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【発明の名称】 異方導電性接着剤
【発明者】 【氏名】川田 政和

【氏名】宮本 哲也

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤において、該導電性粒子として、平均粒子径0.5〜3μm、比表面積0.1〜5m2/gのコバルト粒子を0.1〜5体積%配合したことを特徴とする異方導電性接着剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な回路同志の電気的接続、更に詳しくはLCD(液晶ディスプレイ)におけるTCP(テープキャリアパッケージ)とPCB(プリント回路基板)の接続や、電子部品と回路基板の接続、半導体ICとIC搭載用基板のマイクロ接合等に用いることのできる異方導電性接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の電子機器の小型化・薄型化に伴い、微細な回路同志の接続、微小部分と微細な回路の接続等の必要性が飛躍的に増大してきており、その接続方法として、半田接合技術の進展とともに、新しい材料として、異方性の導電性接着剤やフィルムが使用されている。(例えば、特開昭59-120436、60-84718、60―191228、61―55809、61―274394、61―287974、62―244142、63―153534、63―305591、64―47084、64―81878、特開平1―46549、1―251787各号公報等)
【0003】この方法は、接続しようとする回路間に所定量の導電性粒子を含有する接着剤またはフィルムをはさみ、所定の温度・圧力・時間により熱圧着する事によって回路間の電気的接続を行うと同時に隣接する回路間には絶縁性を確保させるものである。
【0004】このような特長を生かして、近年急速に成長しているLCD分野に於いて、LCDパネルとTCPの接続では被着体の耐熱性がないことや微細な回路では隣接端子間で電気的にショートしてしまうなど半田付けなどの従来の接続方法が適用できないことからこの異方導電フィルムが必要不可欠の材料となっている。また、特に、最近はLCDの急速な大型化・高精細化が進み、従来は半田付けを行っていたTCPとPCBの接続でも異方導電接着剤、フィルムの適用が広まりつつある。
【0005】この異方導電接着剤やフィルムに含まれている導電性粒子には、一般的には、金属粒子や高分子核材に金属被覆を施したものが用いられている。
【0006】従来は、主に金属粒子、特に半田粒子などの柔らかいものが用いられる場合が多く、相対する回路端子間の間隔ばらつきを吸収して回路端子間の接触面積を大きくとることができ、安定した導通性が得られるという長所があった。また、接続温度を金属粒子の溶融温度よりも高くすることにより、導電性粒子と電極端子の接続を強固にすることが可能となり、より接続信頼性を高めることができるものであった。しかしながら、反面、導電性粒子の粒径を揃えることが困難なため、例えば、200μmピッチ程度の回路同士の接続では平均粒径10μm程度の半田粒子を用いることがあるが、粒径の分布が広く中には30μm以上の大きな粒子が混入しているため、これにより隣接端子間の電気的短絡が生じる可能性が高く、微細な回路同士の接続への適用には限界があった。また、金属粒子を溶融させると端子間短絡が発生したり、高温高湿度放置試験や高温放置試験などの処理を施した場合に金属粒子の酸化などの変化が生じ接続が不安定になるなどの問題があった。
【0007】これに対し、現在、LCDパネルとTCPの接続には、70μmピッチ以下の微細な接続のため、ほとんど高分子核材に金属被覆を施した粒子が用いられている。この場合、作製方法によっては高分子核材粒子の粒径分布を極めてシャープにできる、例えば、一般的には5〜10μm程度の平均粒径で、粒径の分布が±3μm以下程度のものが容易に得ることができる。したがって、極めて微細な回路接続にも対応でき、さらに、金被覆が用いられる場合が多いこともあり、長期環境処理による粒子表面の酸化などの変化が少ないという長所があった。
【0008】しかしながら、最近半田付けからこの異方導電性接着剤への代替え適用が始まったTCPとPCBの接続では、大きな電流が流れるため高分子核材に金属被覆を施した粒子では電流容量が不足し接続抵抗値が高くなったり、配線回路上の酸化膜や、フラックスなどの残留物により十分な接続がとれない、など接続が不安定になる問題が生じてきた。
【0009】そこで、このような用途では、再び、金属粒子の適用検討が始まり、例えば、比表面積の大きいニッケルなどの硬い金属粒子を適用して、電流容量を拡大したり、配線回路上の酸化膜・残留物を突き破って接続することが考えられた。しかしながら、ニッケル粒子の作製時にシャープな粒径分布を得ることは困難なため分級などの方法で大きな粒子を除去する必要があり、更にこれでも10μm以上の粒子を完全に除去する事は困難であり、また接続時の樹脂の流れに伴って比表面積の大きな粒子では粒子同士で凝集が生じるなど、接続した際に隣接端子間の電気的絶縁性が低下するなどの問題があり十分満足いく物ではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような従来の欠点に鑑みて種々の検討の結果なされたものであり、その目的とするところは、微細な回路接続にも対応でき、電流容量が大きく接続信頼性の高い異方導電性接着剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、絶縁性接着剤樹脂中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤において、該導電性粒子として平均粒子径0.5〜3μm、比表面積0.1〜5m2/gのコバルト粒子を0.1〜5体積%配合したことを特徴とする異方導電性接着剤に関するものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の異方導電性接着剤は、平均粒子径0.5〜3μm、比表面積0.1〜5m2/gのコバルト粒子を導電性粒子として絶縁性接着剤に0.1〜5体積%分散したことが特長である。
【0014】たとえば、LCD用途のTCPとPCBを異方導電性接着剤を用いて接続した場合、電極端子は導電性粒子によって機械的に接触し、上下間の安定した電気的接続を得ることができる。この時、本発明の異方導電フィルムを用いると、導電粒子が凝集することなく均一に分散し、回路端子間の絶縁性を保ちながら接続に寄与する導電粒子数を多く配合することができ、しかも回路端子上の汚れなどの膜をつき破って接続することが可能となる。これにより、従来の異方導電フィルムでは端子間短絡が生じ接続困難であった微細な回路端子同士の接続が可能となり、大きな電流容量を維持しながら高い接続信頼性を得ることが可能となる。
【0015】本発明における導電性粒子は、平均粒径が0.5〜3μm、比表面積が0.1〜5m2/gのコバルト粒子であること以外は、特に制限することはない。ここで、平均粒径は、FSSS法(フィッシャー・サブシーブ・サイザ− ASTM−B330)で測定したものであり、比表面積は、BET法(窒素表面積法ASTM D−3037−73)により測定したものである。平均粒径は、0.5μmより小さい場合には、回路の表面の凹凸に導電性粒子が吸収されていまい、導電性粒子を介しての接続が十分に確保できない。また、3μm以上の場合は、粒径分布のシャープなものを得ることが困難であり、粒径の大きなものが混入する確率が高くなり隣接端子間の絶縁性不良や大粒子による接続不良などが生じてくる可能性がある。本発明の粒径で比表面積0.1m2/g以下のものを作製することは現実には困難であり、5m2/g以上の場合には、粒子同士が凝集しやすくなり隣接端子間の絶縁性不良などが発生しやすくなったり、粒子表面の凹凸が多くなることからも高電圧を印加した場合に隣接端子間の絶縁性不良が発生しやすくなる。例えば、異方導電フィルムのLCD用途でのTCPとPCBとの接続では、平均粒径1〜2μm、比表面積0.5〜2m2/g程度が望ましい。もちろん粒径分布がシャープな方が好ましいことは言うまでもなく、最大粒径は10μm以下であればなお好ましい。
【0016】本発明におけるコバルト粒子の作製法は特に限定するものではないが、例えば一般に行われているコバルトの地金を塩酸で溶かしてシュウ酸を加えて熱分解させるなどの方法で良い。この方法では、熱分解させた時点でシャープな粒径分布を得ることが可能である。この方法であれば、同程度の導電性・硬さをもつニッケル粒子に比較して粒子作製後の粒径分布がシャープなために大きな粒子が混入する可能性は極めて低く、大粒子除去のための分級等も必要でなくなるという利点も出てくる。
【0017】絶縁性接着剤に対する配合量は、0.1〜5体積%であることが望ましい。0.1体積%より配合量が少ない場合には接続面積が少なくなるため接続信頼性が低下し、逆に5体積%より配合量が多い場合には隣接端子間の絶縁性が低下し短絡の発生にもつながる。
【0018】本発明に用いられる接着剤は、絶縁性を示すものであれば、熱可塑性、熱硬化性、光硬化性など特に制限はない。例えば、スチレンブタジエン樹脂、スチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリルニトリルブタジエンゴム、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アミド樹脂、エポキシメタクリレート系をはじめとするアクリレート系樹脂などが挙げられ、必要応じて2種以上の樹脂を組み合わせれば良い。また、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、老化防止剤、カップリング剤等を併用しても良い。
【0019】本発明の異方導電性接着剤を作成する方法は特に限定するものではない。例えば、一般に行われているように、接着剤樹脂成分のうち固形のものをあらかじめ溶剤に溶解しておき、これと液状の樹脂成分、さらに添加剤等を加えて攪拌したのち、導電粒子を混合し均一に樹脂中に分散させれば良い。分散を良くするために、あらかじめ導電粒子を添加剤で処理したり、超音波処理などにより凝集を崩したほうが更に好ましい。また、これを表面に離型処理を施したキャリアフィルムの上に流延、乾燥して異方導電フィルムにしても良い。
【0020】以下、本発明による実施例および従来方法による比較例を示す。
【0021】『実施例1』エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ(株)製)/ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学(株)製)=1:1をトルエン/酢酸エチル=1:1の混合溶媒に溶解した25%溶液200重量部イミダゾール系潜在性硬化剤(ノバキュアHX−3721、旭化成(株)製)100重量部を混合した接着剤を準備する。この中に、平均粒径1.5μm、比表面積0.5m2/gのコバルト粒子を0.5体積%分散させ、ポリエチレンテレフタレートのキャリアフィルムの上に乾燥後約50μmの厚さになるように塗布・乾燥し、その後2mm幅にスリットして異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、導電性粒子は均一に分散していた。
【0022】この異方導電フィルムを、回路幅0.1mm、回路ピッチ0.2mm、60端子を有するPCBの接続する端子部に置き、70℃、5kg/cm2 、2secの条件で加熱加圧して仮圧着を行った。その後、表面のキャリアフィルムを剥がし、圧着プレスにセットして、回路幅0.1mm、回路ピッチ0.2mm、60端子を有するTCPの端子をPCBの回路端子に合うように位置合わせしてPCBの上に置き、175℃、30kg/cm2 、15secの条件で加熱加圧して圧着接続を行った。ここで用いたPCBは、内層・外層銅箔18μmのFR−4であり、回路加工後表面をニッケル/金メッキしたものである。また、TCPは、75μmのポリイミド基材と25μmの銅箔からできたものであり、回路加工後表面をSnメッキしたものである。
【0023】この接続体のPCB側で60端子の直列の接続抵抗値を測定(測定電流1μA)した結果、2Ω以下で良好であった。隣接端子間の絶縁抵抗についても1010Ω以上(測定電圧100v、30sec)と良好であった。また、このサンプルをHH(高温高湿処理)試験装置(85℃、85%RH)に投入し、接続抵抗値、絶縁抵抗値の変化を観察した結果、1000時間処理後も接続抵抗は3Ω以下、絶縁抵抗値も1010Ω以上と良好な接続性が得られた。印加電流を上げていきながら電圧を測定し、電圧電流特性が直線からはずれる点での電流値を電流容量としたとき、電流容量は1000mA/mm2であり、十分大きなものであった。
【0024】『実施例2』実施例1と同じ接着剤を準備し、この中に、平均粒径0.7μm、比表面積1.0m2/gのコバルト粒子を1.0体積%分散させ、接着剤樹脂厚さ50μmの異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、導電性粒子は均一に分散していた。
【0025】この異方導電フィルムを、実施例1と同様にサンプル作製し評価を行った。接続抵抗値は2Ω以下、隣接端子間の絶縁抵抗についても1010Ω以上と良好であった。また、HH処理後の接続抵抗値も3Ω以下、絶縁抵抗値も1010Ω以上と良好な接続性が得られた。また、電流容量は1200mA/mm2で、十分大きなものであった。
【0026】『実施例3』(1)式の構造を有するメタアクリロイル化フェノールノボラック樹脂(m:n=3:7、m+n=8)をメチルエチルケトンに溶解した50%溶液100重量部と、(2)式の構造を有するアクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体をメチルエチルケトンに溶解した20%溶液100重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート2重量部を混合した接着剤樹脂を準備し、この中に、平均粒径1.8μm、比表面積0.4m2/gのコバルト粒子を1.5体積%分散させ、接着剤樹脂厚さ50μmの異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、導電性粒子は均一に分散していた。
【0027】
【化1】

【0028】
【化2】

【0029】この異方導電フィルムを、実施例1と同様にサンプル作製し評価を行った。但し、ここでは150℃、30kg/cm2 、15secの条件で加熱加圧して圧着接続を行った。接続抵抗値は2Ω以下、隣接端子間の絶縁抵抗についても109Ω以上と良好であった。また、HH処理後の接続抵抗値も3Ω以下、絶縁抵抗値も109Ω以上と良好な接続性が得られた。また、電流容量は1300mA/mm2で、十分大きなものであった。
【0030】『実施例4』実施例3と同じ接着剤を準備し、この中に、平均粒径2.7μm、比表面積0.2m2/gのコバルト粒子を2.0体積%分散させ、接着剤樹脂厚さ50μmの異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、導電性粒子は均一に分散していた。
【0031】この異方導電フィルムを、実施例3と同様にサンプル作製し評価を行った。接続抵抗値は2Ω以下、隣接端子間の絶縁抵抗についても109Ω以上と良好であった。また、HH処理後の接続抵抗値も3Ω以下、絶縁抵抗値も109Ω以上と良好な接続性が得られた。また、電流容量は1200mA/mm2で、十分大きなものであった。
【0032】『比較例1』導電粒子として平均粒径が3.0μm、比表面積0.4m2/gのニッケル粒子を接着剤樹脂中に6.0体積%配合したこと以外実施例1と全く同じ異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、径10μm以上の大きな導電性粒子が混入しており、しかも粒子の凝集体がいくつも見られた。
【0033】この異方導電フィルムを、実施例1と同様にサンプル作製し評価を行った。接続抵抗値は2Ω以下と良好であったが、隣接端子間の絶縁抵抗は106Ω以下のサンプルが多く見られた。また、HH処理後の接続抵抗値は3Ω以下と良好であったが、絶縁抵抗値は106Ω以下のサンプルが増える傾向が見られた。また、電流容量は1500mA/mm2で、十分大きなものであった。
【0034】『比較例2』導電粒子として平均粒径が0.1μm、比表面積7.5m2/gのコバルト粒子を接着剤樹脂中に1.5体積%配合したこと以外実施例1と全く同じ異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、粒子の凝集体がいくつも見られた。
【0035】この異方導電フィルムを、実施例1と同様にサンプル作製し評価を行った。粒子径が小さいことから接続が不安定になり、接続抵抗値が3Ω以上のサンプルが多く見られた。また、凝集により隣接端子間の絶縁抵抗は106Ω以下のサンプルが多く見られた。また、HH処理後の接続抵抗値も5Ω以上に上昇しており、絶縁抵抗値は106Ω以下のサンプルが増え、接続が不安定であることが確認された。また、電流容量は1100mA/mm2で、十分大きなものであった。
【0036】『比較例3』導電粒子として平均粒径が5.0μm、比表面積0.2m2/gのコバルト粒子を接着剤樹脂中に0.2体積%配合したこと以外実施例3と全く同じ異方導電フィルムを作製した。このフィルムの外観を観察したところ、粒子径20μm以上の大きな粒子がいくつも見られた。
【0037】この異方導電フィルムを、実施例3と同様にサンプル作製し評価を行った。大きな粒子が混入していることから接続が不安定になり、接続抵抗値が3Ω以上のサンプルがいくつか見られた。また、大きな粒子により隣接端子間の絶縁抵抗は106Ω以下のサンプルがいくつか見られた。また、HH処理後の接続抵抗値は5Ω以上に上昇しており、絶縁抵抗値は106Ω以下のサンプルが増え、接続が不安定であることが確認された。また、電流容量も200mA/mm2で、かなり小さいものであった。
【0038】
【表1】

【0039】
【発明の効果】本発明の異方導電性接着剤を用いることにより、多くの金属導電性粒子を均一に単一分散して配合できるようになり、端子表面が酸化された場合や、汚れている場合などでも確実に接続することができ、しかも0.4mmピッチ以下の微細な回路接続にも対応でき、電流容量も大きな信頼性の高い接続が可能になり、従来の異方導電性接着剤では接続できなかった用途にも適用可能になるものである。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成9年(1997)8月8日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−61060
【公開日】 平成11年(1999)3月5日
【出願番号】 特願平9−214248