| 【発明の名称】 |
緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ |
| 【発明者】 |
【氏名】濱野 真一
【氏名】上野 美光
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| 【要約】 |
【課題】軟質ワークの下穴にねじ込まれたタッピンねじの緩み止め効果を得る。
【解決手段】ドライバビットが係合する係合壁12を有するとともにねじの緩め方向側回転時にはドライバビットが係合しないスロープ13を有する駆動部10を形成し、頭部2の座面に外周方向へ放射状に延びているとともに断面鋸歯形状の複数条の突条14を形成し、しかも、脚部3のねじ山20に円周方向に等間隔をおいて複数の逃げ溝23を削設しているので、ドライバビットの穂先が−あるいは+形状のどちらであっても使用することができ、また、頭部形状においてはねじの緩め時にドライバビットが係合しない形状にし、座面、ねじ山形状を夫々緩め時に抵抗が高くなる形状にしているので、これら形状のもたらす相乗効果により確実な緩み止め効果が得られる。更に、樹脂の材質及び温度等の使用環境によってそのねじ込みトルクが影響されることなく、完全な緩め防止が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ねじ山20を形成した脚部3とこの脚部3の一端に脚部径より大きい直径で一体に成形された頭部2とからなるタッピンねじにおいて、頭部2にねじ込み方向側回転時にはドライバビットが係合する係合壁12を有するとともにねじの緩め方向側回転時にはこのドライバビットが係合しないで滑るよう傾斜したスロープ13を有する駆動部10を形成し、前記頭部2の座面に脚部3の中心から外周方向へ放射状に延びているとともに断面鋸歯形状の複数条の突条14を形成し、しかも、脚部3のねじ山20に円周方向に等間隔をおいて複数の逃げ溝23を削設したことを特徴とする緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ。 【請求項2】 頭部に形成された駆動部はその中心線上にドライバビットの先端+形状の穂先が突入する有底孔11を有していることを特徴とする請求項1に記載の緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ。 【請求項3】 座面に形成されている突条はねじのねじ込み方向側の傾斜が緩く、ねじの緩め方向側の傾斜がきつい斜面となっていることを特徴とする請求項1又は2記載の緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ。 【請求項4】 ねじ山の逃げ溝はねじ山20のリード角に対して直角方向に形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はあらかじめワークにあけられた下穴に雌ねじを成形しながらねじ込まれるタッピンねじで、特に、ワークの材質が比較的軟質な樹脂、アルミ等の軟質材料に好適で且つ簡単に緩めることのできない緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から比較的軟質な樹脂、アルミ板、アルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト等の軟質材料のワークにタッピンねじをねじ込む場合、主にこれらワークにあらかじめドリル(図示せず)で下穴をあけ、この下穴にタッピンねじを使用してねじ山を形成しながらねじ込んでいる。これは図7に示すようなもので、互いに軟質な樹脂材料のワーク130を重ね、これにタッピンねじ101をねじ込んで互いのワーク130を締結するようになっている。このタッピンねじ101はこれでワーク130の下穴133に雌ねじ131を形成しながらねじ込まれるため、ねじ101の脚部103の先端部は比較的ねじ山120が低く、徐々にねじ山120を大きくしたテーパ形状とし、最終的には下穴133に所望寸法の雌ねじ131が形成されるようになっている。 【0003】しかしながら、このような形状のタッピンねじ101を比較的硬質な樹脂材料あるいは金属材料からなるワーク130に対して使用した場合は、何らの障害もなくねじ込み作業ができるが、反対にこれを緩めることも簡単にでき、一般ユーザにおいて交換又は修理をされると故障したり危険を伴う箇所にはこのねじの使用は制限されていた。そこで最近では、このタッピンねじ101の頭部102にねじの緩め方向側回転時においてドライバビットが係合できないようにした所謂、ねじ込み方向側回転時においてはドライバビットが係合する係合壁112を形成し、緩め方向側回転時においてはドライバビットが係合しないでドライバビットが滑るスロープ113を形成した駆動部110を有するタッピンねじ101が使用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、頭部にこのような形状の駆動部を有するタッピンねじは、主に穂先が−形状のドライバビットの使用を可能にした−溝の頭部を有するねじであり、現在、市場に多く普及している頭部の駆動部が+形状のねじにはあまり普及していなかった。この原因はスロープが−形状の場合よりもきつくなり、ねじの緩め方向側回転時にドライバビットの先端が滑らないことにある。また、このように緩め方向側回転の駆動力がねじに伝わらないように係合壁を斜面とした場合、傾斜がきついとともに隣接する係合壁の肉が薄くなり、破損が生じ易い。更に、このねじを樹脂材料のワークに使用した場合、簡単には緩めることができないように、高いねじ込みトルクでねじ込むと、ワークの雌ねじがつぶれることがあり、締結機能も損なわれていた。しかも、樹脂の材質及び温度等の使用環境によってそのねじ込みトルクが影響され、完全な緩み防止ができない等の課題がある。 【0005】本発明の第1の目的は、このような課題を解決するとともに軟質材料からなるワークにねじ込まれたタッピンねじの故意による緩め作業を確実に防止することであり、本発明の第2の目的は、穂先が+形状のドライバビットでも使用可能にすることであり、本発明の第3の目的は、ねじの緩め方向側への回転時にワークと座面との間の抵抗を増大させることであり、本発明の第4の目的は、ワークにねじ込まれた脚部のねじ山にワークの雌ねじの肉を嵌まり込ませ、ねじの緩み止め抵抗を増大させることである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の目的は、ねじ山20を形成した脚部3とこの脚部3の一端に脚部径より大きい直径で一体に成形された頭部2とからなるタッピンねじにおいて、頭部2にねじ込み方向側回転時にはドライバビットが係合する係合壁12を有するとともにねじの緩め方向側回転時にはこのドライバビットが係合しないで滑るよう傾斜したスロープ13を有する駆動部10を形成し、前記頭部2の座面に脚部3の中心から外周方向へ放射状に延びているとともに断面鋸歯形状の複数条の突条14を形成し、しかも、脚部3のねじ山20に円周方向に等間隔をおいて複数の逃げ溝23を削設した緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ1を提供することで達成される。本発明の第2の目的は、頭部2に形成された駆動部10の脚部3の中心延長線上にドライバビットの先端+形状の穂先が突入する有底孔11を設けた緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ1を提供することで達成される。更に、本発明の第3の目的は、座面に形成されている突条14をねじのねじ込み方向側の傾斜が緩く、ねじの緩め方向側の傾斜がきつい斜面とした緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ1を提供することで達成される。本発明の第4の目的は、ねじ山20の逃げ溝23をねじ山20のリード角に対して直角方向に形成した緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじ1を提供することで達成される。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6に基づき説明する。図1において、1は頭部2と脚部3とからなるタッピンねじであり、脚部3の一端にはこの脚部径より大きい直径の頭部2が一体成形されている。頭部2にはこれより更に大きい直径の鍔部4が一体に成形してあり、この頭部2にはタッピンねじ1の中心位置にこれに係合する穂先が+形状のドライバビット(図示せず)が突入するだけの円形状の有底孔11が穿設されている。図2に示すように、この有底孔11を中心としてこれに直交する中心線上には穂先の羽根の幅だけこの中心線の両側に間隔をあけて且つこの中心線に平行な半径方向に頭部2の外周方向へ延びる係合壁12が形成してあり、この係合壁12は前記タッピンねじ1の脚部3に形成されているねじ山10のねじ込み方向側においてのみ、前記ドライバビットと係合するよう形成されてタッピンねじ1の駆動部10を構成している。 【0008】この駆動部10の前記中心線を挟んで前記係合壁12の反対側、即ち、ねじの緩み方向側には有底孔11を中心にドライバビットが回転するにつれて面が傾斜上昇する直線状のスロープ13が形成してあり、これにより、ドライバビットの穂先の羽根(図示せず)は−あるいは+形状のいずれであっても、ねじの緩め方向側回転時にはこのスロープ13上を滑ることになり、ドライバビットの駆動力が伝達されないようになっている。しかも、このスロープ13は前記係合壁12に接近した部分即ち、前記駆動部10の中心線に直交する位置までは傾斜が緩く、係合壁12より離れた部分即ち、前記駆動部10の中心線に直交した位置からは傾斜がきつい連続した二段斜面形状となっている。 【0009】また、頭部2の座面には図3に示すように、脚部3の中心から放射状に頭部2と一体の鍔部4の外周方向へ延びる突条14が設けてあり、この突条14のねじ込み方向回転側は傾斜の緩い斜面となっており、他方のねじの緩め方向回転側は前記斜面より傾斜のきつい斜面となっている。これにより、この突条14がワーク30に接した時、ねじ込み時の抵抗は比較的低く、緩め時にはワーク30に対する緩め抵抗が高くなるようになっている。この頭部2の座面から一体となって延びる脚部3にはねじ山20が形成してあり、図4に示すように、ねじ山20を構成する上部フランク面21及び下部フランク面22はほぼ同一角度で傾斜してねじ山20の先端から脚部3の中心線に直交する断面とのなす夫々のフランク角はほぼ同一で対称となっている。尚、このフランク角は非対称であってもよく、非対称とすることでねじ込み時のワーク30の割れが減少する。また、脚部3の先端のねじ山20は図1に示すように、ワーク30に形成された下穴(図示せず)に初期ねじ込みが可能なようにねじ山20の高さが低くなっている。これらねじ山20は一条あるいは二条のどちらであってもよい。 【0010】更に、これらねじ山20には脚部3の軸線に対して僅か傾斜した即ち、ねじ山20のリード角に対して直角方向に切除された逃げ溝23が形成してあり、この逃げ溝23は多くてもその深さがねじ山20の稜線からねじ山20の谷までの高さの70%程度になっている。この逃げ溝23のねじ山20に沿う両端はその端面の延長線が脚部3の中心と交叉する線上にあり、この逃げ溝23は脚部3の外周上を軸方向に一条でもその機能を発揮するが、図3及び図6に示すように、より確実な機能を得るために通常は二条〜四条となっており、これらは円周方向に等間隔をおいて形成されている。尚、この逃げ溝23は脚部3の軸線に沿い所定角度だけ傾斜して形成されているが、この逃げ溝23は前記脚部3の軸線に対して平行に形成することも可能であるとともにこの逃げ溝23を脚部3の長さの半分程度に形成してもよく、必要に応じて脚部3の全長に渡って形成してあってもあるいは1/3程度に形成してあってもよい。更に、この逃げ溝23のねじ込み方向側の端面は緩やかな傾斜面即ち、この端面の延長線が脚部3の中心に交叉しない線上にあってもよく、これによりねじ込み時の抵抗が減り、ねじ込みトルクは低減される。 【0011】このようにして得られたタッピンねじ1を使用し、樹脂材料のワーク30にあらかじめあけられた下穴に対してこのタッピンねじ1をドライバビットで駆動力を与えながらねじ込むと、ねじ込み初期においては、脚部3の先端に案内されて下穴に入る。この時、下穴は脚部先端のねじ山直径より僅か小さい穴径となっているので、雌ねじ31が最初に筋状に形成されることになる。この後、続いてこの筋状の雌ねじ31にねじ山20がねじ込まれ、頂角が60゜のねじ山20による雌ねじ31が形成される。 【0012】このようにしてタッピンねじ1はワーク30の下穴に雌ねじ31を形成しながらねじ込まれることになる。一方、このタッピンねじ1が図4に示すように、ねじ込まれると、ねじ1の頭部2の鍔部4の座面はワーク30の表面に着座することになり、タッピンねじ1はこの軸力によりワーク30の雌ねじ31に対して頭部2側へ移動することになる。これによりタッピンねじ1のねじ山20の上部フランク面21に対して雌ねじ31のフランク面32が押圧されるから、図5に示すように、所定の締付けトルクに達すると、これと同時に雌ねじ31のフランク面32はタッピンねじ1の逃げ溝23内にその肉が嵌り込む。これにより、ワーク30が振動してタッピンねじ1に緩み作用が働いても、この逃げ溝23とこれに嵌り込んだ肉との間で緩み止め作用が生じるとともに故意に緩めようとしても高い抵抗が発生する。 【0013】次の表1は、従来のタッピンねじ101と本件のタッピンねじ1の性能を示しており、この緩み止め効果を示すために、ねじ込まれているタッピンねじを緩めるための戻しトルク及びその時の推力を夫々示す実験データである。 【0014】 【表1】
【0015】この実験条件は、ねじ込みトルク:8Kgf・cm、ねじの呼び寸法:3mm、ワーク:樹脂板、下穴径:2.6mm、ねじ込み深さ:12mmで実験を行ったもので、この結果、従来のタッピンねじは、推力6.8Kgfを加えて緩み方向側へ回転すると、6.5Kgf・cmの戻しトルクで緩められるが、本件のタッピンねじは、推力31.7Kgfを加えて緩み方向側へ回転させると、7.3Kgf・cmの戻しトルクに達して初めて緩められるものであり、本件のタッピンねじを緩めるためには従来の約5倍の推力が必要となり、しかも、高い戻しトルクが必要で、緩み止め効果が高いことを実証している。 【0016】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、頭部2にねじ込み方向側回転時にはドライバビットが係合する係合壁12を有するとともにねじの緩め方向側回転時にはこのドライバビットが係合しないで滑るスロープ13を有する駆動部10を形成し、頭部2の座面に脚部3の中心から外周方向へ放射状に延びているとともに断面鋸歯形状の複数条の突条14を形成し、しかも、脚部3のねじ山20に円周方向に等間隔をおいて複数の逃げ溝23を削設した緩み止め機能付き軟質材用タッピンねじであるので、ドライバビットの穂先が−あるいは+形状のどちらであっても使用することができ、また、頭部形状においてはねじの緩め方向側回転時にドライバビットが係合しない形状にし、座面、ねじ山形状を夫々緩め方向側回転時に抵抗が高くなる形状にしているので、これら形状のもたらす相乗効果により確実な緩み止め効果が得られる。更に、このタッピンねじを樹脂材料のワークに使用した場合でも、比較的低いねじ込みトルクでよく、ねじ込み時にワークの雌ねじがつぶれることもなくなる。しかも、樹脂の材質及び温度等の使用環境によってそのねじ込みトルクが影響されることなく、完全な緩み止めが得られる。 【0017】更に、頭部2の中心にドライバビットの先端が進入可能な有底孔11が穿設されているので、+ドライバビットによるねじ込み時に確実に駆動力が伝達可能になる。また、座面に形成されている突条14をねじのねじ込み方向側の傾斜が緩く、ねじの緩め方向側の傾斜がきつい斜面としているので、ねじ込み時にこれによりねじ込みトルクが増加することがないとともに緩み止めトルクは逆に増大する。しかも、ねじ山20に逃げ溝23を形成することで、特にワークが樹脂材料である場合、ねじ込み終了時において、軸力が加わると、脚部の逃げ溝に雌ねじの圧力側のフランク面の肉が僅かではあるが嵌まり込むので、絶えず振動を受けるワークに対してねじが緩むことがなく、製品の信頼性が向上する等の特有の効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000227467 【氏名又は名称】日東精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月27日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−13725 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月22日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−208249 |
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