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【発明の名称】 パイプインテイク用ゴム部材
【発明者】 【氏名】藤沢 文樹

【要約】 【課題】ガソリンの付着による内側への膨張変形を抑制して混合気の流れの安定化を図ったパイプインテイク用ゴム部材を提供する。

【解決手段】キャブレターとエンジンのシリンダとの吸気通路に設けられて霧状となってガソリンと空気の混合気が通過する吸気管の連結部に用いるパイプインテイク用ゴム部材31において、前記エンジンのシリンダ側の吸気管が嵌合する嵌合部の内周面に凹部32を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャブレターとエンジンのシリンダとの吸気通路に設けられて霧状となってガソリンと空気の混合気が通過する吸気管の連結部に用いるパイプインテイク用ゴム部材において、前記吸気管が嵌合する嵌合部の少なくとも一方の内周面に凹部を設けたことを特徴とするパイプインテイク用ゴム部材。
【請求項2】 請求項1において、ゴム素材を、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)又は水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(水添NBR)としたことを特徴とするパイプインテイク用ゴム部材。
【請求項3】 請求項1又は2において、前記凹部は周方向に沿って略均等間隔で複数設けられたことを特徴とするパイプインテイク用ゴム部材。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、内部に軸心方向に沿った芯材を埋設したことを特徴とするパイプインテイク用ゴム部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャブレターとエンジンのシリンダとの吸気通路に設けられて霧状となってガソリンと空気の混合気が通過する吸気管の連結部に用いられるパイプインテイク用ゴム部材に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に一般的な自動二輪車のエンジンの概略、図5に従来のパイプインテイクの断面を示す。
【0003】一般的な自動二輪車のエンジンにおいて、図4に示すように、エンジン本体11には上下方向に沿ってシリンダ12が形成されており、このシリンダ12内にはピストン13が上下移動自在に装着されている。このピストン13はコンロッド14を介してクランクシャフト15の偏心部16に連結されている。また、エンジン本体11の上部にはシリンダヘッド17が固定されることで燃焼室18が形成され、この燃焼室18に点火プラグ19が臨んでおり、吸気ポート20及び排気ポート21が燃焼室18に連通し、吸気ポート20にはリードバルブ22が設けられている。そして、この吸気ポート20にはパイプインテイク23を介してキャブレター24が連結されており、キャブレター24には図示しない燃料タンク及び吸気取入口が連結されている。
【0004】従って、キャブレター24からはガソリンと空気の混合気がシリンダ12側に供給され、ピストン13がストロークすることでリードバルブ22が開放し、吸気ポート20から混合気がシリンダ12内に供給される。ここで、ピストン13のストロークに応じて点火プラグ19によって混合気に点火することで、燃焼室18内で圧縮された混合気が爆発し、コンロッド14を介してクランクシャフト15を回転する。
【0005】上述した自動二輪車のエンジンには、前述したように、エンジン本体11の吸気ポート20とキャブレター24とはパイプインテイク23によって連結されている。このパイプインテイク23は、図5に示すように、ゴム部材によって若干湾曲した筒状に形成され、一端部に連結管25の外周部が嵌入する嵌合部23aが形成されている。この連結管25はアルミニウム製であって、吸気ポート20の端面に固定されるフランジ部25aとパイプインテイク23に嵌合する連結部25bが一体に形成されている。そして、パイプインテイク23の嵌合部23aは内周部が拡径して形成され、連結部25bが嵌合し接着したときに嵌合部23aの内周面と連結部25bの内周面とが段差なく接続するようになっている。一方、パイプインテイク23の他端部にはキャブレター24の連結管26の外周部が嵌合するようになっている。なお、フランジ部25aと吸気ポート20との間にはガスケット27が介装される。
【0006】ところで、エンジン本体11及びキャブレター24は車体に装着されているものの、エンジン本体11は駆動時に振動するため、このエンジン本体11とキャブレター24とを連結する上述した従来のパイプインテイク23はゴム部材によって形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このパイプインテイク23内にはガソリンと空気の混合気が通過するため、パイプインテイク23の内面は常時ガソリンに曝されることとなり、長期の使用によってゴムがガソリンを吸収して膨潤してしまうという問題がある。すなわち、パイプインテイク23の内面が中心側に膨張し、図6に示すように、連結管25と嵌合する嵌合部23aでは、端面部に突起部Aが形成されてしまう。パイプインテイク23内に突起部Aが形成されると、内径が狭くなってキャブレター24からシリンダ12に供給される混合気の流れが悪くなり、所定量のガソリンをシリンダ12に供給することができず、燃焼不良や出力低下を招くという問題がある。
【0008】また、このパイプインテイク23内に突起部Aが形成されて変形すると、この部分での強度が低下し、振動によって亀裂が生じてしまうという問題がある。
【0009】本発明は、このような問題を解決するものであって、ガソリンの付着による内側への膨張変形を抑制して混合気の流れの安定化を図ったパイプインテイク用ゴム部材を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発明は、キャブレターとエンジンのシリンダとの吸気通路に設けられて霧状となってガソリンと空気の混合気が通過する吸気管の連結部に用いるパイプインテイク用ゴム部材において、前記嵌合部の少なくとも一方の内周面に凹部を設けたことを特徴とするパイプインテイク用ゴム部材にある。
【0011】ここで、特に、エンジンのシリンダ側の嵌合部の内周面に設けるのが好ましい。
【0012】また、前記凹部は周方向に沿って略均等間隔で複数設けられるのが好ましい。
【0013】さらに、ゴム素材は、耐油性ゴムであれば特に限定されない。耐油性ゴムとしては、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)又は水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(水添NBR)などを挙げることができるが、特に、NBR、H−NBRが好ましい。
【0014】また、特に、内部に軸心方向に沿った芯材を埋設することにより、耐久性を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】図1に本発明の第1実施形態に係る吸気管としてのパイプインテイクの断面、図2に図1のII−II断面を示す。
【0017】本実施形態において、図1及び図2に示すように、パイプインテイク31は、図示しないエンジンのシリンダとキャブレターを連通するものであって、吸気ポートにガスケットを介して固定された連結管25とキャブレターの連結管26とを連結している。
【0018】このパイプインテイク31は、耐油性ゴム、好適には、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、又は水素添加NBRを素材として形成されており、各連結管25,26の装着位置に合わせて若干湾曲した筒状となっている。この連結管25は、例えば、アルミニウム製であって、吸気ポートの端面に固定されるフランジ部25aとパイプインテイク31に嵌合する連結部25bが一体に形成されている。また、連結管26は、例えば、鋳物製であって、パイプインテイク31に嵌合する連結部26aが一体に形成されている。
【0019】そして、パイプインテイク31は一端部に連結管25における連結部25bの外周部が嵌入する嵌合部31aが形成され、他端部に連結管26における連結部26aの外周部が嵌入する嵌合部31bが形成されている。このパイプインテイク31の嵌合部31aは内周部が拡径して形成され、連結部25bが嵌合したときに嵌合部31aの内周面と連結部25bの内周面とが段差なく接続するようになっている。
【0020】本実施形態では、パイプインテイク31の嵌合部31aにおけるシリンダとの連結管25側の内周面に、周方向に沿って均等間隔で複数(本実施形態では、4個)の凹部としての溝部32が形成されている。なお、溝部32の長さは特に限定されないが、一般的には、2〜10mm、好ましくは4〜8mm程度の長さで形成すればよい。
【0021】従って、本実施形態のパイプインテイク31にあっては、NBR又は水添NBRを素材として形成されているため、耐油性に優れており、ガソリンと空気との混合気が通過してガソリンが付着しても、内側への膨張変形を極力抑制することができる。
【0022】また、パイプインテイク31の嵌合部31aには周方向均等間隔で複数の溝部32が形成されており、長期の使用によって膨潤変形が発生したとしても、その膨潤は各溝部32に吸収されることとなり、パイプインテイク31の中心側に突出して内径が狭くならず、キャブレターからシリンダに供給される混合気の流れを阻害することなく、所定量のガソリンをシリンダに供給し、燃焼不良や出力低下を防止することができる。
【0023】なお、本実施形態のパイプインテイク31は、ゴム組成物を加硫・射出成形して形成したものである。
【0024】本発明では配合は特に限定されないが、好適には、老化防止剤アンテージRDなどの耐オゾン性を向上させる添加剤を添加することにより、耐環境性に優れたパイプインテークを得ることができる。
【0025】図3に本発明の第2実施形態に係るパイプインテイクの断面を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0026】本実施形態において、図3に示すように、パイプインテイク41はNBR又はH−NBRをゴム素材として形成され、内部に軸心方向に沿って芯材としてのナイロンやポリエステルなどの織布43が埋設されている。このパイプインテイク41は一端部に連結管25の外周部が嵌入する嵌合部41aが形成され、他端部に連結管26の外周部が嵌入する嵌合部41bが形成されている。そして、パイプインテイク41の嵌合部41aの近傍の内周面には、周方向に沿って均等間隔で複数の凹部としての溝部42が形成されている。
【0027】従って、本実施形態のパイプインテイク41も上述した実施形態と同様な効果を奏する。さらに、本実施形態では織布43を内蔵することにより、振動によるゴムの亀裂発生を防止することができるという効果を奏する。
【0028】なお、本実施形態のパイプインテイク41は、2枚の生ゴムシートを所定の寸法にカットし、同様の寸法の織布を間に挟んでサンドイッチ状態とし、これを中子に巻き付けてから加硫成形機内に入れ、加硫成形することで形成されたものである。
【0029】また、上述の各実施形態にて、凹部としての溝部32,42をシリンダとの連結管25側に形成したが、キャブレターとの連結管26側に形成してもよい。更に、この溝部32,42をパイプインテイク31,41の嵌合部31a,41aに周方向均等間隔で4個形成したが、数はこれに限らず、パイプインテイク31,41の素材の膨潤量に合わせて設定すればよいものである。
【0030】このようなパイプインテイクは、自動二輪車の4サイクル、2サイクルエンジンのシリンダとキャブレターとの吸気通路等の連結部に用いられる。
【0031】
【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明したように本発明によれば、連結部が嵌合する嵌合部の内周面に凹部を設けたので、長期の使用によって膨潤変形が発生しても、その膨潤は各凹部で吸収されることとなり、パイプインテイクの中心側に突出して内径が狭くならず、キャブレターからシリンダに供給される混合気の流れを阻害することなく、所定量のガソリンをシリンダに供給し、燃焼不良や出力低下を防止することができる。特に、凹部は周方向に沿って均等間隔で複数設けるようにすると、膨潤量を均等に吸収することができ、内周面を極力真円に維持して混合気の流れを良好に維持することができる。
【0032】また、ゴム素材として、NBR又はH−NBRをすることにより、耐油性に優れ、ガソリンと空気との混合気が通過してガソリンが付着しても、内側への膨張変形を極力抑制することができ、混合気の流れの安定化を図ることができ、さらに、オゾン劣化防止剤を添加することにより、オゾンクラックによる亀裂の発生を有効に防止することができる。
【0033】さらに、内部に軸心方向に沿った芯材を埋設したので、強度を上げて耐久性を向上し、振動による亀裂発生を有効に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000242426
【氏名又は名称】北辰工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
【公開番号】 特開平11−280573
【公開日】 平成11年(1999)10月12日
【出願番号】 特願平10−84680