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【発明の名称】 高分子電解質アンモニウム誘導体
【発明者】 【氏名】小 黒 啓 介

【氏名】安 積 欣 志

【氏名】岡 田 達 弘

【氏名】大 西 和 夫

【氏名】瀬 和 信 吾

【要約】 【課題】変位量が大きく、構造が簡単で、小型化が容易であり、かつ応答が速く、柔軟である高分子電解質アンモニウム誘導体を提供する。

【解決手段】イオン交換樹脂成形品と、該イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とを備え、前記イオン交換樹脂成形品をアルキルアンモニウムイオン含有水溶液の含水状態において、前記金属電極間に電位差をかけて、イオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせることによりアクチュエータとして機能する高分子電解質アンモニウム誘導体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】イオン交換樹脂成形品と、該イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とを備え、前記イオン交換樹脂成形品をアルキルアンモニウムイオン含有水溶液の含水状態において、前記金属電極間に電位差をかけて、イオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせることによりアクチュエータとして機能する高分子電解質アンモニウム誘導体。
【請求項2】前記アルキルアンモニウムイオンが、下記一般式(1)で表されるイオンを少なくとも含むアルキルアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質アンモニウム誘導体。
【化1】

(式中、R1〜R4は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、または窒素含有炭化水素基であり、かつR1〜R4の少なくとも1つは水素原子以外の基であり、R1〜R4のうち2個以上が連結して環を形成してもよい。)
【請求項3】前記アルキルアンモニウムイオンが、下記一般式(1)で表されるイオンであることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質アンモニウム誘導体。
【化2】

(式中、R1〜R4は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、または窒素含有炭化水素基であり、かつR1〜R4の少なくとも1つは水素原子以外の基であり、R1〜R4のうち2個以上が連結して環を形成してもよい。)
【請求項4】前記一般式(1)で表されるイオンが、CH3+3、C25+3、(CH3)2+2、(C25)2+2、(C49)2+2、(C511)2+2、(CH3)3+H、(C25)3+H、(C49)3+H、(C511)3+H、(CH3)4+、(C25)4+、(C37)4+、(C49)4+、H3+(CH2)4+3、H2C=CHCH2+HCH3、H3+(CH2)4+2(CH2)4+3、HC≡CCH2+2、CH3CH(OH)CH2+3、H3+(CH2)5OH、H3+CH(CH2OH)2、(HOCH2)2C(CH2+3)2、C25OCH2CH2+3または【化3】

であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質アンモニウム誘導体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、高分子電解質アンモニウム誘導体に関し、より詳細にはイオン交換樹脂成形品を湾曲および変形させることによりアクチュエータとして機能する高分子電解質アンモニウム誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】医療機器や産業用ロボット、マイクロマシンなどの分野において小型でかつ軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっている。
【0003】このようにアクチュエータを小型化すると慣性力よりも摩擦や粘性力が支配的となるため、モータやエンジンのような慣性力を利用してエネルギーを運動に変える機構は、超小型アクチュエータの動力として用いることは困難であった。このため、超小型アクチュエータの作動原理としては、静電引力型、圧電型、超音波式、形状記憶合金式、高分子伸縮式などが提案されている。
【0004】静電引力型アクチュエータは、電極となる板、棒などを対極に引きつけることによって作動するもので、たとえば数十μm離れた対極との間に100V程度の電圧をかけて電極をたわませるものなどが知られている。圧電型アクチュエータは、チタン酸バリウムなどのセラミックの圧電素子に数Vの電圧をかけて素子を伸縮させることによって作動するもので、nm単位の変位を制御できるものが知られている。超音波式アクチュエータは、圧電素子などで発生させた超音波振動と摩擦力とを組合せたり、またはずれを生じさせることによって作動するものである。形状記憶合金式アクチュエータは、形状記憶合金が温度によって形状が大きく変化することを利用して、温度変化によって作動するものである。高分子伸縮式アクチュエータは、高分子が温度あるいはpHの変化や周囲の化学物質の濃度変化によって伸縮することを利用して作動するものである。
【0005】しかしながら、これらの超小型アクチュエータには、それぞれ作動環境に制限があったり、応答性が不充分であったり、構造が複雑であったり、また柔軟性が欠如しているなどの問題点があった。たとえば、高分子伸縮式アクチュエータを作動させるには、高分子が接触している溶液を他の塩類を含む溶液に交換する必要があり、このため小型で速い応答を必要とする用途には利用困難であった。
【0006】これに対し、小型化が容易であり、応答性が速く、しかも小電力で作動する高分子アクチュエータとして、イオン交換膜とこのイオン交換膜の表面で接合した電極とからなり、イオン交換膜の含水状態においてイオン交換膜に電位差をかけてイオン交換膜に湾曲および変形を生じさせることによりアクチュエータとして機能することができる高分子アクチュエータが提案されている(特開平4-275078号公報参照)。
【0007】この高分子アクチュエータは、イオン交換樹脂膜とその表面に相互に絶縁状態で接合した金属電極とからなり、該イオン交換樹脂膜の含水状態において、金属電極間に電位差をかけることによりイオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせることを特徴としている。
【0008】このような高分子アクチュエータでは、イオン交換樹脂成形品表面に化学めっき、電気めっき、真空蒸着、スパッタリング、塗布、圧着、溶着などの方法によって電極が形成されている。
【0009】たとえば、化学めっきでは、イオン交換膜表面をエッチングしたのち、めっき触媒を担持し、めっき浴に浸漬することによってイオン交換膜表面にめっきを行い電極を形成している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような高分子アクチュエータは、変位量が充分とはいえなかった。また、例えば、特開平4-275078号公報に記載された高分子アクチュエータのように対イオンとしてNa+、H+を用いたものでは、変位量を大きくし、かつ応答性を高めるために、電極間の印加電圧を上げると、イオン交換樹脂成形品内部の水が電気分解しやすく、これによって気泡が発生しやすいという問題もあった。このため、さらに大きな変位量を発生することが可能であり、使用時に気泡が発生しにくく、しかも応答性が良好な高分子アクチュエータの出現が望まれていた。
【0011】本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、電圧印加時に水の電気分解による気泡の発生が起こりにくく、変位量および変位力が大きく、応答が速く、柔軟で、しかも構造が簡単で、小型化が容易な高分子アクチュエータを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、イオン交換樹脂成形品と、該イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とを備え、前記イオン交換樹脂成形品をアルキルアンモニウムイオン含有水溶液の含水状態において、前記金属電極間に電位差をかけて、イオン交換樹脂成形品に湾曲および変形を生じさせることによりアクチュエータとして機能するものである。
【0013】このようにイオン交換樹脂成形品の対イオンを特定のアルキルアンモニウムイオンに交換することによって、通常使用されている対イオンがNa+またはH+のイオン交換樹脂と比べて、高電圧を印加しても、気泡の発生が起こりにくくなる。また、このような高分子電解質アンモニウム誘導体では、通常イオンに伴われて水分子が電極に移動して、移動側の電極近傍で含水率が増大して、成形品が膨潤することによって伸び、一方、移動側と反対側の電極近傍では含水率が低下して収縮する。このため、対イオンを前記のようなアルキルアンモニウムイオンに交換すると、電極間での含水率の差がさらに大きくなり、湾曲率、すなわち変位量が大きくなる。
【0014】このようなアルキルアンモニウムイオンとしては、下記一般式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンを含んでいることが好ましく、このようなイオンを含んでいると、電極間での含水率の差をさらに大きくし、湾曲率、すなわち変位量をより大きくすることができる。
【0015】
【化4】

【0016】(式中、R1〜R4は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、または窒素含有炭化水素基であり、かつR1〜R4の少なくとも1つは水素原子以外の基であり、R1〜R4のうち2個以上が連結して環を形成してもよい。)
本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体では、アルキルアンモニウムイオンが、上記一般式(1)で表されるイオン自体であることが好ましく、特に、CH3+3、C25+3、(CH3)2+2、(C25)2+2(C49)2+2、(C511)2+2、(CH3)3+H、(C25)3+H、(C49)3+H、(C511)3+H、(CH3)4+、(C25)4+、(C37)4+、(C49)4+、H3+(CH2)4+3、H2C=CHCH2+HCH3、H3+(CH2)4+2(CH2)4+3、HC≡CCH2+2、CH3CH(OH)CH2+3、H3+(CH2)5OH、H3+CH(CH2OH)2、(HOCH2)2C(CH2+3)2、C25OCH2CH2+3または【0017】
【化5】

【0018】が好ましい。より好ましくは(C49)3+H、(C511)3+H、(C37)4+、(C49)4+である。このような本発明の高分子電解質アンモニウム誘導体は、構造が簡単で、小型化が容易であり、しかも高電圧を印加しても、成形品内部の水が電気分解による気泡を抑制することが可能であり、かつ応答が速く、大きな変位量を発生することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1および図2は、本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体の最適な実施例を示す概略断面図である。この実施例において高分子電解質アンモニウム誘導体(高分子アクチュエータ)1は、細長い矩形平板状のイオン交換樹脂成形品2と、該イオン交換樹脂成形品2の表面に相互に絶縁状態で形成された電極3a,3bとを備えている。そして、イオン交換樹脂成形品2の含水状態において、前記電極間に電位差をかけることにより、イオン交換樹脂成形品を湾曲および変形させるようになっている。
【0020】この電極3a,3bには、一対のリード線4a,4bの一端がそれぞれ電気的に接続されているとともに、この各リード線4a,4bは、電源5に接続されている。
【0021】なお、イオン交換樹脂成形品2としては、上記矩形平板状に限定されるものでではなく、膜状、円柱状、円筒状のものなどであってもよい。このようなイオン交換樹脂成形品2を構成するイオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂が挙げられる。このうち、陽イオン交換樹脂が、高分子電解質アンモニウム誘導体の変位量を大きくすることができるので好適に使用される。
【0022】このような陽イオン交換樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、フッ素樹脂などにスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入されたものが挙げられ、特に、フッ素樹脂にスルホン酸基、カルボキシル基などの官能基が導入された陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0023】また、このような陽イオン交換樹脂は、イオン交換容量が0.8〜3.0meq/g、好ましくは1.4〜2.0meq/gのものが望ましい。すなわち、このようなイオン交換容量の陽イオン交換樹脂を使用すれば、さらに高分子電解質アンモニウム誘導体の変位量を大きくすることができるからである。
【0024】電極3a,3bを構成する金属としては、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられる。イオン交換樹脂成形品表面に形成される電極は、たとえば、使用されるイオン交換樹脂成形品が膜状の場合、形成される電極の厚さが、図2(a)のようにイオン交換樹脂成形品の表面に形成された金属電極の厚さをa1とし、金属電極を含めたイオン交換樹脂成形品の厚さをb1としたときに、a1/b1が0.03〜0.40、好ましくは0.15〜0.30の範囲にあることが望ましい。このような比にあると、変位量が大きく、かつ表面抵抗の低い高分子電解質アンモニウム誘導体を得ることができる。
【0025】また、イオン交換樹脂成形品の形状が円筒状である場合、外筒部表面、内筒部表面、あるいは外筒部および内筒部の両表面に金属電極が形成されたものであってもよい。
【0026】図2(b)のようにイオン交換樹脂成形品の外筒部表面に金属電極が形成されている場合、金属電極の厚さをa2とし、金属電極を含めた円筒状のイオン交換樹脂成形品の筒状部の厚さをb2としたときに、a2/b2が0.02〜0.70、好ましくは0.30〜0.50の範囲にあることが望ましい。このような比にあると、変位量が大きく、かつ表面抵抗の低い高分子電解質アンモニウム誘導体を得ることができる。
【0027】図2(c)のようにイオン交換樹脂成形品の内筒部表面に金属電極が形成されている場合、金属電極の厚さをa3とし、金属電極を含めたイオン交換樹脂成形品の筒状部の厚さをb3としたときに、a3/b3が0.02〜0.70、好ましくは0.30〜0.50の範囲にあることが望ましい。このような比にあると、変位量が大きく、かつ表面抵抗の低い高分子電解質アンモニウム誘導体を得ることができる。
【0028】図2(d)のようにイオン交換樹脂成形品の内筒部および外筒部の両表面に金属電極が形成されている場合、金属電極を含めたイオン交換樹脂成形品の筒状部の厚さをb4とし、金属電極が形成されていないイオン交換樹脂成形品の筒状部の厚さをCとしたときに、C/b4が0.20〜0.95、好ましくは0.45〜0.70の範囲にあることが望ましい。さらに外筒部表面に形成された金属電極の厚さをa4とし、内筒部表面に形成された金属電極の厚さをa5としたときに、a4/a5が0.05〜20.0、好ましくは0.50〜2.00の範囲にあることを望ましい。このような比にあると、変位量が大きく、かつ表面抵抗の低い高分子電解質アンモニウム誘導体を得ることができる。
【0029】本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、表面に相互に絶縁状態で金属電極が形成されたイオン交換樹脂成形品を、アルキルアンモニウムイオンを含む水溶液中で浸漬して、対イオンを該アルキルアンモニウムイオンに交換することによって作製することができる。このとき、アルキルアンモニウム塩の濃度としては、イオン交換樹脂の官能基と等量以上のアルキルアンモニウム塩が含まれていればよく、具体的には、0.01〜10mol/l 、好ましくは0.1〜1.0mol/lであればよい。
【0030】アルキルアンモニウムイオンとしては、下記一般式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンを含むものが好ましい。また、アルキルアンモニウムイオン自体が下記一般式(1)で表されるアルキルアンモニウムイオンであるものも好ましい。
【0031】
【化6】

【0032】(式中、R1〜R4は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、酸素含有炭化水素基、または窒素含有炭化水素基であり、かつR1〜R4の少なくとも1つは水素原子以外の基であり、R1〜R4のうち2個以上が連結して環を形成してもよい。)
このようなアルキルアンモニウムイオンとしては、CH3+3、C25+3、(CH3)2+2、(C25)2+2、(CH3)3+H、(C25)3+H、(CH3)4+、(C25)4+、(C37)4+、(C49)4+、H3+(CH2)4+3、H2C=CHCH2+HCH3、H3+(CH2)4+2(CH2)4+3、HC≡CCH2+2、CH3CH(OH)CH2+3、H3+(CH2)5OH、H3+CH(CH2OH)2、(HOCH2)2C(CH2+3)2、C25OCH2CH2+3または【0033】
【化7】

【0034】が好ましい。より好ましくは(C49)3+H、(C511)3+H、(C37)4+、(C49)4+である。これらのアルキルアンモニウムイオンは、単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。本発明では、通常、このようなアルキルアンモニウムイオンの塩化物、臭化物、ヨウ化物が使用される。
【0035】本発明のような高分子電解質アンモニウム誘導体では、イオンに伴われて水分子が電極に移動するので、移動側の電極近傍で含水率が高くなり、膨潤して伸びることになり、一方、移動側と反対側の電極近傍では含水率が低下して収縮される。このような、移動するイオンとして、アルキルアンモニウムイオンのようにイオン半径の大きいものを使用すると、電極間での含水率の差がさらに大きくなるので、湾曲率、すなわち変位量が大きくなる。このため本発明で得られた高分子電解質アンモニウム誘導体は、従来の高分子電解質アンモニウム誘導体に比べて、素子の変位量が大きくなる。またアルキルアンモニウムイオンのように、Na+、H+と比べて高い電圧が印加されてもイオン交換樹脂成形品内に含浸している水が電気分解しにくく、これによって、気泡の発生を抑制することができる。このため本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、従来の高分子電解質アンモニウム誘導体に比べて、高い電圧を印加することも可能となり、応答性を高めることができる。
【0036】なお、イオン交換樹脂成形品表面への金属電極形成方法としては、従来公知の方法を特に制限なく採用することが可能である。特に、以下の工程で金属電極を形成することが望ましい。
(i)前記イオン交換樹脂成形品に金属錯体を水溶液中で吸着させる工程(吸着工程)、(ii)イオン交換樹脂成形品に吸着した金属錯体を、還元剤により還元して前記イオン交換樹脂成形品表面に金属を析出させる工程(析出工程)、(iii)金属が析出したイオン交換樹脂成形品を洗浄液で洗浄する工程(洗浄工程)。
【0037】上記のような工程で金属電極を形成する場合、使用するイオン交換樹脂成形品の表面を予め粗化してもよい。膜表面の粗化処理としては、たとえば、サンドブラスト処理、サンドペーパー処理などが挙げれる。表面の粗化の程度は、表面層が削られている程度であればよい。
【0038】このような粗化処理を行うことによって、イオン交換樹脂成形品の表面と、その上に形成される電極との接触面積が増大し、高分子電解質アンモニウム誘導体の変位量を大きくすることができる。
【0039】また、本発明では、金属電極を形成する際に、予め使用するイオン交換樹脂成形品に以下のような処理を、単独あるいは組み合わせて施してもよい。
■水処理:熱水中で、イオン交換樹脂成形品を煮沸する。
【0040】■塩酸処理:25体積%程度の希塩酸中で、イオン交換樹脂成形品を保持する。
■NaOH処理:0.1程度の水酸化ナトリウム水溶液中で、イオン交換樹脂成形品を保持する。
【0041】■アルコール処理:イオン交換樹脂成形品を、メタノール、エタノールなどのアルコール中に浸漬する。
■オートクレーブ処理:イオン交換樹脂成形品を、オートクレーブ中で、110〜150℃で加熱する。
【0042】金属電極を形成するために使用される金属錯体としては、金錯体、白金錯体、パラジウム錯体、ロジウム錯体、ルテニウム錯体などの金属錯体を使用することができる。これらのうち、金錯体または白金錯体が好ましく、とくに金錯体が高分子電解質アンモニウム誘導体の変位量を大きくすることができるので好ましい。
【0043】これらの金属錯体のイオン交換樹脂成形品への吸着は、イオン交換樹脂成形品を前記金属錯体を含む水溶液に浸漬することによって行われる。また、このような金属錯体の還元は、還元剤を含む水溶液中に、金属錯体が吸着されたイオン交換樹脂成形品を浸漬することによって行われる。
【0044】還元剤としては、使用する金属錯体の種類にもよるが、たとえば亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素カリウムなどが使用可能である。また、金属錯体を還元する際に、必要に応じて、酸またはアルカリを添加してもよい。
【0045】金属錯体を吸着させたイオン交換樹脂成形品を還元する場合、金属錯体と還元剤との接触によって、イオン交換樹脂成形品の表面から金属の析出が生じ、続いて膜内部の金属錯体が膜表面近傍(析出した金属の方に)に移動して還元されて金属が析出する。すなわち、イオン交換樹脂成形品の表面から内部に向かって金属の結晶成長が進むことになる。したがって、このような金属の析出が、イオン交換樹脂成形品表面だけではなく、表面近くの内部にも析出しているため、イオン交換樹脂成形品と金属電極との接触面積は、従来の化学めっき法に比べて大きくなっている。このため、このような金属錯体の吸着・析出を繰り返すことによって、さらにイオン交換樹脂成形品内部に金属の析出が進み、イオン交換樹脂成形品と金属電極との接触面積がさらに増大する。これにより、電極活性点が増え、電極へ移動するイオンも増加する。
【0046】このようにして電極が形成されたイオン交換樹脂成形品は、洗浄工程によって析出していない金属錯体および還元剤が除去される。洗浄液として水、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸水溶液、塩酸水溶液を使用することが好ましい。これらの洗浄液を使用すると、未反応の金属錯体および還元剤の除去を効率よく行うことができる。このとき使用される水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、0.01〜5.0モル/リットル、好ましくは0.1〜1モル/リットルの範囲にあることが望ましい。また硫酸水溶液の濃度は、0.01〜6モル/リットル、好ましくは0.1〜6モル/リットルの範囲にあることが望ましい。さらに塩酸水溶液の濃度は、0.01〜6モル/リットル、好ましくは0.1〜3モル/リットルの範囲にあることが望ましい。
【0047】金属電極を形成する際に、このようなイオン交換樹脂成形品への金属錯体の吸着工程、析出工程および洗浄工程を繰り返して、イオン交換樹脂成形品表面に金属電極を形成してもよい。このような工程を繰り返すことによって、高分子電解質アンモニウム誘導体の変位量を増大させることができる。
【0048】このようにして形成された電極間の絶縁は、成形品が膜状である場合には金属電極が形成されたイオン交換樹脂成形品の端部を切断することによって行うことができる。また、成形品が円筒状または円柱状等である場合には、レーザー光を金属電極が形成されたイオン交換樹脂成形品に照射して金属電極の一部を削って、電極間に絶縁帯を設けることによって、電極間の絶縁を行うことができる。
【0049】さらに、電極形成後のイオン交換樹脂成形品に、前記■〜■のような処理を施してもよい。さらにまた、形成された電極上に、追加の電極層を設けてもよい。追加の電極層は、化学めっき、電気めっき、真空蒸着、スパッタリング、塗布、圧着、溶着などの方法によって形成することができる。このような追加の電極層は、イオン交換樹脂成形品表面またはイオン交換樹脂成形品内部に形成された金属層と同一のものであっても、異なるものであってもよい。このように追加の電極層を設けることによって、さらに高分子電解質アンモニウム誘導体の変位力を増大させることができる。
【0050】このような方法で製造が形成された本発明の高分子電解質アンモニウム誘導体は、作動時に、イオン交換樹脂成形品が含水状態である必要がある。ここで含水状態とは、イオン交換樹脂成形品内部が、前記したようなアルキルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物などを含む水溶液に含水されている状態をいう。本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体では、このような水溶液を含水していれば、水中であっても、高湿度の大気中であっても作動することができる。
【0051】このような高分子電解質アンモニウム誘導体の作動原理は、イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で電位差がかかると、図3に示すようにイオン交換樹脂成形品中の+イオン6が陰極側に移動し、この+イオンに伴われて水分子が膜内で移動するため、陽極側と陰極側とで水分量に差ができるためである。すなわち、+イオンに伴われて水分子が移動した陰極側において含水率が高まることにより膨潤して伸び、逆に、陽極側では含水率が低下するため、収縮し、それにより、イオン交換樹脂成形品が湾曲するからである。
【0052】このような本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、電極間に0.1〜4Vの直流電圧をかけると、数秒以内に素子長の1〜3倍程度の変位を得ることができる。またこのような高分子電解質アンモニウム誘導体は、柔軟に作用することができる。さらにまた、3V程度の電圧を印加しても、イオン交換樹脂成形品内に含まれる水の電気分解が抑制され、これに伴う気泡の発生がない。
【0053】このような高分子電解質アンモニウム誘導体を用いた応用例としては、たとえば図4に示す誘導体が挙げられる。この応用例においては、誘導体としてのガイドワイヤ11は、細長いたとえば合成樹脂やステンレス製のチューブからなる線状部材12と、この線状部材12の先端に接合した高分子電解質アンモニウム誘導体13とから構成されている。
【0054】アクチュエータ13は、やや細長い矩形平板状のイオン交換樹脂成形品14の両面に、本発明に係る方法で形成された一対の電極を有し、この電極15a,15bに電圧を印加することにより、高分子電解質アンモニウム誘導体13が2方向に湾曲するようになっている。
【0055】そして、この各電極15a,15bには、一対のリード線16a,16bの一端がそれぞれ電気的に接合されている。この各リード線16a,16bは、線状部材12の内部に位置して該線状部材12の全長にわたって延び、各リード線16a、16bの他端は、操作制御部17に接続されている。
【0056】この操作制御部17には切換操作可能な操作レバー18が備えられ、この操作レバー18の操作にともなって、前記操作制御部17の内部に内蔵された2極双投スイッチ19を介して、電源20から前記一対のリード線16a、16bに流れる電流の方向が切り替えられるようになっている。
【0057】すなわち、図5において、2極双投スイッチ19が実線で示す位置にある時には、一方のリード線16aが+の電極に、他方のリード線16bが−の電極にそれぞれ接続され、2極双投スイッチ19が操作制御部17の操作レバー18の操作に伴って、中立位置から二点鎖線で示すように切り替えられると、今度は逆に、一方のリード線16aが−の電極に、他方のリード線16bに+の電極にそれぞれ接続されるようになっている。
【0058】このようにして、陽極および陰極を切替操作することにより、高分子電解質アンモニウム誘導体1を任意かつ積極的に変形させることができる。また、本発明に係る製造方法によれば、図6に示されるような円筒状の高分子電解質アンモニウム誘導体40を作製することもできる。
【0059】このような円筒状の高分子電解質アンモニウム誘導体40では、まず、円筒状イオン交換樹脂成形品41に、前述したような方法で金属錯体を吸着させ、還元剤により該金属錯体を還元して、前記イオン交換樹脂成形品41表面に金属を析出させる。このような金属錯体の吸着・還元および金属の析出操作を繰り返して析出金属を成長させ、イオン交換樹脂成形品41表面から内部へと金属層を形成する。
【0060】次に、金属層がその外表面近傍に形成された円筒状イオン交換樹脂成形品41の表面に、レーザー加工装置からレーザー光を照射することによって、照射部分の金属層を除去して、溝形状の絶縁帯42および複数の相互に電気的に絶縁された金属電極43a,43b,43c,43dを形成する。
【0061】図6に示す高分子電解質アンモニウム誘導体は、この各金属電極43a、43b、43c、43dに、リード線44a、44b、44c、44dの一端をそれぞれ電気的に接続し、イオン交換樹脂成形品41を挟んで互いに対向する電極43aと43c、43bと43dに電圧を印加することにより、4方向に湾曲することができ、しかもこの湾曲の方向を組み合わせることより、回転できるようになっている。
【0062】なお、このような金属電極はイオン交換樹脂成形品の内周面に設けられていてもよく、また内周面、外周面の双方に設けられていてもよい。
【0063】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0064】
【比較例1】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.1N NaOH水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0065】なお、曲げ変位量は、図7に示すように試験片の一方から8mmの位置を白金板で挟んで、水中に保持し、かつ白金板からリード線をのばし、ポテンショスタットを介して試験片の両端の金電極に印加することで行った。変位量は固定端から10mmの位置の変位をレーザー変位計を用いて測定した。
【0066】結果を表1に示す。
【0067】
【実施例1】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.5M (C2H5)NH3Cl水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0068】結果を表1に示す。
【0069】
【実施例2】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.5M (CH3)2NH2Cl水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0070】結果を表1に示す。
【0071】
【実施例3】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.5M (C2H5)3NHCl水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0072】結果を表1に示す。
【0073】
【実施例4】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.5M (C3H7)4NCl水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0074】結果を表1に示す。
【0075】
【実施例5】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、0.5M (C4H9)4NCl水溶液に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0076】結果を表1に示す。
【0077】
【実施例6】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、下記に示すアルキルアンモニウムイオンの塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0078】
【化8】

【0079】結果を表1に示す。
【0080】
【実施例7】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、下記に示すアルキルアンモニウムイオンの塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0081】
【化9】

【0082】結果を表1に示す。
【0083】
【実施例8】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、下記に示すアルキルアンモニウムイオンの塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0084】
【化10】

【0085】結果を表1に示す。
【0086】
【実施例9】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、H2C=CHCH2+2CH3の塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0087】結果を表1に示す。
【0088】
【実施例10】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、CH3CH(OH)CH2+3の塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0089】結果を表1に示す。
【0090】
【実施例11】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、H3+CH(CH2OH)2の塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0091】結果を表1に示す。
【0092】
【実施例12】金電極が形成された矩形イオン交換イオン樹脂成形品(イオン交換容量1.8meq/g)を、1.0mm×20mmの大きさに切断したものを試験片として、C25OCH2CH2+3の塩化物水溶液(濃度0.5M)に24時間浸漬したものを試験片とし、表・裏の電極を介して電圧を印加(0.1Hz、1.5Vの方形波)して、変位量を測定するとともに、気泡が発生する電圧(0.1Hzの方形波)を測定した。
【0093】結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】以上の結果から、上記一般式(1)で表されるアンモニウムイオンにイオン交換樹脂の対イオンを交換した高分子電解質アンモニウム誘導体は、比較例1のように従来より用いられているNa+を対イオンとする高分子電解質アンモニウム誘導体と比べて、変位量が大きく、しかも気泡が発生する電圧が高くなることがわかった。
【0096】
【発明の効果】本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、イオン交換樹脂成形品の対イオンを特定のアルキルアンモニウムイオンに交換している。このため、通常使用されている対イオンがNa+またはH+のイオン交換樹脂と比べて、高電圧を高分子電解質アンモニウム誘導体の電極間に印加しても、成形品内部の水の電気分解が起こりにくく、気泡の発生が抑制される。このため、本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、従来品の高分子電解質アンモニウム誘導体と比べて、高い電圧を印加することが可能となり、応答性を高くなる。
【0097】また、このような高分子電解質アンモニウム誘導体では、イオンに伴われて水分子が電極に移動して、移動側の電極近傍で含水率が増大して、成形品が膨潤することによって伸び、一方、移動側と反対側の電極近傍では含水率が低下して収縮する。このため、対イオンを前記のようなアルキルアンモニウムイオンに交換すると、このイオンに伴われて電極に移動する水分子が増え、電極間での含水率の差がさらに大きくなり、湾曲率、すなわち変位量が大きくなる。
【0098】したがって、本発明は上記のような構成であるので、構造が簡単で、小型化が容易であり、応答が速く、変位量が大きい高分子電解質アンモニウム誘導体を得ることができる。
【0099】したがって、本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体をマイクロデバイスの案内部材本体の先端部に接合すると、操作制御部による操作によって、任意かつ積極的に湾曲(変形)させることができるので、案内部材本体の先端部に接続した、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラなどのマイクロサージェリーの医療器具、各種センサー、工具などのマイクロデバイスの誘導性能を向上することができ、これによって、目的部位へ任意の方向に向けることができ、その操作が熟練を要することなく、迅速かつ容易に行うことができる。
【0100】従って、このようなマイクロデバイスおよびそれを備えたマイクロマシンを、例えば、眼球手術、腹腔鏡下手術、微少血管縫合手術などのマイクロサージェリー技術においてピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具に適用すれば、検査や治療時における患者に与える苦痛を極力和らげ、患者に対する肉体的、精神的負担を低減することができる。
【0101】また、このようなマイクロデバイスおよびそれを備えたマイクロマシンを、発電設備等のプラント、航空機エンジン等の機械システムの配管系統やエンジン内部等の検査、補修等を行う各種センサーや、補修用工具などに適用すれば、補修作業に手間や時間を要せず、確実に行うことが可能となる。
【0102】また、本発明に係る高分子電解質アンモニウム誘導体は、上記以外に、高周波振動によるマイクロポンプ、リハビリ用補助動力マッサージ器などの健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚および海草などの水中モービル、動く釣り餌および推進ヒレなどのホビー用品などにも好適に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000001144
【氏名又は名称】工業技術院長
【識別番号】597071652
【氏名又は名称】財団法人 化学技術戦略推進機構
【出願日】 平成10年(1998)3月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−280639
【公開日】 平成11年(1999)10月15日
【出願番号】 特願平10−84495