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【発明の名称】 路面スリップ防止剤および路面スリップ防止方法
【発明者】 【氏名】平野 八朗

【氏名】永瀬 道臣

【要約】 【課題】氷雪の溶解後は路面等に残留せず、かつ環境に影響を及ぼさない路面のスリップ防止方法。

【解決手段】アルカリ金属の重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物および酢酸塩から選ばれる1種以上からなり、重量基準の平均粒径が0.2〜20mmであるスリップ防止剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物および酢酸塩から選ばれる1種以上からなり、重量基準の平均粒径が0.2〜20mmの造粒物である路面スリップ防止剤。
【請求項2】造粒物が、圧力1〜10t/cmのロールプレス方式により得られる圧縮成形物である請求項1記載の路面スリップ防止剤。
【請求項3】造粒物が実質的に重曹からなる請求項1または2記載の路面スリップ防止剤。
【請求項4】請求項1、2または3記載の造粒物を撒布することを特徴とする路面スリップ防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凍結した路面のスリップ防止剤およびスリップ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、凍結した路面のスリップ防止方法としては、珪砂を撒布する方法が有効であることから広く実施されている。しかし、珪砂は氷雪の溶解後も路面に長期間残留し、アスファルト面を研削して路面を荒らす、粉塵を発生して周辺の環境を悪化させる、さらには雨水溝を詰まらせるなどの問題があり、使用できる場所などに制限があった。
【0003】一方で、スパイクタイヤの使用も制限される傾向にあり、凍結路面のスリップ防止対策は不可欠となってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、氷雪の溶解後は路面等に残留せず、かつ路面を研削せず環境に悪影響を及ぼさない路面スリップ防止剤およびスリップ防止方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物および酢酸塩から選ばれる1種以上からなり、重量基準の平均粒径が0.2〜20mmの造粒物である路面スリップ防止剤を提供する。
【0006】路面スリップ防止剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の重炭酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物および酢酸塩から選ばれる1種以上を用いる。なお、上記塩としては、KCl・MgCl2 のような2種以上の塩が結合した形式で示される複塩も含む。これらの化合物は、スリップを防止するのに充分な硬度を有する。
【0007】なかでも水溶性で氷雪の溶解後は路面に残留しないもの、そのまま廃棄されても環境に影響を及ぼさないもの、潮解性が小さく凍結路面上での形状維持に優れるものが好ましい。具体的にはアルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ土類金属の重炭酸塩または食塩が好ましく用いられ、特には炭酸水素ナトリウム(重曹)が好ましく用いられる。
【0008】本発明における造粒物の平均粒径は、重量基準で0.2〜20mmであり、好ましくは1〜10mmである。平均粒径が0.2mm未満では、充分なスリップ防止効果が得られず、また20mmを超えると、工業的生産性を上げるのは困難である。
【0009】造粒物の製造方法は、特に限定されず、圧縮成形、押出成形、撹拌または転動等による湿式または乾式の造粒方法が適用できる。なかでも乾式の圧縮成形では、充分な硬度と目的とする粒径を有する造粒物を容易に得ることができる。具体的には、圧力1〜10t/cmのロールプレス方式による圧縮成形による造粒方法が好ましく、まず上記圧縮成形により粗造粒物を得て、これを粉砕することにより、低コストかつ工業的規模の生産能力で造粒物を製造できる。
【0010】造粒物の製造にあたっては、添加剤を添加してもよい。例えば、湿式造粒の場合は、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロースなどの水溶性バインダーを使用できる。また、造粒物を圧縮成形による乾式造粒で造粒する場合は、造粒物の硬度や溶解性を調整するために食塩、酢酸ナトリウム、芒硝などの塩を添加してもよい。
【0011】本発明の路面のスリップ防止方法は、前記のスリップ防止剤を凍結した路面に撒布するものである。スリップ防止剤は、路面の状況によるが、一般的には、好ましくは1〜100g/m2 、さらに好ましくは5〜50g/m2 で撒布される。また、スリップ防止剤は、凍結防止剤と併用することもできる。
【0012】
【実施例】
[例1(実施例)]スリップ防止剤として用いる造粒物を次の方法により作製した。平均粒径91μmの重曹を、乾式の圧縮成形造粒機(ホソカワミクロン社製品名:CS−25)を用いて4.9t/cmの線圧力で成形し、重曹のフレークを得た。これを2段ロールからなる粉砕機(日本グラニュレーター社製品名:ロールグラニュレータ)を用いて粉砕した。このとき1段目のロールのピッチは14mm、クリアランスは2.0mmであり、2段目のロールのピッチは4mm、クリアランスは1.4mmであった。次いで、目開き2.8mmおよび4.0mmステンレス製の篩で分級して、両篩の中間品を採取し、重量基準の平均粒径が3mmである造粒物を得た。また、この造粒物の個数基準の平均硬度は16.3kgであった。
【0013】次に、凍結した路面のモデルとして、重曹の飽和溶液(温度20℃)を250ml/m2 の割合で塗布したガラス板を準備した。このガラス板上に前記の造粒物を50g/m2 の割合で均一に撒布した。
【0014】[例2(実施例)]重量基準の平均粒径が0.242mmの単一結晶粒子からなる重曹を50g/m2 の割合で例1と同じガラス板上に均一に撒布した。
【0015】[例3(比較例)]重曹飽和溶液を塗布した例1と同じガラス板を準備した。ガラス板上には何も撒布しなかった。
【0016】[評価結果]例1〜例3で作製したガラス板の上に直径36mm、厚み6mm、重量11.43g(金具等の付属品含む)の円盤状天然ゴムシートを置き、この上に500.11g、1000.24gの分銅を載せ、速度17.6cm/分で引っ張った。ゴムシートが動き始めた時の張力と一定速度で定常的に動いている時の張力を、最大測定範囲1kgfのバネ秤を用いて測定した。同様の測定を分銅を載せずに行った。
【0017】得られた結果より圧力と張力の関係をグラフ化し、直線近似して傾きを求め、静止摩擦係数および動摩擦係数(単位:gf/gf)を求めた。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【発明の効果】本発明のスリップ防止剤は、適当な粒径を有し、優れたスリップ防止効果を有する。特に潮解性が小さいものはより優れたスリップ防止効果を有する。また、水溶性のスリップ防止剤は、氷雪の溶解後は路面等に残留しない利点を有する。
【出願人】 【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治 (外1名)
【公開番号】 特開平11−61106
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−224016