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【発明の名称】 ワイヤハーネス用クランプ
【発明者】 【氏名】内田 善己

【要約】 【課題】ワイヤハーネスを車体に取り付けるクランプを車体から容易に取り外せるようにする。

【解決手段】基板部12から突設する軸部13と、その先端から基板側に向かって折り返して突設した両側羽根部14、これら羽根部の先端に係止段部を有する車体係止部15とを備え、軸部の先端面に切欠13aを設けると共に、両側羽根部の対向する内面全面に連続したV形状の凹凸14aを設けて、両側羽根部を近接方向に撓み易くしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワイヤハーネスに取り付けられ、車体に穿設された係止孔に係止してワイヤハーネスを車体に取り付ける樹脂成形品からなるクランプであって、ワイヤハーネスにテープ巻き固定する基板部あるいはワイヤハーネスに締め付けるバンド部およびバンド締付部からなるワイヤハーネス取付部と、上記ワイヤハーネス取付部から突設する軸部と、その先端から基板側に向かって折り返して突設した両側羽根部、及びこれら羽根部の先端に係止段部を有する車体係止部とを備え、上記軸部の先端面に切欠を設けると共に、両側羽根部の対向する内面全面に連続したV形状の凹凸を設けて、両側羽根部を近接方向に撓み易くしているワイヤハーネス用クランプ。
【請求項2】 上記軸部の先端面に設けるV形状の切欠である請求項1に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【請求項3】 上記V形状の切欠は、軸部の中心軸線を挟んで両側に2個設け、中心軸線には逆V形状の突出部を残している請求項2に記載のワイヤハーネス用クランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用ワイヤハーネスに取り付けて、車体に穿設した係止孔に係止し、ワイヤハーネスを車体に配索するクランプに関するもので、特に、自動車解体時等においてクランプを車体の係止孔より容易に取り外しできるようにするものである。
【0002】
【従来の技術】近時、廃車した自動車を容易に解体できるようにすることが要望され、かつ、解体した各部品や材料の分別廃棄やリサイクルの必要性が高まっている。よって、自動車に配索するワイヤハーネスも自動車から容易に取り外すできるようにする必要がある。
【0003】自動車の車体に沿って配索されるワイヤハーネスは、図7(A)に示すように、所定位置にクランプ1を予め取り付けておき、該クランプ1の羽根状の係止部1aの先端に設けた係止段部1bを、車体ボデー2に穿設した係止孔2aに押し込んで係止し、よって、ワイヤハーネスW/Hをボデー2に固定している。なお、図示のクランプ1は基板部1cをワイヤハーネスW/Hにテープ巻き固定するものであるが、バンドタイプのクランプではバンドをワイヤハーネスW/Hに巻き付けて締め付け固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図7(A)に示すクランプでは、クランプをボデーから取り外しするためには、図7(B)に示すように、係止部1aを指で内方に撓ませて係止孔2aから抜き出させて係止を解除する必要があるが、実際には、ワイヤハーネスが邪魔をしてクランプの係止部を内方へ撓ませることは困難である。よって、治具を必要として、かつ、治具を用いても、一旦クランプをボデーに取り付けてしまうと、取り外すことは容易に出来なくなく、軸部で引きちぎるようになり、羽根部が車体側に残ってしまう問題がある。
【0005】本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、クランプの構造を複雑とすることなく、容易にクランプを車体ボデーから取り外すことが出来るようにすることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、請求項1で、ワイヤハーネスに取り付けられ、車体に穿設された係止孔に係止してワイヤハーネスを車体に取り付ける樹脂成形品からなるクランプであって、ワイヤハーネスにテープ巻き固定する基板部あるいはワイヤハーネスに締め付けるバンド部およびバンド締付部からなるワイヤハーネス取付部と、上記ワイヤハーネス取付部から突設する軸部と、その先端から基板側に向かって折り返して突設した両側羽根部、これら羽根部の先端に係止段部を有する車体係止部とを備え、上記軸部の先端面に切欠を設けると共に、両側羽根部の対向する内面全面に連続したV形状の凹凸を設けて、両側羽根部を近接方向に撓み易くしているワイヤハーネス用クランプを提供している。
【0007】上記のように、軸部先端に切欠を設けると、両側の羽根部が近接する内部側へ撓み易くなると共に、これら羽根部の内面全面にも凹凸を設けているため、羽根部自体も撓みやすくなる。よって、このように、両側の羽根部が内部側へと撓みやすいため、ワイヤハーネスを車体から取り外す時、ワイヤハーネスを車体と反対側へ引っ張ると、クランプのワイヤハーネス取付部を介して軸部が引っ張られ、まず、軸部先端の切欠の隙間がなくなるように羽根部が傾斜して、その下端の係止段部が車体の係止孔から外れ、ついで、内面の凹凸により羽根部が横広がり状に撓み、先端の係止段部を係止孔を抜けて車体外面側へ沿って移動させ、車体係止部全体を係止孔より抜け出させることができる。
【0008】 上記軸部の先端面に設けるV形状の切欠としていることが好ましい(請求項2)。軸部の先端中央に1つの大きなV形状の切欠を設ける場合、該切欠の角度は90゜〜150゜が好ましい。
【0009】また、上記V形状の切欠は、軸部の中心軸線を挟んで両側に2個設け、中心軸線には逆V形状の突出部を残してもよい(請求項3)。このように、軸部の中心に突出部を残しておくと、軸部の強度が向上し、引き抜き作業時に引っ張り力を両側の羽根部に負荷することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】図1から図4は第1実施形態を示し、クランプ10は樹脂成形品からなり、ワイヤハーネスW/HにテープTで巻き付け固定する基板部11からなるワイヤハーネス取付部と、該ワイヤハーネス取付部の一面より突設する羽根状の車体係止部12とからなる。
【0012】上記車体係止片部12は、上記基板部11突設する軸部13と、その先端から基板側に向かって折り返して突設した両側羽根部14、これら羽根部14の先端に係止段部15を備えている。
【0013】軸部13の先端面の中央に1つの大きな切欠13aを設けると共に、両側羽根部14の対向する内面全面に連続したV形状の凹凸14aを設けて、両側羽根部を近接方向に撓み易くしている。なお、本実施形態では上記切欠13aの角度θを90度に設定している。
【0014】上記構成からなるクランプ10は、基板部11をワイヤハーネスW/HにテープTを巻き付けて所要位置に固定する。該クランプ10を車体ボデー2に固定するとき、軸部13の先端より車体ボデー2の係止孔2aに押し込んでいく。この押圧により、羽根部14の内面に凹凸14aを設けて、羽根部14が撓んで圧縮した時の肉の逃げ場を設けているため、羽根部14は撓みやすくなり、係止孔2aに低挿入力で挿入することができる。羽根部14が係止孔2aを通過した後、原形に復帰し、羽根部14の先端の係止段部15が係止孔2aに係止する。よって、クランプ10を介してワイヤハーネスW/Hは車体に固定される。
【0015】一方、自動車の廃車による解体時あるいはワイヤハーネスの補修交換のために、ワイヤハーネスW/Hを車体ボデー2より取り外す必要がある時、ワイヤハーネスW/Hを図3(A)に示すように、車体ボデー2と反対側に引っ張る。このワイヤハーネスW/Hの引っ張りにより、図3(B)に示すように、まず、軸部13の先端の切欠13aと両側羽根部14との間に隙間がなくなるように、羽根部14は軸部先端側が近接する方向に傾斜する。この傾斜により、羽根部14の自由端側の係止段部15は図4(A)の状態より図4(B)の状態となり、車体の係止孔2aより外れる。
【0016】さらに、ワイヤハーネスW/Hを引っ張ると、図3(C)に示すように、軸部13は係止孔2aより基部側が引き出されると共に、羽根部14の内面の凹凸14aの凹部がなくなるように羽根部14が撓み、羽根部14は横広がり状態となっていき、その自由端の係止段部15は、図4(C)に示すように、係止孔2aの外面側へと移動して、係止孔2aよりさらに引き出され、羽根部14の自由端側が係止孔2aより引き出されていく。
【0017】この状態より、ワイヤハーネスW/Hの引っ張りを続けると、図3(D)に示すように、軸部13が係止孔2aより更に引き出されると共に、羽根部14は略水平状態となりながら、係止孔2aより完全に引き出され、クランプ10は係止孔2aとの係止が解かれる。
【0018】このように、ワイヤハーネスを車体から取り外したい時、ワイヤハーネスを引っ張るだけでクランプの羽根部を撓ませて車体の係止孔から抜き出すことができ、しかも、車体側にクランプの一部が残ることはない。
【0019】図5は第2実施形態を示し、軸部13の先端に設ける切欠を、中心軸線Lを挟んで2つの切欠13b、13cとし、その間に逆V形状の突出部13dを残している。このように、軸部13の中心に突出部13dを残しておくと、軸部13の強度を大として、引き抜く時に両側の羽根部14に大きな負荷をかけることができる。
【0020】図6は第3実施形態を示し、軸部13の先端に設ける切欠を、一方の羽根部14A側から他方の羽根部14B側へと窪ませた円弧状の凹部13eとしている。該形状とすると、凹部13eに羽根部14Aが挿入した後に、羽根部14Bが折り重なるように挿入して、両側羽根部14A、14Bの撓み代を大きくすることができる。
【0021】なお、上記実施形態はいずれもテープ巻きしてワイヤハーネスに取り付ける基板タイプのクランプであるが、バンド部とバンド締付部を備えたワイヤハーネス取付部を有するバンドタイプのクランプにも適用することができることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明のクランプによれば、車体係止部の軸部の先端に切欠を設けると共に、両側羽根部の内面にV形状に連続した凹凸を設けて両側羽根部を撓み易くしているため、車体ボデーの係止孔にクランプを挿入係止する時は低挿入力で行うことができる一方、、クランプを車体ボデーから取り外す時も、低い引き抜き力でワイヤハーネスをボデーと反対側に引っ張るだけで係止を解くことができる。
【出願人】 【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
【公開番号】 特開平11−230132
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−36334