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【発明の名称】 クランプ
【発明者】 【氏名】大山 樹一郎

【要約】 【課題】ワイヤハーネス等を固定、保持するクランプを、工具などを用いることなく、容易に取り外せるようにする。

【解決手段】主軸2の一端から、主軸2から離れる外方に向かって拡開する弾発力をもつアンカー部4と、アンカー部4の端部に形成した爪部5と、爪部5から立設し主軸2に平行で所定長さを有する柱部6と、さらにワイヤハーネス等を挿入するための開口端を持つ保持部7とをこの順に連設する。かつこれらの各部は主軸2を挟んで一対に形成される。他方、主軸2の他端は、爪部5の上方でかつ柱部6に相当する位置において、係止板支持部8を設ける。係止板支持部8は爪部5の外形よりも大きい径を持つ係止板9を支持する。これらは一体的に成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主軸2と、この主軸2の一端から主軸2を挟む形で延設しパネルの取付穴に挿入する一対のアンカー部4を有するクランプにおいて、この一対のアンカー部4をそれぞれ延長して主軸2と平行する柱部6と被保持部材等を挿入する開口端をもつ保持部7とに形成すると共に、主軸2の他端には前記柱部6に相当する位置において前記アンカー部4の端部に形成した爪部5と協働してパネルに係止する係止部材9とを一体的に設けたことを特徴とするクランプ。
【請求項2】 主軸2と、主軸2の一端から主軸2から離れる外方に向かって延設すると共に、互いに拡開方向の弾発力を持って対峙する一対のアンカー部4と、アンカー部4の端部に形成され、主軸2と直交する方向に所定の幅を持つ棚状の一対の爪部5と、爪部5から主軸2に平行でかつ所定長さを有して立設される一対の柱部6と、柱部6の他端から延設され被保持部材Cを保持すると共に間隔を有して開口する一対の保持部7と、主軸2の他端にあって前記一対の柱部6の間に相当する位置にこの柱部6に直交する方向に連設した係止板支持部8と、係止板支持部8に支持されると共に少なくとも前記爪部5の外形よりも大きい径を持つ係止板9と、を一体的に具備し、前記保持部7から前記被保持部材Cを外したとき前記保持部7を外方より押圧することにより前記爪部5が縮径することを特徴とするクランプ。
【請求項3】 前記柱部6を前記係止板支持部8と前記係止板9との間に設けた切欠部10に挿通させたことを特徴とする請求項2記載のクランプ。
【請求項4】 前記アンカー部4の主軸2に接続する部位に脆弱部4aを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のクランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等のワイヤハーネス、ケーブルなどの電線類を固定、保持するために用いるクランプであって、特に装着後、容易に取り外しの可能なクランプに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車にはバッテリからのケーブル、各種デバイス間を接続するワイヤハーネス、照明装置への電線をはじめ、さまざまな電線類が張り巡らされている。そして電線の線径、重さ、形態等により、これらを車体の板金やパネル、エンジン部品などに固定保持するクランプは種々の形状を呈し、出願も数多くなされている。例えば、従来例として実公昭58−56464号公報には、図5に図示するように、複数の爪部29a、29b、29c、29dを間隔l1、l2、l3を異にして形成した根元部22と、電線を収容、保持するために拡大溝部30を内側に形成する中間部23と、および先端が外方へ延びた一対の部分33、34の先端部24とで構成したクランプが示されている。
【0003】第2の従来例として図6に図示する、実開平3−310号公報では、板材にクランプを差込む部分の差込み部4、板材に固定する支持部3、ワイヤを保持すると共にクランプを差込むときに把持する部分2とで形成されている。
【0004】また、第3の従来例として図7に図示した、実開平4−25012号公報のものは、2本のケーブルを並列して固定するもので、クランプを差込む部分の脚部3と、脚部3に設けられる弾性係止翼片4とを備え、パネル等の板材に固定し支持すると共にケーブルを保持する頭部2とにより構成している。
【0005】さらに、第4の従来例として図8に図示した、実開平5−67806号公報のクリップ11は、可撓性体を略C字形状に屈曲させた屈曲部12を有し、可撓弾性を有する挟圧部13でワイヤハーネスを保持し、環状体の放射方向に延長される支持部14の先端に係止爪17を一体に設けている。
【0006】しかし、上記第1の考案、実公昭58−56464号公報においては、クランプを確実に係着し、抜け出ないようにするようにしたものである。したがって、その狙いは異なるのみならず、仮にこの発明と同じように一対の先端部33、34または中間部31、32を指で押圧しても、間隔l4が小さいこと、爪部29a、29b、29c、29dが複数形成してあるため、クランプの取り外しは容易には行うことはできない。
【0007】上記第2の考案、実開平3−310号公報においては、差込み部4とワイヤを保持すると共にクランプを差込むときに把持する部分2との間の支持部3には、リブ6が設けられている。この部分の剛性は大きい。これは、クランプの強固な固着のみを目的としており、装着後の取り外しについては考慮されていない。
【0008】上記第3の考案、実開平4−25012号公報のものは、ケーブルを2本並置したものであるから、頭部2は剛性が大であり、なおかつ弾性係止翼片4は自由端となっており、ケーブルを保持する端部を指で押圧しても、弾性係止翼片4には何らの変形も及ぼさない。
【0009】また、上記第4の考案、実開平5−67806号公報によるものは、クランプした状態においてはクリップ11はワイヤハーネスが環状体の中に閉じ込められているので、クリップ11を指で押圧しても、変形させることは容易ではない。
【0010】この発明はこのようなクランプの取り外しを容易にしたものであるが、同様の目的をもつ先行技術として第5の従来例、特開昭58−152916号公報が見い出される。このクリップ10は、図9に図示するように、主軸2の先端部から延設され、弾発力を持つ爪部3を設け、この爪部3を延設しその端部にフランジ11を形成したものである。しかし、このクリップ10は爪部3を延設した延設部12に外力を加えて、爪部3を縮径させクリップを抜くものであるが、図に示すように特殊な工具20を使用することが条件であって、指でクリップを抜くことはできないのは勿論、そのスペースはない。さらに、このクリップはワイヤハーネスを保持するものではないから、このままの形での適用はできない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従来、ワイヤハーネス、ケーブルなどの電線類を固定、保持するクランプにおいて、クランプを強固に固定しようとすると、その取り外しは容易にはできなかった。一般に、このようなクランプを取り外しする作業は、たとえばハーネス類の装着の修正、やり直し、ハーネス類の交換、クランプの破損や損傷、その他必要に応じて少なからず発生する。この発明はこのような課題を解決することを目的として、クランプの取付強度を損なわず、特殊工具はもちろん、ドライバなど工具の助けによらず、手によって容易に取り外しのできる、ワイヤハーネス、ケーブルなどの電線類を固定、保持するクランプを提供するものである。
【0012】
【発明を解決するための手段】請求項1の発明は、主軸と、この主軸の一端から主軸を挟む形で延設しパネルの取付穴に挿入する一対のアンカー部を有するクランプにおいて、この一対のアンカー部をそれぞれ延長して主軸と平行する柱部と被保持部材等を挿入する開口端をもつ保持部とに形成すると共に、主軸の他端には前記柱部に相当する位置において前記アンカー部の端部に形成した爪部と協働してパネルに係止する係止部材とを一体的に設けたことを特徴としている。
【0013】請求項2の発明は、主軸と、主軸の一端から主軸から離れる外方に向かって延設すると共に、互いに拡開方向の弾発力を持って対峙する一対のアンカー部と、アンカー部の端部に形成され、主軸と直交する方向に所定の幅を持つ棚状の一対の爪部と、爪部から主軸に平行でかつ所定長さを有して立設される一対の柱部と、柱部の他端から延設され被保持部材を保持すると共に間隔を有して開口する一対の保持部と、主軸の他端にあって前記一対の柱部の間に相当する位置にこの柱部に直交する方向に連設した係止板支持部と、係止板支持部に支持されると共に少なくとも前記爪部の外形よりも大きい径を持つ係止板と、を一体的に具備し、前記保持部から前記被保持部材を外したとき前記保持部を外方より押圧することにより前記爪部が縮径するよう構成した。
【0014】請求項3の発明は、前記柱部を前記係止板支持部と前記係止板との間に設けた切欠部に挿通させたことを特徴とする。
【0015】請求項4の発明は、前記アンカー部の主軸に接続する部位に脆弱部を設けたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の第1実施例のクランプを示す図で、(a)は正面断面図、(b)は上面図、(c)は下面図である。図2は第1実施例のクランプを斜視図で表す図。図3はこの発明の第2実施例のクランプを示す図。図4は第2実施例のクランプを斜視図で示す図である。
【0017】この発明の第1実施例のクランプを説明する。クランプ1はプラスチックなどの弾性材料により一体的に形成されるもので、大略、パネルP等の取付穴Hに挿入するアンカー部4、ケーブルCなど電線類を保持する保持部7、およびクランプ1をパネルPに係止する係止板9、の部分から成る。
【0018】以下これらの各部と各部の相互関係について、さらに詳しく説明する。主軸2の先端部3には、図で上方かつ外方に向かって延設すると共に、互いに拡開方向の弾発力を持って対峙する一対のアンカー部4を形成する。先端部3からアンカー部4に至る形状は、取付穴に挿入可能なくさび形を呈する。そしてアンカー部4の末端は水平方向、所定の幅を持つ棚状の爪部5に形成する。この爪部5からはさらに上方に垂直の所定長さを有する一対の柱部6が連続している。そして柱部6にはケーブルCなど電線類を保持する一対の保持部7を延設している。保持部7は、保持するケーブルCなどの形状に合わせて湾曲状に成形される。保持部7の先端はケーブルCを挿入するに必要な間隔Dに開口すると共に、保持部7の内径はケーブルCの外径より少し小径に成形されて、ケーブルCの挿入後は一対の保持部7の弾性力で適度な押圧を生じるように形成されている。
【0019】柱部6と保持部7の幅および板厚は同じ寸法に形成されている。これらの幅bは、アンカー部4の幅Bよりも小さく形成する。これは、後に説明するように、係止板支持部8と係止板9との間には、切欠部10を形成して、柱部6を挿通させ爪部5から立設させているためである。そして、一対の保持部7を指で押圧してアンカー部4の先端部3を中心にクランプ1全体を内側にたわませることが必要であるから、アンカー部4の先端部3は取付穴Hへの挿入を容易にするためも兼ねてテーパ状に側面が落とされ柱部6より変形し易くなっており、保持部7はケーブルCを保持するに十分な幅を保てば、必要以上に大きくは形成されない。
【0020】また、一対の保持部7を指で押圧したとき、爪部5が縮径してクランプ1をパネルPの取付穴Hから容易に取り外せるように、アンカー部4の主軸2との接続部に切欠き4aを設けて、脆弱部を構成している。この脆弱部により、保持部7の先端を押圧したとき、柱部6が内側に変形するに要する力よりも小さな力で爪部5を縮径させることができる。
【0021】よって主軸2の先端部3からは、枝分かれした一対の、アンカー部4、柱部6、および保持部7が連なる形状を呈している。この形状を採ることにより、開口端である保持部7を指で押圧する程度の外力で、アンカー部4の端部に形成した爪部5をクランプ1自体が持つ拡開方向の弾発力に抗して、内側に変位させ、パネルP等の取付穴Hからクランプ1を抜くことができるのである。
【0022】この発明のクランプ1は、さらに主軸2の端部に係止板支持部8を形成する。この係止板支持部8を設ける位置は、上下方向において、前記、所定長さを有する一対の柱部3の間とする。すなわち、係止板支持部8は上面視、一対の柱部6の間にあって、直交する方向に延設すると共に、その外形はアンカー部4端部の爪部5よりも大きな径を有するドーナツ形の係止板9に一体である。係止板支持部8と係止板9との間には、切欠部10を形成して、前記柱部6を挿通させている。そして係止板9と爪部5との上下方向の間隔は、この間にパネルPが介在することから、パネルPの厚さに応じて設定されなければならない。
【0023】次に、この発明の作用を説明する。クランプ1の保持部7を持ち、アンカー部4をパネルP等の取付穴Hに挿入すると、係止板9の外形は取付穴Hより大きいため、それ以上の挿入はできないと同時に、爪部5が係止してクランプ1がパネルPに固定される。そしてクランプ1が取付穴Hに固定された状態で一対の保持部7の開口部を弾性力に抗して拡幅しケーブルCを装着する。
【0024】次にクランプ1を抜く場合を説明する。保持部7の開口部を弾性力に抗して拡幅してケーブルCを外す。一対の保持部7の膨大部分を内方に押すと(図2)、アンカー部4の先端部3近傍がたわみ、最大、間隔Dだけ保持部7が内側に動く。前に述べたように、保持部7、柱部6、およびアンカー部4は主軸2の先端部3から延設されて一片の形に構成してあるので、爪部5も内方に縮むため、取付穴Hより小さくなって、クランプ1を容易に抜くことができる。
【0025】この発明の第2実施例であるクランプを図3、図4に示す。第1実施例と同じ部分には同じ符号を付し説明を省く。第2実施例のクランプは樹脂による成形性を向上するために係止板9を一部欠けた円板形に構成したもので、切欠部20を形成している。またここでは、柱部6と保持部7の幅bおよびアンカー部4の幅Bとは同じ幅に構成している。作用は第1実施例に同じである。
【0026】これまで説明した実施例においては、ワイヤハーネス、ケーブルなどの電線類を対象としたが、この発明は電線類のほかにパイプ等でも適用できることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、主軸と、主軸の一端から主軸から離れる外方に向かって延設すると共に、互いに拡開方向の弾発力を持って対峙する一対のアンカー部と、アンカー部の端部に形成され、主軸と直交する方向に所定の幅を持つ棚状の一対の爪部と、爪部から主軸に平行でかつ所定長さを有して立設される一対の柱部と、柱部の他端から延設され被保持部材を保持すると共に間隔を有して開口する一対の保持部と、主軸の他端にあって前記一対の柱部の間に相当する位置にこの柱部に直交する方向に連設した係止板支持部と、係止板支持部に支持されると共に少なくとも前記爪部の外形よりも大きい径を持つ係止板と、を一体的に具備し、前記保持部から前記被保持部材を外したとき前記保持部を外方より押圧することにより前記爪部が縮径するよう構成したので、この発明のクランプをパネルに係止するときは強固にクランプでき、クランプを取り外す際には、特殊工具はもちろん、ドライバなどの工具の助けによらず、手によって容易に取り外すことができる。
【出願人】 【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−13720
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−185999