トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 内燃機関用インテークマニホールドおよび内燃機関
【発明者】 【氏名】飯尾 光

【要約】 【課題】内燃機関の低回転領域におけるトルクの向上および排気ガス浄化性能の向上を図ることができる内燃機関用インテークマニホールドを提供すること。

【解決手段】バルジ部4を有するシリンダヘッド取り付け用フランジ部1、同じくバルジ部5を有するコレクタ部3、一端を前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部1のバルジ部4に、他端をコレクタ部3のバルジ部5に挿入することによりシリンダヘッド取り付け用フランジ部1およびコレクタ部3と接合されるフレキシビリティを有するインテークポート部2から構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともシリンダヘッド取り付け用フランジ部、フレキシビリティを有するインテークポート部、コレクタ部の3部品から構成されることを特徴とする内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項2】 前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも一方に、インテークポート挿入用バルジ部を有することを特徴とする請求項1記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項3】 前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも一方が、合成樹脂または合成樹脂をマトリックスとする複合材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項4】 前記フレキシビリティを有するインテークポート部が、ゴムまたは軟質プラスチックで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項5】 前記フレキシビリティを有するインテークポート部が、等長であることを特徴とする請求項1ないし4記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項6】 ポート径・ポートピッチの異なるシリンダヘッド取り付け用フランジ部と、ポート径・ポート長の異なるフレキシビリティを有するインテークポート部と、ポート径・コレクタ容量の異なるコレクタ部の組み合わせによるインテークマニホールドモジュールから得られたことを特徴とする請求項1ないし5記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項7】 内燃機関のシリンダヘッド、シリンダブロック、シリンダヘッドカバーのいずれか1部品以上にスロットルチャンバが締結され、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドを有することを特徴とする内燃機関。
【請求項8】 前記スロットルチャンバが、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドのコレクタ部と一体化されていることを特徴とする請求項7記載の内燃機関用インテークマニホールド。
【請求項9】 排気量の異なる同系列の内燃機関において、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドの少なくともシリンダヘッド取り付け用フランジ部を共有することを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の内燃機関(エンジン)に用いられるインテークマニホールドの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インテークマニホールドは吸気マニホールドとも呼び、吸入空気を各シリンダに均等に導く分岐管である。インテークマニホールドは、シリンダヘッド取り付け用フランジ部、インテークポート部、コレクタ部から構成される一体成形部品または一体鋳造部品が広く採用されているが、コレクタ部とインテークポート部との一部から成るアッパインテークマニホールドと、シリンダヘッド取り付け部とインテークポート部との一部から成るロアインテークマニホールドを別々に製造し、ボルト締結等の手段を用いて組み立てる場合も少なくはない。
【0003】なお、「インテークマニホールド」は狭義には分岐管(本明細書におけるインテークポート部)を意味するが、実際には分岐管単独で製造されるため、一般には上記で説明したように、これらで構成された部品をインテークマニホールドと呼んでいる。したがって、本明細書におけるインテークマニホールドは、広義の意味での「インテークマニホールド」を意味する。
【0004】インテークマニホールドの材料としては、従来アルミニウム合金が主として採用されていたが、近年、軽量化等の要求から不飽和ポリエステル、ポリアミド6、ポリアミド66等の樹脂材料の採用が増加しており、僅かではあるがマグネシウム合金も採用され始めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のインテークマニホールドは、下記のような数多くの問題点を有している。
1.近年、燃費向上の観点から変速機等のギヤ比の高速化が図られるようになり、これに伴う加速性能の低下を補う目的から、内燃機関(エンジン)の低回転領域におけるトルクの向上が望まれるようになってきた。内燃機関(エンジン)の低回転領域におけるトルクは、ポート長を大きくすることによって改善されることが知られているが、金型の抜きの制約上、ポート部の曲率を極端に大きくすることは難しいため、周辺部品のレイアウトを大きく制約することなくポート長を大きくすることは容易ではない。
2.排気ガスの浄化の観点からは、ポート長が同一寸法であることが望ましいが、金型の抜きの制約上、全てのポートを等長にできるとは限らない。
3.アクセルペダルへの振動伝達を抑えるためには、スロットルチャンバの振動加速度を所定のレベルまで低減する必要があるが、樹脂製インテークマニホールドは、アルミニウム合金製インテークマニホールドと比較すると概して剛性が低下するため、インテークマニホールドおよびスロットルチャンバを支持するためのサポート(支持棒)を多数必要とする。
4.内燃機関(エンジン)の出力特性は、インテークマニホールドのポート径、ポート長、コレクタ容量等に大きく依存するが、技術的・時間的・コスト的制約から前記のパラメータに関する最適化を図ることが難しいため、内燃機関(エンジン)の出力・トルク特性の最適化が難しい。
5.アルミニウム合金製インテークマニホールドは、その開発段階において、溶接および機械加工等の手段を用いて短期間にしかも安価に試作品を製造可能であるが、金型を用いた射出成形で製造する樹脂製インテークマニホールドは、金型の製作とその修正に時間を要するため短期間の開発には不向きである。
6.従来構造のインテークマニホールドは、主として開発期間やコストの制約により、同一エンジンを搭載する車種間で、場合によっては排気量の異なる同一系列のエンジン間でインテークマニホールドを共用する場合が多く、車種およびグレード毎に異なる顧客の出力・トルク特性に関するニーズに対応することが難しい。
【0006】本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、内燃機関の低回転領域におけるトルクの向上および排気ガス浄化性能の向上を図ることができ、内燃機関への組み付けを容易に行うことができる内燃機関用インテークマニホールドを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいては、少なくともシリンダヘッド取り付け用フランジ部、フレキシビリティを有するインテークポート部、コレクタ部の3部品から構成されることを特徴とする。請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも一方に、インテークポート挿入用バルジ部を有することを特徴とする。請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも一方が、合成樹脂または合成樹脂をマトリックスとする複合材料で形成されていることを特徴とする。請求項4記載の発明は、請求項1ないし3記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、前記フレキシビリティを有するインテークポート部が、ゴムまたは軟質プラスチックで形成されていることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、前記フレキシビリティを有するインテークポート部が、等長であることを特徴とする。請求項6記載の発明は、請求項1ないし5記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、ポート径・ポートピッチの異なるシリンダヘッド取り付け用フランジ部と、ポート径・ポート長の異なるフレキシビリティを有するインテークポート部と、ポート径・コレクタ容量の異なるコレクタ部の組み合わせによるインテークマニホールドモジュールから得られることを特徴とする。請求項7記載の内燃機関は、内燃機関のシリンダヘッド、シリンダブロック、シリンダヘッドカバーのいずれか1部品以上にスロットルチャンバが締結され、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドを有することを特徴とする。請求項8記載の発明は、請求項7記載の内燃機関用インテークマニホールドにおいて、前記スロットルチャンバが、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドのコレクタ部と一体化されていることを特徴とする。請求項9記載の内燃機関は、排気量の異なる同系列の内燃機関において、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドの少なくともシリンダヘッド取り付け用フランジ部を共有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態の内燃機関用インテークマニホールドモジュールの斜視図、図2は実施の形態の内燃機関用インテークマニホールドに用いるシリンダヘッド取り付け用フランジ部の斜視図、図3は実施の形態の内燃機関用インテークマニホールドに用いるコレクタ部の斜視図、図4は実施の形態の内燃機関用インテークマニホールドのエンジンへの組み付けを示す部品構成図、図5は従来のインテークマニホールドのエンジンへの組み付けを示す部品構成図である。
【0009】図1に示したように、本発明の内燃機関用インテークマニホールドは、バルジ部4を有するシリンダヘッド取り付け用フランジ部1、同じくバルジ部5を有するコレクタ部3、一端を前記シリンダヘッド取り付け用フランジ部1のバルジ部4に、他端をコレクタ部3のバルジ部5に挿入することによりシリンダヘッド取り付け用フランジ部1およびコレクタ部3と接合されるフレキシビリティを有するインテークポート部2から構成される。
【0010】シリンダヘッド取り付け用フランジ部1はシリンダヘッド6にボルトを用いて締結され、シリンタヘッド取り付け用フランジ部1とシリンダヘッド6との間は図示しないゴムリングまたはガスケットによって気密性が保持されている。シリンダヘッド取り付け用フランジ部1の材料には制約はないが、アルミニウム合金等の金属材料の場合には機械加工仕上げを要するため、射出成形等によりバルジ部4を容易に形成可能な合成樹脂または合成樹脂をマトリックスとする複合材料の使用が好ましく、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリフェニレンサルファイド等をガラス繊維で補強した成形材料が好適である。
【0011】シリンダヘッド取り付け用フランジ部1は、図1に示したようなエンジンの気筒数と同数のバルジ部4、5を有するタイプ(但し、二股インテークポートの場合にはエンジンの気筒数の2倍)の他に、図2に示したようなシリンダヘッド取り付け用フランジ部1個当たり1個のバルジ部を有するタイプが考えられ、図1に示したタイプはポートピッチの異なるエンジンには転用できないのに対して、図2に示したタイプはポートピッチの制約を受けないため、エンジン間での共用が可能なため、より効率の良いモジュール化が実現可能である。
【0012】図3に示すように、コレクタ部3はスロットルチャンバ取り付け面7を有し、ゴムリングまたはガスケットを介してスロットルチャンバがボルト締結される。コレクタ部3はシリンダヘッド取り付け用フランジ部1同様、射出成形等によりバルジ部5を容易に形成可能な合成樹脂または合成樹脂をマトリックスとする複合材料の使用が好ましく、軽量化も期待できる。
【0013】コレクタ部3は、ビスマス/錫等の低融点合金を中子として使用した射出成形により製造可能であるが、例えば図3に示したような分割構造とし、各部品を射出製成形で製造した後に、振動溶着、超音波溶着等の溶着技術を用いて、あるいは必要に応じてガスケットゴムリング等を併用した接着、ボルト締結、セルフタッピンによって組み立てることも可能である。コレクタ部3の容積はエンジンの出力・トルク特性や吸気音に大きな影響を及ぼすため、コレクタ部3の容積を任意に調整できればそのメリットは大きい。
【0014】図3に示したようにアッパコレクタ部8とロアコレクタ部9に分割する場合、例えば、形状の異なるアッパコレクタ部8を数種類準備することにより、コレクタ部3の容積を調整可能であり、これにより、異なったエンジン排気量、異なったエンジン系列間でもインテークマニホールドの共用が可能になり、モジュール化が容易になる。
【0015】インテークポート部2はオイル、ガソリン、ブローバイガス、EGRガスに侵されないゴムおよび軟質の合成樹脂が好ましく、クリープ特性が優れている材料を使用し、締め代を適切に設定すればクランプ・ホースバンドを使用することなく組み立て可能である。但し、吸入空気が加圧されるターボチャージャ付きエンジンの場合にはクランプ・ホースバンドの使用が望ましい。
【0016】本実施の形態の内燃機関用インテークマニホールドは、例えば、図4に示したようにインテークポー卜部2の柔軟性を活かして、コレクタ部3をシリンダブロック11に直付けすることにより、また、コレクタ部3に取り付けたスロットルチャンバ10またはコレクタ部3と一体化したスロットルチャンバ10をシリンダブロック11に直付けすることにより、図5の従来例に示すようなインマニサポートを廃止することによる軽量化と部分点数の削減、振動加速度の低減を同時に可能とする効果が得られる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、インテークポート部をフレキシビリティを有する材料で形成することにより、金型の抜きの制約が無くなり、ポート長の増大および等長化が可能になり、内燃機関の低回転領域におけるトルクの向上と排気ガス浄化性能が向上した。請求項2記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも1方に、インテークポート挿入用バルジ部を設けることにより、クランプやホースバンドを使用することなく簡便に組み付けることが可能になった。請求項3記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、シリンダヘッド取り付け用フランジ部、コレクタ部の少なくとも1部品を、合成樹脂または合成樹脂をマトリックスとする複合材料で形成することにより、軽量化および射出成形による請求項2記載のインテークポート挿入用バルジ部の形成を容易にした。請求項4記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、フレキシビリティを有するインテークポート部を、ゴムまたは軟質プラスチックスで形成することにより金型の抜きの制約が無くなり、ポート長の増大および等長化が可能になり、内燃機関の低回転領域におけるトルクの向上と排気ガス浄化性能が向上した。また、軽量化および射出成形による請求項2記載のインテークポート挿入用バルジ部への挿入による組み立ての簡便化を可能にした。請求項5記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、インテテークポート部がフレキシビリティを有する特徴を活かし、ポート部を等長化することにより、排気ガス浄化性能の向上を可能にした。請求項6記載の内燃機関用インテークマニホールドでは、ポート径・ポートピッチの異なるシリンダヘッド取り付け用フランジ部と、ポート径・ポート長の異なるフレキシビリティを有するインテークポート部と、ポート径・コレクタ容量の異なるコレクタ部の組み合わせによるインテークマニホールドモジュールからインテークマニホールドを得る手法により、内燃機関(エンジン)の出力特性の最適化を可能にした。請求項7記載の内燃機関では、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドの利点を活かし、スロットルチャンバを内燃機関のシリンダヘッド、シリンダブロック、シリンダヘッドカバーの何れか1部品以上に締結することを可能にし、アクセルペダルに伝わる振動の低減とスロットルチャンバを支持するためのサポート(支持棒)の低減を可能にした。請求項8記載の内燃機関では、請求項7記載の内燃機関用インテークマニホールドのスロットルチャンバとインテークマニホールドのコレクタ部とを一体化することにより、部品全体の剛性を大きくし、さらなるアクセルペダルに伝わる振動の低減とスロットルチャンバを支持するためのサポート(支持棒)の低減を可能にすると共に、締結構造に必要であったフランジ部、ボルト、シール部材の廃止が可能になり、軽量化効果も得られた。請求項9記載の内燃機関では、排気量の異なる同系列の内燃機関において、請求項1ないし6記載の内燃機関用インテークマニホールドの構成部品を共用することにより、予め用意した構成部品の組み合わせによって所望のインテークマニホールドを得ることが可能になり、車両がモデルチェンジする度に新規に金型を製作する不効率が無くなった。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月31日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−280574
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−85768