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【発明の名称】 フロントフォーク
【発明者】 【氏名】吉松 剛

【要約】 【課題】ストロークの前半には減衰力の利きが弱く、ストロークするにしたがって減衰力が強くなるようにプログレッシブに制御することを可能とし、且つストローク最終位置からから内筒が荷重位置に復帰の際にはオーバーランしても減衰力を強めるようにしてプログレッシブに復帰運動を止めるフロントフォークの提供。

【解決手段】外筒10内の底部に内筒11に向うように中空管からなるピストンロッド13を設けて、このピストンロッドの先端に内側の内面にしゅう接する第1のピストン14を、また内筒の先端部には外筒の内面とピストンロッドの外面にしゅう接する第2のピストン15を夫々設けるとともに、上記ピストンロッドの外面に周方向に所定の間隔を隔てて軸方向に長さの異なる縦溝からなる複数本の油路16を設け、この油路と第2のピストンを通して外筒内部の第2の油室と第1.2のピストン間に形成された第3の油室とを連通してなることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪側と車体側の間に外筒(アウターチューブ)10と内筒(インナーチューブ)11を懸架ばね12を介してしゅう動自在に嵌挿し、内外両筒内部の第1.第2の油室A.Cに圧油を充填してなるフロントフォークにおいて、外筒10内の底部に上記内筒11に向うように中空管からなるピストンロッド13を設けて、このピストンロッド13の先端に内筒11の内面にしゅう接する第1のピストン14を、また内筒11の先端部には外筒10の内面とピストンロッド13の外面にしゅう接する第2のピストン15を夫々設けるとともに、上記ピストンロッド13の外面に周方向に所定の間隔を隔てて軸方向に長さの異なる縦溝からなる複数本の油路16を設け、この油路16と第2のピストン15を通して外筒内部の第2の油室Cと第1.第2のピストン14.15間に形成された第3の油室Bとを連通してなることを特徴とするフロントフォーク。
【請求項2】 ピストンロッド13の外面の油路16は、内外両筒10.11のストロークの始動位置より減衰力が漸進的に変化するように無荷重位置から下へ向うにしたがい溝の数が減少するように配置されてなることを特徴とする請求項1記載のフロントフォーク。
【請求項3】 前記ピストンロッド13の油路16を、ストロークの最終位置から無荷重位置へ復帰の際にオーバーランしても減衰力を強めるように無荷重位置から上へ向うにしたがい溝の数が減少するように配置されてなる請求項1〜2記載のフロントフォーク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マウンテンバイクや自動二輪車等の車体と車軸間に配備されて路面からの振動を減衰する緩衝機と、フォークを兼ねたフロントフォーク、特に減衰力可変型のフロントフォークに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のフロントフォークとしては、例えば特開平4−316733号や同7−243467号公報等に開示されているものが一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】二輪車等にあっては、走行中に急ブレーキをかけると、慣性によって車体重心が前方へ移動し、このため車体前方が沈み込んで走行安定性が害される。又、小さな凹凸の路面を走行する際には、フロントフォークの減衰力を低めにしてこれのばね下の動きがばね上に伝わるのを防止し、ジャンプの着地の際には、フロントフォークに高い減衰力を発生させて謂わゆる底付き現象を防止することが必要である。
【0004】本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フロントフォーク前半には減衰力の利きが弱く、ストロークするにしたがって減衰力が強くなるように減衰力をプログレッシブに制御することを可能とし、且つストローク最終位置から内筒(インナーチューブ)が無荷重位置に復帰の際にはオーバーランしても減衰力を強めるようにしてプログレッシブに復帰運動を止めることを可能にした減衰力可変型フロントフォークを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明におけもフロントフォークは、車輪側と車体側の間に外筒(アウターチューブ)10と内筒(インナーチューブ)11を懸架ばね12を介してしゅう動自在に嵌挿し、内外両筒内部の第1.第2の油室A.Cに圧油を充填してなるフロントフォークにおいて、外筒10内の底部に上記内筒11に向うように中空管からなるピストンロッド13を設けて、このピストンロッド13の先端に内筒11の内面にしゅう接する第1のピストン14を、また内筒11の先端部には外筒10の内面とピストンロッド13の外面にしゅう接する第2のピストン15を夫々設けるとともに、上記ピストンロッド13の外面に周方向に所定の間隔を隔てて軸方向に長さの異なる縦溝からなる複数本の油路16を設け、この油路16と第2のピストン15を通して外筒内部の第2の油室Cと第1.第2のピストン14.15間に形成された第3の油室Bとを連通してなるものである。
【0006】また、ピストンロッド13の外面の油路16は、内外両筒10.11のストロークの始動位置より減衰力が漸進的に変化するように無荷重位置から下へ向うにしたがい溝の数が減少するように配置されてなるものである。
【0007】さらに、前記ピストンロッド13の油路16を、ストロークの最終位置から無荷重位置へ復帰の際にオーバーランしても減衰力を強めるように無荷重位置から上へ向うにしたがい溝の数が減少するように配置することが好ましい。
【0008】
【実施例】実施例について図面を参照して説明する。
【0009】図1〜2に示すフロントフォークにおいて、車輪側に連結される外筒(アウターチューブ)10と車体側に連結される内筒(インナーチューブ)11とを上下に配置してしゅう動自在に嵌挿し、両筒10.11の内部に第1.第2の油室A.Cを構成し、夫々に圧油が充填される。
【0010】外筒10には、底部より内筒11に向って中空管よりなるピストンロッド13が設けられ、その上端に第1のピストン14が一体的に取付けられる。第1のピストン14は、内筒11の油室A内にあって、該ピストン14と内筒11の上端部の閉塞部材11aとの間に懸架ばね12が設けられている。
【0011】内筒11の下端部に第2のピストン15を一体的に設ける。前記のピストンロッド13は、この第2のピストン15を貫通して、第2のピストン15がしゅう動自在であるように設けられる。
【0012】第1と第2のピストン14.15の間の空間を第3油室Bとし、この両ピストン間に第2の懸架ばね17を設ける。
【0013】第2のピストン15には、第2の油室Cと第3の油室Bを連通するように絞り弁18が組込まれている。
【0014】ピストンロッド13の外面には、周方向に所定の間隔を隔てて軸方向に長さの異なる縦溝からなる複数本の油路16が設けられる。この油路16は図3及び図4に示すように、ピストンロッド13の外周面にほほ円周等間隔に複数本(図示例では8本)設けられるが、その夫々の長さは、第2のピストン15のストロークの始動位置より減衰力が漸進的に変化するように無荷重位置aから下へ向うにしたがい周方向の溝の数が減少するように配置する。又無荷重位置aから上に向う場合も溝の数が急激に減少するように配置する。
【0015】図示例の場合、溝の数は無荷重位置aでは最大の8本であるが、b.c.d.e.f.g.hと段階的に下へ向うにしたがい1本づつ減少し最下位置hでは1本となる。又無荷重位置aから上に向う場合も8本から急激に減少してb′で2本になり、最上位置で0となす。
【0016】ピストンロット13は下部に開設されたオリフィス孔19及び中空管内の通路13a、上端口13bを通して第2油室Cと第1油室Aが連通されている。
【0017】
【作用】次に本フロントフォークの作用を説明する。
【0018】先づ圧縮行程において、内筒11が懸架ばね12の附勢弾力に抗して外筒10内に下動しこれに伴い第2のピストン15が下降すると、第2油室Cが圧縮される。圧縮された油はピストンロッド13の外面の油路16と、第2ピストン15の絞り弁18を通って第3油室へ流入し、油路16及び絞り弁18を通過する際の抵抗により減衰力が得られる。
【0019】さらに、第2油室Cから下動ストロークによる内筒11の体積分の油がピストンロッド13の下端のオリフィス孔19より中空パイプの通路13aを通り上端口13bより第1油室Aへ流入する。
【0020】ピストンロッド13の外面の油路16は長さの異なる複数本の縦溝で構成され、ピストン15のストロークの位置により溝の数が変化するので減衰力が可変する。因に、ピストン15の位置が無荷重位置aのときは、溝の数は8本であるが、bの位置へ下ると7本に減り、さらにc.d.e.f.g.hと下るにつれて溝の数が6.5.4.3.2.1と1つづつ段階的に減少するので、減衰力は下降ストローク中漸進的に低から高へ変化するものである。
【0021】また、伸長行程においては、懸架ばね12の復元弾力により内筒11が外筒10に対して伸長すると、第2のピストン15が上動するにつれて第3油室Bが圧縮され、圧縮された油は絞り弁18及び油路16を通って第2の油室Cへ流入する。同様に第1油室Aから上動ストロークによる内筒の体積分の油がピストンロッド13の通路13a、オリフェス孔19を通って第2油室Cへ流入する。
【0022】上記の伸長行程では上動ストロークの減衰力は逆に高から低へ変化し、無荷重位置aに復帰した際には溝の数が最多になるが、これをオーバーランしてさらに上動すると急激に溝の数が減少し、(b′の位置では溝の数が2本、c′では1本)となるため、再び減衰力が高められる。
【0023】
【発明の効果】本発明は上述の構成からなり、減衰力を得る為の油路が、ピストンロッドの外面に長さの異なる複数本の縦溝により構成されているので、溝の長さや大きさ、又は数等を変化させることで自由に所望の減衰力を得ることが容易に可能であり、而もこのような縦溝は断面が一様な中空円筒型のピストンロッドの外面を利用して形成できるため、従来のテーパー管のような構成に比べ構成が簡単で高精度の作動が得られ製作、加工も容易で、コストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】594055033
【氏名又は名称】株式会社興和製作所
【出願日】 平成9年(1997)6月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 康博
【公開番号】 特開平11−13822
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−183052