トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 熱可塑性樹脂組成物
【発明者】 【氏名】柳ヶ瀬 昭

【氏名】小白井 厚典

【氏名】高山 暢久

【要約】 【課題】流動性および耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ること。

【解決手段】アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)および芳香族ビニル単量体(a−2)からなる重合体の存在下、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合して得られる、実質的にゲルを含有しない重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)および芳香族ビニル単量体(a−2)からなる重合体の存在下、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合して得られる、実質的にゲルを含有しない重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動性および耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の中には、流動性が低く成形加工性に劣るために、用途を制限されるものがある。流動性の改良方法として、低分子化合物の添加は、ブリードアウト等の問題が現れるため好ましくなく、他の重合体の添加が一般によく行われるが、熱可塑性樹脂本来の優れた性質が損なわれ易い。
【0003】例えばポリフェニレンエーテル樹脂は、耐熱性に優れているが流動性が低いという欠点がある。流動性を改良するために、ポリスチレン、ハインパクトポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体スチレン系重合体等の添加が一般によく行われるが、有効な流動性を得るには添加量を多くせざるを得ず、耐熱性が低下する等の悪影響を伴ってしまい、その特徴が十分に生かされてないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、アルキル(メタ)アクリレート系重合体の添加により、ポリフェニレンエーテルを改良する試みが、次のようになされている。特開昭60−155260号公報、特開昭60−252649号公報、特開昭63−48355号公報には、ブタジエン−アクリル酸エステルグラフト共重合体の添加により、ポリフェニレンエーテルの耐衝撃性が向上すると記載されているが、十分な流動性を得るためには、スチレン系重合体を大量に添加する必要があり、耐熱性の低下を伴った。また、特開平3−95245号公報には、(メタ)アクリル酸と芳香族ビニル単量体の共重合体をポリフェニレンエーテルに添加する方法が記載されているが、当該樹脂組成物の流動性は低かった。特開平3−200866号公報には、ガラス転移温度が30℃以上の重合体の存在下メタクリル酸エステルを重合して得られる重合体および/またはメチルメタクリレート系重合体を添加する方法が記載されているが、この場合も十分な流動性を得るためには、スチレン系重合体を大量に含有する必要があり、耐熱性の低下を伴った。
【0005】このように、ポリフェニレンエーテルの流動性を向上させる高分子添加剤は見出されておらず、ポリフェニレンエーテルの耐熱性等優れた性質を損ねることなく、流動性を向上させるような高分子添加剤の開発が強く望まれていた。
【0006】例えばポリフェニレンエーテル樹脂組成物の場合、キャピラリー式レオメーターを用いて、ノズル:L/D=10mm/1mm、バレル温度300℃、せん断速度6.08sec−1で測定したときの溶融粘度が、10万poise以下であり、かつASTM D648に準拠して測定したときの熱変形温度が150℃以上ならば、流動性と耐熱性とのバランスに優れ、ポリフェニレンエーテル本来の耐熱性を生かした材料設計を可能とし、その用途は飛躍的に拡大する。
【0007】本発明の目的は、流動性および耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、熱可塑性樹脂本来の優れた性質を損なうことなく、流動性を改良するために鋭意検討した結果、アルキル(メタ)アクリレートおよび芳香族ビニル単量体からなる特定の重合体を添加することにより、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂の流動性が大きく向上することを見い出し、本発明に到達した。
【0009】本発明の要旨とするところは、アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)および芳香族ビニル単量体(a−2)からなる重合体の存在下、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合して得られる、実質的にゲルを含有しない重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる熱可塑性樹脂組成物にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の重合体(A)は、アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)および芳香族ビニル単量体(a−2)からなる重合体の存在下、芳香族ビニル単量体(a−3)を重合して得られる。
【0011】アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)の例としては、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができ、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性とコストを考慮すると、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートが好ましい。
【0012】芳香族ビニル単量体(a−2)の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができ、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性とコストを考慮すると、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンが好ましい。
【0013】芳香族ビニル単量体(a−3)としては、(a−2)と同じものを用いることができる。
【0014】本発明で用いられる重合体(A)は、実質上ゲルを含んではならない。ゲルとは、三次元網目構造を有する重合体または重合体粒子のことであって、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレート、側鎖メタクリル変性重合体等複数の重合性官能基を有する単量体または重合体のような架橋剤の存在下で、ビニル単量体を重合すると得られる。本発明に係る重合体(A)が、このようなゲルを含まないことを確認する方法としては、例えば、重合体を溶解する液体が存在するならば、その重合体は実質上ゲルを含まないといえる。また、架橋剤の量が少ないときいは架橋剤の反応性が低いときには、架橋剤の存在下ビニル単量体を重合しても、目視にて不溶物が確認されないような均一な重合体溶液が得られ、実質上ゲルを含まないこともある。
【0015】このような重合体(A)の構造の例としては、直鎖型、櫛型、分岐型、星型、カスケード型を挙げることができる。
【0016】本発明の重合体(A)の組成比としては、アルキル基の炭素数が2〜20であるアルキル(メタ)アクリレート(a−1)と芳香族ビニル単量体(a−2)の合計100重量%に対して、(a−1)0.1〜99.9重量%、(a−2)0.1〜99.9重量%が好ましく、(a−1)5〜95重量%、(a−2)5〜95重量%がより好ましい。(a−1)を含有しない場合、得られる熱可塑性樹脂組成物は流動性に劣り、(a−2)を含有しない場合、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形外観が不良となる。また芳香族ビニル単量体(a−3)の含有量としては、特に限定されないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を考慮すると、重合体(A)に対して、1〜90重量%が好ましく、1〜80重量%がより好ましい。また、(a−1)および(a−2)からなる重合体が、30℃以下のガラス転移温度を示す場合、(a−3)を重合することで、取扱性が良い重合体(A)を得ることができる。この場合、(a−3)の含有量としては、重合体(A)に対して、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。
【0017】重合体(A)の共重合成分として、重合体(A)の成分と共重合可能なビニル単量体を、重合体(A)全体に対して50重量%以下となるように、用いることができる。このようなビニル単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;ブタジエン、イソプレン、プレン、ジメチルブタジエン等のジエン単量体;アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0018】(a−1)および(a−2)からなる重合体の重量平均分子量としては、特に限定されないが、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性を考慮すると、3000〜70万の範囲が好ましく、より好ましくは3000〜30万、さらに好ましくは3000〜10万の範囲である。また、重合体(A)の重量平均分子量は3000〜200万の範囲が好ましい。
【0019】重合体(A)の製造方法としては、特に限定されず、通常公知の方法として、例えば、バルク、溶液、乳化、懸濁等の系において、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合を行うことができる。製造の際には、所望により、重合開始剤、重合触媒、連鎖移動剤、分子量調節剤、有機溶媒、分散媒、乳化剤、分散剤剤等の通常公知の重合添加剤を用いることができる。
【0020】ラジカル重合開始剤としては、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤または酸化剤、還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。レドックス系開始剤の例としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ロンガリット、ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤を挙げることができる。
【0021】連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等を例示できる。
【0022】乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系およびカチオン系乳化剤を用いることができる。アニオン系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸金属塩、ザルコシン酸ナトリウム、アルキルコハク酸ジカリウム等のカルボン酸金属塩等を挙げることができる。
【0023】重合体(A)は、例えば、乳化剤水溶液中へ単量体を供給し、ラジカル重合開始剤を作用させて製造できる。重合は、2段階または多段階で行うことができる。単量体を供給する方法としては、一括して加える方法と一定速度で滴下する方法があるが、(a−1)と(a−2)の共重合性を考慮すると、滴下する方法が好ましい。重合して得られた重合体(A)のエマルションを、凝固剤を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより、重合体(A)を分離し、回収することができる。凝固剤の例としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩を挙げることができる。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂(B)としては、通常公知の熱可塑性樹脂を使用でき、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系重合体;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン等のスチレン系単独重合体、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等の各種エラストマーで変性されたスチレン系重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリレート−オルガノシロキサン共重合体等のスチレン系共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン等のポリオレフィン;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロン系重合体、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル等を例示でき、これらの1種または2種以上を用いることができるが、本発明の流動性改良効果を考慮すると、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、アクリル系重合体等が好ましい。特に、ポリフェニレンエーテルが好ましい。
【0025】ポリフェニレンエーテルとしては、フェノール化合物をカップリング触媒等を用い、酸素または酸素含有ガス等で酸化重合するなどして、得ることができる。フェノール化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等を例示でき、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシン、ハイドロキノン等のような二価フェノール化合物との共重合体であってもよい。さらにポリフェニレンエーテルは、スチレン系重合体との混合物であってもよい。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン等のスチレン系単独重合体、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等の各種エラストマーで変性されたスチレン系重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリレート−オルガノシロキサン共重合体等のスチレン系共重合体を挙げることができる。これらのスチレン系重合体は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系重合体の合計に対して、70重量%まで用いることができる。
【0026】ポリカーボネートとしては、4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン(通称ビスフェノール)等4,4−ジオキシジアリルアルカン系ポリカーボネート樹脂を例示できる。これらポリカーボネート樹脂は通常公知の方法により製造できる。例えば、4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンのポリカーボネートの製造の場合には、ジオキシ化合物として4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンを用いて、アルカリ水溶液および溶剤の存在下、ホスゲンを吹き込んで製造する方法、または、4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと、炭酸ジエステルとを、触媒の存在下にエステル交換させて製造する方法を例示できる。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)を混合することによって得ることができ、必要に応じて、通常公知の各種添加剤安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤を配合することができる。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るため混合方法としては、通常の公知の配合および混練方法を用いることができ、例えば、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール等を用いることができる。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常の公知の成形方法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形などを適用することができ、各種成形品を製造できる。
【0030】本発明に用いる重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)との配合量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂本来の性能の低下させることなく、有効な流動性改良効果を発現するためには、熱可塑性樹脂(B)100重量部に対して、重合体(A)0.01〜50重量部、より好ましくは0.01〜25重量部である。
【0031】また予め重合体(A)の比率を大きくして、重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを混合することで、マスターバッチを得て、その後、再度マスターバッチと熱可塑性樹脂(B)とを混合し、所望の組成物を得ることもできる。
【0032】溶融混練の方法としては、通常公知の方法であれば特に限定されるものではなく、一軸あるいは多軸の押出機、混練ロール、ニーダー、ブラベンダー等の混練機械を用いて行うことができる。
【0033】以下実施例により本発明を説明する。なお、参考例、実施例および比較例において「部」および「%」は特に断らない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
【0034】
【実施例】なお実施例、比較例における諸物性は次の方法により測定した。
【0035】・固形分重合後のラテックスを170℃、30分で乾燥した後の重量を測定し求めた。・重量平均分子量重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミションクロマトグラフ(GPC)を用いて、溶離液クロロホルム、ポリメチルメタクリレート換算で測定した。
【0036】・溶融粘度キャピラリー式レオメーター(東洋精機(株)製キャピログラフ)を用いて、ノズル:L/D=10mm/1mm、せん断速度6.08sec-1で測定した。但し、バレル温度はポリフェニレンエーテル樹脂組成物の場合280℃、ポリカーボネート樹脂の場合270℃であった。
【0037】・熱変形温度ASTM D648に準拠して測定した。但し、試験片の厚みは6.4mmであった。試験片は射出成形により作製した。
【0038】・アイゾット衝撃強度ASTM D256に準じて、温度23℃、湿度50%RH、ノッチ付きの条件で測定した。但し、試験片の厚みは6.4mmであった。試験片は射出成形により作製した。
【0039】参考例1冷却管、攪拌装置、試薬注入装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸1部および水188部を仕込み、反応器内を窒素雰囲気下に保ちながら水浴中60℃に加熱した。硫酸第一鉄0.0004部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.0012部、ソジュウムスルホキシレート0.48部を溶解した水6部を反応器内に添加し、続けてブチルアクリレート35部およびスチレン15部、n−オクチルメルカプタン0.5部、クメンヒドロキシパーオキサイド0.1部を80分間かけて滴下した。そのまま1時間攪拌した後、硫酸第一鉄0.0004部およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.0012部、ソジュウムスルホキシレート0.48部を溶解した水6部を反応器内に添加し、続けてスチレン50部、n−オクチルメルカプタン0.5部、クメンヒドロキシパーオキサイド0.25部を80分間かけて滴下した。そのまま1時間攪拌した後内容物を冷却し重合を終了した。得られた重合体エマルションの固形分は、32.5%であった。エマルションを塩化カルシウム水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥し、目的の重合体を得た。
【0040】実施例1参考例1で得た重合体5部およびポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンエーテル)80部、ポリスチレン(住友化学(株)製スミブライトM140)20部を、押出機(ウェルナー社製ZSK30)を用いて、310℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】比較例1〜3ポリ(2,6−ジメチル−p−フェニレンエーテル)およびポリスチレン(住友化学(株)製スミブライトM140)を、表1に示す組成で配合し、実施例1同様の条件で溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】比較例4〜8参考例1と同様の操作により、表1に示す仕込み組成の重合体をそれぞれ得た。それぞれの重合体を用いて、実施例1同様の条件により得られた樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】実施例2および比較例9参考例1で得た重合体およびポリカーボネート(三菱化学(株)製ユーピロンS1000))を、表2に示す組成で配合し、押出機(ウェルナー社製ZSK30)を用いて、270℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】実施例3および比較例10参考例1で得た重合体およびポリメチルメタクリレート(懸濁重合品、メルトフローレート2.0g/10分(温度230℃、荷重3.8Kg))を、表3に示す組成で配合し、押出機(ウェルナー社製ZSK30)を用いて、230℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物を用いて、各種評価を行った。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】

【0048】実施例および比較例より次のことが明らかになった。
【0049】・実施例1の通り、本発明の樹脂組成物は、溶融粘度が10万以下、HDTが150℃以上であり、流動性と耐熱性とのバランスに優れる。また衝撃強度にも優れ、成形外観も良好である。
【0050】・比較例1〜3の通り、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンからなる樹脂組成物の流動性と耐熱性のバランスは低い。
【0051】・比較例4〜6、8の通り、アルキル(メタ)アクリレート系重合体、または1段目組成に芳香族アルケニル化合物(a−2)成分を含有しない重合体を、添加した樹脂組成物は、成形外観が不良である。
【0052】・比較例7の通り、1段目にアリルメタクリレートを導入して得られるブチルアクリレート−スチレングラフト共重合体は、クロロホルムに不溶であり、ゲルを含有する。この重合体を添加しても、樹脂組成物の流動性は向上しない。
【0053】・実施例2および比較例9の通り、本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート単体と比較して、流動性が高く耐熱性が同等である。・実施例3および比較例10の通り、本発明の樹脂組成物は、ポリメチルメタクリレート単体と比較して、流動性が高く耐熱性が同等である。
【0054】
【発明の効果】本発明によると、熱可塑性樹脂本来の優れた性質を損なうことなく、流動性を飛躍的に向上させることが可能である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、流動性と耐熱性とのバランスに優れ、その工業的利用価値は絶大である。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月8日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−323061
【公開日】 平成11年(1999)11月26日
【出願番号】 特願平10−126381