| 【発明の名称】 |
カウンタウエイトの固定構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】田所 淳
【氏名】多辺田 浩
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下部走行体上に上部旋回体を旋回可能に装着した作業機に、この上部旋回体のメインフレームにカウンタウエイトを設置して、ボルトで着脱可能に固定するための構造において、前記メインフレームの下面には、前記ボルトの軸部が挿通される透孔と、この透孔に連なりボルト頭を締め付けるための治具が挿入可能な凹部とが形成された保護板が配置され、前記ボルトはこの保護板に挿通させて、前記カウンタウエイトに締着される構成としたことを特徴とするカウンタウエイトの固定構造。 【請求項2】 前記カウンタウエイトは、複数本のボルトで前記メインフレームに固定されるようになし、かつ前記保護板にはこれら各ボルトをそれぞれ挿通させる透孔及び凹部を複数箇所形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載のカウンタウエイトの固定構造。 【請求項3】 前記保護板の前記メインフレームへの当接部には硬質ゴム板を介在させる構成としたことを特徴とする請求項2記載のカウンタウエイトの固定構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油圧ショベルその他の作業機において、その上部旋回体に着脱可能に設置されるカウンタウエイトの固定構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】作業機の一例として、土木・建設工事の作業現場等で土砂の掘削その他の作業を行う油圧ショベルがある。油圧ショベルは、概略図6に示した構成となっている。図中において、1はクローラ式走行体を備えた下部走行体であって、この下部走行体1には旋回装置2を介して上部旋回体3が旋回可能に設置されている。上部旋回体3は後述する一対のメインフレーム10,10に旋回体フレームを連結して設けたものから構成され、この上部旋回体3にはオペレータが操作を行うための運転室4が設置されると共にフロント作業機構5が設けられる。フロント作業機構5は、上部旋回体3に俯仰動作可能に設けたブーム6と、このブーム6の先端に上下方向に回動可能に連結して設けたアーム7とを有し、このアーム7の先端には、フロントアタッチメントとして、例えばバケット8が回動可能に連結されている。 【0003】上部旋回体3には、さらに車両の走行及び上部旋回体3の旋回と、フロント作業機構5の作動等を行わせるために、エンジンや油圧ポンプその他の機器が建屋内に設置され、作動油タンクや燃料タンクからなるタンク類も設置されている。また、上部旋回体3の最後部位置にはカウンタウエイト9が装着されている。カウンタウエイト9は、フロント作業機構5で土砂の掘削等の作業を行う際に、このフロント作業機構5に作用する荷重に対してバランスを取ることにより、車両全体の安定性を図るためのものである。 【0004】カウンタウエイト9は、図7及び図8に示したように、上部旋回体3の構造体として、左右に所定の間隔を置いて設けたセンタフレーム10に設置されて、固定的に保持される。センタフレーム10は、上下の板体10a,10bに一対の縦板10c,10dを溶接等の手段で連結・固着したボックス形状のものから構成され、カウンタウエイト9は、この左右のセンタフレーム10を跨ぐようにして設置されるようになっている。このために、カウンタウエイト9の下面側にはセンタフレーム10に載置するための凹部9a,9aが形成されており、この凹部9aによりカウンタウエイト9の下面は、上部旋回体3の下面とほぼ同一水準に保たれている。 【0005】カウンタウエイト9はセンタフレーム10に固定されるが、ボルト11を用いることにより着脱可能に固定するために、ボルト11が用いられる。このために、センタフレーム10を構成する上下の板体10a,10bにはボルト挿通孔12a,12bが穿設されており、またこれら板体10a,10b間にはブッシュ13が設けられている。一方、カウンタウエイト9は、鋼板等からなる略箱形の容器14内に重量コンクリート15を収容させたものであり、この容器14にはボルト11を螺挿させるためのねじ筒体16が容器14に溶接等の手段で固着されている。 【0006】而して、カウンタウエイト9は、その凹部9a内にセンタフレーム10が位置するように載置して、ボルト11の軸部11aを下方からセンタフレーム10の板体10bのボルト挿通孔12b、ブッシュ13及び板体10aのボルト挿通孔12aに順次挿通させて、カウンタウエイト9に固着したねじ筒体16に螺挿して、所定の締め付け力を作用させることにより固定する。そして、ボルト11が緩まないようにするために、センタフレーム10の板体10bとボルト頭11bとの間にはワッシャ17を介装させるようにする。また、カウンタウエイト9の安定を図るために、ボルト11には極めて強力な締め付け力を及ぼす必要があることから、ボルト頭11bの外周は六角形状となっている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】以上のように構成すると、センタフレーム10の下側の板体10bの下面からワッシャ17及びボルト頭11bが下方に突出する状態となる。例えば、岩石等の塊状物や瓦礫等が存在する作業環境で土砂を掘削してダンプトラックに積載する作業を行うと、旋回中に上部旋回体3の後部側がこれらの塊状物や瓦礫等と繰り返し衝突することになる。上部旋回体3の下面から下方に突出しているボルト頭11bも、当然、これらと衝突することになり、摩耗その他の原因でこのボルト頭11bの角隅部が鈍くなる等の損傷が発生し、やがてはその外形の六角形状が保たれなくなってしまう。 【0008】カウンタウエイト9は、使用状況に応じて重量を変更する必要があり、また容器14の損傷等が原因で交換する場合もある。このために、前述したようにボルト11で固定するようにしているのであり、これによりカウンタウエイト9の着脱が可能となる。しかしながら、ボルト頭11bの角隅部が鈍くなると、治具を用いてその着脱を行う操作が極めて困難になる。とりわけ、外周の六角形状が完全に失われると、ボルト11の脱着作業が不可能となってしまい、ボルト11を焼き切る以外には除去できず、この作業は極めて面倒なものとなる。 【0009】このような事態が生じるのはボルト頭11bがセンタフレーム10の下方において露出しているからである。従って、このセンタフレーム10から下方に向けて突出しないようにボルト11を装着すれば、ボルト頭11bの損傷を防ぐことができる。まず、カウンタウエイト9はセンタフレーム10を跨ぐように設置されることから、カウンタウエイト9の下面をセンタフレーム10の下側の板体10bより少なくともワッシャ17とボルト頭11bとの合計の厚み分だけ下方に落とし込めるように、凹部9aを深くすることが考えられる。ただし、そのように構成すると、上部旋回体3のフレーム下面とカウンタウエイト9の下面との間に段差が生じることになり、極めて見栄えが悪いものとなってしまう。 【0010】また、センタフレーム10の下側の板体10bに座ぐりを設けて、この座ぐり内にボルト頭11bが収容されるように構成すれば、やはりボルト頭11bの保護を図ることができる。しかしながら、センタフレーム10は上部旋回体3のほぼ全長にも及ぶ長さを有するものであり、かつ重量物でもあることから、その加工は困難であるだけでなく、センタフレーム10は強度部材であることから、その強度保持の観点からは板体10bに座ぐりを形成するのは好ましくはない。 【0011】本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、カウンタウエイトやセンタフレームに格別の変更を行うことなく、このカウンタウエイトをセンタフレームに固定するためのボルトのボルト頭が損傷しないように確実に保護することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明は、下部走行体上に上部旋回体を旋回可能に装着した作業機に、この上部旋回体のメインフレームにカウンタウエイトを設置して、ボルトで着脱可能に固定するための構造であって、前記メインフレームの下面には、前記ボルトの軸部が挿通される透孔と、この透孔に連なりボルト頭を締め付けるための治具が挿入可能な凹部とが形成された保護板が配置され、前記ボルトはこの保護板に挿通させて、前記カウンタウエイトに締着される構成としたことをその特徴とするものである。 【0013】カウンタウエイトは、安定性を考慮して、複数本、通常は2本のボルトでメインフレームに固定されるのが一般的である。この場合には、保護板はこれら各ボルトをそれぞれ挿通させるための透孔及凹部を複数箇所設ける構成とする。また、この場合には、保護板は広い面積でメインフレームに当接することになり、メインフレームは長期間の間には多少の変形等が生じるおそれがある。さらにこの点を考慮すれば、保護板のメインフレームへの当接部に硬質ゴム板を介在させるように構成すれば、メインフレームが多少変形しても、硬質ゴム板がこの変形に倣うようになって、ボルトの締め付け力が低下するようなことはない。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。而して、図1及び図2は本発明の第1の実施の形態を示すものであって、図1はボルトの取付構造を示したものであり、図2は図1の矢印方向から見た図である。なお、本実施の形態において、前述した従来技術の構成と同一または均等なものについては、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。 【0015】カウンタウエイト9は、上部旋回体3における左右一対のセンタフレーム10にそれぞれ2本のボルト11で締着することにより着脱可能に固定される点については、前述した従来技術で説明したものと格別の差異はない。然るに、従来技術においては、ボルト11のボルト頭11bとセンタフレーム10の下側の板体10bとの間にワッシャ17を介在させ、ボルト11の締め付けで、ワッシャ17を板体10bに圧接させることによって、緩みが生じるのを防止しているが、本実施の形態においては、板体10bに保護板20を当接させて設け、この保護板20を介してボルト11が取り付けられるようになっている。 【0016】ここで、保護板20は鋼板からなり、その幅寸法はセンタフレーム10における板体10bの幅と同じか、それより小さい寸法となっている。また、長さ方向においては、締着された2本のボルト11,11の間隔より十分大きい寸法となっている。さらに、保護板20には、好ましくは、従来技術におけるワッシャ17の厚み寸法と、ボルト11のボルト頭11bの厚み寸法との合計の寸法程度の厚みを持たせる。そして、保護板20の板体10bへの接合面20aはその全面にわたって平面状態となっているが、それとは反対側の面、即ち下面20bは、そのエッジ部分に面取り21を形成している。ここで、面取り部21は傾斜する平坦な面であっても良いが、湾曲面形状とすることもできる。 【0017】保護板20には、2箇所にボルト11が挿通されるボルト挿通孔22,22が形成されており、これらボルト挿通孔22,22の位置関係は、センタフレーム10に形成したボルト挿通孔12a,12a及び12b,12bの間隔と一致している。また、保護板20の下面20b側には、これらボルト挿通孔22と同心円状の凹部23が形成されている。そして、凹部23の深さは、ボルト頭11bの厚みとほぼ一致しており、従ってボルト挿通孔22が形成されて、薄肉となった部位の厚みは、従来技術におけるワッシャ17の厚みとほぼ同程度の寸法としている。ボルト挿通孔22の孔径はボルト11の軸部11aが遊嵌状態にして挿通できる寸法となっている。また、凹部23の開口径は、少なくともボルト頭11bをこの凹部23内に位置させて、ボルト11を締め付けるための治具Tが挿入できる寸法となっている。 【0018】カウンタウエイト9をセンタフレーム10に設置して固定するに当っては、前述した構成を有する保護板20が用いられる。即ち、センタフレーム10にカウンタウエイト9を設置した状態で、センタフレーム10における下側の板体10bに保護板20の接合面20aを押し当てて、この保護板20に形成した一対のボルト挿通孔22を板体10bに形成した一対からなるボルト挿通孔12bと一致させる。そして、保護板20の下側からボルト11の軸部11aを挿入して、保護板20のボルト挿通孔22,板体10bのボルト挿通孔12b,ブッシュ13及び板体10aのボルト挿通孔12aに挿通させて、この軸部11aをねじ筒体16に螺挿させて、所定の締め付け力を作用させる。このボルト11の締め付けによりボルト頭11bは保護板20に形成した凹部23内に進入して、ボルト頭11bの側面部が保護板20の凹部23を形成する周壁により囲繞された状態になる。 【0019】以上のように、広い面積を有する保護板20を用いることによって、ボルト11を締め付けた時に、ボルト挿通孔22を中心とした広い締め付け面積が得られることになり、強力な締め付け力を作用することができるようになる。即ち、保護板20はワッシャとしての機能を発揮することになり、しかも広い締め付け面積が得られることから、このワッシャとしての機能をより強力に発揮し、ボルト11の脱落事故の発生を確実に防止できる。 【0020】しかも、ボルト頭11bは凹部23を形成する周壁により囲繞されており、外部に露出してはいないことから、上部旋回体3を旋回させた時にも、塊状物や瓦礫等と接触して摩耗や損傷を来すようなことはないので、ボルト頭11bの保護が図られて、その外周における六角形状が確実に保持される。従って、カウンタウエイト9の交換等のために、強力な締め付け力が作用しているボルト11を脱着する際に、治具Tを凹部23内に挿入して、ボルト頭11bに嵌合させた状態で回動操作することによって、ボルト頭11bに確実に回転力を伝達することができて、容易にボルト11を脱着できる。 【0021】さらに、保護板20は小型の鋼板から構成されているから、ボルト挿通孔22及び凹部23を容易に、かつ高精度の形成することができる。また、センタフレーム10には何等の改変も加工も行う必要がないので、センタフレーム10の強度維持が図られ、かつボルト保護手段としての汎用性が得られ、寸法・形状の異なる保護板を用意しておけば、どのような作業機にも装着することができる。 【0022】ここで、ボルト頭11bを凹部23内に収容させるのは、その外形形状を保持して、塊状物や瓦礫等との衝突による摩耗等に起因して六角形状の角隅部が鈍くなるのを防止し、治具Tによるボルト11の脱着の容易性を確保するためのものである。従って、ボルト頭11b全体が完全にそれらと衝突しないように保護しなければならないというものでもない。このために、ボルト頭11bの先端部分は保護板20の下面20bから多少突出していても差し支えはない。一方、ボルト11を着脱するために、凹部23には治具Tを挿入できる開口径とする必要があり、このためにボルト頭11bと凹部23の周壁との間にある程度の隙間が生じている。この点を考慮して、ボルト頭11bの保護をより有効に発揮させるには、ボルト頭11bは凹部23内に完全に埋没するように、凹部23の深さをより深くすれば良い。 【0023】また、保護板20はワッシャとしての機能も発揮するが、保護板20は板体10bに対して極めて広い面積で接触しているから、広い締め付け面積が得られることになる。従って、保護板20における凹部23の底面から接合面20aまでの厚みをある程度薄くして、ばね性を発揮させるようにすることができるようになり、例えば板体10bに多少の凹凸があっても、保護板20の接合面20aの板体10bへの密着性が確保される。 【0024】カウンタウエイト9を取り外した後に、同じカウンタウエイトか、または異なるカウンタウエイトが再装着される。この作業は、板体10bに保護板20の接合面20aを接合させて、ボルト11を挿通させた上で、カウンタウエイト9のねじ筒体16に螺挿して締着する。 【0025】ところで、油圧ショベルを用いて所要の作業を行う際には、センタフレーム10には様々な方向に、繰り返し外力が作用し、かつ衝撃的な荷重も作用することになる。従って、かなり長い時間作動させると、センタフレーム10に全く変形や捩れ等が生じないとは言えない。1枚の保護板20に2本のボルト11を挿通させるようになっているから、センタフレーム10にある程度の捩れ等が生じていると、2本のボルト11による締め付けが円滑に行われないことがある。特に、保護板20の素材として、ワッシャと同様の鋼板(例えばS45C)のように比較的高い硬度を持ったものを使用する場合には、保護板20をセンタフレーム10の変形に追従させることができないこともある。 【0026】以上の点を考慮すれば、図3に示したように、保護板20とセンタフレーム10の板体10bとの間に、弾性を有する部材として、硬質ゴム板24を介在させるようにすることも可能である。硬質ゴム板24は、保護板20とほぼ同じ外形の薄肉のものからなり、ボルト11を挿通する透孔が設けられている。この硬質ゴム板24によって、ボルト11に所定の締め付け力を作用させた時に、センタフレーム10の変形に保護板20を追従させることが可能になる。また、硬質ゴム板24には弾性があるものの、かなりの硬さを有しており、しかも厚みを薄くすることによって、十分な締め付け力を保持させることができ、作動中にボルト11が緩む等のおそれはない。 【0027】また、必ずしも複数本のボルトに対して1枚の保護板を用いなければならない訳ではない。そこで、例えば図4及び図5に示したように、各ボルト11につき1枚の保護板30を用いるように構成することも可能である。この保護板30には、前述した第1の実施の形態と同様の寸法・形状をしたボルト挿通孔31及び凹部32が1箇所にだけ形成されている。また、保護板30は1本のボルト11が挿通されているだけであるから、この保護板30に水平方向の外力が作用すると、その力で回動するおそれがある。これを防止するには、保護板30の外形を円形のものとなし、またその下面側の外周を曲面形状とする。これによって、保護板30に外力が作用しても、みだりに回動するおそれはない。なお、この保護板30の直径は、板体10bの幅寸法以下であり、かつこの板体10bに装着される一対のボルト11,11間の間隔以下とする必要がある。 【0028】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、メインフレームにカウンタウエイトを1乃至複数本のボルトで着脱可能に固定するに当って、ボルト頭を保護板の凹部内に収容させるように構成したので、カウンタウエイトやセンタフレームに格別の変更を行うことなく、ボルトのボルト頭が損傷しないように確実に保護できる等の効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005522 【氏名又は名称】日立建機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】影井 俊次
|
| 【公開番号】 |
特開平11−13731 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月22日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−185990 |
|