| 【発明の名称】 |
ドラムブレーキのシュー間隙調整装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】新井 信寿
|
| 【要約】 |
【課題】シュー間隙手動調整操作を簡単に行えると共に、ブレーキ作動用アクチュエータの小型化並びに低コスト化が図れるドラムブレーキのシュー間隙調整装置を提供すること。
【解決手段】シュー間隙手動調整機構に作用している軸力を、ブレーキシュー13,14を手動的に拡開することにより解放可能な解放手段32をドラムブレーキに組み込み、解放手段32で以てブレーキシュー13,14を手動的に拡開した状態でシュー間隙を手動で調整する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ブレーキ作動用のアクチュエータに、ボルト部材とナット部材から成るシュー間隙手動調整機構を具備し、該調整機構がブレーキシューに付与させたシューリターンスプリングの張力を支承し、前記ブレーキシューの戻り位置を規制するよう構成されているドラムブレーキにおいて、前記シュー間隙手動調整機構に作用している軸力を、前記ブレーキシューを手動的に拡開することにより解放可能な解放手段をドラムブレーキに組み込んだことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置。 【請求項2】請求項1に記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、アクチュエータに近いトルクプレートに解放手段を設置し、トルクプレートで反力を得てブレーキシューを手動的に拡開することを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置。 【請求項3】ブレーキ作動用のアクチュエータに、ボルト部材とナット部材から成るシュー間隙手動調整機構を具備し、該調整機構がブレーキシューに付与させたシューリターンスプリングの張力を支承し、前記ブレーキシューの戻り位置を規制するよう構成されているドラムブレーキにおいて、前記シュー間隙手動調整機構に作用している軸力を、前記ブレーキシューを手動的に拡開することにより解放可能な解放手段がドラムブレーキに付設可能であって、シュー間隙調整時に、解放手段をドラムブレーキに付設する工具としたことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置。 【請求項4】請求項3に記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、アクチュエータに近いトルクプレート又はブレーキシューのシューウェブに解放手段を設置し、トルクプレートに反力を得てブレーキシューを手動的に拡開することを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置。 【請求項5】請求項2又は請求項4に記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、ブレーキシューを拡開する解放手段が、支持部材に支持させる支持軸部と、支持軸部と一体に形成し、被支持部材に当接してブレーキシューを拡開させるカム部と、支持軸部を回転させる回転部とを備えたことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は大型のドラムブレーキに適したドラムブレーキのシュー間隙調整装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一対のブレーキシューを拡開作動するブレーキ作動用アクチュエータ(ホイールシリンダ)にシュー間隙手動調整機構を具備させたドラムブレーキが知られている。 【0003】この調整機構は、例えばブレーキ作動用アクチュエータ内のピストン内方にボルト部材を螺着すると共に、該ピストンの外方端部に相対回転可能に嵌合したヘッドの切欠にブレーキシューの一端を係合させ、ピストン外方の頭部に一体に形成した調整ギヤを手動で回転操作することで、ボルト部材をピストン内に進退できる構造になっている。この機構はライニングが摩滅してブレーキドラムとの隙間を手動で詰めたい場合や、シュー間隙自動調整装置がアクチュエータに装備されているブレーキにおいては、ブレーキドラムとブレーキシューとの隙間が詰まり過ぎたとき、或いはブレーキドラムにライニング幅の摩滅環状溝が形成されて、一対のブレーキシューを非ブレーキ時より更に縮径しないとブレーキドラムを取り外すことができない場合、更には部品の交換時に、一対のブレーキシュー間に張設してあるシューリターンスプリングを取り外す場合等に役立つ。 【0004】ところで、これまではバックプレートの窓穴を通じてドライバー類の工具を差し込み、工具の先端を調整ギヤに係止して回転操作していたが、特に、大型のドラムブレーキにおいては強力なシューリターンスプリングを用いているため、大きな操作力を必要とすることや、工具の先端が調整ギヤから外れ易い等の問題がある。そこで、小さな操作力で調整ギヤを回転操作する特殊工具が、例えば特開平8−49738号公報に提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前記した特殊工具を用いる方法にあっては、つぎのような問題点がある。 〈イ〉 強力なシューリターンスプリングの張力が作用している状態下で調整ギヤを回転しなければならないから、調整ギヤを高強度にする必要がある。そのため、アクチュエータの大型化を招き、スペース上の問題や製造コストが高価になる等の問題がある。 〈ロ〉 ブレーキドラムを取り外した状態で本特殊工具を使用する場合、バックプレートやシューリターンスプリング等に邪魔されて、特殊工具の操作回転角が小さく制約される。特殊工具の1回の操作によるシュー拡縮量が少ないため、特殊工具のセット、回転操作、取り外し操作を1サイクルとする操作を幾度も繰り返し行う必要があり、作業が煩らわしい。 〈ハ〉 特殊工具の操作回転角を大きく確保することを目的として、仮にバックプレート側からこの作業を行うようにしようとすると、特殊工具挿入用の大きな穴をバックプレートに設けねばならず、強度面での低下を免れない。 【0006】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、シュー間隙手動調整操作を簡単に行えるドラムブレーキのシュー間隙調整装置を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、ブレーキ作動用アクチュエータの小型化並びに低コスト化が図れるドラムブレーキのシュー間隙調整装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、ブレーキ作動用のアクチュエータに、ボルト部材とナット部材から成るシュー間隙手動調整機構を具備し、該調整機構がブレーキシューに付与させたシューリターンスプリングの張力を支承し、前記ブレーキシューの戻り位置を規制するよう構成されているドラムブレーキにおいて、前記シュー間隙手動調整機構に作用している軸力を、前記ブレーキシューを手動的に拡開することにより解放可能な解放手段をドラムブレーキに組み込んだことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置である。請求項2に係る発明は、請求項1に記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、アクチュエータに近いトルクプレートに解放手段を設置し、トルクプレートで反力を得てブレーキシューを手動的に拡開することを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置である。請求項3に係る発明は、ブレーキ作動用のアクチュエータに、ボルト部材とナット部材から成るシュー間隙手動調整機構を具備し、該調整機構がブレーキシューに付与させたシューリターンスプリングの張力を支承し、前記ブレーキシューの戻り位置を規制するよう構成されているドラムブレーキにおいて、前記シュー間隙手動調整機構に作用している軸力を、前記ブレーキシューを手動的に拡開することにより解放可能な解放手段がドラムブレーキに付設可能であって、シュー間隙調整時に、解放手段をドラムブレーキに付設する工具としたことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置である。請求項4に係る発明は、請求項3に記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、アクチュエータに近いトルクプレート又はブレーキシューのシューウェブに解放手段を設置し、トルクプレートに反力を得てブレーキシューを手動的に拡開することを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置である。請求項5に係る発明は、請求項2又は請求項4のいづれかに記載のドラムブレーキのシュー間隙調整装置において、ブレーキシューを拡開する解放手段が、支持部材に支持させる支持軸部と、支持軸部と一体に形成し、被支持部材に当接してブレーキシューを拡開させるカム部と、支持軸部を回転させる回転部とを備えたことを特徴とする、ドラムブレーキのシュー間隙調整装置である。 【0008】 【発明の実施の形態】以下図1〜図4を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。 【0009】〈イ〉ドラムブレーキの全体構造図1はブレーキドラム装着のままシュー間隙手動調整が行えるドラムブレーキの平面図を示し、図面簡略化のためにその左半は調整前の初期状態を示し、右半はシュー間隙手動調整時における状態を示し、ブレーキドラムは省略してある。図2は図1のII−II断面図、図3はアクチュエータに作用している軸力の解放手段の斜視図、図4は拡大したシュー間隙自動調整機構付アクチュエータの部分断面図を示す。 【0010】ブレーキドラム10は回転する車軸側に固定され、トルクプレート11は車体の不動部に固定される。ダストカバー12は中央部がトルクプレート11と共に車両の不動部に共締めされ、その外周部がブレーキドラム10の開口を覆う。 【0011】鋳鉄製のブレーキシュー13,14はリム13a,14aとツインウェブ13b,14bから断面T字状に一体成形され、リム13a,14aの外周にライニング13c,14cを固着して形成されている。トルクプレート11の下方に取着したアンカーピン15,16が、前記ブレーキシュー13,14のそれぞれ下方端を回転可能に軸支している。 【0012】ブレーキシュー13,14の上方端近傍にピン17,18が植設され、このピン17と18の間にシューリターンスプリング19が張設されている(図示のシューリターンスプリング19はツインウェブ13b,14bのダストカバー12側にも張設されている)。シューリターンスプリング19には振動防止用のカバー19aが外装されている。 【0013】〈ロ〉アクチュエータアクチュエータ20は液圧式又は空圧式で、ブレーキシュー13,14の上方隣接端間に配設されており、ブレーキシュー13,14の拡開作用と戻り位置の規制作用を果たす。 【0014】図4の拡大図を基にシュー間隙自動調整機構を内蔵したアクチュエータ20の構成について説明するが、アクチュエータ20は左右が同じ構成であるから、右半に就いてのみ説明する。 【0015】ボディ21はトルクプレート11に固定され、内部に異径の大径ボア21aと小径ボア21bが穿設され、小径ボア21bを介して左右のボアが連通している。 大径ボア21a内にはピストン22が嵌合している。ボア21a外に突出するピストン22の右方の頭部には、調整ギヤ22aを形成すると共に、その軸芯にヘッド23を相対回転可能に嵌合している。ヘッド23の右方にはブレーキシュー14のウェブ14bを収容する切欠23aが設けてある。 【0016】ピストン22の左方の軸心には有底孔が穿設され、この有底孔内に非可逆めねじが螺設されている。ここでいう「非可逆ねじ」とは、軸方向の推力により相対回転しないねじ結合を意味する。アジャストボルト24の左方側外周には可逆おねじ24aが、右方外周には非可逆おねじ24bが夫々螺設されている。ここでいう「可逆ねじ」とは、軸方向の推力により相対回転するねじ結合を意味する。 【0017】又、アジャストボルト24の左端は円錐状に形成され、この円錐面24cが小径ボア21b奥部の円錐面にクラッチ係合している。 【0018】ドライブリング25はその外周が円錐状に形成されて隔壁21cの突出部に形成した円錐面にクラッチ係合している。ドライブリング25の内周には可逆めねじが螺設されていて、前記アジャストボルト24の左方の可逆おねじ24aに所定のバックラッシュを存して螺合し、アジャストボルト24とドライブリング25の間に縮設した圧縮ばね26のばね力で該リング25を常時クラッチ係合させる方向に付勢している。 【0019】前記したアジャストボルト24の軸芯には流路が穿設されている。この流路の左方にロケータ28を収容している。圧縮ばね27はロケータ28を介してアジャストボルト24を軸方向に付勢してブレーキ作動中の振動による盲動を防止している。 【0020】ロケータ28は圧縮ばね27の捩り力がアジャストボルト24に作用しないように機能する。小径ボア21bの孔奥に流体室30が形成され、ピストン22に装着したピストンカップ29が流体室30の液密性を保持している。 【0021】尚、図中符号31は大径ボア21a内への異物の侵入を防ぐダストブーツである。 【0022】そして、流体室30を加圧すると、ピストン22が右方に進出してブレーキシュー14をアンカーピン16周りに拡開し、そのライニング14cをブレーキドラム10に押圧しこれを制動する。 【0023】また、シュー間隙自動調整作動について説明すると、ブレーキ作動時にはピストン22と一体にアジャストボルト24が進出する。今、ライニング14cが摩耗しドライブリング25とのバックラッシュを超えると、ドライブリング25のクラッチ係合が解かれて円錐面が滑り乍ら回転する。次いで、ブレーキを解放すると、シューリターンスプリング19の張力によりピストン22とアジャストボルト24がバックラッシュ分戻る。その後ドライブリング25が強くクラッチ係合して回転不能となるから、アジャストボルト24の左端の円錐面24cがクラッチ係合するまでは該ボルト24が回転せしめられてピストン22から螺出する。これにより、ほぼライニング14cの摩耗した分だけピストン22の戻り位置を補正する。 【0024】〈ハ〉解放手段図2を基に左右のブレーキシュー13,14の解放手段について説明するが、左右の解放手段は同じ構成であるから、右方のブレーキシュー14の解放手段に就いてのみ説明する。 【0025】アクチュエータ20に接近したトルクプレート11にテーパ状の面取りを施した孔11aが穿設され、この孔11aにカムシャフト32の支持軸部34が回転自在に貫挿されている。支持軸部34に形成したテーパ面34aが孔11aの対応面に当接し、支持軸部34の下半に平ワッシャ37とスナップリング38を介して外装した圧縮ばね36のばね力により、前記テーパ面34aが孔11aの対応面にクラッチ係合している。円錐クラッチ係合構造を採用したのは、カムシャフト32を任意の回転位置に保持するためである。 【0026】カムシャフト32にはシューウェブ14bの内面に当接可能なカム部33が一体に形成されている。カム部33はブレーキシュー14のシューウェブ14bの内周面を支承してブレーキシュー14を手動的に拡開することでシュー間隙手動調整機構に作用している軸力を解放可能な形状に形成されている。 【0027】カムシャフト32の両端又は一端に六角形の突出部又は凹部で構成される回転部35を形成していて、回転部35に公知のボックスレンチや六角レンチ等の工具を嵌挿してカムシャフト32に回転を与えられるようになっている。カムシャフト32の直下に位置するダストカバー12には調整用穴12aが開設され、この調整用穴12aをプラグ39が塞いでいる。 【0028】 【作用】つぎにシュー間隙の手動調整操作について説明する。 【0029】ブレーキドラム10を装着したままダストカバー12の調整用穴12aに公知のソケットレンチ等の工具を挿入し、解放手段であるカムシャフト32の端部の回転部35に工具を嵌挿して回転操作する。カムシャフト32の回転操作に伴い、カム部33がブレーキシュー14のシューウェブ14bの内周面に当接する。カムシャフト32を更に回転操作すると、カム部33によるシューウェブ14bの内周面への押圧力が増し、ブレーキシュー14がシューリターンスプリング19の張力に坑しながらアンカーピン16を支点に拡開する。これにより、アクチュエータ20のピストン22等に作用している軸力を取り除く。 【0030】しかる後、従来公知の如く、ブレーキ外部からマイナスドライバーを差し込んで調整ギヤ22aを所望の方向に回転してやれば、ピストン22は軽く回転し、ピストン22がアジャストボルト24に対し螺出又は螺入する。尚、アジャストボルト24はこれに環装したOリング40の摩擦抵抗により、ヘッド23はその切欠23aがシューウェブ14bと嵌合しているから、ピストン22と共に回転しない。 【0031】左方のブレーキシュー13側に装備させた解放手段を使って同様の操作を行い、軸力を取り除た状態でアクチュエータ20の左方のピストン22を回転操作する。 【0032】例えば車体組立ラインでドラムブレーキを組付けたときや、市場における部品交換後に、極力ブレーキドラム10とブレーキシュー13,14との隙間を詰め、初めから良好なぺダルフィーリングを得たいとき(シュー間隙自動調整装置は、ブレーキドラム10の熱膨張や弾性変形分を見込んでシュークリアランスを設定するから、このような条件を与えるまではぺダルストロークが若干大きく、最良のフィーリングが得られない。)は、カムシャフト32を回転操作してブレーキシュー13,14をブレーキドラム10に圧着させた後、調整ギヤ22aをヘッド23の切欠23a底がブレーキシュー13,14に当るまで進出方向に回転し、次いで所望の駒数戻し、解放手段32を元の位置に戻してやればよい。 【0033】また、ブレーキドラム10とブレーキシュー13,14の隙間が小さかったり、ブレーキドラム10が段付き摩耗して該ドラム10の取外しが困難で、ブレーキシュー13,14を収縮させたいときは、カムシャフト32を回転操作してピストン22等の軸力を取り除いた状態で、調整ギヤ22aをピストン22の後退方向に回転し、次いでカムシャフト32を元の位置に戻してやればブレーキドラム10を簡単に取り外せる。 【0034】又、カムシャフト32のブレーキ内側端にも六角部を設けておけば、ブレーキドラム10を取り外した状況下でソケットレンチ等の工具を用いてブレーキシュー13,14の径を決め、ヘッド25がブレーキシュー13,14に当るまで調整ギヤ22aを手で回転すれば所望のシュークリアランスが得られる。更にアクチュエータ20を交換したい場合には、調整ギヤ22aを逆転すればブレーキシュー13,14等を分解することなく可能である。 【0035】 【発明の実施の形態2】本実施の形態以降に解放手段をドラムブレーキから取り外しておき、シュー間隙手動調整時に解放手段を専用工具として使用する他の実施の形態を示す。 【0036】図5は解放手段をブレーキシュー14側にセットし、トルクプレート11に反力を得てシュー間隙手動調整機構に作用する軸力を解消する操作時の状態を示す。 【0037】本例のカムシャフト42は、支持軸部44の中央部にカム部43を有し、支持軸部44の両端に六角形の回転部45を形成した上下対称構造を呈している。カムシャフト42は、上下対称であるから何れの方向から挿入してもよい。そして、トルクプレート11にはカム部43が当接する突部11bが形成されている。ブレーキシュー14のシューウェブ14bには支持軸部44を挿入する支持穴14dが形成されている。 【0038】ブレーキドラム10を取り付けたまま作業をするときには、プラグ39を外し、その調整用穴12aから工具に回転部45を嵌挿した状態でカムシャフト42を挿入し、シューウェブ14bの支持穴14dに支持軸部44を挿入セットして回転操作を行う。カム部43が突部11bから反力を得て離隔し、ブレーキシュー14のライニング14cがブレーキドラム10に圧着すると、カム部43の接触面圧が増大する。カム部43の接触面圧の増大により、カムシャフト42を定着させておける。この状態で、既述した実施の形態と同様にシューの間隙を手動調整する。 【0039】又、ブレーキドラム10を取外した状態でもカムシャフト42をセットした後、ブレーキ内側から前記と同様の手動調整作業を行うことも可能である。 【0040】本実施の形態にあっては、解放手段を専用工具として用い、使用しないときは車両のトランクやディーラーに保管しておき、1個のみ保有すれば済むからコスト的に有利である。 【0041】 【発明の実施の形態3】図6〜図8は構成の異なるアクチュエータ50に適用した他の実施の形態を示す。 【0042】図7を基にアクチュエータ50について説明すると、ピストン52の右方の鍔57がボア21aの段付面に当接し、ピストン52の戻り位置が規制されている。 【0043】ピストン52の有底穴52aにアジャストナット60が着座して収容され、該アジャストナット60にアジャストボルト54が非可逆的にねじ結合している。 【0044】アジャストボルト54の右方に調整ギヤ54aを形成し、該調整ギヤ54aにばねクリップ53が弾着されている。ばねクリップ53はブレーキシュー14のシューウェブ14bを受容する切欠を形成している。アジャストナット60の右方にはドライブリング55が可逆的ねじ結合している。ドライブリング55の外周がボア21aの口元円錐面に円錐クラッチ係合している。ドライブリング55とアジャストナット60に取付けたリング58との間に圧縮ばね56が縮設され、ドライブリング55がクラッチ係合するよう付勢している。 【0045】シュー間隙自動調整作動については、既述した発明の実施の形態1とほぼ同じであるため、簡単に説明する。ブレーキを作動すると、ピストン52、アジャストナット60及びアジャストボルト54等が一体に進出し、アジャストナット60と可逆的ねじ結合しているドライブリング55がバックラッシュを超えると回転する。次いで、ブレーキを解除すると、ドライブリング55はボディにクラッチ係合して回転を阻止され、前記バックラッシュを超えた分だけアジャストナット60が回転してアジャストボルト54を螺出する。ピストン52はその鍔がボディに、アジャストナット60はその左端面がピストン52の有底穴52aに夫々クラッチ係合して後退動を規制される。 【0046】図8を基に解放手段について説明すると、カムシャフト62は断面多角形(例えば六角)の支持軸部64と、支持軸部64に圧入等で固定したカム部63及びハンドル65とにより構成される。 【0047】そしてシュー間隙を手動調整するときは、トルクプレート11の孔11aにカムシャフト62の端部を挿入し、ハンドル65を回転操作する。カム部63をブレーキシュー14のシューウェブ14bの内周面に押圧させてシュー間隙を手動調整することは既述した実施の形態と同様である。 【0048】 【変形例】図9に解放手段である他のカムシャフト72の変形例を示す。本例はカムシャフト72の全体を丸棒で形成し、支持軸部74の途中を略クランク状に曲折加工してカム部73を形成し、回転部に細い丸棒ハンドル(図示せず)を挿入可能な穴75を開設してある。 【0049】 【発明の効果】本発明は次の特有の効果が得られる。 〈イ〉 解放手段を用いてシューリターンスプリングの張力に坑してブレーキシューを強制的に拡開できる。そのため、シューリターンスプリングによる軸力のない状態で、シュー間隙手動調整操作を簡単に行うことができる。 〈ロ〉 シュー間隙手動調整機構を構成する調整ギヤを高強度に設計する必要がなくなり、アクチュエータの小型化、低コスト化が図れる。 〈ハ〉 解放手段を専用工具として使用すると、解放手段を使用しないときは車両のトランクやディーラーに保管しておき、1個のみ保有すれば済むからコスト的に有利である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004374 【氏名又は名称】日清紡績株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】山口 朔生 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−13798 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月22日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−184383 |
|