トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 クリップ
【発明者】 【氏名】明間 剛

【要約】 【課題】軟質シートへ容易に取付けることができ、複雑な金型を必要としないスペーサクリップに適するクリップを提供する。

【解決手段】クリップ1は、軟質シート17を両面から挟持することによってそのシート17に固定される。クリップ1は、軟質シートの取付穴18に挿入される中空の筒部3と、筒部の一端に、取付部材の取付穴より大きく形成されて、取付部材の一方の面に当接する基板部2と、筒部の内側にヒンジ9、10を介して連結され、筒部3から基板部2と反対の側に延び出た一対のアーム6、7とから成り、各アームは、ヒンジ回りに旋回させると軟質シート17の他方の面に当接することができる。クリップ1は、更に、アーム6、7の当接状態を維持する戻り止め爪13が設けられ、この戻り止め爪13に係合するのは、長いアーム6の脚部14であり、脚部14が、短いアーム7をシート当接状態に旋回させて保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 取付部材を両面から挟持することによって該取付部材に固定されるクリップにおいて、前記取付部材の取付穴に挿入される中空の筒部と、該筒部の一端に、前記取付穴より大きく形成されて、取付部材の一方の面に当接する基板部と、前記筒部の内側にヒンジを介して連結され、筒部から前記基板部と反対の側に延び出た一対のアームとから成り、各アームは、前記ヒンジ回りに旋回させると前記取付部材の他方の面に当接することができ、更に、前記アームの当接状態を維持する手段が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項2】 請求項1に記載のクリップにおいて、前記アーム当接状態維持手段は、筒部の内側に形成されて、旋回したアームの延長部に係止する戻り止め爪であることを特徴とするクリップ。
【請求項3】 請求項2に記載のクリップにおいて、前記アームの一方は、筒部から突出する長さが他のアームより長いことを特徴とするクリップ。
【請求項4】 請求項3に記載のクリップにおいて、前記戻り止め爪に係止するアームは、前記の長いアームであり、該長いアームの延長部は、そのヒンジから基板部の側に延び出る脚部として形成され、該脚部の長さは、該長いアームを旋回して取付部材面に当接させたとき短いアームのヒンジ側端部に当接する長さに形成されて、該長いアームの延長部が、短いアームを取付部材当接状態に維持することを特徴とするクリップ。
【請求項5】 請求項4に記載のクリップにおいて、前記筒部及び前記基板部には、ボルトが貫通する穴が形成されており、前記脚部は、前記ボルトの外径よりやや短い間隔をおいた一対の棒状の係止片で形成されていることを特徴とするクリップ。
【請求項6】 請求項5に記載のクリップにおいて、前記取付部材は軟質シートであり、前記筒部は該軟質シートの厚さに対応する長さに形成され、軟質シートに取付けられたクリップの筒部には、パネルに立設されたボルトが貫通し、該ボルトには脚部の係止片が係止して、軟質シートをパネルに仮止めすることを特徴とするクリップ。
【請求項7】 請求項6に記載のクリップにおいて、前記筒部から突出したボルト部分は、第2の取付部材の取付穴を貫通しており、第2取付部材から突出したボルト部分にはナットが螺合して、軟質シート及び第2取付部材がパネルに固定され、この固定において、クリップが軟質シートを一定の厚さに維持するスペーサクリップとなることを特徴とするクリップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、取付部材を両面から挟持することによって該取付部材に固定されるクリップに関し、特に、軟質シートを、パネルに立設されたボルトを利用してパネルに固定するスペーサクリップとして利用できるクリップに関する。
【0002】
【従来の技術】軟質シートを車体パネル等に固定するスペーサクリップは知られている。その例として、実開平7−20402号公報が挙げられる。この公知のスペーサクリップは、フランジ形状の基板部とパンタグラフ形のループを成す係着帯とで構成される。このスペーサクリップを軟質シートに取付けるには、ループを細く変形させて軟質シートの取付穴に挿入する。次に、他面に出た係着帯を平坦になるように押圧することによってフランジを形成し、このフランジと基板部とで軟質シートを挟持して、スペーサクリップを軟質シートに固定している。このスペーサクリップを軟質シートに固定した後、パネルに立設されたボルトをスペーサクリップの穴に受け入れるように、軟質シートをパネルに配置して、スペーサクリップをボルトに押し込む。スペーサクリップには、ボルト係止爪が形成されていて軟質シートがボルトに仮止めされる。この仮止め後、ボルトにナットを螺合することによって軟質シートをパネルに堅く固定し、また他の取付部材を、軟質シートと共締めして、パネルに取付けることができる。このナット締めにおいて、スペーサクリップは軟質シートをつぶすことなく一定の厚さを確保しており、スペーサとしての機能を発揮する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の公知のスペーサクリップにおいて、軟質シートの取付穴に、パンタグラフ形ループの係着帯を挿入するには、そのループを細く変形することが必要であるが、その挿入作業の際に所望以外の形状に変形し易く、スペーサクリップの取付け作業が容易ではなかった。また、基板部の一方の面にパンタグラフ形のループを成す係着帯が一体成形され、基板部のボルト挿入穴にボルト係止用の係止爪が形成されるため、スペーサクリップの金型が複雑になっていた。
【0004】従って、本発明の目的は、軟質シートへ容易に取付けることができ、複雑な金型を必要としないスペーサクリップに適するクリップを提供することにある。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明によれば、取付部材を両面から挟持することによって該取付部材に固定されるクリップであって、取付部材の取付穴に挿入される中空の筒部と、該筒部の一端に、取付部材の取付穴より大きく形成されて、取付部材の一方の面に当接する基板部と、筒部の内側にヒンジを介して連結され、筒部から基板部と反対の側に延び出た一対のアームとから成り、各アームは、ヒンジ回りに旋回させると取付部材の他方の面に当接することができ、更に、アームの当接状態を維持する手段が設けられていることを特徴とするクリップが提供される。
【0006】上記構成によって、中空の筒部を取付部材の取付穴に挿入して基板部を取付部材の一方の面に接面させ、その後、筒部から突出する両アームの先端をヒンジ回りに旋回させるだけの簡単な操作で、クリップを取付部材に取付けることができる。また、クリップは、基板部と筒部と一対のアームとアームの姿勢維持手段とで形成され、ループ状係着帯を必要としないので、簡単な構成の金型で成形することができる。
【0007】本発明のクリップにおいて、アーム当接状態維持手段を、筒部の内側に形成されて、旋回したアームの延長部に係止する戻り止め爪とすることができる。このクリップにおいて、アームの一方を、筒部から突出する長さが他のアームより長く形成することができ、これによって、アームの旋回の作業を容易にした。この場合、戻り止め爪に係止するアームを長いアームにし、長いアームの延長部を、そのヒンジから基板部の側に延び出る脚部として形成し、該脚部の長さを、該長いアームを旋回して取付部材面に当接させたとき短いアームのヒンジ側端部に当接する長さに形成し、該長いアームの延長部が、短いアームを取付部材当接状態に維持するようにできる。この場合、脚部を、基板部及び筒部を貫通するボルトの外径よりやや短い間隔をおいた一対の棒状の係止片で形成すれば、この係止片が仮止め用に機能する。取付部材として軟質シートを利用でき、筒部を該軟質シートの厚さに対応する長さに形成し、軟質シートに取付けられたクリップの筒部には、パネルに立設されたボルトが貫通し、該ボルトには脚部の係止片が係止して、軟質シートをパネルに仮止めする。筒部から突出したボルト部分は、第2の取付部材の取付穴を貫通し、第2取付部材から突出したボルト部分にはナットが螺合して軟質シート及び第2取付部材がパネルに固定され、クリップが軟質シートを一定の厚さに維持するスペーサクリップとして用いられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。図1〜図5には本発明に係るクリップ1の構成が示されている。図6〜図10にはクリップ1をスペーサクリップとして使用して、軟質シートをパネルに取付ける手順が示されている。
【0009】クリップ1は、プラスチックの一体成形品で成る。クリップ1は、軟質シート等の取付部材の取付穴より大きく形成されたフランジ形状の基板部2と、この基板部2の中央に設けられ、取付部材となる軟質シートの厚さに合わせた高さを持つ中空の筒部3とから構成される。基板部2は、取付部材の一方の面に当接するフランジとなり、筒部3の外径は、取付部材の取付穴に挿入できる大きさに形成される。筒部3及び基板部2には、ボルトが貫通する穴5が形成されており、実施例においては、穴5は四角穴に形成されている。
【0010】筒部3の穴5には、筒部3から基板部2と反対の側(図1の上側)に向けて一対のアーム6、7が延びており、筒部3から突出している。アーム6、7は、細長い板状体に形成されて、相互に対向するように配置されている。一対のアームの内、一方のアーム6は、他方のアーム7より長く形成されており、アーム6の旋回操作を容易にしている。両アームの内、長いアーム6は、ヒンジ9を介して筒部3の穴5の内壁に連結されており、短いアーム7はヒンジ10を介して筒部3の穴5の内壁に連結されている。従って、長いアーム6は、図2の直立の姿勢からヒンジ9の回りに時計方向に旋回させることができ、短いアーム7は、ヒンジ10の回りに反時計方向に旋回させることができる。この旋回によって、両アーム6、7は、図2において水平な姿勢になり、軟質シート等の取付部材の他方の面に当接することができる。
【0011】筒部3には、アーム6、7が水平な姿勢に旋回したとき、筒部3の高さH(図2)を維持するように、各アームを収容する切込み部分11、11が形成されている。この切込み部分11の底面は、アーム6、7が水平に旋回したとき、その座を形成するように平坦に形成されている。筒部3の穴5の内壁には、両アーム6、7が水平に旋回した状態に維持するための、一対の戻り止め爪13、13がアーム6、7の向かい合う方向と直交する方向に形成されている。この戻り止め爪13は、長いアーム6の延長部分に係止する。
【0012】長いアーム6には、ヒンジ9から基板部の側に延長する脚部14が形成されている。この脚部は、筒部3を貫通するボルトの外径よりやや短い間隔をおいた一対の棒状の係止片で形成されている。脚部14の長さは、長いアーム6を図2において水平な姿勢に旋回したとき、短いアーム7のヒンジ10の側の端部15に当接する長さに形成されている。これによって、長いアーム6を、図2の直立の姿勢からヒンジ9の回りに時計方向に旋回させると、脚部14の先端側部分が、短いアーム7のヒンジ側端部15に係合し、そのヒンジ側端部15を反時計方向に旋回させるように作用し始める。更に、長いアーム6の旋回を続けると、短いアーム7が、ヒンジ10の回りに反時計方向に旋回を始め、そのまま、旋回を続行すると、長いアーム6を水平な姿勢にしたとき、脚部14も水平になり、脚部14の先端が短いアーム7の端部15に作用して、短いアーム7も水平な姿勢にされる。そして、一対の脚部14が水平な姿勢になったとき、戻り止め爪13を乗り越えて、各脚部14は、対応する戻り止め爪13に係合し、その水平の姿勢が維持される。従って、長いアーム6の姿勢が水平のまま維持され、短いアーム7も水平な姿勢のまま維持される。このように、戻り止め爪13は、アーム6、7を水平に旋回した状態に維持するように、筒部3の穴5の中で脚部14に係合する位置に形成されている。
【0013】かかる構成で成るクリップ1を、取付部材としての軟質シート17に固定する手順を、図6〜図9を参照して説明する。図6において、クリップ1をもって、軟質シート17の取付穴18に、筒部3を挿入するように、一方の側(図6の下側)から矢印19のように押し込んで、基板部2を軟質シート17の下面に当接させる。次に、基板部2が軟質シート17から離れないようにして、図7の矢印21に示すように、長いアーム6を、図6の直立の姿勢からヒンジ9の回りに時計方向に旋回させる。この旋回によって、脚部14の先端側部分が、短いアーム7のヒンジ側端部15に係合し、そのヒンジ側端部15を、ヒンジ10を中心として反時計方向に旋回させるように作用する。更に、長いアーム6の旋回の続行により、図7に示すように、短いアーム7が、ヒンジ10の回りに反時計方向に旋回し始める。
【0014】長いアーム6をそのまま旋回させて、長いアーム6を水平な姿勢にしたとき、長いアーム6は、軟質シート17の上面に当接する。長いアーム6の水平な姿勢によって、脚部14も水平になり、脚部14の先端が短いアーム7の端部15に作用して、短いアーム7も水平な姿勢にされ、これによって、短いアーム7も軟質シート17の上面に当接する。両アーム6、7と基板部2とによって、軟質シート17を両面から挟持することになり、これによって、クリップ1が軟質シート17に固定される。そして、図8に図示のように、脚部14が水平な姿勢になったとき、各脚部14は、対応する戻り止め爪13を乗り越えて係合しており、その水平の姿勢が維持される。従って、長いアーム6の姿勢が水平のまま維持され、短いアーム7も水平な姿勢のまま維持される。従って、クリップ1は、軟質シートに固定されたまま維持される。クリップ1は、硬い材料の取付部材であっても同じように取付けることができる。本実施例のように、軟質材料の取付部材に取付けることによって、クリップ1は、軟質シートの柔軟さを補強するので、軟質シートを変形することなく他の部材に取付けるスペーサクリップとして最適である。この状態において、図9に図示のように、クリップ1の中心には、一対の脚部14、14で制限された穴5が形成され、この穴にボルトを受け入れることができる。
【0015】図10は、クリップ1が取付けられた軟質シート17を、スタッドボルト等のボルト22が立設された車体等のパネル23に固定する様子を示している。軟質シート17に取付けられたクリップ1の筒部3には、パネル23に立設されたボルト22が貫通している。クリップ1において、長いアーム6の脚部14、14の間隔は、前記したように、ボルト22の外径よりやや小さく形成されているので、筒部3を貫通したボルト22のねじ面には、脚部14が係合している。このように、脚部14、14は、軟質シート17をパネル23に仮止めする機能を果している。図示の例において、仮止めされた軟質シート17を保持するクリップ1には、第2の取付部材25が取付けられる。このため、筒部3から突出したボルト部分は、第2取付部材25の取付穴26を貫通している。第2取付部材25から突出したボルト部分には、ナット27が螺合させられる。ナット27の螺合によって、軟質シート17及び第2取付部材25がパネル23に固定される。このように、クリップ1は、筒部3により軟質シート17を一定の厚さに維持しており、スペーサクリップとして用いられる。
【0016】
【発明の効果】本発明のクリップは、取付部材の取付穴に挿入される中空の筒部と、該筒部の一端に、取付部材の取付穴より大きく形成されて、取付部材の一方の面に当接する基板部と、筒部の内側にヒンジを介して連結され、筒部から基板部と反対の側に延び出た一対のアームとから成り、各アームは、ヒンジ回りに旋回させると取付部材の他方の面に当接することができ、更に、アームの当接状態を維持する手段が設けられているので、中空の筒部を取付部材の取付穴に挿入して基板部を取付部材の一方の面に接面させ、その後、筒部から突出する両アームの先端をヒンジ回りに旋回させるだけの簡単な操作で、クリップを取付部材に取付けることができる。また、クリップは、基板部と筒部と一対のアームとアームの姿勢維持手段とで形成され、ループ状係着帯を必要としないので、簡単な構成の金型で成形することができる。更に、クリップは軟質シートを一定の厚さに維持するスペーサクリップとして最適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】390025243
【氏名又は名称】ポップリベット・ファスナー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外6名)
【公開番号】 特開平11−13724
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−171855