| 【発明の名称】 |
ディスクパッドの製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木内 重俊
【氏名】原 泰啓
【氏名】山口 淳哉
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| 【要約】 |
【課題】スキール音などの鳴き特性を、大幅に低減させるためのディスクパッドの製造法を提供するものである。
【解決手段】ディスクパッド1を回転機構を有する回転胴2又は回転胴により移動するベルトコンベヤーに設置し、回転胴2の外側から回転胴中心部に向けて放射する火炎3により、ディスクパッド1の摩擦部材における表面温度の最大値が600〜1500℃になる温度で加熱することを特徴とするディスクパッドの製造法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスクパッドを回転機構を有する回転胴又は回転胴により移動するベルトコンベヤーに設置し、回転胴の外側から回転胴中心部に向けて放射する火炎により、ディスクパッドの摩擦部材における表面温度の最大値が600〜1500℃になる温度で加熱することを特徴とするディスクパッドの製造法。 【請求項2】 ディスクパッドの端部を中央部より高温で加熱することを特徴とする請求項1記載のディスクパッドの製造法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車、トラック等の自動車の制動に用いられるディスクパッドの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】乗用車、トラック等の自動車には、その制動のためディスクパッドが使用されている。このディスクパッドとしては、現在非アスベスト系ディスクパッドが主流であり、特公昭59−4462号公報、特開平6−184525号公報等に示されるように補強繊維として、スチール繊維、黄銅繊維、銅繊維等の金属繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、フェノール繊維等の有機繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維などを組み合わせたものが使用されている。 【0003】しかしながら、従来の非アスベスト系ディスクパッドは、スキール音などの高周波の鳴き特性が完全ではなく、改良が望まれている。上記の問題点の対応策として、黒鉛などの固体潤滑剤の配合割合を増加することが考えられるが、固体潤滑剤の配合割合を増加すると、摩擦係数の低下やグー音と称する低周波の異音の発生を防止することが困難であるなどの問題点が生じる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】請求項1及び2記載の発明は、スキール音などの鳴き特性を、大幅に低減させるためのディスクパッドの製造法を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、ディスクパッドを回転機構を有する回転胴又は回転胴により移動するベルトコンベヤーに設置し、回転胴の外側から回転胴中心部に向けて放射する火炎により、ディスクパッドの摩擦部材における表面温度の最大値が600〜1500℃になる温度で加熱することを特徴とするディスクパッドの製造法に関する。また、本発明は、ディスクパッドの端部を中央部より高温で加熱することを特徴とするディスクパッドの製造法に関する。 【0006】 【発明の実施の形態】火炎により加熱してスコーチ処理されるディスクパッドの摩擦部材における表面温度の最大値、即ち表面温度の一番高い部分の温度は、600〜1500℃、好ましくは700〜1100℃、さらに好ましくは800〜900℃の範囲とされ、600℃未満では鳴き特性を低減させる効果がなく、1500℃を超えると摩擦部材に亀裂が発生する。また、スコーチ処理する際の加熱温度は、鳴き特性の低減の点でディスクパッドの端部を中央部より高温で加熱することが好ましい。 【0007】本発明は、ディスクパッドを回転機構を有する回転胴又は回転胴により移動するベルトコンベヤーに設置し、火炎を回転胴の外側から回転胴の中心部に向けて放射するため、はじめに摩擦部材のディスクパッドの端部が火炎に斜めにあたるので、火炎に近い距離でスコーチ処理され、次いでディスクパッドの摩擦部材の中央部が火炎に垂直にあたるので、火炎に遠い距離でスコーチ処理され、最後にディスクパッドの摩擦部材の端部が火炎に斜めにあたるので、火炎に近い距離でスコーチ処理される。即ち、摩擦部材の端部は中央部より火炎にあたる距離が短く高い温度でスコーチ処理される。 【0008】なお火炎から中央部までの最長距離と火炎から端部までの最短距離は、ディスクパッドの長さにより異なるが、例えば火炎から中央部までの最長距離と火炎から端部までの最短距離の比率は、2.3〜2.7:1であることが好ましく、1.8〜2.2:1であることがさらに好ましい。摩擦部材表面の端部と中央部の加熱温度の差については特に制限はないが、摩擦部材に含まれる有機物質の除去量との関係で80〜150℃が好ましく、120〜150℃がより好ましい。上記のようにスコーチ処理することにより、一般に硬度が硬いと鳴き易いといわれているディスクパッドの摩擦部材の端部の表面硬度を中央部より小さくすることができる。 【0009】加熱温度とディスクパッドの表面硬度の関係は、例えば摩擦部材表面の中央部を620℃及び端部を700℃でスコーチ処理すると表面硬度は、中央部が88及び端部が54となり、摩擦部材表面の中央部を810℃及び端部を900℃でスコーチ処理すると表面硬度は、中央部が83及び端部が46となり、また摩擦部材表面の中央部を1150℃及び端部を1300℃でスコーチ処理すると表面硬度は、中央部が79及び端部が42となる。本発明における摩擦部材の端部とは摩擦部材の両先端部から15mmまでの部分を指し、それ以外は中央部を指す。 【0010】ディスクパッドの送り速度(移動速度)については特に制限はないが、例えば2〜4mm/秒の速度で送ることが好ましく、2.5〜3.5mm/秒の速度で送ることがさらに好ましい。本発明においては、ディスクパッドを回転胴の接線方向に並行になるように設置するが、この設置する手段については特に制限はないが、例えば回転胴に直接マグネットで固着するかベルトコンベヤーにマグネットで固着するかディスクパッドの両端をベルトコンベヤーに引っ掛けるか又はベルトにはさみつける方法等がある。なお連続作業を行う場合にはベルトコンベヤーを用いることが好ましい。 【0011】本発明のディスクパッドに用いられる摩擦部材の材質は、セミメタリック系、ノンスチール系のいずれにも適用でき特に制限はない。また、摩擦部材の素材は、一般に公知の材料が用いられ、例えばスチール繊維、黄銅繊維、銅繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、フェノール繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、カーボン繊維等の繊維状物質、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、カシュー樹脂等の熱硬化性樹脂やNBR、SBR、IR等のゴム組成物を含む結合剤、フリクションダストなどの有機質摩擦調整剤、硫酸バリウム、三硫化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機質摩擦調整剤などが用いられ、さらに必要に応じて黄銅、真鍮、銅等の金属粉が添加される。 【0012】上記における繊維状物質の含有量は、全組成物中に30〜50重量%含有することが好ましく、35〜45重量%含有することがさらに好ましい。結合剤の含有量は、全組成物中に10〜18重量%含有することが好ましく、12〜16重量%含有することがさらに好ましい。また無機質摩擦調整剤の含有量は、全組成物中に25〜45重量%含有することが好ましく、30〜40重量%含有することがさらに好ましい。これらの成分は、全組成物が100重量%となるように配合される。 【0013】スコーチ処理前のディスクパッドは、摩擦材組成物を予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿入し、加熱加圧成形法で成形することにより得られる。 【0014】以下に本発明の実施例の形態を図面により詳述する。図1は、本発明の実施例になるスコーチ処理する方法を示す概略図であり、1はディスクパッド、2は回転胴、3はバーナーの火炎及び4はベルトコンベヤーである。図2は、本発明の実施例によって得られたディスクパッドの表面硬度の測定位置を示す平面図であり、5は摩擦部材、6は中央部の表面硬度測定位置、7は端部の表面硬度測定位置及び8は裏金である。 【0015】図3は、ディスクパッドを回転胴の接線方向に設置した状態を説明するための概略図であり、本発明はこのようにディスクパッド1と回転胴2の中心部0の接線Lが並行の位置になるように設置することが好ましい。 【0016】 【実施例】以下本発明の実施例を説明する。 実施例1表1に示す成分を配合し、混合機で均一に混合した後、予備成形し、次いで金型内に裏金及び予備成形体を挿入し、その後152.5±2.5℃、圧力49MPaの条件で5分間加熱加圧成形し、更に200℃で5時間焼成し、冷却後研磨して端部から端部までの長さが127mmのディスクパッドAを得た。 【0017】 【表1】
【0018】次に上記で得たディスクパッドAを図1に示すスコーチ設備のベルトコンベヤー上にマグネットで固着し、3.0mm/秒の移動速度で、かつディスクパッドAの表面の最大値が600℃の温度で加熱してスコーチ処理を行い、ディスクパッドBを得た。 【0019】実施例2実施例1で得たディスクパッドAを図1に示すスコーチ設備のベルトコンベヤー上にマグネットで固着し、3.0mm/秒の移動速度で、かつディスクパッドAの表面の最大値が850℃の温度で加熱してスコーチ処理を行い、ディスクパッドCを得た。 【0020】実施例3実施例1で得たディスクパッドAを図1に示すスコーチ設備のベルトコンベヤー上にマグネットで固着し、3.0mm/秒の移動速度で、かつディスクパッドAの表面の最大値が1500℃の温度で加熱してスコーチ処理を行い、ディスクパッドDを得た。 【0021】比較例1実施例1で得たディスクパッドAを図1に示すスコーチ設備のベルトコンベヤー上にマグネットで固着し、3.0mm/秒の移動速度で、かつディスクパッドAの表面の最大値が500℃の温度で加熱してスコーチ処理を行い、ディスクパッドEを得た。 【0022】比較例2実施例1で得たディスクパッドAを図1に示すスコーチ設備のベルトコンベヤー上にマグネットで固着し、3.0mm/秒の移動速度で、かつディスクパッドAの表面の最大値が1600℃の温度で加熱してスコーチ処理を行い、ディスクパッドFを得た。 【0023】次に、本発明になるディスクパッドB〜D(実施例1〜3)と本発明に含まれないディスクパッドE及びF(比較例1〜2)をJIS D 4421に従って摩擦部材の端部と中央部をロックウエル硬度計で測定すると共に鳴き発生率、摩擦部材の亀裂の発生の有無及び摩擦部材の発火の発生の有無について調べた。これらの結果をまとめて表2に示す。なお鳴き発生率については、〔車両総重量:1600kg、ブレーキ型式:コレットタイプ(シリンダ面積:28cm2)、2000ccオートマチック車〕で市街地走行(1000km)を行い数1に示す式により求めた。また摩擦部材の亀裂の発生の有無及び摩擦部材の発火の発生の有無については目視により観察した。 【0024】 【数1】
【0025】 【表2】
【0026】表2に示すように、本発明になるディスクパッドは、摩擦部材の両端の表面硬度は中央部より小さく、また鳴き発生率の少ないことがわかる。これに対して本発明に含まれないディスクパッドは、摩擦部材の表面硬度の差が小さく鳴き発生率が大きいか又はスコーチ処理により摩擦部材が発火し、亀裂が生じた。 【0027】 【発明の効果】請求項1及び2における方法により得られるディスクパッドは、スキール音などの鳴き特性を大幅に低減させ、摩擦部材の亀裂の発生及び発火の発生が無く、工業的に極めて好適である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004455 【氏名又は名称】日立化成工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月31日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】若林 邦彦
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| 【公開番号】 |
特開平11−132269 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−300607 |
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