トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 内燃エンジンの燃料噴射装置
【発明者】 【氏名】デービス、ロバート、マックス

【氏名】ダシルバ、ジョージ、マニュエル、ペレイラ

【要約】 【課題】エンジンに送出される燃料の通路中での付着物の形成を減少する。

【解決手段】内燃エンジンの燃料噴射装置は選択的に作動可能なノズル本体(10)を有し、燃料はこのノズルを通ってエンジンの燃焼室に送出される。前記ノズル本体(10)は、内側環状面(43)を有するポート(12)と前記内側環状面に関して同心の外側環状面(44)を有する弁部材(20)とを有する。前記環状面は、前記内側環状面及び前記外側環状面が前記ノズルを閉じながらシール接触しているときに、着座線(45)はこの両環状面で形成される通路の下流側にあり、これらの環状面間の通路の最大幅(47)が、前記環状面に垂直な方向で実質的に30μmを越えないように、好ましくは20μm以下となるように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】選択的に作動可能なノズルを有し、燃料がこのノズルを通ってエンジンの燃焼室に送出される内燃エンジンの燃料噴射装置において、前記ノズルは、内側環状面を有するポートと前記内側環状面に関して同心の外側環状面を有する弁部材とを有し、前記弁部材は、前記内側環状面と前記外側環状面との間に燃料を送出するための連続した通路を形成するか又は夫々の環状面に対してほぼ同心の円形の着座線に沿ってこれらの環状面間にシール接触を形成して環状面間の燃料の送出を回避するかを選択的に行うようにポートに対して軸線方向に移動自在であり、前記着座線は前記通路の燃料流れ方向の下流端に隣接して設けられ、前記両環状面の通路の最大幅は自動的に30μmを越えないことを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項2】弁部材は燃料の噴射のための連続的通路を提供するためにポートに対し外方向に軸線移動可能である、請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項3】通路の前記最大幅が約20μm以下である、請求項1または2に記載の燃料噴射装置。
【請求項4】環状面のうちの少なくとも一方が約0.50mm乃至2.00mmの長さを有する、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項5】環状面のうちの少なくとも一方が約0.8 mm乃至1.50mmの長さを有する、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項6】内側および外側環状面は着座線から下流方向に滑らかに拡張していることを特徴とする、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項7】内側環状面と外側環状面は前記着座線から上流側に向けて全長にわたって滑らかに拡張している、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項8】少なくとも1つの環状面は截頭円錐形状をしていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項9】少なくとも1つの環状面は他の環状面と同軸の球面部分を有している、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項10】ポート又は弁部材のうちの少なくとも1つはその環状面の下流端において終端面を有し、前記終端面は前記環状面に対し実質的に直交している、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項11】ポートと弁部材はそれぞれ環状面の下流端に終端面を有し、前記両終端面は、2つの環状面が着座線において接触した際実質的に整合する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【請求項12】燃料はガス中に同伴されて噴射されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃エンジンに燃料を噴射するための弁制御式ノズルに関する。本明細書中、「内燃エンジン」という用語は、往復動エンジンやロータリーエンジンのような間歇的燃焼サイクルを有するエンジンに限定されるということは理解されよう。
【0002】
【従来の技術】ノズルから内燃エンジンの燃焼室へ直接的に送出される燃料スプレーの性質は、燃料の燃焼効率に大きな影響を与え、これは、エンジンの作動の安定性、エンジンの燃料効率及びエンジンの排気ガスの組成にも影響を与える。これらの効果を特に火花点火式エンジンで最大限に利用するため、ノズルから出る燃料のスプレーパターンの所望の性質には、燃料の液滴の大きさが小さいこと(液体燃料の場合)、燃料スプレーの制御された形状及び浸透が含まれ、そして、少なくともエンジン負荷が小さい場合に、比較的に収容され且つ均等に分配された点火可能な燃料蒸気の雲がエンジンの点火プラグの近傍にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】燃料をエンジンの燃焼室内に直接的に送出するのに使用される幾つかの周知の噴射ノズルは、ポペット弁型のノズルであり、これは燃料を円筒形又は末広がりの円錐形スプレーの形態で送出する。燃料スプレーの形状の性質は、ノズルを構成するポート及び弁の形状、特にノズルを閉じた時にポートと弁が係合してシールが行われる弁座のすぐ近くのポート及び弁の表面の形状を含む多数のファクタによって決まる。ノズルの形状を所要の性能を与えるように選択すると、この形状からの比較的僅かなズレが前記性能に大きな劣化をもたらすことがある。
【0004】特に、固体の燃焼生成物の付着又は形成、或いは燃料が上を流れる表面上の他の付着物がノズルの正確な性能に対する損傷となることがある。これらの表面上での形成の主な原因は、燃焼又は噴射サイクル間にこれらの表面上に残った残留燃料の部分燃焼によって作りだされた炭素等又は他の粒子、又は燃焼中に燃焼室内でつくりだされた炭素等の粒子がこれらの表面に付着することである。
【0005】更に、これらの表面上での付着物の生成は、噴射ノズルのところで燃料の計量を行う噴射ノズルの計量性能に悪影響を与える。付着物の存在は、開放時のノズルを通る燃料通路の断面積を直接的に減少させ、及び/又は弁とポートとの間を偏心させ、これによって燃料通路の断面積を変化させる。これらの付着物の程度によっては、噴射装置のノズルの適正な閉鎖を行うことができず、かくして燃料がノズルを通って燃焼室内に連続的に漏れてしまうことが起こる。この漏れは、排気ガス中の排出物のレベル並びにエンジンの作動の不安定性に深刻な悪影響を与える。
【0006】従って、本発明の目的は、エンジンに送出される燃料の通路中での付着物の形成を減少するのに貢献し、これによって作動中のノズルの性能を改善する、燃料を内燃エンジンに噴射するノズルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的に関して、選択的に作動可能なノズルを有し、燃料がこのノズルを通ってエンジンの燃焼室に送出される内燃エンジンの燃料噴射装置において、前記ノズルは、内側環状面を有するポートと前記内側環状面に関して同心の外側環状面を有する弁部材とを有し、前記弁部材は、前記内側環状面と前記外側環状面との間に燃料を送出するための連続した通路を形成するか又は夫々の環状面に対してほぼ同心の円形の着座線に沿ってこれらの環状面間にシール接触を形成して環状面間の燃料の送出を回避するかを選択的に行うようにポートに対して軸線方向に移動自在であり、前記着座線は前記通路の燃料流れ方向の下流端に隣接して設けられ、前記両環状面間の通路の最大幅は実質的に30μmを越えない、燃料噴射装置が提供される。
【0008】通路の最大幅は、好ましくは、約20μm以下である。
【0009】好ましくは、ポートが形成された本体及び弁部材は内側環状面及び外側環状面の下流端に夫々終端面を有し、これらの終端面は夫々の環状面にほぼ垂直である。好ましくは、終端面は、夫々の環状面に対して約垂直±10°である。
【0010】好ましくは、本体及び弁部材の終端面は、弁部材が円形の着座線に沿ってポートに対してシール接触した状態で着座しているときに同延であるか或いは、弁部材が着座しているとき、少なくとも環状面のいずれかが他方の先端を越えて下流端でオーバーハングしているか延びている。
【0011】内側環状面及び外側環状面のうちの少なくとも一方の長さが、好ましくは、約0.50mm乃至2.00mmであり、便利には、約0.8mm 乃至1.50mmである。
【0012】好ましくは、内側環状面及び外側環状面は、円形の着座線から送出中の燃料の流れ方向で下流に末広がりになるように、その共通の軸線に対して夫々の角度で傾斜している。
【0013】円形の着座線は、ポートの内側環状面の内端即ち小径端に、又はこの端に隣接して配置することができる。
【0014】内側環状面及び外側環状面は、截頭円錐形形状であるのがよいが、弁部材の外側環状面は、軸線方向断面で弧状になっていてもよく、便利には、ポートの内側環状面に対して部分球形面である凹型を提供する。凹型面の使用は、ポートと弁部材との間の円形の着座線によるシールの所望の位置決めを行う上で、製造を助ける。
【0015】内側環状面と外側環状面の上述の関係は、試験において、所望のスプレー形成を維持し、従来技術で達成されたよりも長期間に亘ってノズルの所望の性能を維持することがわかった。円形の着座線の下流での環状面間の隙間の最大寸法を減少することによって、ノズルの閉鎖毎に付着物に衝撃荷重を発生させることが示唆されている。この衝撃荷重は、付着物を付着物を取り退け、付着物が向き合った面上に形成されることをなくす。
【0016】更に、ポートと弁部材の終端面を夫々の環状面に対してほぼ直角に配置することによって、終端面上の付着物を燃料の直接通路内にある燃料通路内へ延長し、これによって燃料から最大衝突力を加えてこのような付着物の延長を破壊する。弁部材がポート内で着座したとき夫々の終端面が同延であるようにすることによって、このようなオーバーハング付着物の発達もまた回避される。
【0017】本発明は、本発明の実施例を組み込んだ添付図面に示す燃料噴射ノズルの三つの実際の装置の以下の説明から更に容易に理解されるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】図1及び図2を参照すると、ノズル本体10はその下部に軸線方向ボア11を有し、このボアは、環状の内面13を有するポート12で終端する。
【0019】ポート12は、内側環状面13と直角に交差する終端面15を有する突出リング14で取り囲まれている。
【0020】弁部材20は、一端に一体の弁ヘッド22を備えたステム21を有する。ステム21は、適当な機構と協働してノズル本体10内を軸線方向に往復動し、ノズルを選択的に開閉する。好ましくは空気のようなガス中に同伴される燃料は、ボア11を通して供給され、ノズルの開放時にエンジンに送出される。燃料は、ノズルを通って送出される際に計量してもよいし、又は計量した量をボア11に供給してもよい。
【0021】弁ヘッド22は、ステム21から外方に末広がりになった外側環状面23と、この環状面の末端部から窄まった終端面24とを有する。これらの面23及び24は、各々截頭円錐形形態であり、直角に交わっている。
【0022】環状面23の円錐角度が環状面13の円錐角度より小さいため、これらの環状面は、夫々、終端面15及び24に向かう方向で互いから遠ざかっている。面13及び23の角度及び直径は、ボア11とポート12の環状面13との接合域で弁ヘッド22が着座するように選択されている。円形の着座線を弁ヘッド22上に16で表示する。面13及び23の長さは、弁ヘッド22がポート12に着座したときに夫々の終端面15及び24が整合するように選択される。これは、弁部材をノズル本体に組み込んだ後にこれらの面を研削することによって行うのが便利である。
【0023】環状面13及び23の角度の選択、及び着座線16の下流のこれらの環状面の各々の長さによって、これらの環状面間の末端部での環状隙間17の幅が決定される。これらの環状面間での付着物の形成を制御する利点を達成するため、環状隙間17の幅は、弁部材20の着座時に、40μm以上でないようにされる。これもまた、終端面15及び24を組み立て後に研削することによって行われる。ノズルの一つの実際の形態では、内側環状面13の円錐角度及び外側環状面23の円錐角度は、夫々40°及び39°であり、ボア11の公称直径は4.20mmで、弁ヘッド22の外端の最大公称直径が5.90mmである。上述の直径では、隙間17はその下端で約20μmであり、ポートの内側環状面13の長さは1.35mmである。
【0024】ノズルについて、他の公称着座角度を使用してもよいということは理解されよう。この角度は20°乃至60°の範囲内にあるのがよく、好ましくは30°乃至50°の範囲内にあるのがよい。又、ポートの内面13の長さは2.00mmを越えてはならず、好ましく0.8mm 乃至1.5mm である。
【0025】図3に示す変形態様の構成では、弁ヘッドの外側環状面33が図1及び図2におけるように円錐形になっているのではなく、凸面になっており、断面が弧状になっているということだけが図1及び図2に示す態様と異なっている。凸面をなした環状面の外形を内側環状面13に関して選択し、円形の着座線32をボア11と内面13との接合域から間隔を隔てられるように配置し、内面13と外面33との間の隙間が着座線32から終端面34に向かって漸次増大するようにする。終端面34での隙間31の幅は、この場合も、弁部材が着座しているときに20μm乃至30μmである。凸面は、一つの球、或いは一つ又はそれ以上の部分球面の一部であり、弁部材20の軸線に関して対称である。別の態様では、ポートの内側環状面が凹型で弁ヘッドの外側環状面が凸型である。
【0026】前述した図1乃至図3に示す実施例は、請求項に記載された本発明の実例ではない。すなわち、図1乃至図3に示す実施例では、着座線が弁部材20及びポート12のそれぞれの環状面で形成される通路の下側にはない。本発明の一実施例を図4に示す。図4では、ポート12の内側環状面43及び弁部材20の外側環状面44の各々が截頭円錐形形状をしている。外側環状面44の円錐角度が内側環状面43の円錐角度よりも大きいため、面接触がこれらの面の下端で又は下端に隣接して着座線45に沿って形成される。かくして、面43と44との間の通路46は、着座線45から最大幅47の位置まで上流に延びる。この場合も、外側及び/又は内側の環状面は、上述のように、凹型又は凸型であるのがよい。
【0027】図4に示す本発明に係る実施例では、ポートの終端面48が弁部材の終端面49に対して大きく傾いている。また、終端面の形状を図1、図2、及び図3に示す実施例に組み込んでもよく、同様に、図1、図2、及び図3に示す形状を図4に示す実施例に組み込んでもよい。面48が後方に傾斜しているため、比較的少量のメタルの量だけが本体の先端に設けられ、これは、使用中に高温を維持し、従ってその上に付着した粒子を燃やし尽くす。
【0028】以上説明したノズルの実施例の各々は、一般にポペット弁と呼ばれる外方に開いた弁部材を有するが、本発明は、一般にニードル弁と呼ばれる内方に開いた弁部材にも同様に適用できる。
【0029】上述のノズルは、ポペット型の弁を使用する燃料噴射装置の形態で使用することができ、液状の燃料又は気体状の燃料のいずれかを単独で又は組み合わせて圧縮空気のような気体状のキャリヤ中に同伴されて又はされないで噴射するのに使用することができる。
【出願人】 【識別番号】593064319
【氏名又は名称】オービタル、エンジン、カンパニー(オーストラリア)、プロプライエタリ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】0RBITAL ENGINE COMPANY(AUSTRALIA)PTY.LIMITED
【出願日】 平成3年(1991)1月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−280605
【公開日】 平成11年(1999)10月15日
【出願番号】 特願平11−53369