| 【発明の名称】 |
ミシンにおける糸の異常張力検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 茂
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| 【要約】 |
【課題】ミシンの糸を痛めることなく、均一な縫目を保持でき、上糸及び下糸の異常張力を検出できるミシンにおける糸の異常張力検出装置を提供すること。
【解決手段】針板1の下方に配置された糸張力センサ20は、ミシン主軸2の回転角度に対応して上糸8及び下糸5のうち少なくとも一方の張力を検出し、CPU34は、ミシン主軸2の回転角度に対応して張力のしきい値を設定する。そして、CPU34が、糸張力センサ20により検出された張力と、前記しきい値とを比較し、その結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、ミシン主軸2を停止させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 針板の下方に配置され、ミシン主軸の回転角度に対応して上糸及び下糸のうち少なくとも一方の張力を検出する糸張力検出手段と、前記回転角度に対応して前記張力のしきい値を設定するしきい値設定手段と、前記糸張力検出手段により検出された張力と、前記しきい値設定手段により設定されたしきい値とを比較する糸張力比較手段と、その糸張力比較手段が比較した結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、前記ミシン主軸を停止させるミシン停止手段とを備えたことを特徴とするミシンにおける糸の異常張力検出装置。 【請求項2】 前記しきい値を変更可能なしきい値変更手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置。 【請求項3】 前記糸張力比較手段が比較した結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、糸張力の異常を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置。 【請求項4】 前記しきい値設定手段は、前記回転角度の所定の角度領域において、前記しきい値を略0に設定したことを特徴とする請求項1もしくは請求項3に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンの糸切れの原因である糸の異常張力を検出するミシンにおける糸の異常張力検出装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、ミシンにおける糸の異常張力検出装置としては、例えば、上糸の異常張力検出装置が、特開平5−115654号公報に開示されている。本装置は、上糸に接触する糸取りばねを備えており、その糸取りばねが上糸の張力に応じて移動するので、その移動に基づいて上糸の異常張力が検出されていた。 【0003】また、下糸の有無の検出装置が、特開昭55−91398号公報に開示されている。本装置は、下糸調子台板と下糸調子ばねとを備え、それらの間に下糸を挟み込むように構成されていた。そして、下糸が、使い果たされたり、正規の糸道から外れたりしたして、下糸調子台板と下糸調子ばねとの間に存在しなくなった場合には、下糸調子台板と下糸調子ばねとが接触し、下糸の異常が検出されていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記上糸の異常張力検出装置のように、糸取りばね等の可動部材を下糸経路中に設けた場合には、糸取りばねの付勢力が下糸に加わるため、下糸を痛めるとともに、糸取りばねの動的張力が下糸に付加されるため、下糸調子が変化して均一な縫目が得られないという問題があった。 【0005】一方、前記下糸の異常張力検出装置のように、下糸を挟み込む装置では、下糸の有無は検出できるが、下糸切れの前に発生する異常張力を検出することはできず、結果として糸切れを未然に防ぐことができないという問題があった。 【0006】本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、ミシンの糸を痛めることなく、均一な縫目を保持でき、上糸及び下糸の異常張力を検出できるミシンにおける糸の異常張力検出装置を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置は、針板の下方に配置され、ミシン主軸の回転角度に対応して上糸及び下糸のうち少なくとも一方の張力を検出する糸張力検出手段と、前記回転角度に対応して前記張力のしきい値を設定するしきい値設定手段と、前記糸張力検出手段により検出された張力と、前記しきい値設定手段により設定されたしきい値とを比較する糸張力比較手段と、その糸張力比較手段が比較した結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、前記ミシンの主軸を停止させるミシン停止手段とを備えたことを特徴としている。 【0008】上記構成を有する本発明の請求項1に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置において、針板の下方に配置された糸張力検出手段は、ミシン主軸の回転角度に対応して上糸及び下糸のうち少なくとも一方の張力を検出し、しきい値設定手段は、ミシン主軸の回転角度に対応して張力のしきい値を設定する。そして、糸張力比較手段が、糸張力検出手段により検出された張力と、しきい値設定手段により設定されたしきい値とを比較し、その結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、ミシン停止手段がミシンの主軸を停止させる。 【0009】また、請求項2に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置は、前記しきい値を変更可能なしきい値変更手段を備えたことを特徴としている。 【0010】上記構成を有する請求項2に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置において、装置の使用者は、しきい値変更手段によって、糸の張力のしきい値を変更できるので、布または糸の種類に応じて、適切な糸の張力のしきい値を設定することができる。 【0011】また、請求項3に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置は、前記糸張力比較手段が比較した結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、糸張力の異常を報知する報知手段を備えたことを特徴としている。 【0012】上記構成を有する請求項3に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置において、報知手段は、張力がしきい値を超えた場合に、糸張力の異常を報知するので、装置の使用者は、糸張力の異常を簡単に認識することができる。 【0013】さらに、請求項4に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置は、前記しきい値設定手段が、前記回転角度の所定の角度領域において、前記しきい値を略0に設定したことを特徴としている。 【0014】上記構成を有する請求項4に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置において、しきい値設定手段は、回転角度の所定の角度領域において、しきい値を略0に設定しているので、装置の使用者は、その所定の角度領域においては、布または糸の種類に応じて、しきい値を設定する必要がない。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 【0016】図1は、本発明の実施の形態におけるミシンにおける糸の異常張力検出装置の概略構成を説明するための説明図である。図1において、本ミシンは、針板1の下方に、ミシン主軸2の1回転に対応して2回転する外釜3と、その外釜3に対して回動自在に支持された中釜4と、その中釜4の内部に回動可能に支持されたボビン6とを備えており、ボビン6には、下糸5が巻かれ、その状態において、回転しないボビンケース7内に収納されている。 【0017】また、外釜3は、加工布10に縫い目を形成するための剣先12と、上糸8が中釜4を越えるように補助するためのひれ13と備えている。 【0018】一方、針板1の上方には、ミシン主軸2の1回転により1回上下動する縫い針9が備えられ、縫い針9は、図示しない糸供給源により供給される上糸8を、針板1に設けられた針穴11を通して加工布10に供給する。すなわち、ミシン軸2の回転によって縫い針9が、上糸8とともに、針穴11を通して、針板1の下方に挿入されると、外釜3の剣先12は、その上糸8を捕捉して中釜4の周りを周回し、縫い針9と協動して加工布10に縫い目を形成する。 【0019】また、針板1の下面と外釜3との間には図示しないミシンベッドにその一端が固定された片持ち梁構成の糸張力検出手段である糸張力センサ20が備えられ、糸張力センサ20は、外釜3の回転面とほぼ平行に設置された平行部21と、その平行部21に対して下糸4の経路側に屈曲し、下糸4に常に接触するように設置された糸接触部22とから構成されている。また、平行部21には、圧電素子23が固着されている。 【0020】また、ミシン本体の内部にはミシン制御装置30が備えられており、ミシン制御装置30は、ミシン全体の制御を司るCPU34と、CPU34が動作するためのプログラム等を記憶するメモリ35と、ミシン主軸を回転させるミシンモータ31を駆動するための図示しない駆動回路と、ミシン主軸2の回転角度を検出する主軸エンコーダ32の出力信号を入力する図示しない入力回路と、報知手段であるLEDランプ等の表示装置33に表示データを出力させる図示しない表示データ出力回路とを備えている。 【0021】そして、CPU34、メモリ35及び図示しない駆動回路、入力回路及び表示データ出力回路は、相互に電気的に接続されており、圧電素子23も図示しないインターフェース回路を介してCPU34に電気的に接続されている。 【0022】また、加工布10は、図示しない布送り機構により移送されるように構成されている。 【0023】また、図2は、本実施の形態のボビンケース7が装着されていない場合を示す図である。図2において、ボビンケース7を保持する中釜軸4aは、中釜4の中心にあって、下糸5が消費されるに従って回転するボビン6の中心軸としての役割を果たす。 【0024】次に、本実施の形態の異常張力検出装置について説明する。 【0025】図3は、本実施の形態におけるミシン主軸2の回転角度に対応して設定されたしきい値及び検出された電圧波形を示す図であり、縫い針9が針上死位置に位置する場合のミシン主軸2の角度を0度として、360度までの一回転分のしきい値及び圧電素子23が発生する電圧波形を示している。 【0026】図3(a)は、正常縫製の場合であり、図3(b)は、ボビンケース7が装着されていない場合であり、図3(c)は、下糸に異常張力が発生した場合であり、図3(d)は、上糸に異常張力が発生した場合である。 【0027】図3(a)において、電圧波形40は、ミシン主軸2の回転角0度から180度の間において、下糸5が繰り出される時に発生する張力に相当する電圧波形41と、180度から360度(0度)の間において、剣先12により捕捉された上糸8が中釜4の下方に引き込まれる時に発生する張力に相当する電圧波形42とから構成されている。電圧波形41の値は、ミシン主軸2の回転角が30度から80度までの間では、比較的小さく、80度から120度までの間では、大きくなる。 【0028】一方、電圧波形42も、ミシン主軸2の回転角が240度から270度までの間では、比較的小さく、270度から320度までの間では、大きくなる。 【0029】なお、120度から240度までの範囲は、下糸5の繰り出しの終了から、剣先12に捕捉された上糸8が糸接触部22に接触し始める直前までに相当し、正常縫製の場合は、下糸5のみが緩んだ状態で糸接触部22に接触している状態であり、それ故糸張力により圧電素子23に発生する電圧は、非常に小さい値となる。 【0030】また、320度から30度までの範囲は、上糸8が中釜4を越えて上方へ引き上げられ始めるときから、下糸5が送り機構により引き出され始める直前までに相当し、この範囲においても、正常縫製の場合、糸接触部22には、緩んだ状態の下糸5と緩んだ状態で針穴11の上方に引き上げられる上糸8が接触している状態であり、上述の120度から240度の場合と同様に糸張力により圧電素子23に発生する電圧は非常に小さい値となる。 【0031】なお、メモリ35には、ミシン主軸2の回転角に対応した正常張力値の最大値として、点線で示すようなしきい値である張力しきい値43が設定され、記憶されている。また、これらの設定値は、図示しないミシン本体に備えられたスイッチ等により変更可能である。 【0032】なお、このしきい値を設定する処理がしきい値設定手段として機能する。 【0033】次に、本実施の形態の糸の異常張力検出装置の動作について説明する。 【0034】まず、本異常張力装置は、CPU34によってミシンモータ31が駆動され、ミシン主軸2が回転されて縫製が開始される。図1に示すように、ミシン主軸2の回転に伴い下糸5及び上糸8は、糸張力センサ20の糸接触部22において針穴11の側に接触する。この時、圧電素子23は、糸接触部22を通して歪が加えられ、接触する下糸5及び上糸8の張力にほぼ比例した電圧を発生する。その結果、正常縫製の場合には、図3(a)に示すような電圧波形40が出力される。CPU34は、主軸エンコーダ32が出力するミシン主軸2の回転角度に対応して、圧電素子23から出力される電圧波形40とメモリ35から読み出される張力しきい値43とを比較し、電圧波形40が張力しきい値43を超えた場合には、ミシンモータ31を停止するとともに、表示装置33を点灯させる。 【0035】なお、図3(a)の場合には、電圧波形40が張力しきい値43を超えていないので、張力は正常と判断され、表示装置33は点灯しない。 【0036】ここで、CPU34がミシンモータ31を停止させる処理が、ミシン停止手段として機能し、圧電素子23から出力される電圧波形40とメモリ35から読み出される張力しきい値43とを比較する処理が、糸張力比較手段として機能し、このしきい値を変更する処理が、しきい値変更手段として機能する。 【0037】一方、図2のように、ボビンケース7が装着されていない場合は、上糸8は、中釜4の周りを周回することができず中釜軸4aに巻き込まれた状態で引き上げられる。このとき、外釜3のひれ13は、針穴11の近傍に位置しており、糸張力センサ20の糸接触部22には針穴11からひれ13に至る上糸8が屈曲した状態で強く接触する。このため、図3(b)に示すように、ミシン主軸2の回転角度100度付近及び280度付近において、圧電素子23は、大きな電圧を発生する。特に、ミシン主軸2の回転角度50度付近及び250度付近において電圧波形44が張力しきい値43を上回るため、この時点でCPU34は、異常張力と判断し、ミシンモータ31を停止するとともに、表示装置33を点灯させる。 【0038】また、図3(c)の場合には、電圧波形45は、下糸5の接触タイミングに対応するミシン主軸2の回転角度50度付近において、電圧波形45が張力しきい値43を上回り、CPU34は、異常張力と判断し、ミシンモータ31を停止するとともに、表示装置33を点灯させる。 【0039】さらに、図3(d)の場合には、電圧波形46は、上糸8の接触タイミングに対応するミシン主軸2の回転角度250度付近において、電圧波形45が張力しきい値43を上回り、CPU34は、異常張力と判断し、ミシンモータ31を停止するとともに、表示装置33を点灯させる。 【0040】以上のように、下糸5及び上糸8に異常張力が発生した場合には、表示装置33が点灯し、糸の異常張力状態が報知される。 【0041】なお、本実施の形態では、異常張力を検出した場合に、表示装置33を点灯させたが、点滅させてもよく、圧電ブザーやスピーカー等により報知音を発するように構成してもよい。 【0042】また、本実施の形態ではミシン主軸2の各回転角度に対応する圧電素子23の発生電圧の絶対値に基づき糸張力の異常を判断するように構成したが、電圧の最大値と最小値の差、すなわちP−P(peak to peak)値に基づいて異常を判断するように構成してもよい。この場合は、圧電素子23の温度ドリフト等により電圧波形40に電圧オフセットが発生しても、正確に糸張力の異常を検出することができる。 【0043】また、本実施の形態では、下糸5及び上糸8の張力を圧電素子23を使用して検出したが、ひずみゲージを使用して検出してもよい。 【0044】さらに、使用される下糸5や上糸8の張力最大値が既知でない場合は、正常縫製時には本質的に糸張力が発生しないミシン主軸2の回転角度、すなわち、120〜240度の領域や320度〜30度の領域において、糸張力を検出してもよい。この場合は、下糸5や上糸8が緩んだ状態であり、接触圧力は非常に小さいため、糸張力センサ20やCPU34に接続するための図示しないインターフェース回路の電気的ノイズレベルよりも若干大きい0に近い値(略0)となるようしきい値を設定すればよい。 【0045】 【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本発明の請求項1に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置によれば、糸張力比較手段が、糸張力検出手段により検出された張力と、しきい値設定手段により設定されたしきい値とを比較し、その結果、前記張力が前記しきい値を超えた場合には、ミシン停止手段がミシンの主軸を停止させるので、ミシンの糸を痛めることなく、上糸及び下糸の異常張力を検出することができるとともに、糸切れを未然に防止することができる。そして、引いては、均一な縫目を保持することができる。 【0046】また、請求項2に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置によれば、装置の使用者は、しきい値変更手段によって、糸の張力のしきい値を変更できるので、布または糸の種類に応じて、適切な糸の張力のしきい値を設定することができる。 【0047】また、請求項3に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置によれば、異常張力報知手段は、張力がしきい値を超えた場合に、糸張力の異常を報知するので、装置の使用者は、糸張力の異常を簡単に認識することができる。 【0048】さらに、請求項4に記載のミシンにおける糸の異常張力検出装置によれば、しきい値設定手段は、回転角度の所定の角度領域において、しきい値を略0に設定しているので、装置の使用者は、その所定の角度領域においては、布または糸の種類に応じて、しきい値を設定する必要がない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005267 【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月21日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−57265 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−224939 |
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