| 【発明の名称】 |
油圧機械の定速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】庄子 研也
【氏名】成澤 順市
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| 【要約】 |
【課題】手動によるエンジン回転数の調整をすることなくクレーンの定速旋回動作やウインチの定速巻上/巻下動作などの定速制御領域を広くとることのできる油圧機械の定速制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置8は、エンジン回転数を制御するアクセル制御部8aと、油圧ポンプの押除け容積を制御するポンプ制御部8bとを有している。制御装置8では、エンジン回転数を検出する回転センサ16と、アクセルペダル9の開度を検出するスロットルセンサ9aと、速度設定する速度設定器10からの入力信号を読み込んで、エンジン1のステップモータ1aと電磁減圧弁の電磁ソレノイド7aにそれぞれ制御信号を出力する。これによって、ポンプ押除け容積が飽和した場合には、その飽和を防止するようにエンジン回転数が制御されるので、定速制御領域を広くとることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 手動操作によって回転数が制御される原動機と、被駆動体の駆動速度を設定する速度設定手段と、前記原動機により駆動され、前記被駆動体の速度を前記速度設定手段で設定した値とするように容積が制御される可変容積式の油圧ポンプと、該油圧ポンプにより駆動され、前記被駆動体を駆動する油圧モータとを備えた油圧機械の定速制御装置において、前記油圧ポンプの容積が最大もしくは最小に制御されても前記設定値に達しないとき、前記被駆動体の速度を前記設定値とするように、前記手動操作に拘らず前記原動機回転数を制御する制御手段を備えたことを特徴とする油圧機械の定速制御装置。 【請求項2】 前記制御手段は、前記手動操作によって制御された原動機回転数が、前記速度設定手段によって設定される被駆動体の駆動速度に対して許容される原動機回転数より大きい場合は、前記原動機回転数をその許容される原動機回転数の上限値に設定し、前記速度設定手段によって設定される被駆動体の駆動速度に対して許容される原動機回転数より小さい場合は、前記原動機回転数をその許容される原動機回転数の下限値に設定することを特徴とする請求項1に記載の油圧機械の定速制御装置。 【請求項3】 前記制御手段は、前記被駆動体の駆動速度が、前記油圧ポンプの容積が最大に制御されても前記速度設定手段によって設定される設定値に達しないときには、前記原動機の回転数を増加させ、前記油圧ポンプの容積が最小に制御されても前記速度設定手段によって設定される設定値に達しないときには、前記原動機の回転数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の油圧機械の定速制御装置。 【請求項4】 前記油圧ポンプは、前記原動機回転数の変化に応じてその容積が制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧機械の定速制御装置。 【請求項5】 前記被駆動体が油圧ウインチである場合、前記油圧ポンプは、前記油圧ウインチのドラム上のロープ巻層の変化に応じてその容積が制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧機械の定速制御装置。 【請求項6】 原動機によって駆動され、原動機回転数の変化に応じて吐き出し容量が変化する油圧ポンプと、該油圧ポンプにより駆動される油圧モータと、該油圧モータにより駆動される被駆動体と、前記被駆動体の駆動速度を設定する速度設定手段とを備えた油圧機械の定速制御装置において、前記原動機の回転数と前記被駆動体の駆動速度と前記油圧ポンプの吐き出し容量との一義的な対応関係を予め記憶し、この対応関係に基づいて、前記速度設定手段で設定された値となるように前記原動機回転数と前記油圧ポンプの吐き出し容量とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする油圧機械の定速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、上部旋回体を有するクレーン等の旋回動作やウインチの巻上/巻下動作などの定速制御を可能にする油圧機械の定速制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】旋回動作を行うクレーン等の定速旋回制御について、例えば実開平3ー49291号公報には、図10に示すように可変容量型ポンプの押除け容積をエンジン回転数に応じて制御するようにした油圧回路が開示されている。図10において、エンジン30によって駆動される旋回用可変容量型油圧ポンプ31のパイロット操作部31aは電磁比例減圧弁32を介してパイロット油圧源33に接続され、電磁比例減圧弁32の電磁制御部32aはエンジン30の回転数に応じて出力電流が制御される定電流アンプ34に接続される。そして、可変容量型ポンプ31の押除け容積はエンジン30の回転数に概ね反比例するように制御されることで、エンジン回転数の変化に拘らずポンプ31の吐出量がほぼ一定に保たれ定速旋回運転が可能となる。 【0003】図3のPL,PHは、可変容量型ポンプ31の押除け容積を最大とした時および最小とした時のエンジン回転数と旋回速度との関係であり、エンジン回転数の増加に伴いポンプ吐出量は増加し上部旋回体の旋回速度は増加する。図3において、例えば旋回速度S1の定速旋回運転を行う場合、エンジン回転数の最小時(NL)にはPH1に、エンジン回転数の最大時(NH)にはPL1にポンプ押除け容積を制御することで、エンジン回転数の大小に拘らず定速旋回運転を行うことができる。 【0004】また、巻層の変化によるウインチロープの繰り出し速度の変化を防止するウインチの巻上/巻下定速制御について、特公平4ー60913号公報には、可変容量型ポンプの押除け容積を制御することで、ロープ巻層に拘らずウインチの巻上/巻下速度を一定に保つようにした油圧回路が開示されている。図9のPH1,PH2は、ポンプ押除け容積が最大で巻層最小時(PH1)および巻層最大時(PH2)の特性すなわちエンジン回転数と巻上速度との関係であり、巻層の増加に伴ってウインチドラムの径が増加するので巻上速度は増加する。また、P1,P2はポンプ押除け容積が最大より小で巻層最小時(P1)および巻層最大時(P2)の特性であり、P2とPH1は一致している。ここで定速巻上運転を行うため、例えばエンジン回転数をN1に固定し巻上速度をS1と設定した場合(a点)、最小巻層時にはPH1に最大巻層時にはP2にポンプ押除け容積を制御することで、巻層の変化に拘らず定速巻上運転を行うことができる。なお、図9において、PL1,PL2はポンプ押除け容積が最小で巻層最小時(PL1)および巻層最大時(PL2)の特性である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した実開平3ー49291号公報の定速制御により運転可能な領域は、図3におけるポンプ押除け容積の最小値PLと最大値PH、およびエンジン回転数の最小値NLと最大値NHによって囲まれた範囲内(斜線部)だけであり、例えば旋回速度S2の定速旋回運転をしようとすると、エンジン回転数がNL〜N2の領域では制御可能領域(斜線部)から外れてしまう。したがって、エンジン回転数の大小に拘らず定速旋回運転を行うことができる旋回速度範囲は、ΔSの限られた狭い範囲だけである。 【0006】また、特公平4ー60913号公報の定速制御による運転可能な領域は、図9に示すように最小巻層時にはエンジン回転数の最小値NLと最大値NHおよびPL1とPH1によって囲まれた領域であり、最大巻層時にはPL2とPH2によって囲まれた領域である。そこで、例えばエンジン回転数N1の状態で巻上速度S2の定速巻上運転をしようとすると、巻層の増加に伴って制御可能領域から外れてしまう。このような場合、巻層の増加に伴い手動でエンジン回転数を徐々に減速し、最大巻層時にはエンジン回転数をN2に制御する。しかしながら、このような巻層の変化に伴うエンジン回転数の調整は煩わしい作業である。結局、エンジン回転数の調整をすることなく定速巻上/巻下運転を行えるのは、PL2とPH1に囲まれたΔSの限られた狭い範囲だけである。 【0007】本発明の目的は、手動によるエンジン回転数の調整をすることなく定速制御領域を広くとることのできる油圧機械の定速制御装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】(1) 一実施の形態を示す図1,7を参照して説明すると、請求項1の発明は、手動操作によって回転数が制御される原動機1と、被駆動体の駆動速度を設定する速度設定手段10と、原動機1により駆動され、被駆動体の速度を速度設定手段10で設定した値Sとするように容積が制御される可変容積式の油圧ポンプ3と、その油圧ポンプ3により駆動され、被駆動体を駆動する油圧モータ6とを備えた油圧機械の定速制御装置に適用される。そして、油圧ポンプ3の容積が最大もしくは最小に制御されても設定値Sに達しないとき、被駆動体の速度を設定値Sとするように、手動操作に拘らず原動機回転数を制御する制御手段8,13を備えたことにより上記目的を達成する。 (2) 請求項2の発明は、制御手段8により、手動操作によって制御された原動機回転数が、速度設定手段10によって設定される被駆動体の駆動速度に対して許容される原動機回転数より大きい場合は、原動機回転数をその許容される原動機回転数の上限値に設定し、速度設定手段10によって設定される被駆動体の駆動速度に対して許容される原動機回転数より小さい場合は、原動機回転数をその許容される原動機回転数の下限値に設定するものである。 (3) 請求項3の発明は、制御手段13により、被駆動体の駆動速度が、油圧ポンプ3の容積が最大に制御されても速度設定手段10によって設定される設定値に達しないときには、原動機1の回転数を増加させ、油圧ポンプ3の容積が最小に制御されても速度設定手段10によって設定される設定値に達しないときには、原動機1の回転数を減少させるものである。 (4) 請求項4の発明は、油圧ポンプ3の容積が、原動機回転数の変化に応じて制御されるものである。 (5) 請求項5の発明は、被駆動体が油圧ウインチ12である場合、油圧ポンプ3の容積が、油圧ウインチ12のドラム12a上のロープ巻層の変化に応じて制御されるものである。 (6) 請求項6の発明は、図4に示すように、原動機1によって駆動され、原動機回転数の変化に応じて吐き出し容量が変化する油圧ポンプ3と、油圧ポンプ3により駆動される油圧モータ6と、油圧モータ6により駆動される被駆動体と、被駆動体の駆動速度を設定する速度設定手段10とを備えた油圧機械の定速制御装置に適用される。そして、原動機1の回転数と被駆動体の駆動速度と油圧ポンプ3の吐き出し容量との一義的な対応関係を予め記憶し、この対応関係に基づいて、速度設定手段10で設定された値Sとなるように原動機回転数と油圧ポンプ3の吐き出し容量とを制御する制御手段11を備えたことにより上記目的を達成する。 【0009】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。 −第1の実施の形態−図1は、本発明の定速制御装置をクレーンの旋回定速制御装置に適用した場合の第1の実施の形態に係わる油圧回路である。図1に示すように、減速器2を介してエンジン1に連結された可変油圧ポンプ3は、リリーフ弁4と方向制御弁5を介して油圧モータ6に接続されており、方向制御弁5の位置を切り換えると油圧モータ6に圧油が供給されて不図示の上部旋回体が旋回させられる。油圧ポンプ3の押除け容積を調節するレギュレータ3aは電磁減圧弁7の二次側ポートに接続され、電磁減圧弁7の一次側ポートの一方はタンクTに接続されている。電磁減圧弁7の一次側ポートの他方は圧源Pに接続され、電磁減圧弁7の減圧特性に応じてレギュレータ3aに圧油が供給される。電磁減圧弁7の減圧特性は、制御装置8に接続された電磁ソレノイド7aにより制御される。エンジン1には不図示のガバナレバーを駆動するためのステップモータ1aが設けられ、ステップモータ1aは制御装置8に接続されてその駆動が制御される。 【0011】制御装置8には、エンジン1の回転数を検出する回転センサ1bと、アクセル9の開度を検出するスロットルセンサ9aと、速度設定値を入力する速度設定器10とが接続され、これらの信号は入力信号として制御装置8に取り込まれる。制御装置8は、定速旋回運転を実行するためにエンジン回転数を制御するアクセル制御部8aと、ポンプ押除け容積を制御するポンプ制御部8bとを有している。そして、アクセル制御部8aおよびポンプ制御部8bでは、後述するような処理が実行され、ステップモータ1aと電磁パイロット7aに制御信号が出力されて、エンジン回転数とポンプ押除け容積がそれぞれ制御される。 【0012】次に、第1の実施の形態に係わる制御装置8の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。図2のフローチャートを実行するプログラムは、定速旋回運転を選択する不図示の定速旋回スイッチがオンされるとスタートする。まず、ステップS1で速度設定器10から入力された旋回速度設定値が読み込まれ、次いで、ステップS2でエンジン回転数の限界値が演算される。エンジン回転数の限界値とは、図3の旋回速度における制御可能領域(斜線部)の限界値を意味する。すなわち、例えば旋回速度設定値がS1ではエンジン回転数の限界値はNL,NHであり、設定値がS3では限界値はNL,N3であり、設定値がS2では限界値はN2,NHとなる。なお、前述したように、図3のPL,PHは、可変容量型ポンプ3の押除け容積を最大とした時および最小とした時のエンジン回転数と旋回速度との関係であり、エンジン回転数の増加に伴いポンプ吐出量は増加し上部旋回体の旋回速度は増加する。 【0013】次に、ステップS3でアクセル指令、すなわちスロットルセンサ9aの検出値が読み込まれ、ステップS4でアクセル指令がエンジン回転数の上限を超えているか否かが判定される。ステップS4が否定されると、ステップS5でアクセル指令がエンジン回転数の下限より下か否かが判定され、ステップS5が否定されると、ステップS8でスロットルセンサ9aの検出値がそのままアクセル指令値としてステップモータ1aに出力される。旋回速度設定値が例えばS1のときは、このような手順によってスロットルセンサ9aの検出値に補正が加えられることなく、検出値がアクセル指令値としてそのまま出力される。すなわち、エンジン回転数の最小時(NL)にはPH1に、エンジン回転数の最大時(NH)にはPL1にポンプ押除け容積を制御することで、エンジン回転数の大小に拘らず定速旋回運転を行うことができる。 【0014】一方、例えば旋回速度設定値がS3とされ、エンジン回転数がNHとなるようにアクセル9が踏み込まれると、スロットルセンサ9aの検出値であるアクセル指令がエンジン回転数の上限値N3を超えてしまうので、ステップS4が肯定されてステップS6に進みアクセル指令がエンジン回転数の上限値N3にセットされる。そして、ステップS8でアクセル指令値であるN3がステップモータ1aに出力される。また、例えば旋回速度設定値がS2とされ、エンジン回転数がNLとなるようにアクセル9が踏み込まれると、アクセル指令がエンジン回転数の下限値N2を下回ってしまうので、ステップS5が肯定されてステップS7に進みアクセル指令がエンジン回転数の下限値N2にセットされて、ステップS8でアクセル指令値N2が出力される。 【0015】ステップS8でステップモータ1aへ制御信号が出力されると、ステップモータ1aが駆動されエンジン回転数が制御される。ステップS9ではエンジン回転数を検出する回転センサ1bの検出値が読み込まれ、そのエンジン回転数において旋回速度を設定値とするためのポンプ押除け容積が演算される。この演算値は電磁減圧弁7の電磁パイロット7aに出力されて、電磁減圧弁7の減圧特性が制御される。ポンプ押除け容積が制御されるとステップS10に進んで、定速旋回スイッチのオフ等により定速旋回運転の終了が判定される。ステップS10が否定されるとステップS3に戻って、以降、同様なステップが繰り返される。ステップS10が肯定されると、このフローチャートは終了する。 【0016】このように第1の実施の形態によると、制御装置8にアクセル制御部8aを設け、制御可能領域から外れるようなアクセル指令が検出された場合には、その検出値に補正を加えエンジン回転数を制御可能領域内に制御するようにしたので、定速旋回運転の際の旋回速度の設定範囲を広くとることができ、クレーンの使い勝手が向上する。 【0017】−第2の実施の形態−次に、本発明の第2の実施の形態に係わる定速制御装置について説明する。図4は、第2の実施の形態に係わる制御装置の油圧回路を示した図であり、図1と同一の箇所には同一の符号を付してその相違点を主に説明する。図4においてはアクセル9とスロットルセンサ9aを省略している。また、制御装置11はアクセル制御部11aとポンプ制御部11bと記憶部11cとを有している。記憶部11cには、エンジン回転数と旋回速度との関係として例えば図5のF(N)の特性が予めメモリされ、この特性F(N)に沿ってエンジン回転数とポンプ押除け容積は制御される。なお、図5における斜線部は図3と同様、制御可能領域を表す。 【0018】次に、第2の実施の形態に係わる制御装置の動作について図6のフローチャートを用いて説明する。不図示の定速旋回スイッチがオンされてプログラムがスタートすると、ステップS11で速度設定器10に入力された旋回速度の設定値が読み込まれる。次いで、ステップS12で予め記憶されたF(N)の特性により旋回速度設定値に対応したエンジン回転数が演算され、その制御信号がステップモータ1aに出力される。ステップS13では旋回速度設定値に対応したポンプ押除け容積が演算され、電磁減圧弁7の電磁パイロット7aに制御信号が出力されてステップを終了する。 【0019】このように第2の実施の形態によると、制御装置11に記憶部11cを設け予めエンジン回転数と旋回速度との関係を記憶しておくようにしたので、第1の実施の形態と同様、旋回速度の設定範囲をΔSよりも広く(例えば図5のΔS1)することができる。また、旋回速度設定値が入力されるとエンジン回転数とポンプ押除け容積は所定値に固定されるので、安定した旋回動作を行うことができる。さらに、作業中アクセルの踏み込みなどによりエンジン回転数を設定する必要もなく作業時の労力は低減される。なお、通常、クローラクレーンなどでは、アクセルペダルやアクセルレバーを備えているので、この実施の形態を適用する場合、アクセルペダルやアクセルレバーによる回転数指令を無効とするような制御を行うことになる。 【0020】−第3の実施の形態−次に、本発明の第3の実施の形態に係わる定速制御装置について説明する。第3の実施の形態は油圧ウインチに適用されるものであり、その油圧回路を図7に示す。なお、図7において図1と同一の箇所には同一の符号を付してその相違点を主に説明する。図7に示すように、油圧モータ6にはウインチ装置のドラム12aが連結され、制御弁5の操作によりドラム12aが回転されると、ロープ12bが繰り出しまたは巻取られてフック12dが昇降される。シーブ12cには、ウインチロープ12bの速度を検出するための速度検出器12eが設置されている。なお、図7においては、図1のアクセルペダル9の代わりにアクセルレバー9が設置されている。また、エンジン回転数を検出する回転センサは省略している。さらに、クレーンブームも図示を省略した。 【0021】制御装置13には、シーブ12cとフック12dの間のロープ12bの掛け数を設定する掛け数設定器14と、フック12dの昇降速度設定値を入力する速度設定器10と、ロープ12bの速度を検出する速度検出器12eと、アクセルレバー9の開度を検出するスロットルセンサ9aが接続され、これらの信号は入力信号として制御装置13に取り込まれる。制御装置13は、定速巻上/巻下運転を実行するために、エンジン回転数を制御するアクセル制御部13aとポンプ押除け容積を制御するポンプ制御部13bとを有している。そして、アクセル制御部13aおよびポンプ制御部13bで後述するような処理が実行され、ステップモータ1aと電磁パイロット7aに制御信号が出力されて、エンジン回転数とポンプ押除け容積がそれぞれ制御される。 【0022】次に、第3の実施の形態に係わる制御装置13の動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートを実行するプログラムは、定速巻上/巻下運転を選択する不図示の定速巻上スイッチがオンされるとスタートし、まず、ステップS21でスロットルセンサ9aの検出値であるアクセル指令が読み込まれる。定速巻上/巻下運転は、アクセルレバー9の開度を一定として行われるため作業時のスロットルセンサ9aからの検出値は一定となる。次いで、ステップS22で速度設定器10によって入力された巻上速度設定値が読み込まれ、ステップS23でスロットルセンサ9aからのアクセル指令値がステップモータ1aに出力されてエンジン回転数が所定値に制御される。 【0023】ステップS24では、設定速度で定速巻上/巻下運転をするためのポンプ制御量すなわちポンプ押除け容積が演算されて、その演算値は制御信号として電磁減圧弁7の電磁パイロット7aに出力される。ステップS24の演算は、シーブ12cに設置された速度検出器12eの検出値とロープ掛け数設定器14からの入力値によりフック12dの巻上速度を検出し、この検出値と設定値との比較(フィードバック制御)によって実行される。次いで、ステップS25でポンプ押除け容積が図9の上限値PH1,PH2か否かが判定され、否定されると、ステップS26でポンプ押除け容積が下限値PL1,PL2か否かが判定される。なお、前述したように、エンジン回転数と巻上速度との関係を示す図9において、PH1,PH2は、ポンプ押除け容積が最大で巻層最小時(PH1)および巻層最大時(PH2)の特性であり、PL1,PL2はポンプ押除け容積が最小で巻層最小時(PL1)および巻層最大時(PL2)の特性である。これらの特性より、巻層の増加に伴ってウインチドラムの径が増加するので巻上速度は増加する。また、P1,P2はポンプ押除け容積が最大より小で巻層最小時(P1)および巻層最大時(P2)の特性であり、P2とPH1は一致している。 【0024】図9において、巻上速度設定値がΔSの範囲は、前述したように巻層の変化に拘らず制御可能な領域である。したがって、例えばエンジン回転数をN1に設定し巻上/巻下速度設定値をΔSの範囲内のいずれか(例えばS3)に設定すれば、その設定値bは最小巻層時にあっては下限値PL1より大きく上限値PH1より小さく、最大巻層時にあっては下限値PL2より大きく上限値PH2より小さいので、ステップS25,ステップS26はともに否定されて、ステップS27に進む。ステップS27では定速巻上スイッチのオフにより作業終了か否かが判定されて、作業終了ならばそのまま終了し、作業終了でなければステップS23に戻る。定速巻上/巻下運転を行う場合には、前述のa点におけるP2〜PH1のように巻層の変化に応じてポンプ押除け容積を常に制御する必要があるので、ステップS23以降は同様なステップが繰り返される。 【0025】図9で例えばエンジン回転数をN1に設定し巻上速度をΔSより外のS2に設定すれば、巻上時における巻層の増加に伴いポンプ押除け容積は下限値となるので、この時点でステップS26は肯定される。ステップS26が肯定されると、ステップS29でメモリに格納された所定の補正値ΔNがアクセル指令N1から減算されて新たなアクセル指令値N1’(=N1−ΔN)とされてステップS23に戻る。そして、補正後のアクセル指令N’によってポンプ押除け容積が演算され、ステップS26が否定されるまで同様のステップが繰り返される。ステップが例えばn回繰り返されると、エンジン回転数N’はN1−nΔNに制御される。一方、図9でエンジン回転数をN1に設定し巻下げ速度をS1より大きく設定した場合には、ステップS25が肯定されて、ステップS28で補正値ΔNが加算される。この補正値ΔNの加算も、ステップS25が否定されるまで繰り返され、例えばn回繰り返されるとエンジン回転数N’はN1+nΔNに制御される。 【0026】このように第3の実施の形態によると、ポンプ押除け容積が上限または下限になった場合、自動的にアクセル指令に補正値を加算または減算するようにしたので、定速制御範囲を広くしても手動によるエンジン回転数の調整は不要となり作業性が向上する。 【0027】なお、上記実施の形態で用いた図3,図5,図9のすべての特性は一例にすぎずこれに限定されるものではない。例えば、図5の特性F(N)は減圧特性が一定の特性としてもよい。また、第3の実施の形態の補正値ΔNは、任意に変更できるようにしてもよい。この場合、例えば補正値ΔNを大きく設定しステップを繰り返すことなく1回の補正で済ませるようにしてもよい。さらに、メモリは外付けであってもよい。さらにまた、作業開始,終了の判定は操作スイッチのオン,オフに限ったものではなく、操作レバーの操作,非操作で行うようにしてもいい。また、上記第1の実施の形態および第2の実施の形態における定速制御装置は、クレーンの定速旋回制御装置に適用したが、油圧ウインチの定速巻上/巻下制御装置に適用してもよい。さらに、上記実施の形態は、エンジン1以外の例えば電動モータ等の原動機によって油圧ポンプ3を駆動するものにも同様に適用することができる。 【0028】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、油圧ポンプの容積が飽和しても、つまり、油圧ポンプの容積が最大もしくは最小に制御されても速度設定値に達しないとき、被駆動体の速度を設定値とするように、手動操作に拘らず原動機回転数を制御する制御手段を備えたので、油圧ポンプの容積が飽和しても手動操作によって原動機回転数を微調整することなく定速制御領域を広くとることができ油圧機械の使い勝手が向上する。また、とくに請求項4の発明によれば、原動機回転数の変化に応じて油圧ポンプの容積を制御するので、クレーンの定速旋回動作を容易に行うことができ、請求項5の発明によれば、油圧ウインチのドラム上のロープ巻層の変化に応じて油圧ポンプの容積を制御するので、ウインチの定速巻上/巻下動作を容易に行うことができる。さらに、請求項6の発明によれば、原動機回転数と被駆動体の駆動速度と油圧ポンプの吐き出し容量との対応関係を予め定めておき、速度設定手段によって設定された駆動速度となるように原動機回転数と油圧ポンプの吐き出し容量が制御されるので、原動機回転数を設定する手間が省ける。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005522 【氏名又は名称】日立建機株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】永井 冬紀
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| 【公開番号】 |
特開平11−230104 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−31364 |
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