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【発明の名称】 木炭の製造方法
【発明者】 【氏名】清川 晋

【氏名】清川 千鶴子

【氏名】清川 太郎

【要約】 【課題】間伐材のように軟質な木材を使用しても良質の木炭を得ることができる方法を提供する。

【解決手段】木材を圧縮して稠密化処理を行った後、該木材を加熱乾留することを特徴とする木炭の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木材を圧縮して稠密化処理を行った後、該木材を加熱乾留することを特徴とする木炭の製造方法。
【請求項2】 前記木材が間伐材である請求項1記載の木炭の製造方法。
【請求項3】 木材を膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理した後に、該処理木材を乾燥させ、次いで該処理木材を加熱乾留することを特徴とする木炭の製造方法。
【請求項4】 木材を常温水あるいは温水中で膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理する請求項3記載の木炭の製造方法。
【請求項5】 木材を加圧された温水中で膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理する請求項3記載の木炭の製造方法。
【請求項6】 木材をプレス装置によって圧縮して稠密化処理することを特徴とする請求項1記載の木炭の製造方法。
【請求項7】 稠密化処理した木材に多数の横孔をあけて木炭に空気の通路を形成するようにした請求項1ないし6のいずれかに記載の木炭の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は木材、特に間抜材等の比較的柔らかい木材を使用した木炭の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】木炭は燃焼する際に多量の遠赤外線を放射するために、魚類や肉類を内部まで焼いたり、あぶったりする料理の加熱手段として最適であることから、特にウナギ等の魚の干物や焼鳥等の焼物を主体とする店で多く利用されている。そして最近ではガスを使用する設備がないようなキャンプ場等のアウトドアにおける料理に好適に利用されるようになっている。
【0003】木炭は備長炭に代表されるように、灌木等を原料としてこれを加熱乾留したものであり、比較的中実で硬質なものであるから火力も強く安定し、そして燃焼時間が長いという特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし近時、良質の木炭を得るための適当な大きさの灌木が少なくなっている上に、これら灌木の伐採には自然環境を守る上で制約を受け、更にこの木炭の製造を正業とする人は極く限られており、このような各種の事情から良質の木炭を得ることが困難になっている。
【0005】一方、杉や檜その他の樹木を植林によって森林を保護しながら有用な木材を得る方法が実施されているが、この良質な木材を得るためには、間伐作業を所定の時期に行うことが重要である。この間伐作業の際には多量の間伐材が発生するが、この間伐材は幼木で小径のものが多く、しかも軟質なものであるから、垣根や簡単な柵等の特種な用途を除いて、木製品の材料として利用することは困難であることから、多くの場合、単なる燃料として使用せざるを得なかった。
【0006】そこで本発明者等は前記間伐材の利用方法として、キャンプ等のアウトドアでも使用できる、着火性の良い孔あき木炭に関する発明を既に提案している。しかし、前記のようにこの間伐材は幼木であることから、小径でしかも軟質であり、これを加熱乾留して得た木炭も軟質である。従ってこれの燃焼時間が比較的短く、更に発熱量に変動があることから、燃焼中の火加減に注意を払わなければならなかった。
【0007】本発明は前記従来の技術の問題点である灌木等の木炭の主たる原料となる木材以外の木材、好ましくは「間伐材」を使用して得た木炭であっても、従来の木炭と同様ないしこれに近い状態で発熱すると共に、その燃焼を持続させることができる木炭の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明に係る木炭の製造方法は、次のように構成されている。
1)木材を圧縮して稠密化処理を行った後、該木材を加熱乾留する。
2)前記木材として間伐材を使用する。
【0009】3)木材を膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理した後に、該処理木材を乾燥させ、次いで該処理木材を加熱乾留する。
4)木材を常温水、好ましくは温水中で膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理する。
5)木材を加圧された温水中で膨潤させ、該膨潤した木材を圧縮による稠密化処理する。
【0010】6)前記稠密化処理は、木材をプレス装置によって圧縮することによって行なっている。
7)稠密化処理した木材に多数の横孔をあけて、得られる木炭に空気の通路を形成するようにしている。
杉や檜等の間伐材は灌木に比較して軟質であることから、一般には良質な木炭の原料として適していない。この間伐材を使用して木炭を製造すると比重が軽く、しかも軟質であることから割れ易く、そのためにこの木炭は短時間に燃焼する上に、燃焼中に崩れ易い性質がある。
【0011】そこで本発明においては間伐材は勿論、木炭の材料に適さない他の軟質な木材に稠密化処理を施すことによって年輪の間隔を狭めて硬度を上げることによって灌木に近い材質のものに変化させている。稠密化処理は、木材を圧縮処理することによって行なわれるが、乾燥した間伐材は圧縮処理が困難である上に、木材が破壊され易い。そこで木材を水中あるいは温水中、更に沸騰水中で膨潤処理することによって柔軟な状態とする。
【0012】温水中に浸漬して行う膨潤処理は、木材に多量の水分を含ませることができることから木材はかなり柔軟になる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、常温水であっても膨潤処理を行うことが可能である。また、膨潤処理の前に、減圧雰囲気中あるいは真空状態で木材を処理すると効率的に膨潤化処理をすることもできる。この膨潤化処理の際には通常の水や温水を使用できるが、水の中にメタノール等の膨潤作用のある液体を混合してこれによって膨潤化処理を行うと更に効率的である。
【0013】本発明においては、前記膨潤処理によって木材を柔軟で割れが少ない状態にしておいてプレス加工して密度を上げた後に乾燥させるのである。この乾燥処理した木材を所定の長さに切断すると共に加熱・乾留処理することによって木炭を製造することができる。プレス加工にはプレス加工機やプレスローラを使用することができるが、場合によっては、例えば爆発や衝撃的な圧力を利用して短時間に高圧力を作用させるような処理方法も採用することができる。
【0014】このプレス加工中に間伐材を主体とする木材に含まれていた水分の約50%〜65%は排出されることになるから、後続する乾燥処理を効率的に行うことができる。ところで、本発明における稠密化処理が効率的にできたかどうかを判定する方法は、元の木材と稠密化処理を行なった後の木材とを比較した場合に、年輪の間隔がどの程度狭まって稠密化したかどうかを検査する。また、硬度計を使用して硬度の上昇した程度を測定する。更に電気抵抗の変化の割合い等を測定して判断することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1のように間伐材等の圧縮性のある木材1を準備する。そしてこれを図2のような釜2内に水3(あるいは水を主体とする液体)と共に収容し、燃料4を燃焼させて前記水3を加温し、好ましくは煮沸する。
【0016】この加熱操作は、水3を加熱して温水として間伐材1を加熱し、その間に間伐材1に多量の水分を含ませて可能な限り膨潤させるためのものである。そして多量の水分を含んで膨潤した間伐材等の木材1は柔軟で靱性を増しており、プレス機による圧縮操作を行なってもバラバラに分解したり、大きく割れが発生しないような状態になっている。
【0017】次に、前記のように膨潤した間伐材1を図3に示すように高圧に耐えることができる容器5(この実施例においては紙面の表裏方向に十分に長く構成されている。)内に充填し、この容器5の開口部に押圧体6を嵌入し、この押圧体6をプレス装置7を使用して加圧することによって容器5内の間伐材等の木材1を圧縮して膨潤する際に吸収した水分を排出する。
【0018】なお、この容器5には排水孔5aが適数設けてあり、間伐材等の木材1より絞り出される水を排水しながら圧縮することができるようになっている。なお、8は支持台であって、前記容器5内に間伐材1を充填する時はこの容器5を支持台8上で起して開口を上方に向けた状態で行なう。そしてこの間伐材1の上に押圧体6を載せて間伐材1が容器5から脱出しないようにする。そして図3に示すようにこの容器5を垂直方向から横転(右向きに)させ、次いで押圧体6にプレス装置7の押棒(あるいはピストンロッド)を取付けてこのプレス装置7を駆動して押圧する。
【0019】前記のようにプレス装置7を操作して容器5内の間伐材等の木材1を圧縮することによって、この木材1が含んでいた水を徐々に排出しながら稠密化されて密度を次第に増加させる。前記膨潤処理によって間伐材等の比較的軟質の木材1は、更に柔軟になって変形し易くなっている。従って、プレス装置7の圧縮工程の間にこの木材1が割れたり、組織が分解したりすることが少ない。
【0020】前記のように容器5内において膨潤した間伐材等の木材1にプレス装置7等の加圧装置を利用して高圧を作用させながら圧縮して水分を絞り出しながら稠密化処理する。この圧縮工程において間伐材等の木材1の年輪の間隔が減少し、それと共に組織が稠密化する。そしてこの年輪の間隔の減少ともに重量と硬度が増加することになる。
【0021】前記稠密化処理を行なった間伐材1は、プレス装置7の圧力を除去して容器5から取出しても元の状態にならない。次にこの間伐材1を風通しの良い場所に放置して乾燥させる。前記のように稠密化処理した後に乾燥処理した間伐材等の木材1aは元の間伐材等の木材1に比較して約30%〜50%程度も重量が増加し、それに対応して密度も増加している。従って、この稠密化処理を行なった間伐材等の軟質な木材1aは灌木と同等の密度となり、硬度も増加していることが確認されており、これを加熱・乾留することによって良好な木炭を製造することができる。
【0022】(実施例2)図1のように伐採した直後ないし余り乾燥していない間伐材を主とする木材1を準備し、これを図3のプレス装置に供給して加圧して稠密化処理を行ない、次いで前記工程に従って加熱・乾留処理を行って木炭を製造する。
(実施例3)一般家庭においては木炭を使用する機会が少なくなっており、特に若者達は着火方法が分からない場合がある。そこで着火し易くするために、多数の横孔を開口した木材を準備する。そしてこれを炭焼釜内で加熱・乾留して木質を木炭質に変化させることによって孔あき木炭とすることができる。
【0023】図4は、前記稠密化処理工程によって処理した、木炭の原料となる間伐材等の木材1aの斜視図である。この間伐材1aには一面(表面)から反対側の面(裏面)に対して貫通した横孔10を多数開口している。この例においては、多数の横孔10を平行に、そして隣接する横孔10との間に長手方向に距離を変えた状態で貫通させて横孔10の加工を容易にするとともに、この横孔10を分散させることによって、これを原料とした木炭が局部的に弱くならないように配慮している。
【0024】横孔10は、間伐材等の木材1aの長手方向にあけた孔ではなく、横断方向にあけた多数の孔10を意味しており、その方向は間伐材等の木材1aの軸線に直交したものではなく、この軸線に対してある角度を持って交差したものであっても良い。なお、図1に示すように間伐材等の木材1aに多数の横孔10を平行に貫通してあける作業は、ボール盤の支持台上に間伐材等の木材1aを固定し、そしてこの支持台を所定の距離だけ送り操作すれば良い。
【0025】図5は、間伐材等の木材1aの平面図であって、横孔10を放射状にあけた木材1aを示しており、このような開口作業には、一方の開口作業が終わると間伐材等の木材1aを所定の角度(45度)で回転させながら行うのが良い。図6は、間伐材等の木材1aの横断面において、貫通した第1の横孔11と第2の横孔11aを平面的に交差した部分が連結しないように注意しながら網目状の孔を形成する。
【0026】この作業には間伐材1aをボール盤上に配置し、次いで第1の横孔11をドリルで開口したならば、次に間伐材等の木材1aを90°だけ回転させて第2の横孔11aを開口する。この場合は二方向の横孔を開口すれば良いので、孔あけ加工が著しく容易となる。灌木を原料とした木炭の大きさに比較して、本発明に係る木材、特に稠密処理した間伐材を主体とする木材1aはかなり大きな径のものもあるので、従ってこれをそのままの大きさで木炭に加熱・乾留しようとしても効率が悪いか、あるいは品質の良好な木炭とすることができない場合が生ずる。そこでこの間伐材等の木材を二つ割りか四つ割りとした木材としてこれを炭焼釜内で加熱・乾留して木炭として使用できる大きさとするのが良い。
【0027】図7は、二つ割りした間伐材等の木材1bの断面図であって、平坦な底面aに対して直交ないしはこれに近い角度で貫通孔12をあけたものである。図8は、四つ割りした間伐材等の木材1cの断面図であって、平坦な底面aに対して略平行に貫通孔13をあけたものを示している。図7及び図8に示すように、間伐材等の木材を二つ割り、あるいは四つ割りにしたものを原料とし、これに横孔を、好ましくは貫通してあけ、前記のようにこれを膨潤させた後に加圧して稠密化処理を行う。そしてこの木材を乾燥処理し、炭焼釜内で加熱・乾留処理して木炭を製造する。
【0028】前記のように本発明の第3の実施例は、稠密化処理した木炭の原料である木材に各種形態の横孔をあけ、これを常法によって炭焼きして木炭を製造するものであるから、この木材ヘの横孔の開口作業が著しく簡単である上に、正確な位置に所定の大きさの横孔を多数、任意の間隔に配置してあけることができる。この孔あき木炭に点火する時は、この横孔の口部を火に当てると簡単に着火することができ、しかも、この横孔が燃焼ガスを排出する小さな煙突ないしは熱の保存帯の役目をすることから、木炭を使用する機会が少ない者でも簡単に着火して料理等に使用することができる。
【0029】更に、予めあるいは使用時に前記横孔内に着火性の良い物質を染み込ませ、あるいは充填しておくことによって着火性に優れた木炭とすることができる。更に応用例として前記のように開口した横孔にワイヤ等を通してスダレ状、網状、あるいは織物状に組上げて木炭の集合体ないし木炭の組織体を構成する。そしてこれを空気やガスの通路やダクトやケーシング内にカーテンのように、しかも多段に設けることによって空気等の気体の浄化装置として利用することができる。
【0030】更に、2枚の多孔金属板の間あるいは金網の間に本発明の孔あき木炭を挟持させることによって、広い接触面積を有する濾過体を製造することができる。なお、本発明は、特に間伐材を木炭にする前に稠密化処理すると最も効果的であるが、本発明にこれに限定されるものではなく、稠密化処理が可能な木材であればいずれのものでも適用することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は木材を圧縮して稠密化処理を行った後、該木材を加熱・乾留して木炭を製造することを基本的な技術としている。従って、特に前記木材は間伐材を使用した場合であっても、この間伐材を圧縮処理して密度を上げた上で加熱・乾留して木炭を製造するので、単なる間伐材を使用した木炭に比較して火力が強く、そして安定して燃焼することができるので、この間伐材の有効利用を計ることができる。
【0032】また、稠密化処理に際して、木材を好ましくは温水等に浸漬し、更に加圧することによって早期に膨潤させて柔軟性を増すので、これのプレス加工を行う際にこの木材に割れを発生することなく、このプレス工程中に含有していた水分を徐々に排出するので、効率的に稠密化処理を行うことができる。このように稠密化処理を行なった木材を常法にしたがって加熱・乾留処理することによって適度な硬度と発熱量のある木材を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】592132981
【氏名又は名称】清川 晋
【出願日】 平成9年(1997)8月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−61142
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−218702