| 【発明の名称】 |
ポンプおよびそのポンプを使用した液圧制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】増子 実
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| 【要約】 |
【課題】液圧の制御部に電磁弁等の液路切り替え部を必要とせずに液圧制御が可能なポンプを提供する。
【解決手段】一対の電極群間12、13に電気粘性流体が満たされた流路11を有し、少なくとも一対の電極のみに対して、流路の一側から他側へ順次電圧を印加させることにより、電気粘性流路を流路の一側から他側へ移動させることを特徴とするポンプ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の電極群間に電気粘性流体が満たされた流路を有し、少なくとも一対の電極のみに対して、流路の一側から他側へ順次電圧を印加させることにより、電気粘性流路を流路の一側から他側へ移動させることを特徴とするポンプ。 【請求項2】 前記電極群に印加する電圧を制御することにより出力圧を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。 【請求項3】 前記電極群のうち電圧のかかった電極の数を制御することにより出力圧を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。 【請求項4】 前記電極群に印加する電圧と、前記電極群のうち電圧のかかった電極の数とを制御することにより出力圧を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のポンプ。 【請求項5】 前記請求項1〜請求項4のいづれか1項のポンプと、前記ポンプからの出力圧で作動するアクチュエータと、前記ポンプを制御する制御装置および前記ポンプへ電気粘性流体を供給するリザーバとを備えてなる液圧制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,粒子分散形電気粘性流体(ERF)を作動液に用いた全く新しい原理に基づくポンプであり、さらに詳細には、液圧の制御部に電磁弁等の液路切り替え部を必要とせずに液圧制御が可能なポンプおよびそのポンプを使用した液圧制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般車両や産業機械用動力油圧源として油圧ポンプが広く利用されており、こうした油圧ポンプは、モータ等の外部アクチュエータによりピストンや羽根車を作動して作動油を汲み上げ、油圧を高くして吐出する構成が一般的である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のようなポンプを液圧制御システムに用いた場合、高圧側と低圧側の通路を電磁弁等により切り替える必要があり、緻密な液圧制御を行うシステムでは、電磁弁やそれに伴う配管などシステム全体の構成が複雑となり、また部品点数も多く、コスト高の原因となるなど問題点があった。 【0004】そこで、本発明は、最近になって開発された電気粘性流体を用いた、全く新しい原理に基づくポンプとそのポンプを使用した液圧制御装置を提供し、上記のような問題点を解決せんとするものである。本発明に係わるポンプは、ポンプを構成する一対の電極をそれぞれ多数に分割した電極群として構成し、各対応する複数の電極群を同期させながら見かけ上で移動させ、この電極群の移動により、電極間に存在する電気粘性流体を移動させ、作動液を吸入、吐出する機構からなるため、吸入排出用の弁が不要となりポンプの構成が極めて単純化できる。また、このポンプを使用した液圧制御装置では電磁弁等の液路切り替え手段が不要となりシステム全体の構成を簡略化でき、大幅なコスト低減を可能とする。 【0005】ここで、本発明で使用する電気粘性流体について簡単に説明をしておく。従来から、流体の物性値である粘度は、温度や圧力の関数であることが知られているが、それらは通常状態では緩慢な変化しか起こせないために、油圧システム等の分野では粘度は基本的には一定のものとして取り扱われている。これに対して電気粘性流体は、分散媒(絶縁性の高い油たとえばシリコーン油等)の中に誘電体微粒子を混入させたElectro RheoligicalFluid(略してERF)と呼ばれる流体であり、この流体は図5に示す如く電気(電圧)をかけると分散媒内の誘電体微粒子が図示の如く瞬時に固まり、電圧をかけることをやめると元の流体の姿に戻るという性質をもっている。本発明に係わるポンプはこのような電気粘性流体の物性を巧みに使ってポンプ作用を行わせるようにした点に特徴がある。 【0006】 【課題を解決するための手段】このため、本発明が採用した技術解決手段は、一対の電極群間に電気粘性流体が満たされた流路を有し、少なくとも一対の電極のみに対して、流路の一側から他側へ順次電圧を印加させることにより、電気粘性流路を流路の一側から他側へ移動させることを特徴とするポンプであり、前記ポンプと、前記ポンプからの出力圧で作動するアクチュエータと、前記ポンプを制御する制御装置および前記ポンプへ電気粘性流体を供給するリザーバとを備えてなる液圧制御装置である。 【0007】 【実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、図1は本発明に係わる第1実施形態としてのポンプを構成する一対の電極群と誘電体微粒子の拡大構成図、図2は電極群の見かけ上の移動により誘電体微粒子の粒子鎖が移動する原理を説明する図、図3は図1中のA−A断面図、図4は電極群を見かけ上で移動させるための説明図である。 【0008】図において、10はポンプの本体であり、この本体10は絶縁材料で構成され、内部に電気粘性流体の流路11が形成されている。流路11の内周面を構成する本体10の対向する壁面14、15には、図1に示す1対の電極群12、13が流路に沿って所定の長さで配置されており、これらの電極群12、13には図示せぬ通電制御部が接続され、ポンプ作動時には、通電制御部からの出力により各対応する複数の電極群に対して同期させながら順次通電し、電極群を見かけ上で移動させることができるようにしてある。 【0009】図1においては一つの電極群12、13は説明上、1〜9の複数の電極から構成されており、各電極の幅Lは図1に模式的に示す電気粘性流体の誘電体微粒子の直径D(数〜数十μm)の1/2以下の幅としてあり(この理由は後述する)、また、一度に通電する電極群の幅L’は少なくとも誘電体微粒子の直径D(数〜数十μm)に略等しくしてある。また粒子の数は説明上で2個としてある。この電極群では、図に示す斜線部の電極3〜7に通電した状態から、電極2をオンにすると同時に電極7をオフにすることにより、見かけ上で、電極群を図中左方に移動させることができる。 【0010】ここで、電極群の見かけ上の移動を実現するための電極群への通電方法を図4を参照して説明すると、この例では電極群は1〜9の電極から構成されており、始めに、誘電体微粒子の径Dに相当する電極5〜9がオンされており、電極5〜9間に粒子鎖が形成されている。ある時間に電極9がオフにされると同時に電極4がオンになり、オンの電極の集まりは5〜9から4〜8へとかわり、電極群が見かけ上で移動する。このような電極群の見かけ上での移動により後述する電気粘性流体内の粒子鎖を電極一つ分移動させることができる。以下同様に電極への通電状態を制御することにより徐々に電極群を見かけ上で移動させて行くことができる。 【0011】一方、上記電極群12、13間の流路には電気粘性流体が充満されており、この電気粘性流体は先述したごとく電気(電圧)をかけると分散媒内の誘電体微粒子が図示の如く瞬時に固まり、電圧をかけることをやめると元の流体の姿に戻るという性質をもっており、この電気粘性流体が電極群の間に充満された状態で本ポンプが構成されている。 【0012】以下ポンプの作動を説明する。前述の電極群に通電することにより電気粘性流体は以下に述べる挙動をしてポンプ作用を果たす。即ち、電極群12、13に電圧を印加すると、電気粘性流体中の誘電体微粒子が図1に示す如く+−に分極しクーロン力で粒子が結合、電極間に数珠つなぎになる(図1では説明上、粒子の個数は2個としてあるが、実際には多数の粒子が鎖状に繋がる)。この時、各電極の幅Lは図1に模式的に示す電気粘性流体の誘電体微粒子の直径D(数〜数十μm)の1/2以下の幅としてある。その理由は、電極の幅Lが誘電体微粒子の直径Dの1/2以上の時には、後述するポンプ作用時に、誘電体微粒子の粒子鎖が電極群の移動に追従しないためである。 【0013】具体的には、分散媒内には多数の誘電体微粒子が分散しているため、電極の幅Lが誘電体微粒子の直径Dと略同等の長さであると、電極群を見かけ上で移動させるために、一つ一つの電極をオン/オフ切換時に新しくオンになった電極間につながる粒子はそれまでとなりの電極間にあったものでなく、もともとその電極間に存在した誘電体微粒子であり後述するような粒子鎖の移動が起こらない。このことから、誘電体微粒子の粒子鎖が電極のオン/オフに追従して移動するためには各電極の幅Lは図1に模式的に示す電気粘性流体の誘電体微粒子の直径Dよりも十分に小さな値であることが必要である。 【0014】今、電気粘性流体の粒子径とほぼ同じ長さL’分に相当する電極3〜7に電圧を印加したとすると、電圧のかかった電極間に粒子が鎖状に結合する。このような電極群を図2に示す如く複数配置することにより、複数の粒子鎖状が形成される。この状態で、図1に示す電極2をオンにすると同時に電極7をオフにすることにより、見かけ上で、粒子鎖を形成している電極群が図中左方に移動したことになり、粒子鎖も電極一つ分左方へ移動する。この電極群の見かけ上での移動を電圧の印加を制御しながら行うことによりさらに粒子鎖は左方に移動し、誘電体微粒子の分散性が良好であれば、誘電体微粒子と一体に分散媒も一緒に左方に移動し、ポンプの作用を実現できる。以下同様に電極への通電を順次切換て行くことにより粒子鎖を移動させることができる。 【0015】ここで、上記ポンプの発生圧は、通路方向に並ぶ粒子鎖の数に影響される。そこで、発生圧に応じた数の電極群を流路内に設け、複数の電極群を同期させながら見かけ上で移動させる。これにより粒子鎖は一方向に送られ出口側の圧力が増す。出入り口の圧力差は電極間に結合した粒子鎖が担う。このポンプで圧力制御する場合には、電極間の電圧が高い程(たとえば電極の間隔が1mmの場合2〜3Kv)粒子間結合力が高くなるため、入力する電圧レベルでも圧力制御が可能である。また、粒子鎖の数が多いほど高い圧力差を受けることができるため、通電する電極群の数を変化させることにより圧力制御する事も可能である。 【0016】以上のように本ポンプは、一般的なポンプと違い摺動部を持たず、電気信号の切換のみで作動し出力圧を制御できる点が大きな特徴となっている。そのため、振動がなく、耐久性に優れ、外部駆動源(モーター等)を必要としないシンプルな構成のポンプとなる。また圧力制御を考えた場合、一般的な制御弁を備えた液圧制御装置に比べ電極群の数、または電圧レベルのみで制御可能なためその構成は極めて単純化される。 【0017】つづいて、上記ポンプを利用した液圧制御装置について図6を参照して説明すると、図6は本発明に係わる液圧制御装置の概念構成図である。図において、21は上記で説明した構成からなるポンプ、22はポンプを制御する電子制御装置、23はポンプからの出力圧を受けて作動するアクチュエータ、24は前記ポンプへ作動液としての電気粘性流体を供給するリザーバである。この液圧制御装置では、ポンプを構成する電極群に対して、電子制御装置からの信号で印加する電圧や、前記電極群のうち電圧のかかった電極の数を制御することにより、ポンプからの出力圧を制御するようにしてあり、この出力圧によってアクチュエータの作動状態を変えることができるようになっている。 【0018】上記のような液圧制御装置としては車両用ブレーキ装置等が好適であり、たとえばブレーキ装置の場合には、図示せぬセンサ(ブレーキ踏力スイッチ、車速センサ、圧力検出手段等)からの信号により、電子制御装置によってポンプを作動し、ブレーキホイールシリンダ内の液圧を増圧、減圧、保持することができ、通常のブレーキ作動だけでなく、アンチロック制御、トラクション制御、自動ブレーキなど種々の対応でブレーキ力を働かせることができる。 【0019】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、つぎのような優れた効果を得ることができる。 (1)電極群に印加する電圧を変えるだけで、吐出圧を簡単に制御することができる。 (2)電極群の内、印加する電極数を変えることにより、吐出圧を簡単に制御することができる。 (3)本ポンプは振動がないため耐久性の優れたポンプを構成できる。 (4)本ポンプを使用することにより、流量制御弁のような複雑で精密な機械的可動部を必要とせず、液圧システムそのものの構造を簡略化、低コスト化できる。 (5)また流路切り替え用の流量制御弁が不要となるため、その部分での流体の外部漏れの心配がなくなる。 (6)外部駆動電源が不要であるため構成が単純化される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000145541 【氏名又は名称】株式会社曙ブレーキ中央技術研究所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)6月24日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】長瀬 成城
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| 【公開番号】 |
特開平11−13677 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月19日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−167107 |
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