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【発明の名称】 溶接性に優れた熱処理用鋳鋼
【発明者】 【氏名】岡崎 清治

【氏名】和田 義治

【氏名】久保田 邦親

【氏名】山岡 美樹

【要約】 【課題】良好な機械的性質、特に硬さと靭性を確保することができ、溶接性に優れ、鋳物としても鋳造性のよい熱処理用鋳鋼を提供すること。

【解決手段】重量%で、C:0.3〜0.65%、Si:0.1〜2.1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:4.5〜12.0%、Mo:0.35〜3.3%、V:0.05〜1.4%を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物で形成する。更に、Z=8*(C%)+0.6*(Cr%)の式で示される共晶値の値Zを10.8以下とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量%でC :0.3〜0.65%、Si:0.1〜2.1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:4.5〜12.0%、Mo+1/2W:0.35〜3.3%、V :0.05〜1.4%、を含有するとともに、残部がFeおよび不可避の不純物からなり、下記式に示す共晶値Zが10.8以下であることを特徴とする溶接性に優れた熱処理用鋳鋼。
共晶値Z=8×(C%)+0.6(Cr%)
【請求項2】 消失模型を用いて鋳造してなることを特徴とする請求項1に記載の溶接性に優れた熱処理用鋳鋼。
【請求項3】 溶接前の予熱温度が少なくとも250℃で溶接可能としてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の溶接性に優れた熱処理用鋳鋼。
【請求項4】 溶接後の後熱が450℃で1時間保持後、常温までの冷却時間が少なくとも3時間で冷却可能としてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶接性に優れた熱処理用鋳鋼。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家庭電化製品、農機具等に使用される鋼板の打抜、曲げ、絞りあるいはトリミング用の金型等で熱処理して使用される溶接性に優れた熱処理用鋳鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車メーカー等では価格競争に打ち勝ち収益を確保するために、これまであらゆる分野でのコスト低減を実施してきた。その分野は金型の製造分野までにもおよび、コスト低減のため、プレスで成形される製品の製作工程の短縮や金型製作数の削減、更には加工方法や工具の開発等種々の低減施策を実施してきた。また、鋼板の打抜、曲げ、絞りあるいはトリミング等に使用される金型では、三次元的に変化している被打抜品の形状を成形する金型において、鋼材に比べて加工代を減少できるメリットを生かし鋳鋼品も採用されてきた。この点に着目し、最近では更に鋳鋼品の品質改善ニーズが強くなってきた。
【0003】従来このような金型材で、特に冷間加工用としては耐摩耗性付与のため炭化物を多量に含み、更に、焼入れ性に優れかつ靭性を確保するためCr含有量が多い材料が求められていた。例えばその一例としてJIS・G・4404規定の合金工具鋼鋼材であるSKD11等の高C−高Cr系鋼が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の傾向としては、金型を構成する部品数の削減や一体成形、形状の複雑化等でSKD11のごとき鋼材からの加工による形状出しでは耐摩耗性には優れているが加工すべき体積が膨大となり、製造コスト増加の原因となっている。一方、SKD11に相当する材質の成分で鋳造化して加工代を減少する試みも成されてきたが炭化物を多量に含むため、靭性、溶接性等に問題があり、適切な合金設計での実用化までには至っていないのが現状である。
【0005】また、このような金型材に要求される基本特性は焼入れ性、耐摩耗性、靭性、溶接性等が挙げられるが、近年、耐摩耗性付与としては表面処理の技術が発達してきたため、耐摩耗性確保のために必ずしも硬質脆性な炭化物を多量に含有しなくても良くなってきた。また、最近の動向を見てみると金型加工工程の立ち上げが短期化してきたための設計変更による形状修正や、金型使用中の過酷な条件等による破損や割れが生じても救済により再使用ができるための溶接性が重要となってきた。
【0006】このように、従来材には各々一長一短がある。そこで鋭意研究の結果、本発明は機械的性質を低下させず、焼入れ性に優れ、更に溶接性に優れた金型材をしかも加工量の少ない鋳鋼で提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者達は溶接性の改善に要求される基本条件を見直すことにより、基本成分であるC含有量を減少しても良好な機械的性質、特に硬さ及び靭性を得ることができ、更に、鋳物としても溶接性を損なわず、鋳造性の良い本発明の鋳鋼に想到した。
【0008】まず本発明による熱処理用鋳鋼は、重量%でC:0.3〜0.65%、Si:0.1〜2.1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:4.5〜12.0%、Mo+1/2W:0.35〜3.3%、V:0.05〜1.4%を含有するとともに、残部がFeおよび不可避の不純物からなる化学成分とする。
【0009】つぎに、共晶値Zが10.8以下とする。共晶値Zとは、鋳鋼の溶湯が凝固する過程において固液共存温度幅が大きくなると鋳造欠陥が発生し易くなるための危険値であり、Z=8*(C%)+0.6*(Cr%)と定義する。なお、この式での(C%)と(Cr%)とは添加元素の重量%である。共晶値Zが10.8を超えると凝固完了後の鋳造欠陥が発生しやすいので好ましくない。
【0010】更に、消失模型を用いて鋳造する。鋳造用模型は一般の生砂型あるいは自硬性砂型等に使用される木型等を使用しても良いが、金型のごとき鋳鋼材は模型1点当りの鋳造数が極めて僅かであるため、手作りによる消失模型を使用した方が模型製作費が安価となる。
【0011】また、溶接前の予熱温度が少なくとも250℃で溶接可能とする。一般に金型のごとき鋳鍛鋼品はその製造途中または使用中の状況により形状変更や補修のために溶接が実施されるが、合金鋼は溶接時の割れを防止するために高温に予熱した状態で実施される。特に、Cr等を含む場合は450〜550℃以上に予熱後実施するのが一般的であるが、化学成分の各含有量を厳選すれば少なくとも250℃に予熱後溶接をしても割れは発生しない。予熱温度が低めであるため経済的で、作業もやり易い。
【0012】次に、溶接後の後熱が450℃で1時間保持後、常温までの冷却時間が少なくとも3時間で冷却可能とする。従来の冷却方法である450〜550℃から15〜16時間をかけて冷却していた作業に比べて作業時間の短縮が可能、かつ経済的でもある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の熱処理用鋳鋼の主目的は、Cの含有量を抑えて溶接性に優れた鋳鋼を製作することにある。金型材に使用すれば溶接性に優れているため、使用中の破損や割れ、摩耗が生じても補修して再使用が可能である。また、鋳鋼で製作するので要求される最終製品形状に近い形状で素材を鋳造可能であり、SKD11のごとき圧延鋼材に比べて加工代が僅かで済む。更に、鋼材に比べて圧延作業が不要であり、鋳造後の基地組織は圧延鋼材のような方向性を持たず凝固完了する。つまり圧延された鋼材では圧延された方向に組織が延伸されるため、圧延方向とその直角方向とでは機械的性質に差が生じ易い。また、熱処理を実施した場合には圧延方向とその直角方向とでは寸法的にも変化の度合が異なる。鋳鋼の場合には機械的性質及び熱処理後の寸法変化の点でも組織に方向性がないため、いずれの方向にも安定した性質が得られるという特性を有している。
【0014】加えて、本発明による熱処理用鋳鋼は、必ずしも熱処理炉による焼入れ/焼戻しを実施しなくてもよい。金型材に使用した場合等は、その機能上で必要な部位のみに火焔焼入れ等を実施しても良く、製作工数あるいは必要特性を考慮して硬さを得るための熱処理方法を選択すればよい。
【0015】次ぎに本発明の成分限定理由について述べる。
1)CCは焼入れ性を向上し、熱処理後の硬さを維持するために必要である。熱処理後の硬さをHRC55以上に確保するためには添加量、固溶量共に0.3%以上が必要である。0.3%未満では焼入硬さが不足し十分な強度を確保できない。また、CはCr、Mo、Vと結合して炭化物を形成し、耐摩耗性や焼戻し軟化抵抗を向上させる。添加量が過多になると靭性を低下させ、0.65%を越えると溶接性を劣化させる。更に、固液共存温度幅が大きくなり鋳造欠陥発生の危険、つまり共晶値Zが増す原因となる。よってCの添加量は0.3〜0.65%とした。
2)SiSiは脱酸剤と鋳造性改善の目的で添加するが、効果を得るためには少なくとも0.1%以上が必要である。一方、過多の添加は被削性と溶接性を阻害する原因となり、また、マトリックスの成分偏析も激しくなる。このためSiの添加量は0.1〜2.1%とした。
3)MnMnは焼入性向上のために添加するが、0.1%未満では焼入硬さを安定して得るためには不十分である。一方、多すぎると溶接性を劣化させる原因となり、更にSiと同様マトリックスの成分偏析も激しくなるので0.1〜1.2%とした。ただし、Mnは高価なCrやMo等が置換できる経済的な元素であるが、CrやMo等の効果が十分発揮される場合にはMnは無添加としても良い。
4)CrCrはCと結合して炭化物を生成し耐摩耗性を向上すると共に、焼入性を増す効果がある。しかし、添加量が少なすぎるとその効果が不足する。また、多すぎるとCr炭化物の増加による靭性の低下をきたす。更に、Cの添加と同様に固液共存温度幅が大きくなり鋳造欠陥発生の危険(共晶値Z)が増す原因となる。よってCrの添加量は4.5〜12.0%とした。
5)Mo,WMoおよびWは焼入性を向上する。また、Cと結合して硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。Wの原子量はMoの約2倍であるため、Mo1%の含有量はW2%の含有量と等しい効果を有し、本発明ではMo,Wの1種または2種を含有させることができ、(Mo+1/2W)量でその効果を表すことが可能である。(Mo+1/2W)量でどちらの成分を優先して使うかは経済性を考慮して判断すればよい。(Mo+1/2W)の添加量が0.35%未満では効果が不十分である。一方、過多の添加量では靭性を低下させる層状の共晶炭化物が発生するので0.35〜3.3%とした。
6)VVは焼入れ時の残留オーステナイトの成長を抑制し靭性を確保するのに有効であり、この効果を発揮するためには0.05%以上の添加が必要である。逆に、過多の添加は凝固時に巨大なV系炭化物を晶出し、靭性を低下させる原因となるので0.05〜1.4%とした。
【0016】次に、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。
【0017】(実施例1)表1に本発明の溶接性に優れた熱処理用鋳鋼とその比較材の化学成分の一実施例を示す。
【0018】
【表1】
化学成分 (重量%) 備 考 C Si Mn Cr Mo W V Z値 発明材1 0.35 1.24 0.20 11.22 0.35 2.51 0.31 9.5 〃 2 0.36 0.38 0.44 5.35 3.30 − 0.55 6.1 〃 3 0.45 1.00 0.40 8.50 1.51 − 0.20 8.7 〃 4 0.46 2.10 0.33 5.68 0.85 − 0.49 7.1 〃 5 0.49 0.71 0.10 7.10 0.99 − 0.75 8.2 〃 6 0.47 0.39 0.33 6.82 1.59 − 1.40 7.9 〃 7 0.58 0.23 0.61 5.51 2.75 − 1.22 8.0 〃 8 0.49 0.16 0.51 8.00 1.77 − 0.41 8.7 比較材1 1.48 0.25 0.46 12.11 0.99 − 0.38 19.1 SKD11圧延鋼材 〃 2 1.49 0.40 0.48 12.25 0.96 − 0.35 19.3 SKD11相当鋳造材 〃 3 0.66 1.20 0.57 7.48 1.85 − 0.76 9.8 C 高め 〃 4 0.76 0.10 0.29 9.63 1.43 − 0.57 11.9 Z値 高め 〃 5 0.58 0.82 0.35 11.81 1.48 − 0.38 11.7 Z値 〃 〃 6 0.53 0.55 0.38 12.50 0.58 − 0.26 11.7 Cr 〃 〃 7 0.35 0.70 0.36 4.01 2.31 − 0.11 5.2 Cr 低め 〃 8 0.28 1.10 0.12 6.35 2.01 − 0.71 6.1 C 〃 〃 9 0.44 0.92 1.75 8.23 0.75 − 0.25 8.5 Mn 高め 〃10 0.45 0.43 0.81 4.68 2.27 3.10 0.42 6.4 (Mo+1/2W) 高め 〃11 0.39 0.56 0.75 9.58 2.58 − 0.01 8.9 V 低め【0019】まず、1ton高周波炉を使用して材料を溶解した。つぎに、取鍋を使用して溶湯を鋳型(フラン砂型)へ1560℃で注湯した。更に鋳型内で凝固冷却後、試験片素材を鋳型から取り出した。引続き、鋳造組織の改善及び鋳造応力の除去を目的として、バッチ式熱処理炉を使用し850℃で4時間保持の焼鈍を実施した。しかる後、ショットブラストにてスケール落し後、押湯と湯道を切断除去した。なお、試験片素材の形状はT字型で、フランジ部の寸法を幅200mm、長さ100mm、厚さ40mm、ウエブ部の寸法を高さ40mm、厚さ15mmとした。
【0020】次に、試験片素材の鋳肌面を機械加工により除去し、所定形状に仕上げた。その後、真空加熱炉を用いて1025℃に加熱保持後、不活性ガスでガス冷却焼入れを実施した。更に続けて各試験片の目標硬さがHRC55以上となるように、500〜550℃で焼戻しを実施した。このようにして製作した試験片を表2に示す条件で溶接性の評価を実施した。
【0021】
【表2】
項 目 内 容 予 熱 方 法 :所定温度に加熱保持した電気炉に装入後、1時間保持 溶 接 方 法 :アーク溶接 溶 接 棒 :被覆アーク溶接棒 JIS Z3251 DF3B相当、棒直径4mm 溶 接 電 流 :110A 溶接後の後熱方法:予熱と同一要領で、450℃で1時間保持 冷 却 時 間 :7時間 溶接割れ判定方法:染色浸透探傷検査及び内部切断面の顕微鏡観察【0022】焼入れ、焼戻し熱処理結果の硬さと溶接性(溶接後の割れの有無)判定結果の一例を表3に示す。発明材にはいずれの場合も溶接割れが発生しなかったが、比較材では予熱温度が350、450℃で割れを生じた。
【0023】
【表3】
硬さ(HRC) 予熱温度(℃) 溶接性(割れ)
発明材1 59.0 350 無し 〃 2 58.0 350 〃 〃 3 58.7 350 〃 〃 4 60.0 350 〃 〃 7 59.9 450 〃 〃 8 60.1 450 〃 比較材1 60.3 350 割れ 〃 2 59.8 450 〃 〃 3 60.0 450 〃【0024】更に、試験片素材から引張試験用にJIS4号試験片(直径14mm)を、シャルピー衝撃試験用に10mm角、長さ55mm、中央部切り欠き深さ2mm、半径10mmの試験片を切り出し、機械的性質の調査に供した。熱処理は真空加熱炉で1025℃に加熱後不活性ガスでガス冷却焼入れを実施し、更に目標硬さがHRC55以上となるように500〜550℃で焼戻しを実施した。この結果の一例を表4に示す。比較材1はSKD11圧延鋼材であり、圧延方向と直角方向の機械的性質である。また、比較材2は化学的成分がSKD11相当の鋳造材である。
【0025】
【表4】
硬さ 引張強さ シャルピー衝撃値 抗折応力 (HRC) (N/mm2) (J/cm2) (N/mm2
発明材3 59.0 1388 5.7 2547 〃 8 60.5 1403 5.5 2622 比較材1 60.1 1213 4.8 2058 〃 2 60.8 605 4.7 1330【0026】次に、共晶値Zと鋳造欠陥の発生状況について調査した結果の一例を表5に示す。発明材にはいずれも微小引け巣が認められなかった。
【0027】
【表5】
化学成分(重量%) 共晶値Z 鋳造欠陥 備 考 C Cr 微小引け巣 発明材1 0.35 11.22 9.5 無し 〃 2 0.36 5.35 6.1 〃 〃 4 0.46 5.68 7.1 〃 〃 5 0.49 7.10 8.2 〃 〃 8 0.59 8.00 9.5 〃 比較材4 0.76 9.63 11.9 有り Z値 高め 〃 5 0.58 11.81 11.7 〃 Z値 高め【0028】(実施例2)試験片素材用の模型に消失模型を使用し、実施例1と同様にして試験片を鋳造した。試験片素材の形状、大きさはT字状で実施例1と同様である。引続き、バッチ式熱処理炉を使用し850℃で4時間保持の焼鈍を実施した。その後、ショットブラストでスケールを落し、押湯と湯道を切断除去した。次に、試験片素材の鋳肌面を機械加工により除去し、真空加熱炉で1025℃に加熱保持後、不活性ガスで焼入れを実施した。焼戻し後の目標硬さはHRC55以上である。溶接条件は実施例1と同様としたが、溶接前の予熱温度は250℃、350℃、450℃の三水準とし、溶接後の後熱は450℃で1時間保持後、7時間をかけて常温までの冷却とした。
【0029】表6は本発明の熱処理用鋳鋼と比較材の溶接性の一実施例である。発明材1〜6では予熱温度が250℃または350℃であればいずれの場合も溶接割れは発生しなかった。一方、比較材1、6及び11は予熱温度を450℃で、比較材5は350℃で実施したが全てに溶接割れが発生した。
【0030】
【表6】
硬さ(HRC) 予熱温度(℃) 溶接性(割れ)
発明材1 59.2 250 無し 〃 2 58.3 250 〃 〃 4 60.0 350 〃 〃 6 58.2 350 〃 比較材1 59.9 450 割れ SKD11圧延鋼材 〃 5 59.0 350 〃 Z値 高め 〃 6 58.5 450 〃 Cr 高め 〃11 58.4 450 〃 V 低め【0031】(実施例3)次に溶接前の予熱温度と溶接後の冷却時間が溶接性に及ぼす影響を調査した。この結果の一実施例を表7に示す。溶接後の後熱は450℃で1時間保持後、3時間または7時間をかけて常温まで冷却した。発明材では冷却時間が3時間の場合でも割れが発生しなかったが、比較材では7時間で割れを生じた。
【0032】
【表7】
硬さ(HRC) 予熱温度(℃) 冷却時間(Hr) 溶接性(割れ)
発明材1 59.2 250 3 無し 〃 2 58.3 250 3 〃 〃 3 58.7 350 3 〃 〃 4 60.0 350 3 〃 〃 5 59.7 350 3 〃 〃 6 58.2 350 3 〃比較材1 59.9 450 7 割れ SKD11圧延材 〃 9 59.0 450 7 〃 Mn 高め 〃10 58.5 450 7 〃 Mo 高め【0033】
【発明の効果】以上、本発明によれば、SKD11圧延鋼材と比較して、基本成分であるC含有量を減少しても良好な機械的性質、特に硬さ、靭性を確保することができ、溶接性に優れ、更に鋳物としても鋳造性の良い鋳鋼を提供することができる。更に溶接時の予熱温度を低めに設定でき、冷却時間を短縮しても割れが発生し難く作業性にも優れている。
【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月9日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−293381
【公開日】 平成11年(1999)10月26日
【出願番号】 特願平10−97365