| 【発明の名称】 |
防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、並びに船舶外板または水中構造物の防汚方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小 倉 義 雄
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、(b)カルボン酸の金属塩および(c)銅および/または銅化合物を含有する防汚塗料組成物、およびその防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、船舶外板または水中構造物の塗装方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、(b)カルボン酸の金属塩および(c)銅および/または銅化合物を含有することを特徴とする防汚塗料組成物。 【請求項2】上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、(メタ)アクリル酸亜鉛系共重合体、(メタ)アクリル酸銅系共重合体のうちから選択される1種以上である請求項1に記載の防汚塗料組成物。 【請求項3】上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、(メタ)アクリル酸金属塩(イ)、およびこの金属塩(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を共重合してなり、上記金属塩(イ)から誘導される成分単位が2〜30重量%、単量体(ロ)から誘導される成分単位が70〜98重量((イ)+(ロ)=100重量%)で含まれていることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項4】上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、金属原子に結合したヒドロキシ基不含の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体である請求項1〜3の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項5】上記(b)カルボン酸の金属塩が、ナフテン酸金属塩、ロジン系樹脂酸金属塩、脂肪酸金属塩のうちから選択される1種以上である請求項1〜4の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項6】上記(b)カルボン酸の金属塩が、カルボン酸の亜鉛塩またはカルボン酸の銅塩である請求項1〜5の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項7】さらに、(d)塩素化パラフィンを含有していることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項8】さらに、(e)酸化亜鉛を含有していることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項9】さらに、上記(c)銅および/または銅化合物以外の(f)有機防汚剤を含有していることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の防汚塗料組成物。 【請求項10】請求項1〜9の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されたことを特徴とする防汚塗膜。 【請求項11】海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面が、請求項1〜9の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布硬化してなる防汚塗膜にて被覆されていることを特徴とする船舶または水中構造物。 【請求項12】海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面に、請求項1〜9の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴とする船舶外板または水中構造物の防汚方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、船舶外板または水中構造物の塗装方法に関し、さらに詳しくは、長期防汚性等に優れた防汚塗膜を形成できるような防汚塗料組成物、防汚塗膜、該防汚塗膜で被覆された船舶または水中構造物、並びに船舶外板または水中構造物の防汚方法に関する。 【0002】 【発明の技術的背景】船舶用防汚塗料には、従来、防汚剤として有機スズ等の有機化合物が従来用いられていたが、近年では生体系への安全性の観点から、このような防汚剤の使用が再検討されている。 【0003】これに代わる防汚剤として、最近では亜酸化銅、チオシアン化銅を主成分とし、これに有機錫不含の各種防汚剤すなわち非有機錫系防汚剤を配合することにより、亜酸化銅等を主成分とする防汚剤の防汚性能の向上を図ったものが検討されてきた。 【0004】例えば、■特開平5-171066号公報には、(a)二重結合を2〜3個有し、かつ金属を含有する重合性単量体2〜30重量%、(b)水酸基および/またはアミノ基を含有するビニル単量体2〜30重量%および(c)共重合可能な他の単量体40〜96重量%からなる加水分解性の共重合体をビヒクル成分とする防汚性塗料組成物が開示され、これに防汚剤として亜酸化銅、亜鉛華、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛を配合したものが挙げられ、長期間防汚性が持続される旨記載されている。 【0005】■特開平8-209005号公報には、Rp−COO−M−OH(式中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂を有効成分とする防汚性樹脂組成物が開示され、Mとしては、2価の金属原子の銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられている。この樹脂は、優れた防汚作用を有し、防汚塗料に使用できる旨記載されている。 【0006】■特開平9-286933号公報には、Rp−COOM−OH(式中、Rpは基体樹脂を示し、Mは2価の金属原子を示す。)で表される分子内に金属カルボキシレートを有する樹脂(A)及び亜酸化銅等の防汚剤(B)を有効成分とする防汚塗料組成物が開示され、Mとしては、同上の2価の金属原子が挙げられ、また上記樹脂(A)と併用可能な樹脂成分として、ロジン(c)が挙げられている。該公報には、この組成物は優れた防汚効果を発揮できる旨記載されている。 【0007】しかしながら、上記■〜■の各公報に記載されているような共重合体に例えば亜酸化銅等を配合した防汚塗料組成物からなる塗膜は、初期防汚性を有していても、経時的に消耗度が低下し、長期防汚性が充分でないとの問題点がある。 【0008】このため、船舶・水中構造物の進水・浸漬初期(これらをまとめて、単に初期と言う。)から安定した適度な塗膜消耗速度を有し、船底等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得るような非錫系防汚塗料組成物の出現が求められていた。 【0009】そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねたところ、(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)と、カルボン酸の金属塩(b)と、銅および/または銅化合物(c)とを含有する非錫系の防汚塗料組成物が、驚くべきことに適度な塗膜溶出速度を有し、船舶付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮できることなどを見出して本発明を完成するに至った。 【0010】 【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、水中浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、船舶・水中構造物等への付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得るような非錫系の防汚塗料組成物を提供することを目的としている。 【0011】本発明は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく、浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、長期防汚性に優れた防汚塗膜および該防汚塗膜で被覆された船舶・水中構造物、並びに該防汚塗料組成物を用いた船舶外板・水中構造物表面の防汚方法を提供することを目的としている。 【0012】 【発明の概要】本発明に係る防汚塗料組成物は、(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、(b)カルボン酸の金属塩および(c)銅および/または銅化合物(上記(a)、(b)を除く。)を含有することを特徴としている。 【0013】本発明においては、上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、(メタ)アクリル酸亜鉛系共重合体、(メタ)アクリル酸銅系共重合体のうちから選択される1種以上であることが好ましい。 【0014】本発明においては、上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、(メタ)アクリル酸金属塩(イ)、およびこの金属塩(単量体(イ))と共重合可能な他の単量体(ロ)を共重合してなり、上記金属塩(イ)から誘導される成分単位が2〜30重量%、単量体(ロ)から誘導される成分単位が70〜98重量((イ)+(ロ)=100重量%)で含まれていることが好ましい。 【0015】本発明においては、上記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)が、金属原子に結合したヒドロキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体であることが望ましい。 【0016】本発明においては、上記(b)カルボン酸の金属塩が、ナフテン酸金属塩、ロジン系樹脂酸金属塩、脂肪酸金属塩のうちから選択される1種以上であることが好ましい。 【0017】本発明においては、上記(b)カルボン酸の金属塩が、カルボン酸の亜鉛塩またはカルボン酸の銅塩であることが好ましい。本発明においては、さらに、(d)塩素化パラフィンを含有していることが好ましい。 【0018】本発明においては、さらに、(e)酸化亜鉛を含有していることが好ましい。本発明においては、さらに、上記(c)銅および/または銅化合物以外の(f)有機防汚剤を含有していることが好ましい。 【0019】本発明に係る防汚塗膜は、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物から形成されている。本発明に係る船舶または水中構造物は、海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面が、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布硬化してなる防汚塗膜にて被覆されていることを特徴としている。 【0020】本発明に係る船舶外板または水中構造物の防汚方法は、海水と接触する船舶外板または水中構造物の表面に、上記の何れかに記載の防汚塗料組成物を塗布し、防汚塗膜を形成することを特徴としている。 【0021】本発明によれば、塗布硬化後は、水中浸漬直後から適度な塗膜消耗速度を有し、船舶・水中構造物付着生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得るような非錫系の防汚塗料組成物が提供される。 【0022】本発明に係る防汚塗膜、船舶は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく船舶・水中構造物付着生物に対して長期防汚性に優れている。本発明に係る船舶外板の防汚方法では、環境汚染の恐れが少ない。 【0023】 【発明の具体的説明】以下、本発明に係る防汚塗料組成物について具体的に説明する。 [防汚塗料組成物]本発明に係る防汚塗料組成物(単に、塗料組成物、防汚塗料ともいう)は、(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、(b)カルボン酸の金属塩、(c)銅および/または銅化合物を含有している。 【0024】<(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体>(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)は、ビヒクル成分として長期微水溶性を有し塗膜に長期防汚性を付与する働きを有し、この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体としては、重合性単量体の(メタ)アクリル酸金属塩(イ)、および該(メタ)アクリル酸金属(単量体(イ))と共重合可能な「他の単量体」(ロ)を共重合してなり、(メタ)アクリル酸金属塩(イ)成分単位が通常2〜30重量%、単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)成分単位が残部量すなわち70〜98重量%((イ)+(ロ)の合計を100重量%)で含まれているものが挙げられる。 【0025】上記(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体としては、金属原子に直接結合したヒドロキシ基を含有していない(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体であることが好ましい。 【0026】上記(メタ)アクリル酸金属塩を構成する金属としては、周期律表のIb、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIb、VIIb、VIII族金属が挙げられ、具体的には、Cu、Zn、Ni、Co、Pb、Al、Sn、Mg等の2価以上の金属が挙げられる。 【0027】このような(メタ)アクリル酸金属塩としては、具体的には、例えばメタクリル酸亜鉛:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Zn]、アクリル酸亜鉛:[(CH2=CH−COO−)2Zn]、メタクリル酸マグネシウム:[(CH2=C(CH3)−COO−)2 Mg]、アクリル酸マグネシウム:[(CH2=CH−COO−)2Mg]、メタクリル酸銅:[(CH2=C(CH3)−COO−)2Cu]、アクリル酸銅:[(CH2=CH−COO−)2 Cu]、バーサチック酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C3H7)3C−COO−)Zn]、バーサチック酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C3H7)3C−COO−)Zn]、ナフテン酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Zn]、ナフテン酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(ナフテン酸残基)Zn]、安息香酸亜鉛メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C6H5)COO−)Zn]、安息香酸亜鉛アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C6H5)COO−)Zn]、安息香酸マグネシウムメタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(C6H5COO−)Mg]、バーサチック酸マグネシウムアクリレート:[(CH2=CH−COO−)(( C3H7)3C−COO−)Mg]、バーサチック酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)((C3H7)3C−COO−)Cu]、安息香酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(( C6H5)COO−)Cu]、ナフテン酸銅メタクリレート:[(CH2=C(CH3)−COO−)(ナフテン酸残基)Cu]、ナフテン酸銅アクリレート:[(CH2=CH−COO−)(ナフテン酸残基)Cu]等を例示することができる。 【0028】上記(メタ)アクリル酸金属塩(イ)と共重合可能な「他の単量体」(ロ)としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の何れであってもよく、(メタ)アクリル酸エステル類のものとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の脂肪族系の単量体;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、等の脂環族系の単量体;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、等の芳香族系単量体;等が挙げられる。 【0029】上記(メタ)アクリル酸金属塩(イ)と共重合可能な「他の単量体」(ロ)のうちで水酸基および/またはアミノ基を有するビニル系単量体(ロ)としては、水酸基およびアミノ基のうちの何れかを1個以上有していれば、単量体であっても2〜3量体等であってもよく、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプリピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を1個有するものが挙げられる。その他、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ-ブチルラクトン、ε-カプロラクトン等との付加物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2〜3量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数個有する単量体;等が挙げられる。 【0030】アミノ基を有する単量体(ロ)としては、第1級〜第3級の何れであってもよく、(メタ)アクリルアミド、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第1〜第2級アミノ基含有単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その他、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等が挙げられる。 【0031】その他、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸類や、これらのカルボン酸類から誘導されるエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。 【0032】このような単量体(イ)および(ロ)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。このような単量体(イ)および(ロ)が共重合されてなる(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体の数平均分子量は、通常、5,000〜100,000であり、ガラス転移温度Tgは、通常−20℃〜+50℃である。 【0033】この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)は、防汚塗料組成物中に、樹脂分(固形分)として、通常、1〜99重量%、好ましくは5〜80重量%の量で含まれていることが好ましい。この(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体が、防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、塗膜表面の長期消耗性および防汚性に優れる傾向にある。 【0034】このような(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体を製造する方法としては、次の(1)〜(3)のいずれかの方法を採用することが可能である。これらの共重合体は、特公平7−64985号公報、特開平4−80205号公報、特開平4−80269号公報、特開平4−80270号公報、特開昭63−128008号公報、特開昭63−128084号公報、特開平1−16809号公報、特開平5−171066号公報等および特開平10−158547号公報に開示された方法に準じるかまたは参照することにより、容易に製造することができる。たとえば、次の方法を例示することができる。 【0035】(1)その第一の方法として、(メタ)アクリル酸金属塩(イ)およびこの金属塩(単量体(イ))と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、ターシャリーブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、形成させることができる。 【0036】(2)その第二の方法として、(メタ)アクリル酸(イ)、この単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)および飽和脂肪族カルボン酸金属塩、飽和脂環式カルボン酸金属塩または芳香族カルボン酸金属塩(ハ)を有機溶剤と混合し、ターシャリーブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、形成させることができる。 【0037】(3)その第三の方法として、(メタ)アクリル酸(イ)およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)を有機溶剤と混合し、ターシャリーブチルパーオキシオクトエート(t−BPO)等のラジカル重合開始剤の存在下に、60〜180℃の温度で5〜14時間溶液重合させることにより、(メタ)アクリル酸(イ)およびこの単量体(イ)と共重合可能な他の単量体(ロ)からなる共重合体を形成させ、さらに引き続いて、この共重合体に飽和脂肪族カルボン酸金属塩、飽和脂環式カルボン酸金属塩または芳香族カルボン酸金属塩(ハ)を反応させるかまたはこの共重合体に飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂環式カルボン酸または芳香族カルボン酸(ハ-1)と金属塩または金属化合物(ニ)を反応させることにより、形成させることができる。 【0038】<(b)カルボン酸の金属塩>カルボン酸の金属塩(b)としては、その分子量が通常50〜10000、好ましくは100〜5000のものが用いられる。 【0039】このようなカルボン酸の金属塩を構成するカルボン酸としては、脂環構造を有する酸(例:ナフテン酸)、芳香環構造を有するカルボン酸(例:α-(2-カルボキシフェノキシ)ステアリン酸)、ロジン系樹脂酸、脂肪酸等が挙げられ、ナフテン酸、ロジン系樹脂酸、脂肪酸が好ましい。 【0040】ロジン系樹脂酸は、ロジン中に含まれる樹脂酸であって、このロジン系樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビンエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ピマル酸、デヒドロアビエチン酸、レボピマル酸等が挙げられる。 【0041】脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の何れであってもよく、飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸など、炭素数1〜18程度のものが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、オレイン酸など、同上の炭素数のものが挙げられる。 【0042】また該カルボン酸金属塩を構成する金属としては、多価金属のアルミニウム、マンガン、コバルト、鉛、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル等が挙げられ、亜鉛、銅が好ましい。 【0043】このようなカルボン酸金属塩としては、例えば、ナフテン酸の多価金属塩(例:Al、Mn、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Pb、Zn、Ba、Ni-塩好ましくはZn、Cuー塩);ロジン系樹脂酸の亜鉛塩等の金属塩;ステアリン酸の多価金属塩(例:Al、Ca、Mg、Pb、Zn、Ba、Cu-塩好ましくはZn、Cu-塩);ラウリン酸の亜鉛塩等の金属塩;等が挙げられる。 【0044】これらのカルボン酸金属塩のうちでは、ナフテン酸金属塩、ロジン系樹脂酸金属塩、脂肪酸金属塩が好ましく、特にカルボン酸の亜鉛塩またはカルボン酸の銅塩が好ましい。 【0045】このようなカルボン酸の金属塩は、1種または2種以上組合わせて用いることができる。このカルボン酸の金属塩(b)は、防汚塗料組成物中に、固形分として、通常、1〜95重量%、好ましくは5〜80重量%の量で含まれていることが望ましい。また、このカルボン酸の金属塩(b)は、防汚塗料組成物中の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)(固形分)100重量部に対して、通常、1〜300重量部、好ましくは50〜200重量部の量で含まれていることが望ましい。 【0046】このカルボン酸金属塩が、防汚塗料組成物中にこの範囲であると、塗膜表面の長期消耗性および防汚性に優れるようになる傾向がある。 <(c)銅および/または銅化合物>上記銅化合物((a)、(b)を除く。以下同様。)としては、その分子量が通常50〜1000、好ましくは100〜500のものが用いられる。 【0047】このような銅化合物としては、前記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)に含まれる高分子化合物、および上記低分子量化合物の「カルボン酸の金属塩」(b)に含まれるカルボン酸銅を除き、有機系、無機系の銅化合物の何れであってもよく、例えば、亜酸化銅、チオシアン化銅(チオシアン酸第一銅、ロダン銅)、塩基性硫酸銅、塩基性酢酸銅、銅ピリチオンなどが挙げられ、好ましくは亜酸化銅、チオシアン化銅(ロダン銅)が用いられる。このような銅化合物は、特に白色塗料以外の着色塗料に好ましく用いられる。 【0048】このような銅化合物は、銅に代えて、あるいは銅と共に1種または2種以上組合わせて用いることができる。このような(c)銅および/または銅化合物は、本発明の塗料組成物中に、合計で通常、1〜80重量%、好ましくは30〜65重量%の量で含まれていることが望ましい。また塗料組成物中に含まれる樹脂固形分100重量部に対して、該銅および/または銅化合物(c)は、合計で通常、1〜1000重量部、好ましくは300〜800重量部の量で含まれていることが望ましい。 【0049】この銅および/または銅化合物(c)が、該防汚塗料組成物中にこの範囲にあると、防汚性に優れるようになる傾向がある。このような防汚塗料組成物は、上記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)、上記(b)カルボン酸の金属塩、(c)銅および/または銅化合物を必須成分として含有しているが、これらの成分以外に(d)塩素化パラフィン等の可塑剤、(e)酸化亜鉛(亜鉛華)等の顔料、上記銅、銅化合物以外の(f)防汚剤、無機脱水剤など、後述するような成分を含有していてもよい。 【0050】[防汚塗料組成物の製造]このような防汚塗料組成物は、従来より公知の方法を適宜利用することにより製造することができ、例えば、上記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)と、(b)カルボン酸の金属塩と、(c)銅および/または銅化合物と、必要により用いられる下記の可塑剤、防汚剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、その他の塗膜形成成分、溶剤(例:キシレン)などとを所定の割合で一度にあるいは任意の順序で加えて攪拌・混合し、溶媒に分散すればよい。 【0051】<任意成分>上記のように本発明に係る防汚塗料組成物には、上記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)、カルボン酸の金属塩(b)、銅および/または銅化合物(c)に加えて、さらには以下に述べるような可塑剤、防汚剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤、着色顔料、(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体以外の塗膜形成成分、トリフェニルボロン・アミン錯体、溶剤などの各種成分が含まれていてもよい。 【0052】<可塑剤(塩素化パラフィン(d))>可塑剤としては、TCP(トリクレジルフォスフェート)、塩化パラフィン、ポリビニルエチルエーテル等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。 【0053】このような可塑剤を配合する場合には、可塑剤は、この防汚塗料組成物中に、例えば、0.1〜10重量%の量で配合される。これらの可塑剤は、得られる防汚塗料組成物からなる塗膜(本明細書中では、「防汚塗膜」とも言う)の耐クラック性の向上に寄与するが、これら可塑剤のうちで、塩素化パラフィン(塩化パラフィン)が好ましく用いられる。 【0054】この塩素化パラフィン(塩化パラフィン)としては、直鎖状でもよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固体(粉体)でもよいが、その平均炭素数が通常、8〜30、好ましくは10〜26のものが好ましく用いられ、その数平均分子量が通常、200〜1200、好ましくは300〜1100であり、粘度が通常1以上(ポイズ/25℃)、好ましくは1.2以上(ポイズ/25℃)であり、その比重が1.05〜1.80/25℃、好ましくは1.10〜1.70/25℃のものが好ましく用いられる。このような炭素数の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。なお塩素化パラフィンの炭素数が8〜30の範囲にあると、クラック抑制効果、塗膜表面の消耗性(更新性)および防汚性に優れるようになる。また、この塩素化パラフィンの塩素化率(塩素含有量)は、通常35〜75%、好ましくは35〜65%であることが好ましい。このような塩素化率の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。このような塩素化パラフィンとしては、東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「トヨパラックスA-70」などが挙げられる。本発明においては、このような塩素含有率、炭素数などの異なる2種以上の塩素化パラフィンを適宜組み合わせて用いることができる。このように2種以上の塩素化パラフィンを組み合わせて用いる場合には、上記塩素化パラフィンの炭素数、塩素化率は、防汚塗料組成物中に含まれるこれらの塩素化パラフィンの炭素数あるいは塩素化率の平均値で示す。 【0055】このような塩素化パラフィンは、本発明に係る防汚塗料組成物においては、上記の(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(固形分)100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。この塩素化パラフィンの量がこの範囲にあると、塗膜のクラックの抑制効果、塗膜強度およびダメージ(衝撃)に優れるようになる。 【0056】<防汚剤>防汚剤としては、上記銅および/または銅化合物(c)に加えて、これら以外の有機防汚剤等が含まれていてもよい。 【0057】有機防汚剤有機防汚剤(カルボン酸の金属塩(b)、成分(c)中の銅化合物を除く。)としては、下記式[I]で示される金属−ピリチオンおよびその誘導体[式中R1〜R4は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基を示し、Mは、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す]:【0058】 【化1】
【0059】、テトラメチルチウラムジサルファイド、カーバメート系の毒物(例:ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-3(2H)イソチアゾリン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン等を挙げることができる。 【0060】上記有機防汚剤のうちでは、ジンクピリチオン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-3(2H)イソチアゾリン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。 【0061】このような有機防汚剤を含む防汚塗料組成物においては、銅および/または銅化合物(c)以外に、上記有機防汚剤が通常、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の量で含まれていることが望ましい。また塗料組成物中に含まれる樹脂固形分100重量部に対して、該有機防汚剤は、固形分として、通常、0.1〜150重量部、好ましくは0.1〜100重量部の量で含まれていることが望ましい。このような量で、銅および/または銅化合物(c)以外の有機防汚剤が塗料組成物中に含まれていると、広範な船舶付着生物に対していっそう優れた防汚性能を長期継続的に発揮できる傾向がある。 【0062】<無機脱水剤(安定剤)>無機脱水剤(安定剤)は、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を一層向上させることができ、このような無機脱水剤としては、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブTI)等が挙げられ、無水石膏、モレキュラーシーブが好ましく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。 【0063】このような無機脱水剤を含む防汚塗料組成物においては、この無機脱水剤は、本発明の非錫系防汚塗料組成物中に、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度の量で含まれていてもよい。 【0064】<タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)>タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)としては、有機粘土などのような防汚塗料組成物の貯蔵安定性を害するもの以外は、任意量で配合されていてもよい。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、有機粘度系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘度系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディスパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているものが挙げられる。 【0065】このようなタレ止め・沈降防止剤は、この防汚塗料組成物中に、例えば、0.1〜10重量%の量で配合される。 <顔料>顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料を用いることができる。 【0066】有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等が挙げられる。無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、白亜、酸化鉄粉等のように中性で非反応性のもの;亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛粉等のように塩基性で塗料中の酸性物質と反応性のもの(活性顔料)等が挙げられる。なお、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。このような各種顔料は、防汚塗料組成物中に、例えば、合計で0.5〜45重量%程度の量で配合される。 【0067】特に、酸化亜鉛を配合する場合には、該酸化亜鉛は、防汚塗料組成物中に0.1〜20重量%の量で、有機系および/または無機系の着色顔料(酸化亜鉛を除く。)は、0.5〜25重量%の量で含まれていることが望ましい。 【0068】<その他の塗膜形成成分>塗膜形成成分としては、上記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)以外の樹脂が本発明の目的に反しない範囲で含まれていてもよく、このような「その他の塗膜形成成分」としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂等の難あるいは非水溶性樹脂(以下、難/非水溶性樹脂ともいう)が挙げられる。 【0069】上記塩化ビニル系共重合樹脂として、さらに具体的には、例えば、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル・ビニルi-ブチルエーテル共重合樹脂、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体の塩素化物が挙げられる。 【0070】本発明においては、これらの樹脂あるいはゴムを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては、上記難/非水溶性樹脂と、下記のような水溶性樹脂とを組合わせて用いることができる。 【0071】水溶性樹脂としては、ロジン(例:商品名「ロジンWW」)、モノカルボン酸が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、炭素数9〜19程度の脂肪酸、ナフテン酸が挙げられる。ロジンには、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどがあるが、本発明ではいずれをも使用することができる。これらの水溶性樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。 【0072】前記(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体(a)以外のこれらの塗膜形成成分は、防汚塗料組成物中に、20重量%以下の量で含まれていてもよい。 <トリフェニルボロン・アミン錯体>本発明に係る防汚塗料組成物には、下記のトリフェニルボロン・アミン錯体[II]が含まれていてもよい。 【0073】 【化2】
【0074】{式[II]中、R1は水素原子、炭素数3〜30のアルキル基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。}。このようなR1のうちで、ピリジル基が望ましい。 【0075】<溶剤>本発明の防汚塗料では、上記のような各種成分は、溶剤に溶解若しくは分散している。ここで使用される溶剤としては、例えば、脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系など、通常、防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。上記芳香族系溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、例えば、MIBK等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等が挙げられる。 【0076】上記のような防汚塗料組成物を例えば、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)などの各種成形体の表面に、常法に従って1回〜複数回塗布すれば防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆船舶または水中構造物などが得られる。 【0077】すなわちこのような本発明に係る防汚塗料組成物を各種成形体の表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。 【0078】特に、該防汚塗料組成物は、船舶等の素材が、FRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などである場合にもこれらの素材表面に良好に付着する。また、該防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に上塗してもよい。 【0079】また例えば、該防汚塗料組成物を海中構造物表面に塗布すれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持でき、漁網に塗布すれば、漁網の網目の閉塞を防止でき、しかも環境汚染の恐れが少ない。 【0080】なお、この本発明に係る防汚塗料組成物は、直接漁網に塗布してもよく、また予め防錆剤、プライマーなどの下地材が塗布された船舶または水中構造物等の表面に塗布してもよい。さらには、既に従来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明発明の防汚塗料組成物による塗装が行われている船舶、特にFRP船あるいは水中構造物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を上塗りしてもよい。このようにして船舶、水中構造物等の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されないが、例えば、30〜150μm/回程度である。 【0081】上記のようにして得られる本発明に係る防汚塗膜、あるいは船舶・水中構造物の接水部表面の塗膜は、前述したような防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく広汎な船舶・水中構造物付着生物に対して長期防汚性に優れている。 【0082】 【発明の効果】本発明に係る防汚塗料組成物は、非錫系防汚塗料組成物であって、(a)(メタ)アクリル酸金属塩系共重合体、(b)上記カルボン酸の金属塩、および(c)銅および/または銅化合物を含有しており、従来の(メタ)アクリル酸亜鉛系共重合体および亜酸化銅配合系の防汚塗料に比べて、水中浸漬初期から適度な塗膜消耗速度を有し、船舶・水中構造物等に付着しようとする水棲生物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮し得る塗膜を形成できる。 【0083】さらに該防汚塗料組成物に、塩素化パラフィンおよび/または酸化亜鉛(亜鉛華)が配合されていると、塗膜の付着性、剥離防止能、耐クラック性に優れた防汚塗膜が得られる。 【0084】本発明に係る防汚塗膜、および船舶・水中構造物表面の防汚塗膜は、この防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく船舶付着生物に対して長期防汚性に優れている。 【0085】本発明に係る船舶外板の防汚方法では、環境汚染の恐れが少ない。 【0086】 【実施例】以下、本発明について実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。 【0087】なお、以下の実施例、比較例で使用した各配合成分およびその組成、物性、製造販売元等は、下記の通り。なお、共重合体A、Bについては、併せて表1に示す。 ■共重合体(A):メタクリル酸亜鉛(Zn(MAA)2、浅田化学社 製)8重量部、メタクリル酸メチル(MMA)4重量部、アクリル酸エチル(EA)28重量部(これら共重合性モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤t-BPOの存在下に100℃で7時間に亘って共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(A)の含有液(固形分(NV):40重量%)を得た。 ■共重合体(B):メタクリル酸亜鉛(Zn(MAA)2、浅田化学社 製)10重量部、メタクリル酸メチル(MMA)0重量部、アクリル酸エチル(EA)30重量部(これら共重合性モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n-ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、重合開始剤t-BPOの存在下に100℃で7時間に亘って共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(B)の含有液(固形分(NV):40重量%)を得た。 ■共重合体(c) バーサチック酸亜鉛メタクリレート[(CH2=C(CH3)−COO−)((C3H7)3C−COO−)Zn]10重量部、アクリル酸エチル(EA)30重量部(これらの共重合モノマー合計40重量部)を溶剤(酢酸ブチル40重量部、n−ブタノール20重量部)に溶解(合計100重量部)し、100℃で7時間にわたって共重合反応させることにより、分子量(MW)が約1万の共重合体(固形分(NV):約40重量%)を得た。 ■塩素化パラフィン:商品名「トヨパラックス150」(平均炭素数:14.5、塩素含有率(量)50%、粘度:12ポイズ/25℃、比重:1.25/25℃、東ソー(株)製) ■酸化亜鉛:商品名「亜鉛華3号」(九州白水(株)製) ■可溶性無水石膏:商品名「CaSO4 D−1」(ノリタケ(株)製) ■チタン白:商品名「チタン白 R−5N」(堺化学工業(株)製) ■フタロシアニンブルー:商品名「シアニンブルーS−2010」(大日精化社製) ■チオシアン酸銅(ロダン銅):(日本化学産業(株)製) (10)ピリジン・トリフェニルボロン:商品名「PKボロン」(北興化学工業(株) 社製) (11)4,5−ジクロロ-2-n-オクチル-3(2H)イソチアゾリン:商品名「シーナイン211」、(ロームアンドハース社製、固形分30重量%) (12)2-ピリジンチオール-1-オキシド銅塩:商品名「銅ピリチオン」(オーリン(株)製) (13)酸化ポリエチレンワックス:商品名「ディスパロン4200-20」(楠本化成 (株)製、沈降防止剤、固形分20重量%のキシレンペースト) (14)脂肪酸アマイドワックス:商品名「ディスパロン630-20」(楠本化成(株)製、沈降防止剤、固形分20重量%) (15)プロピレングリコールモノメチルエーテル:商品名「クラレ PGM」(クラレ(株)製、溶剤) (16)「トリフェニルボロン・n-ドデシルアミン錯体」(北興化学工業(株)製) (17)「トリフェニルボロン・n-オクタデシルアミン錯体」(北興化学工業(株)製) (18)「2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛塩」(吉富製薬(株)製) (19)「2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン」(ゼネカ(株)製) <海中生物の付着面積評価基準(防汚性評価基準)>評価基準は、以下の通り。 【0088】5点・・・・海中生物の付着面積が0%。 4点・・・・海中生物の付着面積が0%を超え5%以下。 3点・・・・海中生物の付着面積が5%を超え10%以下。 【0089】2点・・・・海中生物の付着面積が10%を超え25%以下。 1点・・・・海中生物の付着面積が25%を超え50%以下。 0点・・・・海中生物の付着面積が50%を超える。 【0090】 【実施例1】表2に示す配合組成の防汚塗料を常法に従って調製した。すなわち、上記共重合体(A)含有液(固形分40wt%,分子量1万)17.5重量部、ナフテン酸銅(固形分50wt%)14重量部、塩素化パラフィン2重量部、弁柄2重量部、酸化亜鉛2重量部、亜酸化銅40重量部、「ディスパロン4200-20」2重量部からなる防汚塗料組成物(合計79.5重量部)を調製した。 【0091】次いで、この防汚塗料を、3×100×300(mm)の大きさの塩化ビニル板にその乾燥膜厚が250〜300μm厚(平均:270μm厚)となるように塗布し、3日間、常温20℃の室内に静置し乾燥した後、10ヶ月間、広島湾の水深1.0mの位置に浸漬し、海中生物による汚損状況(静置防汚性)を調査した。 【0092】その結果、海水浸漬2ヶ月後、4ヶ月後、6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後の何れの時点においても、塗膜表面への海中生物の付着面積は0%(評価5)であった。 【0093】併せて、結果を表2に示す。 【0094】 【実施例2〜8、比較例1〜5】上記実施例1において、防汚塗料組成物の配合組成をそれぞれ表2に示すように代えた以外は、実施例1と同様にして防汚塗料組成物を得て、硬化塗膜の静置防汚性を調査した。 【0095】結果を表2に示す。表2に明かなように、本発明の防汚塗料組成物は、長期に亘り優れた防汚性を示した。 【0096】 【表1】
【0097】 【表2】
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| 【出願人】 |
【識別番号】390033628 【氏名又は名称】中国塗料株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)11月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎
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| 【公開番号】 |
特開平11−323207 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月26日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−340445 |
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