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【発明の名称】 ディスクブレーキ用ピン
【発明者】 【氏名】鈴木 健治

【氏名】田中 彰

【氏名】国分 光二

【氏名】阪上 敏夫

【氏名】鹿山 明夫

【氏名】岡田 昇

【要約】 【課題】コストダウンが可能であると共に、強度低下を防止することが可能なディスクブレーキ用ピンを提供する。

【解決手段】ディスクブレーキの取付ブラケットのガイド穴に摺動自在に嵌合される嵌合部15と、キャリパの抜け止め用の座部12と、キャリパの取付ネジに螺入されるネジ部13と、Oリング用の溝部14とを有し、座部12の座面16が圧造によって中窪みのテーパ状に成形され、嵌合部15、ネジ部13及び溝部14が転造によって同時に成形されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスクブレーキの取付ブラケットのガイド穴に摺動自在に嵌合され、前記キャリパを前記取付ブラケットに対して相対移動可能に保持するディスクブレーキ用ピンにおいて、前記取付ブラケットのガイド穴に摺動自在に嵌合される嵌合部と、前記キャリパの抜け止め用の座部と、前記キャリパの取付ネジに螺入されるネジ部と、Oリング用の溝部とを有し、前記座部の座面が圧造によって中窪みのテーパ状に成形され、前記嵌合部、前記ネジ部及び前記溝部が転造によって同時に成形されていることを特徴とするディスクブレーキ用ピン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピンスライド型のディスクブレーキ用ピンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両等に用いられるディスクブレーキとしては、インナ側及びアウタ側の摩擦パッドを取付ブラケット(車両に固定される部材)でディスクの軸方向に移動自在に支持し、摩擦パッドを保持するキャリパを取付ブラケットに対してピンにより移動自在に保持するピンスライド型のディスクブレーキが知られている。
【0003】このようなディスクブレーキ用のピンは、例えば実公平7−49089号公報に提案されている。ここで提案されているディスクブレーキ用ピン5は、図5に示すように、基端部5Aと、この基端部5Aから延びる大径軸部5Bと、この大径軸部5Bの延長上に延びる小径軸部5Cと、先端に形成されたつば状大径部5Dを有している。なお、図中の符号5E、5Fは段部である。このディスクブレーキ用ピン5は、全体を一つの丸棒材料から鍛造により成形することにより、寸法精度及び強度を向上させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来のディスクブレーキ用ピン5においては、転造加工後にOリング溝51を切削加工していたので、一旦形成された鍛流線が切断されることにより強度が低下すると共に、加工工数が増加してコストアップになるという問題があった。
【0005】本発明の目的は、このような問題点を解決することにあり、コストダウンが可能であると共に、強度低下を防止することが可能なディスクブレーキ用ピンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はディスクブレーキ用ピンであり、前述の技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明はディスクブレーキの取付ブラケットのガイド穴に摺動自在に嵌合され、前記キャリパを前記取付ブラケットに対して相対移動可能に保持するディスクブレーキ用ピンにおいて、前記取付ブラケットのガイド穴に摺動自在に嵌合される嵌合部と、前記キャリパの抜け止め用の座部と、前記キャリパの取付ネジに螺入されるネジ部と、Oリング用の溝部とを有し、前記座部の座面が圧造によって中窪みのテーパ状に成形され、前記嵌合部、前記ネジ部及び前記溝部が転造によって同時に成形されていることを特徴とする。
【0007】このディスクブレーキ用ピンは、座面を中窪みのテーパ状に圧造すると共に、ネジ部と溝部を転造によって成形するので、切削加工を一切する必要がなくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るディスクブレーキ用ピンの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明の都合上、先ず図4を参照してディスクブレーキについて説明し、次に図1〜図3を参照してディスクブレーキ用ピンについて説明する。
【0009】図4は、本発明に係るディスクブレーキ用ピンを適用したディスクブレーキ3を示す。このディスクブレーキ3は、車両のディスク31の両面に対向させて配置された摩擦パッド32、32と、車体に固定されている取付ブラケット33と、この取付ブラケット33に対して相対移動可能なキャリパ34とを有している。
【0010】取付ブラケット33には、ディスク31の軸方向に延びる2個のアーム35、35が設けられている。これらのアーム35、35は、ディスク31の径方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。アーム35、35には、ガイド穴36、36が設けられている。
【0011】一方、キャリパ34には、取付ブラケット33のアーム35、35に対応する位置に取付部37、37が設けられている。これらの取付部37、37にはネジ孔38、38(片側のみ図示)が設けられている。これらのネジ孔38、38には、それぞれディスクブレーキ用ピンであるガイドピン1A及びロックピン1Bのネジ部13が螺入されている。そして、これらのガイドピン1A及びロックピン1Bの嵌合部15が、それぞれ取付ブラケット3のガイド穴36、36に摺動自在に嵌入されている。これにより、キャリパ34が取付部ラケット33に対して移動自在になっている。
【0012】ガイドピン1Aは、図1に示すように一端から他端にかけて頭部11、座部12、ネジ部13、溝部14及び嵌合部15が順次形成されている。頭部11は例えば6角形に成形され、座部12は所定の大きさで円形に成形されている。座部12の下面には、中心に向かって窪んでいるテーパ状の座面16が設けられている。この座面16は、図2に示すように圧造金型21aを用いて圧造されている。このとき、6角形の頭部11及び座部12も同時に圧造金型21a、21bを用いて圧造される。圧造金型21aは、座面16に対応する圧造面22と、ガイドピン1Aの素材31の軸部分32を挿入する穴23とを有している。圧造面22は、座面16のテーパに対応させて所定の傾斜角度θで中心が盛り上がったテーパ状に形成されている。圧造面22の傾斜角度θは、例えばθ=1°程度に設定されている。
【0013】図1のガイドピン1Aのネジ部13、溝部14及び嵌合部15は、図3に示すようにダイス25により同時に転造されている。ダイス25は、図中右側の第1ダイス26と左側の第2ダイス27とで構成されている。また、第1ダイス26と第2ダイス27は、それぞれ図中縦方向にネジ成形ダイス28a、28bと、溝成形ダイス29a、29bと、軸振れ防止ダイス30a、30bとに3分割されている。
【0014】このダイス25は、ネジ成形ダイス28a、28b、溝成形ダイス29a、29b、及び軸振れ防止ダイス30a、30bを重ね合わせ、第1ダイス26と第2ダイス27との間にガイドピン1Aの素材31(図2)を座面16の圧造後に挟み、第1ダイス26と第2ダイス27を相対移動させることによりガイドピン1Aを転造するようになっている。なお、ロックピン1Bはガイドピン1Aと同様なので、詳細な説明は省略する。
【0015】このように、本発明に係るディスクブレーキ用ピンであるガイドピン1A及びロックピン1Bは、座部12の座面16が圧造によって成形され、ネジ部13、溝部14及び嵌合部15が転造によって同時に成形されているので、切削加工を一切する必要がなくなる。したがって、加工工数を低減してコストダウンを図ることができる。
【0016】また、座部12の座面16は中心が窪んだテーパ状に圧造されているので、材料の張り込みが均一になるため、締め付けによる曲がり発生を防止できると共に、従来のように鍛流線が切断されることがなくなるため強度を向上させることができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のディスクブレーキ用ピンによれば、座面を中窪みのテーパ状に圧造すると共に、嵌合部、ネジ部及び溝部を転造によって同時に成形するので、切削加工を一切する必要がなくなる。したがって、加工工数を低減してコストダウンが可能になる。また、鍛流線が切断されることがないため、強度を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000000516
【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社
【識別番号】598047328
【氏名又は名称】株式会社タツミ
【出願日】 平成10年(1998)4月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
【公開番号】 特開平11−294501
【公開日】 平成11年(1999)10月29日
【出願番号】 特願平10−97704