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【発明の名称】 青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】遠 藤 忠

【氏名】莫 平 凡

【要約】 【課題】青色に発光し、長い残光性を有すると共に、熱的、構造的に安定で、化学的に過酷な条件においても優れた耐候性を示す蓄光体及びその製造方法を提供する。

【解決手段】青色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体を、組成式が(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24 (□は組成欠損、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M* はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素、n、m、xは、それぞれ、0≦n≦0.2、0<x<0.6、0.0001≦m≦0.1の範囲を満足する数値)で表わされるEu2+で賦活した粉末状生成物として得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】組成式が、(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24(但し、式中の□は組成欠損、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M*はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素を表わし、n、m、xは、それぞれ下記の範囲を満足する数値からなる。
0≦n≦0.20<x<0.60.0001≦m≦0.1 )
で表わされるEu2+を賦活した青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体。
【請求項2】組成式が、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24(但し、式中の□は組成欠損、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M*はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素、LnはEu以外の希土類元素を表わし、n、m、l、xは、それぞれ下記の範囲を満足する数値からなる。
0≦n≦0.20<x<0.60.0001≦m≦0.1 )
0.0001≦l≦0.1 )
で表わされるEu2+と1種以上の希土類元素Lnを賦活した青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体。
【請求項3】M元素を含む化合物、M* 元素を含む化合物、Al元素を含む化合物、Si元素を含む化合物ないしケイ素、及びEu元素を含む化合物を、(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24(但し、式中の□は組成欠損、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M*はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素を表わし、n、m、xは、それぞれ下記の範囲を満足する数値からなる。
0≦n≦0.20<x<0.60.0001≦m≦0.1 )
で表わされる組成式の割合で混合した原料粉末を、炭酸ナトリウム又は酸化ホウ素と共に焼成し、請求項1記載の蓄光体を粉末状生成物として得ることを特徴とする青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体の製造方法。
【請求項4】M元素を含む化合物、M* 元素を含む化合物、Al元素を含む化合物、Si元素を含む化合物ないしケイ素、Eu元素を含む化合物、及びLn希土類元素を含む化合物を、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24(但し、式中の□は組成欠損、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M*はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素、LnはEu以外の希土類元素を表わし、n、m、l、xは、それぞれ下記の範囲を満足する数値からなる。
0≦n≦0.20<x<0.60.0001≦m≦0.1 )
0.0001≦l≦0.1 )
で表わされる組成式の割合で混合した原料粉末を、炭酸ナトリウム又は酸化ホウ素と共に焼成し、請求項2記載の蓄光体を粉末状生成物として得ることを特徴とする青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体及びその製法に関する。更に詳しくは、本発明は、屋内や屋外、さらには水中などの暗所において、電子線、紫外線又は可視光、あるいはそれらの複数による励起で青色ないし青緑色発光性を示し、励起停止後も青色の長残光性を備えた発光体であって、さらに熱的に極めて安定で、酸化性や還元性の雰囲気などに対しても優れた化学的安定性を示すEu2+主賦活のアルミニウムケイ酸塩蓄光体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光体は、粒子エネルギー、電子、光など何らかの外部刺激によって、励起され発光するものを指すが、励起を停止した後も引き続き発光を持続することのできる残光性の発光体をここでは「蓄光体」と呼ぶ。こうした蓄光体は、表示の多様化や高機能化に伴って、多色化や長残光性に優れたものが要求され、さらに実用的には耐候性の向上が求められている。従来の蓄光体は、材料的にも極めて数が少なく、発光や残光の色(波長)が限定され、かつ、残光時間も短く、耐候性も悪いものであった。
【0003】無機材料として、硫化物系とストロンチウムアルミネートなどの酸素酸塩系の蓄光性のある発光体が既に報告されている。硫化物系蛍光体としては、例えば、青色発光の(Ca,Sr)S:Bi3+蛍光体、黄緑色発光のZnS:Cu2+蛍光体、赤色発光の(Zn,Cd)S:Cu蛍光体などがある。一方、酸素酸塩系蛍光体としては、例えば、ユウロピウムで賦活された化学式MAl24 で表わされるアルカリ土類金属アルミネートがある。ここで、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのアルカリ土類金属である。特に、Journalof Electrochemical Society、第118巻、930頁(1971)に報告されているスタッフドトリジマイト構造を有したSrAl24 :Eu2+蛍光体は、長い残光性を示すことが知られている。しかしながら、これらの蛍光体は、蓄光体として、あるいは優れた耐候性をもつものとしては実用性の点から不十分であった。
【0004】事実、上記の(Ca,Sr)S:Bi3+蛍光体は、母体の化学的安定性が悪く、発光体としての輝度、残光時間も十分でないため、現在ではほとんど使用されていない。また、(Zn,Cd)S:Cu蛍光体は、毒性物質であるCdが含まれており、輝度及び残光時間も実用域に達していないため、現在ではほとんど使用されていない。ZnS:Cu2+蛍光体は、湿気の存在下で紫外線により光分解しやすく、黒化して残光時間も十分ではないが、安価な点から時計の文字盤や避難誘導標識などとして現在、特に屋内において多用されている。一方、ユウロピウムを主賦活したストロンチウムアルミネート/バリウムアルミネートは、520nm/500nm付近に最大発光強度をもつ黄緑色の発光体で、0.32mcd/m2 までの減衰時間が2000分以上と、ZnS:Cu蛍光体の200分に比べれば、長い残光性を示す。しかし、優れた耐候性や多色化の要求を満足するものではない点が指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来までの無機蓄光体の欠点を解消し、青色ないし青緑色に発光し、かつ長い残光性を有すると共に、更に熱的、構造的に安定で、化学的に過酷な条件においても優れた耐候性を示す蓄光体及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、元素周期表において第II族元素を含む酸化物と、アルミニウムケイ酸塩化合物を中心に、新しい組成をもつ発光体に関して種々検討を進めていたところ、特定組成の第II族元素を含む酸化物とアルミニウムケイ酸塩との反応生成物に関し、Eu2+で賦活又はEu2+とLn希土類元素で賦活することによって、新規なアルミニウムケイ酸化合物系蓄光体が得られることを知見した。更に、発光中心であるEu2+又はEu2+とLn希土類元素やその他の含有元素、例えば粒成長を促すために加えるフラックスに含まれるホウ素やナトリウムなどの含有量を最適化することによって、極めて長い残光性を有し、構造的、化学的に安定で、耐候性に優れ、かつ460nmに最大発光強度を有する青色蓄光体、又は490nm付近に最大発光強度を有する青緑色が得られることを見出し、上記の目的が達成できることを確かめた。
【0007】すなわち、本発明は、組成式が、(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24又は、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24(ここで、□は組成欠損)で表わされる、Eu2+又はEu2+と1種以上の希土類元素Lnを賦活した点に特徴のある青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体を提供するものである。但し、上式中、Mはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択された一種類以上のアルカリ土類金属元素、M* はマンガン、亜鉛、カドミウムから選択された一種類以上の2価金属元素、LnはEu以外の希土類元素を表わし、n、m、l、xは、それぞれ下記の範囲を満足する数値からなる。
0≦n≦0.20<x<0.60.0001≦m≦0.1 )
0.0001≦l≦0.1 )
【0008】上記蓄光体は、電子線、220nm〜480nmの範囲にある紫外線又は可視光、あるいはそれらの複数により励起後、室温もしくは少なくとも室温以上の温度域に加熱昇温する時に、熱ルミネッセンス(蛍光)を示すものである。
【0009】また、本発明に係る青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体の製造方法は、上記M元素を含む化合物、M* 元素を含む化合物、Al元素を含む化合物、Si元素を含む化合物ないしケイ素、及びEu元素を含む化合物を、(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24で表わされる組成式の割合で混合した原料粉末、又は、上記各元素及び1種以上の希土類元素Lnを含む化合物を、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24で表わされる組成式の割合で混合した原料粉末を、炭酸ナトリウム又は酸化ホウ素と共に焼成し、上記蓄光体を粉末状生成物として得ることを特徴とするものである。上記焼成は、還元性雰囲気において800〜1400℃の条件で行うことが望まれる。また、上記原料粉末を、1〜5000kg/cm2 の荷重で金型成型器を用いて成型し、焼成あるいは仮焼して得た生成物を同じ大きさの荷重で加圧成型し、焼結するのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体は、蓄光体の母体構成成分として、組成式が、 (M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24 (1) 又は (M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24 (2) (ここで、□は組成欠損)を有するもので、この構成成分中にあるM元素を、一部マンガン、亜鉛やカドミウムのM* 元素で置換すると、残光特性は低下するが、発光輝度を向上させるためには、M* 置換量(モル値)を0≦n≦0.2、好ましくは、0≦n≦0.05の範囲とするのが適しており、0.2を超えて置換すると、残光性のみならず発光輝度の向上の効果が極めて低くなる。
【0011】また、青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体に含まれるEu2+の組成を決める前記mの値は、0.0001≦m≦0.1、好ましくは0.001≦m≦0.01の範囲が適しており、0.0001未満では発光中心となるイオン量が少なく、目的発光輝度が得られない。また、0.1を超えると発光中心イオン間の相互作用に伴う濃度消光が起こるとともに、目的以外の化合物ができたり、原料の酸化物が残存するため、得られた蓄光体の輝度が著しく低下する。Eu2+と共に、賦活剤としてDy3+やNd3+などの希土類元素Lnを用いる場合には、前記lの値は、0.0001≦l≦0.1、好ましくはEu2+に対して0〜50モル%の割合の範囲が適している。得られた蓄光体はSiを含まない従来のストロンチウムアルミネートと違って、490nm付近に最大発光強度を有する青緑色発光を示す。
【0012】また、組成式中のSiO2 ないしケイ素の含有量を決める前記xの値(モル値)は、0.1≦x≦0.6の範囲にあり、固溶するSi量の増加に伴って電荷収支をとる必要から、□で表している母体構成組成に欠損が生ずる。そこで、好ましくは0.1≦x≦0.45の範囲が適しており、0.6を超えると残光特性向上の効果が少なくなり、輝度も低下する。
【0013】一定の粒径(1〜10μm)をもつ粉末状青色ないし青緑色発光性アルミニウムケイ酸塩蓄光体を得るために、フラックスとして酸化ホウ素を加えると、一部Al元素と固溶置換して、残光性が改善されることがあるが、その置換量は0.001モルを超えることはない。また、過剰の酸化ホウ素を用いても、未反応量が増えるのみで、フラックスとして粒成長に効果があっても、発光輝度や残光性に影響を与えることはない。
【0014】本発明のアルミニウムケイ酸塩蓄光体は、電子線、220〜480nmの範囲の紫外線又は可視光、あるいはそれらの複数による励起後に、当該蓄光体を室温もしくは室温以上に加熱昇温するときに、熱ルミネッセンス(蛍光)を示すものである。
【0015】本発明のアルミニウムケイ酸塩蓄光体は、次のようにして合成される。蓄光体の主原料は、元素Mの化合物、M* の化合物、Alの化合物、Bの化合物、Siの化合物ないしケイ素、賦活剤のEu2+の化合物及びLn希土類元素を含む化合物、すなわち、これらの各元素を含む酸化物もしくは焼成により容易に酸化物となり得る炭酸塩、硝酸塩、塩化物などの塩の形で用いる。そして、前記組成式(1) 又は(2) の組成範囲になるように秤量し、湿式または乾式で十分混合する。
【0016】この混合粉末、あるいはこの粉末を1〜5000kg/cm2 の圧力で加圧して成型したものを、アルミ坩堝もしくは黒鉛坩堝などの耐熱反応容器に配置し、水素含有不活性ガスの還元雰囲気中、又は炭素還元雰囲気中で800〜1400℃、1〜12時間で1回以上焼成する。焼成を2回以上反復して行う時には、1回目の焼成は空気中でも良いが、最終焼成工程は必ず還元雰囲気中で行う必要がある。以下に実施例を示し、更に詳しくこの発明について説明する。理論的には、組成式は、前記(1) 又は(2) 式となるが、実施例では、(M1-n-m*nEum )(Al1-x Six24又は、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Six24となるように調整した。組成の上で1/4x過剰となるシリカはフラックスとして機能する。
【0017】
【実施例1】Sr0.995 Eu0.005 Al1.85Si0.154 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 Co3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加えボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.938gAl23 1.886gSiO2 0.180gEu23 0.018gB23 0.139gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1300℃で5時間焼成した。
【0018】得られた焼結体は、乳棒、乳鉢により粉砕して、粉末X線回折法による相同定を行った。図1に、CuKα線による粉末X線回折の結果を示す。また、比較のために合成したSrAl24 の粉砕X線回折図形を図2に示す。図中に示したように、各ピークは指数付けされ、単斜晶系のスタッフドトリジマイト型構造に帰属するものである。この結果より、本実施例により得られた試料はほぼ単一相で、SrAl24 と同形であることがわかる。図3中の(a)として、360nmの紫外線により励起したこの実施例1の試料の発光スペクトルを示す。同図より、最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(a)として示す。
【0019】次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(a)に示す。また、BaSO4 を参照試料として拡散反射法により吸収測定を行った。図6の(1)に拡散反射スペクトルを示す。後述の比較例1で得たSiを含まない試料についての同図の(2)に示す拡散反射スペクトルと比較して、同じプロファイルをもつことがわかる。従って、各試料の吸収端は、200nmより低波長側に位置するものと考えられる。
【0020】
【実施例2】Sr0.99Zn0.005 Eu0.005 Al1.85Si0.154 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.923gZnO 0.008gAl23 1.886gケイ素 0.084gEu23 0.018gB23 0.014gNa2 CO3 0.518g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1500kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1300℃で3時間焼成した。得られた焼結体を粉砕して本発明の青色発光性を有する蓄光体を得た。
【0021】この蓄光体は、実施例1で示した化学組成の試料のSr0.995 を、Sr0.99、Zn0.005 で置き換えたものである。図7に、得られた試料のCuKα線による粉末X線回折図形を示す。実施例1と同様に、本実施例で得られた試料はほぼ単一相で、SrAl24 と同形であることがわかる。図3中の(b)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より、最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(b)に示す。次いで、250nmの励起波長において30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(b)に示す。
【0022】
【実施例3】Ca0.95Eu0.05Al1.80Si0.204 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
CaCO3 1.902gAl23 1.836gSiO2 0.240gEu23 0.176gB23 0.069gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、2000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1350℃で、3時間焼成した。得られた焼結体を粉砕して本発明の青色発光性を有する蓄光体を得た。
【0023】この蓄光体は、実施例1で示した化学組成の試料のSr0.995 を、Ca0.95で置き換え、さらに、Euの含有量を0.005より0.05に変化させた試料である。得られた試料の粉末X線回折図形より、実施例1と同様、ほぼ単一相で、SrAl24 と同形であった。図3中の(c)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(c)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(c)に示す。
【0024】
【実施例4】Ca0.79Ba0.20Eu0.01Al1.80Si0.204 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
BaCO3 0.789gCaCO3 1.581gAl23 1.836gSiO2 0.240gEu23 0.035gB23 0.069gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これを黒鉛坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1250℃で、5時間焼成した。得られた焼結体を粉砕して本発明の青色発光性を有する蓄光体を得た。
【0025】この蓄光体は、実施例1で示した化学組成の試料のSr0.995 を、Ca0.79Ba0.20で置き換え、さらに、Euの含有量を0.005より0.01に変化させた試料である。得られた試料の粉末X線回折図形より、実施例1と同様に、SrAl24 と同形であることがわかった。図3中の(d)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(d)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(d)に示す。
【0026】
【実施例5】Ba0.98Eu0.02Al1.90Si0.104 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
BaCO3 3.868gAl23 1.938gSiO2 0.120gEu23 0.070gB23 0.069gNa2 CO3 0.415g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1350℃で、4時間焼成した。得られた焼結体を粉砕して本発明の青色発光性を有する蓄光体を得た。
【0027】この蓄光体は、実施例1で示した化学組成の試料のSr0.995 を、Ba0.98で置き換え、さらに、Euの含有量を0.005より0.02に変化させた試料である。得られた試料の粉末X線回折図形より、実施例1と同様、SrAl24と同形であることがわかった。図3中の(e)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(e)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(e)に示す。
【0028】
【実施例6】Mg0.799 Ba0.20Eu0.001 Al1.90Si0.104 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとして、B23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
MgO 0.644gBaCO3 0.789gAl23 1.938gSiO2 0.120gEu23 0.007gB23 0.069gNa2 CO3 0.415g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1350℃で、3時間焼成した。
【0029】この蓄光体は、実施例5で示した化学組成の試料のBa0.98を、Mg0.799 Ba0.20で置き換え、さらに、Euの含有量を0.02より0.001に変化させた試料である。得られた試料の粉末X線回折図形より、実施例1と同様に、SrAl24 と同形であった。図3中の(f)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、460nm付近に位置する青色発光であることがわかる。また、励起スペクトルを図4中の(f)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、460nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を、図5中の(f)に示す。
【0030】
【実施例7】Sr0.9925Eu0.005 Dy0.0025Al1.80Si0.204 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとしてB23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.930gAl23 1.836gSiO2 0.240gEu23 0.018gDy23 0.009gB23 0.139gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1300℃で、3時間焼成した。
【0031】この蓄光体は、実施例3で示した化学組成の試料のCa0.95Eu0.05を、Sr0.9925Eu0.005 Dy0.0025で置き換えた試料である。図8に、得られた試料のCuKα線による粉末X線回折図形を示す。実施例1と同様、本実施例で得られた試料もまたほぼ単一相で、SrAl24 と同形であることがわかった。図9中の(a)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、これまでの実施例で示したものと異なり、490nm付近に位置する青緑発光であることがわかった。また、励起スペクトルを図11中の(a)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、490nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を図13中の(a)に示す。これにより、EuとDyとを共賦活すると、青色発光するアルミニウムケイ酸塩蓄光体ではなく、青緑色発光の蓄光体になることがわかった。
【0032】
【実施例8】Sr0.9925Eu0.005 Nd0.0025Al1.80Si0.204 の化学組成をもつ蓄光体を得るために、フラックスとして、B23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量した。次いで、適量のアルコールを加え、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.930gAl23 1.836gSiO2 0.240gEu23 0.018gNd23 0.008gB23 0.139gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これを黒鉛坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1250℃で、3時間焼成した。
【0033】この蓄光体は、実施例8で示した化学組成の試料のDy0.0025を、Nd0.0025で置き換えた試料である。得られた試料の粉末X線回折図形より、実施例1と同様に、本実施例で得られた試料もまたほぼ単一相で、SrAl24 と同形であることがわかった。図9中の(c)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを示す。図より最大発光強度を与えるピークは、実施例6と同様、490nm付近に位置する青緑色発光であることがわかった。また、励起スペクトルを図11中の(c)に示す。次いで、250nmの励起波長において、30秒間試料を励起した後、490nmのピークの発光強度の時間変化(残光特性)を測定した。その結果を図13中の(c)に示す。これより、EuとNdとを共賦活した場合も実施例6と同様に、青緑色発光の蓄光体になることがわかった。
【0034】
【実施例9】実施例7で得られたSr0.9925Eu0.005 Dy0.0025Al1.80Si0.204 の化学組成をもつ蓄光体をアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて、空気中、850℃で、6時間焼成した。比較のために、Siを含まない化学式、Sr0.9925Eu0.005 Dy0.0025Al24 に相当する原料粉末をアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1300℃で、3時間焼成した。次いで、得られた試料を前記のものと同条件の、空気中、850℃で、6時間焼成した。
【0035】これらの蓄光体は、850℃での焼成前後においても、いずれも実施例6で示したように、SrAl24 と同形であり、490nm付近に位置する青緑発光であることが確認できた。図14の(a)及び(b)に、Sr0.9925Eu0.005Dy0.0025Al1.80Si0.204 の焼成前及び焼成後の試料破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、図15の(a)及び(b)に、Sr0.9925Eu0.005Dy0.0025Al24 の焼成前及び焼成後の試料破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【0036】両図の各(a)は、850℃焼成前の試料の破断面の写真である。Siを組成に含む試料の方が、それを含まない試料に比べて、結晶粒子が大きく成長し、かつ粒界にガラス相を形成している様子がわかる。これは、フラックスとして用いたB23 、Na2 CO3 が、シリカと反応してガラス相を生成したためである。一方、両図の各(b)は、850℃焼成後の試料の破断面の写真である。Siを組成に含む試料では、ほぼ均一な大きさの粒子からなり、それらがガラス相を介して結合した組織になっている様子がわかる。また、490nm付近に位置する青緑発光の輝度は、850℃焼成後も変わらないことが確認できた。一方、Siを組成に含まない試料では、850℃での焼成によって、粒子表面が熱的にエッチングされている様子が観察される。さらに、粉末X線回折の結果からは、構造的な変化がないのにもかかわらず、ほとんど黄緑色の発光は見られなかった。
【0037】以上の結果から、Siを組成に含む試料は、熱安定性に優れたものであることがわかる。さらに、Siを組成に含む試料とは異なり、含まない試料においては、容易にリン酸や希塩酸により腐食され、多孔質になることがわかった。また、発光特性も著しく劣化した。
【0038】
【比較例1】比較例1として、Sr0.995 Eu0.005 Al24 の化学組成をもつEu2+を賦活したSrAl24 蓄光体を下記の通り作製した。フラックスとして、B23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量し、適量のアルコールを加えた後、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.938gAl23 2.040gEu23 0.018gB23 0.139gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1300℃で、6時間焼成した。図10中の(d)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを、図12中の(d)に励起スペクトルを示す。次いで、黄緑色のピークの発光強度の時間変化(残光特性)を図13中の(d)に示す。図6中の(2)には拡散反射スペクトルを示す。
【0039】
【比較例2】比較例2として、Sr0.9925Eu0.005 Dy0.0025Al24 の化学組成をもつEu2+とDy3+で共賦活したSrAl24 蓄光体を、下記の通り作製した。フラックスとして、B23 、Na2 CO3 を加え、下記の量の原料粉末を各々秤量し、適量のアルコールを加えた後、ボールミルにて一昼夜、十分湿式混合した。
SrCO3 2.930gAl23 2.040gEu23 0.018gDy23 0.009gB23 0.139gNa2 CO3 0.318g40℃で乾燥した混合粉末は、金型成型器を用いて、1000kg/cm2 の荷重で、直径13mmφの円板に成型し、これをアルミナ坩堝に入れ、電気炉を用いて3%水素含有アルゴンガス中、1250℃で、4時間焼成した。
【0040】図10中の(b)に、360nmの紫外線により励起した試料の発光スペクトルを、図12中の(b)に励起スペクトルを示す。黄緑色のピークの発光強度の時間変化(残光特性)は図13中の(b)に示す。
【0041】
【発明の効果】本発明の新規化合物である、組成式が(M1-n-m*nEum )(Al1-x Si3/4x1/4x24で表せるアルミニウムケイ酸塩化合物は、460nmに最大発光強度を持つ青色発光体であり、また、組成式が、(M1-n-m-l*nEum Lnl )(Al1-x Si3/4x1/4x24で表せるアルミニウムケイ酸塩化合物は、490nmに最大発光強度を持つ青緑色発光体であり、さらに比較例で示すストロンチウムアルミネート蓄光体と比較しても、同程度あるいはより長い残光特性を有することが明らかになった。また、実施例9に示すように、当該蓄光体は、熱的あるいは化学的に極めて安定な耐候性に優れたもので、蓄光体として具備すべき発光輝度の低下や残光特性の低下は見られず、高温・多湿の過酷な環境条件や、場合によっては、酸などを含む水溶液中に置いても十分使用が可能である。
【出願人】 【識別番号】591107403
【氏名又は名称】株式会社リード
【出願日】 平成9年(1997)8月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏 (外1名)
【公開番号】 特開平11−61116
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−238966