| 【発明の名称】 |
水車及びポンプ水車 |
| 【発明者】 |
【氏名】西 道弘
【氏名】塚本 直史
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| 【要約】 |
【課題】水車の曲がり吸出し管の上部内壁面に水圧脈動の抑制のために設置されるフィンの設置本数の削減を図る。
【解決手段】フィン2の本数を1本とするとともに、その周方向位置を吸出し管1の曲がり方向と反対側の円周角180°以内に定める。実験によれば、このように定めることにより、1本であっても4本と同等の脈動抑制効果が得られ、フィンの設置コストやフィン背後のキャビテーションによる吸出し管の損傷が低減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】曲がり吸出し管を備えた水車及びポンプ水車において、前記曲がり吸出し管の上部内壁面に軸方向に沿って1本のフィンを設置するとともに、このフィンの周方向位置を前記曲がり吸出し管の曲がり方向と反対側の円周角180°以内に定めたことを特徴とする水車及びポンプ水車。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、曲がり吸出し管(以下、単に吸出し管という)を備えたフランシス形などの水車及びポンプ水車に関し、特に水圧脈動を低減するために吸出し管上部に設置するフィンの配置構成に関する。 【0002】 【従来の技術】水車及びポンプ水車の部分負荷運転時には、吸出し管(ドラフト管)内で水圧脈動が発生する。この脈動を低減する手段の一つとして、吸出し管上部の内壁面に軸方向に沿って2〜4本のフィンを設置する方法が知られている。このフィンの効果については、例えば日本機械学会論文集(B編)59巻 558号,論文No.92-0147「吸出し管内渦振動の吸気とフィンによる抑制」、あるいは日本機械学会第74期通常総会講演会論文集(III),1632「ドラフト管の水圧脈動に及ぼすフィンの影響」に示されている。 【0003】吸出し管内で発生する水圧脈動は、ら旋渦心の振れ回り成分と曲がり部からフット部にかけての圧力回復量の変動による同期成分とに分けられ、キャビテーション係数を減じていく(吸出し管内の圧力を低くする)と吸出し管内で激しい水圧脈動が観察される。この原因は、日本機械学会論文B編60巻 573号, 論文No.93-142 「キャビテーション状らせん渦心に起因した曲がり吸出し管不規則水圧脈動の分析」によれば、吸出し管の固有振動数(水及び気泡を含めた系の固有振動数)と曲がり部付近における渦心の振れ回り周波数とが一致することによる共振状態にあることが明らかにされている。吸出し管内のフィンは、吸出し管内のら旋渦心のキャビテーション体積を減少させる効果があり、これにより上記共振状態が回避されるものと考えられる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記フィンは、従来は複数本、例えば2〜4本設置されている。一方、部分負荷運転時にはフィンの後流にキャビテーションが発生する。そのため、フィン及び吸出し管内は定期的に補修する必要があるが、その場合になるべく少ない本数のフィン、できれば最小限の1本のフィンで水圧脈動を必要なレベルまで低減できれば、その補修時間を短縮することができる。また、フィンの本数を減ずることは、コストの低減にもつながる。更に、フィンの設置による振れ回り周波数の増加も最低限に抑えられる。そこで、この発明の課題は、曲がり吸出し管を備えた水車及びポンプ水車において、最小限の本数のフィンで吸出し管内の水圧脈動を低減することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、曲がり吸出し管の上部内壁面に軸方向に沿って1本のフィンを設置するとともに、このフィンの周方向位置を前記曲がり吸出し管の曲がり方向と反対側の円周角180°以内に定めるものとする。このような手段によれば、フィンの本数を最小限の1本に留めながら、後述するようにフィンを4本とした場合と遜色のない効果を得ることができる。 【0006】水車を部分負荷運転領域で運転すると、吸出し管内に旋回流と関連した大きな水圧脈動がしばしば発生する。この脈動は吸出し管上部内壁面にフィンを取り付けることで抑制できることは知られているが、そのメカニズム、流れに及ぼすフィンの影響、その選定法などは十分明らかになっていない。そこで、発明者らはフィンの取付枚数や取付位置が吸出し管の水圧脈動にどのような影響を及ぼすかについて実験的に調べ、上記したこの発明をするに至ったものである。以下にその実験内容について説明する。 【0007】1.実験パラメータ吸出し管の試験では、旋回水流試験装置を利用し、実験条件を表すパラメータとして、理論旋回度mth(水車の流量比に対応する)とキャビテーション係数Kiを用いる。ここで、【0008】 【数1】mth=Ω/(Ri / M)ただし、Ω:単位時間当たりの角運動量,Ri : 吸出し管入口径,M:単位時間当たりの軸方向運動量である。 【0009】 【数2】Ki=( Ha −Hs ’−Hv )/( ui 2/2g)ただし、Ha : 吸出し管出口水面に働く絶対圧力, Hs ':吸出し管入口までの吸出し高さ, Hv : 蒸気圧(ヘッド), ui : 吸出し管入口断面平均軸流速度,g:重力加速度である。また、水圧脈動振幅として、無次元振幅Δψrms を採用した。ここで、【0010】 【数3】Δψrms =ΔHrms /(ui 2/2g)ただし、ΔHrms :脈動振幅のrms(2乗平均)値である。 【0011】2.吸出し管及びフィンこの実験に用いた透明アクリル樹脂製吸出し管を図3((A)は平面図、(B)は側面図)に示す。この供試吸出し管1は、入口径 2Ri =125mm ,入口円錐角9°,出入口面積比4の形状を有している。図中に示すL1〜L4は測定孔である。フィン2は、周方向に4本まで取り付けることができ、フィン2の先端が吸出し管1の入口より下流側に21mmの軸方向位置にくるように取り付けた。なお、周方向取付位置を示すために、入口円錐部測定孔L1とL2の中間に置いたフィン2をNo.1とし、残り3箇所を旋回方向である時計回りにNo.2〜No.4とする。使用したフィン2の形状及び寸法を図4((A)は平面図、(B)は側面図、(C)は右正面図)に示す。フィン2は二等辺三角形の断面形状となっている。 【0012】3.実験方法及び可視化方法実験は、ランナの代わりに固定静止案内羽根で流れに旋回を与え、旋回度mth=1.0 のもとでキャビテーション係数Kiを変化させて進めた。運転点に設定した後、各孔L1〜L4に取り付けた圧力センサを用いて壁面静圧を同時測定した。可視化では、測定孔L1,L2を含む入口円錐断面に光(スポットライト500W)をスリット(スリット幅1mm)を通して照射し、測定孔L4より内視鏡を管内に挿入して入口円錐部のB−B断面(図3参照)におけるキャビテーション状渦心の振れ回り挙動を観察した。運動解析を行うためCCDカメラを光ファイバを介して内視鏡と接続し、画像をビデオテープに収録した。 【0013】4.実験結果及び考察4−1 フィン枚数と脈動振幅フィン枚数を変えて調べた、水圧脈動無次元振幅Δψrms のキャビテーション特性をまとめて図5に示す。フィンがない場合には、キャビテーション係数Kiが12以下になるとその低下とともに振幅が急激に増大するいう性質がいずれの結果にも認められる。図5によれば、実用されることの多い4枚のフィンを設けることで、激しい水圧脈動をもたらす共振現象を抑制できたことがわかる。この運転条件(mth=1.0 )では、枚数を減らして2枚(No.1,No.3)、更に1枚(No.2)とした場合でも、十分な脈動低減へのフィンの設置効果が見られた。 【0014】4−2 フィン周方向位置と脈動振幅1枚のフィンによっても脈動を抑える効果があったので、その周方向設置位置の脈動特性に及ぼす影響を調べた。図6がその結果であり、フィン周方向位置によってその効果に違いが見られる。すなわち、No.1及びNo.2の効果が大きく、No.3がそれに次ぎ、No.4が最も効果が小さい。 【0015】4−3 入口円錐断面での渦心の振れ回りフィンを取り付けることで管内の流れが受ける影響を明らかにするために、Ki=12付近でらせん渦心内のキャビテーションによって流れを可視化してB−B断面における渦心の挙動を調べた。記録された50枚の画像を重ね合わせ処理した結果を図7に示す。下流側から撮影しているので、図中における旋回方向は反時計回りとなる。管内の黒い部分がキャビテーションの存在した領域(渦心の軌道)に対応するので、これから時間平均的な渦心の振れ回り挙動が推測される。なお、管壁に接する三角はフィンを表し、その背後にもキャビテーションが発生したことが知れる(注:投光法の影響で2枚分しか検出できていない)。 【0016】フィンを取り付けていない場合の(a)図とフィン4枚の(d)図から、渦心は管軸(死水域)回りをほぼ円運動するものの、死水域はフィンによって狭められることがわかる。フィンを1枚にした(b)及び(c)図の結果においても渦心は同心円運動をしているとみなされるが、その半径位置に違いが見られる。黒い部分の半径、つまり振れ回り円運動の半径が小さいほど振動が少ないが、No.2フィン1枚の(c)図の効果はフィン4枚の(d)図の結果と同等であるといえる。 【0017】以上の実験の結果の考察から、フィンを1枚にしても、その周方向位置を上記実験のNO.1あるいはNO.2の位置、つまり吸出し管の曲がり方向と反対側の円周角180°以内とすれば、その水圧脈動抑制効果はフィン4枚と遜色がないものといえる。 【0018】 【発明の実施の形態】図1及び図2は縦軸フランシス水車におけるこの発明の実施の形態を示すもので、図1の(a)図は水車の縦断面図、(b)図はそのB−B断面図、図2の(a)図は図1におけるフィンの平面図、(b)図はその側面図、(c)図はその右正面図である。フィン2は図2に示すように、断面が二等辺三角形で上端部(図2の左端部)に勾配が設けられ、鋼板の折曲げ・溶接により製作されている。このフィン2は1本のみが図1に示すように、フランシス水車3のランナ出口部に接続された吸出し管1の上部内壁面に軸方向に沿って溶接により固着され、その周方向位置は吸出し管1の曲がり方向(図1の右方向)と反対側の円周角180°(円弧矢印の範囲)以内に定められている。このようなフィン2の設置位置によれば、1本のフィン2により、吸出し管1内の水圧脈動を2〜4本のフィンを持つものと同程度に抑制することができる。なお、図示実施の形態では縦軸フランシス水車の場合を示したが、この発明は、縦軸フランシスポンプ水車はもちろん、曲がり吸出し管を有する横軸フランシス水車・ポンプ水車、斜流水車などにも適用可能である。 【0019】 【発明の効果】この発明によれば、フィンの設置本数を最小限の1本としながら十分な水圧脈動抑制効果が得られるので、フィンを取り付けるためのコスト及びフィン取り付け後のフィンや吸出し管の補修費用の低減が図れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598048727 【氏名又は名称】富士・フォイト ハイドロ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】駒田 喜英
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| 【公開番号】 |
特開平11−280634 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月15日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−100511 |
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