トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 硬化性組成物およびその用途
【発明者】 【氏名】野田 浩二

【氏名】藤沢 博

【氏名】米沢 和弥

【氏名】千波 誠

【要約】 【課題】ホットメルトブチル自体を何ら変性することなく、そのまま用いて、簡便に耐熱性を向上させ、かつ防振・制振特性を大幅に改善させた硬化性組成物を提供すること。

【解決手段】(a)ホットメルトブチル、ならびに(b)数平均分子量が500 〜50,000であり、主鎖の側鎖および/または末端に一般式 (I)【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ホットメルトブチル、ならびに(b)数平均分子量が500 〜50,000であり、主鎖の側鎖および/または末端に一般式 (I)【化1】

(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは水酸基または加水分解性基を示し、nは0、1または2である。)で示される加水分解性シリル基を1分子あたり、少なくとも1個有するオリゴマーを主成分とする硬化性組成物。
【請求項2】 一般式(I)において、Xで表わされる加水分解性基が、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、またはアルケニルオキシ基であり、Xが2個以上のとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】 (b)成分のオリゴマーを構成する主鎖が、ポリエーテル系、ポリエステル系、アクリル系、ビニルエーテル系、ポリカーボネート系、ポリイソプレン系、ポリイソブチレン系またはポリブタジエン系のものである請求項1または2記載の硬化性組成物。
【請求項4】 (a)成分と(b)成分の配合比が、重量比で100 :5〜10:100 である請求項1〜3いずれか記載の硬化性組成物。
【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の硬化性組成物を含有するホットメルト接着剤。
【請求項6】 請求項1〜4いずれか記載の硬化性組成物を含有する防振・制振ゴム材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性組成物およびその用途に関する。さらに詳しくは、耐熱性が改善され、また防振・制振特性が大幅に改善された硬化性組成物および該硬化性組成物を用いたホットメルト接着剤、防振・制振ゴム材料としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、防振・制振ゴム材料については、次のような要求特性を満足させる材料の出現が期待されている。
【0003】即ち、ゴム材料の柔らかさと、高いエネルギー散逸(tanδ:0.4 以上) を持ち、かつ、これらの特性の、温度依存性、周波数依存性、変位依存性のすべての面で変化の少ない材料が防振・制振ゴム材料として望ましい。
【0004】しかし、このような材料はいまだに特性面、コスト面、作業面等から見て満足すべきものは得られていないのが実情である。
【0005】例えば、一般のシリコーンゴムの場合、温度依存性は小さいものの、 tanδは0.05〜0.1 と小さいため防振・制振ゴム材料としては使えない。また、ブチルゴムの場合は tanδは0.4 以上と大きいため望ましい材料ではあるが、これとて高温域においては tanδが大きく低下するという問題をかかえており、防振・制振特性の改善された硬化性組成物の開発が当業界では期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、ホットメルトブチル自体を何ら変性することなく、そのまま用いて、簡便に耐熱性を向上させ、かつ防振・制振特性を大幅に改善させた硬化性組成物を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、そのような硬化性組成物を用いたホットメルト接着剤または防振・制振ゴム材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行い到達したものである。
【0009】即ち、本発明は、(a)ホットメルトブチル、ならびに(b)数平均分子量が500 〜50,000であり、主鎖の側鎖および/または末端に一般式 (I)【0010】
【化2】

【0011】(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは水酸基または加水分解性基を示し、nは0、1または2である。)で示される加水分解性シリル基を1分子あたり、少なくとも1個有するオリゴマーを主成分とする硬化性組成物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いるホットメルトブチルとしては、特に限定されないが、通常市販されているものを用いることができ、それ単独で市販されているもの、あるいは、充填剤等を配合したホットメルトブチルとして市販されているもののいずれも利用でき、例えば、不飽和度0.5 〜5.0 程度のブチルゴム (IIR)、クロロブチル、ブロモブチルビスタネックスシリーズ(エクソン社)などが挙げられる。
【0013】以上、本発明に用いるホットメルトブチルは、そのもの自体を加硫等により架橋硬化させずに用いる事を特徴とする。
【0014】本発明に用いる(b)成分は、一般式 (I) で表わされる加水分解性シリル基を主鎖の側鎖および/または末端に1分子あたり、少なくとも1個有するオリゴマーである。該オリゴマーを構成する主鎖は特に限定はなく、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、アクリル系、ビニルエーテル系、ポリカーボネート系、ポリイソプレン系、ポリイソブチレン系またはポリブタジエン系のものが挙げられるが、硬化後のゴム弾性を損なわないといった点から室温で非晶性のものが好ましい。また、このオリゴマーの数平均分子量としては、その作業性および硬化後のゴム弾性の点から500 〜50,000が好ましく、1,000 〜15,000がさらに好ましい。
【0015】一般式 (I) において、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示すが、アルキル基としては直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくはメチル基、エチル基が挙げられる。
【0016】また、Xは水酸基または加水分解性基を示し、これらがケイ素原子に結合して(I)で表わされる加水分解性シリル基を形成する。
【0017】即ち、本明細書にいう加水分解性シリル基とは、シラノール縮合触媒の存在下または非存在下で水分により加水分解をうけうる水酸基または加水分解性基がケイ素原子に結合している基を意味し、このような加水分解性基の具体例としては、例えば水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、加水分解性がマイルドで取扱いやすいという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。水酸基または加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよく異なっていてもよい。
【0018】加水分解性シリル基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個のものまでであるのが好ましい。
【0019】このような(b)成分としては、例えば次のようなものが例示される。
【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】本発明に用いる(a)成分と(b)成分の組み合わせについては、上記で述べたものが適宜使用できるが、硬化後の物性の安定的発現という点から、硬化前に比較的よく相溶する組み合わせが好ましいが、これに限定されるわけではない。というのは(a)成分および(b)成分以外に可塑剤等を用いることにより相溶性を改善することも充分可能であるからである。また、相溶性の点およびホットメルトブチル自体の特性を損なわないという点から、(b)成分としてポリイソブチレン系主鎖を有するイソブチレン系重合体を用いることが特に好ましい。
【0023】本発明に用いる(a)成分と(b)成分の配合比は、重量比で100 :5〜10:100 が好ましい。(b)成分が100 :5より少ないと、耐熱性改善等の(b)成分の効果が小さく、(a)成分が10:100 より少ないと、 tanδの温度依存性を小さくする等の(a)成分の効果が小さくなる。
【0024】用途別に言うと、ホットメルト接着剤用途としては、(a)成分と(b)成分の配合比は重量比で100 :5〜10:100 が好ましく、100 :10〜50:100 がさらに好ましい。(b)成分がこれ以上少ないと、耐熱性改善効果が小さく、これ以上多くても、耐熱性改善効果のさらなる上昇は見られず、コスト高になるなど好ましくない。
【0025】また、防振・制振ゴム材料用途としては、(a)成分と(b)成分の配合比は重量比で100 :5〜10:100 が好ましく、100 :10〜50:100 がさらに好ましい。(b)成分が、これ以上少ないと、高温での形状保持が困難 (弾性率の低下)になり、これ以上多いと、高温での tanδの低下が大きくなり、好ましくない。
【0026】本発明の硬化性組成物は、主成分である(a)成分および(b)成分のほかに、物性調整剤としての各種シラン化合物を必要に応じて使用しうるのはもちろん、さらに各種フィラー、可塑剤、粘着付与樹脂、(b)成分である加水分解性シリル基を有するオリゴマー成分を硬化させるために通常使用されるシラノール縮合触媒、水、無機化合物の水和物、老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、発泡剤、接着付与剤などが必要に応じて添加されうる。
【0027】本発明に用いうるフィラーとしては、例えば木粉、パルプ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などがあげられる。これらのフィラーは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0028】可塑剤としては、ポリブテン、水素添加ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマー、ビフェニル、トリフェニル、トリアリールジメタン、アルキレントリフェニル、液状ポリブタジエン、水素添加液状ポリブタジエン、アルキルジフェニル、部分水素添加ターフェニルなどの炭化水素系化合物類;塩化パラフィン類;ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ (2−エチルヘキシル) フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケートなどの非芳香族2塩基酸エステル類;ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートなどのポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル類などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0029】本発明の硬化性組成物の(b)成分である加水分解性シリル基を有するオリゴマーを硬化させるために、シラノール縮合触媒が必要に応じて用いうる。このような縮合触媒としては、例えばテトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチルスズジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1, 3−ジアザビシクロ (5,4,6) ウンデセン−7 (DBU)などのアミン化合物あるいはそれらのカルボン酸などの塩;および他の酸性触媒、塩基性触媒など公知のシラノール触媒があげられる。
【0030】本発明の硬化性組成物は、接着性をさらに向上させる目的で種々の接着付与剤を併用してもよい。具体的にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物などのような各種シランカップリング剤、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネートなどを1種または2種以上用いることにより、多種類の被着体に対する接着性を向上させることができる。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の硬化性組成物を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】実施例1〜14(a)成分および(b)成分について表1に示した組成で混合し、厚さ3mmの型枠に80℃で充填した後、50℃で1週間硬化養生させ硬化性組成物を調製した。次いで、それぞれ150 ℃で1時間放置後その硬化性組成物の軟化状態を目視により観察し、その結果を表1に併せて記載した。結果は、形状を保持し、タックのないものを○、形状を保持したが、タックがわずかに生じたものを△、融解したものを×で表示した。
【0033】ただし、いずれの場合も(b)成分に対して、チヌビン327 、サノール770 、イルガノックス1010の3種の老化防止剤を各々1%、計3%配合して用いた。
【0034】比較例1〜6表1に示した(a)成分のみの150 ℃での軟化状態を実施例1〜14と同様に観察し、その結果を表1に併せて記載した。
【0035】
【表1】

【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】実施例1〜14の結果から明らかなように、(b)成分を配合することにより、耐熱性は大幅に改善されている。
【0039】このことよりこれらの硬化性組成物は、耐熱性の良好なホットメルト接着剤の主成分として有用であると言える。
【0040】実施例15(b)成分としてPIB-1 100重量部と(a)成分としてビスタネックスLM-MSを0、20、50、200 重量部、シラノール触媒としてOT/LAを1/0.25重量部、および水1重量部をよく混合した後、50℃で円筒状の型枠に流し込んだ後、50℃で1週間硬化養生させ硬化性組成物(A,B,C,D)を調製した。
【0041】こうして得られた硬化性組成物 (円筒状サンプル:直径8mm、高さ6mm) を用いて圧縮モード (歪0.5 %) で粘弾性測定 (10Hz、2℃/分昇温) を行なった。
【0042】粘弾性の測定は、Rheometrics 製RSにより行なった。得られた結果を図1、図2および図3に示す。
【0043】なお、図中の線(記号)は、以下の表2に記載されていることを示す。
【0044】
【表2】

【0045】図1〜図3より明らかなように、ビスタネッスクスLM-MS 200 重量部を入れた系においても高温での弾性率の低下がなく、むしろ上昇しており、かつビスタネックスLM-MS を50〜200 重量部入った系において無添加の系に比較し、広い温度範囲で高い tanδの値を示し、防振・制振ゴム材料としての有用性が示されている。
【0046】実施例16〜18および比較例7、8表3に示したとおりの配合を行い、3本ペイントロールを3回通した後、厚さ3mmの型枠に充填し、50℃で1週間、硬化養生して硬化性組成物等を調製した後、ダンベル〔JISK7113 2(1/3) 号型ダンベル〕を打ち抜き、ダンベル物性の温度依存性を測定した。その結果を表4〜5に示す。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】表4〜5の結果のうち、TB、EBのデータを各々、23℃の値を1として、プロットしたものを図4に示す。
【0051】図4より(a)成分が全く含まれていない硬化性組成物 (比較例7) と、(a)成分が50〜100 重量部入った硬化性組成物 (実施例16〜18) との高温でのTB、EBの低下の程度を比較してみると、大差がないことより、(a)成分の耐熱性 (高温側) は、(b)成分の導入により、大幅に改善されていることがわかる。
【0052】また(b)成分を全く含まない配合物 (比較例8) は当然、硬化せず、ダンベルを打ち抜くほどの強度にも達しなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物は、(a)成分に(b)成分をブレンドし、硬化することにより、(a)成分の従来持つ濡性、初期接着性能の立ち上りの速さ、作業性などの諸特性を損なうことなく(a)成分の最大の弱点であった耐熱性を簡便に改善しうるホットメルト接着剤に適している。また、あえて(a)成分を加硫硬化せずブレンドする(b)成分を硬化させることにより、(b)成分で耐熱性を、(a)成分の未加硫の粘性で高温側での高い tanδをそれぞれ発現しうる、防振・制振ゴム材料に適している。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成2年(1990)10月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
【公開番号】 特開平11−323153
【公開日】 平成11年(1999)11月26日
【出願番号】 特願平11−29363