| 【発明の名称】 |
大口径蛍石の製造装置および製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐久間 繁
【氏名】水垣 勉
【氏名】高野 修一
【氏名】西川 秀美
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| 【要約】 |
【課題】ブリッジマン法による製造装置において、より大きな蛍石単結晶を得るためにφ300程度のインゴット外径の大きな蛍石を製造したところ、単結晶となることはほとんどなく、大抵の場合多結晶となる。
【解決手段】炉室を形成する炉本体と、該炉室内に配置され独立に制御可能な天井ヒーターと、底部ヒーターと、前記炉室内にるつぼを保持するための支持棒と、からなる、直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉室を形成する炉本体と、該炉室内に配置され独立に制御可能な天井ヒーター及び底部ヒーターと、前記炉室内にるつぼを保持するための支持棒と、を有する、直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置。 【請求項2】 請求項1に記載の直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置において、前記天井ヒーターが、内周部と外周部の2分割構造を有するヒーターであることを特徴とする、直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置。 【請求項3】 請求項1に記載の直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置において、さらに側面ヒーターを有することを特徴とする直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置。 【請求項4】 直径250mmを越える大口径蛍石の製造方法において、天井ヒーターと底部ヒーターとを有する真空電気炉内にるつぼを配置し、るつぼ内部の融液の半径方向の温度がほぼ均一になるようにし、単結晶成長方向に温度勾配を持たせて結晶成長を行い、蛍石単結晶のインゴットを得ることを特徴とする大口径蛍石の製造方法。 【請求項5】 請求項4に記載の大口径蛍石の製造方法において、前記天井ヒーターが、内周部と外周部の2分割構造を有するヒーターであって、該ヒーターの内周部の温度が外周部よりも低くなるように温度設定をして結晶成長を行うことを特徴とする直径250mmを越える大口径蛍石の製造方法。 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の大口径蛍石の製造方法において、前記インゴットの高さが200mm以下であることを特徴とする直径250mmを越える大口径蛍石の製造方法。 【請求項7】 請求項4〜請求項6のいずれかに記載の大口径蛍石の製造方法において、以下の工程からなる。 第1工程:原料を満たしたるつぼを支持棒の先端部にセットする工程第2工程:ヒーターによりるつぼを加熱し、真空中で原料を溶融する工程第3工程:前記原料溶融後、一定時間、一定温度で保持した後、独立に調節可能な天井ヒーター及び底部ヒーターにより温度調節された炉室内で支持棒を回転させながら結晶成長させる工程。 【請求項8】 請求項7に記載の大口径蛍石の製造方法において、前記第3工程は、さらに以下の工程からなる。 第3−1工程:天井ヒーター及び底部ヒーターの温度差を一定に保持しながら、一定温度ずつ降温して結晶成長させる工程第3−2工程:前記結晶成長終了後、天井ヒーター及び底部ヒーターの温度が融点以下でかつ等しくなるようにヒーターの温度を調節する工程第3−3工程:前記工程終了後、インゴットが割れない程度の速さで一定温度ずつ降温する工程 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、KrFやArFエキシマレーザーを用いた各種機器、たとえばステッパー、CVD装置、核融合装置などのレンズ、窓材等の光学系に使用される蛍石の製造装置及び製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年におけるVLSIは、高集積化、高機能化が進行し、ウェハ上の微細加工技術が要求されている。その加工方法として、光リソグラフィーによる方法が一般的に行われている。このVLSIの中で、DRAMを例にあげれば近年256M以上の容量も現実のものとなっている。加工線幅も0.25μm以下と微細になっているため、光リソグラフィー技術の主流になっているステッパーの投影レンズには高い結像性能(解像度と焦点深度)が要求されている。この要求を満たすために、露光波長もしだいに短波長となり、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)を光源とするステッパーも市場に登場している。248nm以下の波長で光リソグラフィー用として使える光学材料は非常に少なく、合成石英ガラスが主として使われているが、蛍石も光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)になると有力な材料と考えられている。 【0003】従来、KrF、ArFエキシマレーザーを用いた光リソグラフィー用の蛍石は、ブリッジマン法で製造されており、その製造装置(炉)は、例えば図3に示すような「るつぼ降下」型の製造装置である。図3の装置は、炉室を形成するベルジャー(炉本体)31、炉室内に配置されたヒーター33(ヒーターは、例えば天井ヒーター、側部ヒーター、底部ヒーターからなる)、炉室を鉛直方向に2室に分離するための熱遮蔽板(断熱板)35、ベルジャーの底部を貫いて炉室内に形成されたるつぼを支持するための支持棒36、とからなる。 【0004】原料を満たしたるつぼを支持棒の先端部にセットし、上部の炉室内でヒーターにより加熱し、真空中で原料を溶融する。原料溶融後、一定時間保持した後、独立に調節可能なヒーターにより温度調節された炉内で支持棒を引き下げることによりるつぼを降下させ(場合によっては回転させながら降下させる)、結晶成長させる。 【0005】また、たとえば特開平4-39198号に記載されているように、炉室を2室として、側面ヒーター、天井ヒーター、底部ヒーターとを独立に制御することにより、炉内に温度分布の均一な部分を形成し、炉内で高温アニールを行うことにより、耐エキシマ性に優れた蛍石の製造が可能である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなブリッジマン法による製造装置において、より大きな蛍石単結晶を得るためにφ300程度のインゴット外径の大きな蛍石を製造したところ、単結晶となることはほとんどなく、大抵の場合多結晶となってしまった。これではφ200を越えるようなレンズ素材を取ることはできない。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らはまず、従来のブリッジマン法による引き下げによる結晶化に代えて、るつぼを固定して炉温を低下させる方法を採用することにした。この方法自体は、例えば「結晶成長ハンドブック」に示されているように、古くから知られている方法(タンマン法、垂直温度勾配凝固法)である。垂直温度勾配凝固法は、発熱体(ヒーター)や断熱材の構成を工夫することにより結晶成長に適した温度分布を形成する方法であるが、炉内の温度分布の制御がブリッジマン法に比較して複雑になると考えられてきた。 【0008】そこで、本発明者らは、特に直径250mmを越える大口径蛍石単結晶を得るための製造装置として炉内の温度分布を制御する方法を種々検討した結果、次のような結晶成長方法によって、直径250mmを越える大口径蛍石単結晶を得ることに成功した。本発明は第1に、炉室を形成する炉本体と、該炉室内に配置され独立に制御可能な天井ヒーター及び底部ヒーターと、前記炉室内にるつぼを保持するための支持棒と、を有する、直径250mmを越える大口径蛍石の製造装置を提供する。 【0009】また、本発明は第2に、天井ヒーターと底部ヒーターとを有する真空電気炉内にるつぼを配置し、るつぼ内部の融液の半径方向の温度がほぼ均一になるようにし、単結晶成長方向に温度勾配を持たせて結晶成長を行い、蛍石単結晶のインゴットを得ることを特徴とする直径250mmを越える大口径蛍石の製造方法を提供する。 【0010】直径250mmを越える大口径蛍石単結晶を得るためには、インゴットの外径で280mm以上は必要である。従って直径280mm以上の単結晶インゴットを得ることと本発明は同等である。 【0011】 【発明の実施の形態】従来の垂直ブリッジマン法では、鉛直方向に温度勾配がついた電気炉の中を、融液を含んだルツボが降下することにより、ルツボ先端から結晶が成長する。融点近傍の温度勾配と引き下げの速度を調節することにより単結晶を成長させることができる。結晶化による固化熱(潜熱)を充分早く奪うことが重要な点であり、固化熱が固化した結晶を伝わって逃げるとすると、温度勾配と固液界面の移動速度との間に次の関係が必要となる。 【0012】fmax=ks Gs/Lここで、fmaxは界面の移動速度の最大値、Gsは固体中の温度勾配、Lは固化熱である。ハンドブックのデータから、L=1.21 [kJ/cm3]、ks=1[W/m K](1600K)を代入すると、fmax=0.030Gs 、 fmax:cm/H Gs:K/cmであり、生産効率から引き下げ速度は 0.1cm/H程度が限界のため、Gsは3.3K/cm以上が必要になる。インゴット外径が小さい時には、側面のヒーターの設定や側面の熱遮蔽板などの工夫、さらにはルツボを支持する棒の冷却方法で融点近傍の温度勾配を大きく設定することが容易にできた。しかし、外径が大きくなり、高さも高くなってくるとルツボの中心付近や、ルツボの先端から離れた位置では大きな温度勾配を作ることが次第に困難となる。このために固化熱が移動できず、過冷却状態となり、多結晶となってしまうのである。 【0013】そこで、本発明においてはこのルツボ中心部分でも充分な温度勾配を持たせるために、引き下げによる結晶化を止め、天井部分と底部分のヒーターをルツボの近くに配することで成長方向の温度勾配が半径方向において同一になるようにし、単結晶化を実現させた。なお、本発明においては、インゴットの高さはあまり高すぎると、固化した部分が熱応力で割れてしまうため、200mmとしてある。このため、側面ヒーターがなくとも、天井ヒーターおよび底部ヒーターの温度制御により、結晶成長の際の温度制御が可能となる。しかしながら、より精密な温度制御のためには、側面ヒーターを設け、天井ヒーターを内周部と外周部の2分割構造を有するヒーターとすることも可能である。このようなヒーターの構成とした場合には、インゴットの半径方向の温度制御が可能である。 【0014】 【実施例】 1. 図1のように真空電気炉の内部にルツボ、天井ヒーター、底部ヒーターを配置した電気炉を製作した。ルツボは先端部を円錐形状(150度)とし、その先端から結晶成長が開始するようにした。熱電対を各ヒーターの近傍におき、きわめて早い応答で制御できるよう注意する。インゴットの高さはあまり高すぎると、固化した部分が熱応力で割れてしまうため、200mmとしてある。天井ヒーターの温度を1550℃、底部ヒーターの温度を1390℃とすることで、温度勾配が8K/cmとできる。この温度差160℃を維持しながら、1時間あたり1℃下げながら、結晶を成長させていく。天井ヒーターの温度が1350℃になるまで、温度を下げたところで、両ヒーターの温度が1300℃に等しくなるように50時間かけて調節し、インゴットが割れないように徐々に冷却する。こうして、φ300×200の単結晶を成長させることができた。 【0015】2. 天井ヒーターを2分割とし、図2のような形状とした。インゴットの半径方向で成長速度に差が生じないように、内周部と外周部で温度設定を変えることができる構造とした。単結晶を成長させるために必要な、わずかに上凸の固液界面を実現させるためには、中心部分を少し温度が下がるようにすることがポイントである。成長初期にはルツボ支持棒があるためこの環境が実現しやすいが、成長の後半ではこの効果が期待できないため、天井ヒーターによる調節ができるようにした。底部ヒーターも2分割とすることも効果的であるが、天井ヒーターの効果の方が大きい。 【0016】 【発明の効果】本発明によれば、従来のブリッジマン法では単結晶化がきわめて困難であった、φ300の蛍石単結晶が得られ、最大φ270のレンズ素材の提供が可能となった。ステッパーの投影レンズとしてこのサイズが可能になったことで、光学設計に選択肢が広がった効果は、使用可能な素材が限定されるこの分野においては大変画期的である。さらに、引き下げを行わない成長方法であるため、装置の高さが低くなり、装置の製作費用を従来の70%まで抑えることができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004112 【氏名又は名称】株式会社ニコン 【識別番号】593217890 【氏名又は名称】応用光研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)9月9日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−79880 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月23日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−244225 |
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