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【発明の名称】 スクロール圧縮機
【発明者】 【氏名】荒木 誠

【要約】 【課題】本発明はスクロール圧縮機に係り、詳しくは過圧縮及び液圧縮防止装置に関し、部品点数を削減したスクロール圧縮機を提供する。

【解決手段】固定スクロール4の中央に吐出口15と、同吐出口15の近傍に圧縮室12と通常吐出圧力となる吐出室19とを連通する連通孔4bを形成し、同連通孔4bに前記圧縮室12と前記吐出室19との圧力差により開閉する弁体としてリード弁20cを設けるため、前記固定スクロール4の鏡板4aと背面の間に、前記吐出口15と前記連通孔4bと略直角に繋がり、外周部に開口部4c1を有する空洞部4cを形成し、同空洞部4c内に、中央に前記吐出口15に対応する透孔20eを備え、前記連通孔4bに対応する位置に前記弁体のリード弁20cを備えたバネ部材20を設けてなるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 密封容器内に上下に圧縮部と電動機を配置し、前記圧縮部を、渦捲状のラップを有する固定スクロールと、同固定スクロ−ルと互いに噛み合わせて渦捲状のラップを有し複数の圧縮室を形成する旋回スクロ−ルと、同旋回スクロ−ルの旋回駆動軸を支承し上端にクランク軸を形成して旋回運動するシャフトと、前記クランク軸を軸支する主軸受とで構成され、前記固定スクロールの中央に吐出口と、同吐出口の近傍に前記圧縮室と通常吐出圧力となる吐出室とを連通する連通孔を形成し、同連通孔に前記圧縮室と吐出室との圧力差により開閉する弁体を設けてなるスクロール圧縮機において、前記固定スクロールの鏡板と背面の間に、前記吐出口と前記連通孔と略直角に繋がり、外周部に開口部を有する空洞部を形成し、同空洞部内に、中央に前記吐出口に対応する透孔を備え、前記連通孔に対応する位置に弁体を備えたバネ部材を設けてなることを特徴とするスクロール圧縮機。
【請求項2】 前記弁体が、リード弁であることを特徴とする請求項1のスクロール圧縮機。
【請求項3】 前記バネ部材が、矩形板状の支持部と、同支持部の長手方向両側面の所定位置から突出するリード弁と、両端部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなることを特徴とする請求項1、または請求項2記載のスクロール圧縮機。
【請求項4】 前記バネ部材が、矩形板状の基板部と、同基板部の所定位置に切起しにより形成したリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなることを特徴とする請求項1、または請求項2記載のスクロール圧縮機。
【請求項5】 前記バネ部材が、矩形板状の基板部と、同基板部の所定位置に切起しにより中心から放射状に形成したリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなることを特徴とする請求項1、または請求項2記載のスクロール圧縮機。
【請求項6】 前記バネ部材が、円板状の基板部と、同基板部外周の所定位置から放射状に突出するリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなることを特徴とする請求項1、または請求項2記載のスクロール圧縮機。
【請求項7】 前記リード弁の長さを、同リード弁を装着する各々の連通孔の動作圧力差に対応した長さにしてなることを特徴とする請求項3乃至請求項6記載のスクロール圧縮機。
【請求項8】 前記係止片を、前記空洞部の高さに対応し折曲して形成してなることを特徴とする請求項3乃至請求項7記載のスクロール圧縮機。
【請求項9】 前記空洞部の鏡板側に沿って切欠きを設け、同切欠きに前記係止片を係止してなることを特徴とする請求項3乃至請求項7記載のスクロール圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクロール圧縮機に係り、詳しく過圧縮及び液圧縮防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来例のスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図であり、図7のYY’に対応し、図7は、従来例によるスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図(A)と、固定スクロールと過圧縮防止装置の分解斜視図(B)を示す。従来のスクロール圧縮機について、図6及び図7に基づいて説明する。
【0003】スクロール圧縮機には、密封容器1内に圧縮部2と電動機3が内蔵されている。圧縮部2は固定スクロール4、旋回スクロール5、自転防止装置、旋回駆動軸7、クランク軸8、主軸受9、メタル軸受10及びシャフト11により主に構成されている。
【0004】この構成において、電動機3の回転によってシャフト11が回転すると、旋回スクロール5は自転防止装置によって自転することなく固定スクロール4に対して旋回運動を行い、固定スクロール4と旋回スクロール5の噛み合いによって形成される圧縮室12は順次外周部から中心部へ移動し、吸気管13から吸気室14に取り込まれた冷媒ガスの容積が減少して圧縮作用が生ずる。冷媒の圧縮ガスは固定スクロール4の中心部に設けられた吐出口15から連通路16を通じて電動機室17に入り、吐出管18より外部へ導かれる。
【0005】ところで、スクロール圧縮機は、吸入容積と圧縮完了状態の比が一定となる定容積形の圧縮機であるため、設定圧力比より小さな圧力比で運転すると、前記圧縮室12の圧力が吐出圧力よりも高くなる過圧縮の現象を生じ、圧縮機に余分な動力を必要とする。
【0006】この過圧縮を防止するためには、前記圧縮室12の圧力が吐出圧力よりも高くなったときに、同圧縮室12のガスを吐出側に放出すれば良い。
【0007】また、液の戻りによる液圧縮が起こる場合もある。このため、過圧縮防止装置として、前記圧縮室12と吐出室19の間に連通孔4bを形成するバイパス方式が採用されている。
【0008】しかしながら、前記バイパス方式は、前記固定スクロール4の外部に、前記バネ部材20、止め板21、ネジ22など部品点数が多くなり、信頼性の低下及びコストアップを生じるおそれがある問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題点を解決するために、本発明は、過圧縮及び液圧縮を防止するとともに部品点数を削減し信頼性を向上し、材料費を削減したスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、密封容器内に上下に圧縮部と電動機を配置し、前記圧縮部を、渦捲状のラップを有する固定スクロールと、同固定スクロ−ルと互いに噛み合わせて渦捲状のラップを有し複数の圧縮室を形成する旋回スクロ−ルと、同旋回スクロ−ルの旋回駆動軸を支承し上端にクランク軸を形成して旋回運動するシャフトと、前記クランク軸を軸支する主軸受とで構成され、前記固定スクロールの中央に吐出口と、同吐出口の近傍に前記圧縮室と通常吐出圧力となる吐出室とを連通する連通孔を形成し、同連通孔に前記圧縮室と吐出室との圧力差により開閉する弁体を設けてなるスクロール圧縮機において、前記固定スクロールの鏡板と背面の間に、前記吐出口と前記連通孔と略直角に繋がり、外周部に開口部を有する空洞部を形成し、同空洞部内に、中央に前記吐出口に対応する透孔を備え、前記連通孔に対応する位置に弁体を備えたバネ部材を設けてなるようにする。
【0011】そして、前記弁体が、リード弁であるようにする。また、前記バネ部材が、矩形板状の支持部と、同支持部の長手方向両側面の所定位置から突出するリード弁と、両端部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなるようにする。
【0012】または、前記バネ部材が、矩形板状の基板部と、同基板部の所定位置に切起しにより形成したリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなるようにする。
【0013】あるいは、前記バネ部材が、矩形板状の基板部と、同基板部の所定位置に切起しにより中心から放射状に形成したリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなるようにする。
【0014】もしくは、前記バネ部材が、円板状の基板部と、同基板部外周の所定位置から放射状に突出するリード弁と、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片とからなるようにする。
【0015】さらに、前記リード弁の長さを、同リード弁を装着する各々の連通孔の動作圧力差に対応した長さにしてなるようにする。一方、前記係止片を、前記空洞部の高さに対応し折曲して形成してなるようにする。または、前記空洞部の鏡板側に沿って切欠きを設け、同切欠きに前記係止片を係止してなるようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】密封容器内に上下に圧縮部と電動機を配置し、前記圧縮部を、渦捲状のラップを有する固定スクロールと、同固定スクロ−ルと互いに噛み合わせて渦捲状のラップを有し複数の圧縮室を形成する旋回スクロ−ルと、同旋回スクロ−ルの旋回駆動軸を支承し上端にクランク軸を形成して旋回運動するシャフトと、前記クランク軸を軸支する主軸受とで構成され、前記固定スクロールの中央に吐出口と、同吐出口の近傍に前記圧縮室と通常吐出圧力となる吐出室とを連通する連通孔を形成し、同連通孔に前記圧縮室と吐出室との圧力差により開閉する弁体を設けてなるスクロール圧縮機において、前記固定スクロールの鏡板と背面の間に、前記吐出口と前記連通孔と略直角に繋がり、外周部に開口部を有する空洞部を形成し、同空洞部内に、中央に前記吐出口に対応する透孔を備え、前記連通孔に対応する位置に弁体を備えたバネ部材を設けてなるようにする。そして、過圧縮及び液圧縮を防止するとともに部品点数を削減することができる。
【0017】
【実施例】以下本発明の一実施例について説明する。本実施例は固定スクロールの過圧縮防止装置の他は図6に示した従来例と同じであるので、全体構成の説明は省略する。なお、構成品の番号は同じものについては同一の番号を使用する。
【0018】図1は、本発明のスクロール圧縮機の構成を示す縦断面図であり、図2のXX’に対応し、図2は、本発明の第一の実施例によるスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図(A)と、固定スクロールと過圧縮防止装置の分解斜視図(B)を示す。密封容器1内に上下に圧縮部2と電動機3を配置し、前記圧縮部を、渦捲状のラップを有する固定スクロール4と、同固定スクロ−ル4と互いに噛み合わせて渦捲状のラップを有し複数の圧縮室12を形成する旋回スクロ−ル5と、同旋回スクロ−ルの旋回駆動軸7を支承し上端にクランク軸8を形成して旋回運動するシャフト11と、前記クランク軸8を軸支する主軸受9とによりスクロール圧縮機を構成する。
【0019】ここで、過圧縮防止装置として、前記固定スクロール4の中央に吐出口15と、同吐出口15の近傍に前記圧縮室12と通常吐出圧力となる吐出室19とを連通する連通孔4bを形成し、同連通孔4bに前記圧縮室12と吐出室19との圧力差により開閉する弁体としてリード弁20cを設けている。
【0020】このために、前記固定スクロール4の鏡板4aと背面の間に、前記吐出口15と前記連通孔4bと略直角に繋がり、外周部に開口部4c1を有する空洞部4cを形成する。そして、同空洞部4c内に、中央に前記吐出口15に対応する透孔20eを備え、前記連通孔4bに対応する位置に前記弁体のリード弁20cを備えたバネ部材20を設けてなるようにする。
【0021】さらに、前記バネ部材20が、矩形板状の支持部20aと、同支持部20aの長手方向両側面の所定位置から突出するリード弁20cと、両端部に形成され前記空洞部4cに対応する係止片20dとからなるようにする。一方、前記係止片20dを、前記空洞部4cの高さに対応し折曲して形成してなるようにする。
【0022】次いで、本発明の作用、効果について説明する。前記バネ部材20は、リード弁20cの位置を前記連通孔4bの位置に一致させ前記空洞部4cに設けてなることにより、前記圧縮室12の圧力が吐出圧力よりも高くなったときに、同圧縮室12のガスを吐出側に放出し、過圧縮を防止する。また、液の戻りによる液圧縮も同様に防止できる。さらに、本発明によれば、前記固定スクロールに前記空洞部4cを形成すると、前記バネ部材20のみが必要な部品となり、組立工数が削減できる。また、前記バネ部材20は、プレス金型などにより容易に製造できる。
【0023】図3は、本発明の第二の実施例によるスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図(A)と、固定スクロールと過圧縮防止装置の分解斜視図(B)を示す。この場合、前記バネ部材20が、矩形板状の基板部20bと、同基板部20bの所定位置に切起しにより形成したリード弁20cと、両側部に形成され前記空洞部空洞部4cに対応する係止片20dとからなるようにする。なお、作用、効果は上述の第一の実施例と同じである。
【0024】図4は、本発明の第三の実施例によるスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図(A)と、固定スクロールと過圧縮防止装置の分解斜視図(B)を示す。この場合、前記バネ部材20が、矩形板状の基板部20bと、同基板部20bの所定位置に切起しにより中心から放射状に形成したリード弁20cと、両側部に形成され前記空洞部4cに対応する係止片20dとからなるようにする。さらに、前記リード弁20cの長さを、同リード弁20cを装着する各々の連通孔4bの動作圧力差に対応した長さにしてなるようにする。また、前記空洞部4cの鏡板4a側に沿って切欠き4dを設け、同切欠き4dに前記係止片20dを係止してなるようにする。なお、作用、効果は上述の第一の実施例と同じであるが、前記リード弁20cの長さにより、動作圧力差に対応した最適値を選ぶことができる。また、前記バネ部材20を単純な板状に形成することができる。
【0025】図5は、本発明の第四の実施例によるスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図(A)と、固定スクロールと過圧縮防止装置の分解斜視図(B)を示す。この場合、前記バネ部材20が、円板状の基板部20bと、同基板部20b外周の所定位置から放射状に突出するリード弁20cと、両側部に形成され前記空洞部に対応する係止片20dとからなるようにする。なお、作用、効果は上述の第三の実施例と同じである。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、密封容器内に上下に圧縮部と電動機を配置し、前記圧縮部を、渦捲状のラップを有する固定スクロールと、同固定スクロ−ルと互いに噛み合わせて渦捲状のラップを有し複数の圧縮室を形成する旋回スクロ−ルと、同旋回スクロ−ルの旋回駆動軸を支承し上端にクランク軸を形成して旋回運動するシャフトと、前記クランク軸を軸支する主軸受とで構成され、前記固定スクロールの中央に吐出口と、同吐出口の近傍に前記圧縮室と通常吐出圧力となる吐出室とを連通する連通孔を形成し、同連通孔に前記圧縮室と吐出室との圧力差により開閉する弁体を設けてなるスクロール圧縮機において、前記固定スクロールの鏡板と背面の間に、前記吐出口と前記連通孔と略直角に繋がり、外周部に開口部を有する空洞部を形成し、同空洞部内に、中央に前記吐出口に対応する透孔を備え、前記連通孔に対応する位置に弁体を備えたバネ部材を設けてなるようにした。この結果、過圧縮及び液圧縮を防止するとともに部品点数を削減し信頼性を向上し、材料費を削減したスクロール圧縮機を提供するすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−13676
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−163812