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【発明の名称】 拡張リベット
【発明者】 【氏名】生田 一一

【氏名】遠藤 誠敬

【要約】 【課題】ボルト体と拡張スリーブ体から成るリベット体において、締め付け時の空転発生という課題を解決し専用工具を必要としない締結を実現する。

【解決手段】軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体4の先端に形成した拡径ボス部3はその後端側がエッジ12によって区分された4面以上の傾斜面9を有し、円筒状の拡張スリーブ体の先端にはボルト体の後端に形成したエッジに対向する位置に同数の開口するスリットを設けることにより、ボルト体に螺合したナットを通常の工具を用いて回転することで空転がなくスリーブ体の拡張を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットを形成したリベット体である。
【請求項2】 軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットと後端側へ開口するスリットを有し、後端側へ開口したスリットによって分割されたスリーブ体の後端側の端部の内、ネジ締め方向に対向する側の端部でスリーブ体の後端方向へ向けて徐々に拡張する傾斜爪を形成したリベット体である。
【請求項3】 軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットを形成し、円筒状の拡張スリーブ体の先端にはボルト体の後端に形成したエッジに対向する位置に同数の開口するスリットを設けたことを特徴とするリベット体である。
【請求項4】 軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットと後端側へ開口するスリットを有し、後端側へ開口したスリットによって分割されたスリーブ体の後端側の端部の内、ネジ締め方向に対向する側の端部でスリーブ体の後端方向へ向けて徐々に拡張する傾斜爪を形成し、円筒状の拡張スリーブ体の先端にはボルト体の後端に形成したエッジに対向する位置に同数の開口するスリットを設けたことを特徴とするリベット体である。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術】本発明は複数の金属板を重ね合わせて接合、または金属板に器材を取り付けるために用いるファスナーに関し、特に裏面に手や工具を入れることができない中空状の箇所で、表側からの作業のみで接合できるリベットに関する。
【0002】
【従来の技術】裏面に工具を入れることができる場合は一端に頭部を有するリベットを先端と頭部側から押圧してカシメる方法が一般的であるが、中空状の箇所では表側からの作業になるため筒状の軸部を有する本体にピンを挿入したブラインドタイプのリベットが使用されたり、スリット(割り溝)で分割されて拡張することができる筒状の拡張スリーブをボルトまたはナットの回転により引き付けて圧縮変形させるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】高強度を必要とする接合においては、ナットの回転力によって筒状の拡張スリーブを拡張変形させるものが用いられることが多いが、本発明ではそのような、拡張スリーブを拡張変形させるリベット体において生じる課題、すなわち、ナットを回転させる際に、リベット体自体が空転運動をおこして拡張することができないために、専用の工具を用いてボルトの一部を固定しながらナットを回転させることが要求されるという課題に着目したものである。
【0004】この課題によって、使用者は専用の工具を用意しなければならず、さまざまな締結現場での作業において支障をきたしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットを形成した構成を採用したものである。
【0006】請求項2の発明は軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットと後端側へ開口するスリットを有し、後端側へ開口したスリットによって分割されたスリーブ体の後端側の端部の内、ネジ締め方向に対向する側の端部でスリーブ体の後端方向へ向けて徐々に拡張する傾斜爪を形成した構成を採用したものである。
【0007】請求項3の発明は軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットを形成し、円筒状の拡張スリーブ体の先端にはボルト体の後端に形成したエッジに対向する位置に同数の開口するスリットを設けた構成を採用したものである。
【0008】請求項4の発明は軸方向にスリットを有する円筒状の拡張スリーブ体と、先端に拡径したボス部を有したボルト体が拡張スリーブ体の筒穴に挿入されて成る拡張リベットにおいて、ボルト体の先端に形成した拡径ボス部はその後端側がエッジによって区分された4面以上の傾斜面を有し、拡張スリーブ体は先端側へ開口するスリットと後端側へ開口するスリットを有し、後端側へ開口したスリットによって分割されたスリーブ体の後端側の端部の内、ネジ締め方向に対向する側の端部でスリーブ体の後端方向へ向けて徐々に拡張する傾斜爪を形成し、円筒状の拡張スリーブ体の先端にはボルト体の後端に形成したエッジに対向する位置に同数の開口するスリットを設けた構成を採用したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】図1において、軸方向にスリット2を有する円筒状の拡張スリーブ体1と、先端に拡径したボス部3を有したボルト体4が拡張スリーブ体1の筒穴に挿入されて成る拡張リベットであり、このボルト体4の後端にはナット5や用途に応じたさまざまな固定手段が螺合される。
【0011】ボルト体4の先端に形成した拡径ボス部3はその後端側がエッジ12によって区分された4面以上の傾斜面9を有し、拡張スリーブ体1は先端側へ開口するスリット2と後端側へ開口するスリット2´を有し、後端側へ開口したスリット2´によって分割されたスリーブ体の後端側の端部の内、ネジ締め方向(一般に右回転)に対向する側の端部でスリーブ体の後端方向へ向けて徐々に拡張する傾斜爪8を形成したリベット体である。
【0012】傾斜爪8は図5において示すように、挿入穴11の径よりも大きくなるように外方に拡張しているため、本発明のリベット体を締め付け部材10,10´にあらかじめ設けた挿入穴11、11´に挿入すると、傾斜爪8の後端側がその挿入穴の内壁面に強く接するようになり、図2に示すように、スリーブ体1の全長を挿入穴11に完全に挿入することができないか、傾斜爪8を強く圧して縮径して全長を挿入することとなる。
【0013】使用にあたっては、図2において示すように、まず本発明のリベット体を締め付け部材10,10´にあらかじめ設けた挿入穴11に挿入する。
【0014】図示の例では、ボルト体4の後端には一般的な六角ナット5が軽く螺合された状態で挿入され、つづいてこのナット5を電動レンチなどの工具で回転させると図3に示すようにボルト体4は引き寄せられてボス部3のテーパ状の傾斜面9がスリーブ体1のスリット2を先端側から押し広げる。
【0015】この時、回転するナット5の運動を受けてボルト体4も回転しようとし、さらにスリーブ体1も回転しようとする。
【0016】従来、図6に示すようなコンクリート用アンカーとして知られる公知のスリーブ付きアンカー体の場合は、コンクリートなどの部材内部が詰まっているために、アンカーを穴に挿入した後で、スリーブ体を押し込むことによってスリーブ先端の拡張を生じさせコンクリート内壁面と密着させて「空転」を防止しているが、本発明が対象とする中空状態の部材の場合は、スリーブ先端は空間に位置して、そのような密着状態を得ることはできないためにスリーブ体の「空転」を生じて、スリットを拡張させる作用に移行することが困難となる。
【0017】本発明のリベット体の場合は、ナット5の回転を受けてボルト体4が回転しようとすると、拡径ボス部3はその後端側に4面以上の傾斜面9を有しているため、そのエッジ部12がスリーブ体1の内壁に食い込み状に当接するため回転を防止することができ、一層の回転防止効果を得るためと、スリーブ体1の初期拡張を容易にするためにスリーブ体1の先端側にエッジ部12に対向する位置に同数の開口するスリットを設けてもよい。
【0018】さらに、スリットの後端に回転方向へ対向する傾斜爪8を有しているため、挿入穴11の内壁に強く接して噛み合い状となって空転を防止し、ナットの回転運動をスリーブ体1の拡張に転ずることができる。
【0019】スリット2が先端側から押し広げられるとスリーブ体1の拡張によって、2つの締め付け部材10,10´は密着し、同時に、図2に示すように後端の一部が締め付け部材表面から突出していたスリーブ体1は前進して、図3に示すように全長が部材内に強制的に引き込まれる。
【0020】本発明のリベット体による締結完了時には、ボルト体4にさらに強い回転力が加わるが、図4に示すように、スリーブ体1が挿入穴11と傾斜面9の複数のエッジ12とによって強く圧っせられ変形することとなり、空転を防ぐことができる。
【0021】このようにして、本発明のリベット体に螺合したナット5を回転させると図3に示すように、2つの締め付け部材10,10´を密着させて作業は完了する。
【0022】
【発明の効果】複数の金属板を重ね合わせて接合、または金属板に器材を取り付ける作業において、ボルトまたはナットの回転力によって筒状の拡張スリーブを拡張変形させるリベット体を用いる場合、本発明のリベット体によると、空転を防止する新規の構造を有しているために特殊な工具を必要しないという効果を有する。
【0023】本発明のスリーブは金属平板をプレス製法によってスリットなど外形を打ち抜き、傾斜爪を折り曲げ成型した後、同製法で筒状に巻き込むなどによって量産容易であり、そのようなプレス製法を採用する場合は、スリットのひとつはスリーブの全長にわたって連続した形状となる場合がある。
【出願人】 【識別番号】000181963
【氏名又は名称】若井産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−13719
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−208268