強芯材を、両端部に相互の掛止部を設けたコイル部材とする。ここでは、コイル部材の可撓性の下で、それの一端部を、円周上の一箇所から環状溝に挿通させることで、防炎カバーの上端部を、その環状溝に簡易、迅速に掛合させることができ、また、コイル部材の両端部を、掛止部にて相互連結することで、棒状ないしは紐状をなすそのコイル部材を、これまた簡易、迅速にエンドレスに形成することができる。なおここで、コイル部材のエンドレス連結によって、そのコイル部材に収縮方向の弾性復元力を生じさせた場合には、環状溝に沿う、コイル部材、ひいては、防炎カバーの不測の回動変位を有効に阻止することができる。
【0009】そしてより好ましくは、防炎カバーの、周方向の両端部分に、相互に掛合する、ボタン、フック、ジッパー、面ファスナー等の掛合手段を設け、その掛合をもって防炎カバーを常に一定の円筒状等に形成することで、防炎カバーの、上面板への確実なる装着の他、それの取外しをもまた容易ならしめるとともに、防炎カバーの、所期した通りの機能の発揮を担保する。
【0010】さらに好ましくは、防炎カバーを、難燃性もしくは不燃性の織布と、この織布の、少なくとも内表面側に形成した、難燃性もしくは不燃性の低摩擦層とで構成し、織布をもって防炎カバーの強度、耐久性等を確保し、また、防炎カバーをほぼ円筒状に形成して、それとゴムベローズとの接触を有効に防止することと併せて、低摩擦層の作用下で、ゴムベローズの摩耗を防止する。
【0011】そしてさらには、防炎カバーを適宜の回り止め手段をもっで回り止めすることが好ましく、これによれば、防炎カバーの取り外し等を常に一定位置にて行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態を示す縦断面図であり、図中1,2はそれぞれ上面板および下面板を示す。
【0013】ここでは、上面板1および下面板2のそれぞれに、ゴムベローズ3の上端部分および下端部分のそれぞれをともに気密に連結して空気ばね4を構成するとともに、かかる空気ばね4の下方、図では下面板2の下方に中空のゴム質弾性体5を積層する。ここで、上面板1は、その中央部分に、加圧空気供給手段に連通する給気口1aを、下面板2は、その中央部分に、ゴム弾性体5の中空部分5aを介して、図示しない補助タンクに連通する絞り通路2aをそれぞれ有する。
【0014】またここでは、このような空気ばね4の上面板1から、ほぼ円筒状に形成した防炎カバー6を垂下させて設け、この防炎カバー6の下端縁をゴムベローズ3より下方に位置させる。
【0015】ここで防炎カバー6は、難燃性もしくは不燃性の織布と、この織布の少なくとも内表面側に設けた、これも難燃性もしくは不燃性の低摩擦層とからなり、前記織布は、ガラス、金属、炭素、アスベスト等の他、チタン系、フッ素系、アラミド系、アクリル系、ポリフェニレンスルファイドその他の耐熱不燃もしくは難燃繊維により構成することができ、また、低摩擦層は、ケイ素樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニリデン樹脂等に加え、シリコーンゴム、チタン系金属、アスベスト系材料、セラミック、塩化ビニルその他の耐熱不燃もしくは難燃材料を、前記織布にコーティングもしくはラミネートすることにより、またはその織布にそれらの材料を含浸させることにより形成することができる。
【0016】ところで、かかる防炎カバー6の、上面板1からの垂下は、図2および図3のそれぞれに、要部拡大断面図および部分拡大正面図で示すように、たとえばシート状をなす防炎カバー6の上端部に、たとえば縫製によって取付けた、補強芯材としての可撓性コイル部材7を、上面板1の周面で、上面板金具1bの周縁屈曲部と、その上方の被覆ゴム部分1cとの間に画成した環状溝8に、防炎カバー6の上端部とともに掛合させ、そして、防炎カバー6の残部をその可撓性コイル部材7から吊り下げることにより行うことができる。
【0017】ここにおいて環状溝8は、上面板1の周面でのその開口幅を、可撓性コイル部材7の直径より狭くすることで、可撓性コイル部材7および防炎カバー6の、環状溝8からの不測の抜け出しを十分に拘束することができる。従って、かかる環状溝8に対し、可撓性コイル部材7および、防炎カバー6の上端部を、環状溝8の全周にわたって挿通させるに当たっては、たとえば、上面板金具1bの周縁屈曲部に、周方向の一箇所で、図3に示すような切欠部9を設けて、環状溝8の開口幅をそこにて拡開させたところにおいて、可撓性コイル部材7および防炎カバー6の一端部を、その切欠位置から環状溝内へ入れ込むとともに、可撓性コイル部材7への押込力の継続的な作用によって、その可撓性コイル部材7を、それに固有の可撓性および剛性の下に、環状溝8に沿って進行させ、そして、それの前記一端部を切欠位置に再度到達させる。
【0018】このようにして、可撓性コイル部材7の一端部と他端部とのそれぞれを、環状溝内で、切欠部9と対応する部分に位置させた後は、それらの両端部分に設けた掛止部、たとえば、それぞれのフックまたは、ループおよびフックの相互を、好ましくは、可撓性コイル部材7の伸長変形下で掛合させ、これにより、可撓性コイル部材7をエンドレスに連結し、また、それの収縮復元力をもって、上面板1に対する防炎カバー6の不測の回動変位を抑制する。ところで、防炎カバー6のこのような回り止めは、上記収縮復元力の作用に代えて、もしくは加えて、防炎カバー6を上面板1に、ねじその他を用いて直接的に固定もしくは固着すること、または、上面板金具1bに設けた切欠部9内に、リング状、球状その他の適宜形状をなして、環状溝8より大きい寸法を有する回り止め部材を、可撓性コイル部材等に連結して配置することによって行うこともできる。
【0019】またここでは、可撓性コイル部材7および、防炎カバー6の上端部の、環状溝8への上述したような挿通の結果として、その防炎カバー6のそれぞれの周方向端部分を、それの上端部を除く他の部分で、図3に示すように相互にオーバラップさせ、これによって防炎カバー6を、ゴムベローズ3を取り囲むほぼ円筒状に形成する。ここで、より好ましくは、防炎カバー6のオーバラップ端部分の相互を、そこに設けた面ファスナー10をもって連結することで、防炎カバー6の、常に一定の円筒状姿勢への維持を確実ならしめる。
【0020】以上のように構成してなる防炎カバー付き空気ばねによれば、先に述べたように、防炎カバーの作用に基づき、空気ばねそれ自体の性能に何の影響をもおよぼすことなく、ゴムベローズ3を、火花、火気等から十分に保護することができ、また、可撓性コイル部材7によって、防炎カバー6を、上面板1の全周にわたって、簡易、迅速に、かつ強固に取り付けることができ、しかも、その可撓性コイル部材7のエンドレス連結によって、上面板1に対する締付力を発生させることで、可撓性コイル部材7および防炎カバー6の不測の回動変位を十分に阻止することができる。
【0021】そしてさらには、防炎カバー6を、それの円周方向の両端部分に設けた面ファスナー10の掛合によって円筒状に維持することで、防炎カバー6にそれ本体の機能を常に確実に発揮させることができ、防炎カバーそれ自体を、難燃性もしくは不燃性の織布と、この織布の、少なくとも内表面側に形成した、難燃性もしくは不燃性の低摩耗層とで構成することにより、防炎カバー6の強度、耐久性等を高めるとともに、ゴムローズ3の摩耗を有効に防止することができる。
【0022】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、空気ばねを、火花が発生したり、火気が存在したりする苛酷な環境下に適用してなお、ゴムベローズの発火、溶融等のおそれを十分に除去することができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成9年(1997)9月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
【公開番号】 特開平11−94002
【公開日】 平成11年(1999)4月9日
【出願番号】 特願平9−256724