| 【発明の名称】 |
液状硬化性樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉本 雅信
【氏名】内田 浩史
【氏名】阿部 博司
【氏名】宇加地 孝志
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| 【要約】 |
【課題】高速線引きにおいても均一な線径の被覆光ファイバが安定して得られる、光ファイバの被覆材料、特にハード材として好適な液状硬化性樹脂組成物をを提供すること。
【解決手段】(A)分子中に(メタ)アクリレート基を有する重合性化合物、(B)数平均分子量が1,000未満の反応性希釈剤および(C)重合開始剤を含有してなり、粘度が40℃で500〜3000cPの範囲にあり、かつ流動の活性化エネルギーが1〜60kJ/molの範囲にある液状硬化性樹脂組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)分子中に(メタ)アクリレート基を有する重合性化合物、(B)数平均分子量が1,000未満の反応性希釈剤および(C)重合開始剤を含有してなり、粘度が40℃で500〜3000cPの範囲にあり、かつ流動の活性化エネルギーが1〜60kJ/molの範囲にあることを特徴とする液状硬化性樹脂組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、高速塗布性に優れる液状硬化性樹脂組成物に関し、特に、光ファイバ、光ファイバテープ芯線等の被覆材料として好適な液状硬化性樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】光ファイバの製造において、ガラスファイバを熱溶融紡糸し保護補強を目的として樹脂被覆が施されている。この過程を線引きと称し、樹脂被覆としては、光ファイバの表面に柔軟な第一次の被覆層を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層を設けた構造が知られている。また、これらの樹脂被覆された光ファイバ素線を実用に供するため平面上に複数並べて結束材料で固めたテープ状被覆層構造が知られている。この第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をソフト材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をハード材、テープ状の被覆層を形成するための樹脂組成物をテープ材と称している。各被覆材料は液状で塗布された後硬化処理が施され、所要の被覆層が形成される。 【0003】さらに最近、光ファイバケーブルの敷設が進むにつれ、その需要が急速に伸びており、その生産性の向上が要求されている。生産性の向上には被覆材の塗布工程である線引きの速度の高速化が有効である。 【0004】線引き過程で被覆材料である樹脂液の粘度が高いと、高いせん断応力のためファイバの断線が起こる。そのため、高いせん断応力がかからないように樹脂液の粘度を低くすることが一般に行われる。粘度を下げるには樹脂液の低粘度化や塗布温度の高温化が行われるが、高せん断領域では樹脂液粘度のせん断速度依存性のため更に粘度低下が生じる。そのため塗布、硬化により得られる被覆層の厚さに変動が生じ、均一な線径を有する被覆光ファイバを安定に得ることが困難であった。その結果線引き速度の高速化には限界があり、従来低粘度でありながら安定して線引き速度1200m/min以上の高速塗布が可能である光ファイバ被覆材料、特にハード材として好適な液状硬化性樹脂組成物は知られていない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的は、高速線引きにおいても均一な線径の被覆光ファイバが安定して得られる、光ファイバの被覆材料、特にハード材として好適な液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明の上記の目的は、(A)分子中に(メタ)アクリレート基を有する重合性化合物(以下「成分(A)」という)、(B)数平均分子量が1,000未満の反応性希釈剤(以下「成分(B)」という)および(C)重合開始剤(以下「成分(C)」という)を含有してなり、粘度が40℃で500〜3000cPの範囲にあり、かつ流動の活性化エネルギーが1〜60kJ/molの範囲にあることを特徴とする液状硬化性樹脂組成物によって達成される。 【0007】 【発明の実施の形態】本明細書の説明において、「数平均分子量」とはゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。 (A)(メタ)アクリレート基含有重合性化合物本発明で用いられる成分(A)の重合性化合物としては、例えば、分子鎖末端に(メタ)アクリレート基を有する数平均分子量500〜30,000の重合性化合物(以下「末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)」という)、および側鎖に(メタ)アクリレート基を有する数平均分子量5,000〜500,000の重合性化合物(以下「側鎖(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−2)」という)が挙げられ、これらを1種単独で、もしくは、組み合わせて用いることができる。 【0008】末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1) 重合性化合物(A−1)は、分子鎖末端の少なくとも1つに(メタ)アクリレート基を有する化合物であり、例えば、(a)ポリオール、(b)ジイソシアネート、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオールの水酸基及び水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させることにより製造される。 【0009】この反応を実施する具体的方法としては、例えば、ポリオール、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括して反応器に仕込んで反応させる方法;ポリオール及びジイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法;ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられる。 【0010】以下、末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)の製造に用いる(a)ポリオール、(b)ジイソシアネート、及び(c)水酸基含有(メタ)アクリレートを順に説明する。 【0011】(a)ポリオール;ポリオールとしては、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジール等を挙げられ、これら以外のポリオールも使用することができる。これらのポリオールは、一種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。ポリオールが二種以上の構造単位からなる重合体である場合には、その重合様式には特に制限されずランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。 【0012】ポリエーテルジオールとしては、脂肪族系ポリエーテルジオール、脂環式系ポリエーテルジオール、芳香族環を有するポリエーテルジオール等がある。脂肪族系のポリエーテルジオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオール;イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させた得られるポリエーテルジオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物を開環重合して得られる重合体の具体例としては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド等の二種の単量体からなる2元重合体;テトラヒドロフランとブテン−1−オキシドとエチレンオキシド等の三種の単量体の組み合わせからなる3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状に結合していてもよい。 【0013】脂肪族系ポリエーテルポリオールは、例えば、PTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学(株)製)、PPG−400、PPG1000、PPG2000、PPG3000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭オーリン(株)製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂(株)製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬(株)製)等の商品名で市販品として入手することができる。 【0014】芳香環を有するポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール;ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF;水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール;水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ジオール;ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール;ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール;アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ジオール等があげられる。これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール等が好ましい。 【0015】脂環式構造を有するポリオールあるいはポリエーテルジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等が挙げられる。中でも、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。 【0016】これらの芳香環または脂環式構造を有するポリオールは、例えばユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂(株)製)、SA1002(三菱化学(株)製)等の商品名で市販品として入手することもできる。 【0017】ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多酸塩基とを反応して得られるものなどがあげられる。該合成に用いられる多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等があげられる。また、多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。ポリエステルポリオールの市販品は、例えばクラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、(株)クラレ製)等の商品名で入手することができる。 【0018】ポリカーボネートポリオールは、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6ーヘキサンジオールのポリカーボネート等が挙げられ、市販品としてはDN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン(株)製)、PC−8000(米国PPG社製)、PC−THF−CD(BASF社製)等の商品名で入手することができる。 【0019】ポリカプロラクトンポリオールとしては、ε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等のジオールとを反応させて得られるものが挙げられる。原料として用いられるジオールは、例えばプラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル(株)製)等が市販品として入手することができる。 【0020】末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)の製造には、上述のポリオール(a)とともにジアミンを併用することも可能であり、このようなジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン等のジアミン等のヘテロ原子を含むジアミン等のポリエーテルジアミン等が挙げられる。ポリオール(a)の好ましい分子量は数平均分子量で通常50〜15,000であり、特に好ましくは100〜8,000である。 【0021】(b)ジイソシアネート;ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。これらのジイソシアネートは、一種単独或いは二種類以上を組み合わせて用いることができる。 【0022】(c)水酸基含有(メタ)アクリレート;水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(1)又は(2) CH2=C(R1)-COOCH2CH2-(OCOCH2CH2CH2CH2CH2)n-OH (1) CH2=C(R1)-COOCH2CH(OH)CH2-O-(C6H5) (2) (式(1)および(2)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜15の整数を示す)で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。 【0023】これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、一種単独、或いは、二種類以上組み合わせて用いることができる。 【0024】末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)の合成においてポリオール(a)、ジイソシアネート(b)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(c)の使用割合は、ポリオール(a)に含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基が1.1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量となるようにするのが好ましい。 【0025】水酸基含有(メタ)アクリレートの一部をイソシアネート基に付加しうる官能基を持った化合物で置き換えて用いることもできる。例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物を使用することにより、得られる本発明の組成物を硬化させた際にガラス等の基材への密着性を高めることができる。 【0026】これらのポリオール(a)、ジイソシアネート(b)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(c)の反応においては、通常ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジn−ブチルスズジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等のウレタン化触媒を、反応成分の総量100重量部に対して0.01〜1重量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃であり、特に30〜80℃で行うのが好ましい。 【0027】末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)の別の例として、ジイソシアネート1モルに対して水酸基含有(メタ)アクリレート化合物2モルを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。このウレタン(メタ)アクリレートの合成に使用されるジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、それぞれ上述したものを用いることができる。具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,5−または2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタンの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応生成物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応生成物が挙げられる。 【0028】末端(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−1)の分子量は、数平均分子量500〜30,000、好ましくは1500〜10,000である。数平均分子量が500未満であると粘度が高くなり、線引き速度を上げるとファイバに加わる張力が過大となり断線することがある。また数平均分子量が30,000を越えると、得られる組成物の硬化速度が低下し、光ファイバの生産性を低下させる。 【0029】側鎖(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−2) 側鎖(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−2)としては、例えば下記一般式(3):【0030】 【化1】
〔式中、R2は水素原子またはメチル基を示し、Xは-COOR3(ここでR3は水素原子または置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す)で表される基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。〕で表される構造単位、および一般式(4):【0031】 【化2】
〔式中、R4は水素原子またはメチル基を示し、R5およびR6は同一または異なり、水素原子またはフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子を示し、Yは(メタ)アクリロイルオキシ基を含む有機基を示す〕で表わされる構造単位を有し、分子中に側鎖を構成する形で少なくとも1個の(メタ)アクリレート基を有する共重合体(以下、「側鎖(メタ)アクリレート基含有共重合体」という)である。 【0032】一般式(3)においてXにより表される-COOR3においてR3は置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基を示すが、その例としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基、アリール基、アラルキル基、多環式炭化水素等が挙げられ、これらは置換されていてもよい。このうち、炭素原子数1〜10の直鎖、分岐鎖または環状のアルキルおよび炭素原子数2〜10の直鎖、分岐鎖または環状のアルケニル基が好ましい。Xにより表されるアリール基としては、フェニル基、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換されたハロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、トリメチルフェニル基等のトリアルキルシリルフェニル基等が挙げられ、中でもフェニル基、メチルフェニル基が特に好ましい。Xで表されるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素等が挙げられる。Xで表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられ、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、シクロヘキシル等が挙げられる。 【0033】一般式(4)においてYで示される(メタ)アクリロイルオキシ基を含む有機基としては、例えば式:-A-B-OCOCR7=CH2 (ここでAは-COO- 、フェニレン基または炭素原子数1〜6のアルキレン基を示し、Bは水酸基を有していてもよい炭素原子数1〜6のアルキレン基を示し、R7は水素原子またはメチル基を示す)で表わされる基が挙げられる。 【0034】(メタ)アクリレート基含有共重合体中の一般式(3)および一般式(4)の構造単位は各々同一のもの一種のみでもよいし、二種以上のものが存在していてもよい。側鎖(メタ)アクリレート基含有共重合体の数平均分子量は、通常5,000〜500,000、さらには、10,000〜200,000が好ましい。分子量が5,000未満であると得られる本発明の液状組成物の粘度が低くなり、光ファイバへの塗布性が低下する。また分子量が500,000を超えると、液状組成物の粘度が高くなり過ぎて光ファイバへの塗布性が低下することがある。側鎖(メタ)アクリレート基含有共重合体は、例えば一般式(5):【0035】 【化3】
(ここで、R2およびXは前記の通りである)で表されるビニル重合が可能なエチレン系化合物と、一般式(6):【0036】 【化4】
(ここで、R4、R5およびR6は前記の通りであり、Zは水酸基、エポキシ基等から選ばれる官能基を有する有機基である)で表される(メタ)アクリロイルオキシ基を導入させることができる官能基Zをもち、ビニル重合が可能なエチレン系化合物とを共重合させて、前記一般式(3)の構造単位と一般式(7):【0037】 【化5】
【0038】(ここで、R4、R5、R6およびZは前記の通りである)で表される構造単位とからなる共重合体を得た後に、該共重合体を構成する一般式(7)の構造単位が有する有機基Z中の官能基と、水酸機含有(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリル酸、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸塩化合物、無水(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸等とを反応させて側鎖に(メタ)アクリレート基を導入することにより合成される。 【0039】一般式(5)のエチレン系化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸系化合物、スチレン系化合物、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル化合物などが挙げられる。 【0040】具体的には、(メタ)アクリル酸系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレートおよびジシクロペンテニル(メタ)アクリレートが好ましい。 【0041】スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ブロモスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−トリアルキルシリルスチレンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。 【0042】ハロゲン化ビニル化合物としては塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、臭化ビニル、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンが挙げられる。中でも、塩化ビニル、1,1−ジクロロエチレン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンが特に好ましい。 【0043】(メタ)アクリロイルオキシ基を導入するための、一般式(6)で表されるエチレン系化合物において、前記官能基を有する有機基Zを持つ化合物としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系化合物、エボキシ基を有するアリル化合物、水酸基をベンゼン環上に有するスチレン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、p−ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。中でも、好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートである。 【0044】一般式(5)のエチレン系化合物と一般式(6)のエチレン系化合物との重合法は特に限定されず、カチオン重合法、アニオン重合法、チーグラーナッタ系触媒による重合法等のいずれの方法でもよい。また、乳化重合法も適用することができる。重合に際しては、溶媒を用いても、用いなくともよい。 【0045】このようにして得られた一般式(3)の構造単位と一般式(7)の構造単位からなる共重合体と反応させる、(メタ)アクリル基を導入するために用いられる化合物としては、前記のとおり、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸塩化物、無水(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられ、反応相手である一般式(6)のエチレン系化合物の有機基Zが有する官能基の種類に応じて選ばれる。即ち、有機基Zが水酸基を有する場合は、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物以外のいずれの化合物でも使用できるが、特に無水(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。有機基Zがエポキシ基を有する場合は、先にZ中の官能基との反応成分として例示の化合物のいずれも用いることができるが、特に水酸基含有(メタ)アクリル酸化合物が好ましい。 【0046】この反応には溶媒は適宜選択すればよい。また、この反応に適当な触媒を用いることもでき、たとえばアミン系または塩化アンモニウム系の物質が挙げられる。導入される(メタ)アクリレート基を有する一般式(4)の構造単位の量は、側鎖(メタ)アクリレート基含有共重合体の構造単位全体の1〜50モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜30モル%の範囲である。したがって、一般式(5)のエチレン系化合物と一般式(6)のエチレン系化合物との反応における一般式(6)のエチレン系化合物の割合をほぼ1〜50モル%、より好ましくは2〜30モル%の範囲とすればよい。 【0047】側鎖(メタ)アクリレート基含有共重合体は、例えばB−3000、B−3001、B−3002、B−3003、B−3004、B−3005、B−3006、AP−2150(いずれも商品名、新中村化学工業(株)製)等で入手することもできる。 【0048】(B)反応希釈剤本発明の組成物で(B)成分として用いられる反応性希釈剤としては単官能性化合物と多官能性化合物が挙げられる。いずれの場合も、数平均分子量は1,000未満であり、好ましくは100〜800である。数平均分子量が1,000以上であると、得られる組成物の粘度が高くなりすぎ、塗布性に悪影響を与えることがある。 【0049】単官能性化合物としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(3)〜(5)で表される化合物を挙げることができる。 【0050】 【化6】
(式中、R7 は水素原子又はメチル基を示し、R8 は炭素原子数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン等を示し、R8は水素原子又は炭素原子数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基、例えば水素原子、n−ノニル基を示し、mは0〜12、好ましくは1〜8の整数を示す。) 【0051】一般式(8)の化合物の例としては、フェノール又はノニルフェノールのエチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加体の(メタ)アクリレートエステルが挙げられる。これら単官能性化合物のうち、特にN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、イソボルニルアクリレート、ラウリルアクリレート、アクリロイルモルホリンが好ましい。 【0052】以上の単官能性化合物は、アロニックスM−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亜合成(株)製);IBXA、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)等の商品名で市販されている。が挙げられる。 【0053】また多官能性化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレートである。 【0054】これらの多官能性化合物は、例えばユピマーUV SA1002(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、SA2007(以上、三菱化学(株)製);ビスコート700(大阪有機化学工業(株)製);KAYARADR−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬(株)製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亜合成(株)製)等が挙げられる。 【0055】これらの反応性希釈剤は一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい組合せとしては、例えば、N−ビニルピロリドンとトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレートとトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、等をあげることができる。 【0056】これらの(B)成分の反応性希釈剤は、成分(A)100重量部当たり、10〜200重量部配合することが好ましく、より好ましくは20〜150重量部である。成分(B)が少なすぎると、得られる本発明の組成物の粘度が高くなりすぎ、さらに該粘度の温度依存性が大きくなり安定した塗布状態が得られない。また多すぎると、粘度が低すぎて光ファイバに塗布したときに所要の塗布状態を維持できないため得られる被覆の形状が不安定となる。 【0057】(C)重合開始剤本発明で用いられる成分(C)の重合開始剤としては、熱重合開始剤および放射線重合開始剤から選ばれる1種類以上を用いることができる。 【0058】本発明の液状硬化性樹脂組成物を熱硬化させる場合には、通常、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤が用いられる。熱重合開始剤としては従来公知のものをいずれも使用する事ができる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−オキシベンゾエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。 【0059】また、本発明の液状硬化性樹脂組成物を放射線硬化させる場合には、放射線重合開始剤を用い、必要に応じて、さらに光増感剤として知られるものを添加するのが好ましい。放射線重合開始剤も光増感剤も従来公知のものをいずれも使用することができる。光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィレオキサイド、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィレオキシドが好ましい。これらの放射線重合開始剤は、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61(以上、チバガイギー社製);LucirinLR8728(BASF社製);Darocure1116、1173(以上、メルク社製);ユベクリルP36(UCB社製)等の商品名で市販されている。 【0060】また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、エタノールアミンが好ましい。これらの光増感剤は、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等の商品名で市販されている。 【0061】本発明の液状硬化性樹脂組成物を熱及び放射線を併用して硬化させる場合には、前記熱重合開始剤と放射線重合開始剤を併用することが好ましい。重合開始剤(C)は、上述の成分(A)100重量部あたり、0.1〜10重量部、特に0.5〜7重量部配合するのが好ましい。 【0062】また、本発明の組成物には、成分(A)〜(C)の必須成分に加え、必要に応じて、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を配合することができる。 【0063】本発明の液状硬化性樹脂組成物の粘度は40℃において500〜3000cPであり、好ましくは1000〜2000cPである。粘度が500cP未満でも3000cPを超えても高速塗布を施した場合に均一な線径の被覆光ファイバが安定して得られない。 【0064】本発明の液状硬化性樹脂組成物の流動の活性化エネルギーは1〜60kJ/molを示し、好ましくは10〜60kJ/molである。流動の活性化エネルギーが1kJ/mol未満でも、60kJ/molを超えても、高速線引き時に均一な線径の被覆光ファイバが安定して得られない。ここでいう流動の活性化エネルギーとは、アンドレードの粘度式によって定義され、温度と粘度の関係をアレニウスプロットしたときのグラフの勾配から求められる。 【0065】なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱及び/又は放射線によって硬化される。ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。 【0066】 【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、部は重量部を意味する。 【0067】〔実施例1〕撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート8.7g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02g、ジブチル錫ジラウレート0.63g、フェノチアジン0.007g、イソボニルアクリレート21.3gを仕込み、これらを撹拌しながら液温が10℃以下になるまで氷冷した。2−ヒドロキシエチルアクリレート3.8gを液温が20℃以下になるように制御しながら滴下した後、更に、1時間撹拌し、反応させた。次に数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールを65.6gを加え、液温50〜60℃にて4時間撹拌を継続し、残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時点で反応終了とみなした。こうして得られた成分(A)と成分(B)からなる組成物100gに、さらに、イソボルニルアクリレート14.2g、N−ビニルカプロラクタム6.3g、ラウリルアクリレート7.3gを加えた後、液温40〜50℃にて30分間撹拌した。その後、液を30〜40℃に制御しながらジエチルアミン0.1gを添加し30分間撹拌し、さらに、液温を50〜60℃に制御しながら、成分(C)としてビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド2.0gを加え、均一で透明な液体となるまで撹拌した。こうして、成分(A)100部に対し、成分(B)27.3部、成分(C)2.0部からなる本発明の組成物を得た。この組成物の粘度は40℃において1100cPであり、流動の活性化エネルギーは50.3kJ/molであった。また、ヤング率は61kg/mm2でありハード材としての基本特性を満たしていた。 【0068】〔実施例2〕撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート18.5g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02g、ジブチル錫ジラウレート0.06g、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート19.9gを仕込み、これらを撹拌しながら液温が10℃以下になるまで氷冷した。2−ヒドロキシエチルアクリレート16.6gを液温を20℃以下になるように制御しながら滴下した後、更に、1時間撹拌し反応させた。次に数平均分子量400のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオール6.6g、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールを38.3gを加え、液温50〜60℃で4時間撹拌を継続し、残留イソシアネートが0.1重量%以下になったところで反応を終了した。このようにして得られた成分(A)と成分(B)からなる組成物100gに、さらに成分(B)として、N−ビニルカプロラクタム11.0g、イソボニルアクリレート9.5g、ラウリルアクリレート8.6gを加え、成分(C)としてビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド2.2gを加え、均一で透明な液体となるま液温50〜60℃に制御しながら撹拌した。このようにして成分(A)100部に対して、成分(B)29.1部、成分(C)2.2部からなる本発明の組成物を得た。この組成物の粘度は40℃において1500cPであり、流動の活性化エネルギーは57.0kJ/molであった。また、ヤング率は75kg/mm2であり、ハード材としての基本特性を満たしていた。 【0069】〔実施例3〕攪拌機、冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、トルエン400gを加え、100〜110℃に加熱した。2−エチルヘキシルアクリレート368g、メチルメタクリレート20g、グリシジルメタクリレート85gと過酸化ベンゾイル5gの混合液を、トルエン中に約2時間で滴下した。滴下後さらに6時間反応させた。その後アクリル酸43g、ハイドロキノン0.5g、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド10gを加えて、同じ温度でエステル化反応を8時間行った。反応終了後、水6gとトリエチルアミン2gを加えて加水分解反応を行った後、未反応の水をトルエンとの共沸により除去し、残留溶剤を0.05%とした。このようにして得られた側鎖(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−2)100gに成分(B)として、N−ビニルカプロラクタム46.3g、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート45.2g、イソボニルアクリレート15.9gを加え、液温を50〜60℃に制御しながら撹拌した。その後、液温を50〜60℃に制御して、成分(C)として、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルオキシドを2.0g加え、50〜60℃で均一で透明な液体となるまで撹拌した。この組成物をゲルパーミレーションクロマトグラフィー法(東ソー(株)製、商品名AS−8020を使用)により、ポリスチレン換算の数平均分子量を測定したところ約70,000であった。このようにして側鎖(メタ)アクリレート基含有重合性化合物(A−2)100部に対し、成分(B)107.4部、成分(C)2部からなる本発明の組成物を得た。この組成物の粘度は40℃において1000cPであり、流動の活性化エネルギーは52.3kJ/molであった。また、ヤング率は76kg/mm2であり、ハード材としての基本特性を満たしていた。 【0070】〔比較例1〕撹拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート28.5g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02g、フェノチアジン0.01g、ジブチル錫ジラウレート0.08g、イソボルニルアクリレート13.4gを仕込み、これらを撹拌しながら液温が10℃以下になるまで氷冷した。2−ヒドロキシエチルアクリレート27.0gを液温を20℃以下になるように制御しながら滴下した後、更に、1時間撹拌し、反応させた。次に数平均分子量650のポリテトラメチレングリコールを30.9gを加え、液温50〜60℃で5時間撹拌を継続し、残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時点で反応終了とみなした。このようにして得られた成分(A)と成分(B)からなる組成物100gに、更に成分(B)としてイソボルニルアクリレート10g、成分(C)としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィノキシドを3.3gを加え、50〜60℃で撹拌し組成物を得た。この組成物の粘度は40℃において4500cPであり、流動の活性化エネルギーは85.3kJ/molであった。また、ヤング率は80kg/mm2であった。 【0071】〔比較例2〕撹拌機を備えた反応容器に、イソボニルアクリレート9.6g(成分(B))、2,4−トリレンジイソシアネート23.0g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.03g、フェノチアジン0.01g、ジブチル錫ジラウレート0.08gを仕込み、これらを撹拌しながら液温が10℃以下になるまで氷冷した。ヒドロキシエチルアクリレート20.1gを液温を20℃以下になるように制御しながら滴下した後、更に、1時間撹拌し、反応させた。次に数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールを36.0g、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(商品名DA400、三菱化学(株))を11.3g加え、液温50〜60℃でにて3時間撹拌を継続し、残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時点で反応終了とみなした。このようにして得られた成分(A)と成分(B)からなる組成物100gに、さらに成分(B)としてラウリルアクリレート10.1g、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート25.3g、N−ビニルカプロラクタム7.5g、成分(C)としてビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィノキシドを3.3gを加え、50〜60℃で撹拌し組成物を得た。この組成物の粘度は40℃において1800cPであり、流動の活性化エネルギーは70kJ/molであった。また、ヤング率は61kg/mm2であった。 【0072】〔製造例〕 (一次被覆材の製造)後記の評価試験において高速線引き塗布性の評価に用いる光ファイバの一次被覆材として用いる樹脂組成物を以下の方法により調製した。 【0073】撹拌機を備えた反応容器に2,4−トリレンジイソシアネート8.7g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.002g、ジブチル錫ジラウレート0.63g、フェノチアジン0.006g及びイソボルニルアクリレート21.2gを仕込みこれらを撹拌しながら温度が10℃以下になるまで氷冷した。2−ヒドロキシエチルアクリレートを液温が20℃以下になるように制御しながら3.8g滴下した後、さらに、一時間撹拌し反応させた。次に数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール65.6gを加え液温50〜60℃で4時間撹拌を継続し、残留イソシアネートが0.1重量g%以下になった時点で反応終了とみなした。このようにして得られた化合物100gにイソボニルアクリレート14.1g、N−ビニルカプロラクタム6.3g、ラウリルアクリレート7.3g及び2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート]0.3gを加え、液温40〜50℃に制御しながらジエチルアミン0.1gを添加し30分間撹拌し、更に液温を50〜60℃に制御しながら、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド1.3g、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン1.3gを加え、均一で透明な液体となるまで撹拌した。こうして光ファイバ用一次被覆材を得た。 【0074】〔評価試験〕前記実施例および比較例で得た組成物の流動の活性化エネルギー、保存安定性、高速線引き性を以下の方法により評価した。結果を表1に示す。 【0075】(1)粘度測定液状硬化性樹脂組成物の粘度を東京計器社(株)製B型粘度計を用い温度40℃で測定した。 (2)引っ張り試験組成物を、空気中において1J/cm2、膜厚200μmに製膜し、得られた膜から幅6mm、長さ2.5mmの短冊状サンプルを切り出した。引っ張り試験は、島津製作所(株)製オートグラフ(商品名AGF1KND)を用い、23℃において引っ張り速度5mm/minで試験を行った。歪み2.5%における抗張力からヤング率を求めた。 (3)流動の活性化エネルギーの評価組成物の粘度を東京計器(株)製B型粘度計を用い温度25℃、35℃および45℃の各温度で測定し、アレニウスプロットより流動の活性化エネルギーを評価した。 (4)高速線引き時塗布性の評価光ファイバ線引き装置(吉田工業(株)製)を使用して、光ファイバに前記製造例で得た一次被覆材を塗布、硬化させた。得られた被覆の上に形成する外層被覆を前記実施例の組成物または比較例の組成物を使用して形成した。 【0076】光ファイバの線引き条件は以下のようにした。光ファイバの線径は、光ファイバ自体は直径150μmであったが、これに一次被覆材を硬化、被覆した後に直径が200μmになるよう調節し塗布し、さらに形成された一次被覆の上に前記実施例または比較例の組成物を塗布硬化した後に直径が260μmになるように調節して塗布した。光ファイバの線引き速度は、600m/min、900m/min、または1200m/minとし、組成物の硬化には、紫外線照射装置UVランプ(ORC社製、商品名SMX、3.5kw)を使用した。塗布硬化後の直径の変動を、アンリツ(株)製レーザー外径測定装置で測定し、線径変動が±1.0μm以内を合格とし、該範囲を越えるものを不合格と判定した。 【0077】 【表1】
【0078】表1の結果から明らかなように、本発明の液状硬化樹脂組成物はハード材としての基本特性を持ち、かつ、線引き速度を上げても良好な塗布性を示すことがわかる。一方、比較例1は粘度及び流動の活性化エネルギーが本発明の範囲外であるため、線速900m/min以上では塗布性が不良であった。また比較例2は、流動の活性化エネルギーが範囲外であるため、線速1200m/min以上では塗布性が不良であった。 【0079】 【発明の効果】本発明の液状硬化性樹脂組成物は優れた高速塗布性を示し、光ファイバ被覆材料として用いると生産性が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004178 【氏名又は名称】ジェイエスアール株式会社 【識別番号】592222639 【氏名又は名称】デー エス エム エヌ.ヴェー. 【氏名又は名称原語表記】DSM N.V.
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)8月22日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】岩見谷 周志
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| 【公開番号】 |
特開平11−60991 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)3月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−241933 |
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