トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ポリマーアロイおよびそれを含有する組成物
【発明者】 【氏名】大塚 喜弘

【氏名】押野 康弘

【要約】 【課題】新規なポリマーアロイおよび当該ポリマーアロイに未加硫ゴムを配合した組成物並びに当該組成物を用いたタイヤ部品を提供する。

【解決手段】5乃至80の酸価を有するポリエステル樹脂(a)、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)および未加硫ゴム(c)からなるポリマーアロイである。また、当該ポリマーアロイに、ジエン系単量体から誘導された未加硫ゴム(d)を混合した組成物であって、ポリエステル樹脂(a)とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)の合計が、該組成物中の全未加硫ゴム100重量部に対し2乃至25重量部であることを特徴とする組成物である。タイヤ部品は、当該ポリマーアロイまたは組成物からなるトレッドベース、トレッドキャップ、カーカスプライ、クッション、ベルトプライ、ショルダー・ウエッジ、ビードエリア、アペックスまたはシェファーである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 5乃至80の酸価を有するポリエステル樹脂(a)、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)および未加硫ゴム(c)からなるポリマーアロイ。
【請求項2】 ポリエステル樹脂(a)が10乃至30重量部、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)が1乃至20重量部、未加硫ゴム(c)が50乃至150重量部の配合割合であることを特徴とする請求項1記載のポリマーアロイ。
【請求項3】 ポリエステル樹脂(a)が、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジオールとの縮合反応で製造されたものであることを特徴とする請求項1または2記載のポリマーアロイ。
【請求項4】 ポリエステル樹脂(a)が、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体、ジオール、および分子鎖枝分かれ剤との縮合反応により製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリマーアロイ。
【請求項5】 分子鎖枝分かれ剤がトリメリット酸無水物、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物である請求項4記載のポリマーアロイ。
【請求項6】 分子鎖枝分かれ剤の縮合割合が、ジカルボン酸およびジカルボン酸誘導体の2乃至8モル%であることを特徴とする請求項4または5記載のポリマーアロイ。
【請求項7】 ジカルボン酸が炭素数2乃至16のアルキルジカルボン酸または炭素数8乃至16のアリールジカルボン酸であり、ジカルボン酸誘導体が炭素数2乃至20のアルキルジエステルまたは炭素数10乃至20のアルキル置換アリールジエステルであり、ジオールが、炭素数2乃至10のジオール類であり、ジカルボン酸およびジカルボン酸誘導体に対するジオールのモル比が、1.15/1乃至2.20/1であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のポリマーアロイ。
【請求項8】 エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)が、同一分子内にビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体(C)またはその部分水添物の共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のポリマーアロイ。
【請求項9】 未加硫ゴム(c)が、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、合成ポリイソプレン、天然ゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエン−スチレンゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴムおよびEPDMからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1乃至8記載のポリマーアロイ。
【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載のポリマーアロイに、ジエン系単量体から誘導された合成ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた1種または2種以上の未加硫ゴム(d)を混合した組成物であって、ポリエステル樹脂(a)とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)の合計が、該組成物中の全未加硫ゴム100重量部に対し2乃至25重量部であることを特徴とする組成物。
【請求項11】 請求項1乃至9のいずれかに記載のポリマーアロイからなるトレッドベース、トレッドキャップ、カーカスプライ、クッション、ベルトプライ、ショルダー・ウエッジ、ビードエリア、アペックスまたはシェファー。
【請求項12】 請求項10記載の組成物からなるトレッドベース、トレッドキャップ、カーカスプライ、クッション、ベルトプライ、ショルダー・ウエッジ、ビードエリア、アペックスまたはシェファー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の酸価を有するポリエステル樹脂、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体および未加硫ゴムとからなるポリマーアロイに関する。更には当該ポリマーアロイに未加硫ゴムを配合した組成物および当該組成物を用いたタイヤ部品に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム製品、特に自動車等のタイヤに使用するゴム組成物は、一般のゴム組成物に比較して特に機能面での特性が要求され、ゴム組成物のモジュラスを大きくすることが望まれる。特に、タイヤの中でも、トレッドベース組成物やタイヤ・ワイヤー被覆組成物のモジュラスは、タイヤの中でも他の部材と比較して大きいことが望ましい。
【0003】一般に、タイヤ等に使用するゴム組成物の強度等を向上させるには、カーボンブラック等の充填材を大量に配合することが行われ、またはゴム組成物の硬化度を高めることが行われている。例えば、特開平7−165996号にはポリエステル樹脂/エポキシ化ジエン系ブロック共重合体/ゴムに関するポリマーアロイが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公開公報に開示された方法では、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体が低分子量であるためポリエステル樹脂とゴムの相溶性に難があり、満足のいくものではない。また、一般に、強度を向上させるためにカーボンブラックを大量に配合すると、ヒステリシスの水準が高くなる。このためこれをタイヤに使用すると、過剰な熱の蓄積が生じ、切傷生長特性が低下する。また、多量の硫黄を配合することでゴム組成物の硬化度を向上させようとすると、耐老化性が低下する場合がある。また、硬化度を向上させるだけで高水準の強度を得ることは、非実用的でもある。すなわち、単に充填材や硬化剤等を配合することのみで、自動車等のタイヤに期待される強度等の特性を有するゴム組成物を得ることは極めて困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に鑑み、ゴム組成物自体の構成成分を詳細に検討した結果、特定の酸価を有するポリエステル樹脂に、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体と未加硫ゴムとを混合したところ、上記問題点を解決し得るポリマーアロイが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、5乃至80の酸価を有するポリエステル樹脂(a)、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)および未加硫ゴム(c)からなるポリマーアロイを提供するものである。また、ポリエステル樹脂(a)が10乃至30重量部、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)が1乃至20重量部、未加硫ゴム(c)が50乃至150重量部の配合割合であることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、ポリエステル樹脂(a)が、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジオールとの縮合反応で製造されたものであることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、ポリエステル樹脂(a)が、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体、ジオール、および分子鎖枝分かれ剤との縮合反応により製造されたものであることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、分子鎖枝分かれ剤がトリメリット酸無水物、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物である前記ポリマーアロイを提供するものである。また、分子鎖枝分かれ剤の縮合割合が、ジカルボン酸およびジカルボン酸誘導体の2乃至8モル%であることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、ジカルボン酸が炭素数2乃至16のアルキルジカルボン酸または炭素数8乃至16のアリールジカルボン酸であり、ジカルボン酸誘導体が炭素数2乃至20のアルキルジエステルまたは炭素数10乃至20のアルキル置換アリールジエステルであり、ジオールが、炭素数2乃至10のジオール類であり、ジカルボン酸およびジカルボン酸誘導体に対するジオールのモル比が、1.15/1乃至2.20/1であることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)が、同一分子内にビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体(C)またはその部分水添物の共役ジエン化合物の不飽和炭素の二重結合をエポキシ化したものであることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。また、未加硫ゴム(c)が、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、合成ポリイソプレン、天然ゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエン−スチレンゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴムおよびEPDMからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物であることを特徴とする前記ポリマーアロイを提供するものである。さらに、前記ポリマーアロイに、ジエン系単量体から誘導された合成ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた1種または2種以上の未加硫ゴム(d)を混合した組成物であって、ポリエステル樹脂(a)とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)の合計が、該組成物中の全未加硫ゴム100重量部に対し2乃至25重量部であることを特徴とする組成物を提供するものである。加えて、前記ポリマーアロイまたは組成物からなるトレッドベース、トレッドキャップ、カーカスプライ、クッション、ベルトプライ、ショルダー・ウエッジ、ビードエリア、アペックスまたはシェファーを提供するものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
(ポリエステル樹脂)本発明に使用するポリエステル樹脂(a)は、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジオールとからなり、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体は1種でも2種以上を混合してもよい。またジオールも1種でも2種以上を混合してもよい。本発明で使用できるポリエステル樹脂は、例えば、米国特許第4,264,751号に記載されている方法によって製造することができ、具体的には、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジオールとの反応により製造する。ジカルボン酸としては、炭素数が2乃至16のアルキルジカルボン酸、炭素数8乃至16のアリールジカルボン酸であることが好ましく、アルキルジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸を例示できる。アリールジカルボン酸としては、テレフタル酸のようなフタル酸類とナフタル酸の各種異性体が例示できる。さらにアルキル置換アリール酸として、ジメチルイソフタル酸、ジメチルオルソフタル酸、ジメチルテレフタル酸のようなジメチルフタル酸の各種異性体;ジエチルイソフタル酸、ジエチルオルソフタル酸、ジエチルテレフタル酸のようなジエチルフタル酸の各種異性体;2,6−ジメチルナフタル酸および2,5−ジメチルナフタル酸のようなジメチルナフタル酸の各種異性体;およびジエチルナフタル酸の各種異性体が例示できる。これらの中で特に好ましくは、ジメチルテレフタル酸またはテレフタル酸である。
【0008】ジカルボン酸誘導体として、ジカルボン酸の各種ジエステルを用いることができる。ジカルボン酸誘導体は、炭素数が2乃至20のアルキルジエステル又は炭素数が10乃至20のアルキル置換アリールジエステルであることが好ましい。アルキルジエステルとしては、ジメチルアジペートまたはその誘導体が例示できる。アルキル置換アリールジエステルとしては、ジメチルフタレートの各種異性体、ジエチルナフタレートの各種異性体、ジメチルナフタレートの各種異性体およびジエチルナフタレートの各種異性体、ジメチルフタレートの各種異性体(ジメチルテレフタレート等)が例示できる。これらの中で特に好ましくは、ジメチルテレフタレートである。
【0009】本発明で使用できるポリエステル樹脂(a)を構成するジオールは、炭素数2乃至10個のジオールであることが好ましい。ジオールは、直鎖であっても分岐していてもよい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールまたはネオペンチルグリコールのエステルジオールの生成物を例示することができる。ジオールの使用量は、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体に対し、2.20乃至1.15モル倍、特に好ましくは1.7乃至1.5モル倍である。
【0010】本発明で使用するポリエステル樹脂(a)は、分子鎖枝分かれ剤を用いて合成することもできる。使用できる分子鎖枝分かれ剤は、その構造中に官能基を3個以上有する化合物である。具体的には、トリメリット酸無水物、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンおよびその他の多官能性アルコール類が例示できる。分子鎖枝分かれ剤の使用量は、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体の合計量の0を越え10モル%以下であることが好ましく、特に好ましくは2乃至8モル%である。
【0011】分子鎖枝分かれ剤が、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパンまたはその他の多官能性アルコール類である場合には、分子鎖枝分かれ剤を他の成分と一緒に重合装置に投入することができる。これに対し、分子鎖枝分かれ剤がトリメリット酸無水物の場合には、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジオールとのエステル化が少なくとも90%進んだ後に、分子鎖枝分かれ剤を投入することが好ましい。
【0012】ポリエステル樹脂(a)の製造においては、触媒を使用することができる。具体的には、ジブチル錫オキシド・酢酸ソーダ、オクタン酸錫、ブチルヒドロキシ錫クロリド、酢酸亜鉛およびチタン−グリコラートを使用することができる。
【0013】ポリエステル樹脂(a)の酸価は、5乃至80(以下、単位はKOHmg/g)であることが好ましく、特には20乃至70の範囲であることが好ましい。酸価が5未満では反応性が低く、逆に80を超えるとポリマーアロイ中で架橋密度が上がらないからである。酸価は、分子量と相対的な関係があり、分子量を高くすれば酸価が低くなり、分子量を低くすると酸価は高くなる。分子量はジオールとジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体の純度、重合割合、重合条件等を変化させて調整することができる。また、ポリエステル樹脂(a)の固有粘度は、0.13乃至0.35dl/gであることが好ましい。この範囲で、作業性が良好だからである。さらに、ポリエステル樹脂(a)は、Tgが50乃至80℃であることが好ましい。50℃未満ではポリマーアロイが柔らかくなりすぎ、逆に80℃を超えると低温特性が低下するからである。
【0014】(エポキシ化ジエン系ブロック共重合体)本発明に用いられるエポキシ化ジエン系ブロック共重合体は、同一分子内にビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とからなるブロック共重合体(C)またはその部分水添ブロック共重合体にエポキシ化剤を反応させ、共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合をエポキシ化したものである。ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3級ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。なお、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との割合は、ビニル芳香族化合物が10乃至70重量%、共役ジエン化合物が30乃至90重量%であることが好ましい。
【0015】ブロック共重合体(C)の数平均分子量は、5,000乃至1,000,000であることが好ましく、特には10,000乃至800,000の範囲であることが好ましい。また、分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)]は、10以下であることが好ましい。ブロック共重合体(C)の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせの何れであってもよい。
【0016】ブロック共重合体(C)の製造方法は、上記した構造を有すれば特に制限はない。たとえば、特公昭40−23798号公報に開示された、リチウム触媒を用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を合成する方法によって得られる。
【0017】ブロック共重合体(C)を水素添加すると水添ブロック共重合体が得られる。部分水添ブロック共重合体の製造方法としては、たとえば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法を採用することができる。特に得られる水添ブロック共重合体の耐候性、耐熱劣化性に優れた性能を発揮するチタン系水添触媒を用いて合成された水添ブロック共重合体が最も好ましい。具体的には、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報に記載された方法であって、不活性溶媒中でチタン系水添触媒の存在下に、上記のブロック共重合体を水素添加する。ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合は、0乃至99%を水素添加させ、好ましくは0乃至70%を水素添加させたものである。水素添加がこの範囲であれば、1分子当たりに少なくとも2個のエポキシ基を有する。なお、これらブロック共重合体(C)または部分水添ブロック共重合体は上市され、これらを使用することもできる。
【0018】本発明に用いるエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)は、上記ブロック共重合体(C)または部分水添ブロック共重合体を不活性溶媒中でハイドロパーオキサイド類、過酸類などのエポキシ化剤と反応させて得ることができる。過酸類としては過ギ酸、過酢酸、過安息香酸またはこれらの混合物を過酸化水素と、あるいは有機酸を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキサカルボニルをターシャリブチルハイドロパーオキサイドと併用して触媒効果を得ることができる。エポキシ化剤の最適量は、使用する個々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々のブロック共重合体などのような可変要因によって決めることができる。なお、得られたエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)は、たとえば貧溶媒で沈澱させる方法、重合体を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒法などで単離することができる。
【0019】(未加硫ゴム)本発明のポリマーアロイを構成する未加硫ゴム(c)には、天然ゴム、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体のようなジエン系単量体から誘導される繰返し単位を含む合成ゴムを使用することができる。共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体は、炭素数4乃至8であることが好ましい。ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等を例示することができる。合成ゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、合成ポリイソプレン、天然ゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエン−スチレンゴム、ニトリルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム、EPDM等のジエンゴムが例示できる。
【0020】(配合割合)本発明のポリマーアロイを構成する5乃至80の酸価を有するポリエステル樹脂(a)、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)および未加硫ゴム(c)は、以下の配合割合であることが好ましい。ポリエステル樹脂(a)は10乃至30重量部の範囲であることが好ましく、特に好ましくは15乃至25重量部である。また、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)は、1乃至20重量部の範囲であることが好ましく、特に好ましくは1乃至15重量部の範囲である。また、未加硫ゴム(c)は、50乃至150重量部の範囲であることが好ましく、特に好ましくは75乃至125重量部の範囲である。
【0021】(混合方法)本発明のポリマーアロイは、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)をポリエステル樹脂(a)と未加硫ゴム(c)との混合物に単に混合する方法、溶融状態にした未加硫ゴム(c)にエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)を混合し、次いでこれにポリエステル樹脂(a)を混合する方法で調製することができる。ポリエステル樹脂(a)、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)、未加硫ゴム(c)の混合は、通常、温度145乃至190℃の範囲、特には、155乃至175℃の範囲であることが好ましい。なお、混合時には触媒を使用することもできる。触媒は未加硫ゴムの溶融前の固体状の時に添加することが好ましい。触媒には、第4級アンモニウム塩、リチウム塩およびジブチル錫オキシドを例示することができ、特に好ましくは第4級アンモニウム塩のベンジルトリメチルアンモニウムクロリドである。なお、各成分の混合は、バンバリーミキサー、圧延混合機(mill mixer)または押出機等で行うことができる。
【0022】本発明のポリマーアロイは、加工時にジエンゴムを保護するために分解防止剤を添加することができる。分解防止剤としては、モノフェノール類、ビスフェノール類、チオフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン誘導体類、ホスファイト類およびそれらの混合物、チオエステル類、ナフチルアミン類、ジフェニルアミン類、パラ−フェニレンジアミン類、キノリン類およびそれらの誘導体を例示することができる。分解防止剤は、ポリマーアロイのポリマー成分100重量部に対して0.1乃至10重量部の範囲で添加することが好ましい。また、2種以上の分解防止剤を使用する場合には、例えば、パラ−フェニレンジアミン−タイプとモノフェノール−タイプとを使用する場合には、それぞれ0.25乃至0.75重量部の範囲で組み合わせて使用することが好ましい。
【0023】(ポリマーアロイを含有する組成物)本発明のポリマーアロイは、タイヤ等のゴム製品の資材用ゴムとして貯蔵用の組成物に加工することができる。得られた組成物は、タイヤ類、ベルト類またはホース類を含む一連の複合材の製造に使用することができ、特にタイヤの製造に使用されることが好ましい。
【0024】貯蔵用の組成物を得るには、本発明のポリマーアロイに未加硫ゴム(d)を混合すればよい。ポリマーアロイと未加硫ゴム(d)の配合割合は、組成物中の全未加硫ゴム100重量部に対し、ポリマーアロイのポリエステル樹脂(a)とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体(b)との合計が2乃至40重量部の範囲とすることが好ましく、特に好ましくは5乃至25重量部の範囲とすることが好ましい。
【0025】組成物としてポリマーアロイに混合する未加硫ゴム(d)は、未加硫ゴム(c)として例示したものを同様に使用することができる。組成物として新たに使用する未加硫ゴム(d)は、ポリマーアロイに使用した未加硫ゴム(c)と同じものでも異なるものでも使用することができる。但し、ポリマーアロイに使用した未加硫ゴム(c)と同じタイプを使用することが、相溶性が良好な点で好ましい。
【0026】貯蔵用の組成物には、充填材、硬化促進剤、硫黄硬化剤、分解防止剤、プロセス油、顔料、酸化亜鉛、ステアリン酸、安定剤、粘着性付与剤、可塑剤、ワックス、早期加硫防止剤、エクステンダー油等を添加することができる。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタンまたは粘土等を例示することができ、その添加量は、組成物のポリマー成分100重量部に対して25乃至125重量部の範囲であることが好ましい。硬化促進剤としては、アミン類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、チウラム類、スルフェンアミド類、ジチオカーバメート類またはザンテート類を例示することができ、その添加量は同じく0.2乃至5重量部であることが好ましい。硫黄硬化剤としては、元素硫黄(フリー硫黄)または硫黄供与型硬化剤、例えばアミンジスルフィド、高分子ポリスルフィドまたは硫黄オレフィンアダクトを例示することができる。添加量は、ゴムのタイプと硫黄硬化剤の特定のタイプに依存するが、一般には、同じく0.1乃至5重量部の範囲、特には0.5乃至2重量部の範囲であることが好ましい。分解防止剤としては、モノフェノール類、ビスフェノール類、チオフェノール類、ポリフェノール類、ヒドロキノン誘導体、ホスファイト類、ホスフェート混合物、チオエステル類、ナフチルアミン類、ジフェニルアミン類またはアリールアミン誘導体類、パラ−フェニレンジアミン類、キノリン類および混合アミン類を例示することができる。その添加量は、一般に同じく0.10乃至10重量部の範囲であることが好ましい。プロセス油としては、活性化ジチオ−ビスベンズアニリド、ポリ−パラ−ジニトロソベンゼン、キシリルメルカプタン類、脂肪族系−ナフテン系−芳香族−樹脂類、ポリエチレングリコール、石油類、エステル系可塑剤類、硬化植物油、パインタール、フェノール樹脂、石油樹脂、高分子エステルおよびロジンを例示することができる。その添加量は、同じく30重量部以下であることが好ましい。
【0027】自動車等に使用されるタイヤは、複数の構成部材からなる複合材であり、タイヤを製造するゴム組成物には、織物、ガラス繊維およびスチール・ワイヤー等のコードが配合され、これらはそれぞれ特有の機能を有し、かつ相乗的に作用する。本発明のポリマーアロイを含有する組成物は、タイヤ製造の貯蔵用組成物に使用することが適し、特にタイヤの構成部材であるトレッドベース、トレッドキャップ、カーカスプライ、クッション、ベルトプライ、ショルダー・ウエッジ、ビードエリア、アペックスまたはシェファー等に使用することが好ましい。これらの中でも、カーカスプライ中における、ポリマーアロイを含む組成物が織物、ガラス繊維等のコードと界面で接する部分に使用することが特に好ましい。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】(測定方法)
(1)引張試験として、モジュラス、引張破断強度、伸びは、JIS K6301に従って測定した。
(2)剥離性試験は、以下に従った。
市販のナイロン樹脂板、またはポリエステル樹脂板を150mm×50mm×2.5mmに切断し、これに加硫前の組成物を150mm×50mm×2.5mmのシート状に成形し、重ね合わせ、圧力10kg/cm2、190℃、10分間加熱して接着複合体を作り、JIS K6301に従った剥離性試験を行った。界面剥離を起こしたものを×、凝集破壊を起こしたものを○と評価した。
【0030】(合成例1:ポリエステル樹脂)
ネオペンチルグリコール21.0重量部、エチレングリコール15.5重量部、ジメチルテレフタレート36.8重量部、ジメチルイソフタレート36.8重量部およびジメチルアジペート17.0重量部、枝分かれ剤としてトリメチロールプロパン6.7重量部とから常法に従って合成した。このポリエステル樹脂の固有粘度は0.17dl/gであり、酸価は38KOHmg/gであった。
【0031】(合成例2:エポキシ化ジエン系ブロック共重合体)
(1)スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン/ブタジエン重量比=30/70)を過酢酸でエポキシ化してエポキシ化ジエン系ブロック共重合体を得た。これを共重合体(1)とした。共重合体(1)のオキシラン酸素濃度は3.82wt%であった。
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(スチレン/イソプレン重量比=15/85)を過酢酸でエポキシ化してエポキシ化ジエン系ブロック共重合体を得た。これを共重合体(2)とした。共重合体(2)のオキシラン酸素濃度は、2.85wt%であった。
(3)スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン/ブタジエン重量比=30/70)のブタジエン由来の不飽和炭素を部分的に水素添加(水素添加率50%)し、これを過酢酸でエポキシ化してエポキシ化ジエン系ブロック共重合体を得た。これを共重合体(3)とした。共重合体(3)のオキシラン酸素濃度は、4.98wt%であった。
【0032】(実施例1)合成ポリイソプレン80重量部をラボプラストミルに入れ、加熱混合しながら合成例1で得たポリエステル樹脂20重量部を加え、次いで合成例2で得た共重合体(1)5重量部を添加した。混練温度は160℃、混練時間は10分とした。得られたポリマーアロイを「アロイP1」とした。同様に、合成例2で得た共重合体(2)、共重合体(3)を用いて同様に操作し、各々「アロイP2」、「アロイP3」を得た。また、比較例としてエポキシ化ジエン系ブロック共重合体の代わりにチバガイギー社製エポキシ樹脂「アラルダイトPT810」を用いて同様に操作し、得られたポリマーアロイを「アロイPA」とした。各配合を表−1に示す。なお、以下表中の配合割合を示す数字の単位は、重量部である。
【0033】(実施例2)実施例1で得た「アロイP1」100重量部に、未加硫ゴム(d)として、合成ポリイソプレン20重量部をゴム添加剤3.0重量部と共に混合し、バンバリーミキサーで混練りした。これに、カーボンブラック5.0重量部、プロセス油3.0重量部、オゾン亀裂防止剤1.0重量部、ワックス1.0重量部、ステアリン酸1.0重量部、素練り促進剤1.0重量部、酸化防止剤1.0重量部、酸化亜鉛30.0重量部、硬化促進剤1.0重量部および硫黄3.0重量部を添加して組成物を調製した。表−2に、得られた組成物の引張試験の結果を示す。その結果、本発明のポリマーアロイを含有する組成物は、モジュラスが増加した。
【0034】(実施例3、4、比較例2、3)「アロイP1」に代え実施例1で得た「アロイP2」、「アロイP3」または「アロイPA」を用いた以外は実施例2と同様に操作して表−2に示す各組成物を調製し、実施例2と同様に引張試験を行った。結果を表−2に示す。なお、「アロイP1」の代わりに「合成ポリイソプレン」を用いた以外は、実施例2と同様に操作して組成物を調製し、実施例2と同様に引っ張り試験を行った。これを比較例2とした。
【0035】(実施例5)合成ポリイソプレンに代え天然ゴムを使用した以外は実施例1と同様に操作し、「アロイN1」、「アロイN2」、「アロイN3」、「アロイNA1」を得た。次いで、「アロイP1」に代え「アロイN1」を使用した以外は実施例2と同様に操作して組成物を調製し、引張試験をおこなった。その結果を表−3に示す。本発明のポリマーアロイを含有する組成物は、モジュラスが増加した。
【0036】(実施例6、7、比較例4、5)実施例5で得た「アロイN1」に代え表−3に示す「アロイN2」、「アロイN3」、「アロイNA1」または「天然ゴム」を用いた以外は実施例5と同様に操作して組成物を調製し、実施例5と同様に引張試験を行った。結果を表−3に示す。
【0037】(合成例3)合成例1と同様に操作し、ジメチルテレフタレート8.3重量部、ジメチルイソフタレート8.9重量部、ジメチルナフタレート2.5重量部およびエチレングリコール6.2重量部からポリエステル樹脂を合成した。このポリエステル樹脂の固有粘度は0.20dl/g、酸価は25KOHmg/gであった。
【0038】(実施例8)合成例3で得られたポリエステル樹脂25重量部と合成例2で得た共重合体(1)2重量部、天然ゴム100重量部およびベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.1重量部を二軸押出機を用いて170℃で溶融混練し、「アロイN4」を得た。この「アロイN4」の25重量部に表−4に示す配合割合で天然ゴム32.5重量部を混合し、さらに、充填材としてTiO2を30.0重量部、酸化防止剤としてフェニル−β−ナフチルアミン2.0重量部および加硫剤としてアミンジスルフィド2.0重量部を添加し、組成物を得た。この組成物の引張試験および接着性試験を行った。結果を表−4に示す。
【0039】(実施例9、比較例6乃至8)実施例8で得たポリエステル樹脂25重量部とアラルダイトPT810を5重量部、天然ゴム100重量部およびベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.1重量部を二軸押出機を用いて170℃で溶融混練し、「アロイNA2」を得た。実施例8の「アロイN4」に代え、「アロイNA2」または「天然ゴム」を表−4に示す量を用い、または、実施例8で得た「アロイN4」の使用量を表−4に示す配合量に代えた以外は実施例8と同様に操作して各組成物を調製し、実施例8と同様に引張試験、剥離性試験を行った。結果を表−4に示す。なお、実施例2乃至9と比較例1乃至8のレオメーターによるトルク挙動にはほとんど変化はなかった。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
【発明の効果】本発明によれば、自動車等のタイヤに使用し得るポリマーアロイおよびポリマーアロイを含有する組成物が提供される。本発明によれば、ポリマーアロイを構成する成分自体の特性により、引張強度に優れたポリマーアロイを含有する組成物が得られ、このため、従来、充填剤の大量配合により硬化度を得た場合と相違し、ヒステリシスの向上、過剰な熱の蓄積を回避し、切傷生長特性の低下をも防止し得る。
【出願人】 【識別番号】000002901
【氏名又は名称】ダイセル化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 良和
【公開番号】 特開平11−80521
【公開日】 平成11年(1999)3月26日
【出願番号】 特願平9−264915