トップ :: D 繊維 紙 :: D03 織成




【発明の名称】 ゴム紐とその製造方法並びに衣服
【発明者】 【氏名】水越 賢治

【氏名】高田 繁範

【要約】 【課題】耐熱性、耐久性の高いゴム紐とその製造方法並びに衣服を提供すること。

【解決手段】細い糸ゴム14と細い織糸16で織られ長手方向に伸縮性を有する帯状の織ゴム12を有する。織ゴム12の周囲にコーティングされ伸縮性を有する耐熱性ゴム18が設けられている。耐熱性ゴム18は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 細い糸ゴムと細い織糸で織られ長手方向に伸縮性を有する織ゴムと、上記織ゴムの周囲にコーティングされ伸縮性を有する耐熱性ゴムが設けられていることを特徴とするゴム紐。
【請求項2】 上記織ゴムは帯状であることを特徴とする請求項1記載のゴム紐。
【請求項3】 上記耐熱性ゴムはシリコーンゴムであることを特徴とする請求項1記載のゴム紐。
【請求項4】 細い糸ゴムと細い織糸で織られ長手方向に伸縮性を有する織ゴムを、上記織ゴムの長手方向に適度な引張力を加えて伸ばし、上記織ゴムの周囲に液体状の耐熱性ゴムを付着させ、上記織ゴムの引張力を解除した状態で上記耐熱性ゴムを固化させるゴム紐の製造方法。
【請求項5】 細い糸ゴムと細い織糸で織られ長手方向に伸縮性を有する織ゴムと、上記織ゴムの周囲にコーティングされ伸縮性を有する耐熱性ゴムが設けられたゴム紐を備え、このゴム紐を開口部または生地の途中に設けた衣服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体、薬品、食料品関係等のクリーンルームで着用する衣服の袖口等の締付部に使用されるゴム紐その製造方法並びに衣服に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クリーンルームで使用されるクリーンルーム用衣服は、袖口や裾等の締付部に帯状のゴム紐が挿通され、このゴム紐には、天然ゴム等のゴム糸とレーヨン等の織糸で織られた織ゴムが使用されている。これにより、袖口や裾が伸縮性を有し、身体に密着して動きやすいと同時に、ほこりや細菌が衣服の内側からクリーンルーム内に出ることを防いでいる。そしてこのようなクリーンルーム用衣服は、薬品や食品を扱う場合、滅菌のため高温によるオートクレーブ処理が行われる。このオートクレーブ処理は、通常121℃で30分置いておくものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の場合、クリーンルーム用衣服に使用されているゴム紐は、熱によって劣化する天然ゴムが使用されているため洗濯の度に繰り返し高温のオートクレーブ処理が行なわれることにより、弾力性が損なわれ、袖口や裾が伸びきってしまい、身体との間に隙間が生じることがあった。そして、この隙間からほこりや細菌が衣服の内側からクリーンルーム内に出てしまう恐れがあり、衛生上及びクリーン度の維持のためにも好ましくなかった。
【0004】また、耐熱性を有し高い伸縮性を維持するゴム紐としては、耐熱性ゴムであるシリコーンゴムをテープ状に形成したものも考えられるが、帯状シリコーンゴムは引き裂き強度が弱く、袖口や裾に合わせてリング状に縫製する際に形成される針穴からそのゴムが容易に裂けてしまうものであった。
【0005】この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性、耐久性の高いゴム紐とその製造方法並びに衣服を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、細い糸ゴムと細い織糸で織られ長手方向に伸縮性を有する帯状の織ゴムと、上記織ゴムの周囲にコーティングされ伸縮性を有する耐熱性ゴムが設けられているゴム紐である。そして、上記耐熱性ゴムは、シリコーンゴムやフッ素ゴム等である。
【0007】そして、上記織ゴムを形成するゴム糸がシリコーンゴム等の耐熱性ゴムで作られている場合は、織ゴムの周囲に耐熱性ゴムがコーティングされていなくても良い。
【0008】またこの発明は、細い糸ゴムと細い織糸で織られ長手方向に伸縮性を有する織ゴムを、上記織ゴムの長手方向に適度な引張力を加えて伸ばし、上記織ゴムの周囲に溶媒に溶解され液体化された耐熱性ゴムを塗布し、次に上記織ゴムの引張力を解除した状態で乾燥炉内で乾燥し、上記耐熱性ゴムを固化させるゴム紐の製造方法である。
【0009】またこの発明は、耐熱性を有した上記ゴム紐を備え、このゴム紐を開口部または生地の途中に設けた衣服である。
【0010】この発明のゴム紐は、高温の滅菌処理が施される場合、ゴム紐の外側のシリコーンゴムが直接熱を受けるがシリコーンゴムは耐熱性があるため滅菌処理後も高い伸縮性を有し、内側の織ゴムのゴム糸は直接熱を受けることがなく伸縮性が損なわれない。しかも、ゴム糸と織糸で織られた織ゴムが芯となっているため、引き裂き強度が高く、裂けることがない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態のゴム紐10は、中心に帯状の織ゴム12を有し、織ゴム12は天然ゴム等で作られたゴム糸14と、レーヨン等で作られた織糸16で織られたものである。織ゴム12の周囲には、耐熱性ゴムであるシリコーンゴム18がコーティングされている。シリコーンゴム18は、織ゴム12の織目の中にも浸透している。
【0012】次にこの実施形態のゴム紐10の製造方法について説明する。ゴム紐10は、図2に示す樹脂加工機20によって連続的にシリコーンゴム22により被覆される。まずリール21に巻かれた織ゴム12は、織ゴム12の一端部をリール21からほどいて溶媒に溶解され液体のシリコーンゴム22が入った浴槽24に浸漬される。織ゴム12は浴槽内のシリコーンゴム22の水面下に設けられた送出棒26の下を通し、浴槽24の上方に設けられ互いに平行な送出ローラ28、30の間に挿入する。
【0013】送出ローラ28、30はゴム紐12を挟持し、そしてモータ32により回転してリール21と送出ローラ28、30の間に位置する織ゴム12に適度な引張力を加えている。この張力は、ゴム糸14間にシリコーンゴム22が入り込みやすい程度の隙間が形成されるものであれば良い。また送出ローラ28、30は織ゴム12の表裏面の余分なシリコーンゴム22を落としている。
【0014】そして送出ローラ28、30を通過後は、織ゴム12の張力を解除し乾燥炉34に入れ、シリコーン22を乾燥、固化してコーティングが完了しゴム紐10が製造される。乾燥炉34から出たところでゴム紐10をガイドローラ36で送り、リール39に巻き取る。このガイドローラ36は、モータ38により回転されている。
【0015】送出ローラ28、30と、乾燥炉34の間には、織ゴム12の張力を検出するテンション検知器40が設けられている。テンション検知器40は、織ゴム12が撓んだ状態での垂直方向の位置を検知するもので、織ゴム12の側方には、織ゴム12の上方に位置するセンサ42aと、織ゴム12の下方に位置するセンサ42bが設けられている。各センサ42a、42bには、織ゴム12をはさんで反対側に、各センサ42a、42bに対して互いに水平に対向する発光部材44a、44bが設けられ、発光部材44a、44bが発生する光をセンサ42a、42bが検出している。そして織ゴム12がセンサ42bを遮る位置まで垂れ下がった場合は、織ゴム12の張力が増大するように送出ローラ28,30とガイドローラ36の駆動力を調整する。逆に、織ゴム12がセンサ42aを遮る位置まで上昇した場合は、織ゴム12の張力が低下するように、送出ローラ28,30とガイドローラ36の駆動力を調整する。
【0016】このように、樹脂加工器20は、織ゴム12の長手方向に適度な張力を与えて引き伸ばした状態でシリコーンゴム22に浸漬することで織目の中まで十分にシリコーンゴム22を浸透させることができる。そして、乾燥炉34では織ゴム12の張力を解除するため、シリコーンゴム22は織目が伸びた状態のまま固化し織ゴム12が伸縮性を失う恐れがない。
【0017】この実施形態のゴム紐10によれば、ゴム糸14と織糸16で織られた織ゴム12が芯となっているため、引き裂き強度が高く縫製の際の針穴が形成されてもそこから裂けることがない。また、織ゴム12の周囲にはシリコーンゴム18が設けられ、高温の滅菌処理が施される場合、シリコーンゴム18が直接熱を受けるがシリコーンゴム22は耐熱性があるため滅菌処理後も高い伸縮性を有し、また織ゴム12のゴム糸14は耐熱製ゴム以外のもので作られていても、シリコーンゴム22によって保護され直接熱を受けることがないため十分な伸縮性が保持される。さらに、このゴム紐10は織目の中までシリコーンゴム22が浸透しているため空隙がなく、十分な強度と伸縮性を有している。そしてゴム紐10を袖口や裾に使用したクリーンルーム用衣服は、オートクレーブ処理後も身体に隙間なく着用され、ほこりや細菌が袖口等から出る恐れがなく、衛生的である。引き裂き強度が高いため、袖口や裾に合わせてリング状に縫製される際に形成された針穴からゴム紐10が切れる等の事故もない。
【0018】このゴム紐は、衣服の開口部である袖口や足首、ウエスト部分に設けられるものであり、さらにつなぎ服のウエスト部分に設けても良い。
【0019】次に、この発明の第二実施形態について図3に基づいて説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のゴム紐46は、耐熱性を有するシリコーンゴム糸48と、レーヨン等で作られた織糸16で、帯状に織られたものである。
【0020】この実施形態のゴム紐46は、従来のゴム糸をシリコーンゴム糸48に置き換えられたもので、上記実施形態と同様の効果を有するもので、オートクレープ処理の際に熱を受けた後も高い伸縮性を有するものである。
【0021】なお、この発明のゴム紐は、上記実施の形態に限定されるものではなく、ゴム糸や織糸の素材など適宜変更可能で、耐熱性ゴムの素材はシリコーンゴム以外にフッ素ゴム等、熱によって伸縮性が損なわれないものであれば良い。このフッ素ゴムはシリコンゴムよりも耐熱性が高いものである。また、ゴム紐の形状は帯状以外に丸紐状等でも良い。
【0022】
【発明の効果】この発明のゴム紐とその製造方法並びに衣服は、加熱後も高い伸縮性を維持し、また引き裂き強度が高く縫製の際に針穴が形成されても裂けないものである。そしてこのゴム紐を袖口や裾に使用したクリーンルーム用衣服は、高温によるオートクレープ処理後も袖口や裾が伸縮性を維持し身体に密着し、衛生的である。
【出願人】 【識別番号】594058953
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
【出願日】 平成9年(1997)7月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
【公開番号】 特開平11−21738
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−199277