| 【発明の名称】 |
高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡 部 繁 則
【氏名】石 黒 光 宏
【氏名】小 宮 浩
【氏名】黒 川 敏 史
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| 【要約】 |
【課題】ランナを空転運転させる際、高圧空気が吸出し管の下流に大量に漏気することがなく安定した調相運転できる吸出し管を得ること。
【解決手段】ランナの出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe(m/s)、空気の密度をρa(kg/m3 )、水の密度をρw(kg/m3 )および重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd をFd ={ρa/(ρw−ρa)}1/2 Ue/(g・D) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ランナを収納するランナ室に接続された吸出し管内に高圧空気を注入して吸出し管内の水面を押し下げ、上記ランナを空気中において空転運転させるようにした高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管において、上記ランナの出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe (m/s)、空気の密度をρa (kg/m3 )、水の密度をρw (kg/m3 )、及び重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd を、Fd ={ρa /(ρw −ρa )}1/2 Ue /(g・D) と定義し、1.2≦Fd ≦1.8の範囲で、この密度比補正フルード数Fd に対応して従来の実績値等をもとにして求められた限界密度比補正フルード数Fd-cと、予め実験によってもとめられた限界密度比補正フルード数Fd-c に対する吸出し管の吸出し高さF及び吸出し管エルボオフセット寸法Rの組合せ線図から、前記吸出し管の適切な吸出し管高さFと吸出し管エルボオフセット寸法Rの組合せを決定したことを特徴とする高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管。 【請求項2】特定の吸出し管エルボオフセット寸法及び吸出し管高さの組合せにおいて、数種類の密度比補正フルード数のもとで、押し下げ水位を変化させて軸入力の限界水位Ztと漏気特性の限界水位Z1 を求め、各密度比補正フルード数に対するZt/Dをプロットした直線とZ1 /Dをプロットした直線との交点の密度比補正フルード数を、上記特定の吸出し管エルボオフセット寸法及び吸出し管高さの組合わせの限界密度比補正フルード数Fd-c としたことを特徴とする、請求項1記載の高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管。 【請求項3】限界密度比補正フルード数Fd-c とR/D及びF/Dの組合わせの関係線図を求め、その線図から所望の限界密度比補正フルード数に対応するR/Dの値を採用し、このR/Dの値におけるそれぞれのF/D曲線上の限界密度比補正フルード数を読みとり、この限界密度比補正フルード数とF/Dとの関係からF/Dの値を決定したことを特徴とする、請求項2記載の高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管。 【請求項4】ランナを収納するランナ室に接続された吸出し管内に高圧空気を注入して吸出し管内の水面を押し下げ、上記ランナを空気中において空転運転させるようにした高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管において、上記ランナの出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe (m/s)、空気の密度をρa (kg/m3 )、水の密度をρw (kg/m3 )、及び重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd を、Fd ={ρa /(ρw −ρa )}1/2 Ue /(g・D) と定義し、1.2≦Fd ≦1.8の範囲で、この密度比補正フルード数Fd に対応して従来の実績等をもとにして限界密度比補正フルード数Fd-c を求め、この限界密度比補正フルード数Fd-c に対して、F/D=3.34F d-c2 −9.95Fd-c +11.02及び、R/D=−1.15F d-c2 +5.71Fd-c −4.35なる関係を満たすように、吸出し筒高さF及び吸出し管エルボオフセット寸法Rが決定されていることを特徴とする、高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管。 【請求項5】ランナを収納するランナ室に接続された吸出し管内に高圧空気を注入して吸出し管内の水面を押し下げ、上記ランナ空気中において空転運転させるようにした高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管において、ランナとその外周に配列されたガイドベーンとの間の外周流路と吸出し管とを連通するランナ室排水管の上記吸出し管への開口部が、ランナの出口径をDとしたとき、吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方へ垂直距離で1.3D以上離した位置に設けられていることを特徴とする、高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ランナを収納するランナ室と吸出し管との間を接続するランナ室排水管等を備え、前記ランナ室内に高圧空気を注入してランナ室内の水をランナ室下方に連接されている吸出し管内に押下げてランナを空転運転させる高落差高押込み深さ用ポンプ水車に関する。 【0002】 【従来の技術】最近のポンプ水車などの水力機械は、経済性を指向して高落差化しており、このような高落差の水力機械の吸出し高さ、或いは押込み深さはキャビテーション防止のなどの観点から相対的に高くなっており、その結果吸出し管内の水圧力は高いものとなっている。 【0003】ところで、かかるポンプ水車において、電力系統の安定化や電力需要の変化に迅速に対応するため、ポンプ水車のランナを長時間にわたって空転させる調相運転が行なわれることが多い。 【0004】図13は上記調相運転について説明するためのポンプ水車を模式的に示す縦断面図である。 【0005】図13において、符号1はポンプ水車であって、駆動軸2の下端にランナ3が装着されており、そのランナ3がランナ室4内に配設されている。ランナ室4の外周にはケージング5が設けられており、そのケーシング5とランナ室4との間にはランナ3と同心状に複数のガイドベーン6が配設されている。また、ランナ室4の下端部には吸出し管7が連設されており、ランナ室4の側圧室4aと吸出し管7との間にはその両者間を連通する第1のランナ室排水管8が設けられ、ランナ3とガイドベーン6との間のランナ外周流路4bと吸出し管7との間にはそれらを連通する第2のランナ室排水管9が設けられている。 【0006】このようなポンプ水車1に於いては、調相運転時は電力負荷を軽減するため、ガイドベーン6を全閉した後、吸出し管7内へ高圧空気を供給してランナ室4内の水を吸出し管7内に排水して水面Lをランナ3の下端部3aよりも所定距離だけ押し下げ、ランナ3を空転させて駆動トルクを軽減している。また、第1および第2のランナ室排水管8および9によりランナ室4と吸出し管7との間を連通させてランナ室4内の水の排水を促進させ、長時間にわたって安定した調相運転が実施できるようになっている。 【0007】ところで、調相運転はランナ3と水面Lとの間の空間10内の空気は、ランナ3の回転によるランナ遠心風圧力の作用により回転方向にかき回され、図13に示すように水面Lには大きな波立ちや動揺が発生し、特に吸出し管7内の圧力が高い場合に顕著になる。 【0008】従って、吸出し管7内の水が飛散してランナ3に付着し、ランナ3の回転にアンバランスが生じたり駆動軸2の入力が急増したり、さらには水面Lの動揺により高圧空気の一部が吸出し管7のエルボ部7aを介して吸出し管7の下流側7bに向かって漏れだし、ランナ室4内への高圧空気の供給が追いつかなくなったりする不具合が生じる可能性があった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】そこで、上述した問題点を解決するために、漏気を抑制するための吸出し管形状を規定したものとして、特開平6−260375号公報、吸出し管の高さを規定したものとして特開平3−260375号公報などがあるが、密度比補正フルード数が大きい場合の取り扱いは明確になっていない。吸出し管の下流側への漏気を抑制するには吸出し管の高さをかなり大きくすればそれなりの効果が得られるが、土木工事の経済性などを考えると、吸出し管の高さを必要以上に高くすることはメリットがない。従って、密度比補正フルード数が大きい領域での適切な吸出し管の形状あるいは高さを設定する方策が必要であるが、このような方策についての提案は現在のところ見あたらない。 【0010】本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、ランナを空転運転させる際、軸入力が増加したり、高圧空気が吸出し管の下流に大量に漏気することなく、長時間にわたって安定した調相運転を行うことを第一の目的とし、また吸出し管形状及び吸出し管高さを適切に決定することにより、必要以上に吸出し管高さを大きくすることなく土木工事等の経済性を十分図ることを第二の目的とする高落差高押込み深さ用ポンプ水車を得ることを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ランナを収納するランナ室に接続された吸出し管内に高圧空気を注入して吸出し管内の水面を押し下げ、上記ランナを空気中において空転運転させるようにした高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管において、上記ランナの出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe (m/s)、空気の密度をρa (kg/m3 )、水の密度をρw (kg/m3 )、及び重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd を、Fd ={ρa /(ρw −ρa )}1/2 Ue /(g・D) と定義し、1.2≦Fd ≦1.8の範囲で、この密度比補正フルード数Fd に対応して従来の実績値等をもとにして求められた限界密度比補正フルード数Fd-cと、予め実験によってもとめられた限界密度比補正フルード数Fd-c に対する吸出し管の吸出し高さF及び吸出し管エルボオフセット寸法Rの組合せ線図から、前記吸出し管の適切な吸出し管高さFと吸出し管エルボオフセット寸法Rの組合せを決定したことを特徴とする。 【0012】また、請求項4記載の発明は、ランナを収納するランナ室に接続された吸出し管内に高圧空気を注入して吸出し管内の水面を押し下げ、上記ランナを空気中において空転運転させるようにした高落差高押込み深さ用ポンプ水車の吸出し管において、上記ランナの出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe (m/s)、空気の密度をρa (kg/m3 )、水の密度をρw (kg/m3 )、及び重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd を、Fd ={ρa /(ρw −ρa )}1/2 Ue /(g・D) と定義し、1.2≦Fd ≦1.8の範囲で、この密度比補正フルード数Fd に対応して従来の実績等をもとにして限界密度比補正フルード数Fd-c を求め、この限界密度比補正フルード数Fd-c に対して、F/D=3.34F d-c2 −9.95Fd-c +11.02及び、R/D=−1.15F d-c2 +5.71Fd-c −4.35なる関係を満たすように、吸出し筒高さF及び吸出し管エルボオフセット寸法Rが決定されていることを特徴とする。 【0013】さらに、請求項5記載の発明は、ランナとその外周に配列されたガイドベーンとの間の外周流路と吸出し管とを連通するランナ室排水管の上記吸出し管への開口部が、ランナの出口径をDとしたとき、吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方へ垂直距離で1.3D以上離した位置に設けられていることを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、図1乃至図12を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、図中図13と同一部分には同一符号を付して説明する。 【0015】図1において、符号1はポンプ水車であって、駆動軸2の下端にランナ3が装着されており、そのランナ3がランナ室4内に配設されている。ランナ室4の外周にはケージング5が設けられており、そのケーシング5とランナ室4との間にはランナ3と同心状に複数のガイドベーン6が配設されている。また、ランナ室4の下端部には吸出し管7が連設されており、ランナ室4の側圧室4aと吸出し管7との間にはその両者間を連通する第1のランナ室排水管8が設けられ、ランナ3とガイドベーン6との間のランナ外周流路4bと吸出し管7との間にはそれらを連通する第2のランナ室排水管9が設けられている。 【0016】そこで、このような高落差高押込み深さ用ポンプ水車においてランナ3を気中で空転運転させるいわゆる調相運転を行なう場合には、ガイドベーン6を全閉とした後に吸出し管上部に接続された高圧空気注入管(図示せず)から高圧空気を供給し、ランナ室4内の水を空気に置換し、水面をランナ3の下端部よりも下方に下げる。この場合、通常は効率的な高圧空気の供給を行なうため、吸出し管7内で規定押し下げ水位の上限L1 を及び規定押し下げ水位の下限L2 を設定している。 【0017】すなわち、最初に水面押し下げを行うとき、また調相運転に入ってから漏気による補給気を行い、給気を停止する水面レベルとして規定押し下げ水面レベルの下限L2 を設定し、漏気により水面レベルが上昇し、ランナに近付き過ぎないように補給気する水面レベルとして、規定押し下げ水面レベルL1 を設定する。 【0018】また、第一のランナ室排水管8及び第二のランナ室排水管9によって、ランナ室4内の水の排水を促進させ、安定した調相運転を可能にする。 【0019】図2は密度比補正フルード数が1.2から1.8の発電所要項に対して、漏気を抑制するための吸出し管エルボオフセット寸法Rおよび吸出し管高さFを決定する手順を示したものである。 【0020】まず、発電所の要項が与えられた場合、これらからランナ出口径、主機の回転数、押込み深さを決定し、密度比補正フルード数Fd を算出する。すなわち、ランナ出口径をD(m)、ランナ出口周速をUe(m/s)、空気の密度をρa (kg/m3 )、水の密度をρw (kg/m3 )および重力の加速度をg(m/s2 )としたとき、密度比補正フルード数Fd をFd ={ρa /(ρw −ρa )}1/2 Ue/(g・D) として算出する。この場合、空気の密度、水の密度は押込み深さから決まる。 【0021】次に、従来の実績値を考慮した関係式を用いて密度比補正フルード数Fd から限界密度比補正フルード数Fd-c を求める。この関係式は、本発明の方法で吸出し管を決定する際に余裕を与えるもので、吸出し管に給気する場合の給気弁の動作遅れによる過給気による押し下げ水位の低下と吸出し管下流への漏気、及びある時間経過後の漏気による押し下げ水位の上昇によるランナへの水滴の巻き込みによる軸入力の増加などを考慮し、適正な規定押し下げ水面レベルが設定可能な吸出し管が求まるような式となっている。具体的には、図3にも示すように Fd-c =Fd (0.24Fd +0.88) (1) なる関係式である。 【0022】限界密度比補正フルード数Fd-c が求まれば、実験から求めた限界密度比補正フルード数Fd-c と吸出し管エルボオフセット寸法および吸出し管高さの関係線図から吸出し管エルボオフセット寸法Rおよび吸出し管高さFの組合わせが得られる。この組合わせから適正な吸出し管を決定する。 【0023】ここで、本発明による高落差高押込み深さ用ポンプ水車に於いて、吸出し管決定方策を決めるにあたり、実施した検証試験による限界密度比補正フルード数Fd-c と吸出し管エルボオフセット寸法および吸出し管高さの関係線図の求め方と、吸出し管エルボオフセット寸法および吸出し管高さの決め方を具体的に説明する。 【0024】まず、特定の吸出し管エルボオフセット寸法R及び吸出し管高さFの組合わせに於いて、数種類の密度比補正フルード数のもとで、押し下げ水位を変化させて軸入力及び漏気量の変化を検出し、軸入力の限界水位Zt(図4)、及び漏気特性の限界水位Z1(図4)を求める。 【0025】次に図5に示すように横軸に密度比補正フルード数をとり、縦軸に軸入力の限界水位Zt、及び漏気量の限界水位Z1のランナ出口径Dに対する比をとり、前記数種類の各密度比補正フルード数におけるZt/Dをプロットした直線とZ1/Dをプロットした直線との交点の密度比補正フルード数を、この吸出し管エルボオフセット寸法及び吸出し管高さの組合わせに於ける限界密度比補正フルード数Fd-c とする。 【0026】このような方法で別の多くの吸出し管エルボオフセット寸法R及び吸出し管高さFの組合わせについても、限界密度比補正フルード数Fd-c を求める。 【0027】これらの結果から、限界密度比補正フルード数Fd-c とランナ出口径Dに対する吸出し管エルボオフセット寸法の比R/D及びランナ出口径Dに対する吸出し管高さの比F/Dの組合わせの関係として整理した線図の例が図6である。尚、図6中の曲線は説明のために3種類のみ表示してある。 【0028】次に、この図6の線図と前述した限界密度比補正フルード数Fd-c から吸出し管エルボオフセット寸法および吸出し管高さの組合わせを求める方法を図7で説明する。 【0029】前述した方法で求めた限界密度比補正フルード数Fd-c を例えば値aとした場合、値aに対応するR/Dのとりうる範囲は図7でb1以上であり、またF/Dの取りうる範囲はc3以下c2以上である。これはR/Dを大きくするとF/Dが小さくなり、R/Dを小さくするとF/Dが大きくなることを示している。この場合、R/Dがb1からb2に近づくにつれてF/Dがc3からc2に小さくなっていくが、その減少の割合が小さくなり、そしてR/Dがb2以上ではF/Dがc2のままほとんど小さくならないことに注意する必要がある。従って、このことを考慮して妥当と考えられるR/Dを決定する。説明上、図7中に於いてR/D=bとする。もちろん、吸出し管高さを可能な限り低くしようと意図する場合、選択肢としてR/Dにb2を採用することも考えられる。 【0030】R/Dが決まれば、R/D=bに於けるそれぞれのF/D曲線上の限界密度比補正フルード数Fd-c を読み取る。この値を図7に示したようにa1,a2およびa3とする。これらから、図8に示すような線図を作成する。そして、この3点のデータから補間式を求め、これに値aを代入してF/D=cを算出する。 【0031】以上により、発電所の要項に応じて適正な吸出し管を決定することが可能となる。 【0032】このように本発明の上記実施の形態では、密度比補正フルード数Fd が1.2〜1.8以下という、従来にない高い領域をも含む領域に於いて、発電所の要項から算出される密度比補正フルード数Fd から限界密度比補正フルード数Fd-cを求め、実験的に求めた吸出し管エルボオフセット寸法R及び吸出し管高さFと限界密度比補正フルード数Fd-c の関係の線図から吸出し管を決定すれば、必要以上に吸出し管高さを大きくすることもなく、即ち土木工事に於いても経済的に且つ安定した調相運転を行うことができる。 【0033】ところで、上記の実施の形態に於いては、限界密度比補正フルード数Fd-c から吸出し管エルボオフセット寸法Rと吸出し管高さFの組合わせを決定する際、その選択肢にはかなりの自由度がある。しかし、吸出し管高さの種類それぞれについて、吸出し管エルボオフセット寸法がある値以上では吸出し管エルボオフセット寸法を大きくしても限界密度比補正フルード数Fd-c があまり大きくならない傾向がある。そして、吸出し管エルボオフセット寸法を必要以上に大きくした場合、吸出し管の非円形断面部の範囲が長くなるために強度上の対策が必要になる可能性などが考えられる。従って、吸出し管形状を決定する場合、合理的に考えるならば適正な吸出し管エルボオフセット寸法と吸出し管高さの組合わせが存在する。これを示したものが図9である。 【0034】図9に示した適正オフセット寸法曲線は、それぞれの吸出し管高さについての吸出し管エルボオフセット寸法R/Dと限界密度比補正フルード数Fd-c との関係曲線上での、吸出し管エルボオフセット寸法R/Dの増加に対して限界密度比補正フルード数Fd-c の増加傾向が弱まるポイントを滑らかに結んだものである。次に、それぞれのポイントに於ける限界密度比補正フルード数Fd-c を求め、横軸に限界密度比補正フルード数Fd-c を、縦軸に吸出し管エルボオフセット寸法R/Dと吸出し管高さF/Dを取って整理したものが図10である。実験に基づく詳細データからこの二つの曲線、すなわち限界密度比補正フルード数Fd-cに対する吸出し管エルボオフセット寸法R/D曲線、および限界密度比補正フルード数Fd-c に対する吸出し管高さF/D曲線を定義した式は以下の通りである。 (R/D)=−1.15F d-c2+5.71Fd-c−4.35 (2) および (F/D)=3.34F d-c2−9.95Fd-c+11.02 (3) 【0035】以上により、発電所の要項から算出される密度比補正フルード数Fd から限界密度比補正フルード数Fd-c を求め、式(2)および式(3)を用いて計算することで当該の吸出し管の適正な吸出し管エルボオフセットRと吸出し管高さFを一義的に決定することができる。 【0036】このようにこの実施の形態では、密度比補正フルード数Fd が1.2〜1.8以下という、従来にない高い領域をも含む領域において、発電所の要項から算出される密度比補正フルード数Fd から限界密度比補正フルード数Fd-c を求め、実験的に求めた適正な吸出し管エルボオフセット寸法Rと吸出し管高さFとを与える計算式から吸出し管を決定すれば、必要以上に吸出し管高さを大きくすることもなく、即ち土木工事に於いても経済的に且つ安定した調相運転を行うことができる。 【0037】一方、図11は、前記ランナ3とその外周に配列されたガイドベーン6との間の外周流路4bと前記吸出し管7とを連通する第二のランナ室排水管9を、前記吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方へ垂直距離で1.3D未満の位置の前記吸出し管断面に設けた場合のポンプ漏気特性の模型試験結果を示す例である。図11中の(a)〜(c)は、第二のランナ室排水管9と吸出し管流路のエルボ部上面最下端部との位置は同じで、吸出し管高さのみ変えてある。また、R/Dは約2.8である。 【0038】この例のように吸出し管エルボオフセット寸法が従来用いられている吸出し管に対して大きな場合、同じ吸出し管高さでは漏気量は全体的に少なくなり、また漏気量の押し下げ水位に対する変化は、押し下げ水位のあるレベルでいったんピーク値を示した後、押し下げ水位が低くなるにしたがって減少していき吸出し管流路のエルボ部上面最下端部に達して一気に漏気するような特性を示す。ここで、(a)および(b)に示した吸出し管高さF/Dが3.7あるいは4といった場合の漏気特性は、ピーク部の形状がふた山になっている。このふた山のピークの最初の山は、実験による詳細な観察の結果、第二のランナ室排水管の吸出し管開口部から流出する気泡が水面動揺に伴い発生する水中の渦に巻き込まれて吸出し管の下流へ直接流出することによって生じていることが判明した。この影響を除去すれば漏気特性が改善できる。 【0039】そこで、第二のランナ室排水管9の吸出し管開口部位置について、吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方への垂直距離を数種類変化させて試験を行った。この結果、吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方へ垂直距離で1.3D以上の位置の前記吸出し管断面に設けた場合、漏気量の変化が図12の実線で示すようになり、斜線で示した部分がなくなり、第二のランナ室排水管の吸出し管開口部から流出する気泡が水面動揺に伴い発生する水中の渦に巻き込まれないことが検証できた。 【0040】このように、第二のランナ室排水管9の前記吸出し管流路への開口部を前記吸出し管流路のエルボ部上面最下端部から上方へ垂直距離で1.3D以上離した位置にした場合には、この第二のランナ室排水管9から流出する気泡が水面動揺に伴い発生する水中の渦に巻き込まれて吸出し管の下流へ直接流出し、これが原因による漏気量の増加が発生することはない。また、この場合同一断面の任意の方位に第二のランナ室排水管を接続できるために配管設計の自由度が向上する。 【0041】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、発電所の要項から高落差高押込み深さ用ポンプ水車の適正な吸出し管を算定できるため、発電所設計における選択の自由度を大幅に増加させることになり、経済的に有利な吸出し管を備えた高落差高押込み深さ用ポンプ水車を得ることができる。また、ランナを空転運転させる場合、漏気量の少ない長時間の安定した空転運転が可能な高落差高押込み深さ用ポンプ水車を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003687 【氏名又は名称】東京電力株式会社 【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月27日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−280633 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月15日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−81608 |
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