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【発明の名称】 ロータリ圧縮機
【発明者】 【氏名】斉藤 健一

【氏名】古庄 和宏

【要約】 【課題】冷媒回路中の中間圧ガス冷媒がインジェクションガスとして導入されるロータリ圧縮機に対し、圧縮室から気液分離器へ向かう冷媒の逆流や潤滑油の排出を回避しながらもインジェクション孔を大径に設定可能とする。

【解決手段】冷媒回路中の中間圧ガス冷媒がインジェクション通路(10a,23b)から圧縮室(24)内に供給される高圧ドーム型のロータリ圧縮機(1)に対し、インジェクション通路(23b)がロータ(21)内周面よりも内側に位置する状況の際、このインジェクション通路(23b)の下流端開口を閉塞するシール板部(21b)をロータ(21)の内周面に一体形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシング(15)内が高圧雰囲気に設定されると共に該ケーシング(15)内に圧縮機構(12)が収容され、該圧縮機構(12)は、シリンダ(20)内に円筒状のロータ(21)が収容されていると共にシリンダ(20)の端面にヘッド部(22,23)が設けられてシリンダ(20)の内周面とロータ(21)の外周面との間に圧縮室(24)が形成され、上記ロータ(21)が、シリンダ(20)に対して偏心し、ロータ(21)外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触しながら回転することにより圧縮室(24)を収縮させて該圧縮室(24)内の冷媒を圧縮するように構成されている一方、この圧縮した冷媒が循環する冷媒回路(8)の中間圧ガス冷媒がインジェクション通路(10a,23b)を経て圧縮室(24)に供給されるロータリ圧縮機において、上記インジェクション通路(10a,23b)の下流端はヘッド部(22),(23)に開口されており、該開口は、ロータ(21)の回転角度が所定の範囲内にあるときには該ロータ(21)の外周面よりも外側に位置する一方、ロータ(21)の回転角度が他の所定の範囲内にあるときには該ロータ(21)の内周面よりも内周側に位置する箇所に形成されていて、ロータ(21)には、ロータ(21)の回転角度が上記他の所定の範囲内にあるときに、インジェクション通路(10a,23b)の下流端のロータ内部に臨む部分を閉塞可能とする閉塞部(21b)が設けられていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項2】 請求項1記載のロータリ圧縮機において、ロータ(21)は、外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触する円筒状のロータ本体部(21a)と、該ロータ本体部(21a)の内周面に設けられた閉塞部(21b)とを備え、これら両者が一体形成されて成っていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項3】 請求項1記載のロータリ圧縮機において、ロータ(21)は、外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触する円筒状のロータ本体部(21a)と、該ロータ本体部(21a)の内周面に設けられた閉塞部(21b)とを備え、これら両者が個別に形成され互いに一体的に組み付けられて成っていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項4】 請求項2または3記載のロータリ圧縮機において、シリンダ(20)には、圧縮室(24)内に出没自在なブレード(25)が設けられ、該ブレード(25)がロータ(21)の外周面に当接して圧縮室(24)を高圧室(24a)と低圧室(24b)とに仕切りながらロータ(21)が回転して冷媒を圧縮するようになっており、閉塞部(21b)はロータ本体部(21a)の内周面の全周に亘って設けられていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項5】 請求項2または3記載のロータリ圧縮機において、ロータ(21)にはブレード(25)が一体形成されており、該ブレード(25)は、シリンダ(20)に形成された支持孔(32)に揺動自在に且つ進退自在に揺動ブッシュ(31,31)を介して支持され、ロータ(21)がシリンダ(20)内を自転することなく公転して冷媒を圧縮するようになっており、閉塞部(21b)はロータ(21)に対するインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の相対的な移動軌跡上にのみ形成されていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項6】 請求項1記載のロータリ圧縮機において、圧縮機構(12)は、ミドルプレート(30)を挟んで並設された一対の圧縮手段(12A,12B)を備えて成り、一方の圧縮手段(12A)はミドルプレート(30)と第1ヘッド(22)との間に圧縮室(24A)が形成され、他方の圧縮手段(12B)はミドルプレート(30)と第2ヘッド(23)との間に圧縮室(24B)が形成されており、インジェクション通路(10a,23b)は、第1ヘッド(22)を貫通して一方の圧縮手段(12A)の圧縮室(24A)へガス冷媒を供給する第1のインジェクション通路(10a-A,22b)と、第2ヘッド(23)を貫通して他方の圧縮手段(12B)の圧縮室(24B)へガス冷媒を供給する第2のインジェクション通路(10a-B,23b)とを備え、閉塞部(21b-A,21b-B)は、一方の圧縮手段(12A)のロータ(21A)における第1ヘッド(22)側の端面部分及び他方の圧縮手段(12B)のロータ(21B)における第2ヘッド(23)側の端面部分のそれぞれに設けられていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項7】 請求項1記載のロータリ圧縮機において、圧縮機構(12)は、ミドルプレート(30)を挟んで並設された一対の圧縮手段(12A,12B)を備えて成り、一方の圧縮手段(12A)はミドルプレート(30)と第1ヘッド(22)との間に圧縮室(24A)が形成され、他方の圧縮手段(12B)はミドルプレート(30)と第2ヘッド(23)との間に圧縮室(24B)が形成されており、インジェクション通路(10a,30a)は、ミドルプレート(30)を貫通し、各圧縮手段(12A,12B)の圧縮室(24A,24B)へのガス冷媒の供給が可能となっており、閉塞部(21b-A,21b-B)は、各圧縮手段(12A,12B)のロータ(21A,21B)におけるミドルプレート(30)側の端面部分に設けられていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒循環回路中の中間圧ガス冷媒をインジェクションガスとして圧縮機に導入するようにした冷凍装置に適用されるロータリ圧縮機に係り、特に、インジェクション量を増加させるための構成の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、冷凍回路の凝縮器能力向上などを目的として、中間圧のガス冷媒を圧縮機にインジェクションする冷凍装置として、例えば、特開平4−177062号公報に開示されているものが知られている。具体的には、圧縮機、室内熱交換器、第1減圧弁、気液分離器、第2減圧弁、室外熱交換器が冷媒配管によって接続されて成る冷媒回路を備えている。また、気液分離器と圧縮機とはインジェクション管によって接続されている。このインジェクション管にはインジェクションバルブが設けられており、インジェクション要求に応じて開放されるようになっている。
【0003】例えば暖房運時には、圧縮機から吐出した高圧冷媒が、室内熱交換器で凝縮し、第1減圧弁で中間圧まで減圧する。この中間圧冷媒は気液分離器でガス冷媒と液冷媒とに分離され、液冷媒は第2減圧弁で減圧した後、室外熱交換器で蒸発して圧縮機に戻る。一方、インジェクションバルブが開放されている状態では、気液分離器内のガス冷媒は該気液分離器の内圧(中間圧)と圧縮機の圧縮室内圧(圧縮動作初期時の低圧)との差圧によってインジェクション管を経て圧縮機の圧縮室に吸入される。これにより、室内熱交換器を流れる冷媒量が増大し暖房能力の向上が図れる。一方、冷房運転時にあっては室内熱交換器で蒸発する冷媒の熱交換量が増大し冷房能力の向上が図れる。
【0004】また、この種の装置に適用される圧縮機の一例としてロータリピストン型のものがある。この圧縮機は、図13(圧縮機構部分のみを示す図)の如く、シリンダ(a)内にリング状のロータ(b)が偏心して収容され、ロータ(b)の外周面の一部がシリンダ(a)の内周面に略接触している。これにより、ロータ(b)の外周面とシリンダ(a)の内周面との間に圧縮室(c)が形成される。また、シリンダ(a)には圧縮室(c)に対して出没自在で且つ先端がロータ(b)の外周面に押圧されるブレード(d)が設けられている。ロータ(b)の内部には、クランク軸(e)の偏心カム(f)が挿入されている。これにより、クランク軸(e)の回転に伴ってロータ(b)がシリンダ(a)内部で回転し、圧縮室(c)を収縮して該圧縮室(c)内の冷媒を圧縮するようになっている。
【0005】また、圧縮室(c)の底面を構成しているリヤヘッド(g)にはインジェクション通路の下流端(以下、インジェクション孔(h)という)が開口している。このインジェクション孔(h)の位置は、圧縮室(c)内の圧力が低い(図13の如くロータ(b)の回転角度が比較的小さい)状態では圧縮室(c)内に臨む一方、圧縮室(c)内の圧力が高い(図14の如くロータ(b)の回転角度が比較的大きい)状態では回転するロータ(b)の外周面よりも内周側に位置して圧縮室(c)内に臨まないように設定されている。これにより、圧縮室(c)内から気液分離器へ向かう冷媒の逆流や潤滑油の排出が抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したロータリピストン型圧縮機にあっては、その能力などに応じ設計段階において、シリンダ(a)やロータ(b)の形状、シリンダ(a)に対するロータ(b)の偏心量、ロータ(b)の半径方向の幅寸法(図14における寸法t)が設定される。そして、これらの設計条件によりインジェクション孔(h)の大きさは制限されるものであった。つまり、このインジェクション孔(h)の径を大きく設定することは、インジェクション量の増大が図れて装置全体としての能力の向上を図ることができものの、ロータ(b)の回転角度が所定角度に達した際にインジェクション孔(h)がロータ(b)外周面よりも内周側に位置するように該インジェクション孔(h)の開口位置を設定しながら該インジェクション孔(f)の径を大きくしようとすると、ピストン(b)の幅寸法(t)が十分に得られていない設計条件の場合には、図14に示すように、ロータ(b)の回転角度位置によっては、インジェクション孔(h)がロータ(b)の内周面よりも内方に位置してしまうことがある。つまり、インジェクション孔(h)がロータ(a)の内部空間に臨むことになる。一般にこの種の圧縮機はケーシング内全体が高圧状態となるいわゆる高圧ドーム型に構成されており、この場合、ロータ(b)の内部空間にも高圧が導入されている。即ち、図14に示す状態ではインジェクション孔(h)が高圧空間に臨むことになるため、上述した気液分離器へ向かう冷媒の逆流や潤滑油の排出が懸念される状態になる。
【0007】この懸念があるため、従来では、インジェクション孔(h)を小径に設定しておかねばならず、十分なインジェクション量を確保するには限界があった。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷媒回路中の中間圧ガス冷媒がインジェクションガスとして導入されるロータリ圧縮機に対し、圧縮室から気液分離器へ向かう冷媒の逆流や潤滑油の排出を回避しながらもインジェクション孔を大径に設定可能とすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ロータの内周面に、所定のロータ回転角度位置において、インジェクション孔を閉塞する閉塞部を一体的に設けることで、インジェクション孔がロータ内部の高圧空間に臨むことを防止するようにした。
【0010】具体的に、請求項1記載の発明は、図3に示すように、ケーシング(15)内が高圧雰囲気に設定されると共に該ケーシング(15)内に圧縮機構(12)が収容された圧縮機であって、圧縮機構(12)の構成として、シリンダ(20)内に円筒状のロータ(21)が収容されていると共にシリンダ(20)の端面にヘッド部(22,23)が設けられてシリンダ(20)の内周面とロータ(21)の外周面との間に圧縮室(24)が形成され、上記ロータ(21)が、シリンダ(20)に対して偏心し、ロータ(21)外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触しながら回転することにより圧縮室(24)を収縮させて該圧縮室(24)内の冷媒を圧縮するようにしている。また、この圧縮した冷媒が循環する冷媒回路(8)の中間圧ガス冷媒がインジェクション通路(10a,23b)を経て圧縮室(24)に供給されるようになっているロータリ圧縮機を前提としている。上記インジェクション通路(10a,23b)の下流端をヘッド部(22),(23)に開口させる。この開口を、ロータ(21)の回転角度が所定の範囲内にあるときには該ロータ(21)の外周面よりも外側に位置する一方、ロータ(21)の回転角度が他の所定の範囲内にあるときには該ロータ(21)の内周面よりも内周側に位置する箇所に形成する。更に、ロータ(21)に、ロータ(21)の回転角度が上記他の所定の範囲内にあるときに、インジェクション通路(10a,23b)の下流端のロータ内部に臨む部分を閉塞可能とする閉塞部(21b)を設けた構成としている。
【0011】この特定事項により、冷媒回路(8)の中間圧ガス冷媒を圧縮室(24)へ供給する動作として、ロータ(21)の回転角度が所定の範囲内にあってインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口がロータ(21)の外周面よりも外側に位置している場合には、中間圧ガス冷媒がインジェクション通路(10a,23b)を経て下流端開口から圧縮室(24)に導入される。一方、ロータ(21)の回転角度が他の所定の範囲内にあってインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口がロータ(21)の内周面よりも内周側に位置している場合には、閉塞部(21b)が下流端開口を閉塞し該開口がロータ(21)内部の高圧空間に臨むことを防止する。
【0012】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載のロータリ圧縮機において、図5に示すように、ロータ(21)に、外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触する円筒状のロータ本体部(21a)と、該ロータ本体部(21a)の内周面に設けられた閉塞部(21b)とを備えさせ、これら両者を一体形成している。
【0013】請求項3記載の発明も、ロータ(21)に、外周面の一部がシリンダ(20)内周面に略接触する円筒状のロータ本体部(21a)と、該ロータ本体部(21a)の内周面に設けられた閉塞部(21b)とを備えさせている。また、図7に示すように、これら両者を個別に形成して互いに一体的に組み付けている。
【0014】これら特定事項により、インジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の閉塞機能を有するロータ(21)の構成を具体化できる。特に、請求項3記載の発明では、ロータ本体部(21a)と閉塞部(21b)とを一体形成する場合に比べて各部の加工を容易に行うことができる。
【0015】請求項4記載の発明は、ロータとブレードとが分離したロータリピストン型の圧縮機に本発明を適用したものである。つまり、上記請求項2または3記載のロータリ圧縮機において、図3に示すように、シリンダ(20)に、圧縮室(24)内に出没自在なブレード(25)を設け、該ブレード(25)をロータ(21)の外周面に当接させて圧縮室(24)を高圧室(24a)と低圧室(24b)とに仕切る。この状態でロータ(21)が回転して冷媒を圧縮するようにしている。また、閉塞部(21b)をロータ本体部(21a)の内周面の全周に亘って設けている。
【0016】この特定事項により、この種の圧縮機ではロータ(21)が自転するが、閉塞部(21b)はロータ本体部(21a)の内周面の全周に亘って設けられているので、如何なる自転位置にあっても閉塞部(21b)によるインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の閉塞が可能である。
【0017】請求項5記載の発明は、ロータとブレードとが一体化されたロータリピストン型の圧縮機(スイング圧縮機とも呼ばれる)に本発明を適用したものである。つまり、上記請求項2または3記載のロータリ圧縮機において、図11に示すように、ロータ(21)にブレード(25)を一体形成する。該ブレード(25)を、シリンダ(20)に形成された支持孔(32)に揺動自在に且つ進退自在に揺動ブッシュ(31,31)を介して支持させ、ロータ(21)がシリンダ(20)内を自転することなく公転して冷媒を圧縮するようにしている。また、閉塞部(21b)をロータ(21)に対するインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の相対的な移動軌跡上にのみ形成している。
【0018】この特定事項により、特に、この種の圧縮機はロータ(21)が自転することはないので、該ロータ(21)とインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口との相対的な位置関係が変化することはない。つまり、下流端開口はロータ(21)に対して相対的に一定の範囲内で円形軌跡を画くように移動する。このため、この部分のみに閉塞部(21b)を設けることでインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の閉塞が可能であり、全周に亘って閉塞部を設ける場合に比べてロータ(21)全体を軽量化できる。
【0019】請求項6記載の発明は、いわゆるツインロータコンプレッサに本発明を適用した場合である。つまり、上記請求項1記載のロータリ圧縮機において、図9に示すように、圧縮機構(12)を、ミドルプレート(30)を挟んで並設された一対の圧縮手段(12A,12B)を備えて成す。一方の圧縮手段(12A)ではミドルプレート(30)と第1ヘッド(22)との間に圧縮室(24A)を形成し、他方の圧縮手段(12B)ではミドルプレート(30)と第2ヘッド(23)との間に圧縮室(24B)を形成する。インジェクション通路(10a,23b)として、第1ヘッド(22)を貫通して一方の圧縮手段(12A)の圧縮室(24A)へガス冷媒を供給する第1のインジェクション通路(10a-A,22b)と、第2ヘッド(23)を貫通して他方の圧縮手段(12B)の圧縮室(24B)へガス冷媒を供給する第2のインジェクション通路(10a-B,23b)とを備えさせる。更に、閉塞部(21b-A,21b-B)を、一方の圧縮手段(12A)のロータ(21A)における第1ヘッド(22)側の端面部分及び他方の圧縮手段(12B)のロータ(21B)における第2ヘッド(23)側の端面部分のそれぞれに設けている。
【0020】請求項7記載の発明も、ツインロータコンプレッサに本発明を適用した場合である。つまり、請求項1記載のロータリ圧縮機において、図10に示すように、圧縮機構(12)を、ミドルプレート(30)を挟んで並設された一対の圧縮手段(12A,12B)を備えて成し、一方の圧縮手段(12A)ではミドルプレート(30)と第1ヘッド(22)との間に圧縮室(24A)を形成し、他方の圧縮手段(12B)ではミドルプレート(30)と第2ヘッド(23)との間に圧縮室(24B)を形成する。また、インジェクション通路(10a,30a)をミドルプレート(30)に貫通させ、各圧縮手段(12A,12B)の圧縮室(24A,24B)へのガス冷媒の供給を可能とする。更に、閉塞部(21b-A,21b-B)を、各圧縮手段(12A,12B)のロータ(21A,21B)におけるミドルプレート(30)側の端面部分に設けた構成としている。
【0021】これら特定事項により、各圧縮室(24A,24B)に中間圧ガス冷媒を供給可能としながら、各圧縮手段(12A,12B)それぞれにおいてロータ(21A,21B)の内部からインジェクション通路への冷媒漏れを防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、本発明に係る圧縮機が備えられた冷凍装置を空気調和装置として適用した場合について説明する。
【0023】(第1実施形態)先ず、第1の実施形態について説明する。
【0024】−冷媒回路の説明−図1に示すように、本形態に係る空気調和装置の主冷媒回路(8)は、ヒートポンプ式のものであって、圧縮機(1)、四路切換弁(2)、室外熱交換器(3)、第1電動弁(EV-1)、気液分離器(4)、第2電動弁(EV-2)、室内熱交換器(5)、アキュムレータ(6)が冷媒配管(7)によって接続されて成っている。
【0025】四路切換弁(2)は、圧縮機(1)の吐出側及び吸入側に対する各熱交換器(3,5)の接続状態が切り換え可能となっている。つまり、四路切換弁(2)が図中実線側に切り換えられた状態では、圧縮機(1)の吐出側が室外熱交換器(3)に、吸入側が室内熱交換器(5)にそれぞれ接続されて室内の冷房運転が可能となる。一方、四路切換弁(2)が図中破線側に切り換えられた状態では、圧縮機(1)の吐出側が室内熱交換器(5)に、吸入側が室外熱交換器(3)にそれぞれ接続されて室内の暖房運転が可能となる構成である。
【0026】また、気液分離器(4)の上端と圧縮機(1)との間はインジェクション管(10)によって接続されている。また、このインジェクション管(10)には開閉制御されるインジェクションバルブ(11)が設けられている。このインジェクションバルブ(11)は、気液分離器(4)内のガス冷媒を圧縮機(1)に導入(インジェクション)する際に開放されるものである。
【0027】これにより、冷房運転時にインジェクションバルブ(11)が開放されてガスインジェクション動作が行われると、ガス冷媒が室内熱交換器(5)に導入してしまうことが回避され、該室内熱交換器(5)で蒸発する冷媒の熱交換量を増大できて冷房能力の向上が図れる。一方、暖房運転時にガスインジェクション動作が行われると、圧縮機の容量(運転周波数等)を増大することなしに凝縮器となる室内熱交換器(5)を流れる冷媒流量が増大して暖房能力の向上が図れるようになっている。
【0028】−圧縮機の説明−次に、本発明が特徴とする圧縮機(1)の構成について説明する。図2及び図3(圧縮機の圧縮機構部分のみを示す)の如く、本形態に係る圧縮機(1)は、ロータリピストン型のものである。以下、この圧縮機(1)の圧縮機構(12)について説明する。該圧縮機構(12)は、圧縮機ケーシング(15)内の下部に配置されており、該ケーシング(15)内の上部に配置された図示しない電動モータの回転駆動力がクランク軸(16)を介して伝達されて所定の圧縮動作を行うようになっている。
【0029】この圧縮機構(12)について詳しく説明すると、圧縮機ケーシング(15)の内壁に固着された円筒状のシリンダ(20)と、該シリンダ(20)内に収容された同じく円筒状のロータ(21)とが備えられている。シリンダ(20)の上端面にはフロントヘッド(22)が、下端面にはリヤヘッド(23)が夫々取付けられており、この各ヘッド(22,23)によってシリンダ(20)の内周面とロータ(21)の外周面との間に圧縮室(24)が形成されている。また、これら各ヘッド(22,23)の中心部にはクランク軸(16)の径と略同径に形成されて上下方向に延びる貫通孔(22a,23a)が形成され、これら貫通孔(22a,23a)にクランク軸(16)が回転自在に支持されている。また、シリンダ(20)には圧縮室(24)に開口する冷媒の吸入路としての吸入ポート(20a)が形成されており、該吸入ポート(20a)にはアキュームレータ(6)から延びる吸入管(7a)が連結されている。
【0030】一方、クランク軸(16)においてロータ(21)の内部に位置する部分には、該クランク軸(16)の軸心に対して所定方向に偏心されて成るカム部(16a)が一体形成されている。このカム部(16a)の外径寸法はロータ(21)の内径寸法に略一致しており、このカム部(16a)がロータ(21)内に挿入されている。これにより、ロータ(21)はシリンダ(20)に対して偏心して配置され、該ロータ(21)の外周面の一部がシリンダ(20)の内周面に対して略接触するようになっている。また、このカム部(16a)の高さ寸法は、ロータ(21)の高さ寸法よりも僅かに小さく設定されている。このため、カム部(16a)の上端面及び下端面と各ヘッド(22,23)との間には所定高さ寸法を有する空間が形成されている。更に、カム部(16a)の下側でロータ(21)の内部に位置する部分には、リヤヘッド(23)の貫通孔(23a)よりも僅かに大径のスラスト受け部(16b)が形成されており、このスラスト受け部(16b)の下端面がリヤヘッド(23)の上端面に当接することでスラスト方向の荷重を受けている。
【0031】シリンダ(20)における吸入ポート(20a)の配設位置近傍には、該シリンダ(20)の半径方向に延びるブレード溝(20b)が形成され、該ブレード溝(20b)にはブレード(25)が、圧縮室(24)内に出没自在に配設されている。また、ブレード溝(20b)の外側端はケーシング(15)の内部空間に臨んでおり、ブレード(25)は、その後端面に作用する冷媒ガスの圧力により、先端がロータ(21)の外周面に押圧され、圧縮室(24)を高圧室(24a)と低圧室(24b)とに区画可能となっている(図3及び図4参照)。
【0032】更に、上記ブレード(25)の配設位置近傍の高圧室側には図示しない吐出ポートが設けられている。この吐出ポートは、一端がシリンダ(20)の内周面に開口しており、この開口部分には高圧室内の圧力上昇に伴なって開放可能な図示しないリード弁が設けられている。一方、この吐出ポートの他端は、上記ケーシング(15)の内部空間に開口している。これにより、圧縮機(1)の運転時には、ケーシング(15)の内部空間が常に高圧状態に保たれるようになっている。
【0033】また、ケーシング(15)の上面には四路切換弁(2)に繋がる図示しない吐出管が接続されており、圧縮機(1)から吐出管へ吐出された高温高圧の冷媒は、四路切換弁(2)を経て凝縮器となる熱交換器へ導出されるようになっている。このような構成により、圧縮機(1)の駆動時には、クランク軸(16)の回転に伴ってロータ(21)がシリンダ(20)内で回転して圧縮室(24)を収縮するようになっている。
【0034】そして、上記インジェクション管(10)は、圧縮機(1)のケーシング(15)を貫通し且つリヤヘッド(23)に挿通されている。また、リヤヘッド(23)には、インジェクション管(10)の先端開口と圧縮室(24)とを連通するインジェクション孔(23b)が形成されている。これにより、上記インジェクション管(10)の内部通路(10a)と、このインジェクション孔(23b)とによりインジェクション通路が構成され、インジェクションガスがインジェクション管(10)の内部通路(10a)及びインジェクション孔(23b)を経て圧縮室(24)に導入するようになっている。
【0035】また、このインジェクション孔(23b)の圧縮室(24)に臨む開口位置は、ロータ(21)の回転角度が所定角度以上になった状態ではロータ(21)の外周面よりも内側に位置するように設定されている。つまり、図3に示す状態(ロータ回転角度=90°)である場合にはインジェクション孔(23b)の下流端の少なくとも一部が圧縮室(24)に臨み、且つ図4に示すように、ロータ回転角度が例えば140°に達した際にはロータ(21)が連通孔(23b)の下流端を覆い隠して閉塞するようになっている。つまり、高圧室(24a)が比較的高圧になる状況では、インジェクション孔(23b)の開口位置がロータ(21)の外周面よりも内側に位置してインジェクション孔(23b)が圧縮室(24)に臨まない構成となっている。
【0036】本形態の特徴はロータ(21)の下端部の構成にある。図2及び図5(aはロータの平面図、bはaのB-B線断面図)の如く、本形態のロータ(21)は、その内周面の下端部にリング状のシール板部(21b)が一体形成されている。つまり、このロータ(21)は、円筒状であって本来のロータとして機能する部分であるロータ本体部(21a)と、該ロータ本体部(21a)の下端部内面から内方に突出されたシール板部(21b)とから成っている。シール板部(21b)の下面は、ロータ本体部(21a)の下面と面一に形成されており、この両下面がリヤヘッド(23)の上面に当接するようになっている。
【0037】また、シール板部(21b)の高さ寸法は、クランク軸(16)のカム部(16a)に干渉しないように比較的薄肉に設定されている。つまり、この高さ寸法は、カム部(16a)の下面とリヤヘッド(23)の上面との間に形成されている空間の高さ寸法よりも小さく設定されている。更に、シール板部(21b)の内周側への突出寸法は、クランク軸(16)の回転に伴って回転するスラスト受け部(16b)に接触しない寸法に設定されている。
【0038】これにより、例えば、図6に示すように、ロータ回転角度が220°に達し、インジェクション孔(23b)の一部がロータ本体部(21a)の内周面よりも内側に位置している状態であっても、このインジェクション孔(23b)はシール板部(21b)によって閉塞されるようになっている。
【0039】−圧縮機運転動作−次に、上記の如く構成された圧縮機(1) の運転時について説明する。先ず、電動モータが駆動すると、この駆動力がクランク軸(16)及び該クランク軸(16)のカム部(16a)を介してロータ(21)に伝達し、該ロータ(21)がシリンダ(20)内で回転する。これにより、冷媒ガスが吸入管(7a)より吸入ポート(20a)を経て低圧室(24b)に流入する。その後、ロータ(21)の回転に伴い、低圧室(24b)が高圧室(24a)となるに従って、冷媒ガスを圧縮し、この冷媒の圧力が所定値に達すると、この圧力によってリード弁が開放し、高圧状態の冷媒ガスが吐出ポートからケーシング(15)の内部空間へ吐出し、その後、吐出管によって凝縮器側に導出される。このような圧縮機(1)の運転動作において、中間圧冷媒のインジェクション動作が行われている際、つまりインジェクションバルブ(11)が開放されている場合であって、圧縮室(24)内の圧力がインジェクションガス圧力(中間圧)よりも低い場合には、この差圧により、気液分離器(4)で分離された中間圧ガス冷媒がインジェクション管(10)を経て圧縮室(24)に導入される。この際、ロータ(21)の回転角度が比較的小さい状態では、インジェクション孔(23b)の一部はロータ(21)の外周面よりも外側に位置している(図3参照)。つまり、インジェクション孔(23b)は圧縮室(24)に臨んでいる。従って、気液分離器(4)で分離された中間圧ガス冷媒の圧縮室(24)への導入が可能である。一方、ロータ(21)の回転角度が大きくなり、図4に示す状態を経て図6に示す状態になると、インジェクション孔(23b)の一部がロータ本体部(21a)の内周面よりも内側に位置することになるが、インジェクション孔(23b)はシール板部(21b)によって閉塞されている。従って、ロータ(21)の内部空間からインジェクション孔(23b)に向かってガス冷媒や潤滑油が漏れ出るといった状況が回避される。このため、圧縮機(1)の圧縮動作が良好に行われ、圧縮機効率を高く維持することができる。
【0040】−本実施形態の効果−以上説明したように、本形態の構成によれば、インジェクション孔(23b)の一部がロータ本体部(21a)の内周面よりも内側に位置しても、このインジェクション孔(23b)をシール板部(21b)によって閉塞することができる。このため、従来のようにインジェクション孔(23b)がロータ(21)の内部空間に臨んでしまうといったことが回避可能になるので、インジェクション孔(23b)を大径にしながらも、インジェクション孔(23b)からのガス冷媒や潤滑油の漏れが防止できる。従って、このガス冷媒の漏れ防止と、インジェクション孔(23b)を大径にすることに伴うインジェクション量の増大との相乗効果により空調能力の向上を図ることができる。
【0041】(第2実施形態)次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本形態は、ロータ(21)の変形例であって、その他の構成は上述した第1実施形態と同様である。従って、ここでは、ロータ(21)の構成についてのみ説明する。
【0042】図7(aはロータの平面図、bはaのB-B線断面図)に示すように、本形態のロータ(21)は、ロータ本体部(21a)とシール板部(21b)とが別体で構成されている。つまり、ロータ本体部(21a)の下端部分の内周部にシール板部(21b)が一体的に嵌め込まれている。この場合にも、ロータ本体部(21a)の下端面とシール板部(21b)の下端面とは面一になっている。また、ロータ本体部(21a)の内周面とシール板部(21b)の外周面との間に隙間が生じないように例えば焼き嵌め等の手段によってシール板部(21b)が一体的に嵌め込まれている。
【0043】このように、ロータ本体部(21a)とシール板部(21b)とを別体で構成した場合には、各部品個々の加工を容易に行うことができる。
【0044】(第3実施形態)次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本形態は、圧縮室(24)に対しするインジェクションガスの供給方向及びシール板部(21b)の配設位置の変形例である。
【0045】図8に示すように、インジェクション管(10)は、フロントヘッド(22)に接続されており、インジェクション管(10)の下流端と圧縮室(24)とを連通するインジェクション孔(22b)はフロントヘッド(22)に形成されている。
【0046】本形態のシール板部(21b)は、ロータ本体部(21a)の上端部分の内周面に設けられている。本形態のようなシール板部(21b)の配設位置とした場合においても、ロータ本体部(21a)とシール板部(21b)とは第1実施形態の如く一体形成してもよく、第2実施形態の如く別体で形成してもよい。図8は別体で形成した場合を示している。この別体構造の場合、シール板部(21b)が落下して、該シール板部(21b)の上面とフロントヘッド(22)の下面との間に隙間が生じないように該シール板部(21b)をロータ本体部(21a)に強固に嵌め込んでおく必要がある。
【0047】本形態の場合、クランク軸(16)のカム部(16a)の上側はスラスト受け部が設けられていないため、上述した実施形態のように、シール板部(21b)の形状がスラスト受け部の存在のために制約を受けるといったことはない。つまり、シール板部(21b)の形状の自由度が向上できることになる。
【0048】(第4実施形態)次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本形態は、本発明をいわゆるツインロータコンプレッサに適用した場合である。
【0049】本形態に係る圧縮機は、図9に示すように、圧縮手段としての上側圧縮機構(12A)及び下側圧縮機構(12B)がミドルプレート(30)を介して上下に配設されている。各圧縮機構(12A,12B)は、上述した各実施形態のものと同様に、シリンダ(20A,20B)内でロータ(21A,21B)が偏心した状態で回転することにより各々圧縮動作を行うようになっている。
【0050】また、クランク軸(16)の各カム部(16a-A,16a-B)は互いに反対方向に偏心しており、各圧縮機構(12A,12B)の動的バランスを保つようになっている。
【0051】そして、上側圧縮機構(12A)では、上述した第3実施形態のように、圧縮室(24A)の上側からインジェクションガスが供給されるようになっている。一方、下側圧縮機構(12B)では、上述した第1実施形態のように、圧縮室(24B)の下側からインジェクションガスが供給されるようになっている。即ち、上側圧縮機構(12A)のロータ(21A)のシール板部(21b-A)は、ロータ本体部(21a-A)の上端部に、下側圧縮機構(12B)のロータ(21B)のシール板部(21b-B)は、ロータ本体部(21a-B)の下端部にそれぞれ設けられている。
【0052】(第5実施形態)次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本形態も、本発明をいわゆるツインロータコンプレッサに適用した場合である。ここでは、上述した第4実施形態との相違点についてのみ説明する。図10に示すように、本形態では、インジェクション管(10)がミドルプレート(30)に接続されており、このミドルプレート(30)にはインジェクション管(10)の下流端を各圧縮室(24A,24B)に連通させるインジェクション孔(30a)が形成されている。
【0053】そして、本形態におけるシール板部(21b-A,21b-B)は、各圧縮機構(12A,12B)のロータ(21A,21B)におけるミドルプレート(30)側の端面部分に設けられている。
【0054】この場合にも、シール板部(21b-A,21b-B)によって、インジェクション孔(30a)がロータ(21A,21B)の内部空間に臨んでしまうといったことが回避可能になるので、インジェクション孔(30a)を大径にしながらも、該インジェクション孔(30a)からのガス冷媒や潤滑油の漏れが防止できる。
【0055】(第6実施形態)次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本形態は、ロータ(21)とブレード(25)とが一体形成されて成るロータリピストン型圧縮機(スイング圧縮機とも呼ばれる)に本発明を適用した場合である。
【0056】本形態に係る圧縮機(1)は、図11に示すように、上述した各実施形態の圧縮機において、ロータ(21)とブレード(25)とを一体的に形成し、ロータ(21)がシリンダ(20)内で公転することにより冷媒を圧縮するようにしたものである。
【0057】つまり、吸入ポート(20a)の近傍に揺動ブッシュ(31)を嵌入するための円形のブッシュ孔(32)が設けられている。このブッシュ孔(32)内には、断面が略半円形状の一対の揺動ブッシュ(31,31)が揺動自在に配置されている。ブレード(25)の先端側は、この揺動ブッシュ(31,31)間に挿入されている。つまり、この両揺動ブッシュ(31,31)は、ブレード(25)の先端側を挟んだ状態に配置されると共に、ブレード(25)がブッシュ孔(32)内を進退移動するのを許容し、且つ、ブレード(25)と一体的にブッシュ孔(32)内で揺動するように設けられている。
【0058】本形態の特徴は、この種の圧縮機はロータ(21)が自転することなく公転することを利用している。つまり、図11及び図12に示すように、シール板部(21b)は、ロータ本体部(21a)の下端部の内面の一部のみに一体に設けられている。つまり、上述した各実施形態では、ロータ(21)が自転するため、該ロータ(21)が如何なる自転位置にあってもインジェクション孔(23b)の閉塞を可能とするようにシール板部(21b)をリング状に形成しておく必要があった。しかし、ロータ(21)が自転しない本圧縮機では、該ロータ(21)とインジェクション孔(23b)との相対位置は一定範囲内に決まる(インジェクション孔(23b)はロータ(21)の図11における左下隅部分において円形軌跡上を相対的に移動することになる。)。従って、この部分にのみシール板部(21b)を形成しておくことで、必要最小限の面積のシール板部(21b)でもってインジェクション孔(23b)の閉塞を可能とすることができる。つまり、ロータ(21)全体としての軽量化を図りながらインジェクション孔(23b)の閉塞を確実に行うことができる。
【0059】尚、上述した各実施形態では、本発明に係る圧縮機(1)が備えられた冷凍装置を空気調和装置として適用した場合について説明したが、これに限らず、その他の冷凍装置に対しても適用可能である。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、以下のような効果が発揮される。請求項1記載の発明では、冷媒回路(8)の中間圧ガス冷媒がインジェクションされる高圧ドーム型のロータリ圧縮機に対し、ロータ(21)に、所定のロータ回転角度位置において、インジェクション通路(10a,23b)の下流端開口を閉塞する閉塞部(21b)を設けることで、この下流端開口がロータ内部の高圧空間に臨むことを防止するようにした。このため、インジェクション通路(10a,23b)を大径にしながらも、圧縮室(24)からのガス冷媒や潤滑油の漏れが防止できる。従って、このガス冷媒の漏れ防止と、インジェクション通路(10a,23b)の大径化を可能にすることに伴うインジェクション量の増大との相乗効果により冷凍能力の向上を図ることができる。
【0061】請求項2記載の発明は、ロータ(21)をロータ本体部(21a)と閉塞部(21b)とで成し、これらを一体形成している。請求項3記載の発明も、ロータ(21)をロータ本体部(21a)と閉塞部(21b)とで成している。また、これら両者を個別に形成して互いに一体的に組み付けている。これら発明により、上記請求項1記載の発明に係る効果を奏するロータ(21)の構成を具体化できる。特に、請求項3記載の発明では、ロータ本体部(21a)と閉塞部(21b)とを一体形成する場合に比べて各部の加工を容易に行うことができ、その実用化の向上が図れる。
【0062】請求項4記載の発明は、ロータ(21)とブレード(25)とが分離したロータリピストン型の圧縮機に適用したものである。この種の圧縮機の場合、ロータ(21)が自転するが、閉塞部(21b)をロータ本体部(21a)の内周面の全周に亘って設けていることで、如何なる自転位置にあっても閉塞部(21b)によるインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の閉塞が可能であり、冷媒漏れ防止機能の信頼性の向上を確保することができる。
【0063】請求項5記載の発明は、ロータ(21)とブレード(25)とが一体化されたロータリピストン型の圧縮機に適用したものである。この種の圧縮機はロータ(21)が自転することはないので、閉塞部(21b)をロータ(21)に対するインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の相対的な移動軌跡上にのみ形成することでインジェクション通路(10a,23b)の下流端開口の閉塞が可能である。従って、ロータ(21)全体としての軽量化を図りながらこの下流端開口の閉塞を確実に行うことができる。
【0064】請求項6及び請求項7記載の発明は、いわゆるツインロータコンプレッサに本発明を適用した場合であって、各圧縮手段(12A,12B)の圧縮室(24A,24B)に対してインジェクションを可能とし、それぞれのロータ(21A,21B)に閉塞部(21b-A,21b-B)を設けている。従って、各圧縮手段(12A,12B)において上述した請求項1記載の発明の効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外2名)
【公開番号】 特開平11−13664
【公開日】 平成11年(1999)1月19日
【出願番号】 特願平9−171537