| 【発明の名称】 |
シート積層造形用接着剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】高野 秀裕
【氏名】小口 寿彦
【氏名】森田 哲
【氏名】杉山 和夫
【氏名】磯谷 春彦
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| 【要約】 |
【課題】シート積層造形法、特に3次元物体を構成する有効領域と3次元物体を構成しない不要領域とに切断した第1のシート上に、第2のシートを供給し、その際、両シートの間に接着剤を介在させ、第1および第2のシートを接着した後、第2のシートを有効領域と不要領域とに切断するシート積層造形法に用いる接着剤として有用な、良好な層間接着強度が長期間安定して得られるシート積層造形用接着剤を提供する。
【解決手段】球形度 0.9〜1.0 の無機微粒子からなる表面被覆層を有する、平均粒径が12μm〜30μmの熱可塑性樹脂を主体とする接着性粒子を含有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 球形度 0.9〜1.0 の無機微粒子からなる表面被覆層を有する、平均粒径が12μm〜30μmの熱可塑性樹脂を主体とする接着性粒子を含むことを特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項2】 請求項1記載のシート積層造形用接着剤において、無機微粒子の粒径が10nm〜300nm であることを特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項3】 請求項1または2記載のシート積層造形用接着剤において、無機微粒子は、表面がシランカップリング剤またはシリコーンオイルで処理されていることを特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか 1項記載のシート積層造形用接着剤において、無機微粒子は、シリカ、酸化チタン、およびアルミナの群から選ばれた少なくとも 1種からなることを特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか 1項記載のシート積層造形用接着剤において、熱可塑性樹脂は、ガラス転移点が40〜75℃であること特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか 1項記載のシート積層造形用接着剤において、熱可塑性樹脂を主体とする接着性粒子は、顔料を含有することを特徴とするシート積層造形用接着剤。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか 1項記載のシート積層造形用接着剤において、熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリ塩化ビニールからなる群より選ばれた少なくとも 1種であることを特徴とするシート積層造形用接着剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シートの接着積層による3次元物体の造形に用いられるシー卜積層造形用接着剤に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、複雑な形状の3次元物体を造形する方法として、熱溶融性の接着剤を予め塗布した紙シートを積層していく方法が知られている。この方法は、各紙シートを積層した後、ホットローラで紙シートを加熱することによって紙シート同志を接着し、上層の紙シートを3次元物体を構成する領域の輪郭に沿って切断するものである。しかしながら、この方法では、精度の高い造形が困難であるうえ、接着強度が不十分であるなどの問題があった。また、光硬化造形法により3次元物体を造形する方法も知られているが、設備に多額の費用を要するうえ、寸法精度が不十分であるなどの問題があった。 【0003】このようななかで、近時、寸法精度の高い3次元物体を高速でしかも簡易に造形しうるシート積層造形方法が提案され、注目されている。 【0004】すなわち、この方法は、3次元物体を構成する有効領域と3次元物体を構成しない不要領域とに切断した第1のシート上に、第2のシートを供給し、その際、第2のシートの下面に一定の範囲で粉末状の接着剤(電子写真用トナーもしくは電子写真用トナーから顔料を除いたもの)を付着させ、第1および第2のシートを加熱加圧もしくは加圧して接着した後、第2のシートを有効領域と不要領域とに切断するもので、以上の工程を繰り返すことにより3次元物体が造形される。 【0005】この方法では、光硬化造形法と比較して安価かつ迅速に寸法精度の高い成型品を作製することができる、接着剤の付着に電子写真方式を用いることかできる、シートに接着剤の担体としての機能と樹脂含浸用芯体としての機能を併せ持たせることができる、作製後ペーパーヤスリ等で処理することによって容易に平滑な表面を得ることができるなどの特長を有している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような方法においては、接着剤として、従来の電子写真用トナーもしくはそれから顔料を除いたものをそのまま用いているため、接着力が不十分で積層物が容易に層間剥離してしまうという問題があった。また、長期にわたって一定した接着強度を有する積層体を得ることが困難で、層間接着強度にばらつきを生ずるなどの問題があった。 【0007】本発明はこのような従来技術の課題に対処してなされたもので、シート積層造形法、特に3次元物体を構成する有効領域と3次元物体を構成しない不要領域とに切断した第1のシート上に、第2のシートを供給し、その際、両シートの間に接着剤を介在させ、第1および第2のシートを接着した後、第2のシートを有効領域と不要領域とに切断するシート積層造形法に用いる接着剤として有用な、良好な層間接着強度が長期間安定して得られるシート積層造形用接着剤を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明のシート積層造形用接着剤は、球形度 0.9〜1.0 の無機微粒子からなる表面被覆層を有する、平均粒径が12μm〜30μmの熱可塑性樹脂を主体とする接着性粒子を含むことを特徴としている。 【0009】ここで、球形度とは、短軸径を長軸径で割った値をいい、また、平均粒径は、重量平均径である。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。 【0011】本発明において使用される無機微粒子は、主として、接着性粒子に適正な帯電量を付与するとともに、流動性や転写効率を向上させ、さらにはこれらの特性を長期にわたって保持させるためのものであり、シリカ粉、酸化チタン粉、アルミナ粉、酸化亜鉛粉、酸化鉄粉等の金属酸化物が好ましく使用され、なかでも、シリカ粉、酸化チタン粉、アルミナ粉の使用が好ましい。なお、接着性粒子の撥水性や帯電の安定性を向上させる目的で、このような無機微粒子の表面をシランカップリング剤やシリコーンオイル等で処理したものを用いることもできる。 【0012】本発明においては、このような無機微粒子のうち、球形度 0.9〜1.0 のものが使用される。これは、無機微粒子の球形度が 1.0に近づくほど、すなわち形状が真球に近づくほど、個々の微粒子が離散しやすくなって、より少量で均一な厚さの表面被覆層を形成することが可能になり、その結果、接着性粒子の機械的なストレスや環境変化に対する耐性が増し、シート上に繰り返し均一に付着されるようになるからである。球形度が 0.9未満では、個々の微粒子が凝集しやすく表面被覆層の形成が困難になるうえ、表面から遊離する無機微粒子も多くなって、接着性粒子のシート上への付着量が不安定になるうえ、不要部分に接着性粒子が付着するおそれがある。また、遊離した無機微粒子が静電潜像を形成する感光体上に付着し、接着剤のシート上への付着量や転写効率を低下させ、装置そのものの寿命を短くするおそれがある。 【0013】したがって、本発明においては、できるだけ球形度が 1.0に近いものを用いることが望ましく、また、その粒径が 10 nm〜300 nmの範囲にあるものが望ましい。 【0014】本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、球形度が0.9 に満たない無機微粒子を混合して用いてもよく、その量は、通常、接着性粒子に被覆される無機微粒子全体の10重量%程度以下である。 【0015】本発明において使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニール等が例示され、これらは、 1種を単独で使用してもよく、また、 2種以上を混合して使用してもよい。本発明においては、なかでも、接着力の確保や機械的強度確保の点から、ポリエステル樹脂の使用が望ましく、また、これらの熱可塑性樹脂のうち、ガラス転移点が40〜75℃の範囲のものを使用することが望ましい。これは、接着性の点からは、ガラス転移点は低い方が望ましいが、ガラス転移点が40℃未満では保存安定性や耐久性等が低下するからである。 本発明おいては、このような熱可塑性樹脂に、必要に応じて、着色のための顔料や、摩擦帯電電荷量を制御するための電荷制御剤、オフセットを防止するためのワックス類等を添加してもよい。顔料としては、アセチレンブラックやサーマルブラック等のカーボンブラック、シアン系、マゼンタ系、イエロー系顔料等が例示される。また、電荷制御剤としては、負極性制御剤として含金属アゾ染料、テトラフェニルボレート、アルキルサリチル酸の金属キレート、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、塩素化ポリオレフィン、脂肪酸の金属塩等が、また、正極性制御剤としてニグロシン系の電子供与性の染料等が例示される。なお、顔料は、通常、 1重量%〜 5重量%程度、また、電荷制御剤は、 0.5重量%〜 5重量%程度添加される。 【0016】本発明における接着性粒子は、熱可塑性樹脂を、必要に応じて配合される顔料や電荷制御剤その他の各種添加剤とともに、加熱混練機等を用いて溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、公知の粉砕手段および分級手段により粉砕し分級して平均粒径が12μm〜30μmの粒子を得、次いで、これらの粒子に前記無機微粒子を添加しミキサーやボールミル等により混合することにより得られる。 【0017】なお、粒子の粒径を上記範囲に限定したのは、平均粒径が12μm未満では十分な厚さに付着させることができず接着力が低下し、また、平均粒径が30μmを超えると、帯電が不十分となって現像中に飛び散りなどが生じる結果、十分な接着剤層が得られなくなるからである。 【0018】このようにして得られた接着性粒子を含む本発明の接着剤は、公知の静電転写技術によりシート上の所望の領域に十分な厚さの接着剤層を形成することができる。なお、これは、前述したように、無機微粒子が接着性粒子に安定な帯電量を付与するため、静電像の均質な現像が行われるとともに、十分な厚さの現像層が高い転写効率でシート上に転写されるからと考えられる。 【0019】しかも、この接着剤層は、接着性粒子が受ける機械的ストレスや環境の変化にかかわらず均一に形成されるため、これを用いてシート積層造形方法により高精度で、かつ、接着強度も十分な高品質の3次元物体を造形することができる。 【0020】すなわち、例えば、3次元物体を構成する有効領域と3次元物体を構成しない不要領域とに切断した下層の普通紙等からなるシート上に積層される上層のシートの片面の所定の領域に上記接着剤を静電転写して接着剤層を形成し、これを下層のシート上に接着剤層が下層シートの表面に接するように載置し、加熱加圧して上層シートを下層シートに接着させる。次いで、上層シートを有効領域と不要領域とに切断し、さらに、以上の工程を繰り返し、得られた積層体から、不要領域部分を除去することにより、3次元物体が造形される。本発明の接着剤は、静電転写により十分な厚さに付着させることができ、しかも付着性は長期間にわたって維持されるため、寸法精度が高く、接着強度の大きい3次元物体を繰り返し安定して造形することができる。 【0021】なお、上記シート材には、表面にある程度凹凸があって、かつ、通気性を有する紙の使用が望ましく、接着剤が紙の繊維間に含浸することにより、繊維が成型物の補強材として作用する結果、強度の高い成型物を得ることができる。 【0022】このように本発明のシート積層造形用接着剤は、静電転写によりシート間に十分な厚さの接着剤層を長期にわたって安定に形成することができるため、層間剥離がなく寸法精度の高い高品質の3次元物体を安定に造形することができる。 【0023】 【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の記載中「部」とあるのはいずれも「重量部」を示す。 【0024】実施例1ポリエステル樹脂(ガラス転移点63℃) 95 部と、顔料としてカーボンブラック 3部と、負帯電性電荷制御剤としてサリチル酸亜鉛錯体 2部、およびポリプロピレンワックス 0.5部をニーダを用いて 120℃にて加熱混練し、得られた混練物を、冷却後、風力式粉砕・分級機を用いて粉砕し分級して、平均粒径18μmの黒色に着色した樹脂粒子を得た。 【0025】次いで、得られた粒子 100部に、無機微粒子として球形度 0.9以上のアルミナ粉末(平均粒径30nm) 1部およびシリカ粉末(1次平均粒径 10nm 、2次凝集径0.1μm〜0.2 μmの不定形凝集粒子) 1部を添加し、ミキサーで均一に混合して接着剤を得た。 【0026】このようにして得られた接着剤 5部を表面酸化鉄粉キャリア100 部と混合し、二成分系現像方式のレーザビームプリンタを用いて電子写真法により、紙シート(普通紙)上の有効領域に付着させて接着剤層を形成した後、接着剤層側を下層の紙シート(有効領域と不要領域とに既に切断されている。)に向けて重ね合わせ、加熱加圧して接着し、次いで、上層の紙シートを有効領域と不要領域とに切断した。この操作を繰り返して積層体とした後、最終的に不要領域部分を除去して造形物を得た。 【0027】得られた造形物は、層間剥離もなく十分な強度(曲げ強さ、引張強さ等)を有していた。また、造形物断面を観察したところ、溶融した接着剤がシートに均一に含浸しているのが確認された。 【0028】この後、さらに、上記操作を繰り返し造形物の作製を続けたところ、シート数が 5万枚に達した後も接着剤層は十分に形成され、高い強度を有する造形物が得られた。 【0029】実施例2アルミナ粉末に代えて、球形度が0.9 以上の酸化チタン粉末(平均粒径30nm)1.3部を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤を得、さらに、得られた接着剤を用いて、実施例1の場合と同様にして造形物を作製し、その特性を評価した。 【0030】得られた造形物は、層間剥離もなく十分な強度(曲げ強さ、引張強さ等)を有していた。また、造形物断面を観察したところ、溶融した接着剤がシートに均一に含浸しているのが確認された。さらに、シート数が 5万枚に達した後も接着剤層は十分に形成され、高い強度を有する造形物が得られた。 【0031】実施例3アルミナ粉末に代えて、球形度が0.9 以上の酸化チタン粉末(平均粒径30nm)の表面をシランカップリング剤で処理したもの 0.6部)を用いた以外は実施例1と同様にして接着剤を得、さらに、得られた接着剤を用いて、実施例1の場合と同様にして造形物を作製し、その特性を評価した。 【0032】得られた造形物は、層間剥離もなく十分な強度(曲げ強さ、引張強さ等)を有していた。また、造形物断面を観察したところ、溶融した接着剤がシートに均一に含浸しているのが確認された。さらに、シート数が 5万枚に達した後も接着剤層は十分に形成され、高い強度を有する造形物が得られた。 【0033】比較例1アルミナ粉末を用いず、かつ、シリカ粉末の添加量を1.5 部とした以外は、実施例1と同様にして接着剤を得、さらに、得られた接着剤を用いて、実施例1の場合と同様にして造形物を作製したところ、シート上の接着剤層の層厚が不十分かつ不均一で、層間剥離を生じ、強度のある造形物を得ることができなかった。また、積層を繰り返すにしたがい、接着剤層の層厚が減少し、高強度の造形物を得にくくなる傾向が認められた。 【0034】比較例2樹脂粒子の平均粒径を 8μmとした以外は実施例1と同様にして接着剤を得、さらに、得られた接着剤を用いて、実施例1の場合と同様にして造形物を作製したところ、シート上の接着剤層の層厚が不十分で、強度のある造形物を得ることができなかった。 【0035】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のシート積層用接着剤によれば、均一で十分な厚さの接着剤層を安定に形成することができるので、層間剥離のない接着強度の十分な三次元物体を造形することができる。また、シート内に均一かつ良好に含浸するので、積層するシートの平坦性を保ち、造形精度を高めることができる。さらに、長期間塗布を繰り返しても塗布量を一定に保つことができるため、長期間安定した接着強度を得ることができる。 【0036】
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| 【出願人】 |
【識別番号】390022415 【氏名又は名称】東芝ケミカル株式会社 【識別番号】390020639 【氏名又は名称】株式会社キラ・コーポレーション
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】須山 佐一
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| 【公開番号】 |
特開平11−323277 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−128812 |
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