| 【発明の名称】 |
洗濯機 |
| 【発明者】 |
【氏名】松浦 貞裕
【氏名】田澤 徹
【氏名】五十嵐 祥晃
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| 【要約】 |
【課題】洗濯脱水槽の洗濯物の量や、洗濯物の偏在によって生ずるアンバランス量を精度よく推定する洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯脱水槽104を回転させる電動機100と、前記電動機の回転角速度を制御する角速度制御部150と、前記電動機の角加速度が一定となる指令角速度を与えて試験運転する指令角速度値生成器102を有しており、前記試験運転中の前記電動機の出力トルクに応じて洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器252を有することで、容易にかつ正確に洗濯物の量を推定可能な洗濯機を実現することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角加速度を一定とする指令角速度を与えて前記電動機を回転させる角速度制御部と、回転中の前記電動機の出力トルクに応じて洗濯脱水槽内の洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項2】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、三角波形状の時間的変化をする指令回転角速度を生成する指令角速度生成手段と、前記電動機の回転角速度を前記指令回転角速度に追従するように制御する角速度制御部と、回転中の前記電動機の出力トルクに基づいて、洗濯脱水漕内の洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項3】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、三角波形状の時間的変化をする指令回転角速度を生成する指令角速度生成手段と、前記電動機の回転角速度を前記指令回転角速度に追従するように制御する角速度制御部と、回転加速時における前記電動機の出力トルクと回転減速時における前記電動機の出力トルクとの差に基づいて、洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項4】 前記指令角速度生成手段は、指令回転角速度の最低回転角速度を、洗濯脱水槽の回転により生ずる遠心力により洗濯物が前記洗濯脱水槽の内面に密着する回転角速度とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の洗濯機。 【請求項5】 洗濯脱水槽を駆動する電動機は三相誘導電動機であって、前記三相誘導電動機の固定子に供給する一次交流電流群のトルク電流成分と励磁電流成分に対して独立に指令して、前記一次交流電流群のそれぞれの大きさと周波数を変化させ前記三相誘導電動機の回転角速度を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の洗濯機。 【請求項6】 洗濯脱水槽を駆動する電動機が三相誘導電動機であって、前記三相誘導電動機の固定子に供給する一次交流電流群のトルク電流成分と励磁電流成分に対して独立に指令して、前記一次交流電流群のそれぞれの大きさと周波数を変化させ前記三相誘導電動機の回転角速度を制御する制御装置と、回転中の電動機の前記トルク電流成分に基づいて洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器とを有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の洗濯機。 【請求項7】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の出力トルクが一定となるように制御する一定運転制御器と、前記電動機の回転角速度の変化に基づいて洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項8】 洗濯脱水槽を駆動する電動機が三相誘導電動機であって、前記三相誘導電動機の固定子に供給する一次交流電流群のトルク電流成分と励磁電流成分を独立に指令して、前記一次交流電流群のそれぞれの大きさと周波数を変化させて前記三相誘導電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記トルク電流成分を一定値として指令して回転を行うトルク一定運転制御器を有することを特徴とする請求項7記載の洗濯機。 【請求項9】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度が予め定めた一定の回転角速度となるように制御する制御器部と、前記電動機の出力トルクに基づいて、前記洗濯脱水槽の内面に密着した洗濯物の偏在によるアンバランス量を推定するアンバランス量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項10】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度が予め定めた一定の回転角速度となるように制御する制御器部と、前記電動機の出力トルクの変動幅に基づいて、前記洗濯脱水槽の内面に密着した洗濯物の偏りによるアンバランス量を推定するアンバランス量推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項11】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度を予め定めた一定の回転角速度となるように制御する制御器部と、前記電動機の出力トルク変動に基づいて、前記洗濯脱水槽の内面に偏って密着した洗濯物の位置を推定するアンバランス位置推定器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項12】 洗濯脱水槽を駆動する電動機が三相誘導電動機であって、前記三相誘導電動機の固定子に供給する一次交流電流群のトルク電流成分と励磁電流成分を独立に指令して、前記一次交流電流群のそれぞれの大きさと周波数を変化させて前記三相誘導電動機の回転角速度を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項9、10又は11記載の洗濯機。 【請求項13】 洗濯脱水槽を駆動する電動機が三相誘導電動機であって、前記三相誘導電動機の固定子に供給する一次交流電流群のトルク電流成分と励磁電流成分を独立に指令して、前記一次交流電流群のそれぞれの大きさと周波数を変化させて前記三相誘導電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記トルク電流成分に基づいて洗濯物の量を推定するアンバランス量推定器を有することを特徴とする請求項9、10又は11記載の洗濯機。 【請求項14】 前記制御器は、電動機の回転角速度を、洗濯脱水槽が回転することにより生ずる遠心力により洗濯物が前記洗濯脱水槽の内面に十分に密着する回転角速度に制御することを特徴とする請求項9、10又は11記載の洗濯機。 【請求項15】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記洗濯脱水槽の内面に偏って密着した洗濯物の位置を推定するアンバランス位置推定器と、前記アンバランス位置推定器の出力に応じて前記洗濯脱水槽の回転角速度を変動させることにより前記洗濯物の位置をずらしてアンバランスを解消する回転角速度変動器と、を有することを特徴とする洗濯機。 【請求項16】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、洗濯動作時と脱水動作時とでは前記洗濯脱水槽の回転方向を逆に指令する指令角速度生成器と、前記洗濯脱水槽の内部に取り付けらた複数の突起物であって、前記洗濯動作時の回転方向では洗濯物が前記突起物群に引っかかりやすく、前記脱水動作時の回転方向では洗濯物が前記突起物群に引っかかりにくい突起を有する洗濯脱水槽と、を備えたことを特徴とする洗濯機。 【請求項17】 洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記洗濯脱水槽に設けられ、水を貯蔵可能な複数のタンクと、前記洗濯脱水槽の内面に密着した洗濯物の偏りによるアンバランス量を推定するアンバランス量推定器と、前記洗濯脱水槽の内面に偏って密着した洗濯物の位置を推定するアンバランス位置推定器と、前記アンバランス量推定器と前記アンバランス位置推定器の出力に基づいて定まる前記タンクの予め貯蔵された水を除くことによりアンバランス量を減らすアンバランス量補正器と、を有することを特徴とする洗濯機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯脱水槽内の洗濯物の量の推定や洗濯物の偏りによって生ずるアンバランス量の検出をする洗濯機で、特に洗濯脱水槽を駆動するドラム式洗濯機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の洗濯機で洗濯脱水槽内の洗濯物の量を推定するものとして、例えば、特開昭61−8094公報には、洗濯脱水槽を駆動するモータへ通電してモータの回転数が所定回転数に達した時点で通電を止め、その時点から惰性で回転するモータが自然に停止するまでの時間で洗濯物の量の推定を行う方式が開示されている。また、特開平6−71085には、モータに印加する電圧を一定にし、モータに取り付けた角速度センサにより検出される角速度情報の変化から洗濯物の量を推定する方式が開示されている。更に特開平5−3990には、モータへの通電電流から洗濯物の量を推定する方式が開示されている。 【0003】一方、従来の洗濯機で洗濯脱水槽内の洗濯物の偏りによるアンバランス量を検知するものとして、特開平3−70596には、洗濯脱水槽に振動を検知するセンサを取り付けてアンバランス状態を検出する方式が開示されている。また、特開平5−103895には、モータに取り付けた角速度センサにより検出される角速度情報からアンバランス状態を検出する方式が開示されている。さらに特開平9−290089には、モータを流れる電流の変動から洗濯脱水槽のアンバランス状態を検出するとともにその偏りの位置を測定する位置センサを用いる方式が開示されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】洗濯物の重量など洗濯脱水槽内の洗濯物の量を推定する方法では、前記のモータが惰性で回転する時間で推定する方法、一定の電圧を印加した場合のモータの回転角速度の変化から推定する方法、モータの通電電流から推定する方法のいずれも推定精度が悪いといった問題点を有していた。 【0005】また、洗濯脱水槽のアンバランス量を検知する方法では、振動を検知するセンサを取り付ける必要がある。また回転角速度の変化からこのアンバランス量を精度よく検知するには高精度の角速度センサが必要であるためコストが高くなるという問題点を有していた。さらにモータに流す電流の変動からこのアンバランス量を検知する方法は、特に誘導電動機の場合には検知精度が低いといった問題点を有していた。 【0006】本発明は、洗濯機、特にドラム式の洗濯機において、洗濯脱水槽内の洗濯物の量を精度よく推定するとともに、洗濯脱水槽内における洗濯物の偏在によって生じるアンバランス状態を精度よく検知できる洗濯機を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために本発明の洗濯機は、洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記電動機の回転加角速度が一定となるような指令角速度を与えて前記電動機を試験運転させる試験運転制御器と、前記試験運転中の前記電動機の出力トルクに基づいて洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器とを有することを特徴とするものである。 【0008】回転加角速度が一定となるような指令角速度を与えて電動機を運転させると、電動機の出力トルクは負荷に応じて変化する。例えば負荷が大きいときは出力トルクは大きくなる。従って出力トルクを求めることによって洗濯脱水槽内の洗濯物の量を推定することができる。 【0009】本発明の他の観点の洗濯機は、洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記電動機を予め定めた一定の回転角速度で回転させて試験運転させる試験運転制御器と、前記試験運転中の前記電動機の出力トルクに基づいて、前記洗濯脱水槽の内壁に付着した洗濯物の偏在による洗濯脱水槽のアンバランス量を推定するアンバランス量推定器を有することを特徴とするものである。 【0010】洗濯脱水漕内で洗濯物が偏在した状態で、電動機を一定の回転角速度で回転させて洗濯脱水漕を一定の回転角速度で回転させると、回転に同期して電動機の出力トルクが変動する。従って出力トルクの変動量を求めることによって洗濯脱水漕のアンバランス量を推定することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下本発明の洗濯機の好適な実施例について、図1ないし図11を参照しながら説明する。 【0012】《第1実施例》図1は本発明の第1の実施例における三相誘導電動機を用いた洗濯機の構成を示すブロック図である。 【0013】図1において、三相誘導電動機100は、伝達機構106を介して、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽104に連結されている。三相誘導電動機の回転角速度を指令する指令回転角速度ωm*を出力する指令角速度生成器102の出力端は、角速度制御器110の入力端に接続されている。角速度制御器110の出力端は、すべり周波数演算器112と回転/静止座標変換器118の一方の入力端に接続されている。すべり周波数演算器112と回転/静止座標変換器118の他方の入力端には指令励磁電流I1d* が入力される。回転/静止座標変換器118の2つの出力端は二相/三相変換器120の2つの入力端にそれぞれ接続され、二相/三相変換器120の3つの出力端は電流制御器122の3つの入力端にそれぞれ接続されている。電流制御器122の3つの出力端はPWMインバータ124の3つの入力端にそれぞれ接続され、PWMインバータ124の3つの出力端は三相誘導電動機100に接続されている。PWMインバータ124の2つの入力端はコンバータ130を介してAC電源に接続されている。 【0014】PWMインバータ124と三相誘導電動機100との間の3本の接続線にはそれぞれ電流検出器126a,126b,126cが設けられており、これらの出力端は電流制御器122にそれぞれ接続されている。電流検出器126a,126b,126cの出力端は三相/二相変換器220の3つの入力端にも接続されている。三相/二相変換器220の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続され、さらに、角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。一方、電流制御器122の3つの出力端は三相/二相変換器222の入力端にもそれぞれ接続されており、三相/二相変換器222の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続されている。二次磁束推定器224の出力端は角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。角速度推定器226の出力端は増幅器115と角速度制御器110の入力端に接続されている。出力トルク推定器250の出力端は洗濯物量推定器252の入力端に接続されている。 【0015】増幅器115の出力端は加算器114の一方の入力端に接続され、加算機114の他方の入力端にはすべり周波数演算器112の出力端が接続されている。加算機114の出力端には積分器116の入力端が接続され、積分器116の出力端は回転/静止座標変換器118の入力端に接続されている。 【0016】以上のように構成された洗濯機について、以下図1を用いて、まず基本動作を説明する。洗濯脱水槽104を三相誘導電動機100で伝達機構106を介して回転させることで、洗濯脱水槽104内の洗濯物を洗濯する。一般に、三相誘導電動機は三相/二相変換を行うことで、二相誘導電動機として考察することができる。二相誘導電動機における誘導電動機の基礎式を(数1)に示す。 【0017】 【数1】
【0018】ここで,i1d,i1qはそれぞれ固定子側に流れる一次側のd軸電流及びd軸と位相差が90度であるq軸電流を表す。またv1d,v1qはそれぞれd軸電圧及びq軸電圧を表す。ψ2d,ψ2qはそれぞれ回転子側であるd軸二次磁束及びq軸二次磁束を表す。また,Rj,Ljはそれぞれj次側の抵抗及びインダクタンスを表し、Mは相互インダクタンスを表す。θはモータの回転角度を表し、pは極対数を表す。実際の回転角速度をωmとする。 【0019】三相誘導電動機の角速度制御を行う場合、三相誘導電動機の回転角速度を検出する角速度検出器を用いてもよいが、本実施例では三相誘導電動機の回転角速度を推定して、この推定角速度で角速度制御を行う。 【0020】まず、角速度制御を行う角速度制御部150の動作について説明する。前記のように、角速度制御部150は、角速度制御器110、すべり周波数演算器112、加算器114、増幅器115、積分器116、回転/静止座標変換器118、及び二相/三相変換器120から構成されている。角速度制御器110は、直流モータの角速度制御と同様に、指令角速度生成器102から出力される三相誘導電動機の指令回転角速度ωm*と、後述する三相誘導電動機の回転角速度を推定する角速度推定部200からの推定回転角速度ωme から、指令トルク電流I1q*を、例えば次の(数2)に示すように与える。 【0021】 【数2】
【0022】ここで、Kps、Kisは角速度制御ゲインを表し、望みの応答特性になるように設定する定数である。回転角速度の推定が正しく行われれば、直流電動機と同等の制御性を実現することができる。誘導電動機は永久磁石を有しないので、永久磁石で作る磁界に相当する磁界を作るための予め定めた励磁電流を指令励磁電流I1d* に基づいて励磁コイルに与える。そして、すべり周波数演算器112は、指令励磁電流I1d*と指令トルク電流I1q*とを用いて、すべり角速度ωs を(数3)で計算する。 【0023】 【数3】
【0024】増幅器115で得た三相誘導電動機実際の回転角速度ωm と極対数pの積と、このすべり角速度ωs とを加算器114で加算し、加算結果を積分器116で積分することにより、次の(数4)に示す電気的位相角θ0 が求められる。 【0025】 【数4】
【0026】更に、回転/静止座標変換器118により、あたかも所定方向に着磁した永久磁石があるかのように、前記の指令励磁電流I1d*と指令トルク電流I1q*と電気的位相角θ0 とを用いて、(数5)に示す演算を行う。 【0027】 【数5】
【0028】その結果、指令励磁電流I1d*と指令トルク電流I1q*は、それぞれ位相差が90度の二相の電流を指示する一次指令交流電流i1d*及びi1q*に変換される。次に、一次指令交流電流i1d*,i1q*は二相/三相変換器120により、(数6)に従って三相の電流を指示する一次指令交流電流i1a*,i1b*,i1c* に変換される。なお、各電流を示す記号の右肩の*は指令値であることを示す。また各物理量の記号で*のないものは、実際値を示す。また物理量に添字のeを付したものは推定値を示す。 【0029】 【数6】
【0030】これらの指令電流通りの電流を流すことができれば、誘導電動機で直流電動機と同等の性能を実現することが可能となる。次に、電流制御器122の動作について説明する。電流制御器122では、実際の一次交流電流i1a,i1b,i1c がそれぞれ一次指令交流電流i1a*,i1b*,i1c*に追従する様に電流フィードバック制御を行う。例えば、実際の一次交流電流をそれぞれ電流検出器126a,126b,126cで検出し、(数7)に示す計算を行って指令電圧v1z*(z:a,b,c)を出力する。 【0031】 【数7】
【0032】ここで、Kpc、Kicは電流制御ゲインで、一次交流電流が一次指令交流電流に追従するように設定する定数である。そして、PWMインバータ124は電流制御器122からの制御信号である指令電圧に基づくパルス幅の信号に従い、コンバータ130で商用電源から作られた直流電圧をトランジスタでオンオフさせることにより、三相誘導電動機100に所望の電圧を加えて電流を流す。なお、三相誘導電動機100に供給された三相のそれぞれの一次交流電流i1a,i1b,i1cを足しあわせると0、即ち、(数8)に示す関係になる。 【0033】 【数8】
【0034】従って、電流検出においては、三相のうちのいずれか2相の電流を検出し、残りの1相の電流は検出した2相の電流値から計算してもよい。以上により、三相誘導電動機に供給される一次交流電流が、所望の指令値に等しくなるように制御でき、三相誘導電動機の回転角速度を所望の角速度に制御することができる。 【0035】次に、三相誘導電動機の回転角速度を推定する角速度推定部200について説明する。角速度推定部200は、前記のように三相/二相変換器220、三相/二相変換器222、二次磁束推定器224、角速度推定器226から構成されている。三相/二相変換器220で、電流検出器126a,126b,126cの検出出力i1a,i1b,i1cを(数9)に示すように二相の交流電流i1d,i1qに変換する。 【0036】 【数9】
【0037】三相/二相変換器222で、三相の指令電圧v1z*(z:a,b,c)を(数10)に示すように、二相の交流電圧v1d,v1qに変換する。 【0038】 【数10】
【0039】これらの二相交流電流及び二相交流電圧から、二次磁束推定器224により、(数11)及び(数12)に示す演算を行うことにより、それぞれ二次磁束ψ2d,ψ2qが推定できる。 【0040】 【数11】
【0041】 【数12】
【0042】ここで、二相モデルにおける三相誘導電動機の基礎式(数1)から、三相誘導電動機の推定回転角速度ωmeを求める次の2つの式(数13)と(数14)が得られる。 【0043】 【数13】
【0044】 【数14】
【0045】これらの2つの式はいずれも、分母が0となる場合があり、その近傍では推定精度が悪い。しかし、三相誘導電動機が駆動されている場合は、(数13)の分母である二次磁束ψ2qと(数14)の分母である二次磁束ψ2dは、位相が90度ずれた正弦波状になるため、両方とも同時に0になることはない。そこで、角速度推定器226は、二次磁束ψ2d,ψ2qの大きさを検査し、これらが0に近い値でない方、即ち、(数13)と(数14)の分母が0に近い値でない方の推定式を選択すれば、常に精度よく三相誘導電動機の回転角速度を推定できることになる。以上のようにして、角速度検出器を用いなくても、三相誘導電動機の角速度制御が可能となり、指令角速度通りの動作を実現することができる。 【0046】このような動作を行う洗濯機において、洗濯脱水槽104内の洗濯物の量を推定する方法について以下に説明する。三相誘導電動機の出力トルクτは、二相の交流電流i1d,i1qと二次磁束ψ2d,ψ2qとを用いて、(数15)の様に表すことができる。 【0047】 【数15】
【0048】出力トルク推定器250は(数15)にしたがって、三相誘導電動機の出力トルクτを算出することができる。また、三相誘導電動機の出力トルクと、洗濯物を洗濯脱水槽に入れた状態で洗濯脱水槽を回転させる場合の関係式は、(数16)の様に表すことができる。 【0049】 【数16】
【0050】ここで、Jは洗濯脱水槽の慣性モーメントを表し、JLは洗濯物の慣性モーメントを表す。d1は摩擦等の外乱を表し、rは三相誘導電動機の回転軸と洗濯脱水槽の回転軸との減速比を表す。この時、三相誘導電動機の角加速度Aが一定、即ち、(数17)で示されるとき、洗濯物の量が一定であれば三相誘導電動機の出力トルクτが一定となる。 【0051】 【数17】
【0052】(数16)から洗濯物の量が変化すると、その量に応じて三相誘導電動機の出力トルクが変化することが分かる。そこで、指令角速度生成器102から出力される三相誘導電動機の指令回転角速度を図2の(a)に示す様に三角波で与えると、そのときの出力トルクは、図2の(b)に示す様に角加速度が一定の区間は一定値で出力される。この時、三角波で示す指令回転角速度の最低回転角速度を、洗濯物が遠心力により洗濯脱水槽に密着する最低角速度より速くすれば推定精度が向上する。 【0053】また、摩擦等の外乱d1の影響を排除して、推定精度を上げるためには、加速時と減速時のトルク差を取ればよい。即ち、三角波の指令回転角速度に基づく加速時の角加速度をAとし、減速時の角加速度を−Aとした場合、加速時における最大トルクτmaxと減速時における最小トルクτminの差△τを取ると、外乱d1の影響を排除できる。この状態を(数18)で示す。 【0054】 【数18】
【0055】この(数18)より、出力トルクから洗濯物の量を推定することが可能となる。実際に出力トルク差と洗濯物の量との関係は、図3の様になる。従って出力トルク推定器250の出力から洗濯物量推定器252において、洗濯物の量を容易かつ精度よく推定することが可能となる。なお、本実施例のように、三相誘導電動機を用いて、励磁電流成分とトルク電流成分とを分けて独立に指令する場合、三相誘導電動機の出力トルクを推定する出力トルク推定器250を用いずに、指令トルク電流I1q* などのトルク電流成分の値から洗濯物量を推定してもよい。 【0056】更に、第1の実施例では(数10)の演算において、実際の電圧の代わりに指令電圧v1z*(z:a,b,c,)を用いているが、これにより電圧を検出する電圧検出器が不要となる利点がある。この場合、PWMインバータ124がオンする時の時間遅れ等の影響を補正すれば、電圧の精度が向上する。第1の実施例では、三相誘導電動機の回転において角加速度を一定とする指令角速度を行い、その時の出力トルクで洗濯物の量を推定したが、出力トルクを一定とするトルク制御を行い、その時の回転角速度から洗濯物の量を推定することも可能である。 【0057】《第2実施例》本発明の第2の実施例として、出力トルクを一定に制御して、その時の回転角速度から洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器を有する洗濯機について説明する。以下本発明の第2の実施例の洗濯機について、図4を参照しながら説明する。 【0058】図4は本発明の第2の実施例における洗濯機の構成を示すブロック図である。図4において、三相誘導電動機100は、伝達機構106を介して、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽104に連結されている。三相誘導電動機の出力トルクを指令する指令トルクτ* を出力する指令トルク生成器300の出力端はトルク制御器302の一方の入力端に接続されている。トルク制御器302の他方の入力端とすべり周波数演算器112と回転/静止座標変換器118のそれぞれ一方の入力端には指令励磁電流I1d* が入力される。トルク制御器302の出力端は、すべり周波数演算器112と回転/静止座標変換器118の他方の入力端に接続されている。回転/静止座標変換器118の2つの出力端は二相/三相変換器120の2つの入力端にそれぞれ接続され、二相/三相変換器120の3つの出力端は電流制御器122の3つの入力端にそれぞれ接続されている。電流制御器122の3つの出力端はPWMインバータ124の3つの入力端にそれぞれ接続され、PWMインバータ124の3つの出力端は三相誘導電動機100に接続されている。PWMインバータ124の2つの入力端はコンバータ130を介してAC電源に接続されている。 【0059】PWMインバータ124と三相誘導電動機100との間の3本の接続線にはそれぞれ電流検出器126a,126b,126cが設けられており、これらの出力端は電流制御器122にそれぞれ接続されている。電流検出器126a,126b,126cの出力端は角速度推定部200にも接続されている。一方、電流制御器122の3つの出力端も角速度推定部200に接続されており、角速度推定部200の出力は増幅器115と洗濯物量推定器304の入力端に接続されている。 【0060】増幅器115の出力端は加算器114の一方の入力端に接続され、加算機114の他方の入力端にはすべり周波数演算器112の出力端が接続されている。加算機114の出力端は積分器116の入力端に接続され、積分器116の出力端は回転/静止座標変換器118の入力端に接続されている。 【0061】以上のように構成された洗濯機について、以下図4を用いてその動作を説明する。本実施例においても前記第1の実施例と同様に、洗濯脱水槽104を三相誘導電動機100で伝達機構106を介して回転させることで、洗濯物を洗濯する。すべり周波数演算器112、加算器114、増幅器115、積分器116、回転/静止座標変換器118、二相/三相変換器120、電流制御器122、PWMインバータ124、コンバータ130、角速度推定部200の動作は第1の実施例と同じである。 【0062】本実施例では、第1の実施例の指令角速度生成器102の代わりに指令トルク生成器300を有し、角速度制御器116の代わりにトルク制御器302を有する。以下にトルク制御を行う場合の動作について説明する。三相誘導電動機の出力トルクτは、電流制御が行われて、実際の電流が指令電流にほぼ一致している場合、指令励磁電流I1d*と指令トルク電流I1q*を用いて(数15)を(数19)のように変形できる。 【0063】 【数19】
【0064】指令トルク生成器300よりトルク指令を出力し、トルク制御器302で(数19)にしたがって、指令トルク電流I1q* を生成する。電流制御器122によりトルク指令電流I1d*通りの電流に制御することにより所望の出力トルクを出力することが可能となる。 【0065】このような動作を行う洗濯機において、洗濯脱水機104内の洗濯物の量を推定する方法について以下に説明する。三相誘導電動機の出力トルクと、洗濯物を洗濯脱水槽104に入れた状態で洗濯脱水槽104を回転させる場合の関係式は、第1の実施例と同様に(数16)の様に表すことができる。そのため、一定のトルクを与えると、三相誘導電動機は等角加速度運動を行う。そこで、指令トルク生成器300から、予め定めた一定値の指令トルクを出力し、その時の三相誘導電動機の回転角速度を、角速度推定部200により検出する。次に洗濯物量推定器304により、回転角速度の変化を調べることで、洗濯物の量が推定できる。 【0066】なお、(数16)における摩擦等の外乱d1の影響を排除して、推定精度を上げるためには、矩形波の指令トルクを出力させ、最大角速度と最低角速度の角速度差を取る。これによって外乱d1の影響を排除できる。また、予め定めた基準角速度Aから、予め定めた基準角速度Bまでの到達時間から洗濯物の量を推定してもよい。 【0067】これまで述べた洗濯物の量を推定する洗濯機の例においては、脱水時に遠心力により洗濯物が洗濯脱水槽の内面に密着する。この密着した洗濯物の偏在により洗濯脱水槽104にアンバランスが生じ大きな振動を発生するといった問題点があった。そこで、本発明の第3の実施例として、洗濯物の偏在によるアンバランス量を推定するアンバランス量推定器を有する洗濯機について説明する。 【0068】《第3実施例》以下本発明の第3の実施例の洗濯機について、図5ないし図8を参照しながら説明する。 【0069】図5は本発明の第3の実施例における洗濯機の構成を示すブロック図である。 【0070】図5において、三相誘導電動機100は、伝達機構106を介して、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽104に連結されている。三相誘導電動機の回転角速度を指令する指令回転角速度ωm*を出力する、指令角速度生成器400の出力端は角速度制御部150の一方の入力端に接続されている。角速度制御部150の3つの出力端は電流制御器122の3つの入力端にそれぞれ接続されている。電流制御器122の3つの出力端はPWMインバータ124の3つの入力端にそれぞれ接続され、PWMインバータ124の3つの出力端は三相誘導電動機100に接続されている。PWMインバータ124の2つの入力端はコンバータ130を介してAC電源に接続されている。 【0071】PWMインバータ124と三相誘導電動機100との間の3本の接続線にはそれぞれ電流検出器126a,126b,126cが設けられており、これらの出力端は電流制御器122にそれぞれ接続されている。電流検出器126a,126b,126cの出力端は三相/二相変換器220の3つの入力端にも接続されている。三相/二相変換器220の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続され、さらに、角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。一方、電流制御器122の3つの出力端は三相/二相変換器222の入力端にもそれぞれ接続されており、三相/二相変換器222の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続されている。二次磁束推定器224の出力端は角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。角速度推定器226の出力端は角速度制御部150の他方の入力端に接続されている。出力トルク推定器250の出力端はアンバランス量推定器402の入力端に接続されている。 【0072】以上のように構成された洗濯機について、以下図5を用いてその動作を説明する。本実施例でも、前記第1の実施例と同様に洗濯脱水槽104を三相誘導電動機100で伝達機構106を介して回転させることで、洗濯物を洗濯する。角速度制御部150、電流制御器122、PWMインバータ124、コンバータ130、角速度推定部200、出力トルク推定器250の動作は第1の実施例と同じである。 【0073】主に脱水時には、洗濯物が遠心力により洗濯脱水槽の内面に密着するが、まず密着した洗濯物の偏りによりアンバランスが生じた状態について説明する。図6は洗濯脱水槽104の正面図である。図6に示したように、洗濯物104Aが洗濯脱水槽104の内面に偏って密着すると、洗濯物104Aによる遠心力と重力が洗濯脱水槽104に加わる。特に、遠心力は洗濯脱水槽104の回転角速度が速くなると非常に大きな力となり、大きな振動を発生する。そのため、脱水時等の洗濯脱水槽104の回転開始後その回転角速度が速くなる前に、アンバランス状態を検知する必要がある。洗濯脱水槽104の回転方向、即ち、三相誘導電動機の回転方向の時計回りを正として、偏在する洗濯物104Aの洗濯脱水槽104内の位置をφとすると、運動方程式は、(数20)で表される。 【0074】 【数20】
【0075】ここで、Jは洗濯脱水槽104の慣性モーメントを表し、JL は洗濯物104Aの慣性モーメントを表す。またmは洗濯物104Aの偏在する質量で表されるアンバランス量を表し、gは重力角加速度を表し、Rは洗濯脱水槽の半径を表す。d2 は摩擦等の外乱を表し、rは三相誘導電動機の回転軸と洗濯脱水槽の回転軸との減速比を表す。指令角速度生成器400が、洗濯物104Aが遠心力により洗濯脱水槽104の内面に密着する回転角速度以上の一定指令回転角速度を与えると、三相誘導電動機の発生トルクは図7に示す様に変化する。この時、三相誘導電動機の発生トルクの最大トルクと最小トルクとの差である変動幅△τを求めると、(数20)において、慣性モーメントの項と外乱の項が削除され、次の(数21)となる。 【0076】 【数21】
【0077】この時のアンバランス量とトルクの変動幅の関係の一例を図8に示す。図8よりトルクの変動幅から容易にアンバランス量を推定できることが分かる。このようにして、三相誘導電動機の回転角速度が、指令角速度生成器400からの指令角速度に追従して一定の回転角速度で回転している状態で、出力トルク推定器250で三相誘導電動機の出力トルクを推定することができる。次にアンバランス量推定器402により、出力トルク推定器の出力である最大トルクと最小トルクの差を取り、図8の関係を用いることにより、アンバランス量mを容易にかつ正確に求めることができる。 【0078】これにより、脱水動作を行う前に、アンバランス量を測定することができ、アンバランス量が予め定めた値よりも大きい場合は、脱水動作を中断し、やり直すことが可能となる。したがって、大きな振動を未然に防ぐことが可能である。なお、本実施例のように、三相誘導電動機を用いて、励磁電流成分とトルク電流成分とを分けて独立に指令する場合、三相誘導電動機の出力トルクを推定する出力トルク推定器を用いずに、指令トルク電流I1q* などのトルク電流成分の値から洗濯物の量を推定してもよい。 【0079】また、この推定動作を行うときの洗濯脱水槽104の回転角速度は、洗濯物が遠心力により洗濯脱水槽に密着する回転角速度より速く、洗濯脱水槽などの一次共振が生じる回転角速度よりも遅い角速度がよい。この回転角速度は洗濯機の構造により変化するが通常の洗濯脱水槽104で毎分70から300回転の角速度である。 【0080】上記の構成により、アンバランス量を推定してアンバランス量が予め定めた値よりも大きい場合は、脱水動作を中断して、操作をやり直すことで大きな振動を未然に防ぐことが可能となった。しかし操作をやり直し再度、脱水動作を実行しても、再びアンバランス状態になる可能性があるといった問題点があった。 【0081】そこで、本発明の第4の実施例として、洗濯脱水槽をアンバランス状態になりにくくする機能を有する洗濯機について以下に説明する。 【0082】《第4実施例》以下本発明の第4の実施例の洗濯機について、図9を参照しながら説明する。図9は本発明の第4の実施例における洗濯機の構成を示すブロック図である。 【0083】図9において、三相誘導電動機100は、伝達機構106を介して、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽104に連結されている。三相誘導電動機の回転角速度を指令する指令回転角速度ωm*が出力される、指令角速度生成器400の出力端は加算器500の一方の入力端に接続されている。加算機500の出力端は角速度制御部150の一方の入力端に接続されている。角速度制御部150の3つの出力端は電流制御器122の3つの入力端にそれぞれ接続されている。電流制御器122の3つの出力端はPWMインバータ124の3つの入力端にそれぞれ接続され、PWMインバータ124の3つの出力端は三相誘導電動機100に接続されている。PWMインバータ124の2つの入力端はコンバータ130を介してAC電源に接続されている。 【0084】PWMインバータ124と三相誘導電動機100との間の3本の接続線にはそれぞれ電流検出器126a,126b,126cが設けられており、これらの出力端は電流制御器122にそれぞれ接続されている。電流検出器126a,126b,126cの出力端は三相/二相変換器220の3つの入力端にも接続されている。三相/二相変換器220の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続され、さらに、角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。一方、電流制御器122の3つの出力端は三相/二相変換器222の入力端にもそれぞれ接続されており、三相/二相変換器222の2つの出力端は二次磁束推定器224に接続されている。二次磁束推定器224の出力端は角速度推定器226及び出力トルク推定器250にも接続されている。角速度推定器226の出力端は角速度制御部150の他方の入力端に接続されている。出力トルク推定器250の出力端はアンバランス量推定器402及びアンバランス位置推定器502の入力端に接続されている。アンバランス量推定器402及びアンバランス位置推定器502の出力端は回転角速度変動器504の入力端に接続されており、回転角速度変動器504の出力端が加算器500の他方の入力端に接続されている。 【0085】以上のように構成された洗濯機について、以下図9を用いてその動作を説明する。本実施例でも、前記第1の実施例と同様に洗濯脱水槽104を三相誘導電動機100で伝達機構106を介して回転させることで、洗濯物を洗濯する。角速度制御部150、電流制御器122、PWMインバータ124、コンバータ130、角速度推定部200、出力トルク推定器250の動作は第1の実施例と同じであり、アンバランス量推定器402の動作は第3の実施例と同じである。 【0086】第3の実施例では、アンバランス量の大きさを測定する方法について説明したが、洗濯物の偏っている位置を検出することも可能である。ここではまず、アンバランスの位置を検出するアンバランス位置推定器502の動作について説明する。 【0087】図6に示したアンバランス状態の洗濯脱水槽104を回転させる三相誘導電動機のトルクは図中の角度φが270度の位置で最大となり、90度の位置で最小となる。したがって、出力トルク推定器250で推定される出力トルクの最大値あるいは最小値から、洗濯物が偏って密着している洗濯脱水槽内の位置も検出可能となる。そこで、前記の検出した位置に応じて、三相誘導電動機の回転角速度を急変させ、洗濯脱水槽104の内面に偏って密着した洗濯物を落下させたり、位置をずらすことにより、アンバランス状態を改善することも可能である。 【0088】一つの例として、アンバランス位置推定器502よりアンバランスの原因の洗濯物が洗濯脱水槽104の上部104B、即ち図6において角度φが0度近傍に来たときに、回転角速度補正器504によって角速度補正値を出力し、洗濯脱水槽の角速度を減速する。減速の結果、洗濯物に加わる遠心力より重力の方が大きくなれば、洗濯物は洗濯脱水槽104の内面からはがれ、アンバランス状態を解消することができる。 【0089】他の方法として、洗濯脱水槽104の回転角速度を急加速あるいは急減速することで、生じる慣性エネルギーを利用して、洗濯物の位置をずらすことが可能である。この場合もアンバランス状態の洗濯物の位置と、重力との関係を考慮することで、より効果的に偏って密着している洗濯物の位置を洗濯脱水槽104の内面でずらすことができ、これによってアンバランス状態を補正できる。 【0090】このようにしてアンバランス量が予め定めた値よりも大きい場合に、脱水動作を中断して、アンバランス状態を解消し、再び脱水動作をやり直す場合に、再びアンバランス状態になる可能性を大幅に減らすことが可能となる。なお、この補正動作は、遠心力の影響を小さくするため、洗濯物が遠心力により洗濯脱水槽104の内面に密着する最低の回転角速度近傍の回転角速度で行うのが望ましい。 【0091】《第5の実施例》本発明の第5の実施例として、アンバランス状態になりにくい洗濯脱水槽を有する洗濯機について図10を参照しながら説明する。図10は本発明の第5の実施例における洗濯機の動作を説明するための洗濯脱水槽204の正面図である。図10において、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽204の内部に、洗濯時に洗濯物のひっかかりをよくするための複数の突起物550が設けられている。 【0092】以上のように構成された洗濯機について、以下図10を用いてその動作を説明する。洗濯脱水槽204がほぼ水平な軸204Cで回転する洗濯機では、洗濯動作時には、洗濯脱水槽204を矢印方向に回転させ、突起物550によって洗濯物を持ち上げた後、落として洗濯を行う。脱水動作時には、洗濯物の偏在による洗濯脱水槽204のアンバランス状態を避けるため、洗濯物が遠心力により均一に洗濯脱水槽204の内面に密着するのが望ましい。しかし、突起物の影響で均一に密着せず、アンバランス状態になりやすいといった問題点があった。 【0093】そこで、図10に示したように、突起物550を回転軸204Cと突起物550を結ぶ仮想面560に対して回転方向に関して非対称に構成した鉤状部570を設ける。洗濯動作時は洗濯脱水槽104を図10中の矢印の方向に回転させることにより洗濯物を突起物550の鉤状部570に引っ掛けて持ち上げ、上部で落として洗濯を行う。脱水動作時には、例えば図9の指令角速度生成器400から負の値の指令回転角速度を出力して洗濯脱水槽204を洗濯動作時と逆の方向に回転させる。このようにすると、脱水動作時には洗濯物が鉤状部570ひっかかりにくいため洗濯脱水槽204はアンバランス状態になりにくい。 【0094】以上の構成により、洗濯脱水槽204のアンバランス状態が起こりにくい洗濯機を実現することが可能となる。 【0095】前記のアンバランス量を推定する方法では、アンバランス量が大きい場合、脱水動作を中断し、やり直さなければならないといった問題点があった。 【0096】そこで、本発明の第6の実施例として、アンバランス状態を補正する機能を有する洗濯機について説明する。 【0097】《第6実施例》以下本発明の第6の実施例の洗濯機について、図11を参照しながら説明する。図11は本発明の第6の実施例における洗濯機の洗濯脱水槽334の構成を示す正面図である。図11において、洗濯と脱水さらには乾燥まで行う洗濯脱水槽334の周囲に水を出し入れ可能な例えば16個のタンク600ないし615が設けられている。図12は第6実施例の洗濯機の構成を示すブロック図である。図12において、アンバランス量推定器402及びアンバランス位置推定器502の出力端はアンバランス量補正器602の入力端に接続されている。アンバランス量補正器602の出力端はタンク600ないし615のそれぞれの開孔を開閉する扉700ないし715を選択的に動作させる、例えば回転軸と平行方向に各扉の半径方向外側に配列されて設けた可動ピンを出し入れする電磁石のそれぞれの開閉スイッチ800ないし815に接続されている。 【0098】以上のように構成された洗濯機について、以下図11及び図12を用いてその動作を説明する。まず、洗濯脱水槽334の周囲に取り付けられて洗濯脱水槽334と一緒に回転する全てのタンク600ないし615に予め水を入れておく。次に洗濯脱水槽334を回転させ、、アンバランス量推定器402により、例えば第3の実施例と同様に洗濯物の偏在による洗濯脱水槽334のアンバランス量を推定する。さらにアンバランス位置推定器502により、例えば第4の実施例と同様に洗濯脱水槽334内の洗濯物の偏在位置を推定する。アンバランス量補正器602は、アンバランス位置推定器502により推定された洗濯物104Aの偏在位置近傍のタンク611の扉711を開くように開閉スイッチ811を制御する。扉711の開によって、アンバランス量推定器402により推定されたアンバランス量に応じてタンク611内の水が排出される。これにより洗濯物の偏在による洗濯脱水槽334アンバランスを補正することができ、大きな振動を起こさずに脱水動作が可能となる。 【0099】なお、洗濯脱水槽334の重量を減らして慣性モーメントを減らすために、偏在する洗濯物104Aの、洗濯脱水槽334の回転中心に対してと対称な位置のタンク603の水だけ残し、他のタンク600〜602,604〜615の水を排水してアンバランスを補正してもよい。以上の構成により、容易に洗濯脱水槽334のアンバランス状態を補正することが可能となる。 【0100】前記の各実施例では、三相誘導電動機を用いる構成で説明したが、洗濯脱水槽を駆動する電動機はこれに限らず他の方式のものでも良い。特に電動機の発生トルクが容易に推定できる直流電動機やブラシレスモータでも本発明の主旨を変えずして同様の効果を得られることは言うまでもない。 【0101】 【発明の効果】以上述べたように本発明による洗濯機は、洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記電動機の角加速度が一定となる指令角速度を与えて前記電動機を試験運転させる試験運転制御器を有している。そして前記試験運転中の前記電動機の出力トルクに応じて洗濯物の量を推定する洗濯物量推定器を有することで、容易にかつ正確に洗濯物の量を推定可能な洗濯機を実現することができる。 【0102】更に、洗濯脱水槽を駆動する電動機と、前記電動機の回転角速度を制御する制御装置と、前記電動機の回転角速度を予め定めた一定の回転角速度となるように試験運転させる試験運転制御器を有しており、前記試験運転中の前記電動機の出力トルクに応じて、前記洗濯脱水槽に密着した洗濯物の偏りによるアンバランス量を推定するアンバランス量推定器を有することで、洗濯脱水槽のアンバランス量を正確に推定できる洗濯機を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】東島 隆治
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| 【公開番号】 |
特開平11−319367 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月24日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−139022 |
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